市長提出議案のうち7議案に対する反対討論
2013.3.1 田村征雄
日本共産党議員団の田村征雄です。
市長提出議案のうち7議案に対する討論を行います。
■議案第32号 職員定数条例の一部改正については
地方自治体は福祉の増進を図ることが基本です。市役所は市民のためにある、職員は市民のためにいる、この視点で職員数を確保していく必要があると考えます。市役所としての公的責任を果たすべき立場から、保育所民間移管による職員減、給食調理の民間委託による職員減は認められず、一方、福祉事務所で生活困難な市民に支援の手を差し伸べるケースワーカーの増員は不十分な配置であり、本条例に反対します。
■議案第37号市長及び副市長の退職手当に関する条例の一部改正については
特別職報酬等審議会の答申にもとづき、市長、副市長の退職金を減額するものですが、
会派としては、市長の退職金は職員と同様の計算式によるべきとの考えでありまして、過去の条例改正時には修正案を提案した経過があり、本条例には反対です。
■議案第48号障害者自立支援認定審査会の委員の定数を定める条例の一部改正、および
■議案第49号障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業の人員、設備及び運営の基準等を定める条例の一部改正 の両案についてです。
従前の「障害者自立支援法」が収入のない障害者に、障害が重いほど負担が大きくなるなどの重大な問題があり、違憲訴訟が起こされました。
民主党政権は同法廃止を約束して原告団と和解し、国と原告団で基本合意文書が結ばれたのです。
ところが、合意に基づくとされた障害者新法には、障害者を権利の主体として明記することや支援の無料化などが盛り込まれませんでした。
このように原告団との合意を裏切るような不十分な内容の法律のまま運営するための条例改正には賛成できません。
■議案第52号市立保育所条例の一部を改正する条例の一部改正については
党議員団は、公的保育の責任を放棄する保育所の民間移管には反対です。今回、選定された社会福祉法人が移管を辞退したことにより、2013年4月1日に立花南保育所を社会福祉法人へ移管することが困難となったため、条例案は施行期日を「規則で定める日」に変更しようとするものですが、民間移管されたままの状態であることから、委員会審議において「尼崎市立保育所条例の一部を改正する条例(2011年尼崎市条例第24号)は、廃止する」との修正案を提出しましたが、賛同を得られませんでした。
よって、原案の本条例案に反対します。
■議案第53号子ども・子育て審議会条例の制定については
子ども・子育て支援法を含む三法にもとづき「子ども・子育て審議会」を設置するための条例ですが、三法そのものに問題があります。
三法は、市町村に保育所での保育実施義務を引き続き担うこととしたものの、認定子ども園や家庭的保育事業はその対象外としています。
子ども・子育て新システムの問題点をそのまま導入し、例えば、「保育に欠ける児童」を対象とした児童福祉法第24条一項は「保護者の労働等の事由により、児童が保育を必要とする場合」に変更され、子どもの育ちを保障する保育から、子どもを預ける託児所化を促すものとなりました。
また、短時間保育・長時間保育の認定がなされ、子どもたちがそろって保育を受けることができなくなり集団で成長する従来の保育が壊されてしまいます。
運営をする側の職員配置にも困難をきたし、運営に問題を生じさせる危惧があります。なお、短時間保育となった児童にとっては、成長に欠かせない「昼寝」の時間の保障に困難があり、子どもたちの成長を保障する上で大きな問題があります。
もとの「新システム」の見直しは当分の間の民間保育所を除いて、基本的に民主党原案に
あった保育施設の契約型利用方式、現物給付を現金給付化、保育の市場化に沿ったものにとどまっています。このほか待機児童対策も不十分のままです。こうした関連三法はおおもとでの改善が必要ですが、なされていません。
よって、審議会条例の制定には賛成できません。
■議案第28号自動車運送事業会計補正予算(第一号)については
例えば、戸ノ内地区は猪名川にかかる戸ノ内橋を渡ることによってのみ市域全体とつながる地区です。スーパーもコンビニもなく、生活の足としてバス交通は欠かせません。
地区の人口減でバスの乗客数は減り続け、仮に民営化されてもその路線の赤字は避けられないでしょう。
民営化後3年間は、市との協定により路線がまもられるとしていますが、協定期間後に路線が存続されるのかどうかは住民の大きな不安となっています。
バス路線がなくなれば食料品、日常生活品の買い物、通院、通勤など生活の足がなくなり、生きていくことができなくなるのです。
協議会を設置するとされていますが、このような不安に応えるものかどうかなんの保障もありません。
民営化された場合、3年後、5年後、10年後もバス路線が存続するのかどうかの全体像が不明確であり、市民的議論が不十分のままの「民営化ありき」は問題があります。
よって、民営化を前提に希望退職を募り、特別損失として経費の補正を行う本補正予算に反対します。
以上で討論を終わります