2013年3月5日 日本共産党議員団 松村ヤス子
日本共産党議員団の松村ヤス子です。議員団を代表して2013年度予算案等について質疑を行います。
20数年前に、始まった自民党型の「構造改革路線」は、政権交代した民主党政権にも引き継がれ、市民生活を苦しめてきました。昨年末に復活した自民・公明の連立内閣は、経済財政諮問会議を復活させ、さらなる「構造改革」で、市民に「一層の痛み」を押し付けようとしています。
尼崎市は、三菱・住友・パナソニックなどの大企業と中小零細事業所が混在するまちです。市内企業はおよそ1万社ほどですが、負債額1000万円以上の倒産件数は、2010年度63件、2011年度75件、2012年度12月までで63件です。年度末までには、前年度を超えることも考えられます。それにもかかわらず、中小企業等金融円滑化法が今年度末で打ち切られ、中小企業の倒産が心配です。
労働者派遣法を製造業にも適用し、正規雇用から不安定低賃金労働者への切り替えが進められ、市民税課税所得200万円以下の層が増加、700万円を超える層は減少し続けています。
さらに、パナソニックPDPでは、派遣切り、期間社員・正規社員のリストラで3,000人近くいた従業員が1,000人を切っています。住友などでも社内下請業者を丸ごと切捨ててもいます。
パナソニックで派遣切りされた労働者が、手持ち金もなく、体調を崩し、私どもに駆け込んできたことは以前にも述べましたが、その後、元パナソニックの正社員が運転するタクシーに乗り合わせました。彼は、強烈なリストラ攻勢で「やめます」と言わざるを得なかったと話してくれました。
また、先日、零細業者の話も聞きました。塗装業者は、仕事が週に二日ぐらいしかない、支払いが40日後なので、すぐに貸してもらえる制度融資があればと思う、消費税が、10%になったら商売やめるしかない、国民年金では暮らしていけない、ボルト加工の下請け業者は、単価が1/3に切り下げられ、電気代を考えたら、採算が合わないなど、本当に切実な実態でした。
生活保護基準以下の低年金高齢者が多く、高齢化が進めば生活保護が増え、派遣切りやリストラのやり放題では、生活保護が増えるのは、当然です。実際、2002年度2.3%だった保護率が、2012年12月時点では、実に4%になっています。
まさに、市民の貧困は、自公政治が原因です。そのうえ、生活保護基準を引き下げようとしています。要保護家庭の児童・生徒は4.4%、準要保護家庭では、22.5%に上っています。近隣都市と比べてずば抜けて多く、生活保護基準引き下げは、学習環境をも、さらに厳しくします。
市民の暮らしを中心に、希望の持てる尼崎市を目指さねばならないとの立場から、新年度予算や、市長の公約や市財政に関連して質疑していきます
まず、教育問題です。
市長は、子育て支援に力を入れて、尼崎市の体質を変えたいとの方針を打ち出しています。
都市の体質転換を目指すとするなかで、教育問題は、極めて大きな課題です。
中学校給食に関連して質問します。
稲村市長は、温蔵庫を設置し、暖かいご飯と汁ものが提供できる注文弁当方式に、とり組んでいます。
その結果は、どうでしょうか。
昨年10月15日から日新中、大庄中、園田中の3校で始めた注文弁当の経過をみると、利用率は、10月4.1%、11月1.7、12月1.5、1月0.8%と低下し続けています。1校で1個のみ注文という日が11月4回、12月1回、1月3回、2個のみは10月1回、11月5回、12月も5回です。
生徒の好みのメニューを重視する、ご飯や汁物を暖かくするなど、改善し、10%を目指すとしたものの利用率は低くなお、下がり続けています。
中学生は、多感な時期です。目立つ行動に走る生徒もいますが、多くの生徒は、ほかの生徒と違うことはしたくない、みんなと一緒でありたい、そのほうが安心感を持てる、そういう心理が働くものです。
質問
さまざま改善しても、注文弁当は、極めて少数派で、注文数が減少する理由はここにあり、中学生の心理をとらえていないと考えます。教育委員会はどう見ていますか。
また、19中学校で実施すれば、設備投資に、約1,300万円かかるとのこと。子どもの心理に配慮できない対策では、この費用が無駄になる危険性があると考えます。その恐れはないと言い切れますか。答弁願います。
答弁
平成20年度から平成23年度まで実施しておりました中学校弁当は、業者の事業所向け弁当をそのまま活用していたため、献立内容は大人向けのものであり、また、弁当容器が大きくて教室へ持っていくのが恥ずかしい、という生徒の声がございました。
そこで、昨年10月から3校で実施しております中学校弁当事業は、弁当容器は家庭から持参する容器とかわらないような工夫をするとともに、教育委員会の管理栄養士が、生徒ニーズも取り入れながら、栄養バランスを考えた献立を提供する事業としてリニューアルしたものでございます。中学校弁当事業を実施している3校の全生徒を対象に、事業開始後の12月にアンケート調査を実施しました。 その中で、利用したことのない生徒に対して、その理由を尋ねたところ、「家庭からの弁当を持参するため」という回答が65.1%で最も多く、続いて「当日の申し込みができない、申し込みが面倒なため」という回答が13.0%でございました。「買うのが恥ずかしいため」という回答は0.5%にすぎませんでしたことから、教育委員会といたしましては、今後も生徒ニーズを十分把握した上で、生徒が利用しやすいよう改善を行い、中学校弁当事業を推進してまいりたいと考えております。
それに、中学校給食を実施しないのが、近隣では、尼崎市だけになりそうです。芦屋市が、2015年度から順次自校方式での実施を決定。神戸市は、「検討会議」が「中学校給食の導入が望ましい」との意見をこの3月にまとめる見通しとのこと。伊丹市では、4月の市長選で、出馬予定の各候補が「中学校給食実施」を公約に掲げているとの報道があるなど、中学校給食未実施の自治体が、実施へと動き出しています。
質問
「中学校給食を実施できない」は、「現役世代の転出を防ぎ、転入を促進させる」との市の方針である「都市の体質転換」の阻害要件になると考えますが、いかがですか。中学校給食の実施を決断すべきです。答弁を求めます。
答弁
先ほどもこ答弁申し上げましたとおり、中学校弁当事業の開始後、実施校の全生徒を対象としたアンケート調査の結果によりますと、中学校弁当を利用しない理由として、65.1%の生徒が、「家庭からの弁当を持参するため」と回答しています。また、PTA連合会中学校部会による中学校弁当試食後のアンケート結果では、「弁当を持たせたい親の意見も尊重してほしい」「弁当作りは苦になっていない」というご意見もいただいております。
これらのことから、中学校給食を実施しないことがただちに都市の体質改善に対する阻害要件になるとは考えておりませんが、成長期の中学生にとって、栄養バランスの取れた食事を摂ることは重要なことでありますので、食育の観点からも、中学校弁当事業の定着を図ることに努めてまいります。 また、中学校での昼食のあり方についても研究を進めていく必要があると考えております。
次にいじめと体罰についてです。まずいじめ問題です。
滋賀県大津市のいじめ自殺、大阪市立桜宮高校顧問の体罰による生徒の自殺は、大変な社会問題となりました。児童・生徒の自殺は二度とあってはなりませんが、その後もいじめによる自殺は起こりました。
教員はもちろんのこと、社会全体して防止策をしっかり考えることが必要です。
いじめ自殺があった、大津市教育委員会の当初の認識は、大変不十分であり、事実を把握し、明らかにしようとする姿勢でなかった、学校、教育委員会の対応に厳しい世論の声がわき上がったのは、当然です。
いじめについては、遊びだとか、ふざけだとか、からかい だとかと軽く受け止める風潮、それに、いじめられるほうにも責任があるとか、いじめられないように、もっと強くなれといった声さえよく聞かされてきました。
大津市では、第3者機関が設置され、生徒などへの聞き取りなども行い、いじめによる自殺だと結論が出されました。
まず、いじめ問題で、はっきりさせなければならないことは、「いじめ」は人権侵害であり、暴力であると、教師も、親も、そして、子どもたち自身が認識できるように、することです。
いじめから、子どもたちの命、心身を守り抜くことを第1義に考え、その要因を取り除くために全力を尽くすことが必要です。学校での事故などの裁判を通して、「学校は子どもを預かる以上、子どもの安全に最大限の配慮を払う義務がある」と学校における「安全配慮義務」が定着しつつあります。
質問
人権侵害と暴力である「いじめ」の放置・隠ぺいが、「安全配慮義務」違反にあたることを明確にし、学校と教育行政の基本原則とすべきと考えますが、教育委員会の考えをお聞かせください。
答弁
児童生徒の事故の危険性を予見しながら、最大限に安全・安心を図ることが安全配慮義務にあたると認識しております。
そのため、学校は、常に事故発生への危機感を持つとともに、日常的に児童生徒の言動に関心を払い、いじめ等の問題行動の早期発見・早期対応に努めることが重要であります。
本市におきましては、学校がいじめを認知した場合には、速やかに教育委員会に報告することとし、教育委員会もそれを受け、いじめの解消に向けて積極的に指導・支援しているところでございます。
今後も、いじめのない学校づくりに向けて、学校と教育委員会が十分に連携を図ってまいります。
「いじめ」は大人にわからないようにおこなわれ、被害者もいじめられていると認めない場合が少なくありません。それだけに、「いじめかな」と少しでも疑われる場合は、全教職員でその情報を共有し、子どもの命最優先で速やかに対応することが必要です。そして、保護者と教職員のコミュニケーションを密にし、大人たちが心配し、力を合わせている姿を示すことは、子どもたちを勇気づけます。そして、子どもたちへのアンケートは、無記名で、「いやなことをされたことがあるか」など、いじめの内容を具体的に尋ねるなどの方法が効果的だといわれています。
些細なことに見えても、様子見せず、全教職員、全保護者に知らせることが、子どもの命を守るために必要です。
また、「いじめ」に対応するだけの時間が足りないと7割の教員が答えているとの新聞報道から見ても、教師の多忙化を解消する取り組みが必要です。
質問
子ども一人一人を丁寧にみることができる少人数学級を進めることが大事であり、義務教育全般で、まず「35人学級」を早期に実現すること、養護教諭の増員、カウンセラーの増員などに取り組む必要があることを文科省や県教委にも強く要請する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
答弁
いじめ等子どものサインを見逃さないためには、教職員一人ひとりが、その兆候をいち早く把握するとともに、組織全体で情報を共有することが大切であり、各学校では校長の指揮のもと、安全で安心した学校生活が送れるよう日々取り組んでいるところでございます。
そのためにも、子どもたち一人ひとりを丁寧に見ることができる体制整備が望ましいと考えており、本市教育委員会といたしましても、文部科学省や県教育委員会に対し、「全国都市教育長協議会」や「兵庫県都市教育長協議会」等を通して、35人学級など少人数学級の制度化や加配教員の増員、また、スクールカウンセラーの配置の拡大などの要望をしているところでございます。
次に子どもたちが抱えている「ストレス」の背景に教育自体が、競争的で管理的になっていることを考える必要があります。
子どもたちが、友達日との遊びを通して、トラブルを解決しながら、人間関係を学ぶ、そういう時間を子どもから、奪っている競争教育の改善が不可欠です。
競争や忙しさは、人間をバラバラにして孤立させます。孤独では、本音で話すこともできません。ユニセフが2007年に発表した先進工業国24か国の調査結果では、「孤独を感じる」と答えた15歳の子どもは、24か国平均では、7.4%、フランス6.4、イギリス5.4、オランダ2.9に対して、日本では、29.8%です。
競争教育では、「できる子」「できない子」に振り分けられ、劣等感を持つ子どもがふえ、「わかる喜び」や「みんなで学ぶ楽しさ」を得ることができません。他人からの評価が気になり、「自己肯定感情」が低いことも「いじめ」の要因になります。
質問
お尋ねします。
競争と管理の教育から、子どもたちを解放し、子どもたちから、さまざまな不安を取り除き、子どもたちが人と人との間で、生きる喜びを感じられる教育と社会にすることがいじめ問題を引き起こさないために強く求められると思いますが、いかがでしょうか。
答弁
学校教育において、過剰な競争や管理は好ましくないと考えておりますが、子どもたちが集団で学習する中で一定の秩序を保つことや、目標に向かってお互いに切磋琢磨したりすることは、必要なことだと考えております。
また、子どもたち一人ひとりが授業の中で「わかる喜び」や「みんなで学ぶ楽しさ」を味わうことが、自尊感情を高めることや自己達成感にもつながるものと考えております。
あわせて、道徳の授業や「こころの教育推進事業」等の充実を図り、子どもたちが友だちを大切にし、望ましい人間関係を育むことで、一人ひとりの子どもたちが生きる喜びを感じられる教育を充実させることは、いじめをなくていくことにもつながっていくものと考えております。
次に体罰についてです。
大阪市立桜宮高校でのバスケット部の顧問による体罰が生徒を自殺に追い込みました。
スポーツ指導者だけでなく、子どもを強いチームの中で鍛えてほしいと願う保護者の中にも、体罰容認論があることは、過去から指摘されてきたことです。
会派の早川議員は、これまでも、学校における体罰について、その事実を示して議会で繰り返し、取り上げてきました。
2000年6月議会では、自公連立与党から教育勅語の復活、再評価、体罰を肯定する考え方が出されていることを質問。
当時の小林教育長は教育勅語容認問題や体罰推進の発言については、改めて確認されるまでもないこと。と答弁。
2004年6月議会では、体罰の定義と報告基準について質問。
小林教育長は、「体罰の定義については、なぐる、けるなどの身体に対する侵害を内容とする懲戒や長時間の正坐や食事を取らせないなどの間接的に肉体的苦痛を与えるような懲戒である」「体罰は、生徒指導上不可欠な信頼関係を侵害する行為であるという認識のもとに、今後とも体罰のない明るく楽しい学校づくりに努めていく」と答弁。
2006年6月議会では、「体罰は、熱心な指導の結果であるとか、あるいは指導が行き過ぎたものという考え方で対処しているのか」と質問。
保田教育長は、「学校においては、暴力行為や授業妨害、指導に従わない場合であるとか、落ち着いた学習環境を保持するために、厳しい指導が避けられない不可避な状況もある。しかし、いかなる状況においても、体罰は人権を侵害し、信頼を失う行為であり、教育的な効果は見いだせるとは考えていない。
体罰防止については、日ごろから校長を通じて指導しているところであるが、さらに、全教員に徹底を図るために、すべての学校において、事例をもとに研修を行い、教員の意識向上に努めている」との答弁。
2009年12月議会では、教育委員会として体罰案件について、報告の取り方を改め、問題のあった学校だけでなく、すべての学校が体罰を行わない指導とあり方を模索すべきと質問。
当時の村山教育長は、学校長から体罰にあたるという認識を持ったものと、体罰でないかと保護者や児童生徒からの訴えや報告があれば、教育委員会は事実関係を調査する。どのような理由であれ、体罰事案であると判明すれば体罰を許さないという強い姿勢のもと厳正に対応し、体罰の一掃に向け指導していく。との答弁。です。
さて、去年の4月から今年1月までの体罰にかかわる緊急調査結果が、今年2月に教育委員会から報告されました。教職員からの報告や児童生徒及び保護者等からの情報等により、市立小・中・高校と特別支援学校の校長が把握したものとのことです。
それによると、6中学校で教師9人が計24人の生徒に体罰をし、2人の生徒がけがをしたとあります。繰り返し、議会で、質問をしてきましたが、結局根絶されていないのです。
質問
体罰を根絶できなかったのは、どこに原因があるとみているのか、答弁願います。
答弁
今回、本市が実施した体罰調査の状況から見ますと、「教員としての過剰な指導者意識をもって指導にあたり、冷静さを欠いていたのではないか」、また、「生徒の個々の心情や立場への理解を欠く、一方的、画一的な行動に出ていたのではないか」、さらに、「校内に体罰を容認するような雰囲気があった」などの原因が考えられるところでありますが、今後、より詳細に分析を行っていきたいと考えております。
市教委の調査の後、2月13日に、文科省が、中高の全生徒および小学校と特別支援学校の全保護者にアンケート用紙を配布し、封筒に入れて回収するよう県教委に、求めました。
文教委員会では、田村議員が「全児童・生徒にアンケート調査を」と求めましたが、受け入れられず、文科省の指示で、おこなわれることになりました。
質問
今回文科省からアンケート調査を求められたことに対して、市教委のこれまでの事実把握に関する取り組みをどのように自己評価しているのか、答弁願います。
答弁
大阪市内の高等学校で、生徒が運動部活動中に体罰を受けた後、自殺をした事件を、本市では、重く受け止め、体罰調査の必要性を認識しておりました。
文部科学省からの、児童生徒及びその保護者を対象としたアンケート調査が行われるという報道がありましたが、具体的な時期や内容については、明らかになっていなかったことから、事の重大性を鑑みて、まずは1月23日に臨時校長会を開催し、校長が把握している事案について、文部科学省に先んじた形で、独自の調査を指示したものでございます。
独自調査の主眼は、本市の体罰に関する状況の把握とともに、本市の体罰に対する重い受け止めを示し、体罰禁止の周知徹底を図るために実施したものでございます。各学校においても、教職員の意識改革や、体罰によらない指導の重要性についての理解を深めることができたと考えております。
体罰による指導は、本来の指導ではありません。児童・生徒の思いを受け止めることから始めなければと思います。
体罰では、ありませんが、私が産業高校2年生の時、機械科で私一人だけが女子だったことで、精神的に疲れていた時、担任に相談したいことがあり、放課後その旨申し出たところ、「今日は忙しいから、また今度」と受け入れられませんでした。翌日、学校に行くふりをして、三重県の叔父の所に家出しました。思いを聞いてもらえなかったことで、担任への反発、一種の抗議行動でした。しかし、高校卒業後、30数年たってのクラス会で、同級生から、「俺が、何とか卒業できたのは担任がいつも俺が悪いほうに行かないかと心配して見てくれていたおかげだ」と言っているのを聞き、担任は、生徒の状況をよく見て、対応していたのだと知りました。
この経験から、暴力という手段でなく、児童・生徒の内面にどこまで教師の思いを伝えられるか、どこまで心を開かせるかが大切だと思っています。
質問
そのためにも、生徒に向き合う先生の人数を増やすことと、教師には、力づくでの指導でなく、生徒の心を開かせ、思いを聞き出し、受け止める能力を高めることが必要です。教師の指導能力向上にどのように取り組んでいるのかお聞かせください。
答弁
各学校においては、児童生徒理解を深めるため、教職員間で、児童生徒の情報の共有を図るとともに、人権研修やカウンセリングマインド研修等を実施しております。
また、教育委員会といたしましては、教員の資質向上のための取組みとして、経験年数や役職に応じた研修、教科の指導力向上のための研修、そして、児童生徒理解のための研修等を実施しております。
特に、児童生徒理解のための研修につきましては、「相手の心に寄り添う聴き方」や「児童生徒、保護者、教師との信頼関係の構築」等の内容で実施し、教員の資質向上、指導力向上に努めているところでございます。
今後も、児童生徒の内面に対する共感的な理解に基づきながら、一人一人の特性や状況に応じた適切な指導を推進してまいりたいと考えております。
次に高等学校通学区域再編に関連する教育委員会の姿勢についてです。
総合選抜制から尼崎1学区制になり、さらに、2015年度から、全県5学区の大学区制になります。尼崎の保護者から学区拡大の要望はなかったとのことです。それだけに、学区拡大決定までの市教委の県教委への対応に、私は、極めて大きな怒りに近い、不満を感じています。
「進学できる学校の範囲を広げて、学校選択の自由度を高める」との意図からの「学区拡大」だと承知しています。しかし、学区を拡大すれば、高校の定員数が少ない西宮の生徒が尼崎の高校を受験し、尼崎の生徒が弾きだされると心配する声、子どもにも保護者にも大きな負担が出ると心配する声を教育委員会の職員からも多くお聞きしました。
その心配を受けて、「高等学校通学区域再編に伴う進路対策事業」つまり、学区拡大で受験競争に負けないように対応する「進学塾」のような取り組みをする予算が計上されました。親も生徒も現場の教師もそして教育委員会も心配している問題に対する新規施策です。
先に、競争的・管理的な日本の教育自体が子どもたちのストレスを大きくし、いじめ問題や体罰問題の背景にあると指摘しました。その競争教育を加速させる学区拡大を容認しながら競争に負けないようにとの事後対策です。
市教委は、2011年9月末に、学区拡大にかかわって、県教委に3項目の要望を出したとの報告もありました。それも、尼崎市の生徒や保護者が抱く不安に対する事後対策です。
県内では、明石、豊岡などの市教委は県教委に明確に学区拡大に反対の意思を表明しました。しかし、尼崎市教委はそうはしませんでした。しなかったのは、正式には、学区拡大を評価したことと同じです。
私は、市教委の県教委に対する従順さに、誰のための教育委員会なのかと疑問を持っています。尼崎の子どもたちと正面から向き合っているのか、上ばかり見ているのではないか、そんな思いです。
私は、厳しい受験競争に勝ち抜くことが、本来の教育目的ではないと考えます。もちろん、人生を豊かに、生きるためには、教育は欠かせません。人生には、さまざまな困難がつきものです。そういう時に、どう生きるか、どう考えるか、困難を抱える人がいれば、どう支援できるか、連帯して生きるために様々な知恵を出しあい、共に生きる力を強くするためにこそ、教育が必要です。
私が、産業高校に入学し、社会科の最初の授業で、先生が「君たちは何で勉強するのか。君たちのお父さんやお母さんは微分や積分や化学の反応式を今でも覚えているか。英語が喋れるか。そうでなくても、一生懸命働いて、君たちを育てているではないか。君たちは、何のために、高校に入学して勉強するのか」と問われました。答えがわかりませんでした。その先生は、「若いときに、いろんな科目を勉強して、しっかり、脳みそを鍛えることが大事だと先生は思う。人生には、いつ、どんな困難に出会うかわからない。そんな時に、どうすれば良いか。どう解決するか、君たちのように若いうちに、いろんな勉強をして脳みそを鍛えることにより、解決できる力をつけることができるのだ」といわれました。
また、物理の最初の授業では、「物理とは書いて字のごとし、物事には、理屈がある。道理がある。それが何かを見つけたり、考えたりする力をつけるのが物理を勉強する事なんだ」と言われたことも忘れられません。
53年前の高校1年生の時に、受けた最初の授業での先生方の言葉には、競争に勝つことが目的だという思想が全くありません。これら、先生の言葉の中にこそ、教育の真の目的があると私は今も思っています。
尼崎の子どもたちが、友達と協調しながら、一緒に成長していこうと連帯の中で学ぶ喜びを感じられる教育、そのために、少人数での丁寧な教育、自ら考え、自ら課題を解決する力を養い、人格成長を促し、自己肯定感情と合わせて、他者への思いやりを育てることこそが教育の大切さです。
それに支障をきたすような制度改正等が提起されれば、それこそ、体を張ってでも、子どもたちを守る姿勢が求められるのが教育委員会ではないのでしょうか。
学区拡大に異論を言わず、事後対策の実施で対応する姿勢は、本当に子どもたちのための教育委員会の姿勢とは思えません。
質問
市教育委員会は、保護者も、教師も何よりも生徒が心配するような学区拡大になぜ、反対する取り組みをしなかったのでしようか。
また、学区拡大の何を評価したのか、それは、市教委として、受験対策を講じる予算まで計上しなければならないほどの弊害が出ることを承知の上で、それを上回る効果が認められるとしての評価なのか、説明願います。
答弁
県教育委員会が平成24年12月20日に公表いたしました「新通学区域に係る公立高等学校の入学者選抜の改善について」は、生徒によっては行きたい高校の選択幅が広がること、それぞれの高校がなお一層の特色化・魅力化に向けて努力すること等から、一定の評価ができるものと考えております。
今回の制度変更は第2志望が志願変更できることにより、「その他校希望」に変わる一定の役割を担うとともに、「その他校希望」による遠方への通学の不安が解消されるものと理解しております。 ご指摘の「高等学校通学区域再編に伴う進路対策事業」につきましては、1学期と2学期に中学3年生を対象とした2回の学力調査を実施し、生徒自身が自らの学習課題やその対策を明確に把握することで、夏季休業中や放課後等に学習会を実施し、その後の進路目標に向けた自主的、計画的な学習につなげていこうとするものであります。合わせて、各中学校における評価の検証を行い、進路指導の充実を図るものであり、これらの取組みを通して本市の中学生の学力向上に効果が上がるものと考えております。
次に、学力向上策についてお尋ねします。
全国共通学力テストの結果からも、「尼崎市は教育水準が低い」と言われ続けてきました。学力向上クリエイト事業に取り組み、基礎基本は全国平均に近づきつつあると説明されています。基礎基本こそ大事あり、それをベースにしてこそ、活用力・応用力を高めることもできます。競争に打ち勝つためでなく、心豊かな人生を送る力をつけるためにこそ、活用力・応用力を向上させることが必要だと思います。そのためには、一人一人の児童生徒に目が向けられる教師集団でなければなりません。学校現場は、主体的に学力向上に取り組むのに必要な人的配置を求めていると聞いています。
質問
学校現場から、学力向上のために求められている人的配置は、どの程度満たされているのか答弁願います。現場の要請に応えるべきではないかと思いますが、いかがですか。
答弁
義務教育における教員は、県費負担教職員であることから、学力向上に係る人的配置につきましても、基本的には、県教育委員会からの加配教員によるものであると考えております。
具体的には、現在、新学習システム推進教員が小・中学校に配置され、35人学級の実施や教科担任制、少人数指導に携わっており、また、児童生徒支援教員が配置され、支援を要する児童生徒にきめ細やかな学習指導や進路指導を行っております。
学校現場からの少しでも多くの教員の配置を行ってほしいとの要請を受けて、本市教育委員会も県教育委員会に対して現状以上の加配教員を配置するよう要望しているところでございます。
一方、本市独自の学力向上に係る対応として、学力向上クリエイト事業の中で、指導補助嘱託員を小・中学校に派遣しておりますが、人数に限りがあり、派遣校数は希望の半数程度となっております。
また、派遣されなかった学校に対しましては、大学生等の補助員の派遣や、予算面での支援などを通して、総合的に各学校に応じた学力向上を支援しているところでございます。
これで第1問目を終わります。
第2回目の登壇
都市の体質転換と言いながら、財政上の理由で、中学校給食に取り組めない、学力向上策に必要な人的配置もできないなど、必要であってもできない、こんな尼崎市になぜなったのでしょうか。
尼崎市議会議員の旅費不正使用事件が発覚し、市民の力で議会は、解散に追い込まれ出直し選挙となったのが20年前の1993年でした。当時の総合計画は、第4次全国総合開発計画に基づき、「にぎわい創生あまがさき」と銘打ち、阪神尼崎駅から市役所周辺までをシビックゾーンと位置付け、駅前を順次再開発する計画が盛り込まれ、公共事業推進をきわめて強く押し出した計画でした。駅前を開発し、「都市間競争」に勝ち、「税源の涵養」に資すると市幹部からどれほど説明されたことでしょうか。
しかし、出直し選挙の1年半後に阪神淡路大震災が発生。築地・戸ノ内などでおこった液状化の怖さを目の当たりにしました。被災市民は仮設住宅が建設されるまで、サンシビックや学校体育館での避難所生活を余儀なくされました。その震災から1週間後でした。避難所では、夜も眠れず、余震におびえている市民がいるにもかかわらず、阪神尼崎駅北側の市バス乗り場の上部を覆う、人工地盤の工事契約が三菱重工と交わされました。こんな時に、急がなければならない工事なのかと、大きな疑問を感じ、契約案件には賛成できませんでした。市財政を圧迫している駅前開発事業の先駆け的な契約でした。
阪神尼崎駅北側・中小企業センター東側の立体遊歩道は国道2号を北に渡ったところで切れていますが、もともとは、総合文化センターまでつなぐ計画でした。庄下川の西側、国道2号の南北にそれぞれ再開発ビルを建設し、総合文化センターと二つの再開発ビルと人工地盤の公園を立体遊歩道・空中回廊でつなぐのが阪神尼崎駅北側の開発計画でした。その開発事業のタネ地として大和銀行跡地も土地開発公社に買わせ、多大な借金と転売での損失を生みました。総合計画によって進められた開発事業に多額の財政支出をする一方で、公立保育所は、物干しざおを階段の手すりの代用にする、雨漏りはする、トイレは臭い、雨が降れば割れている樋から、雨水が噴き出る、あちらこちらガムテープで補修している、これが、党議員団が調査した公立保育所の実態でした。
1995年の震災後、全国の自治体では、学校耐震化を進めていましたが、尼崎市は駅前開発を優先し、学校耐震化には手を付けませんでした。
結果として、今になって学校耐震化を急がざるを得なくなり、中学校給食はじめ教育予算充実の大きな障害になっています。
駅前開発が今も深く大きな財政上の傷あとを残しており、それを進めてきた当局と議会の責任が問われます。
次に、地域循環型経済に関連してお尋ねします。
地域内で人とお金が循環する「地域循環型経済」は市長の選挙公約です。私も議会で何度か取り上げてきました。
大店舗法を廃止し、大店立地法の成立以降、大型店の出店が相次ぎ、市内の個人商店、市場、商店街が大打撃を受けました。市民が市内で消費したお金が、繰り返し、市内を循環していた構図が崩され、お金は市外の本社へと流れ、市内循環が低下し、市税収にも影響してきました。市場や多くの小規模商店街は、再興不能に近い状況になっています。市民の消費行動が対面販売方式から離れていることは事実であり、市民の消費行動を変えて、市場商店街に元気を取り戻すことは、かなり厳しいと思えます。
質問
市長が、地域循環型経済を目指すと公約された理由をまずお聞かせください。また、地域循環型経済を目指すために、どういう点に力を入れて政策化しているのかお尋ねします。
答弁
本市は、交通アクセスに恵まれ、多くの産業が息づくまちです。
私は、こうした尼崎の強みや魅力を活かして、コンパクトで環境や経済、また社会的にも持続可能なまちづくりを進めるためには、地域内におけるヒトと経済の好循環が重要であると考えたものでございます。
その地域循環型経済を目指すための一つの手段として、「尼崎版グリーンニューディール」に取り組んでいるところであり、「自然エネルギーの推進」、「すまいと交通」、「スマートシティ」といった3つの重点テーマに基づき、毎年度、施策・事業を積み重ねていき、「環境と産業の共生」と「地域経済の好循環」を目指してまいりたいと考えております。
私が住宅リフォーム助成制度の実施を求めた昨年9月議会では、「中小企業への支援は必要。現在の支援策は、融資制度のみである」「地域内で経済が循環し、持続的な発展を遂げていくためには、効果的で適切な取り組みによる底上げが必要であり、限られた財源の有効活用などから住宅リフォーム助成制度にとらわれず、検討していきたい」との答弁でした。
消費不況の中、市内商店での買い物を後押しする意味からも、市内商店街などでのみ活用できる商品券での助成も含めれば、さらに経済波及効果が高まり住宅リフォーム助成制度は地域経済活性化に寄与できると考えます。
2012年度から、『太陽熱温水器』、『エコウィル』、『エネファーム』などの設置に補助する制度を実施したところ、約8割が市内事業者の施行であり、地域経済の活性化に寄与している、と、市長が施政方針で述べられました。化石燃料の使用を節減できる環境対策として、大阪瓦斯が普及に努めているものですが、経済効果の波及範囲は狭いと受け止めています。
また、新年度は、エネファームなどの事業継続と市内事業者への発注を前提とする新たな取り組みとして、市場商店街の照明をLEDに変える際の助成を行うとしています。これは、節電目的のものですが、きわめて範囲の狭い特定事業者が対象で経済波及効果が少なく、地域循環型経済への貢献度は、低いと考えます。
質問
同じ投資であっても、地域内への波及効果の大きい投資の仕方が、地域循環型経済の促進にもつながるものと考えます。その点からも、住宅リフォーム助成制度を考慮したのでしょうか。していないとすればその理由も合わせてお答えください。
答弁
ご提案の『住宅リフォーム助成制度』につきましては、単独での検討は、いたしておりませんが、新年度予算に計上いたしました「小規模太陽光発電設備に係る固定資産税の課税免除」につきましては、国の方針としても再生可能エネルギーの普及促進を図るため、平成24年7月から3年間の、電力の固定価格買取制度の優遇措置がスタートしており、極めて優先度の高い事業であると考え、実施しようとするものです。
この事業におきましても、工事施工については、市内業者を基本とすることにより、地域内経済循環の効果を高めてまいります。
このように、『住宅リフォーム助成制度』に限らず、環境と産業の共生をテーマとした取り組みや、財政的な負担の少ない手法により、地域経済の好循環を目指すなど、これまで同様、今後も幅広い取り組みについて検討してまいります。
私の自宅は、太陽光発電を設置するには、あまりにも小規模だと認識しつつも、使用済み核燃料の最終処理ができない原発への抵抗と地球温暖化対策から、再生可能エネルギーへの切り替え要請が必ず大きくなると思い、また、その効果を見たいと、早い段階で、2kwときわめて小規模ですが、太陽光パネルを取り付けました。現在、売電が買電を上回っています。福島原発事故を経験し、原発をやめ、化石燃料の使用を大きく減らすためにも再生可能エネルギーへの切り替え促進は、時代の要請です。大きな屋根のお宅をみては、もったいないなあと思います。市民に対する助成制度の拡充は不可欠の課題です。
2013年版の「尼崎版グリーンニューディールの基本的な考え方及び、具体的な取り組みついて」によると、①コンパクトで持続可能な街づくりの推進、②世界的経済不況・雇用不安・原発事故があったことで、省エネと再生可能エネルギーの推進が求められている、と、尼崎版グリーンニューディールを推進する意図を述べています。2013年度の施策では、個人事業者も含めてはいますが、企業に対する太陽光発電設置支援が中心です。市民の環境・エネルギー問題に対する関心を高めることに直接つながる、個人住宅への設置促進に取り組むべきです。
また、デフレ不況対策には賃金引き上げが、大きな政策課題になっています。太陽光発電そのものの設置に要する費用とトータルとしての電気代節減効果との差し引きは、どのくらいかよくわかりませんが、いまの不況時に月々の電気料金が少なくなったり、売電が買電を上回るなどは、賃金引き上げと同様の効果があり、地域経済に与える波及効果も大きいと考えます。
国は、「工業統計調査」の対象から従事員3人以下の零細事業者を外してしまいました。地域経済活性化、地域循環型経済といっても、零細事業者は融資以外では、対策の対象にもしていない市の姿勢は、統計すら取らない国と同じで、個人や零細事業者には目を向けていません。環境施策の対象が限定されすぎており、極めて偏った対応となっています。
質問
個人住宅への太陽光発電の設置にたいする助成事業を予算化しなかったのはなぜでしょうか。
答弁
本市では、国の補助制度が無かった平成19年度に住宅向け補助制度を開始し、平成21年度までに434件の補助を行いました。
現在では、国の住宅向け補助制度や固定価格買取制度に加え、平成21年度にはキロワットあたり60万円を越えていた設置費用も40万円台と大きく下落し、普及が大幅に進んでいます。
このことから、住宅用への普及の道筋はついていると考えており、今後は一定の発電量が見込める、10キロワットから50キロワットの太陽光発電について導入を促進してまいります。
弱者への平等な対応について
高齢の生活保護世帯のうち、年金や給与収入がある人には、熱中症対策として、クーラー購入費用を社会福祉協議会から借り入れができ、借入額は、収入認定しません。社協への分割での返済金も、年金や給与収入から返済するので、返済額分だけ収入が少なくなるとして、その分、保護費の給付額が増額されます。年金収入や給与収入のない生活保護世帯には、社協は購入費の貸付をしませんし、クーラー設置費用は保護費から給付されることもありません。同じ生活保護世帯であっても、年金収入などの有無によって、実質自己負担の有無が決まるというずいぶん差別的な扱いです。言われている理屈は、一応、理解はしますが、実質的には不公平そのものです。
敷地に余裕のある住宅に住んでいる市民対象には、エネファームなどへの補助制度があり、地域経済の活性化に寄与していると市長は述べました。
高齢生活保護世帯の方の熱中症予防のためのクーラー設置支援は、命にかかわるものであり、市内業者から購入、設置することを条件にすれば、市長が言われるように、地域経済活性化に寄与することにもなります。
質問
最低生活を余儀なくされている高齢者の熱中症の予防対策として、クーラーは命を守る重要な対策です。それを分割で購入できる対策、もしくは、現物給付、現物貸付を検討すべきです。年齢的弱者かつ経済的弱者である高齢生活保護世帯に対して、何らかの対策を実施するよう求めますが、いかがですか。
答弁
高齢者にとって生活保護世帯かどうかを問わず、熱中症予防対策として、エアコンの活用は有効な手法のひとつです。
しかし、現行制度上、基本的には他の家財道具と同様に月々のやりくりを通じた、基準生活費の中で賄っていただくものであり、国の枠組みを超えて市独自に個人給付等の事業を行う考えはありません。
市は、財政難を理由に、職員を削減し、指定管理者制度をはじめとして市外の企業への委託や発注を拡大しています。
市の支出総額が同じでも、市が消費した額のうち、市外に流出する額が多ければ多いほど、市内で循環し、地域経済を活性化させる原資が減り、地域経済にとっては、望ましくありません。
市長は、当選後の所信表明で、地域内で人とお金が循環することが必要だと述べておられます。つまり、地域循環型経済にということです。
質問
市内外を問わず、委託化は低賃金化を促進させ、特に市外企業への発注は、地域内で人とお金が循環せず、市内雇用にも市税収入にも良い影響が出ないと考えます。結局、より一層市財政を厳しくし、悪循環です。地域循環型経済の公約にも反すると考えますが、いかがでしょうか。
答弁
委託化を推進する、いわゆるアウトソーシングの取組につきましては、民間の専門的な知識やノウハウを活用することにより、行財政運営の効率化や市民サービスの向上を図る観点から、取り組んでいるものでございます。
また、その取組にあたりましては、地域経済の活性化といった観点から、これまで契約制度において、市内事業者や市内団体に対して、一定の優先措置を講じているところでございます。
そのような中、「あまがさき『未来へつなぐ』プロジェクト」におきましても、税収の安定・向上につながる取組として、地域内で経済が循環する取組を促進することを掲げており、今後、さらに地域経済の活性化につながる効果的な取組を推進してまいります。
次に市の計画の進め方の混乱についてです。
市職員の大幅な削減で市の財政危機を乗り越えようとするところに、市行政の混乱の原因があると思えてなりません。
その一つが公共施設の最適化再配置問題です。
私は、子どもを出産した後、母親よりも中央保健所の保健師さんを頼りにして、子育てをしました。予防接種や定期検診の受診も欠かさず受け、教えられた子育てのノウハウは本当にありがたく、保健師さんが身近な保健所におられ、いつでも気軽に相談できる安心感は何にも代えがたいものでした。
しかし、残念ながら、保健所に続き、2006年度には保健センターも一所化され、福祉事務所も6所から1所に集約されました。
職員を減らすために、6福祉事務所から1所に集約したものの、保護率は、先に述べたように、現在では、4%を超え、この異常な増え方が1所ではスムーズな事務ができないとの事態を招いています。
2009年度に施策評価委員会が「公共施設の今後のあり方について」を提言し、労働福祉会館の廃止を打ち出しました。2015年度をめどに、労館大ホールの代替ホール、中央公民館、南部3支所の地域保健担当、地域福祉担当を集約する保健センター、福祉事務所を1所から2所にして、うち1所を入れるなど6階建ての複合庁舎を市役所南側の駐車場に建設する案が議会にも示され、その後、6階建てから5階建てへの変更もありました。
労館の存続を求める市民運動が高まる中、大ホールを備える複合庁舎の建設計画が市民にも説明され、労館廃止に向けて、市は極めて精力的でした。市民合意のないまま、この3月限りで労館を廃止する条例が昨年の2月議会に提案、多数決で可決されました。ところが、この2月に複合庁舎の建設そのものが財政的に無理だとして白紙にされました。
これほどずさんな計画の進め方があるのだろうか、それも、労館をこの3月に廃止すると決めた後でのことです。
6階建てだといいながら、5階建てと聞いた時も、考えられないお粗末さだと思いました。ところが、建設を白紙にすると聞いたときは、驚きを通り越して、今の尼崎市は一体どうなっているのか、そのずさんさに愕然としました。前代未聞の醜態です。複合庁舎建設を含めての市民説明会は、一体何だったのかと、市民の厳しい批判の声が湧き上がっています。市長は、計画確定前から、市民の意見を聞いて決めると公約し、市民説明会やパフリックコメントに取り組んでいるとするなかでのことです。
多くの市民は、労館の存続を求めてきました。複合庁舎の建設を求めてきたわけではありません。しかし、明確になったのは、労館の廃止だけです。
このような状況を考えると、支所と地区会館を合築する計画も露と消えてしまうかもしれないと懸念を抱いてしまいます。
複合庁舎の建設を白紙撤回せざるを得ないのであれば、その裏付けになる財政的説明を明確に行うのが責任ある仕事の進め方です。計画変更の背景になっている財政的説明の資料を会派として要求したところ、詳しい資料はないとの返事で、いまだに何の資料も提出されていません。
質問
合理的な説明がない、これほど無責任な行政運営はありません。複合庁舎の建設案を市民や議会に説明する限り、それなりの財政的裏付けを持ってのことと考えます。それを説明してください。また、それが、無理だと判断したのですから、変更前後にどんな財政事情の変化があったのか、それも説明してください。
財政的なことも含めて、どの部署が責任を持って、市民や議会に提示できる計画を練り上げ、そして、撤回したのか、明確な答弁を願います。
答弁
第2駐車場の複合施設建設を含む公共施設の最適化に向けた取組については、従前は企画財政局が、今年度からは、新たに資産統括局が中心となる中で、組織横断的に検討を進めてきたところでございます。
第2駐車場の複合施設につきましては、施設の総量を圧縮することにより、維持管理コストの削減を図るとともに、集約等により生じる跡地を売却することで、建替え等に要する財源を一定確保するという基本的な考え方に沿って、取組を進めてまいりました。
しかしながら、昨年10月に「次期行財政改革に係る計画」の素案を策定するにあたって、改めて直近の収支状況を精査いたしますと、毎年50億円前後の実質的な収支不足が続く、厳しい状況が見込まれ、今後の財政運営を考慮した上で、当画は土地売払い収入についても、市債の償還等に充てざるを得ないと判断し、将来の負担も十分見据える中で、第2駐車場での複合施設の建設については、より経済的で効率的な配置となるよう見直すこととしたものでございます。
日本共産党議員団は、従来のように、6支所体制で、支所機能と地区会館機能だけの集約でなく、保健センター機能、福祉事務所機能をも合わせて集約させることが利便性からも、まちづくりで重視されている近隣住区論から見ても、妥当だと考え提案しました。しかし、去年9月議会での答弁では、6福祉事務所体制から1福祉事務所体制にしたことで、元の6福祉事務所に戻すに必要な職員配置ができないとのことでした。その根本は市財政難です。
次に労働センターにある「しごと支援課」の移動場所についてです。
労働センターで行っていた「しごと支援課業務」は、出屋敷リベルの3階に移転するとの説明を受けました。
同床は、大手企業の2社が保有しており、固定資産税も共益費も一切滞納がないとのことです。あき床になっていても、市にも尼崎都市開発㈱にも、何ら財政上の問題は起こりません。体力のない個人の区分所有者ではなく、体力のある大企業です。それこそ、自力で、床の利用を検討したり、テナントを誘致する能力もあります。
リベルよりも旧開明小学校跡のほうがバスも電車も便利です。開明小学校跡は公有財産であり、家賃を支払わずに済みます。現在、市は、徹底して、経費削減に次ぐ経費削減です。なぜ、わざわざ、家賃の必要な場所への移転を決めるのでしょうか。
会派の予算勉強会では、財政当局は、一切説明してくれませんでした。軽々にいうのは、はばかる気もしますが、リベルの床を所有している大企業の要請に応えてのことではないのかと思わざるをえませんし、納得できる明確な説明がないことを考えると、リベルへの移転は、行政トップクラスの特別の指示かもと思えて仕方ありません。
質問
しごと支援課の移転場所は、財政上からも交通利便性からも、旧開明小学校の空き教室を活用するほうがよいと考えます。この2点についてリベルのほうがすぐれているとする理由をわかりやすく説明してください。年間、約1100万円もの家賃支出について、どのように考えているのか。なお、共益費は、床所有者が負担するのか、それとも市が負担するのかいずれでしょうか。家賃負担以上の効果があるとする理由をお聞かせください。
答弁
無料職業紹介や労働相談の窓口業務を行う「しごと支援課」事務室の移転先につきましては、複数の施設について検討を重ねてまいりました。その中で開明庁舎につきましては、エレベーターの新規設置や雨漏りの施設改修、階段、廊下の整備などを含めまして、初期投資経費として1億5,000万円程度の工事費が必要となります。
一方、「出屋敷リベル」につきましては、移転に係る工事費(5,800万円程度)のほかに、家賃としての使用料は、年間で1,100万円程度必要となりますが、管理費用(修繕積立金含む)は使用料に含まれております。
また、「出屋敷リベル」は、阪神出屋敷駅に直結し、かつ駅前広場に面しているなど、交通利便性も高く、利用者や市民の認知度も高い施設であるとともに、1フロアで一体的な床の確保も可能となります。
さらには、「出屋敷リベル」への移転により、再開発ビル空き床の有効活用や地域の活性化にもつながると考えられます。
これらのことから、総合的に判断し、「出屋敷リベル」に、「しごと支援課」の事務室を移転することを決定したものでございます。
次に保育所の民間移管問題です。
大島保育所の民間移管に関しては、市民が2つの裁判に訴えています。その裁判の決着がつかない間に、民間移管を進める条例を提案し、議会は可決。そして、立花南保育所も、廃止条例が出され、党議員団以外の賛成多数で可決。その後、保護者が提訴する、こういう経過を経て、受託法人を募集。その後に、受託法人から辞退の申し出という異例なことが起こりました。上ノ島保育所の移管時期についても、条例変更せざるを得ない事態を生みました。
なぜ、こんなことが連続して起こるのかです。私たちは、公立保育所の存続を求めているので、民間移管がスムーズにいかないことに問題意識を持っているわけではありません。到底理解できない事態が起こっていることに、仕事の仕方、行政運営上の問題として危機感を持っているのです。
今、3つの保育所裁判があり、担当部署は、それへの準備にも時間を費やさざるを得ないでしょう。裁判への対応に加えて、民間移管計画を同時並行に進める市の方針にこそ、無理があるとの思いを強くしています。
今回の立花南保育所の民間移管決定法人の辞退問題は、担当部署が処理しきれないほどの事務を担っていることからくる対応の不十分さ、また、市民との信頼関係が崩れていることに対する精神的負担が精緻さに欠けるしごとの仕方につながっているのではないかと推察します。市長以下、幹部の責任が問われる問題です。
質問
保護者の合意が取れる、取れないにかかわらず、民間移管計画を強引に進めていることにこそ、立花南保育所の受託辞退の根本的な原因があると考えます。市長の見解を伺います。
とにかく、市民との合意が取れないまま、まして、裁判が継続している間は、強引に進めることは、本来中止するべきです。答弁願います。
答弁
市政運営において、市民の皆様と様々な政策や課題について合意形成を図ることは非常に重要なことであると認識しております。
この認識のもと、大島保育所においては、訴訟が提起された以降においても、複数回にわたり父母の会会長等との話し合いや説明会を実施し、保護者の皆様の不安解消を図るとともに民間移管への理解を得るよう協議の場を設けるための努力を続けてきたところであり、現在進められている移管法人選考委員会においては、保護者の方々に法人選考委員として参画をしていただいております。
また、立花南保育所においても、一部の保護者から訴訟が提起されましたが、保護者が法人選考委員に参画されない場合においても、選考過程において一定の条件のもとで保護者が意見を述べることができる機会を設けるなど、民間移管の取り組みに当たりましては、誠意をもって、保護者の皆様の理解を得られるよう努めてまいりました。
2保育所の民間移管において、本市を提訴されたことにつきましては非常に残念であると考えておりますが、0歳児保育など多様化する保育ニーズに対応しつつ、効率的な保育行政を図っていくためには、引き続き公立保育所の民間移管を進めていく必要があると考えております。
市民のためになる仕事ができる職員を育てることもなく、ただ、財政削減論からの職員削減で、市役所が本来持たなければならない機能すら、持てない状況にしてしまっています。国の職員削減方針を無批判に受け入れてきた市長以下幹部の責任ではないかと強く指摘します。
次に市バス問題です。
昨年7月の公営企業審議会の答申に基づいて、12月には尼崎市バスの民営化を進めるにあたっての取り組み方針の素案が示され、民営化は既定の方針として、取り組みが進められています。
2010年度に、敬老パスが有料化されたことにより、乗客が減少し、市バス会計は、一気に悪化、結局、自治体でいう財政再生団体への転落を回避するために、市は、翌年度に、3.5億円を追加補助せざるを得なくなり、一気に、民営化に拍車がかかりました。
公営審の答申では、「民営化の移行に際し、バス交通サービス水準の維持、確保に向け、事業者と協議を行い、協定を締結すること」としています。どんな内容の協定にするかが、これからの大きな課題です。
公営企業と民間交通機関との決定的な違いは、市バスでは、これまでも、黒字路線で上げた利益を赤字路線に補てんするにとどまらず、市民のために、路線の維持の必要性があると判断して、経営補助をしてきました。路線も不十分ながらも可能な場合は市民の要望を取り入れても来ました。しかし、民間になれば、利益を上げられなければ、バスを走らせる意味がなくなります。公共交通だからそんな恐れはないとの意見も聞きますが、現実に、路線はあっても便数を極端に減らしている事実が他都市であります。
党議員団は、市には、市民の移動の権利を保障する義務があり、公共性を維持し、バスネットワークとサービスを守ること、バス事業に対する市民や議会の意見を反映できるようにすることなどから、市バスの民間移譲には反対です。
そして、それがきわめて困難であれば、少なくとも、市が責任を果たすうえで、尼崎交通事業振興㈱を担い手にすることを求めてきましたが、公営審では、完全民営化が答申され、特別委員会等では民営化に向かっての報告 議論が行われてきました。しかし、「尼崎市自動車事業の設置に関する条例」を廃止する条例を可決しておらず、現在は、まだ、民営化は正式決定ではありません。しかし、新年度予算案には、市バスの民営化を前提にした市バスの累積債務を3年間で解消する民営化補助金2億8200万円、移譲先選定委員会の予算として、33万1千円が計上されています。
質問
「予算は法的な根拠に基づくもの」でなければなりません。市バス廃止を正式に決定していないにも関わらず、2億8200万円以上もの民営化関連予算を提案するのは、妥当なやり方ではないと考えます。市長の見解をお尋ねします。
答弁
市営バス事業の今後のあり方の検討にあたりましては、公営企業審議会を設置し、幅広いご審議を行っていただき、民営化を目指すことが妥当であるとの答申を受けました。
この答申の趣旨を踏まえ、この度、市として、市営バス事業の民営化に向けた取組方針をまとめました。
審議会でのご審議から市の取組方針の整理に至るまで、その検討過程における節目節目で、総合計画等特別委員会において議会のご意見も十分お聞きする中で、取組を進めてきたところでございます。
これら一連の取組の中で、市民から、路線等サービス水準の維持、確保に対する不安の声が多く寄せられたことなどを踏まえ、まずは、移譲事業者を選定し、移譲後のバスサービス水準について、市民の皆様に具体的にお示しし、安心して頂いた上で、自動車運送事業の廃止条例について、ご提案させていただくことが望ましいものと考えております。
次に切実な医療問題についてお尋ねします。
国民健康保険についてです。
現在、手元に国民健康保険証のない世帯は7,639世帯です。ざっと12,500人ほどは保険証が手元にありません。
国の問題であるTPP参加については、極めて大切な国民皆保険制度が壊されると日本医師会も反対しています。もちろん、私たちも反対です。
しかし、現実に国民皆保険を保障する国民健康保険の保険料が高すぎることで、保険料を払いきれず、保険証が手元にないというのは、国保制度の根本にかかわる問題であり、この異常さを改善するのは行政の責任です。
質問
例年、同じ所得、同じ家族構成で比較すると、尼崎市の保険料は、他都市に比べていつも、高いのが実態です。負担能力以上の負担を強いていることが、手元に保険証のない市民が12,500人ほどもいる主要な要因だと考えます。市長の見解はいかがでしょうか。
答弁
国民健康保険制度につきましては、市町村単位で運営していることから、医療費や一般会計繰入金の状況のほか、1世帯あたりの被保険者数や所得状況等により、保険料率は市町村によって異なります。
本市国保は、被保険者の所得が他都市に比べ低位にあることから所得割料率が大きくなる構造となっており、同一所得・同一世帯人員で比較した場合、阪神間各市より高い保険料となる傾向にあります。
こうしたなか、本市国保といたしましては、極めて厳しい財政状況ではございますが、保険料軽減財源である財政健全化4億円に加え、基準総所得に占める保険料負担率に着目した特別減免を平成23年度から創設し、負担率20%を超える最も負担感の大きい層に減免を適用するため、新たに一般会計繰入金約2億円を確保し、保険料負担の軽減に努めております。
なお、ご指摘の短期被保険者証の未交付の解消につきましては、平日の時間内に来庁できない方のために、年間3回の休日開庁などにより納付相談の機会を確保するとともに、推進員の未納世帯訪問時・の納付相談の中で、未交付の解消に向けた取組も実施しております。
今後とも、保険料負担の公平性の確保を図りながら、保険証の未交付の解消に努めて参ります。
質問
国保法第44条では、一部負担金の軽減ができますが、改善されたとはいえ、利用できる条件が厳しすぎます。44条の縛りから離れて、市独自の条件緩和が必要ですが、検討はしてきているのでしょうか。
答弁
国民健康保険法第44条に基づく一部負担金減免制度は、災害や失業等により収入が著しく減少し、生活が困難となった場合、それらの事情を特別な理由として、一定の期間、一部負担金の減免等の措置を採ることができるとするものです。
本市の制度におきましては、平成23年4月に、保険料滞納世帯や、収入が生活保護基準の世帯に対して対象を広げるなどの制度改正を行ったこと、さらに、平成24年4月からは、阪神間他都市の実施状況等を踏まえ、所得激減の判定基準を前3か月の平均収入から、直前1か月の収入に見直すとともに、減免期間を3か月から6か月へ延長するなど、適用範囲を拡大したところでございます。
現時点において、更なる適用範囲の拡大は困難と考えておりますが、引き続き、福祉施策における他の制度など、関係各課との連携を図る中で、丁寧な対応を行うとともに、今後とも、本減免制度が、より効果的に運用されるよう、市民周知に努めてまいります。
尼崎医療生協と阪神医療生協で無料定額診療事業を実施しています。
健康増進事業で、低所得の糖尿病患者の治療中断を防ぐためとして、受診とインシュリンに対する助成制度を実施することを評価します。しかし、それだけでよいのでしょうか。無料定額診療事業による受診者は、切羽詰まった状況の患者が多いのが実態です。薬は院外処方が通常で、薬代には適用されないために、治療が完結しない問題を残しています。
質問
無料定額診療事業における院外処方の薬代への助成制度を実施しない理由は何でしょうか。糖尿病患者への補助と同様、無料定額診療事業の院外処方の薬にも助成すべきと考えます。答弁願います。
答弁
現在、国におきまして、無料又は低額な料金で調剤を行う事業が第二種社会福祉事業として位置づけられていないため、そうした事業実施に意欲のある薬局がありましても実施できず、無料低額診療の実施医療機関で診療を受けた方も、院外処方の薬は無料低額になりません。
こうした部分への対応策として、市単独で薬代の一部助成を行うといった新たな制度を創設することは、本市の厳しい財政状況の中では困難であると考えておりますが、無料低額診療事業における薬代の考え方や事業の検討状況について、改めて国に確認して参りたいと考えております。
これで第2問目を終わります。
第3回目登壇
市バス民営化に関連しておたずねします。
市バスの完全民営化に向けては、市民の移動の権利を守る方策が担保されるかの検討が必要です。
受託業者との協定内容の充実、そして、協定期間終了後の取り組みに市がどう関与できるかの議論も合わせて重要です。
市が7割、交通労組が3割、出資し、尼崎交通事業振興㈱をつくってきた経緯があり、市バスの経営を守るために、給料の安い振興㈱に運転委託してきました。そのために振興㈱は運転手を採用し、75人の運転手がいます。乗客への心配りができる運転手が多いのが特徴です。市には、出資者として、同社の労働者の雇用を守る責任があります。振興㈱の賃金の安い労働者により、市バスを維持してきたことを無視することは許されません。
公営審の委員の中には、民間バス業界の代表もおられ、「民営化に備える対策もできる」と発言しています。市民の移動の足と振興㈱の労働者を守るために、移譲にあたっての協定期間はできるだけ長くすることが必要ですし、協定には、最低、次の内容を盛り込むことを提案します。
質問
・現行の路線とダイヤを変更しないこと
・市民サービスを低下させないために市バス発足当時から堅持してきた定額運賃制を維持すること
・運賃値上げをしないこと
・協定期間以降も、市民アンケートを取り、市民の意見を聞くシステムをつくること。
・移譲を受ける民間会社は振興㈱に運転委託することを条件にすること。
・尼崎市内はノンステップバスと車いす乗車が可能なバスを使用すること。
・高齢者の乗車人数にかかわらず運行経費にはほとんど差がない。敬老パス制度を無料に戻し、仙台市が行っているように、市が民間バス会社に負担する金額は協議して、定額制にすること。
・市の広報を車内に掲示する際は、無料にすること。
・車体に企業の広告を取り付ける場合は、一定は市内企業にし、市内企業には割引を行うこと
・市バスで実施している各種乗車券を同様に販売すること
などです。
答弁願います。
答弁
協定書は、市営バス事業の移譲にあたり、移譲時期や対象路線、移譲後の運行サービスの内容等について、移譲事業者との間で取り決めておくものでございます。
そのなかで、移譲時の路線やダイヤ等運行サービス水準につきましては、移譲から3年間維持することを運行条件とする考えでございますが、あわせて、公共性の確保に向けた協議会への参加や利便性向上への取組、赤字路線維持のための補助金についての規定などにつきましては、期間を定めることなく、将来にわたって取り決めを行う考えです。
なお、事業者の選定にあたりましては、プロポーザル方式により行うこととしておりますが、提案のあった内容も踏まえつつ、公共性の確保を基本に、民間事業者の経営の自由度にも十分配慮する中で、今後、協議・検討してまいりたいと考えております。
切実な市民要求も実現できない尼崎市にとって、最大の障害は財政問題です。市としても、しっかり、地域循環型経済を推進させ、地域内再投資力を高める取り組みが必要です。
合わせて、日本全体のデフレ不況克服のために、国の方針に沈黙していてはだめです。
日本の雇用者報酬がこの14年間で12%もさがっているのは、ベースアップがないからばかりではありません。非正規雇用の急増が大きな要因です。1980年代から1990年代の前半までは、非正規労働者は、労働者全体の1~2割程度でしたが、今や、35.5%までになっています。ドイツ、フランスが15%、イギリスの6%に比べると、日本の異常さは際立っています。
賃下げ、非正規雇用の拡大がデフレ不況の悪循環を作り出し、その上に、高額所得者、富裕層や大企業などへの優遇税制のために、税収が落ち込み、それに加えて、尼崎市特有の過去の財政運営のまずさが、市財政をとことん厳しいものにしています。
市民生活の改善に必要な財源を確保できる道に進まなければなりません。私は、つねづね、国も市も多額の借金財政だけれど、日本全体が貧乏ではない、お金はあるところにあると内部留保や税制の矛盾を話しています。労働者が働いて、生み出した富の配分と税のあり方に根本的な矛盾があります。
昨年12月議会では、大企業や富裕層への減税などによる税収不足を消費税で穴埋めする不合理さについて質問しました。安倍政権が進める方向には、社会保障制度の大後退も含まれており、市民生活は、より一層厳しくされます。国政のあり方を変えなければ、市財政の立て直しも困難でしょう。
市財政と市民の暮らしを守るために、国政に関連して質問します。
来年度からの10年間計画である“あまがさき”「未来へつなぐ」プロジェクト(案)が策定され、その第1章、「計画策定の背景および必要性」の最初にこれまでの行財政計画の取り組みがのべられています。それによると、
本市は、17年前の1996年度を「財政再建元年」と位置づけ、「行財政改革推進計画」等に基づき、職員定数の削減などを中心に財政の健全化に取り組んできたこと。
2003年度から2007年度の5年間は、「経営再建プログラム」を策定し、300項目以上の市民サービスなどを削減し、土地の売却や市債の発行など多額の財源対策を講じて現在でいう財政再生団体である「財政再建団体」への転落を回避してきたけれど、財政状況に明るい兆しが見えたわけではないこと。
そして、2008年度から2012年度・今年度までの5年間、財源対策なしで収支均衡を図ることを目標として、「あまがさき行財政構造改革プラン」を策定し、財政規律を守るとし借金返しを最優先の財政運営を行うために、わずか年間7万円の原爆被害者の会への補助金、行政協力員へのわずかな報奨金さえ削減するなどして当初計画の50億円以上の効果を上げたものの、当初の目標であった財源対策なしでの収支均衡は、はかられないままに現在に至る状況が書かれています。
この17年間で、もっとも顕著なことは、市職員数を削減するために、ごみ収集の民間委託の拡大、学校給食調理業務の民間委託、保育所の民間移管、公立幼稚園の削減計画、各種公共施設の指定管理者への委託化や2000年度から実施された介護保険事業にみられる福祉事業の民間参入の拡大です。それと同時に、各種の福祉施策が打ち切られ、使用料・利用料の引き上げも行われてきました。
緊縮財政一辺倒の行革をいくら進めても市の財政状況は改善せず、財源不足が続き、公共施設の再配置、市バスの完全民営化もその流れの中から出ています。
そして、「プロジェクト」では、過去のまちづくりにおいて発行した多額の市債等の償還が、今日の財政を圧迫している大きな要因であり、実質的な収支均衡を確保する状態には至っていないと過去の行財政運営の結果であることも認めています。
4ページでは、「こうした収支状況の背景には、所得の低い階層や年金収入のみで生活することが困難な高齢者が多いことから、経済雇用情勢の悪化や高齢化に伴って、生活困窮に陥りやすい人が多い都市の体質となっていること、また、税収面では、そのことが安定財源となりうる個人市民税の少なさにつながっていること、さらに、高齢化の進行に伴い、後期高齢者医療療養給付費や介護保険給付費が年々増加し、税負担の増につながっていることなど、本市の特性や高齢化の進行が税収、扶助費、医療費に影響し、それが硬直した財政構造の大きな要因になっていると考えられると」述べています。
私は、この4ページで述べている硬直した財政構造の要因を取り除くことがデフレ不況、市財政構造の改善にとって極めて重要な課題だと思います。
プロジェクトの3ページには、「本来、国の責任と役割において実施されるべき社会保障制度やその財源を保障する地方財政制度などについては、国の動向を見定める中で、国と地方の費用負担のあり方や市民生活へ与える影響等を勘案し、必要に応じて国へ働きかけていく必要がある」と述べています。ここに書かれている内容にとどまるのでなく、経済政策などについても、積極的に国に働きかけることが必要です。
安倍首相は、デフレ脱却策として、無制限の金融緩和、大型公共事業のバラマキ、大企業応援の「成長戦略」を掲げていますが、そのどれもがすべて過去の自民党政権がおこない、破たんがしてきたものばかりです。「危機突破」とは逆に、危機と矛盾を激化させるしかないでしょう。
「金融緩和策」は、安倍政権下で消費税増税に踏み切るための前提条件づくりとして登場したとみられます。1990年代以降日銀によって続けられてきた金融緩和が、「デフレ」の克服にも景気回復にもほとんど役に立ってこなかったことは明らかです。現在市中に供給されている通貨の量は国内総生産(GDP)比で26%にのぼり、アメリカの16%、ユーロ圏の18%と比較しても世界最高水準です。十分すぎるほど資金が供給されても、消費が低迷していて企業の投資先がないため、その多くは金融機関にたまっているだけです。銀行は中小企業には貸し渋りを続けています。ここにメスを入れない限り、いくら金融緩和をしても、実体経済はよくならないと考えます。
デフレ不況の最大の原因は、働く人の所得が減り続けていることです。デフレ不況から抜け出すためには働く人の所得を増やして経済に元気を取り戻すことです。
1997年からみると、企業の経常利益は63%も増えたのに、賃金は、12%も減っています。今こそ、賃金引上げが必要です。政府が持つべきは、物価目標ではなく、賃上げ目標です。日本共産党の国会議員団の繰り返しての質問により、それを認めざるを得なくなり、本気度が疑われますが、経済界への要請も行わざるを得なくなりました。
週刊エコノミストの編集長は、「安倍首相のデフレ脱却策を聞いていると、この人は国民の家計や雇用にどれだけ関心があるのだろうかという気になる。インフレ期待の醸成というが多くの国民の期待は賃金の上昇だ」と述べていますし、第一生命経済研究所の熊野秀雄氏も「1992年以来2%の物価上昇の経験は、原油高騰や消費税率引き上げを除いて例がない。持続的な賃上げ上昇を政府が誘導することが、デフレ解消には大きな威力を持つ」と主張しています。
質問
安倍首相が行うとする無制限の金融緩和、大型公共事業のバラマキ、大企業応援の「成長戦略」による物価上昇目標でなく、賃上げ目標を持つことこそ必要だと思いますが、市長のご見解をお聞かせください。
答弁
今回の国の緊急経済対策は、「『金融緩和』『財政政策』『成長戦略』により、長引く円高・デフレ不況から脱却し、雇用や所得の拡大を目指す。」こととされています。
こうした考え方に基づきました、今回の国の補正予算は、多額の公共事業が含まれており、国の長期債務残高の増加への懸念はございますものの、今回の国の補正予算や経済政策が功を奏し、働く意欲のある人たちに仕事をつくり、所得を増やすことに繋がっていくことが重要であると考えております。
増税や社会保障の負担増など、国民の所得を奪う政策を中止し、働く人の所得を増やす政治への転換が必要です。そうしてこそ、市の財政改善にもつながります。日本共産党は、そのために、次の3つの方法を提案しています。
第1にサラリーマン世帯の1か月分の給料を取り上げる消費税増税を中止し、年金や生活保護費削減など社会保障費の削減をストップすること。
第2に、賃下げや大リストラをやめさせること。大企業には、賃金引き上げ、雇用を確保するだけの体力があり、眠っている260兆円もの内部留保の1%程度を還元することで可能です。
第3に、暮らしを守るルールの確立です。正規雇用の拡大、最低賃金の大幅引き上げ、下請け中小企業の単価切り下げなど下請けいじめをやめさせることです。
質問
この3つの提案に対する市長のご見解をお聞かせください。市財政改善のためにも、これらを国に働きかけてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
答弁
消費税の増税につきましては、少子高齢化という人口構成の大きな変化などを踏まえ、年金制度や生活保護制度などが、将来にわたって持続可能な社会保障制度として確立していくための財源確保策として、国政において議論がなされ、既に法律として成立したものでございます。また、その法律の附則第18条では、消費税率の引上げに当たっては、経済状況が好転していることを条件としており、そのために総合的な施策を講ずるとされております。
そうした中で、先程申し上げましたとおり、国においては、実質経済を成長させることにより、地域経済を活性化し、それによって雇用の拡大や賃金の引き上げにつなげていこうとしているものであり、そうした、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
一気に多額の借金をし、集中的に行ってきた開発行政が、現在の尼崎市の財政悪化の原因ですが、その背景は、国の政治です。アメリカに求められるままに、13年間で630兆円もの大型公共投資を行うことを約束し、国は、公共事業を推進させるために、全国の自治体へ補助金や起債を通じて、誘導策を実施しました。本市も、それに乗っての開発推進だったことを肝に銘じておくことが必要です。市長には、同じ轍を踏まないように、国の方針が市政にどう影響するか、しっかり見極め、いうべきことは言い、市民の暮らしを守ることを強く求めます。
なお、ここで取り上げられなかった問題に関しては、分科会質疑、総括質疑を通して、質していきたいと思います。
以上で日本共産党議員団の代表質疑を終わります。