おはようございます。日本共産党議員団の山本直弘です。
2023年度決算審査に当たり、川崎敏美議員と共に会派を代表して総括質疑をいたします。どうぞよろしくお願いします。
- 不登校対策事業について
不登校対策事業費として
、「個々の不登校児童生徒の要因・背景等を把握し、不登校 の未然防止、早期発見・早期対応につなげるとともに、多様な状況に応じたサポートを行う」とあり、その中の教育支援室運営事業で教育支援室「ほっとすてっぷ」、ハートフルフレンド、サテライト教室、校内支援室といった種類の違うサポート体制をしいて、今年度からはモデル校で校内サポートルームエリアを設置して効果検証を踏まえ、広げていくという事です。
また、2026年4月開校予定の、学びの多様化学校は全国でもまだ少ない不登校児童生徒のための中学校、「児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を編成して教育を実施することができる不登校特例校」を開校することは、増え続ける不登校児童生徒のための新たな学びの選択肢として大いに歓迎すべきものです。
教育委員会職員も全国の先進事例を視察することなどで、調査研究されています。何事も全く新しい大規模な事業を行うことは大変なことであり、様々な試行を伴うと思いますので、教育委員会の方々には敬意を表するものですが、学びの多様化学校の概要についてお聞きした中で、給食を実施しない方向であることが説明されました。
しかし、不登校特例校であるから一斉に給食をとることが困難であるということだけでは、市が施策評価に掲げる「健やかな体づくり」の目的にある「児童生徒の体力向上を図るとともに学校給食などの活用による食育の推進に取り組む」ことに矛盾するのではないでしょうか。保護者の方の負担軽減の観点からも、2023年1月から開始された中学校給食との公平性の観点からも、「学びの多様化学校」において給食の実施は必要なのではないでしょうか。
おたずねします。
Q1 給食を行わない方向に議論が傾いていると思いますが、これまでどのような議論がされたのですか。
答弁要旨
学びの多様化学校は、不登校児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を編成して教育を実施できる学校という特徴を持つ中、学校給食の実施についても、不登校児童生徒の置かれている様々な状況を考慮し、よりよい方法を模索するため庁内で協議してまいりました。
学校給食は、児童生徒の健康の保持増進や食育、また、保護者の負担軽減の観点から異議があるものと理解しており、そのため、本市の小中学校においては現在、学校給食を実施しているところです。
他方、学校給食は決められた時間に決められたものを食べる必要があり、時間的な制約が生じるものであることや、他者と一緒に食事をとることに対する不安への対応が難しくなること、また、その都度、給食を食べるかどうかを生徒自身に確認を行うこととなり、それらのことにより生徒に心理的負担が生じる状況が想定されます。
そうした学校給食のメリットとデメリットを考慮した上で、出来る限り行動の制限や心理的な負担を低減させた方がよいとの考えに至り、今のところ、学校給食法に基づく学校給食は実施しない方向とする一方、保護者の負担軽減も考慮しながら、生徒個々のニーズや状況に応じて昼食がとれるような環境体制づくりを目指し検討していくこととしております。以上
おたずねします。
Q2 給食をしないことを前提にするのではなく、当事者である子どもたちや保護者の方の声を聞いた上で、決めていくべきだと思いますがいかがですか。
答弁要旨
学びの多様化学校の設置にあたり、不登校児童生徒に関わる方々から直接意見を聴取するため、今月9日に不登校の子を持つ保護者等を参加対象者とした市長との車座集会を予定しております。
また、今後、ほっとすてっぷ等の不登校支援の場において、児童生徒からも学びの多様化学校に関する意見を聴くことを検討しているところであり、その中で昼食の摂り方に関しての子どもたちや保護者の意見も検討材料として学びの多様化学校づくりに生かしてまいりたいと考えております。以上
- ひきこもり等支援事業について
事務事業の「ひきこもり等支援事業」の目的として、「ひきこもりやごみ屋敷問題、多頭飼育問題等で、支援に拒否的であったり、課題に気づいていない当事者を必要な支援につなぎ、本人の自己肯定感・社会性の育みや、自立の促進を図る。また当事者の家族へ必要な支援を行うことで、家族の福祉の増進を図る」とあります。
私はこの間、ごみ屋敷問題で困っている地域の方からの相談を受けました。1つは独居老人の方で生活保護の利用者でしたが、排泄物や猫の死骸など様々な異臭が立ち込める老朽住宅にお住まいの方でしたが、サービス付き高齢者向け住宅に入居して急転直下解決しました。
もう一人の方は現在進行形で、猫の多頭飼育状態と共に、2018年の台風21号の影響で老朽家屋の2階部分の天井が抜け落ちたままの状態が長年放置されている家屋で、近年毎年のように発生する風水害のたびに、外壁部分をはじめ様々なものが周囲に飛散し、非常に危険な状態になっているが、一向に本人が改善する気がないという近隣住民の方からの相談でした。ここも一人暮らしの方ですが、周囲と溶け込めない、孤立した状態になっていて、頑なに家の修繕や整理を拒んでいるようです。
おたずねします。
Q3 昨年度の本市における、いわゆるごみ屋敷の認知件数と解消件数、未解消件数を教えてください。
答弁要旨
昨年度、しごと・くらしサポートセンター等において、生活に困窮する方々からの様々な相談をお聞きする中で、17件のごみ屋敷に関する相談がございました。
これら17件のうち、2件についてはごみ屋敷状態の解消が確認されておりますが、他の15件については未解消状態となっております。以上
環境省の調査で、ごみ屋敷は2018年度~22年度の累計で、全国で5224件に上っています。しかし、解消を直接の目的とした法律や国の制度はなく、国から自治体への通知もありません。ですから、この問題に関わる行政職員は様々な試行錯誤をしながら、暗中模索であると思われます。
総務省では「ごみ屋敷条例」を独自に定めて指導や支援を行っている自治体など、人口10万人以上の30市区を選び181の事例を調査しました。その結果、周辺に悪影響が及んでいたのは149件(82.3%)。うち未解消は119件(65.7%)で、主な理由として「居住者から理解を得られていない」が最も多く97件。そのほか「居住者が解消を望んでいない」が69件、「家族・親族の協力が得られない」が18件となっています。居住者の約7割が認知症や精神疾患、生活困窮など健康面や経済面の課題を抱えていることも明らかになっています。
おたずねします。
Q4 昨年度の未解消事案の理由について教えてください。
答弁要旨
ごみ屋敷事案は、認知症や精神疾患等により、自らが支援を望まないケースが多く、ごみ屋敷解消に向けて、まずは、対象者との関係性の構築など、時間をかけた支援が必要となります。
そのため、専門職によるアウトリーチなど信頼関係の構築を粘り強く進めておりますが、対象者の方から理解を得るまでにいたっておらず、こうしたことが未解消事案の主な理由であると考えております。以上
先の調査の中で、自治体の環境部や福祉担当部局などが連携し対応した89件の解消率は約4割で、「複数部署が重層的に関わることで解消率が向上」といった意見があり、また、医療機関や社会福祉協議会などが連携し、生活課題を抱える人を公的支援へつなぐ専門職「コミュニティーソーシャルワーカー(CSW)」による見守りや声掛け、介護保険法に基づく地域ケア会議を活用した対応事例もあるということです。
おたずねします。
Q5 市では、包括的な支援体制の中で、ごみ屋敷問題にどのような体制で取り組んでいますか。また、その中でぶつかる課題は何ですか。
答弁要旨
本市では、ごみ屋敷問題をはじめ複雑・複合化した課題の早期把握と様々な課題の包括的な支援に取り組む重層的支援を進めております。
その中で、地域の身近な相談窓口である地域振興センターや社会福祉協議会と連携し、ごみ屋敷の早期把握につなげるとともに、重層的支援推進担当の開催する支援会議等において、都市整備局、経済環境局等のごみ問題に関連する部局や弁護士、地域住民などの様々な支援関係者が課題解決に向けて連携する体制を構築しております。
しかしながら、先ほどもご答弁申し上げました通り、ごみ屋敷事案は、認知症や精神疾患等により、自らが支援を望まないケースが多く、課題解決に向けては長期的なかかわりが必要となることが課題と考えております。以上
全国では、京都市や大阪市、関東では東京都世田谷区など、まだ少数ですが、ごみ屋敷解消を目的とした条例が制定されています。
おたずねします。
Q6 ごみ屋敷条例制定のメリット、デメリット、また制定の是非についてどのように考えますか。
答弁要旨
議員お尋ねの環境省等の調査で言及されている、いわゆる「ごみ屋敷条例」を制定するメリットとしましては、先行自治体にも確認しましたところ、関係部局の意識醸成に加え、対象世帯を明確化することにより、関係者によるアプローチがしやすくなることで、迅速な対応が可能になると聞いております。
一方、デメリットとしましては、条例の対象とならない世帯への支援が希薄化してしまう可能性もあることが想定されます。
根本的な解決のためには、ごみの問題そのものを解決するだけでなく、精神面や生活面での課題など、対象世帯が抱える複合的な課題にも対応する必要があることから、本市では条例の制定ではなく、多機関協働による重層的支援の枠組みにより、解決に向けた支援に取り組んで参ります。以上
- 市内経済の活性化について
新型コロナの感染症法上の位置づけが5類から2類に移行されて、1年半近くなりました。しかし、大手企業はいざ知らず、地域に根差した市内の中小零細事業者の経営とくらしは依然として厳しい状況に追い込まれています。コロナ禍の時期には国の持続化給付金、県の時短営業協力金などが行政予算から手当されていましたが、むしろコロナ禍が明けてからの、円安等などに起因した未曽有の物価高騰により飲食店、小売店をはじめとした市内中小零細事業者は大変な状況に追い込まれています。「お客がいっこうにもどらず、週に3日しか店を開けていない。その他の日はパートに出てる」というスナック経営の方、「コロナの最中にもらった給付金を少しずつ取り崩して何とかやってきたがもう限界」と悲鳴をあげる居酒屋店主。
切迫した市内業者の声に耳を傾けることが今求められているのではないでしょうか。
おたずねします。
Q7 市は毎年、事業者訪問を一部行っていますが、一万以上ある市内事業者の状況を把握するための悉皆調査をおこなうべきだと思いますがいかがですか。
答弁要旨
事業所の現状把握につきましては、市内事業者の景況感等を把握するため、四半期ごと(年4回)に、様々な業種や規模の事業者を対象に「事業所景況調査」を毎年実施することに加え、勤労者の労働条件を把握するため、同じく毎年実施している「労働環境実態調査」においては、適宜小規模事業者も対象として実施しています。
また、その他にもコロナ禍における企業活動への影響調査など、時宜にあった特定テーマを設定し、アンケート調査を実施するとともに、調査結果の課題や本市産業に関する実態を把握するため、企業訪問による現地調査も実施しているところです。
そうした中、限られた人員や予算の中で悉皆調査の実施は難しい状況ですが、引き続き、企業訪問等に加え、禁輸機関等が実施するアンケート調査も参考にしながら、市内事業者の現状把握を行い、効果的な産業施策の構築につなげてまいります。以上
稲村前市長時代の2019年、産業基本条例にもとづく産業振興推進会議の1部会として、市内中小事業者の団体、商店連盟や地域の企業などで連絡会議がつくられました。
座長に関西学院大学の佐竹教授をむかえ、1度だけ中小企業センターで開催されました。この会議には、当時私も勤めていた中小業者団体の尼崎民主商工会もそのメンバーに入っていて、会長と共に参加した記憶があります。当時のデフレ不況のもと、中小業者の営業と暮らしを集めたアンケート調査の結果をお示しし、稲村前市長は「今日みなさんから出された要望や実態は非常に参考になった。市の経済施策に生かしていくためにも、今後も会議を開催していきたい」と、会議の終わりに言っていました。
しかしその後、座長の佐竹教授が急逝したこともあったためか、2回目以降は開かれないままに時が過ぎて今に至ります。
おたずねします。
Q8 前市長時代から中断している、市内の小規模企業・事業者が集い、商工業施策にいかすための連絡会議の再開を求めますが、いかがですか。
答弁要旨
本市において事業所全体の9割以上を占める中小企業・小規模事業者は、地域経済における重要な役割を担っていると認識しています
また、議員ご紹介の連絡会議につきましては、常設の会議体ではなく、「ヒトについて」というテーマで、1度、開催したものであり、現時点で開催する予定はございません。
一方で、連絡会議という形ではありませんが、これまでから、市職員が書く団体との意見交換会に出向くとともに、産業団体が主催する会合に市長も参加させていただく中、事業者や団体と、課題の共有に加え、本市産業施策に対する意見交換を行っているところです。
今後につきましても、市職員による企業訪問の充実に加え、市長・副市長が企業を訪問し、直接、生の声をお聞きするなど、引き続き、課題など現状把握を行う中、効果的な事業者支援に取り組んでまいります。 以上