2025.3月議会 川﨑としみ議員 代表質問と答弁要旨

 

日本共産党議員団の川崎敏美です。会派を代表して、2025年度予算並びに関連議案、施政方針についてお聞きします。

 総務省が2月21日発表した1月の全国消費者物価指数(2020年を100とした場合)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が109・8と、前年同月比3・2%上昇。1年7カ月ぶりの高い伸びで、米類の上昇率は70・9%と過去最大を更新。

野菜の高騰などが影響し、生活実感に近い生鮮食品を含む総合指数も4・0%上昇と、2年ぶりの高さとなりました。

 生鮮食品を除く食料は5・1%プラス。米類は需給の引き締まりに加え、生産コストが上乗せされ、上昇率は4カ月連続で過去最大となりました。生鮮食品は21・9%プラスで、04年11月以来の高い伸び。昨夏の猛暑などが響き、キャベツは3倍、白菜は2倍の高さとなりました。

 エネルギー全体の伸びは10・8%(前月は10・1%)。上昇幅は、電気代と都市ガス代はやや縮小した一方、政府の補助金縮小が響きガソリンは3・9%(同0・7%)、灯油は6・3%(同1・8%)と、それぞれ大幅に拡大しました。

 生鮮食品を除く総合指数は41カ月連続の上昇。このほか生鮮食品とエネルギーを除く総合指数も2・5%上昇しました。

 

昨年、主食であるコメがスーパーの店頭から消えました、コメを求めてスーパーを何件もまわり、ようやく見つけても2倍以上の高値となっており、手が出せないという状況が生まれていました。政府は新米が出回ればコメ不足は解消されると、備蓄米の放出を最近まで怠ってきていました。

 

 こうした物価上昇のもとで、市民の置かれている状況は深刻です。ある喫茶店での話、コーヒーいっぱい400円で頑張ってきたが、450円にやっと値上げした。お客さんは500円ぐらいにせんとあかんやろと言うてくれるけど、お客さん自体毎日のコーヒーを3回にしたりして倹約している。ただでさえ街の人通りが減っていてお客さんは常連客ばっかりなのに、値上げはお客さんを減らす、これからも商売を続けていけるのか不安だと言って嘆いています。市民の多くは、1万円なんか持っていても、物が高くてすぐにお金がなくなる、だからできるだけ買い物に行かないで生活防衛をしています。年金暮らしの高齢者は、以前はお米など子育て真っ最中の娘に援助していたが、コメ高すぎて助けをしたくてもできへんとため息をついています。

 

  • 物価高騰対策 消費税の減税について

 

 2025年度の予算全体を見渡すと、市民の負担軽減を見直すというよりは、例えば物価高に対して給食の負担増、市民に公平性を求めることを口実に公共施設の利用料を引き上げる等の施策が散見されます。市が市民の暮らし、社会活動を応援する、コミュニティを育んでいくといった観点がもっと重視されるべきではないでしょうか。

 (提供している税負担の割合を示した図表をご覧ください)日本共産党は国会でも、消費税の低所得者こそ重い負担となっている逆進性の問題や、国民の払っている税の中でも、消費税の負担割合が高いことを示して、消費税減税が必要であることを訴えてきました。勤労者世帯の年収別税負担率をみると、低所得者のみならず年収900万円以下の世帯まで所得税より消費税の負担率が重いことがわかります。

 

Q1 .物価高騰に市民の暮らしが圧迫されています、市としてできる最も有効な対策は何だとお考えでしょうか、また国の物価高騰対策の最も有効な対策の一つが消費税減税だと思いますが、市として国に消費税減税を要請する考えはありませんか?

 

答弁要旨

 

物価高騰対策は賃金の上昇がもっとも重要と考えていますが、賃金の上昇が定着するまでの間、物価高を乗り切るための負担軽減に向けた取組を、国や県の動向も踏まえ、市民や事業者の声に耳を傾けながら、機動的に実施していくことが重要であると考えています。

そうした中、消費税率の引き下げについては消費税が国と地方を通じた財政の健全化や、社会保障施策の財源となるものであり、市歳入の一部となっていることから、安定した財政運営への影響、ひいては市民サービスへの影響が懸念されます。

また、税率変更による事業者への負担も伴うため、税率の引き下げにつきましては、慎重な対応が必要であると認識しています。

以上

 

2市長の施政方針について 市の財政について

 

市長の政方針で、財政運営の指針が示されています。『財政規律、財政運営の目標とルールを踏まえた予算を編成し、公債費に起因する収支不足に対応するために現在基金を取り崩すことで、実質的な収支均衡予算を確保。また、本市の財政運営において、長きにわたって課題となっていた将来負担についても、これまでの教訓を踏まえ適切に管理している。今後も税源の涵養(カンヨウ)などによる収支確保に努めるとともに市債の早期償還や基金の活用により財源を確保し、規律ある財政運営と魅力ある街づくりに向けた投資の両立を図る。あわせて昨今の経済状況や本市の財政状況が好転していることも踏まえ、より柔軟かつ効果的な財政運営を目指す。』とあります。受け取り用によっては、市長は財政運営の方針を積極財政に転じたのではないかと感じています。

 

Q2施政方針での財政運営で示されていることは、緊縮財政から積極財政への転換をおこなっていくとの姿勢を表しているのですか?

 

答弁要旨

昨今の経済状況や、20年間にわたる行財政改革の取組により、一時期の危機的な状況からは脱し、本市の財政状況は好転しています。

そして、こうした好循環を続けていくためには財政構造の弾力性確保に向けた取組を強化することが重要であり、そのために不可欠な税源洒養に向けた戦略的な投資として、市民の皆様にとって、「生活する場」としても、「働く場」としても魅力的と思えるまちとなるよう「あまがさき子ども・子育てアクションプラン」、「良好な住環境形成のための住宅施策パッケージ」といった政策プランを「実

行・実現」させてきました。

したがいまして、必要な財源を確保し、必要な事業への投資も行いながら、規律ある財政運営を行うことで、将来にわたって安定的で持続可能な財政基盤を築いて

いくことが何より重要でありますので、「緊縮財政から積極財政への転換」「緊縮財政の堅持」などと、その方針を明確にするものでもないものと考えています。以上

 

市長が掲げる第2ステージへの引き上げに向けて、主要3基金も積極的な活用がなされるようになり、一定の前進がなされていると感じています。しかし、そのあゆみはあまりにも慎重で、市民が求めている施策の充実に追いついていっていないと思います。財政調整基金をはじめ主要3基金は一体どこまで積み上げるのでしょうか、他の中核市と比較して、その平均値を目標に据えることは妥当なのでしょうか?また、毎年負担しなければならない経常支出には使えないなどとの財政規律も、固定的に考えなければならないのでしょうか。自治体の成り立ちはそれぞれ違いますし、課題も千差万別です。財政支出には柔軟な対応を行うべきだと思います。

 

Q3.基金の活用について、これまでのルールを見直し積極的な活用ができるよう柔軟な対応ができないのでしょうか?

 

答弁要旨

 

議員ご指摘のとおり、主要3基金については、財政運営方針に基づく計画的な積立・活用により、残高は増加傾向にありますが、財政調整基金につきましては、緊急的な事態が生じた場合に他都市と同等の対応がとれるよう、決算剰余等を積み立てることで、目標として定める類似他都市並みの残高に近づいてきているものの、引き続き目標水準まで残高の確保が必要であると考えています。

一方、公共施設整備保全基金については、目標として定める類似他都市並みの残高が確保できていることから、活用方策につきましては、様々な財政需要を検討する過程で柔軟に検討してまいります。以上

 

3,子ども支援策3つのゼロについて

 

 30年間経済の成長が止まり、働く人たちの実質賃金は減少しているところへ物価高が覆いかぶさり、市民の暮らしは厳しさが増すばかりです。ところが国の政治は相変わらず大企業ばかり応援の経済政策、アメリカいいなりの軍事費増額が続けられ、国民の暮らしや中小企業、子どもの教育などについては、自助努力が強調されています。

こうした情勢のもと子どもを産み育てようとする世代の負担感は、ますます大きくなっています。人はどこに生まれどこに住んでも、すべての子どもがお金の心配なく、安心して希望に向かって前に進めるまちづくりが行われるべきです。

子育て世代が持つ大きな負担感を政治の力で軽減し、安心して暮らしていける尼崎にして行くため、次の3つのゼロを要望します

  • 18歳まで所得制限なしで医療費をゼロにすること
  • 小中学校の給食費をゼロにすること
  • ゼロから2歳児の保育料をゼロにすること

これらを実現させるためには財政的な裏付けが必要です。一足飛びに実施することは困難だと思います。国や県に強く働きかけ、連携して実現に向かっていくことが必要です。

新年度予算を見たとき、果たして子育て世帯の負担を軽減する、あるいは増額しないものになっているかが、問われます。

子どもの医療費が対象18歳まで拡充し、助成内容を前進させていることは評価できます。しかし、小学校給食費が昨年より1食あたり16円値上がり、年間約3000円負担増となる。公立保育所3歳児以上の給食費が月300円値上がり、年間約3600円増となる。準要保護就学援助金の入学支度金は他自治体に比べ、2年連続小学校で約1万円、中学校で約1万5千円も低いまま手がつけられていません。児童ホーム育成料の決め方を変更し、それによって負担増となる子どもが、推計値で4.7%増えるなどの問題があります。

 

Q4 .市民の暮らしが厳しさを増す今こそ予算編成上、子育て世代の負担を増やさない目配りが求められており、配慮すべきではないでしょうか。

 

答弁要旨

若い世代が希望をもって尼崎で生活し続けたいと思えるようなまちづくりを進めるうえで、子育て世代が抱える負担を軽減し、多様なニーズへ対応していくことは私にとっても一丁目一番地の取り組みであると考えています。

そうしたことから、「子ども・子育てにかかる支援」を市が重点的に取り組む項目に位置づけ、保育料の引き下げやこども医療費助成の拡充など、様々な取組を進めてまいりました。

議員ご指摘の給食費の改定につきましても、材料費の・高騰などによる値上げが避けられない状況の中、保護者の負担を可能な限り軽減するため、費用の一部を公費負担するものです。

一方で、安心して子どもを産み・育てられる環境の充実には、経済的負担の軽減に加え、時間的、心理的負担の軽減も含めた様々な観点からの出産・子育てにかかる支援策が必要であり、それらの実現に向けては子育て世帯の実情やニーズはもとより、本市の財政状況等も踏まえた検討が必要となります。このことからも、まずは「あまがさき子ども・子育てアクションプラン」に掲げた各項目の実現に向けた取組を進めるとともに、今後も国や県の制度改革等も注視しつつ、更なる子育て支援策の充実・強化に努めてまいります。 以上

4.教育のあり方について 

 

 教育委員会は「子どもファースト」からより広い解釈につながるとして「子どもセンタード」という用語を使うようになってきています。大変良いことだと思います。子どもを中心にして、教育をどう充実させようとしているのか、この言葉を使用することの意味、その目的はどこにあるのか、たえず考えていかなければならないと思います。

私は常々、学力至上主義、点数主義、競争主義が子どもたちを壊しているのではないのか、また置き去りにしてきているのではないのか、この考えを改めない限り子どもの健全な発達は得られないのではないのかと思っています。

教育の目的とは何でしょうか。近年、教育の現場から子どもの全人格的な発達に取り組むということが聞こえてこなくなっていると感じているのは、私だけではないと思います。

日本の教育はどうなっているのか、その目的について探ってみました。教育基本法2006年の改正から紐解き、様々な文献を参考にしているうちに、法政大学教授児美川孝一郎氏の一文に目をひかれました。紹介します。

 

『教育基本法の改正について、旧法の第一条「教育の目的では」、人格の完成を目指し平和的な国家及び社会の形成者としての国民の育成を期して行われなければならないと、主体的なつくり手を育てることを期すとされていた規定には、改正後の第一条ではそのために「必要な資質を備えた」という言葉がわざわざ追加されました。必要な資質を身につけていない子どもは、国家・社会の主体的なつくり手になどならなくてもいいと言わんばかりです。教育改革において財界や経済界経産省は人材という言葉を使っています。教育の目的が変えられ、経済界に役立つための必要な資質を備えたものが人材と言われるわけですが、今なら、そうした文脈において文科省までが人材という言葉を使用しています。みんな同じ土俵に乗ってしまい、誰も人格の完成などという武骨なことは言えなくなりました。』とあります。

児美川氏は、また戦後の教育改革の流れの中で育ってきた世代は、ある特徴を有していると分析されています。

 

何でも市場に任せ、競争を煽り、勝ち組が利益を独り占めにしていく新自由主義の考え方が社会全体に強要された結果、なんでも自己責任を多くの人々が受け入れていく状況が生まれていると指摘されています。

児美川氏は、『新自由主義の内面化は自分事ではないことに関しては「傍観」を勧めます。自分に火の粉はかかってこないのだから、そのくらいは見て見ぬふりをしろとささやくのです。他方で、自分ごとの問題は自己責任で受容しろと迫ります。競争社会の中で、学校に入ってからずっと他人と競わされ評価を受け続け、小学校受験から始まり中学入試、高校入試、大学入試そして就職活動まで、すべては自己責任であると言われてきました。とうの昔から自己責任を内面化させられているのです。競争原理で世の中は回っているのだから努力した人がいい目を見て、そうでない人はそれなりの状態に甘んじざるを得ないと教えられてきたのです。そういう感覚で世の中のことを見ていれば、最初は多少の違和感を持つことがあったとしても、それは最終的には自己責任の論理に回収されていきます。なんとか歯止めをかけていかないと、社会が問題を認識しない、社会的要因で引き起こされた問題が、全て自己責任に置き換えられていけば、社会的発展、文化の発展は遠くに追いやられ、経済的発展のみが目的化されてしまうのではないでしょうか。』と論じられています。私は、教育を取り巻く環境と社会的的影響によって、人間が自分のことを自分で縛って自己規制しているのだと半ば納得させられました。

 

Q5 .このような新自由主義の内面化が進んでいるとの論に、市長はどう思われますか、また本来の教育の果たすべき役割を市長はどう考えますか?

 

答弁要旨

私も戦後教育改革の流れの中で育ってきた人間として、児美川氏のご指摘を伺いますと、大変肩身の狭い思いをいたしますが…

私自身は「新自由主義」と言ったらよいのか、「資本主義」と言ったらよいのかわかりませんが、このことと教育における競争原理との因果関係は、素直に受け止めることができず、例えば、中国における「科挙」や、もっとさかのぼれば、各国の文明で多くみられた身分制度なども、ある種の人間の中の差別化・競争でありますので、その意味では、人間そのものに備わった、仏教でいう「業(ごう)」のようなものではないかと受け止めています。

その上で、「教育の本質」は、文化の継承と一人ひとりの人間がより豊かで幸せな人生を送るための成長を手助けすることが第一であると考えており、その結果、平和でで民主的な社会を担う構成員の育成を目指すものであると捉えています。

この思いは、今回定めた「教育大綱」の冒頭に記載させていただきましたので、改めて、読み上げをさせていただきます。

 

「「教育」は、先人が蓄積した文化を継承しつつ、一人ひとりが、他者を尊重し助け合いながら、それぞれの持てる能力を最大限に発揮し、より豊かで幸せな人生を送るための成長を手助けするものであり、そのことを通じて、平和で民主的な社会を担う構成員の育成を目指すものです。

われわれは、教育の本質である、個々の内発的動機付けを重視し、一人ひとりの学習する権利の保障を目指します。」

少なくとも、教育は、国家や資本が先に来る時代ではないのだろうと思っています。

以上

 

  • 人口減少社会をどう乗り切るか?

 

「少子化・人口減少社会と地域・自治体ができること」と題した、自治体問題研究所の中山徹先生の講演をお聞きしました。その要旨をご紹介します。

政府は異次元の少子化対策として、様々な対策を講じています

しかし政府の異次元の少子化対策はには、5つの大きな問題があります。

1、新自由主義的な雇用政策は見直しされず、放置されています。国際競争力を強化するため人件費の削減、正規雇用を減少させる不安定就労の拡大、そして賃金の低下がもたらされてきました。こうした状況のもとで自分の将来を見通せない若者が結婚し子供を産むのかという問題があります。

2つ目の大きな問題としてジェンダー問題には手をつけていないということもあります。女性の社会進出が進んでいるにもかかわらず様々なジェンダー問題が存在しており、家事育児の負担が女性にかかっている限り少子化対策は前進しないのではないでしょうか。

3つ目に長時間労働全体の見直しがされていません。子育て期間のみ長時間労働を是正するのは困難です。日本の長時間労働全体を改善しつつ、その中で子育て世帯の長時間労働を見直すべきです。

4つ目に、東京一局集中の見直しがありません。若者が東京に集中していますが、東京の合計特殊出生率は常に全国最下位です。東京は通勤時間が長く、住宅が狭いなど子育てしにくい街となっています。東京に若者が集中している限り少子化は止まりません。

5つ目に、教育費の個人負担が大きすぎると言う問題にも対応できていません。 以上5つの問題です。この問題解決を含めて

今後どのように少子化対策を進めるべきか。提言されています。

国レベルでは、これまでの新自由主義的な政策を抜本的に改めることが必要。女性の就労と育児の両立を可能にする、すべての年齢層を対象とした働き方改革を進める、東京一極集中の是正、教育費の自己負担を軽減する、少子化対策の財源は大手企業、富裕層に求めていく。

自治体レベルでの少子化対策として、市区町村によって行われる少子化対策は経済的支援が大半となっており、まちづくりとの関係で少子化対策をどう位置づけるか重要と指摘されています。以上、中山徹氏の講演要旨です。

 

私がこの講演で学んだことは、少子化対策は国の対策と自治体の対策が両輪となって推し進められなければならないということでした。尼崎市における少子化対策の基本的な考えを見直さなければならないと思いました。

自治体として少子化対策を進めるために、経済的支援や専門性の重視、地域の参加を促すことが重要。経済対策と一体化し、地域全体が子どもを大切にする環境を作ることが求められている。また、施設の統廃合を進め集約化することではなく、住み続けられるまちづくりの中で少子化対策を推進することが必要ということでした。

 

Q.6 子どもの減少に応じて、学校、公立幼稚園の廃止、公立保育所の民間移管などではなく、少人数学級・少人数保育の導入で、地域に学校・幼稚園・保育所を残しつつ教育環境の改善、保育環境の改善を進めるべきだと考えるが、市はどう思うか?

 

答弁要旨

 

本市では、多様化する保育ニーズへの適切な対応や、保育所機能の充実とより効率的な保育所運営を行うこと、老朽化した保育施設の環境改善、待機児童の解消に向けた取組などを目的に、公立保育所の民間移管を進めてまいりました。

こうした中、社会情勢や子育て家庭の状況など保育を取り巻く環境の変化に対応するため、民間移管を含めた、今後の公立保育所のあり方について、改めて、検討を進めています。

今後におきましても、保育ニーズに応じた保育定員の確保を図るとともに、国が定める保育士配置基準に沿った保育体制の確保に努めるなど、こどもたちの安全・安心につながる保育環境の改善に取り組んでまいります。以上

 

 

教育長答弁要旨

小中学校一学級当たりの児童生徒数には基準が定められており、議員ご提案の、地域に学校を残したまま現行の基準数を下回るような少人数学級を導入すれば、学級数と学級担任の教員を増やす必要があり、その増員に要する費用は市が負担することとなります。

こうした費用負担の問題のほか、近年の教員確保の難しさを踏まえると、国・県の基準数を下回る少人数学級の導入は現実的ではなく困難であると考えております。

また、市立幼稚園については、「尼崎市就学前教育ビジョン」に基づき、効果・効率的な運営体制を構築すべく、令和6年3月に条例改正を行い、保護者需要等を踏まえる中で、9園のうち3園を廃園するとと

もに、残る6園のうち4園で3年保育等の充実策を実施することとしました。

幼稚園は、様々な園児同士が関わること等により、人格形成の基礎を培うとても大切な時期のため、適切な人数の中での保育が望ましいと考えており、今後も「尼崎市就学前教育ビジョン」に沿った取り組みを丁寧に進めてまいります。以上

 

6、市職員の雇用のあり方について

 

尼崎市の正規職員は、この約30年間で最高時の約5600人から昨年の3100人へと、45%も減りました。会計年度任用職員など非正規職員の割合が、再任用を除き全体の40%近く占めています。非正規の皆さんは働く時間が決められており、原則として残業を求められることはありません。

正規職員を減らしてきたことにより、会計年度任用職員の雇用に頼らざるを得ない状況となっています。しかし会計年度任用職員は、勤務時間が限定されているため、コロナ期にみられたように、正規職員に過大な負担がのしかかっていた状況からは何とか脱しているとはいえ、この歪な構造を続ける限り、災害時、マンパワーの不足は如何ともし難い状況となっています。

またワークライフバランスの観点から見ても、非正規職員の1年ごとの契約更新は安定的な雇用が得られなくなっており、正規職員の働き方にも影響を及ぼし、改善、改革が求められているのではないでしょうか。希望があれば、働く時間が選べる、正規に登用するなどの人事政策を改めることが必要となってきています。

 

Q7 . 今こそ、正規市職員の雇用を増やす方向に人事政策を転換すべきと思いますが、市の見解は?

 

答弁要旨

 

市役所の正規職員の適正数については、様々議論があるところでありますが、あらゆる非常事態を想定したときに必要となる最大の職員数を見越した正規雇用数を維持することは、現実的ではありません。

非常変災時に、全ての部局が同じように忙しくなるわけではないことから、仮に、マンパワーがひっ迫した部局が出たとしても、組織全体で柔軟に助け合える組織文化を、平時から作っておくことが大切と考えています。

一方で、例えば、今後、デジタル化や児童相談所の体制整備、救急需要の増加に対応するための救急隊の増隊など、通常業務において、必要業務量が増している分野もございます。

こういった分野については、正規職員の採用を進め、通常業務が確実に担える体制整備を進めてまいります。以上

 

7、公立幼稚園 長洲・小園・竹谷3園の廃止

 

 2023年、市は「尼崎市就学前教育ビジョン」を11月に発表しました。その中で、9園ある市立幼稚園のうち、入園希望が定数を大きく下回る長洲・小園・竹谷の3園の廃止を2025年度から実施するとしていました。

 このビジョンに対し、12月に意見聴取が行われ、700を超える意見が出されました。そこでは「来年の入園募集を行う10月を過ぎて11月にこのビジョンが発表されており、廃止が決まっているところに応募なんかしなかった」等の意見が数多く出されており、事前の計画の周知が徹底されていなかったことが明らかになりました。

そして意見を参考にするとの当局見解で、3園の廃止を1年間先送りする方向が示されました、まさに朝令暮改です。3園廃止は拙速すぎるということは、はなからわかっていたことです。

 しかし1年延期だけでは根本問題は解決されません。幼稚園は公立が2年、私立は3年保育の違いがあります、以前から共産党議員団は公立の3年保育を実施する中で、市立幼稚園のあり方を検証するべきと提案していました。公立だけ2年保育では年々公立の入園希望が少なくなるのは当たり前であるにもかかわらず、教育委員会は2年連続応募者が少なければ廃園という決まりを変えようとしてきませんでした。今回もこの規定はのこされ、3年保育を実施するのは4園だけで、2園は据え置かれています、これで正しい検証ができるとは思われません。すでに2年保育しか行わない園和北と武庫は廃園を決定したも同じ扱いとなっていくのではないでしょうか。

また今回のビジョンでは、就学前のインクルーシヴ教育(障がい児との共生)の必要性が打ち出されていますが、公と私でどう取り組んでいくのか議論が不足しています。特に公立はこうした問題を研究する機関としての役割とともに、障害のある子どもたちをあずかる最後の砦としての役割を持っています。かつては18園もあった公立が9園まで減り、さらに6園、最後には全くなくなる恐れも内在しています。そうなれば、障がい児保育やグレーゾーンの子どもたちの受け入れ先の多くが、失われてしまいます。さらにインクルーシブ教育のリードオフマンとしての公立の機能も失われてしまうのではありませんか。スクラップアンドビュルドの考え方をこの分野に持ち込んではなりません。公立の役割を軽視しないでほしいと願います。こうした数多くの問題があるにも関わらず、市教委はすでに「尼崎市就学前教育ビジョン」計画は決定と取り扱っています。

 

Q8 .今一度、「尼崎市就学前教育ビジョン」計画を中断して、この問題を全市的に議論すべきだと思います。

 

教育長答弁要旨

 

市立幼稚園は、近年利用者数が大幅に減少する一方、特別な支援が必要な幼児が増加傾向となる等、多くの課題があります。

そのため、令和3年度に設置した「尼崎市立幼稚園のあり方検討会」の報告書を踏まえた上で、「尼崎市就学前教育ビジョン」を策定しました。

その策定作業の過程においては、市民意見聴取プロセスに基づき、各市立幼稚園での保護者説明会や各地域での市民説明会等を数多く実施するとともに、法人団体とも協議する等、できる限り時間をかけて丁寧に策定事務手続きを進めてまいりました。

教育委員会といたしましても、存続する6園全てで3年保育の実施が出来れば望ましいと考えている一方で、人材や財源には限りがあるため、地域ニーズ等を踏まえ、4園での3年保育実施といたしました。

また、インクルーシブ教育については、存続する全市立幼稚園で充実を図るとともに、私立幼稚園等を対象とした特別な支援が必要な幼児の受入に係る補助制度の創設や、特別な支援が必要な幼児の受入体制について市立幼稚園と私立幼稚園とが情報交換する等により、本市の就学前におけるインクルーシブ教育を推進してまいりたいと考えております。

今後とも「尼崎市就学前教育ビジョン」を推進することで、市立幼稚園については市民に選んでもらえる魅力ある園づくりを目指すとともに、官民が連携して、どの就学前教育施設においても質の高い教育が受けられるよう努めてまいります。

以上

 

8、PF I(Private Finance Intiative)の活用による下水道事業の整備等について

 

今後の下水道の整備をだれが担うのかというテーマに関連して、新聞「赤旗」が八潮市の事故を報道しています。紹介します。

1月28日に起きた埼玉県八潮市の県道交差点陥没事故を受け、上下水道施設の維持管理の重要性が浮き彫りになっています。石破茂首相は2月20日、デジタル行財政改革会議で上下水道の老朽化策として、デジタルトランスフォーメーション(DX)を急ぐよう担当閣僚に指示しましたが、優先すべきは技術系職員の確保です。

 八潮市の事故は運用から42年たつ下水管腐食が原因といわれますが、下水道に起因する道路陥没は全国で2607件(2022年度)発生。標準耐用年数50年を経た管路の割合は2042年に全国で約40%になるとされ、老朽化対策は緊急課題です。しかし現場では、予算と職員が足りず、日常の運用管理はおろか補修や点検、更新が追いついていません。特に小規模自治体は事務系と技術系職員を合わせても数人以下のところもあり、職員の高齢化も相まって業務のひっ迫は深刻です。
 背景には総務省の「集中改革プラン」(2005~2009年度)などによる人員削減があり、上下水道職員数は1995年の6万2千人から2022年には3万9千人に激減しました。
 上下水道は、住民の命と暮らしを守る大事な施設です。現場では人にしかできない作業が多数あり、職員の技術やノウハウは重要な財産です。災害時に各自治体の職員が自力で復旧するためにも、技術系職員を抜本的に増やすべきです。以上が赤旗の記事です。

 

昨年の代表質疑で、下水道事業、東部雨水ポンプ場の建設、維持管理は公共が行うべきと、当局の考えについて聞きました。答弁は、『下水道事業については、経験豊富な技術職員の減少や老朽化施設の急増、将来投資額の縮減などの課題を抱えており、「ウォーターPPP」をはじめとする官民連携により、こうした課題の解決を図っていく必要がある。また、その導入については、下水道管の改築の国庫補助事業の採択要件となることから、維持管理と改築更新の一体マネジメント方式の検討を進める。また、東部雨水ポンプ場の建替えも、市の方針に基づき、「PPP/PFI手法」を検討する』と答えています。

八潮市の事故を受けて当局の今後の対応は、この時の答弁と基本的に変わらないのでしょうか?昨年の能登の災害では、自治体職員が少なくて受援体制ができず、復旧・復興の大きな障害となっていました。

技術系職員は募集しても来ないから民間に頼ると当局は言いますが、処遇改善や働きやすい環境の改善を図る中で対応すべきではありませんか、仕方がないから民間へでは安易すぎませんか。

今後、本市においては、公務員の技術系職員の配置動向は、どうなっていくのでしょうか。今後、技術系の職員がどんどん減少していくと、結果、ほとんど全ての業務を民間に委ねることになってしまい、コスト面でも言いなりになって経費削減どころか経費増大、いざ災害時には協定があるからといっても物理的に民間が対応できないのではないのか、その結果市民サービスの低下は免れないと思います。

技術系職員が募集しても来ない問題は、職員の処遇改善で対応すべきです。インフラ整備の責任は、現在もそして未来も、国と自治体にある、民営化丸投げにつながる民間委託はやめるべきであり、行うとしても限定的に行うべきであると考えます。

 

Q9 .「ウォーターPPP」の見直しを行い、民間連携が丸投げにならない取り組みを進めるべきではないのか?当局の見解を求めます。

 

答弁要旨

 

国が推進する官民連携方式である「ウォーターPPP」は、下水道事業において、施設の老朽化や職員の不足が懸念される中、民間事業者の創意工夫等を活用することにより、効率的かつ効果的なサービスの実現が期待できるものであり、本市では令和10年度の導入を目途に準備を進めているところです。

導入にあたりましては、民間事業者が施設管理の全ての裁量を掌握するという、いわゆる「丸投げ」とはならないよう、災害時の対応も含め、市職員と民間事業者の両方がノウハウを共有・蓄積する官民の適切なパートナーシップを構築するとともに、今後ニーズが増加する施設の老朽化対策や新たな整備については、必要となる市職員の体制を確立し、将来にわたる事業の持続可能性の確保に努めてまいります。以上

 

以上で第1問を終わります。

 

第2登壇

 

9、児童ホームの待機児童対策について

 

児童ホームの待機児童数は、昨年24年の5月1日現在で290人となっています。前年度の214人と比較すると、76人待機児童が増えています。

待機児童の学年別の内訳をみると一年生が18人、二年生が65人、三年生が123人となっており、児童ホームの運営上バランスの取れた構成となっていません。

実際の入所者数の学年別を見ると、一年1,147人と二年861人、三年445人、4年195人、五年58人、六年18人となっており、学年が上がるにつれて極端に高学年が減少しています。必要度から言うと、3年生までは利用できる環境を整えるべきとの意見もありますが、全ての希望者を受けいれることをめざさなければなりません。

待機者の状況、日常的な居場所は、こどもクラブが242人、自宅が48人となっています。民間利用登録数は660人、うち公設の児童ホームの待機者はわずか21人です。

市は待機児童の解決策として、民間の学童保育を活用とすることを第一にするとして、取り組みを進めています。しかしすでに民間はわずか数年で閉所したりして、不安定な経営状態となっています。待機児童対策は、国基準である施設1箇所40人定員の公設の施設の拡充で対応すべきです。

 

Q10 .児童ホームの待機児童対策は公設公営で行うべきであり、そのことが公平性平等性を担保するのではないでしょうか。民間の学童保育に安易に頼る方針を見直すべきではないでしょうか?

 

答弁要旨

 

児童ホームにつきましては、近年、工場跡地等の大規模マンション開発や児童ホームの利便性向上の取組みによる更なる需要の喚起などにより、入所希望者が増加しており、特に人口集中地域の小学校区で多くの待機児童が生じています。

そうしたなか、待機児童対策として、今年度に武庫庄児童ホーム、令和7年度には上坂部及び園田南児童ホームのクラス数を増設するなど、公設児童ホームの定員拡大に向けた取組を進めているところですが、公設児童ホームのクラス数の増設には、学校に児童ホームに転用できる余裕教室がないなど、実施場所の確保が難しいこと、また、全国的に保育士等の有資格者が不足しており、指導員の確保が難しいことなどの課題があります。

そうしたことから、特に待機児童の多い地域など、本市が開設を推進すべき地域を指定し、指定地域で民間事業者が児童ホームを新規開設した場合に、当該事業者に対して、施設整備に要する費用の一部を補助する設置促進事業補助金のほか、運営費の一部を補助する運営費補助金を交付しているものであり、令和6年5月現在で660人の児童が民間児童ホームを利用されています。

議員ご指摘のように、民間児童ホームの事業所数は、令和3年度をピークに減少傾向にありますが、待機児童の解消に向けては、現在のところ必要不可欠と考えており、官民双方で受け皿整備に取り組む必要があるため、民間児童ホームの定員数及び安定的な運営の確保に向け、令和7年度から補助金制度を拡充することとしており、今後も公設児童ホームのクラス数の増設とあわせて、民間児童ホームの参入を促進してまいります。以上

 

10、公立保育所の今後のあり方について

 

公立保育所の今後のありかた、民間移管計画が見直されようとしています。これまで、まるで秘密会のような、2年にわたって職員だけの庁内議論を行い、そこでまとまった意見を、新しく立ち上げる審議委員会で検討、成案化するとのことです。かつて45カ所あった公立保育所は9カ所にするというのがこれまでの方針でした。公的保育はどうあるべきなのか、尼崎における公立保育所の民間移管の検証、ふりかえりを十分に行い、全体的に検証結果を共有すべきではないでしょうか。順番、方法が間違っています。そこで成案がまとまると、それが決定になっていくのが通例です。尼崎における公立の果たす役割はもう終わったと判断するに等しい乱暴なやり方です。なぜ庁内だけの議論を先行させたのでしょうか、またしても市民は置き去りにされているのではないでしょうか。

 

Q11。まずは、広く関係する団体、専門家、地域、市民の意見を聞くべきです。職員だけの議論で結論を押し付ける「今後の公立保育所のありかた」の検討は見直すべきです、再考を求めますがいかがですか?

 

答弁要旨

 

公立保育所の民間移管は、平成19年に策定した「公立保育所の今後の基本的方向」等に基づき実施してまいりましたが、策定から15年以上が経過する中、子ども・子育て家庭や保育を取り巻く環境は大きく変化しています。このような背景を踏まえ、公立保育所に求められる役割の再整理が必要なことから、昨年度、まずは庁内の関係課で構成する会議体を立ち上げ、検討を重ねてまいりました。

議員が御指摘されている趣旨を踏まえ、学識経験者、関係団体及び保護者代表からなる委員で構成された「公立保育所のあり方懇話会」を昨年10月に設置し、庁内会議体で議論した課題について御意見をいただきながら、検討を進めています。

当該懇話会の運営におきましては、保育に関連した客観的データを示したうえで、委員それぞれの立場から、幅広い視点で御協議いただいています。

今後、引き続き懇話会で御協議いただきました後、当該懇話会からの御意見を踏まえ、「公立保育所の今後の基本的方向」の見直しを行い、民間移管を含めた公立保育所のあり方を整理してまいりたいと考えています。以上

 

11、体育館の断熱化、空調について

 

日本共産党議員団は、22年12月から1月と23年8月と、築40年以上の老朽化した34校の学校施設を視察して、これまで様々な要望を行ってきました。主にはトイレの洋式化、体育館の断熱化・空調整備、学校のプール環境の改善等々についてです。すぐに改善が行われたものもありますが、しかし残された未実施の課題は大変多く、一朝一夕に改善は困難です。中長期の計画とともに何を優先課題としていくのか充分な検証が必要でもあると思います。

昨年の代表質疑では、体育館の断熱化・空調整備をすすめる計画を、24年度あらためて実施する考えはないかと質問しました。答弁は「学校施設の整備改修については、老朽化した校舎の建替えや大規模改修、トイレの洋式化、照明器具のLED化など児童生徒の安心安全な教育環境を維持・確保していくため、多額の経費が必要、一定の財源の中で優先順位をつけて取組を進めている。来年度ただちに体育館の空調整備についての計画を策定する予定はないが、その必要性は認識しているので、他都市の事例や機器メーカーからの情報収集など、実現に向けて、より実効性のある空調設備の調査・検討を進める。」とのことでした。

 政府は12月17日に成立した2024年度補正予算で「空調設備臨時特例交付金」を創設しました。政府は全国の小中学校体育館の設置率は22、1%にとどまっており、全国の小中学校の95%が避難所に指定されていることから、今後10年間で設置率を95%まで引き上げる目標を掲げ、新たに交付金を創設しています。

 尼崎では、今年度、中学・高校の体育館から進めるとして3校の名前が上がっています。考え方として2026年度からの本格的な地域クラブ活動が実施されることからこのような優先順位になったのではないかと推測しています。しかし、体育館はどこも避難所として指定されています、学校ごとの課題を明示して、今後何年かけて実行していくのか、全体計画を示すべきではありませんか。市民は自分たちが居住している体育館の空調整備はいつから始めるのか、その優先度について納得のいく説明を求めていると思いますがいかがでしょうか。

 

Q12 .お尋ねします、体育館の断熱化・空調の全体計画はどうなるのですか、その優先度の考え方とともにお示しください?

 

教育長答弁要旨

学校体育館の空調整備につきましては、夏休みを含め使用頻度が高いことに加え、避難所としての市域全体の配置バランスを考慮し、まずは中学校、高等学校から優先的に整備を進めてまいります。

今回、国において新たに「空調設備整備臨時特例交付金」が創設されましたが、断熱性能の確保が要件とされていることから来年度は、断熱性能等が異なるタイプの体育館の整備に着手し、より効果的な整備方策について検証したうえで、小学校を含む全体計画を踏まえた整備方針を来年度中に策定し、できるだけ早期に全小中学校への設置に努めてまいります。以上

 

12、図書館のあり方について

 

北図書館が昨年8月半ばより約1ヶ月半の間、一定期間閉鎖やサービスの限定がされていました。

8月7日突然冷房が効かなくなったそうです。年度初めの空調点検では異常がなかった、すぐ直せないので他の公共施設から冷風機を借りてきたりして急場をしのいでいたが、それも夏の暑さに限界となり、8月15日から閉館されていました。復帰まで時間がかかったのは、空調は20年ぐらい使っている機械なので、部品の調達等がなかなかできなかった。また図書館そのものの建て替え問題もあり、検討していたからとのことでした。公共施設のメンテナンスが計画的に充分に行われていたのか問われるところです。また、運営が指定管理となっているからそうだったのかこの問題の検証と総括が必要だと思います。

 

Q13 .お尋ねします。図書館が1ヶ月半もの間、休館やサービスの限定を余儀なくされたことについて、事前対策で防止できなかったのか、指定管理という運営上の体制に問題はなかったのか?

 

答弁要旨

北図書館の空調設備につきましては、夏場の最も暑い時期に故障したため、利用者や職員の健康を配慮し、令和6年8月15日から一部のサービスを除き館内の利用を一時的に休止しました。その間は、貸し出し・返却業務のみ出入口にて対応しました。急遽、空調機を1台設置し、9月3日に窓ロカウンターで貸出し・返却業務を再開、暑さが和らいだ10月1日より全ての館内サービスを再開しました。

故障の主な原因は、冷温水発生機のコントロールモーターが老朽化により突然故障したものであり、稼働前の保守点検や試運転では不具合は確認されておらず、予期せぬ事態であり、指定管理者の運営体制に問題があったとは考えておりません。

また、故障後の指定管理者の対応も中央図書館や専門業者等と緊密に連携する中で、適切に対処できたと考えています。(以上)

 

1月に会派視察で福井市の図書館を見てきました。そこの運営については、図書の貸し出し窓口については、一部委託するなどしているが、全体としては指定管理を行なっていませんでした。そこで質問すると、やはり佐賀の武雄市で起こっていた蔦屋に対する指定管理の問題を重く受け止めて、指定管理は図書館運営にそぐわないからと福井市は実施していないということでした。

 

Q14 .図書館の運営についても学校や地域との連携など、全市的な観点で考えられていかなければなりません。これまでの図書館の指定管理を実施してきたことをどう評価しているのか、また指定管理のあり方を見直す考えはありませんか。 

教育長答弁要旨

図書館の主な役割は、「いつでも、誰でも」図書に親しめる環境をつくり、読書を推進することであり、地域や学校と連携し、きめ細かな図書サービスを展開することが重要であると考えています。

本市の図書サービス網は、中央図書館と北図書館を中心に構築しており、直営の中央図書館は、主に学校や生涯学習プラザなどの関係機関との連携を図る、いわば全体の司令塔の役割を担っております。

一方、指定管理制度を導入している北図書館では、民間の専門知識を活かし子ども向けのお話し会や大型紙芝居大会を定期的に開催することで幼少期からの読書習慣の定着を図るなどの取り組みを行っております。このように両館が相互に補完し合う関係性のもと成り立っていることから、現行の体制を見直すことは考えておりません。(以上)

 

13、市の住宅政策について 賃貸低所得者への家賃補助制度

 

昨年の代表質疑で、低所得高齢者の住居補助制度の充実、高齢者のための市営住宅を増やすことについてお聞きしました。市の答弁は「市営住宅については、高齢者が入居しやすいよう、抽選時の優先入居枠の設定、高齢者のみが申込みできる部屋を設けるなどの取組も行っている。加えて、23年9月より、定期募集で入居者のなかった部屋については、常時募集にするなど、高齢者などが入居できる機会の拡充にも努めている。市営住宅の管理戸数については、今後の持続可能な管理運営の観点から、削減することとしているが、低所得者の方々の大切なセーフティネット機能でもあるので、こういった機能については、引き続き、維持できるように留意する。」との答弁でした。

 

国の住宅政策のもとでは、少子高齢化や人口減少が顕著に進む中で、市場重視で住民への適切な住宅供給や、安心・安定した居住の継続への支援をすることはますます難しくなってきています。先般も真崎議員が議会で紹介していますが、杉並区の岸本聡子区長は、「命と暮らしを守る最前線にある自治体にできることはあります。選挙公約で住まいを失った人や失いかけている人に対して、安定した住まいの確保を最優先とする、ハウジングファーストの理念に則った支援を行ない、民間賃貸住宅に暮らす低所得者を対象にした家賃補助制度を創設することを掲げました。『住むことは権利だ』という視点に立つと住宅政策は大きく変わってきます」と述べられています。非常に高い見識だと思います。居住保障の実現をめざす自治体住宅政策への転換が尼崎でも必要だと思います。

 

Q15 . 民間賃貸住宅に暮らす低所得者を対象にした家賃補助制度を創設することにどのように考えていますか?

 

答弁要旨

住宅に困窮する低額所得者につきましては、住宅セーフティネットの根幹であり、類似中核市と比較しても多くの管理戸数を有する市営住宅での対応を基本としており、必要に応じた家賃の減免制度を実施していることから、住宅セーフティネット施策である家賃低廉化の補助などの経済的支援や、個人に対する給付としての家賃補助を実施する予定はございません。以上

 

14、中小企業支援策について 住宅・店舗リフォーム助成で市内循環型の経済発展を

 

 これまで、中小企業支援策として住宅・店舗リフォーム助成制度を行い、市内循環型の経済発展をと何度も訴えてきました。しかし、市は「商店リニューアル助成制度」は、助成がなくともいずれ実施されるであろう店舗改修を前倒しして行うものであり、新たなリニューアル需要を生むものではない」との答弁を繰り返してきました。また本市では、「商店リニューアル助成制度」よりも、省エネ効果や商店街活性化を重視した「脱炭素化設備等導入促進支援事業」や「空き店舗改修」を優先している。また、空き家問題と地域経済活性化を同時に解決するため、「エコリフォーム助成」ではなく、「空き家改修助成」を実施していると述べています。

実際にこの制度を実施している高崎市では、この制度を14年も続けています。

高崎市の「住環境改善助成事業」は、市民が市内業者に住宅の修繕や改修工事を依頼すると、助成金として工事に要した費用の30%、上限20万円を支給し、間接的に市内小企業・業者を支援する制度です。

同時に既存住宅の長寿命化や住環境の改善を図ることを目的としています。外壁や屋根の塗装などの外装工事、浴室やキッチンなどの水回り改修工事、壁紙の張替えや障子ふすま、畳の取り替えなど、非常に多くの種類の工事が助成対象になっています。

  予算規模は、当初予算で1億円、申請は500件の見込みですが、補正予算5千万円を足して2022年度は1億5千万円、805件の申請。総工事費951,051千円で、予算額の6倍以上の経済流通となっています。

当初は、3年間実施して、その後継続するかどうかを検討するということでしたが、市民からの継続の要望が強いということです。

高崎市には、市民が市の事業をただ利用するだけにとどまらず、まちづくりに協力していこうとのエネルギーを感じます。住宅・店舗リフォームか空き店舗・空き家対策どっちがいいのか、対立的に硬直的に捉えるのでなく、できることは積極的に取り組むべきではないでしょうか。実行して検証すべきではないでしょうか。

 

Q16 . 市内循環型経済を発展させるために、商店リニューアル助成事業や、住宅リフォーム助成制度の実施について再考を求めます

 

答弁要旨

ご提案の商店や住宅リフォーム助成制度は、対象事業者を市内事業者に限定することや助成金額の条件設定を行うことで、一定の経済効果が発生するものと考えますが、リフォーム需要の前倒し効果はあるものの、リフォーム自体の総需要の増加につながるものではなく、地域経済全体に及ぼす効果は限定的であると認識しています。

そうしたことから、本市としましては、市内事業者による省エネ診断から設備導入までを対象に補助を行う、「脱炭素化設備等導入促進支援事業」や、商店街の活性化につながる空き店舗改修など、地域経済効果に加え、省エネや本市が抱える課題の解決にも資する取組を優先することが望ましいと考えています。

また、住宅に関しましても、居住中の住宅へのリフォーム助成ではなく、活用可能な空き家の利活用を促進する「空き家改修助成」など、本市が抱える空き家問題の解消を優先することが望ましいと考えています。以上

 

15、公園の整備について

 

中央公園、小田南公園のリニューアルが進んでいます。両公園の木々がかなり伐採されていることに多くの市民が驚いています。中央公園は公園PF I事業で行われており、そのなせる技かなと思います。市内には、この事業に馴染む公園はここだけのとのことですから、問題はこれ以上拡大しないのかもしれませんが、あまりにも変容を遂げる公園PFIのあり方については、今後これで大丈夫なのかとの思いを強くしています。

今後全市的に、みどりのマスタープランによって公園の見直しがされるようですが、どのように市民意見を拾い上げていくのでしょうか、気になるところです。

 

Q17.公園をエリアや機能で分担して、特色づくりを行うということですが、どのようにして実行して行くのでしょうか。

また、日常的な公園整備についても、老木の処理、草刈り、掃除、洋式トイレの設置等、課題は多岐にわたります。市民からの問い合わせ、苦情に敏速に対応できる体制、それに伴う予算措置など全市的な整備計画が必要となっていると思います。

Q18.市民にとってより良い、憩いの場としての公園づくりのための維持管理、整備計画が必要と思うが、今後どのように対応していこうとしていますか?

 

答弁要旨

昨年度末に改定した「みどりのまちづくり計画」では、主要な取組の1つに魅力ある公園づくりを掲げ、その中では、身近な公園の機能分担について取り組んでいくこととしています。

機能分担とは、一定の地域にある複数の公園を一体的に捉え、利用実態や施設の状況、地域ニーズに合わせて、例えば「遊具の充実した公園」や「ボール遊びができる公園」といったように、公園の機能を分担するというもので、利用実態の把握や、公園ごとの役割を考える際など、検討の段階に応じてアンケートやワークショップなどを通じて、地域住民との協働で進めていくこととしており、その対話を重ねる中で、学校とも連携しながら取組を進めてまいります。

また、併せて老木の処理、草刈り、清掃などの日常的な維持管理やトイレなど公園の諸施設のあり方についても、そのなかで検討を進めながら、効率化や省力化に向けてICTを活用した公園情報のデータベース化にも取り組むことで、今後も市民の皆様により良い憩いの場としての公園づくりに努めてまいります。以上

 

16、個人情報保護法について 自衛隊への個人情報を電子データでの提供

 

個人情報を提供できる根拠として自衛隊法97条一項「都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行う」や同法施行令第120条「防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市 町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる」が引用されています。しかしこの条文によれば防衛大臣は自衛隊員の募集に必要があると認める場合、都道府県知事や市町村長に対して必要な報告や資料の提出を求めることができるとしか書かれていません。提供されている個人情報は、まさしく個人を特定できるものであり単なる資料として扱うものではありません。

一方で個人情報保護法に基づく規定も存在します。個人情報保護法第69条第一項では、「法令に定めがある場合を除いて自治体が保有する個人情報を利用目的以外の目的で提供することはできない」と規定されています。ただし個人情報保護委員会は自衛隊法施行令第120条に基づく個人情報提供は法令に基づく場合に該当するとの見解を示しています。政府は個人情報の提供はあくまで自治体への協力であり住民基本台帳法は、防衛省自衛隊が行えるのは閲覧請求だけだとしています。この問題は法的な側面だけでなく個人情報保護と公益についても考慮していくことが必要です。

またこのような提供が行われるようになったのは、2019年に安倍首相が自民党大会や国会答弁で自衛官の募集業務について自治体が非協力だと発言したことがきっかけでした。その後、2020年12月18日に閣議決定がなされ、2021年2月5日に防衛省と総務省から自衛隊法を根拠とした「個人情報」の提供は、「住民基本台帳法」に特段の問題を生じるものではないとの通知が出されたことで、2022年度には、1068の自治体が自衛隊に個人情報を何らかの形で提供を行うまでになっています。

個人情報は、憲法13条の基本的人権に含まれるものでプライバシーへの関心が高まる中で、住民基本台帳法や個人情報保護条例などで厳格に扱われてきました。このような中で市は自衛隊から求められるままに個人情報を「電子データ」として提供を続けています。

データ提供を拒否できる制度は周知の不備もあり、機能しているとは到底思えません。まず市が自衛隊に市民の個人情報を提供していることを、多くの市民は知りません。情報提供をやめよとの市民からの要請があって、ようやく市は個人情報提供の辞退を求める手続きを定めましたが、市のホームページに載せているだけで、周知は徹底されていません。その結果、情報提供の拒否を行っている市民は、今年度18歳で4人、22歳で2人と極めて少ない状況となっています。

 

Q19.個人情報保護の観点から住民基本台帳の電子データでの自衛隊への提供はやめるべきです、市の見解は?

 

答弁要旨

自衛官等の募集に係る住民基本台帳情報の提供につきましては、自衛隊法第97条に基づく法定受託事務

として実施しており、自衛隊法施行令第120条に基づく、防衛大臣からの資料提供依頼に応じて、自衛官及び自衛隊候補生の募集のため必要な住民基本台帳情報を提供しているものです。

そうした中で、個人情報保護の取り扱いにつきましては、議員ご紹介のとおり、個人情報保護委員会において、「個人情報保護法第69条第1項の法令に基づく場合に該当する」とされているところです。

一方で、情報提供を望まない方への対応としましては、令和4年度から、兵庫県下では最初に除外申出の受付を行っており、データを提供する時期だけではなく、本市のホームページにおいて常時掲載しており、引き続き、より多くの市民の皆様に認識していただけるよう、努めてまいります。(以上)

 

17、がん検診について

 

今国会で、高額療養費の患者負担増を巡って、議論がされていました。高い医療費がかかった時、患者負担に上限を設ける高額療養費制度は患者の命綱です。その上限額を大幅に引き上げようとする石破政権。「全国がん患者団体連合会」などが取り組んだ反対署名は135,000人を超えました。石破首相は長期治療に限って負担増の凍結を表明したものの、高額療養費の上限額の見直し自体は実施する方針です。

この問題で注目を集めているのが、がん治療患者です。高額な医療費のため生活がままならない患者にとって、この制度があるからこそ生きていくことができる、制度を存続させてほしいと言う声が大きなものとなっています。

そして何よりも、がんの早期発見によって高額医療にならない体制整備がより必要とされているところです。

 

毎年死亡原因の上位を占める各種がんについては、検診による早期発見、早期治療の重要性が年々高まっています。天寿を全うするまで健康であり続ける「健康寿命」の延伸は誰もが願うことです。医療費の抑制にとっても早期発見、早期治療が有効であることは論を待ちません。

阪神間他都市が、軒並みがん検診を無料、あるいは低廉な費用で実施しています(2024年度伊丹市は胃がん検診500円、肺がん検診100円、喀痰検査400円/川西市は5大がん検診がすべて無料)

しかし本市においては、肺がん検診300円、胃がん検診800円、大腸がん検診900円、乳がん検診2200円、子宮頸がん検診1500円、依然として有料のままです。がん検診の無償化を妨げているものは、またしても財源それとも市の考え方にあるのでしょうか。

 

Q20 .お尋ねします阪神間他都市にならって、がん検診を無料にすべきだと思いますが市の見解は?

 

答弁要旨

日本人の死因の第一位であるがんは、本市においても年間1,500人程度が亡くなっている疾患であることから、がん検診による早期発見・早期治療が重要であり、併せて、医療費の抑制にもつながるものと考えています。

国が定めるがん検診の指針においては、特に受診を推奨する者として、40歳から69歳が(子宮頸がん検診については20歳から69歳)示されています。

阪神間の他都市では、年齢は各市で異なるものの、高齢者を中心とした、がん検診の無料化を実施しておりますが、本市につきましては、国が推奨する初年度にあたる40歳の方に対して、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん検診を、更に20歳の方に対して、子宮頸がん検診を無料化することにより、がん検診の受診の動機付け及び継続的な受診に繋げていくことを目的として、実施しているところです。

どこの年代をターゲットにして、無料化も含めたがん検診の受診勧奨をするかは、財源確保も含めて、様々な研究が必要と思いますが、少なくとも、これまでの取組とし.て、ハガキによる受診勧奨を行った年齢層の受診率が高いという結果から、子宮頸がん検診については、受診勧奨対象者の拡充を考えているところです。

今後、これまでの効果を検証するとともに、引き続き、受診勧奨はがきやホームページ等での情報発信に注力し、がんの早期発見の重要性を市民一人ひとりが意識して、多くの方にがん検診を受診していただけるよう、効果的な取り組みを進めてまいりたいと考えています。以上

 

18、生活保護について

 

2018年生活保護法の改正により、保護開始時や転居等の新たに住居を構えた場合など、エアコンの購入費用の支給が可能となりました。昨年の12月議会で、尼崎市の支給実績を聞いたところ、2018年から24年までの6年間で553軒の支給がされておりました。エアコンが設置できていない世帯は、壊れて使用できないものも含め24年末で570世帯全世帯の4.2%ということでした。

昨年の夏は65歳以上の市民が熱中症で病院に救急搬送される事例が相次ぎ、6月から9月までで314人ありました。生活保護世帯では、エアコン設置されていても光熱費を気にして使用を控え、熱中症になる事例がありました。市は、毎年のように夏の最高気温が更新される中、市民の命と健康が守られるよう最善を尽くさなければなりません。

 

Q21 .生活保護世帯のエアコン設置ができていない世帯に対する措置について、また電気代一部補助への対策について、市としての考えをお示しください。

 

答弁要旨

定期的な家庭訪問の際に、エアコンの持ち合わせがない、または、故障で使用できないことが確認された場合には、ケースワーカーからお声がけし、必要に応じ、社会福祉協議会の貸付制度の案内を行うとともに、申請手続きに同行するなど、設置に向けての働きかけや支援を行っています。

また、生活保護制度では、電気代の一部補助について、国によって全国一律で様々な基準が定められており、電気料金等の光熱水費は、生活扶助として最低生活費に含まれていることから、市独自での負担は困難です。

しかしながら、気候変動による近年の熱中症の危険性については、特に高齢者の方にとっては、命に関わる問題であると認識しておりますことから、夏季における冷房器具使用に係る電気代相当分の扶助については、引き続き、国への要望を続けてまいります。以上

 

また、生活保護の受給数が近年減ってきています。受給者が高齢で亡くなるという要因だけではないと思います。決して、低所得の市民の暮らしが向上しているとも思われません。根底には、生活保護は憲法25条の国民は健康で最低限の生活を営む権利を有するとの考えに基づくものであり、権利であるという考えが、まだまだ社会に定着していない問題があると思います。

ここ数年来、尼崎生活と健康を守る会が、毎年行われている市との懇談会で、ポスターを作り公共施設等に掲示し、生活保護は権利であることをもっと知らせていこうと訴えています。生活保護の補足率は、日本は極めて低いと研究者が指摘しています。2018年、厚労省が国民生活基礎調査に基づく推計として出している、捕捉率の数値は所得考慮で22.6%、資産考慮で43.3%となっています。生活保護基準以下で生活している人がたくさんいるわけです。生活保護受給者に対するバッシングはいまだに多く見受けられます、私も相談活動でなぜもっと早く受給申請しなかったのかと聞くと、「恥ずかしい」という答えが圧倒的に多く、また社会に対して申し訳ない、受給していることが世間に知られるのが怖いとの声をお聞きしてきました。安倍首相が、困っている人は生活保護を受給してくださいと呼びかけたのは何年前のことだったのでしょうか。

 

Q22 .生活保護は権利であるという啓発活動を強め、補足率を引き上げていくための取り組みとしてポスターなどの活用を含めて、実行しませんか?

 

答弁要旨

しごとくらしサポートセンターや生涯学習プラザ、国民健康保険や市民税の窓口において、生活にお困りの方には、生活保護の窓口へつなぐよう関係部署間で連携を図り、幅広く受け止める支援体制を整えており、市民にとって生活保護の申請の権利が妨げられることの無いよう十分に配慮しています。

生活保護制度の相談では、様々な聞き取りを行う中で生活保護制度上の権利のみならず義務についても漏れなくお伝えしており、ポスターなどの掲示物にて生活保護制度を詳細にお伝えすることは困難と考えておりますので、支援が必要な方に対しては、個別の事情を踏まえた相談・支援を実施し、生活保護を必要とされる方が抵抗感を抱かれるようなことがないよう、丁寧に制度の説明を行っており、今後も寄り添った対応を心がけてまいります。以上

 

19、万博について

 

 大阪・関西万博の開催まで1ヵ月半となっています。大阪府が進める小中高の児童生徒を学校単位で万博に招待する事業には安全性などに、教員や保護者から懸念の声が上がっています。近隣の市町村から不参加の表明や参加中止を求める声が広がっています。大阪府では吹田市、交野市、熊取町、島本町が招待事業への参加を見送っています。

吹田市教委は、「児童らの昼食時や待機場所での熱中症対策、団体行動をする際の導線などで安全を確保できないと判断。団体として行く際の安全対策の懸念が、払拭されなかった。」とコメントしています。

熊取町の小中学校校長会は、昨年末、保護者に向けて参加見送りを通知。安全面の懸念などを理由にあげています。

 安全への懸念が広がったきっかけは、昨年3月に会場内の建設中トイレで起きた爆発事故でした。コンクリートの床約100平方メートルが破損し、地下から1階天井に被害が及びました。万博会場の夢洲はゴミの最終処分場として埋め立てられた人工島です。事故が起きた1区は焼却灰や生ゴミなどの有機物も廃棄される区域。分解過程でメタンガスが発生。ガスが発生しないとされていた他の地区でも工事中にメタンガスを検知しています。

熱中対策も不十分です。医師がいる救護施設は3箇所だけです。熱中症は1人や2人ではなく集団発生する可能性があるのに、医師の数は最大時でも4人。設置されるベッド数は最大で74床。会期中、来場客数はピーク時で1日22万人を見込んでおり、熱中症対策のための手立てがあまりにも貧弱です。

 交野市は昨年5月不参加を表明しています。10月には事業の中止を要望しています。交野市長は「万博会場までのアクセスに難があります。バスを確保すると一人当たり5000円程度の費用負担が発生します。電車での移動は混雑が予想されます。危険も伴い、引率する教員の負担が大きくなります。メタンガスの爆発事故への対応や熱中症などの対策も不十分だと感じました。」と述べられています。

 

尼崎市は、万博の子ども動員について、開幕前に下見をするとのことでしたが、実現できるのか、またその判断を各校の校長の判断に委ねて良いのか。近隣他市でも行かないとの判断を示している自治体が増えてきています。

伊丹市では、昨年の12月議会で「県が実施する大阪関西万博に子どもたちを招待する取組」について議員が質問しています。伊丹市教育委員会は、現時点で万博に行く予定の学校は37%、予定がない学校59%、検討している学校は4%と答えています。参加を希望しない学校に対して参加を促すものではないとも答えています。

伊丹では万博への校外学習に対して具体的な報告を出しています。尼崎はどうなっているのでしょうか?

 

Q 23.万博に子どもを連れていくことに対して、市長としての、または教育長の判断が必要となってきているのではないのか。こどもたちの安全を守るために危険箇所には行かせない決断が求められていると思うが、市長はどう考えているのか。

 

教育長答弁要旨

昨日もこ答弁いたしました通り、「万博」は世界中からたくさんの人やモノが集まるイベントで、地球規模のさまざまな課題に取り組むために、世界各地から英知が集まる場所であり、本市の児童生徒が、未来社会や将来の自分を考えたり、SDGsへの関心を高めたりする機会が得られるなど、特別な学びの場になるものと考えています。

一方で、熱中症対策や緊急時の対応、会場までの交通手段の課題などの懸念事項がございます。

校内外における教育活動は、学校が主体的に計画・実施するものと考えており、とりわけ、校外で教育活動を実施する際には、「学習の目的に適した場所であるかどうか」や「現地までの交通手段を含めた安全性」、施設の状況や地理的環境、所要時間等、児童生徒及び引率する教職員にとって無理のない行程となるよう、慎重に検討する必要がございます。

教育委員会といたしましても、万博開幕1週間前に大阪・関西万博博覧会協会が実施する「テストラン」において、事務局職員を派遣して情報の収集を行い、各学校の判断の一助となるよう情報提供に努め、児童生徒の安全面を第一に教育的効果も含め、検討してまいります。

 

以上で代表質疑を終わります。ここで取り上げなかった残余の問題については、予算委員会の分科会および委員会の総括質疑、意見表明で述べさせていただきます。ご清聴ありがとうございます。

 

 

2月予算議会です 追記

2023年2月3月議会の日程です

3月

2日 団会議

3日 議運

6日 本会議 予算特別委員会 団会議

7日 本会議

8日 本会議 予算特別委員会

9日 健康福祉委員会 文教委員会 総務委員会

10日 経済環境企業委員会 建設消防防災委員会

13日 団会議

15日 議運 団会議

16,17日 予算特別委員会

20日 団会議

22日 予算特別委員会 意見表明

23日 議運 団会議

24日 議運 本会議

 

健康福祉委員会=まさき一子

経済環境企業委員会=山本なおひろ

建設消防防災委員会=川崎としみ

総務委員会=松沢ちづる

 

★傍聴の仕方★

本会議は本会議場の入口からお入りになってください。

議会棟の正面入り口に向かって左側の小さな入口です

傍聴の手続き|尼崎市公式ホームページ (city.amagasaki.hyogo.jp)

車いすの方はこちらから

車いす用傍聴席|尼崎市公式ホームページ (city.amagasaki.hyogo.jp)

 

 

委員会の傍聴は正面入り口からお入りになってください。

受付で傍聴ですとおっしゃってください。

議事課で受付をします。↑

 

※写真はすべて尼崎市議会 施設案内ページからお借りしました

市議会施設案内|尼崎市公式ホームページ (city.amagasaki.hyogo.jp)

松村ヤス子の市議会報告 2013年度予算案修正可決

松村ヤス子の市議会報告2013.3.(予算)

日本共産党尼崎市会議員 松村ヤス子

松村ヤス子の市議会報告2013.3.はこちら(PDFファイル)

2013年度予算案修正可決    学校開放有料を無料などに

日本共産党議員団は、2013年度予算案について、次の修正案を提案しました。

学校開放事業…小中学校の運動場を借りてスポーツの練習をする際に、現在の無料から大人の団体1回の1000円、子どもの団体1回500円の利用料とする。これを無料に修正する。(歳入減)

議員歳費削減…議員定数44人を42人にする条例案に反対し、2人減に匹敵する分、議員歳費を削減する修正。(歳出減)

仕事支援課業務…労働センターで業務をしていた仕事支援課業務のリベルへの移転をやめる。将来的には、南部の保健福祉センターもリベルの床を借りる計画に変更。床を持っているのは阪神電鉄。阪神電鉄は、自らテナントを誘致できる能力がある。この二つの利用で年間約5600万円もの家賃が必要。どうしても移転というのであれば開明小学校跡を使えばよい。関係経費を削除する修正。(歳出減)

中学校弁当事業…現在の3校から5校拡大し、8校に拡大しようとしているが、利用率が目標の1割には程遠い状況であり、実施している学校での実績が向上できるのかどうか見極める必要がある。5校分削除する修正。(歳出減)

学力向上クリエイト事業…どの子も学ぶ喜び、理解するよる喜びを得られるような丁寧な教育が必要。学力向上クリエイト事業については、学校現場が求める補助教員など必要な人材を配置する費用を増額する修正。(歳出増)

手話通訳者1人配置増…聴覚障害者団体の強い切実な願いである窓口配置の手話通訳者を1人増員する費用を修正。(歳出増)。

 日本共産党議員団は、この修正案を提案しましたが、残念ながら、反対多数で否決。しかし、他の3会派が提案した (1)学校開放事業の有料化取りやめ、(2)議員数削減による歳出減、(3)聴覚障害者に対する手話通訳者の配置については、日本共産党議員団も同様なので賛成。ただし、議員定数削減条例には反対だけれど、その分に匹敵する議員歳費の削減は、予算上は変わりがないので賛成。結果、「緑のかけはし」の高浜議員だけが反対し、賛成多数で(1)(2)(3)の修正項目は可決。

予算案に対する日本共産党議員団の主な主張

 長引く不況の大きな原因は、大企業の儲けとは裏腹に、国民の所得が増えていないこと、非正規労働の増大で格差が広がったこと、社会保障の切り下げがくらしを圧迫すると同時に将来不安を増大させていることです。

 また、TPP交渉への参加、消費税増税、いっそうの社会保障切り下げという、国民にとって耐え難い苦難を強いる動きも活発です。
いまの政治が続くことを前提とした、尼崎の新しい行革プロジェクトでの財政見通しは、あまり明るいものではありません。国、県に対しても、市民の命とくらしを守る立場で、働きかけることを要望します。

 しかしながら、当面の財政状況のもとで、財政の立て直しは必要ですが、その場合も「市民の合意と納得」が、なによりも大切です。

人の育ちと活動を支援する

尼崎養護学校の市内移転

かねてからの懸案事項であり、梅香小学校跡地が候補地として明らかになった。早急に移転場所を決定し、移転計画を具体化すること。

中学校給食

弁当事業に固執するのでなく、全国の8割以上の中学校で実施され、近隣各市でも実施にむけて動き出している。「中学校給食のないまち・尼崎」といわれないように、決断すること。

公立保育所の民間移管計画

9カ所ありきの市立幼稚園教育振興プログラム
 保護者、市民の声を聞いて見直すこと。
 保育所については、国の保育制度変更の動きを見据え、保育における公的責任を守る立場で民間移管計画を見直すべき。

防犯、防災の取組を強化と市民生活の安全・安心の構築

  南海トラフでの大地震被害想定が発表された。被害の予想が220兆円。対策を講じることによって、被害を減らせることも強調されている。「防災行政無線屋外拡声器」については、できるだけ市内全域をカバーできるように計画的に設置すること。

糖尿病窓口負担金助成事業

 治療中断による重症化を防ぐための対策であり、評価する。

国民健康保険

 払える保険料にすることが不可欠。市独自の努力と合わせて国保会計に占める国の負担割合を従前の50%程度に戻すように、国に強く働きかけること。

介護保険事業

 介護保険料も高い。本来、一般会計で行えるシルバーハウジング生活援助員派遣事業など11事業を介護保険会計で行っているため、総額で約2000万円も介護保険料が引きあがってい。本来、市が負担すべきものであり、介護保険財政に繰り入れができるよう国に働きかけること。

結核対策

 高齢者向けの介護福祉施設、通所や在宅介護サービスを利用する高齢者にたいし、介護保険事業利用の前には、結核検診を行い、財政的に大変な高齢者には、費用を市が負担するよう検討すること。

産業に活力を まちに魅力を

産業振興に関する基本的な考え方を定める条例

 圧倒的な事業所数を有する中小零細業者の意見を十分に聞いて、中小零細業者に光をあてたものにすること。

環境、自然エネルギーへの転換

 臨海部へのメガソーラー建設は、ひょうご環境創造協会による設置などを働きかけること。

 「事業者向け10kW以上50kW未満の産業用太陽光発電設備への固定資産税免除制度」の創設は評価できる。

 個人向け太陽光発電への優遇措置への拡充、屋根貸し、市民共同発電所などの取り組みを進めること。

企業立地促進条例

 パナソニックは2014年度をメドに、プラズマテレビから撤退する方針を正式に固めたと報道されている。こうした事態のなかで、企業立地促進条例に基づく不均一課税、税の軽減が続けられることになるが、今後、尼崎工場がどうなっていくのか不透明で。労働者の更なる削減が懸念される。雇用を守るための積極的な働きかけを行うこと。

 また、県道園田西武庫線が進捗すれば、三菱電機の敷地内移転施設の対象は数十件にも及ぶと予想されるが、尼崎市職員は、現地に入ることすらできない状況である。お金を出すだけの事業となっている。その上、玉突き移転に伴う施設にたいしても、企業立地促進条例による不均一課税が行われることになる。

 大企業を対象からはずすなど、企業立地促進条例を早急に見直すこと。

持続可能なまちをめざして

公共施設の再配置問題

 公共施設は、一旦建設すれば、40年、50年と使用し、まちの形にも大きく影響する。配置と機能、数量を総合的に、長期の先を見通した計画が求めらる。

 福祉事務所を6か所から1か所に集約したものの、今度は2か所に分散せざるをえないのは、実情に合わない集約化をすすめたことによる。

 将来の本庁舎の位置と規模、機能も明らかではない。

 地域の身近な窓口をなくして、巨大な本庁舎にするのか、あるいは、身近な窓口を地域に残して本庁舎機能は効率的なものにするのか、その基本的な「まちの形」について、市民的な合意形成がないまま再配置をすすめようとするところに、根本的な問題がある。

 公共施設の再配置については、身近な市役所、地域自治の充実という観点で、全体像の市民合意を得た上で再検討すべきです。

事業たな卸し

 事業の効率性を中心にした論議で進めるのではなく、市民サービスの必要性、社会的弱者の実態に応じた社会保障の理念などを踏まえた議論となることが必要。

時友、西昆陽、宮の北の市営住宅建替事業費

 一括してのPFI方式の導入は、財政力のある大手ゼネコンに委ねざるを得ない可能性があり、地元業者の仕事確保の機会を奪いかねない危険がある。そうした観点からもPFI方式を再検討すべき。

競艇場事業

 年間180日を超える開催日数は、地域住民の合意が得られていない。

 さらに、年間360日開設の競艇場外向け発売所を前提にした予算となっているが、360日というのは1年間で休むのは、メンテナンスに必要な5日間になる。「せめてお盆、正月は、ギャンブルのない静かなまちを」という願いにも反するものである。

市制100周年

 100周年は節目の大切な年であり、世紀単位で尼崎市政を考える機会でもある。過去の100年を振り返り、反省すべきは反省してこそ未来に生かすことができる。

 戦争の惨禍と戦後の復興
 企業の地下水くみあげと地盤沈下
 防潮堤建設と財政負担の苦渋
 働く市民の要求で尼崎の町をつくり上
 げてきた歴史
 公害とそれを克服してきた歴史
 水害や地震による大規模災害と救援・
 復興のとりくみ、などなど、

 尼崎には多くの歴史がある。それらの根底には、国の政策や企業に翻弄されながらも、たたかい、克服してきた市民運動、尼崎市民のエネルギーがある。それらをきちんと評価し、生かした100周年事業を求める。

 日本共産党議員団は、これらの意見を述べました。今後とも、市民の皆さんの声に耳を傾け、より良い行政になるよう、努力します。

2013年3月議会 代表質疑 松村ヤス子議員:教育問題 地域循環型経済

2013年3月5日 日本共産党議員団 松村ヤス子

 日本共産党議員団の松村ヤス子です。議員団を代表して2013年度予算案等について質疑を行います。

 20数年前に、始まった自民党型の「構造改革路線」は、政権交代した民主党政権にも引き継がれ、市民生活を苦しめてきました。昨年末に復活した自民・公明の連立内閣は、経済財政諮問会議を復活させ、さらなる「構造改革」で、市民に「一層の痛み」を押し付けようとしています。

 尼崎市は、三菱・住友・パナソニックなどの大企業と中小零細事業所が混在するまちです。市内企業はおよそ1万社ほどですが、負債額1000万円以上の倒産件数は、2010年度63件、2011年度75件、2012年度12月までで63件です。年度末までには、前年度を超えることも考えられます。それにもかかわらず、中小企業等金融円滑化法が今年度末で打ち切られ、中小企業の倒産が心配です。

 労働者派遣法を製造業にも適用し、正規雇用から不安定低賃金労働者への切り替えが進められ、市民税課税所得200万円以下の層が増加、700万円を超える層は減少し続けています。

 さらに、パナソニックPDPでは、派遣切り、期間社員・正規社員のリストラで3,000人近くいた従業員が1,000人を切っています。住友などでも社内下請業者を丸ごと切捨ててもいます。

 パナソニックで派遣切りされた労働者が、手持ち金もなく、体調を崩し、私どもに駆け込んできたことは以前にも述べましたが、その後、元パナソニックの正社員が運転するタクシーに乗り合わせました。彼は、強烈なリストラ攻勢で「やめます」と言わざるを得なかったと話してくれました。

 また、先日、零細業者の話も聞きました。塗装業者は、仕事が週に二日ぐらいしかない、支払いが40日後なので、すぐに貸してもらえる制度融資があればと思う、消費税が、10%になったら商売やめるしかない、国民年金では暮らしていけない、ボルト加工の下請け業者は、単価が1/3に切り下げられ、電気代を考えたら、採算が合わないなど、本当に切実な実態でした。

 生活保護基準以下の低年金高齢者が多く、高齢化が進めば生活保護が増え、派遣切りやリストラのやり放題では、生活保護が増えるのは、当然です。実際、2002年度2.3%だった保護率が、2012年12月時点では、実に4%になっています。

 まさに、市民の貧困は、自公政治が原因です。そのうえ、生活保護基準を引き下げようとしています。要保護家庭の児童・生徒は4.4%、準要保護家庭では、22.5%に上っています。近隣都市と比べてずば抜けて多く、生活保護基準引き下げは、学習環境をも、さらに厳しくします。

 市民の暮らしを中心に、希望の持てる尼崎市を目指さねばならないとの立場から、新年度予算や、市長の公約や市財政に関連して質疑していきます

まず、教育問題です。

 市長は、子育て支援に力を入れて、尼崎市の体質を変えたいとの方針を打ち出しています。
都市の体質転換を目指すとするなかで、教育問題は、極めて大きな課題です。

中学校給食に関連して質問します。

 稲村市長は、温蔵庫を設置し、暖かいご飯と汁ものが提供できる注文弁当方式に、とり組んでいます。

 その結果は、どうでしょうか。

 昨年10月15日から日新中、大庄中、園田中の3校で始めた注文弁当の経過をみると、利用率は、10月4.1%、11月1.7、12月1.5、1月0.8%と低下し続けています。1校で1個のみ注文という日が11月4回、12月1回、1月3回、2個のみは10月1回、11月5回、12月も5回です。

 生徒の好みのメニューを重視する、ご飯や汁物を暖かくするなど、改善し、10%を目指すとしたものの利用率は低くなお、下がり続けています。

 中学生は、多感な時期です。目立つ行動に走る生徒もいますが、多くの生徒は、ほかの生徒と違うことはしたくない、みんなと一緒でありたい、そのほうが安心感を持てる、そういう心理が働くものです。

質問

 さまざま改善しても、注文弁当は、極めて少数派で、注文数が減少する理由はここにあり、中学生の心理をとらえていないと考えます。教育委員会はどう見ていますか。

 また、19中学校で実施すれば、設備投資に、約1,300万円かかるとのこと。子どもの心理に配慮できない対策では、この費用が無駄になる危険性があると考えます。その恐れはないと言い切れますか。答弁願います。

答弁

 平成20年度から平成23年度まで実施しておりました中学校弁当は、業者の事業所向け弁当をそのまま活用していたため、献立内容は大人向けのものであり、また、弁当容器が大きくて教室へ持っていくのが恥ずかしい、という生徒の声がございました。

 そこで、昨年10月から3校で実施しております中学校弁当事業は、弁当容器は家庭から持参する容器とかわらないような工夫をするとともに、教育委員会の管理栄養士が、生徒ニーズも取り入れながら、栄養バランスを考えた献立を提供する事業としてリニューアルしたものでございます。中学校弁当事業を実施している3校の全生徒を対象に、事業開始後の12月にアンケート調査を実施しました。 その中で、利用したことのない生徒に対して、その理由を尋ねたところ、「家庭からの弁当を持参するため」という回答が65.1%で最も多く、続いて「当日の申し込みができない、申し込みが面倒なため」という回答が13.0%でございました。「買うのが恥ずかしいため」という回答は0.5%にすぎませんでしたことから、教育委員会といたしましては、今後も生徒ニーズを十分把握した上で、生徒が利用しやすいよう改善を行い、中学校弁当事業を推進してまいりたいと考えております。

 それに、中学校給食を実施しないのが、近隣では、尼崎市だけになりそうです。芦屋市が、2015年度から順次自校方式での実施を決定。神戸市は、「検討会議」が「中学校給食の導入が望ましい」との意見をこの3月にまとめる見通しとのこと。伊丹市では、4月の市長選で、出馬予定の各候補が「中学校給食実施」を公約に掲げているとの報道があるなど、中学校給食未実施の自治体が、実施へと動き出しています。

質問

 「中学校給食を実施できない」は、「現役世代の転出を防ぎ、転入を促進させる」との市の方針である「都市の体質転換」の阻害要件になると考えますが、いかがですか。中学校給食の実施を決断すべきです。答弁を求めます。

答弁

 先ほどもこ答弁申し上げましたとおり、中学校弁当事業の開始後、実施校の全生徒を対象としたアンケート調査の結果によりますと、中学校弁当を利用しない理由として、65.1%の生徒が、「家庭からの弁当を持参するため」と回答しています。また、PTA連合会中学校部会による中学校弁当試食後のアンケート結果では、「弁当を持たせたい親の意見も尊重してほしい」「弁当作りは苦になっていない」というご意見もいただいております。

 これらのことから、中学校給食を実施しないことがただちに都市の体質改善に対する阻害要件になるとは考えておりませんが、成長期の中学生にとって、栄養バランスの取れた食事を摂ることは重要なことでありますので、食育の観点からも、中学校弁当事業の定着を図ることに努めてまいります。 また、中学校での昼食のあり方についても研究を進めていく必要があると考えております。

次にいじめと体罰についてです。まずいじめ問題です。

 滋賀県大津市のいじめ自殺、大阪市立桜宮高校顧問の体罰による生徒の自殺は、大変な社会問題となりました。児童・生徒の自殺は二度とあってはなりませんが、その後もいじめによる自殺は起こりました。

教員はもちろんのこと、社会全体して防止策をしっかり考えることが必要です。

 いじめ自殺があった、大津市教育委員会の当初の認識は、大変不十分であり、事実を把握し、明らかにしようとする姿勢でなかった、学校、教育委員会の対応に厳しい世論の声がわき上がったのは、当然です。

 いじめについては、遊びだとか、ふざけだとか、からかい だとかと軽く受け止める風潮、それに、いじめられるほうにも責任があるとか、いじめられないように、もっと強くなれといった声さえよく聞かされてきました。

 大津市では、第3者機関が設置され、生徒などへの聞き取りなども行い、いじめによる自殺だと結論が出されました。

 まず、いじめ問題で、はっきりさせなければならないことは、「いじめ」は人権侵害であり、暴力であると、教師も、親も、そして、子どもたち自身が認識できるように、することです。
いじめから、子どもたちの命、心身を守り抜くことを第1義に考え、その要因を取り除くために全力を尽くすことが必要です。学校での事故などの裁判を通して、「学校は子どもを預かる以上、子どもの安全に最大限の配慮を払う義務がある」と学校における「安全配慮義務」が定着しつつあります。

質問

 人権侵害と暴力である「いじめ」の放置・隠ぺいが、「安全配慮義務」違反にあたることを明確にし、学校と教育行政の基本原則とすべきと考えますが、教育委員会の考えをお聞かせください。

答弁

 児童生徒の事故の危険性を予見しながら、最大限に安全・安心を図ることが安全配慮義務にあたると認識しております。

 そのため、学校は、常に事故発生への危機感を持つとともに、日常的に児童生徒の言動に関心を払い、いじめ等の問題行動の早期発見・早期対応に努めることが重要であります。

 本市におきましては、学校がいじめを認知した場合には、速やかに教育委員会に報告することとし、教育委員会もそれを受け、いじめの解消に向けて積極的に指導・支援しているところでございます。

 今後も、いじめのない学校づくりに向けて、学校と教育委員会が十分に連携を図ってまいります。

「いじめ」は大人にわからないようにおこなわれ、被害者もいじめられていると認めない場合が少なくありません。それだけに、「いじめかな」と少しでも疑われる場合は、全教職員でその情報を共有し、子どもの命最優先で速やかに対応することが必要です。そして、保護者と教職員のコミュニケーションを密にし、大人たちが心配し、力を合わせている姿を示すことは、子どもたちを勇気づけます。そして、子どもたちへのアンケートは、無記名で、「いやなことをされたことがあるか」など、いじめの内容を具体的に尋ねるなどの方法が効果的だといわれています。
些細なことに見えても、様子見せず、全教職員、全保護者に知らせることが、子どもの命を守るために必要です。

 また、「いじめ」に対応するだけの時間が足りないと7割の教員が答えているとの新聞報道から見ても、教師の多忙化を解消する取り組みが必要です。

質問

 子ども一人一人を丁寧にみることができる少人数学級を進めることが大事であり、義務教育全般で、まず「35人学級」を早期に実現すること、養護教諭の増員、カウンセラーの増員などに取り組む必要があることを文科省や県教委にも強く要請する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

答弁

 いじめ等子どものサインを見逃さないためには、教職員一人ひとりが、その兆候をいち早く把握するとともに、組織全体で情報を共有することが大切であり、各学校では校長の指揮のもと、安全で安心した学校生活が送れるよう日々取り組んでいるところでございます。
 そのためにも、子どもたち一人ひとりを丁寧に見ることができる体制整備が望ましいと考えており、本市教育委員会といたしましても、文部科学省や県教育委員会に対し、「全国都市教育長協議会」や「兵庫県都市教育長協議会」等を通して、35人学級など少人数学級の制度化や加配教員の増員、また、スクールカウンセラーの配置の拡大などの要望をしているところでございます。

 次に子どもたちが抱えている「ストレス」の背景に教育自体が、競争的で管理的になっていることを考える必要があります。

 子どもたちが、友達日との遊びを通して、トラブルを解決しながら、人間関係を学ぶ、そういう時間を子どもから、奪っている競争教育の改善が不可欠です。

 競争や忙しさは、人間をバラバラにして孤立させます。孤独では、本音で話すこともできません。ユニセフが2007年に発表した先進工業国24か国の調査結果では、「孤独を感じる」と答えた15歳の子どもは、24か国平均では、7.4%、フランス6.4、イギリス5.4、オランダ2.9に対して、日本では、29.8%です。

 競争教育では、「できる子」「できない子」に振り分けられ、劣等感を持つ子どもがふえ、「わかる喜び」や「みんなで学ぶ楽しさ」を得ることができません。他人からの評価が気になり、「自己肯定感情」が低いことも「いじめ」の要因になります。

質問

 お尋ねします。

 競争と管理の教育から、子どもたちを解放し、子どもたちから、さまざまな不安を取り除き、子どもたちが人と人との間で、生きる喜びを感じられる教育と社会にすることがいじめ問題を引き起こさないために強く求められると思いますが、いかがでしょうか。

答弁

 学校教育において、過剰な競争や管理は好ましくないと考えておりますが、子どもたちが集団で学習する中で一定の秩序を保つことや、目標に向かってお互いに切磋琢磨したりすることは、必要なことだと考えております。

 また、子どもたち一人ひとりが授業の中で「わかる喜び」や「みんなで学ぶ楽しさ」を味わうことが、自尊感情を高めることや自己達成感にもつながるものと考えております。

 あわせて、道徳の授業や「こころの教育推進事業」等の充実を図り、子どもたちが友だちを大切にし、望ましい人間関係を育むことで、一人ひとりの子どもたちが生きる喜びを感じられる教育を充実させることは、いじめをなくていくことにもつながっていくものと考えております。

次に体罰についてです。

 大阪市立桜宮高校でのバスケット部の顧問による体罰が生徒を自殺に追い込みました。
スポーツ指導者だけでなく、子どもを強いチームの中で鍛えてほしいと願う保護者の中にも、体罰容認論があることは、過去から指摘されてきたことです。

 会派の早川議員は、これまでも、学校における体罰について、その事実を示して議会で繰り返し、取り上げてきました。

 2000年6月議会では、自公連立与党から教育勅語の復活、再評価、体罰を肯定する考え方が出されていることを質問。

 当時の小林教育長は教育勅語容認問題や体罰推進の発言については、改めて確認されるまでもないこと。と答弁。

 2004年6月議会では、体罰の定義と報告基準について質問。

 小林教育長は、「体罰の定義については、なぐる、けるなどの身体に対する侵害を内容とする懲戒や長時間の正坐や食事を取らせないなどの間接的に肉体的苦痛を与えるような懲戒である」「体罰は、生徒指導上不可欠な信頼関係を侵害する行為であるという認識のもとに、今後とも体罰のない明るく楽しい学校づくりに努めていく」と答弁。

 2006年6月議会では、「体罰は、熱心な指導の結果であるとか、あるいは指導が行き過ぎたものという考え方で対処しているのか」と質問。

 保田教育長は、「学校においては、暴力行為や授業妨害、指導に従わない場合であるとか、落ち着いた学習環境を保持するために、厳しい指導が避けられない不可避な状況もある。しかし、いかなる状況においても、体罰は人権を侵害し、信頼を失う行為であり、教育的な効果は見いだせるとは考えていない。

 体罰防止については、日ごろから校長を通じて指導しているところであるが、さらに、全教員に徹底を図るために、すべての学校において、事例をもとに研修を行い、教員の意識向上に努めている」との答弁。

 2009年12月議会では、教育委員会として体罰案件について、報告の取り方を改め、問題のあった学校だけでなく、すべての学校が体罰を行わない指導とあり方を模索すべきと質問。

 当時の村山教育長は、学校長から体罰にあたるという認識を持ったものと、体罰でないかと保護者や児童生徒からの訴えや報告があれば、教育委員会は事実関係を調査する。どのような理由であれ、体罰事案であると判明すれば体罰を許さないという強い姿勢のもと厳正に対応し、体罰の一掃に向け指導していく。との答弁。です。

 さて、去年の4月から今年1月までの体罰にかかわる緊急調査結果が、今年2月に教育委員会から報告されました。教職員からの報告や児童生徒及び保護者等からの情報等により、市立小・中・高校と特別支援学校の校長が把握したものとのことです。

それによると、6中学校で教師9人が計24人の生徒に体罰をし、2人の生徒がけがをしたとあります。繰り返し、議会で、質問をしてきましたが、結局根絶されていないのです。

質問

 体罰を根絶できなかったのは、どこに原因があるとみているのか、答弁願います。

答弁

 今回、本市が実施した体罰調査の状況から見ますと、「教員としての過剰な指導者意識をもって指導にあたり、冷静さを欠いていたのではないか」、また、「生徒の個々の心情や立場への理解を欠く、一方的、画一的な行動に出ていたのではないか」、さらに、「校内に体罰を容認するような雰囲気があった」などの原因が考えられるところでありますが、今後、より詳細に分析を行っていきたいと考えております。

 市教委の調査の後、2月13日に、文科省が、中高の全生徒および小学校と特別支援学校の全保護者にアンケート用紙を配布し、封筒に入れて回収するよう県教委に、求めました。

 文教委員会では、田村議員が「全児童・生徒にアンケート調査を」と求めましたが、受け入れられず、文科省の指示で、おこなわれることになりました。

質問

 今回文科省からアンケート調査を求められたことに対して、市教委のこれまでの事実把握に関する取り組みをどのように自己評価しているのか、答弁願います。

答弁

 大阪市内の高等学校で、生徒が運動部活動中に体罰を受けた後、自殺をした事件を、本市では、重く受け止め、体罰調査の必要性を認識しておりました。

 文部科学省からの、児童生徒及びその保護者を対象としたアンケート調査が行われるという報道がありましたが、具体的な時期や内容については、明らかになっていなかったことから、事の重大性を鑑みて、まずは1月23日に臨時校長会を開催し、校長が把握している事案について、文部科学省に先んじた形で、独自の調査を指示したものでございます。

 独自調査の主眼は、本市の体罰に関する状況の把握とともに、本市の体罰に対する重い受け止めを示し、体罰禁止の周知徹底を図るために実施したものでございます。各学校においても、教職員の意識改革や、体罰によらない指導の重要性についての理解を深めることができたと考えております。

 体罰による指導は、本来の指導ではありません。児童・生徒の思いを受け止めることから始めなければと思います。

 体罰では、ありませんが、私が産業高校2年生の時、機械科で私一人だけが女子だったことで、精神的に疲れていた時、担任に相談したいことがあり、放課後その旨申し出たところ、「今日は忙しいから、また今度」と受け入れられませんでした。翌日、学校に行くふりをして、三重県の叔父の所に家出しました。思いを聞いてもらえなかったことで、担任への反発、一種の抗議行動でした。しかし、高校卒業後、30数年たってのクラス会で、同級生から、「俺が、何とか卒業できたのは担任がいつも俺が悪いほうに行かないかと心配して見てくれていたおかげだ」と言っているのを聞き、担任は、生徒の状況をよく見て、対応していたのだと知りました。

 この経験から、暴力という手段でなく、児童・生徒の内面にどこまで教師の思いを伝えられるか、どこまで心を開かせるかが大切だと思っています。

質問

 そのためにも、生徒に向き合う先生の人数を増やすことと、教師には、力づくでの指導でなく、生徒の心を開かせ、思いを聞き出し、受け止める能力を高めることが必要です。教師の指導能力向上にどのように取り組んでいるのかお聞かせください。

答弁

 各学校においては、児童生徒理解を深めるため、教職員間で、児童生徒の情報の共有を図るとともに、人権研修やカウンセリングマインド研修等を実施しております。

 また、教育委員会といたしましては、教員の資質向上のための取組みとして、経験年数や役職に応じた研修、教科の指導力向上のための研修、そして、児童生徒理解のための研修等を実施しております。

 特に、児童生徒理解のための研修につきましては、「相手の心に寄り添う聴き方」や「児童生徒、保護者、教師との信頼関係の構築」等の内容で実施し、教員の資質向上、指導力向上に努めているところでございます。

 今後も、児童生徒の内面に対する共感的な理解に基づきながら、一人一人の特性や状況に応じた適切な指導を推進してまいりたいと考えております。

次に高等学校通学区域再編に関連する教育委員会の姿勢についてです。

 総合選抜制から尼崎1学区制になり、さらに、2015年度から、全県5学区の大学区制になります。尼崎の保護者から学区拡大の要望はなかったとのことです。それだけに、学区拡大決定までの市教委の県教委への対応に、私は、極めて大きな怒りに近い、不満を感じています。

 「進学できる学校の範囲を広げて、学校選択の自由度を高める」との意図からの「学区拡大」だと承知しています。しかし、学区を拡大すれば、高校の定員数が少ない西宮の生徒が尼崎の高校を受験し、尼崎の生徒が弾きだされると心配する声、子どもにも保護者にも大きな負担が出ると心配する声を教育委員会の職員からも多くお聞きしました。

 その心配を受けて、「高等学校通学区域再編に伴う進路対策事業」つまり、学区拡大で受験競争に負けないように対応する「進学塾」のような取り組みをする予算が計上されました。親も生徒も現場の教師もそして教育委員会も心配している問題に対する新規施策です。

 先に、競争的・管理的な日本の教育自体が子どもたちのストレスを大きくし、いじめ問題や体罰問題の背景にあると指摘しました。その競争教育を加速させる学区拡大を容認しながら競争に負けないようにとの事後対策です。

 市教委は、2011年9月末に、学区拡大にかかわって、県教委に3項目の要望を出したとの報告もありました。それも、尼崎市の生徒や保護者が抱く不安に対する事後対策です。

 県内では、明石、豊岡などの市教委は県教委に明確に学区拡大に反対の意思を表明しました。しかし、尼崎市教委はそうはしませんでした。しなかったのは、正式には、学区拡大を評価したことと同じです。

 私は、市教委の県教委に対する従順さに、誰のための教育委員会なのかと疑問を持っています。尼崎の子どもたちと正面から向き合っているのか、上ばかり見ているのではないか、そんな思いです。

 私は、厳しい受験競争に勝ち抜くことが、本来の教育目的ではないと考えます。もちろん、人生を豊かに、生きるためには、教育は欠かせません。人生には、さまざまな困難がつきものです。そういう時に、どう生きるか、どう考えるか、困難を抱える人がいれば、どう支援できるか、連帯して生きるために様々な知恵を出しあい、共に生きる力を強くするためにこそ、教育が必要です。

 私が、産業高校に入学し、社会科の最初の授業で、先生が「君たちは何で勉強するのか。君たちのお父さんやお母さんは微分や積分や化学の反応式を今でも覚えているか。英語が喋れるか。そうでなくても、一生懸命働いて、君たちを育てているではないか。君たちは、何のために、高校に入学して勉強するのか」と問われました。答えがわかりませんでした。その先生は、「若いときに、いろんな科目を勉強して、しっかり、脳みそを鍛えることが大事だと先生は思う。人生には、いつ、どんな困難に出会うかわからない。そんな時に、どうすれば良いか。どう解決するか、君たちのように若いうちに、いろんな勉強をして脳みそを鍛えることにより、解決できる力をつけることができるのだ」といわれました。

 また、物理の最初の授業では、「物理とは書いて字のごとし、物事には、理屈がある。道理がある。それが何かを見つけたり、考えたりする力をつけるのが物理を勉強する事なんだ」と言われたことも忘れられません。

 53年前の高校1年生の時に、受けた最初の授業での先生方の言葉には、競争に勝つことが目的だという思想が全くありません。これら、先生の言葉の中にこそ、教育の真の目的があると私は今も思っています。

 尼崎の子どもたちが、友達と協調しながら、一緒に成長していこうと連帯の中で学ぶ喜びを感じられる教育、そのために、少人数での丁寧な教育、自ら考え、自ら課題を解決する力を養い、人格成長を促し、自己肯定感情と合わせて、他者への思いやりを育てることこそが教育の大切さです。

 それに支障をきたすような制度改正等が提起されれば、それこそ、体を張ってでも、子どもたちを守る姿勢が求められるのが教育委員会ではないのでしょうか。

 学区拡大に異論を言わず、事後対策の実施で対応する姿勢は、本当に子どもたちのための教育委員会の姿勢とは思えません。

質問

 市教育委員会は、保護者も、教師も何よりも生徒が心配するような学区拡大になぜ、反対する取り組みをしなかったのでしようか。

 また、学区拡大の何を評価したのか、それは、市教委として、受験対策を講じる予算まで計上しなければならないほどの弊害が出ることを承知の上で、それを上回る効果が認められるとしての評価なのか、説明願います。

答弁

 県教育委員会が平成24年12月20日に公表いたしました「新通学区域に係る公立高等学校の入学者選抜の改善について」は、生徒によっては行きたい高校の選択幅が広がること、それぞれの高校がなお一層の特色化・魅力化に向けて努力すること等から、一定の評価ができるものと考えております。

 今回の制度変更は第2志望が志願変更できることにより、「その他校希望」に変わる一定の役割を担うとともに、「その他校希望」による遠方への通学の不安が解消されるものと理解しております。 ご指摘の「高等学校通学区域再編に伴う進路対策事業」につきましては、1学期と2学期に中学3年生を対象とした2回の学力調査を実施し、生徒自身が自らの学習課題やその対策を明確に把握することで、夏季休業中や放課後等に学習会を実施し、その後の進路目標に向けた自主的、計画的な学習につなげていこうとするものであります。合わせて、各中学校における評価の検証を行い、進路指導の充実を図るものであり、これらの取組みを通して本市の中学生の学力向上に効果が上がるものと考えております。

次に、学力向上策についてお尋ねします。

 全国共通学力テストの結果からも、「尼崎市は教育水準が低い」と言われ続けてきました。学力向上クリエイト事業に取り組み、基礎基本は全国平均に近づきつつあると説明されています。基礎基本こそ大事あり、それをベースにしてこそ、活用力・応用力を高めることもできます。競争に打ち勝つためでなく、心豊かな人生を送る力をつけるためにこそ、活用力・応用力を向上させることが必要だと思います。そのためには、一人一人の児童生徒に目が向けられる教師集団でなければなりません。学校現場は、主体的に学力向上に取り組むのに必要な人的配置を求めていると聞いています。

質問

 学校現場から、学力向上のために求められている人的配置は、どの程度満たされているのか答弁願います。現場の要請に応えるべきではないかと思いますが、いかがですか。

答弁

 義務教育における教員は、県費負担教職員であることから、学力向上に係る人的配置につきましても、基本的には、県教育委員会からの加配教員によるものであると考えております。

 具体的には、現在、新学習システム推進教員が小・中学校に配置され、35人学級の実施や教科担任制、少人数指導に携わっており、また、児童生徒支援教員が配置され、支援を要する児童生徒にきめ細やかな学習指導や進路指導を行っております。

 学校現場からの少しでも多くの教員の配置を行ってほしいとの要請を受けて、本市教育委員会も県教育委員会に対して現状以上の加配教員を配置するよう要望しているところでございます。

 一方、本市独自の学力向上に係る対応として、学力向上クリエイト事業の中で、指導補助嘱託員を小・中学校に派遣しておりますが、人数に限りがあり、派遣校数は希望の半数程度となっております。

 また、派遣されなかった学校に対しましては、大学生等の補助員の派遣や、予算面での支援などを通して、総合的に各学校に応じた学力向上を支援しているところでございます。

これで第1問目を終わります。

第2回目の登壇

 都市の体質転換と言いながら、財政上の理由で、中学校給食に取り組めない、学力向上策に必要な人的配置もできないなど、必要であってもできない、こんな尼崎市になぜなったのでしょうか。

 尼崎市議会議員の旅費不正使用事件が発覚し、市民の力で議会は、解散に追い込まれ出直し選挙となったのが20年前の1993年でした。当時の総合計画は、第4次全国総合開発計画に基づき、「にぎわい創生あまがさき」と銘打ち、阪神尼崎駅から市役所周辺までをシビックゾーンと位置付け、駅前を順次再開発する計画が盛り込まれ、公共事業推進をきわめて強く押し出した計画でした。駅前を開発し、「都市間競争」に勝ち、「税源の涵養」に資すると市幹部からどれほど説明されたことでしょうか。

 しかし、出直し選挙の1年半後に阪神淡路大震災が発生。築地・戸ノ内などでおこった液状化の怖さを目の当たりにしました。被災市民は仮設住宅が建設されるまで、サンシビックや学校体育館での避難所生活を余儀なくされました。その震災から1週間後でした。避難所では、夜も眠れず、余震におびえている市民がいるにもかかわらず、阪神尼崎駅北側の市バス乗り場の上部を覆う、人工地盤の工事契約が三菱重工と交わされました。こんな時に、急がなければならない工事なのかと、大きな疑問を感じ、契約案件には賛成できませんでした。市財政を圧迫している駅前開発事業の先駆け的な契約でした。

 阪神尼崎駅北側・中小企業センター東側の立体遊歩道は国道2号を北に渡ったところで切れていますが、もともとは、総合文化センターまでつなぐ計画でした。庄下川の西側、国道2号の南北にそれぞれ再開発ビルを建設し、総合文化センターと二つの再開発ビルと人工地盤の公園を立体遊歩道・空中回廊でつなぐのが阪神尼崎駅北側の開発計画でした。その開発事業のタネ地として大和銀行跡地も土地開発公社に買わせ、多大な借金と転売での損失を生みました。総合計画によって進められた開発事業に多額の財政支出をする一方で、公立保育所は、物干しざおを階段の手すりの代用にする、雨漏りはする、トイレは臭い、雨が降れば割れている樋から、雨水が噴き出る、あちらこちらガムテープで補修している、これが、党議員団が調査した公立保育所の実態でした。

 1995年の震災後、全国の自治体では、学校耐震化を進めていましたが、尼崎市は駅前開発を優先し、学校耐震化には手を付けませんでした。

 結果として、今になって学校耐震化を急がざるを得なくなり、中学校給食はじめ教育予算充実の大きな障害になっています。

 駅前開発が今も深く大きな財政上の傷あとを残しており、それを進めてきた当局と議会の責任が問われます。

次に、地域循環型経済に関連してお尋ねします。

 地域内で人とお金が循環する「地域循環型経済」は市長の選挙公約です。私も議会で何度か取り上げてきました。

 大店舗法を廃止し、大店立地法の成立以降、大型店の出店が相次ぎ、市内の個人商店、市場、商店街が大打撃を受けました。市民が市内で消費したお金が、繰り返し、市内を循環していた構図が崩され、お金は市外の本社へと流れ、市内循環が低下し、市税収にも影響してきました。市場や多くの小規模商店街は、再興不能に近い状況になっています。市民の消費行動が対面販売方式から離れていることは事実であり、市民の消費行動を変えて、市場商店街に元気を取り戻すことは、かなり厳しいと思えます。

質問

 市長が、地域循環型経済を目指すと公約された理由をまずお聞かせください。また、地域循環型経済を目指すために、どういう点に力を入れて政策化しているのかお尋ねします。

答弁

 本市は、交通アクセスに恵まれ、多くの産業が息づくまちです。

 私は、こうした尼崎の強みや魅力を活かして、コンパクトで環境や経済、また社会的にも持続可能なまちづくりを進めるためには、地域内におけるヒトと経済の好循環が重要であると考えたものでございます。

 その地域循環型経済を目指すための一つの手段として、「尼崎版グリーンニューディール」に取り組んでいるところであり、「自然エネルギーの推進」、「すまいと交通」、「スマートシティ」といった3つの重点テーマに基づき、毎年度、施策・事業を積み重ねていき、「環境と産業の共生」と「地域経済の好循環」を目指してまいりたいと考えております。

 私が住宅リフォーム助成制度の実施を求めた昨年9月議会では、「中小企業への支援は必要。現在の支援策は、融資制度のみである」「地域内で経済が循環し、持続的な発展を遂げていくためには、効果的で適切な取り組みによる底上げが必要であり、限られた財源の有効活用などから住宅リフォーム助成制度にとらわれず、検討していきたい」との答弁でした。

 消費不況の中、市内商店での買い物を後押しする意味からも、市内商店街などでのみ活用できる商品券での助成も含めれば、さらに経済波及効果が高まり住宅リフォーム助成制度は地域経済活性化に寄与できると考えます。

 2012年度から、『太陽熱温水器』、『エコウィル』、『エネファーム』などの設置に補助する制度を実施したところ、約8割が市内事業者の施行であり、地域経済の活性化に寄与している、と、市長が施政方針で述べられました。化石燃料の使用を節減できる環境対策として、大阪瓦斯が普及に努めているものですが、経済効果の波及範囲は狭いと受け止めています。

 また、新年度は、エネファームなどの事業継続と市内事業者への発注を前提とする新たな取り組みとして、市場商店街の照明をLEDに変える際の助成を行うとしています。これは、節電目的のものですが、きわめて範囲の狭い特定事業者が対象で経済波及効果が少なく、地域循環型経済への貢献度は、低いと考えます。

質問

 同じ投資であっても、地域内への波及効果の大きい投資の仕方が、地域循環型経済の促進にもつながるものと考えます。その点からも、住宅リフォーム助成制度を考慮したのでしょうか。していないとすればその理由も合わせてお答えください。

答弁

 ご提案の『住宅リフォーム助成制度』につきましては、単独での検討は、いたしておりませんが、新年度予算に計上いたしました「小規模太陽光発電設備に係る固定資産税の課税免除」につきましては、国の方針としても再生可能エネルギーの普及促進を図るため、平成24年7月から3年間の、電力の固定価格買取制度の優遇措置がスタートしており、極めて優先度の高い事業であると考え、実施しようとするものです。

 この事業におきましても、工事施工については、市内業者を基本とすることにより、地域内経済循環の効果を高めてまいります。

 このように、『住宅リフォーム助成制度』に限らず、環境と産業の共生をテーマとした取り組みや、財政的な負担の少ない手法により、地域経済の好循環を目指すなど、これまで同様、今後も幅広い取り組みについて検討してまいります。

 私の自宅は、太陽光発電を設置するには、あまりにも小規模だと認識しつつも、使用済み核燃料の最終処理ができない原発への抵抗と地球温暖化対策から、再生可能エネルギーへの切り替え要請が必ず大きくなると思い、また、その効果を見たいと、早い段階で、2kwときわめて小規模ですが、太陽光パネルを取り付けました。現在、売電が買電を上回っています。福島原発事故を経験し、原発をやめ、化石燃料の使用を大きく減らすためにも再生可能エネルギーへの切り替え促進は、時代の要請です。大きな屋根のお宅をみては、もったいないなあと思います。市民に対する助成制度の拡充は不可欠の課題です。

 2013年版の「尼崎版グリーンニューディールの基本的な考え方及び、具体的な取り組みついて」によると、①コンパクトで持続可能な街づくりの推進、②世界的経済不況・雇用不安・原発事故があったことで、省エネと再生可能エネルギーの推進が求められている、と、尼崎版グリーンニューディールを推進する意図を述べています。2013年度の施策では、個人事業者も含めてはいますが、企業に対する太陽光発電設置支援が中心です。市民の環境・エネルギー問題に対する関心を高めることに直接つながる、個人住宅への設置促進に取り組むべきです。

 また、デフレ不況対策には賃金引き上げが、大きな政策課題になっています。太陽光発電そのものの設置に要する費用とトータルとしての電気代節減効果との差し引きは、どのくらいかよくわかりませんが、いまの不況時に月々の電気料金が少なくなったり、売電が買電を上回るなどは、賃金引き上げと同様の効果があり、地域経済に与える波及効果も大きいと考えます。

 国は、「工業統計調査」の対象から従事員3人以下の零細事業者を外してしまいました。地域経済活性化、地域循環型経済といっても、零細事業者は融資以外では、対策の対象にもしていない市の姿勢は、統計すら取らない国と同じで、個人や零細事業者には目を向けていません。環境施策の対象が限定されすぎており、極めて偏った対応となっています。

質問

 個人住宅への太陽光発電の設置にたいする助成事業を予算化しなかったのはなぜでしょうか。

答弁

 本市では、国の補助制度が無かった平成19年度に住宅向け補助制度を開始し、平成21年度までに434件の補助を行いました。

 現在では、国の住宅向け補助制度や固定価格買取制度に加え、平成21年度にはキロワットあたり60万円を越えていた設置費用も40万円台と大きく下落し、普及が大幅に進んでいます。

 このことから、住宅用への普及の道筋はついていると考えており、今後は一定の発電量が見込める、10キロワットから50キロワットの太陽光発電について導入を促進してまいります。

弱者への平等な対応について

 高齢の生活保護世帯のうち、年金や給与収入がある人には、熱中症対策として、クーラー購入費用を社会福祉協議会から借り入れができ、借入額は、収入認定しません。社協への分割での返済金も、年金や給与収入から返済するので、返済額分だけ収入が少なくなるとして、その分、保護費の給付額が増額されます。年金収入や給与収入のない生活保護世帯には、社協は購入費の貸付をしませんし、クーラー設置費用は保護費から給付されることもありません。同じ生活保護世帯であっても、年金収入などの有無によって、実質自己負担の有無が決まるというずいぶん差別的な扱いです。言われている理屈は、一応、理解はしますが、実質的には不公平そのものです。

 敷地に余裕のある住宅に住んでいる市民対象には、エネファームなどへの補助制度があり、地域経済の活性化に寄与していると市長は述べました。

 高齢生活保護世帯の方の熱中症予防のためのクーラー設置支援は、命にかかわるものであり、市内業者から購入、設置することを条件にすれば、市長が言われるように、地域経済活性化に寄与することにもなります。

質問

 最低生活を余儀なくされている高齢者の熱中症の予防対策として、クーラーは命を守る重要な対策です。それを分割で購入できる対策、もしくは、現物給付、現物貸付を検討すべきです。年齢的弱者かつ経済的弱者である高齢生活保護世帯に対して、何らかの対策を実施するよう求めますが、いかがですか。

答弁

 高齢者にとって生活保護世帯かどうかを問わず、熱中症予防対策として、エアコンの活用は有効な手法のひとつです。

 しかし、現行制度上、基本的には他の家財道具と同様に月々のやりくりを通じた、基準生活費の中で賄っていただくものであり、国の枠組みを超えて市独自に個人給付等の事業を行う考えはありません。

 市は、財政難を理由に、職員を削減し、指定管理者制度をはじめとして市外の企業への委託や発注を拡大しています。

 市の支出総額が同じでも、市が消費した額のうち、市外に流出する額が多ければ多いほど、市内で循環し、地域経済を活性化させる原資が減り、地域経済にとっては、望ましくありません。
市長は、当選後の所信表明で、地域内で人とお金が循環することが必要だと述べておられます。つまり、地域循環型経済にということです。

質問

 市内外を問わず、委託化は低賃金化を促進させ、特に市外企業への発注は、地域内で人とお金が循環せず、市内雇用にも市税収入にも良い影響が出ないと考えます。結局、より一層市財政を厳しくし、悪循環です。地域循環型経済の公約にも反すると考えますが、いかがでしょうか。

答弁

 委託化を推進する、いわゆるアウトソーシングの取組につきましては、民間の専門的な知識やノウハウを活用することにより、行財政運営の効率化や市民サービスの向上を図る観点から、取り組んでいるものでございます。

 また、その取組にあたりましては、地域経済の活性化といった観点から、これまで契約制度において、市内事業者や市内団体に対して、一定の優先措置を講じているところでございます。

 そのような中、「あまがさき『未来へつなぐ』プロジェクト」におきましても、税収の安定・向上につながる取組として、地域内で経済が循環する取組を促進することを掲げており、今後、さらに地域経済の活性化につながる効果的な取組を推進してまいります。

次に市の計画の進め方の混乱についてです。

 市職員の大幅な削減で市の財政危機を乗り越えようとするところに、市行政の混乱の原因があると思えてなりません。

その一つが公共施設の最適化再配置問題です。

 私は、子どもを出産した後、母親よりも中央保健所の保健師さんを頼りにして、子育てをしました。予防接種や定期検診の受診も欠かさず受け、教えられた子育てのノウハウは本当にありがたく、保健師さんが身近な保健所におられ、いつでも気軽に相談できる安心感は何にも代えがたいものでした。

 しかし、残念ながら、保健所に続き、2006年度には保健センターも一所化され、福祉事務所も6所から1所に集約されました。

 職員を減らすために、6福祉事務所から1所に集約したものの、保護率は、先に述べたように、現在では、4%を超え、この異常な増え方が1所ではスムーズな事務ができないとの事態を招いています。

 2009年度に施策評価委員会が「公共施設の今後のあり方について」を提言し、労働福祉会館の廃止を打ち出しました。2015年度をめどに、労館大ホールの代替ホール、中央公民館、南部3支所の地域保健担当、地域福祉担当を集約する保健センター、福祉事務所を1所から2所にして、うち1所を入れるなど6階建ての複合庁舎を市役所南側の駐車場に建設する案が議会にも示され、その後、6階建てから5階建てへの変更もありました。

 労館の存続を求める市民運動が高まる中、大ホールを備える複合庁舎の建設計画が市民にも説明され、労館廃止に向けて、市は極めて精力的でした。市民合意のないまま、この3月限りで労館を廃止する条例が昨年の2月議会に提案、多数決で可決されました。ところが、この2月に複合庁舎の建設そのものが財政的に無理だとして白紙にされました。

 これほどずさんな計画の進め方があるのだろうか、それも、労館をこの3月に廃止すると決めた後でのことです。

 6階建てだといいながら、5階建てと聞いた時も、考えられないお粗末さだと思いました。ところが、建設を白紙にすると聞いたときは、驚きを通り越して、今の尼崎市は一体どうなっているのか、そのずさんさに愕然としました。前代未聞の醜態です。複合庁舎建設を含めての市民説明会は、一体何だったのかと、市民の厳しい批判の声が湧き上がっています。市長は、計画確定前から、市民の意見を聞いて決めると公約し、市民説明会やパフリックコメントに取り組んでいるとするなかでのことです。

 多くの市民は、労館の存続を求めてきました。複合庁舎の建設を求めてきたわけではありません。しかし、明確になったのは、労館の廃止だけです。

 このような状況を考えると、支所と地区会館を合築する計画も露と消えてしまうかもしれないと懸念を抱いてしまいます。

 複合庁舎の建設を白紙撤回せざるを得ないのであれば、その裏付けになる財政的説明を明確に行うのが責任ある仕事の進め方です。計画変更の背景になっている財政的説明の資料を会派として要求したところ、詳しい資料はないとの返事で、いまだに何の資料も提出されていません。

質問

 合理的な説明がない、これほど無責任な行政運営はありません。複合庁舎の建設案を市民や議会に説明する限り、それなりの財政的裏付けを持ってのことと考えます。それを説明してください。また、それが、無理だと判断したのですから、変更前後にどんな財政事情の変化があったのか、それも説明してください。

 財政的なことも含めて、どの部署が責任を持って、市民や議会に提示できる計画を練り上げ、そして、撤回したのか、明確な答弁を願います。

答弁

 第2駐車場の複合施設建設を含む公共施設の最適化に向けた取組については、従前は企画財政局が、今年度からは、新たに資産統括局が中心となる中で、組織横断的に検討を進めてきたところでございます。

 第2駐車場の複合施設につきましては、施設の総量を圧縮することにより、維持管理コストの削減を図るとともに、集約等により生じる跡地を売却することで、建替え等に要する財源を一定確保するという基本的な考え方に沿って、取組を進めてまいりました。

 しかしながら、昨年10月に「次期行財政改革に係る計画」の素案を策定するにあたって、改めて直近の収支状況を精査いたしますと、毎年50億円前後の実質的な収支不足が続く、厳しい状況が見込まれ、今後の財政運営を考慮した上で、当画は土地売払い収入についても、市債の償還等に充てざるを得ないと判断し、将来の負担も十分見据える中で、第2駐車場での複合施設の建設については、より経済的で効率的な配置となるよう見直すこととしたものでございます。

 日本共産党議員団は、従来のように、6支所体制で、支所機能と地区会館機能だけの集約でなく、保健センター機能、福祉事務所機能をも合わせて集約させることが利便性からも、まちづくりで重視されている近隣住区論から見ても、妥当だと考え提案しました。しかし、去年9月議会での答弁では、6福祉事務所体制から1福祉事務所体制にしたことで、元の6福祉事務所に戻すに必要な職員配置ができないとのことでした。その根本は市財政難です。

次に労働センターにある「しごと支援課」の移動場所についてです。

 労働センターで行っていた「しごと支援課業務」は、出屋敷リベルの3階に移転するとの説明を受けました。

 同床は、大手企業の2社が保有しており、固定資産税も共益費も一切滞納がないとのことです。あき床になっていても、市にも尼崎都市開発㈱にも、何ら財政上の問題は起こりません。体力のない個人の区分所有者ではなく、体力のある大企業です。それこそ、自力で、床の利用を検討したり、テナントを誘致する能力もあります。

 リベルよりも旧開明小学校跡のほうがバスも電車も便利です。開明小学校跡は公有財産であり、家賃を支払わずに済みます。現在、市は、徹底して、経費削減に次ぐ経費削減です。なぜ、わざわざ、家賃の必要な場所への移転を決めるのでしょうか。

 会派の予算勉強会では、財政当局は、一切説明してくれませんでした。軽々にいうのは、はばかる気もしますが、リベルの床を所有している大企業の要請に応えてのことではないのかと思わざるをえませんし、納得できる明確な説明がないことを考えると、リベルへの移転は、行政トップクラスの特別の指示かもと思えて仕方ありません。

質問

 しごと支援課の移転場所は、財政上からも交通利便性からも、旧開明小学校の空き教室を活用するほうがよいと考えます。この2点についてリベルのほうがすぐれているとする理由をわかりやすく説明してください。年間、約1100万円もの家賃支出について、どのように考えているのか。なお、共益費は、床所有者が負担するのか、それとも市が負担するのかいずれでしょうか。家賃負担以上の効果があるとする理由をお聞かせください。

答弁

 無料職業紹介や労働相談の窓口業務を行う「しごと支援課」事務室の移転先につきましては、複数の施設について検討を重ねてまいりました。その中で開明庁舎につきましては、エレベーターの新規設置や雨漏りの施設改修、階段、廊下の整備などを含めまして、初期投資経費として1億5,000万円程度の工事費が必要となります。

 一方、「出屋敷リベル」につきましては、移転に係る工事費(5,800万円程度)のほかに、家賃としての使用料は、年間で1,100万円程度必要となりますが、管理費用(修繕積立金含む)は使用料に含まれております。

 また、「出屋敷リベル」は、阪神出屋敷駅に直結し、かつ駅前広場に面しているなど、交通利便性も高く、利用者や市民の認知度も高い施設であるとともに、1フロアで一体的な床の確保も可能となります。

 さらには、「出屋敷リベル」への移転により、再開発ビル空き床の有効活用や地域の活性化にもつながると考えられます。

 これらのことから、総合的に判断し、「出屋敷リベル」に、「しごと支援課」の事務室を移転することを決定したものでございます。

次に保育所の民間移管問題です。

 大島保育所の民間移管に関しては、市民が2つの裁判に訴えています。その裁判の決着がつかない間に、民間移管を進める条例を提案し、議会は可決。そして、立花南保育所も、廃止条例が出され、党議員団以外の賛成多数で可決。その後、保護者が提訴する、こういう経過を経て、受託法人を募集。その後に、受託法人から辞退の申し出という異例なことが起こりました。上ノ島保育所の移管時期についても、条例変更せざるを得ない事態を生みました。

 なぜ、こんなことが連続して起こるのかです。私たちは、公立保育所の存続を求めているので、民間移管がスムーズにいかないことに問題意識を持っているわけではありません。到底理解できない事態が起こっていることに、仕事の仕方、行政運営上の問題として危機感を持っているのです。

 今、3つの保育所裁判があり、担当部署は、それへの準備にも時間を費やさざるを得ないでしょう。裁判への対応に加えて、民間移管計画を同時並行に進める市の方針にこそ、無理があるとの思いを強くしています。

 今回の立花南保育所の民間移管決定法人の辞退問題は、担当部署が処理しきれないほどの事務を担っていることからくる対応の不十分さ、また、市民との信頼関係が崩れていることに対する精神的負担が精緻さに欠けるしごとの仕方につながっているのではないかと推察します。市長以下、幹部の責任が問われる問題です。

質問

 保護者の合意が取れる、取れないにかかわらず、民間移管計画を強引に進めていることにこそ、立花南保育所の受託辞退の根本的な原因があると考えます。市長の見解を伺います。
 とにかく、市民との合意が取れないまま、まして、裁判が継続している間は、強引に進めることは、本来中止するべきです。答弁願います。

答弁

 市政運営において、市民の皆様と様々な政策や課題について合意形成を図ることは非常に重要なことであると認識しております。

 この認識のもと、大島保育所においては、訴訟が提起された以降においても、複数回にわたり父母の会会長等との話し合いや説明会を実施し、保護者の皆様の不安解消を図るとともに民間移管への理解を得るよう協議の場を設けるための努力を続けてきたところであり、現在進められている移管法人選考委員会においては、保護者の方々に法人選考委員として参画をしていただいております。

 また、立花南保育所においても、一部の保護者から訴訟が提起されましたが、保護者が法人選考委員に参画されない場合においても、選考過程において一定の条件のもとで保護者が意見を述べることができる機会を設けるなど、民間移管の取り組みに当たりましては、誠意をもって、保護者の皆様の理解を得られるよう努めてまいりました。

 2保育所の民間移管において、本市を提訴されたことにつきましては非常に残念であると考えておりますが、0歳児保育など多様化する保育ニーズに対応しつつ、効率的な保育行政を図っていくためには、引き続き公立保育所の民間移管を進めていく必要があると考えております。

 市民のためになる仕事ができる職員を育てることもなく、ただ、財政削減論からの職員削減で、市役所が本来持たなければならない機能すら、持てない状況にしてしまっています。国の職員削減方針を無批判に受け入れてきた市長以下幹部の責任ではないかと強く指摘します。

次に市バス問題です。

 昨年7月の公営企業審議会の答申に基づいて、12月には尼崎市バスの民営化を進めるにあたっての取り組み方針の素案が示され、民営化は既定の方針として、取り組みが進められています。
2010年度に、敬老パスが有料化されたことにより、乗客が減少し、市バス会計は、一気に悪化、結局、自治体でいう財政再生団体への転落を回避するために、市は、翌年度に、3.5億円を追加補助せざるを得なくなり、一気に、民営化に拍車がかかりました。

 公営審の答申では、「民営化の移行に際し、バス交通サービス水準の維持、確保に向け、事業者と協議を行い、協定を締結すること」としています。どんな内容の協定にするかが、これからの大きな課題です。

 公営企業と民間交通機関との決定的な違いは、市バスでは、これまでも、黒字路線で上げた利益を赤字路線に補てんするにとどまらず、市民のために、路線の維持の必要性があると判断して、経営補助をしてきました。路線も不十分ながらも可能な場合は市民の要望を取り入れても来ました。しかし、民間になれば、利益を上げられなければ、バスを走らせる意味がなくなります。公共交通だからそんな恐れはないとの意見も聞きますが、現実に、路線はあっても便数を極端に減らしている事実が他都市であります。

 党議員団は、市には、市民の移動の権利を保障する義務があり、公共性を維持し、バスネットワークとサービスを守ること、バス事業に対する市民や議会の意見を反映できるようにすることなどから、市バスの民間移譲には反対です。

 そして、それがきわめて困難であれば、少なくとも、市が責任を果たすうえで、尼崎交通事業振興㈱を担い手にすることを求めてきましたが、公営審では、完全民営化が答申され、特別委員会等では民営化に向かっての報告 議論が行われてきました。しかし、「尼崎市自動車事業の設置に関する条例」を廃止する条例を可決しておらず、現在は、まだ、民営化は正式決定ではありません。しかし、新年度予算案には、市バスの民営化を前提にした市バスの累積債務を3年間で解消する民営化補助金2億8200万円、移譲先選定委員会の予算として、33万1千円が計上されています。

質問

 「予算は法的な根拠に基づくもの」でなければなりません。市バス廃止を正式に決定していないにも関わらず、2億8200万円以上もの民営化関連予算を提案するのは、妥当なやり方ではないと考えます。市長の見解をお尋ねします。

答弁

 市営バス事業の今後のあり方の検討にあたりましては、公営企業審議会を設置し、幅広いご審議を行っていただき、民営化を目指すことが妥当であるとの答申を受けました。

 この答申の趣旨を踏まえ、この度、市として、市営バス事業の民営化に向けた取組方針をまとめました。

 審議会でのご審議から市の取組方針の整理に至るまで、その検討過程における節目節目で、総合計画等特別委員会において議会のご意見も十分お聞きする中で、取組を進めてきたところでございます。

 これら一連の取組の中で、市民から、路線等サービス水準の維持、確保に対する不安の声が多く寄せられたことなどを踏まえ、まずは、移譲事業者を選定し、移譲後のバスサービス水準について、市民の皆様に具体的にお示しし、安心して頂いた上で、自動車運送事業の廃止条例について、ご提案させていただくことが望ましいものと考えております。

次に切実な医療問題についてお尋ねします。

 国民健康保険についてです。

 現在、手元に国民健康保険証のない世帯は7,639世帯です。ざっと12,500人ほどは保険証が手元にありません。

 国の問題であるTPP参加については、極めて大切な国民皆保険制度が壊されると日本医師会も反対しています。もちろん、私たちも反対です。

 しかし、現実に国民皆保険を保障する国民健康保険の保険料が高すぎることで、保険料を払いきれず、保険証が手元にないというのは、国保制度の根本にかかわる問題であり、この異常さを改善するのは行政の責任です。

質問

 例年、同じ所得、同じ家族構成で比較すると、尼崎市の保険料は、他都市に比べていつも、高いのが実態です。負担能力以上の負担を強いていることが、手元に保険証のない市民が12,500人ほどもいる主要な要因だと考えます。市長の見解はいかがでしょうか。

答弁

 国民健康保険制度につきましては、市町村単位で運営していることから、医療費や一般会計繰入金の状況のほか、1世帯あたりの被保険者数や所得状況等により、保険料率は市町村によって異なります。

 本市国保は、被保険者の所得が他都市に比べ低位にあることから所得割料率が大きくなる構造となっており、同一所得・同一世帯人員で比較した場合、阪神間各市より高い保険料となる傾向にあります。

 こうしたなか、本市国保といたしましては、極めて厳しい財政状況ではございますが、保険料軽減財源である財政健全化4億円に加え、基準総所得に占める保険料負担率に着目した特別減免を平成23年度から創設し、負担率20%を超える最も負担感の大きい層に減免を適用するため、新たに一般会計繰入金約2億円を確保し、保険料負担の軽減に努めております。

 なお、ご指摘の短期被保険者証の未交付の解消につきましては、平日の時間内に来庁できない方のために、年間3回の休日開庁などにより納付相談の機会を確保するとともに、推進員の未納世帯訪問時・の納付相談の中で、未交付の解消に向けた取組も実施しております。

 今後とも、保険料負担の公平性の確保を図りながら、保険証の未交付の解消に努めて参ります。

質問

 国保法第44条では、一部負担金の軽減ができますが、改善されたとはいえ、利用できる条件が厳しすぎます。44条の縛りから離れて、市独自の条件緩和が必要ですが、検討はしてきているのでしょうか。

答弁

 国民健康保険法第44条に基づく一部負担金減免制度は、災害や失業等により収入が著しく減少し、生活が困難となった場合、それらの事情を特別な理由として、一定の期間、一部負担金の減免等の措置を採ることができるとするものです。

 本市の制度におきましては、平成23年4月に、保険料滞納世帯や、収入が生活保護基準の世帯に対して対象を広げるなどの制度改正を行ったこと、さらに、平成24年4月からは、阪神間他都市の実施状況等を踏まえ、所得激減の判定基準を前3か月の平均収入から、直前1か月の収入に見直すとともに、減免期間を3か月から6か月へ延長するなど、適用範囲を拡大したところでございます。

 現時点において、更なる適用範囲の拡大は困難と考えておりますが、引き続き、福祉施策における他の制度など、関係各課との連携を図る中で、丁寧な対応を行うとともに、今後とも、本減免制度が、より効果的に運用されるよう、市民周知に努めてまいります。

 尼崎医療生協と阪神医療生協で無料定額診療事業を実施しています。

 健康増進事業で、低所得の糖尿病患者の治療中断を防ぐためとして、受診とインシュリンに対する助成制度を実施することを評価します。しかし、それだけでよいのでしょうか。無料定額診療事業による受診者は、切羽詰まった状況の患者が多いのが実態です。薬は院外処方が通常で、薬代には適用されないために、治療が完結しない問題を残しています。

質問

 無料定額診療事業における院外処方の薬代への助成制度を実施しない理由は何でしょうか。糖尿病患者への補助と同様、無料定額診療事業の院外処方の薬にも助成すべきと考えます。答弁願います。

答弁

 現在、国におきまして、無料又は低額な料金で調剤を行う事業が第二種社会福祉事業として位置づけられていないため、そうした事業実施に意欲のある薬局がありましても実施できず、無料低額診療の実施医療機関で診療を受けた方も、院外処方の薬は無料低額になりません。

 こうした部分への対応策として、市単独で薬代の一部助成を行うといった新たな制度を創設することは、本市の厳しい財政状況の中では困難であると考えておりますが、無料低額診療事業における薬代の考え方や事業の検討状況について、改めて国に確認して参りたいと考えております。

これで第2問目を終わります。

第3回目登壇

市バス民営化に関連しておたずねします。

 市バスの完全民営化に向けては、市民の移動の権利を守る方策が担保されるかの検討が必要です。

 受託業者との協定内容の充実、そして、協定期間終了後の取り組みに市がどう関与できるかの議論も合わせて重要です。

 市が7割、交通労組が3割、出資し、尼崎交通事業振興㈱をつくってきた経緯があり、市バスの経営を守るために、給料の安い振興㈱に運転委託してきました。そのために振興㈱は運転手を採用し、75人の運転手がいます。乗客への心配りができる運転手が多いのが特徴です。市には、出資者として、同社の労働者の雇用を守る責任があります。振興㈱の賃金の安い労働者により、市バスを維持してきたことを無視することは許されません。

 公営審の委員の中には、民間バス業界の代表もおられ、「民営化に備える対策もできる」と発言しています。市民の移動の足と振興㈱の労働者を守るために、移譲にあたっての協定期間はできるだけ長くすることが必要ですし、協定には、最低、次の内容を盛り込むことを提案します。

質問

・現行の路線とダイヤを変更しないこと
・市民サービスを低下させないために市バス発足当時から堅持してきた定額運賃制を維持すること
・運賃値上げをしないこと
・協定期間以降も、市民アンケートを取り、市民の意見を聞くシステムをつくること。
・移譲を受ける民間会社は振興㈱に運転委託することを条件にすること。
・尼崎市内はノンステップバスと車いす乗車が可能なバスを使用すること。
・高齢者の乗車人数にかかわらず運行経費にはほとんど差がない。敬老パス制度を無料に戻し、仙台市が行っているように、市が民間バス会社に負担する金額は協議して、定額制にすること。
・市の広報を車内に掲示する際は、無料にすること。
・車体に企業の広告を取り付ける場合は、一定は市内企業にし、市内企業には割引を行うこと
・市バスで実施している各種乗車券を同様に販売すること
  などです。

 答弁願います。

答弁

 協定書は、市営バス事業の移譲にあたり、移譲時期や対象路線、移譲後の運行サービスの内容等について、移譲事業者との間で取り決めておくものでございます。

 そのなかで、移譲時の路線やダイヤ等運行サービス水準につきましては、移譲から3年間維持することを運行条件とする考えでございますが、あわせて、公共性の確保に向けた協議会への参加や利便性向上への取組、赤字路線維持のための補助金についての規定などにつきましては、期間を定めることなく、将来にわたって取り決めを行う考えです。

 なお、事業者の選定にあたりましては、プロポーザル方式により行うこととしておりますが、提案のあった内容も踏まえつつ、公共性の確保を基本に、民間事業者の経営の自由度にも十分配慮する中で、今後、協議・検討してまいりたいと考えております。

 切実な市民要求も実現できない尼崎市にとって、最大の障害は財政問題です。市としても、しっかり、地域循環型経済を推進させ、地域内再投資力を高める取り組みが必要です。

 合わせて、日本全体のデフレ不況克服のために、国の方針に沈黙していてはだめです。

 日本の雇用者報酬がこの14年間で12%もさがっているのは、ベースアップがないからばかりではありません。非正規雇用の急増が大きな要因です。1980年代から1990年代の前半までは、非正規労働者は、労働者全体の1~2割程度でしたが、今や、35.5%までになっています。ドイツ、フランスが15%、イギリスの6%に比べると、日本の異常さは際立っています。

 賃下げ、非正規雇用の拡大がデフレ不況の悪循環を作り出し、その上に、高額所得者、富裕層や大企業などへの優遇税制のために、税収が落ち込み、それに加えて、尼崎市特有の過去の財政運営のまずさが、市財政をとことん厳しいものにしています。

 市民生活の改善に必要な財源を確保できる道に進まなければなりません。私は、つねづね、国も市も多額の借金財政だけれど、日本全体が貧乏ではない、お金はあるところにあると内部留保や税制の矛盾を話しています。労働者が働いて、生み出した富の配分と税のあり方に根本的な矛盾があります。

 昨年12月議会では、大企業や富裕層への減税などによる税収不足を消費税で穴埋めする不合理さについて質問しました。安倍政権が進める方向には、社会保障制度の大後退も含まれており、市民生活は、より一層厳しくされます。国政のあり方を変えなければ、市財政の立て直しも困難でしょう。

市財政と市民の暮らしを守るために、国政に関連して質問します。

 来年度からの10年間計画である“あまがさき”「未来へつなぐ」プロジェクト(案)が策定され、その第1章、「計画策定の背景および必要性」の最初にこれまでの行財政計画の取り組みがのべられています。それによると、

 本市は、17年前の1996年度を「財政再建元年」と位置づけ、「行財政改革推進計画」等に基づき、職員定数の削減などを中心に財政の健全化に取り組んできたこと。

 2003年度から2007年度の5年間は、「経営再建プログラム」を策定し、300項目以上の市民サービスなどを削減し、土地の売却や市債の発行など多額の財源対策を講じて現在でいう財政再生団体である「財政再建団体」への転落を回避してきたけれど、財政状況に明るい兆しが見えたわけではないこと。

 そして、2008年度から2012年度・今年度までの5年間、財源対策なしで収支均衡を図ることを目標として、「あまがさき行財政構造改革プラン」を策定し、財政規律を守るとし借金返しを最優先の財政運営を行うために、わずか年間7万円の原爆被害者の会への補助金、行政協力員へのわずかな報奨金さえ削減するなどして当初計画の50億円以上の効果を上げたものの、当初の目標であった財源対策なしでの収支均衡は、はかられないままに現在に至る状況が書かれています。

 この17年間で、もっとも顕著なことは、市職員数を削減するために、ごみ収集の民間委託の拡大、学校給食調理業務の民間委託、保育所の民間移管、公立幼稚園の削減計画、各種公共施設の指定管理者への委託化や2000年度から実施された介護保険事業にみられる福祉事業の民間参入の拡大です。それと同時に、各種の福祉施策が打ち切られ、使用料・利用料の引き上げも行われてきました。

 緊縮財政一辺倒の行革をいくら進めても市の財政状況は改善せず、財源不足が続き、公共施設の再配置、市バスの完全民営化もその流れの中から出ています。

 そして、「プロジェクト」では、過去のまちづくりにおいて発行した多額の市債等の償還が、今日の財政を圧迫している大きな要因であり、実質的な収支均衡を確保する状態には至っていないと過去の行財政運営の結果であることも認めています。

 4ページでは、「こうした収支状況の背景には、所得の低い階層や年金収入のみで生活することが困難な高齢者が多いことから、経済雇用情勢の悪化や高齢化に伴って、生活困窮に陥りやすい人が多い都市の体質となっていること、また、税収面では、そのことが安定財源となりうる個人市民税の少なさにつながっていること、さらに、高齢化の進行に伴い、後期高齢者医療療養給付費や介護保険給付費が年々増加し、税負担の増につながっていることなど、本市の特性や高齢化の進行が税収、扶助費、医療費に影響し、それが硬直した財政構造の大きな要因になっていると考えられると」述べています。

 私は、この4ページで述べている硬直した財政構造の要因を取り除くことがデフレ不況、市財政構造の改善にとって極めて重要な課題だと思います。

 プロジェクトの3ページには、「本来、国の責任と役割において実施されるべき社会保障制度やその財源を保障する地方財政制度などについては、国の動向を見定める中で、国と地方の費用負担のあり方や市民生活へ与える影響等を勘案し、必要に応じて国へ働きかけていく必要がある」と述べています。ここに書かれている内容にとどまるのでなく、経済政策などについても、積極的に国に働きかけることが必要です。

 安倍首相は、デフレ脱却策として、無制限の金融緩和、大型公共事業のバラマキ、大企業応援の「成長戦略」を掲げていますが、そのどれもがすべて過去の自民党政権がおこない、破たんがしてきたものばかりです。「危機突破」とは逆に、危機と矛盾を激化させるしかないでしょう。

 「金融緩和策」は、安倍政権下で消費税増税に踏み切るための前提条件づくりとして登場したとみられます。1990年代以降日銀によって続けられてきた金融緩和が、「デフレ」の克服にも景気回復にもほとんど役に立ってこなかったことは明らかです。現在市中に供給されている通貨の量は国内総生産(GDP)比で26%にのぼり、アメリカの16%、ユーロ圏の18%と比較しても世界最高水準です。十分すぎるほど資金が供給されても、消費が低迷していて企業の投資先がないため、その多くは金融機関にたまっているだけです。銀行は中小企業には貸し渋りを続けています。ここにメスを入れない限り、いくら金融緩和をしても、実体経済はよくならないと考えます。

 デフレ不況の最大の原因は、働く人の所得が減り続けていることです。デフレ不況から抜け出すためには働く人の所得を増やして経済に元気を取り戻すことです。

 1997年からみると、企業の経常利益は63%も増えたのに、賃金は、12%も減っています。今こそ、賃金引上げが必要です。政府が持つべきは、物価目標ではなく、賃上げ目標です。日本共産党の国会議員団の繰り返しての質問により、それを認めざるを得なくなり、本気度が疑われますが、経済界への要請も行わざるを得なくなりました。

 週刊エコノミストの編集長は、「安倍首相のデフレ脱却策を聞いていると、この人は国民の家計や雇用にどれだけ関心があるのだろうかという気になる。インフレ期待の醸成というが多くの国民の期待は賃金の上昇だ」と述べていますし、第一生命経済研究所の熊野秀雄氏も「1992年以来2%の物価上昇の経験は、原油高騰や消費税率引き上げを除いて例がない。持続的な賃上げ上昇を政府が誘導することが、デフレ解消には大きな威力を持つ」と主張しています。

質問

 安倍首相が行うとする無制限の金融緩和、大型公共事業のバラマキ、大企業応援の「成長戦略」による物価上昇目標でなく、賃上げ目標を持つことこそ必要だと思いますが、市長のご見解をお聞かせください。

答弁

 今回の国の緊急経済対策は、「『金融緩和』『財政政策』『成長戦略』により、長引く円高・デフレ不況から脱却し、雇用や所得の拡大を目指す。」こととされています。

 こうした考え方に基づきました、今回の国の補正予算は、多額の公共事業が含まれており、国の長期債務残高の増加への懸念はございますものの、今回の国の補正予算や経済政策が功を奏し、働く意欲のある人たちに仕事をつくり、所得を増やすことに繋がっていくことが重要であると考えております。

 増税や社会保障の負担増など、国民の所得を奪う政策を中止し、働く人の所得を増やす政治への転換が必要です。そうしてこそ、市の財政改善にもつながります。日本共産党は、そのために、次の3つの方法を提案しています。

 第1にサラリーマン世帯の1か月分の給料を取り上げる消費税増税を中止し、年金や生活保護費削減など社会保障費の削減をストップすること。

 第2に、賃下げや大リストラをやめさせること。大企業には、賃金引き上げ、雇用を確保するだけの体力があり、眠っている260兆円もの内部留保の1%程度を還元することで可能です。

 第3に、暮らしを守るルールの確立です。正規雇用の拡大、最低賃金の大幅引き上げ、下請け中小企業の単価切り下げなど下請けいじめをやめさせることです。

質問

 この3つの提案に対する市長のご見解をお聞かせください。市財政改善のためにも、これらを国に働きかけてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

答弁

 消費税の増税につきましては、少子高齢化という人口構成の大きな変化などを踏まえ、年金制度や生活保護制度などが、将来にわたって持続可能な社会保障制度として確立していくための財源確保策として、国政において議論がなされ、既に法律として成立したものでございます。また、その法律の附則第18条では、消費税率の引上げに当たっては、経済状況が好転していることを条件としており、そのために総合的な施策を講ずるとされております。

 そうした中で、先程申し上げましたとおり、国においては、実質経済を成長させることにより、地域経済を活性化し、それによって雇用の拡大や賃金の引き上げにつなげていこうとしているものであり、そうした、国の動向を注視してまいりたいと考えております。

 一気に多額の借金をし、集中的に行ってきた開発行政が、現在の尼崎市の財政悪化の原因ですが、その背景は、国の政治です。アメリカに求められるままに、13年間で630兆円もの大型公共投資を行うことを約束し、国は、公共事業を推進させるために、全国の自治体へ補助金や起債を通じて、誘導策を実施しました。本市も、それに乗っての開発推進だったことを肝に銘じておくことが必要です。市長には、同じ轍を踏まないように、国の方針が市政にどう影響するか、しっかり見極め、いうべきことは言い、市民の暮らしを守ることを強く求めます。

 なお、ここで取り上げられなかった問題に関しては、分科会質疑、総括質疑を通して、質していきたいと思います。

 以上で日本共産党議員団の代表質疑を終わります。

2013年3月議会 田村征雄:市長提出議案のうち7議案に対する反対討論

市長提出議案のうち7議案に対する反対討論

                         2013.3.1 田村征雄

 日本共産党議員団の田村征雄です。

 市長提出議案のうち7議案に対する討論を行います。

議案第32号 職員定数条例の一部改正については

 地方自治体は福祉の増進を図ることが基本です。市役所は市民のためにある、職員は市民のためにいる、この視点で職員数を確保していく必要があると考えます。市役所としての公的責任を果たすべき立場から、保育所民間移管による職員減、給食調理の民間委託による職員減は認められず、一方、福祉事務所で生活困難な市民に支援の手を差し伸べるケースワーカーの増員は不十分な配置であり、本条例に反対します。

議案第37号市長及び副市長の退職手当に関する条例の一部改正については

 特別職報酬等審議会の答申にもとづき、市長、副市長の退職金を減額するものですが、
 会派としては、市長の退職金は職員と同様の計算式によるべきとの考えでありまして、過去の条例改正時には修正案を提案した経過があり、本条例には反対です。

議案第48号障害者自立支援認定審査会の委員の定数を定める条例の一部改正、および
議案第49号障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業の人員、設備及び運営の基準等を定める条例の一部改正 の両案についてです。

 従前の「障害者自立支援法」が収入のない障害者に、障害が重いほど負担が大きくなるなどの重大な問題があり、違憲訴訟が起こされました。

 民主党政権は同法廃止を約束して原告団と和解し、国と原告団で基本合意文書が結ばれたのです。
ところが、合意に基づくとされた障害者新法には、障害者を権利の主体として明記することや支援の無料化などが盛り込まれませんでした。

 このように原告団との合意を裏切るような不十分な内容の法律のまま運営するための条例改正には賛成できません。

議案第52号市立保育所条例の一部を改正する条例の一部改正については

 党議員団は、公的保育の責任を放棄する保育所の民間移管には反対です。今回、選定された社会福祉法人が移管を辞退したことにより、2013年4月1日に立花南保育所を社会福祉法人へ移管することが困難となったため、条例案は施行期日を「規則で定める日」に変更しようとするものですが、民間移管されたままの状態であることから、委員会審議において「尼崎市立保育所条例の一部を改正する条例(2011年尼崎市条例第24号)は、廃止する」との修正案を提出しましたが、賛同を得られませんでした。

 よって、原案の本条例案に反対します。

議案第53号子ども・子育て審議会条例の制定については

 子ども・子育て支援法を含む三法にもとづき「子ども・子育て審議会」を設置するための条例ですが、三法そのものに問題があります。

 三法は、市町村に保育所での保育実施義務を引き続き担うこととしたものの、認定子ども園や家庭的保育事業はその対象外としています。

 子ども・子育て新システムの問題点をそのまま導入し、例えば、「保育に欠ける児童」を対象とした児童福祉法第24条一項は「保護者の労働等の事由により、児童が保育を必要とする場合」に変更され、子どもの育ちを保障する保育から、子どもを預ける託児所化を促すものとなりました。

 また、短時間保育・長時間保育の認定がなされ、子どもたちがそろって保育を受けることができなくなり集団で成長する従来の保育が壊されてしまいます。

 運営をする側の職員配置にも困難をきたし、運営に問題を生じさせる危惧があります。なお、短時間保育となった児童にとっては、成長に欠かせない「昼寝」の時間の保障に困難があり、子どもたちの成長を保障する上で大きな問題があります。

 もとの「新システム」の見直しは当分の間の民間保育所を除いて、基本的に民主党原案に
あった保育施設の契約型利用方式、現物給付を現金給付化、保育の市場化に沿ったものにとどまっています。このほか待機児童対策も不十分のままです。こうした関連三法はおおもとでの改善が必要ですが、なされていません。

よって、審議会条例の制定には賛成できません。

議案第28号自動車運送事業会計補正予算(第一号)については

 例えば、戸ノ内地区は猪名川にかかる戸ノ内橋を渡ることによってのみ市域全体とつながる地区です。スーパーもコンビニもなく、生活の足としてバス交通は欠かせません。

 地区の人口減でバスの乗客数は減り続け、仮に民営化されてもその路線の赤字は避けられないでしょう。

 民営化後3年間は、市との協定により路線がまもられるとしていますが、協定期間後に路線が存続されるのかどうかは住民の大きな不安となっています。

 バス路線がなくなれば食料品、日常生活品の買い物、通院、通勤など生活の足がなくなり、生きていくことができなくなるのです。

 協議会を設置するとされていますが、このような不安に応えるものかどうかなんの保障もありません。

 民営化された場合、3年後、5年後、10年後もバス路線が存続するのかどうかの全体像が不明確であり、市民的議論が不十分のままの「民営化ありき」は問題があります。

 よって、民営化を前提に希望退職を募り、特別損失として経費の補正を行う本補正予算に反対します。

 

以上で討論を終わります

尼崎市長に2013年度予算に対する要望書を提出しました

この写真を撮った早川議員は写っていません

尼崎市長 稲村 和美 様

2013年度予算に対する要望書

2012年10月25日
日本共産党議員団
松村 ヤス子
早川  進
広瀬 早苗
田村 征雄
義村 玉朱
辻  修 
真崎 一子

 社会経済情勢が一向に改善しないなか、社会保障と税の一体改革と称するさまざまな取組が進められようとしています。しかし、その内容は、現下の厳しい状況を改善させる方向ではありません。
それだけに、市民生活擁護、地域経済活性化等への本市の取組の重要性が厳しく問われると考えます。
来年度予算編成にあたり、日本共産党議員団は、日常の活動を通して改善の必要があると認識している課題、そして、改めて市内各団体・市民から直接要望を聞き取り、特に、予算に反映させていただきたいものを重点要望としてとりまとめました。

よろしくご配慮いただきますようお願いいたします。

2013年度予算に対する日本共産党議員団の要望事項

<国への要望>

1.原発からの撤退を政治決断することが、再生可能自然エネルギーへの転換も加速させることができる。原発からの撤退を求める国民世論も大きく高まっており、直ちに原発からの撤退を政治決断するよう、国に強く求めること。
2.緊縮政策は、一層景気を冷え込ませ、過剰生産による不況から抜け出せない悪循環に陥っている。本市においても、行財政改革で、超緊縮財政を行うことで、将来負担比率を下げているものの、財源不足は一向に改善されない。このような中、消費税増税は、地域経済を一層冷え込ませる。消費税増税、証券優遇税制、大企業への減税を止め、応能負担を強化し、所得の再配分機能を高め、社会保障制度充実の財源を確保するよう、国に求めること。
3.TPPに参加しないように国に求めること。
4.オスプレイの配備計画の撤回を求めること。
5.地方交付税を算定する基準財政収入額、基準財政需要額は実態を反映させ、自治体に対する財政調整機能と財源保障機能を果たすよう求めること。
6.住民税の税率は一律10%であるが、課税所得200万円以下については当面5%に戻すよう国に求めること。
7.経済的に困難な市民・高齢者が増加しており、公務労働の果たす役割が大きくなっている。必要な公務員を配置できるよう、財政措置を求めること。
8.最低賃金を1000円程度に引き上げるよう求めること。
9.2012年度介護報酬が引き上げられ、高齢者の利用料負担は引きあがった。しかし、ヘルパー等の賃金引上げには、つながっていない。報酬単価の引き上げでなく、別立ての財政措置で、介護職場や障がい者支援職場の労働者の賃金、労働条件を改善し人材の確保が図られるよう、国に要請すること。
10.要支援者を予防給付からはずし、介護予防・日常生活支援総合事業(仮称)の対象に移すことを撤回するよう求めること。
11.新しく成立した「障害者総合支援法」の基本は自立支援法と同じものである。「基本合意」や「骨格提言」に基づいて具体的な施策を早急に明らかにするよう国に求めること。
12.65歳以上の障害者が福祉サービスを受ける場合、「介護保険優先」でなく、障害者サービスが適用できるよう、国に改善を求めること。
13.生活保護にかかる費用は人件費も含め、全額を国の負担とするよう求めること。
14.生活保護制度の見直しが検討されようとしている。派遣労働など見直し、雇用の拡大や年金制度の改善こそ行うべきであり、生活保護制度の基準引き下げや扶養強化などを行わないよう、国に求めること。あわせて、老齢加算を復活するよう求めること。
15.生活保護制度利用という点では、年金や勤労所得など収入のあるなしにかかわらず、最低生活は同一に保障されるのが平等の原則である。熱中症予防のためのクーラーの購入ができるように、年金収入等のない生活保護世帯にも社協からの借入を可能にし、その借入は収入認定しないこと、返済額については、扶助費に含めない別対応を求めること。
もしくは、高齢者の熱中症対策として、クーラー購入費を家具什器費として支給するよう求めること。
16.生活保護のケースワーカー数を標準数でなく、法定数にするよう、また、その財政措置を求めること。
17.「子ども・子育て新システム」制度で、市が窓口となって、入所などを調整するとしているが、保育の必要量の認定により、短時間保育が持ち込まれ、保育の質を保つことが困難になることが予測される。また、直接契約となるため、困難な親子の場合、排除される危険性がある。
認定を受けた保育時間を超えた場合は、実費徴収となり、負担増につながる。
営利企業の参入で、「保育の産業化」「経営の不安定化」により、保育士の労働条件がさらに悪化する懸念がある。「子ども・子育て新システム」制度の撤廃を求めること。
18.高すぎる国民健康保険料のために、払いきれない世帯が出ている。1980年代に比べて50%程度から25%程度まで下げられている国民健康保険会計に占める国の負担割合を引き上げ、国保料を引き下げるよう求めること。あわせて、正規の国保証を交付するよう、国保証を取り上げの規定がある国保法第9条を改正するよう、国に求めること。
19.低所得世帯の割合の高い国民健康保険会計には、現状以上の特段の支援を行うよう求めること。
20.国民健康保険の広域化は、各自治体の独自繰り入れができなくなり保険料の引き上げにつながるため、広域化を行わないよう求めること。
21.不法投棄の原因ともなっている家電リサイクル費用はメーカーから徴収するよう求めること。
23.返済期間10年の長期資金貸付制度を創設するよう国に求めること。
24.「資金繰り円滑化借換保証制度」を創設するよう国に求めること。
25.来年3月までとなっている金融円滑化法を恒久化するよう国に求めること。また、今年、10月が期限のセーフティネット保証(保証協会が100%保証)を継続し、5号(不況業種認定)の全業種指定を復活させるよう国に求めること。
26.        信用保証協会が80%、金融機関が20%保障する「責任共有制度」実施以来、信用保証協会が100%保障する融資制度があっても、銀行の審査が厳しくなっており、融資を受けられない中小業者が出ている。融資を受けやすくするためにも、「責任共有制度」そのものを廃止するよう、国に求めること。
27.日本船舶振興会、モーターボート競走会および地方競馬全国協会への交付金の引下げを求めること。
28.基礎学力の向上に向けて、一人ひとりの生徒に目が行き届くように中学3年まで35人学級を実施するよう国に求めること。
29.いじめ問題、不登校問題、非行問題の解決のため、必要な教職員の配置を国に求めること。

<兵庫県への要望>

30.子どもの医療費は中学卒業するまで所得制限をなくして無料とするよう求めること。
31.県立子ども病院のポートアイランドへの移転計画を撤回するよう求めること。
32.精神障害者の福祉医療制度の対象を拡大するよう求めること。
33.新病院ができるまで、現在の塚口病院の医療体制の充実を求めること。
34.県立塚口病院の跡地等は、後送病院としての機能強化のためにも病院を設置するよう求めること。県立尼崎病院跡は医療施設および福祉施設にすること。
35.県立統合新病院では、治療上、必要に迫られて個室に入る場合は、差額ベッド代を徴収しないように求めること。
36.県立統合新病院にはバス路線を引き込むようにすること。
37.武庫川の河川工事については、住民の意見を十分聞くよう求めること。
38.戦後10年ごろまでに建設された防潮堤が多い。防潮堤、河川堤防の耐震・対津波性の調査を行うよう求めること。
39.防潮堤の門扉等を遠隔操作で開閉できるように求めること。
40.県道山手幹線については、大阪側との接続工事の推進を求めること。
41.県道園田西武庫線の藻川工区については、住民合意が得られるまで架橋等の工事に着工しないように求めること。
42.自転車の交通違反者に対する取り締まり強化を警察に要請すること。
43.高齢者にとって歩道橋は大きな障害である。安全で便利な横断歩道に切り替えるよう、警察に要請すること。
44.園田競馬のナイター開催については、治安対策を実施しているが、21時前後という時間帯に、
①送迎バスの集中的な運行による騒音と豊中方面行き交差点(ブックオフ)での渋滞が発生している。
②椎堂の駐車場への出入りによる周辺民家への騒音被害が発生している。
③園田駅では、21時30分頃まで、電車で帰るファンが集中している。等の問題がある。
 市として、住民の苦情を受ける窓口を決め、住民とのトラブルが発生した場合、競馬組合と協議のうえ、早急な解決に努めること。
45.市長及び教育長は、兵庫県公立高校の学区拡大の中止を改めて求めること。なお、高校間格差や長距離通学にかかわる負担などの問題点の解決策を提示し、住民の納得が得られるまでは、学区拡大を行わないという強い決意で臨むこと。
46.船越裁判の判決を受け、教職員の増員などにより、多忙問題の解決をはかること。
47.基礎学力の向上に向けて、一人ひとりの生徒に目が行き届くように中学3年まで35人学級を実施するよう県に求めること。
48.いじめ問題、不登校問題、非行問題の解決のため、必要な教職員の配置を県に求めること。
49.中学校給食にたいする補助を求めること。

<市への要望>

企画財政局・総務局

50.現役世代の転出を防ぎ、市外からの流入促進するために、財政措置を伴う子育て支援策の充実など、魅力ある施策の構築をはかること。
51.パブリックコメントは、意思形成段階における施策等をよりよいものにするために、実施するものであり、賛成・反対の意見の多さによって市の決定の方向を判断するものではないとしている。これは、反対意見を無視して市の計画を決定することもあるとの意味であり、容認できるものではない。多くの反対意見が寄せられた計画は、市民の理解が得られるまで実施しないこと。
52.総合交通政策を早急に策定すること。
53.市バスの完全民営化を行わないこと。バス交通に路線・運行等に市民の声を反映できるように、交通振興事業株式会社を担い手にすること。
54.市バスについて仮に民営化された場合でも、戸ノ内―阪急園田駅、猪名寺-阪急園田駅の区間は廃止させないこと。
55.津波避難ビルなど民間建物等の協力を得ているビル等については、インターネット、市報あまがさきだけでなく、地域で回覧できるようにすること。
56.鉄道事業者の協力も要請し、阪神尼崎駅北側、出屋敷駅コンコース内、大物駅北側、JR立花駅北側、塚口駅東側、阪急武庫之荘駅北側、塚口駅北側の不法駐輪対策を強化すること。
57.自転車の交通ルールの周知を徹底し、自転車事故の防止に努めること。
58.公契約条例を創設すること。
59.原爆被害者の会への補助金を復活させること。

資産統括局

60.労働福祉会館・労働センターの廃止が2013年3月と決まっているが、それらに変わる施設が建設されるまで、存続させ、市民の利便性に配慮すること。
61.6地域の支所・地区会館を統合・合築する場合、地域保健・地域福祉機能、福祉事務所もその合築施設(中央地区も含めて)に併設すること。
62.①園田地区は藻川により東西に分断されており、存続する園田公民館は藻川の西側にあること、②地理的地域的状況から阪急園田駅の近くが望ましいことを考慮し、園田支所と園田地区会館の合築場所は東園田地区にすること。
63.入湯税問題の徹底調査を行うこと。
64.市内の企業を経営している者や医療事業者など一定以上の高額所得で、市外居住のものに何らかの尼崎市への貢献対策を検討すること。
65.個人事業主の事業用資産については、経済的理由による減免制度を創設すること。
66.市税の滞納については、納付相談を丁寧に行うこと。また、差し押さえに至るまでに訪問もし、納付督促だけでなく、経済状況をよく把握し、適切な解決方法をアドバイスするなど親身な対応を行うこと。
67.固定資産税の評価額の計算ミスが目立つ。ミスの防止に努めること。
68.総合センターについては、全市民的な視点で配置・あり方等を見直すこと。
69.大庄西中学校跡地の活用については、住民の声を聞き、防災機能を備えた活用をはかること。

市民協働局

70.手元に保険証のない世帯を生まないために、国民健康保険証を郵送すること
71.一定の努力は認めるものの、暮らしの実態からも高すぎる国民健康保険料を引き下げること。
72.国保料減免制度をさらに拡充すること
73.国民健康保険の一部負担金減免制度が拡充されたものの、現状では利用者が少なすぎる。所得激減を条件とせず、生活困窮世帯を対象にし、1割減免、2割減免にするなど、早期に受診できる制度に改善すること。
74.生活保護世帯に最低生活を割り込ませる国民健康保険料の滞納分の徴収は行わないこと。
75.預金残高があっても、事業継続上必要不可欠の運転資金である場合がある。国保料徴収のため、本人の承諾なしに、一方的な資産調べや差し押さえを行わないこと。市民の納得を得て収納率向上に努めること。
76.分納誓約を履行している場合、毎月、納付額の引き上げを強要しないこと。
77.市営住宅家賃・市税・国保料・保育料などの滞納解消のためにも、関係各課と連携をとり、多重債務対策をさらに強め、消費生活センターに相談に来た多重債務者に弁護士会や司法書士会を紹介するだけでなく、最終的に解決するまで、支援し、見届けること。

健康福祉局

78.生活保護の申請用紙は、窓口におき、いつでも申請できるようにすること。
79.生活保護世帯の子育て支援として、小学校・中学校入学時にランドセル・カバンを現物支給すること。また、市民プールの無料券を支給すること。
80.家賃が安く、風呂のない住居の生活保護世帯に、入浴券を支給すること。
81.高齢の生活保護受給者に市バスの無料パスを支給すること。
82.医療券を医療証にして、使いやすいようにすること。
83.全国で広く実施している福祉灯油を実施すること。
84.一人暮らしの生活保護世帯や65歳以上のひとり暮らし高齢者には、家庭訪問等で、熱中症予防指導を強めること。
85.熱中症対策からも、生活保護世帯に夏の一時金を復活し、また、冬の一時金の上乗せをすること。
86.リサイクル法に基づく費用を生活保護世帯および低所得者に補助すること。
87.特別養護老人ホームやグループホーム等の介護施設を増やし早急に待機者を解消すること。
88.老人クラブに対する補助金カットで活動費確保に苦労している。以前の制度に戻すこと。
89.敬老パスを無料に戻すこと。市営バスを廃止した場合でも、運行事業者と市の負担の仕方を協議し、高齢者には無料制度にすること。
90.たじかの園での訓練を受けるにあたり待機期間が長い。特に、児童の場合、成長が早いため、比較的短期間で障害の状況が大きく変わることが考えられ、待機期間の短縮が必要だと市も認めているところである。待機期間の短縮のため、理学療法士・言語療法士・作業療法士を増員できるよう財政措置すること。
91.小規模作業所に対する市の補助金を継続すること。
92.特別児童扶養手当や障害児福祉手当の更新手続きを支所でもできるようにすること。
93.福祉施設等のスプリンクラーなど防災用設備にかかる費用を助成すること。
94.福祉避難所の設置等、大災害時の障害者の安全対策に万全を期すこと。
95.阪急園田駅のエレベーターの利便性を高めること。
96.ヒブワクチン、子宮頸がんワクチン等の接種費用を無料にすること。
97.中学卒業までの医療費を所得制限なしで無料にすること。

子ども青少年局

98.老朽化したプレハブ保育所の建て替えを促進すること。
99.保育所保育料を引き下げること。
100.市立保育所の民営化は行わないこと。
101.学童保育で定員を超えるところは2クラスに分けること。

経済環境局

102.国の緊急雇用創出事業による市場・商店街活性化事業を実施しているが、その成果を活用し、中小企業支援の具体的な施策を構築すること。
103.住宅リフォーム助成制度をはじめ、中小事業者への支援策、地域経済活性化に効果のある事業を実施すること。
104.地域経済活性化と中小事業者の活性化のために、工業団体・商業団体・市民等とともに検討し、地域内再投資力を高め、循環型地域経済をめざす「(仮)尼崎市地域経済振興条例」を制定すること。
105.COCOE出店により影響を受けているアミング潮江地区の商業者の実態を調査し、具体的支援策を構築すること。
106.小規模修繕工事等に登録した業者に各課発注の仕事内容の具体的な事例紹介など零細業者に丁寧な周知を行うこと。
107.「大店法」を廃止し大店立地法を施行したことにより、地域の市場・商店街は壊滅的打撃を受けている。市がソフト・ハード両面でさまざまな事業を予算化しているが、多くの商店の廃業を食い止めるにいたっていない。市場・商店街振興策を抜本的に強めること。
108.尼崎版グリーンニューディール政策による、市内経済活性化の方向が見えにくい。事業者の要望をよく聞き、市内経済活性化に寄与するよう積極的に予算化し、取り組むこと。
109.再生可能自然エネルギーで町おこしをしている自治体で使われている施設・設備・機器などの情報を積極的に収集し、事業者に発信すること。
110.太陽光パネル設置を促進させるために一般住宅への補助制度を復活させること。
111.県保証協会と金融機関の「責任共有制度」実施以降、100%信用保証協会が保障する融資制度においても、金融機関による「貸し渋り」が出ている。円滑な資金調達ができるよう、金融機関の動向を注視し、「貸し渋り」につながる選別融資が行われないよう、対策を講じること。
112.企業立地促進条例については一定規模以上の巨大企業を対象からはずし、中小零細事業者を対称に加えること。また、道路等の公共事業による立ち退きに基づく移転新築等の場合は対象としないように見直すこと。
113.企業立地促進条例の適用を受けた後、撤退および事業縮小など、当初予定どおりの企業活動が行われない場合は、軽減した固定資産税額に匹敵する額を後に徴収できるよう条例改正を行うこと。
114.不況に苦しむ町工場を対象に、家賃・設備のリース料など固定経費の補助制度を創設すること。

都市整備局

115.市営住宅を建替える場合は、3階以上にも避難所になるスペースを設けること。
116.市営住宅の入居抽選は、はずれ回数の多い世帯の優先割合を増やすこと。
117.道路の舗装整備計画、街灯のLED化計画については、予算決定後、当該年度の実施計画を公表すること。
118.自転車事故が増えている。歩行者道・自転車道・自動車道の区分の明確化を促進させること。
119.長洲久々知線の喜楽苑近辺の歩道の整備を早急に行うこと。
120.市営住宅の建て替えに際しては、戸数を減らさず、入居希望者が多いことに配慮し、増やすこと。
121.古い市営住宅で建て替え計画のないものについては、和式トイレの洋式化、給湯および追い焚き機能付きのまたぎやすい浴槽に、また、集会所などのバリアフリー化を進めること。

教育委員会

122.市立幼稚園の半減計画は保護者・住民の合意が得られるまで実施しないこと。
123.早期に尼崎養護学校を市内に移転すること。
124.尼崎養護学校通学バスをリフト付きバスにすること。
125.統廃合計画が進んでいない小中学校の耐震工事を進めること。
126.国の補助制度を活用し、また、県にも補助を求め、学校給食実施基準を満たす中学校給食を実施すること。
127.市立小・中・高校の施設整備の充実と高額備品更新予算の年次計画を行うこと。
128.尼崎双星高校で自転車数に応じた屋根付き駐輪場を整備すること。
129.旧東高校のグランドは、暫定的に市民に開放すること。
130.言語力向上事業指導補助員を全校に配置すること。
131.心の教育特別支援員の配置をさらに拡大し、全校に配置すること。
132.市立小・中・高校の夏の教育環境改善のために、エアコンを設置すること。また、節電のために耐震化工事とあわせて計画的に太陽光パネルの設置を行うこと。また、ミスト発生装置を設置すること。
133.いじめ問題、不登校問題、非行問題の解決のため、地域や保護者とともに、協力して前向きな解決に努めること。

以上

2012年度尼崎市予算案に反対

日本共産党尼崎市会議員団ニュースNo.138(2012年4月22日)

新年度予算案などを決める3月市議会は3月23日に閉会しました。日本共産党議員団は、市長提出予算関連議案のうち、一般会計予算、国民健康保険事業費予算、介護保険事業費予算、後期高齢者医療事業費予算案と、市税条例改正、労働福祉会館廃止などの5条案に反対しました。予算案は修正もなく、他会派の賛成で原案通り可決されました。

高齢者に負担増 大企業に市税の減免継続

年金が下がり続けている高齢者にとって、大変厳しい予算になっています。

一つは、福祉医療制度の改悪で、1500人の高齢者の、医療費窓口負担が2割から3割へと、負担増になります。

二つ目は、高齢者の市バス特別乗車証の負担が、10月から倍の1回100円に引き上げられます。乗り控えを加速させ、高齢者の経済的負担と移動の自由を奪う要因になります。

一方で、急ぐ必要のない県道園田西武庫線の財源は市債を充ててまで事業を推進し、三菱電機の敷地内施設の玉突き移転にまで、企業立地促進条例による不均一課税(固定資産税などを半分に軽減)が適用される予定です。

高齢者には負担増の一方で、大企業には減税するのは、許せません。

また、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療制度の負担が、負担能力を超えて一局いために、滞納者が増え続けています。社会保障制度なのに、保険料などの負担が市民の暮らしそのものを押しつぶすものになっていることは大問題です。

市民合意なし 労館廃止、琴浦市住跡、ナイター競馬

市長が公約にかかげた「市民にしっかり伝える」「市民とともに考える」ことが、貫かれているのかが問われました。

労働福祉会館の廃止については、近隣住民や利用市民の納得が得られていません。

琴浦市営住宅跡地を「スーパー銭湯」に賃貸する問題では、公衆浴場組合から「見直しを求める陳情」がだされました。地域住民のくらしと、周辺銭湯の死活問題であり、職員だけで決めた業者選定は見直すべきです。

さらに、園田競馬のナイター実施については、住民の中で対立的感情が起こっています。それを取り除くためにも、アンケートを取ってほしいと住民自らが問題の解決方法を提案しているにもかかわらず、それを拒否する姿勢は、「市民とともに」との姿勢でないことを明確に示しています。

住民の声を聞かずに、ナイターを強行することは、地元市としての責任が問われます。

幼稚園、保育園でも

また、9園を廃止する市立幼稚園統廃合計画や、公立保育所を最終的に9か所まで削減する民間移管計画は、未だに市民の理解が得られていません。

2011年6月議会 地区会館の指定管理者制度の導入に反対 補正予算などには賛成

日本共産党尼崎市会議員団ニュースNo.132 (2011.7.7.)

地区会館の指定管理者制度の導入に反対

6月議会では、来年4月から地区会館の管理を直営から指定管理者にする条例案がだされました。すでに中央地区会館(サンシビック)は、体育館との複合施設であるため、指定管理者制度を実施していますが、今回は残る5ヵ所も指定管理にしようとするものです。

市当局は、改正理由として「より効率的・効果的な施設運営と民間のノウハウを活かした施設の活性化」をあげています。

現在、地区会館の管理運営は、再任用や嘱託の市職員と、中高年事業団が行っています。尼崎市は人件費と光熱費などの維持管理費も負担していますが、指定管理者制度の導入にあたり、同程度の金額で「白主事業などを期待する」と言っています。これでは、人件費の削減、低賃金の労働者をつくりだすことになりかねないことから、日本共産党議員団は、条例案に反対しました。

被災地支援の補正予算などには賛成

また、東日本大震災被災地への支援、国の経済対策等による子育てや雇用就業機会を創出するための補正予算など、その他の議案には賛成しました。