統一協会(世界平和統一家庭連合)が日本での政界工作などを韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁に報告した内部文書を本紙は入手しました。
文書は2021年の自民党総裁選を巡る情勢を細かく報告しています。
その中で総裁選候補だった高市早苗首相の名前も32回登場。高市氏に対する協会側の強い期待がうかがえる内容です。(統一協会取材班)
(写真)高市早苗首相の名前(着色部分)が繰り返し出てくる統一協会の「TM特別報告」(着色は編集部)
この内部文書は「TM特別報告」です。「TM」とは「True Mother(真〈まこと〉の母)」の略で、韓総裁のことをさします。
韓総裁は、夫で教祖・文鮮明(故人)とともに協会内でメシア(救世主)として位置づけられています。
入手した文書で高市氏の名前が最初に出るのは、21年8月12日付の徳野英治・日本協会会長(当時)による「書簡報告」です。
約1カ月後に自民党総裁選の告示を控えた時期で、当初は「党の要職を担ってきた実力ある女性政治家です」と報告しています。
次に登場するのは、総裁選投開票を1週間後に控えた同22日付です。
この総裁選では高市氏のほか、岸田文雄元首相、河野太郎元防衛相、野田聖子元総務相が立候補しました。
文書で徳野会長は「自民党総裁選挙の最新状況」として候補者個別の状況を報告。安倍晋三元首相が保守的、反共的な国家観、世界観を持ち「政治信条が近いという理由から、高市早苗元総務相をかなり熱心に支援しています」と述べています。「高市氏の後援会と私たちが親しい関係にあります」とも強調しています。他方で、統一協会と接点がある岸田氏か、もしくは高市氏が「総裁に選ばれることが、天の願いにかなう」として両氏をてんびんにかける報告をしていました。
投開票日2日前の同27日付には、安倍氏が高市氏を強く応援するあまり自民党議員から「反発が出始め」ていると説明。その上で、「安倍元首相が私たちに近い存在であるという観点から見れば、高市氏が自民党総裁になることが、天の最大の願いと解釈することもできます」と報告しています。
岸田氏が総裁に決定した後の同年10月1日付になると、安倍氏は河野元防衛相を総裁にしないため高市氏を応援したと指摘。安倍氏の「計算された高度な作戦」として、「結果的に岸田氏を当選に導いた」と韓総裁に伝えています。
文書からは、統一協会が自分たちに協力してくれる総裁が誕生するかどうかという視点から細かく選挙情勢を分析していた様子が浮かび上がります。
その中で自民党の最高実力者である安倍氏が後見する高市氏は、協会にとって“ベスト”の存在でした。
そもそも一宗教団体が、だれが総理総裁になるか、外国にいる指導者に逐一報告していること自体が異様です。そこには統一協会が自民党との癒着を利用して勢力を伸ばそうという狙いが込められています。
TM特別報告には安倍元首相や側近の萩生田光一幹事長代行ら有力議員への働きかけ、名護市長選など沖縄県内での暗躍が記録されています。
しんぶん赤旗では、3200ページを超す文書に記された闇の内容をシリーズで伝えていきます。




