生活保護は「みんなの暮らしの最低ラインを守る」とりで

しんぶん赤旗 2025.8.21付より

:「生活保護のニュースか…。正直、働ける人は働けばいいのにな。やっぱり生活保護って甘えだよな。」

:「うーん、実はそう単純じゃないのよ。病気やケガで急に働けなくなったり、会社が倒産したり、誰でも必要になる可能性があるんだよ。」

:「でも、俺たちには関係ないだろ?受けてる人の問題でしょ。」

:「それがね、関係あるの。生活保護の基準って、ただの給付額じゃなくて“最低限の生活水準”の物差しなの。例えば、公営住宅の家賃、子どもの学用品や給食費の援助、さらには最低賃金の算定にも使われてるんだよ。」

:「え、最低賃金まで?それ下がったら俺たちの給料にも影響出るじゃん。」

:「そういうこと。だから基準が下げられると、受給者だけじゃなくて働いてる私たちの生活水準まで引きずられて低くなるの。社会全体の“生活の底”が沈む感じかな。」

:「なるほどな…。じゃあ、この裁判って受給者を甘やかしてるんじゃなくて、みんなの暮らしの最低ラインを守るって意味があるんだな。

:「うん。『いのちのとりで裁判』って名前もそういう意味でつけられてるのよ。私たちが安心して暮らせる社会の“砦”を守るってこと。」

:「そっか…。ニュースで聞いてもピンとこなかったけど、そう考えると大事な裁判なんだな。」

:「そうだね。誰もが“もしもの時”に守られるって安心感がある社会の方が、私たちにとっても暮らしやすいでしょ。」

:「…うん、俺、考え直すわ。甘えなんかじゃなくて、俺たちの生活も守る仕組みなんだな。」

 

「いのちのとりで」裁判の意義って?

  1. 憲法25条(生存権)の具体化

    国がどの程度まで「健康で文化的な最低限度の生活」を保障すべきかを明らかにする試みです。基準が恣意的に下げられるなら、憲法の保障は形骸化してしまいます。この裁判は、その「下限」を社会に問うものです。

  2. 行政の裁量をチェック

    基準改定は専門性が高く国の裁量に委ねられやすい分野ですが、根拠が不十分なら裁判でコントロールされるべきです。民主的統制の一環としての意義があります。

  3. 社会的弱者の声を可視化

    受給者は声を上げにくい立場にありますが、裁判を通じて「生活実態」「引き下げの影響」が社会に共有され、偏見や誤解を正すきっかけになります。

生活保護不正受給はなぜまかり通る?「見張る社会」から「見守る社会」で防げる不正という事実

「近所の中国人が生活保護を不正受給している」だから排除!というアナタへ
…そもそも不正がまかりとおるのはなぜ?と考えてみよう

前の記事からの続きです。

もそも、です。

生活保護は税金が原資ですから、しっかりと担当ケースワーカーが生活や就労指導や病気を治すための支援などをしなくてはいけません。
不正は本来、あってはならないことです。なのに、不正とみられる事実がある。それは外国人に限らず日本人でも同じです。

では、なぜ「不正」がまかりとおっているのか?
それはずばり、ケースワーカーの手が回っていない状況があるから、です。「見守る人がいない」から、不正が起きるんです。

 

ケースワーカーが減っているのか?

実は、全国的な人数としては微増傾向にあります。
ただし、現場の負担はむしろ増加しています。

厚労省の資料によると、平成21年から令和3年にかけてケースワーカー数は約4,300人増加。

しかし、担当世帯数は依然として高水準で、都市部では1人で100世帯以上を担当することもあります。
標準配置(都市部で80世帯に1人)を大幅に超える自治体も多く
大阪市では高齢者世帯に対して「380世帯に1人」という異常事態。

尼崎市では共産党市議の質問で、ケースワーカー1人あたり140世帯もの担当をしていることが判明しました。

 


なぜ現場が回らなくなっているのか?

地方分権による「標準数」の形骸化

  • 2000年の地方分権改革で、ケースワーカー配置の「最低基準」がただの“目安”に格下げされ、自治体の裁量に委ねられるようになってしまいました。

その結果、財政難や人事部門の制約から、必要数を確保できない自治体が増加してしまったのです。

公務員定数の抑制と非正規化

  • 地方自治体では、どこも公務員数の抑制政策により、正規職員の増員が難しく、代わりに非正規・嘱託職員で対応する自治体が増加しています。
    尼崎市もその流れの真っただ中にあり、例外ではありません。
    ケースワーカーも非正規雇用ばかりになってきました。
    非正規職員は待遇や研修の面で課題があり、経験の蓄積や継続的支援が困難になっており、十分な専門性を持たないケースワーカーがきちんとした指導、支援が出来ない状況もあるのです。

    業務の肥大化と専門性の不足

    ケースワーカーは生活指導、就労支援、医療調整など多岐にわたる業務を担いますが、非正規化や人事異動で専門性が蓄積されにくい構造もあったり、さらに、生活保護以外の業務(障害福祉、子育て支援など)も兼務しているケースが多く、現場は慢性的に多忙…

 

不正受給が問題なのではなく、「見守る人」が足りない社会になっていることが問題なんです。

生活保護はそもそも“監視”ではなく“支援”の制度。
支える人が減れば、制度の信頼性も揺らぎます。

支援を充実させることで不正受給の増加を防げるし、ちゃんと運用できる。

現場を見れば見るほど、「支援の不足こそが不正の温床」っていう逆説にたどり着くんですよね。

“支援する人”がいないからこそ、不正も孤立も増えるんです。

支援があれば、誤った利用をしている人がいても早期に修正できる。

定期的な面談があれば、詐取リスクも減る。

ケースワーカーと受給者との信頼関係があれば、受給者の自立への道も見えてくる。そう思いませんか?

 

国の「地方自治体に責任丸投げ」方針のせいで、地方自治体が困窮して起きている「生活保護などの不正受給」の問題を、
外国人のせいにするのは、わたしは間違っていると思います。

見張る社会じゃなくて、見守る社会のほうが、ちゃんと制度を守れる。
それって、ちょっと意外だけど、ホントのことなんです。

 

あなたの「怒り」の原因、ちょっと深堀りしてみませんか?

別の景色が見えてきませんか?

 

 

引用・参照 弁護士JP

「生活保護はズルい」と思うあなたへその②

「なんであの人ばっかり?」と思ってしまうあなたへ

頑張って働いてるのに生活はカツカツ。

物価は上がるのに給料は増えない。


将来が不安で、誰かに「ずるい」って思ってしまう――

そんな気持ち、きっと多くの人が抱えていると思います。

生活保護受給者のことを

「なんで働かずにお金がもらえるんだ?」

「自分だって苦しいのに…」


そう思ってしまうのは、

それだけ、あなたの日々の暮らしが過酷なんだと思います。

でも、ちょっとだけ想像してみてください。


生活保護を受けている人の中には、働きたくても病気や障がいで働けない人、

DVや介護、失業で追い詰められた人たちがたくさんいます。

外国人だって、「助けを求めることすら難しい」環境で、

必死に生きている人がいます。


その中には、私たちの町を支えてくれている人たちもたくさんいます。

生活保護は「楽をする人の制度」じゃありません。


本当に困ってしまったとき、「ここで終わらないで」と言ってくれる、社会のセーフティネットです。

あなたの苦しさが、誰かへの怒りになってしまうのは、

本当はあなた自身も、助けてほしいと願っているからじゃないですか?
なんでこんなにしんどいのに生きづらいんだと怒っているからじゃないですか?



困ったときに頼れる仕組みは、あなたにも用意されています。

それが「生活保護」という制度です。

「生活保護はズルい!」と怒るあなたへ

あなたのすぐそばにあるかもしれない「生活保護」

「生活保護」と聞くと、他人事だと思いますか?

でも、病気やケガ、突然の失業、親の介護、災害、離婚…

今は元気で働けていても、明日何が起きるかわからないのが現実です。

生活保護は、そんな“もしも”のとき、命と生活を守る最後の砦です。

それは「甘え」でも「ずる」でもなく、憲法で認められたすべての人の権利です。

日本には生活保護を受けることを恥だと感じさせる空気があります。

けれど、困ったときに「助けて」と言えることは、恥ではなく、生きる力の証です。

そしてそれを支える仕組みが、生活保護なのです。

時に、生活保護を受けている人や外国人を攻撃する言葉を目にします。


でも、その言葉の奥には、きっと「自分だって大変だ」という切実な気持ちがあるのではないでしょうか。



生活の苦しさや将来の不安は、みんなで支え合わないと乗り越えられない時代です。

だからこそ、「生活保護=敵」ではなく、「生活保護=いざというとき、自分も助けてもらえる制度」だと捉え直してみてほしいのです。

生きていくことは、簡単じゃない。

だからこそ、誰かを支え、支えられる仕組みが必要なんです。

生活保護は、あなたの暮らしの“保険”とでもいえる仕組みでもあるのです。

 

 

2013年9月議会一般質問 松村ヤス子:国民健康保険と生活保護制度について

 日本共産党議員団の松村ヤス子です。国民健康保険と生活保護制度についてお尋ねいたします。

 そもそも社会保障とはなんでしょうか。

 専門的な辞書によれば、「労働者とその家族、国民が、病気やけが、労働災害、身体や精神の障害、妊娠・出産・育児、失業と老齢、そして、働き手などの死亡といった社会的事故・原因によって、一時的にせよ長期的にせよ、生活が脅かされたときに、労働者や国民の基本的な社会的権利として、正常な生活をいとなめるように、所得の保障、あるいは、現物給付ないしは、サービスという手段により、国家が措置・保障する制度をいう とあります。

 憲法第25条には、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障、及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない とあり、社会保障制度の基本を規定しています。

 また、これまでも述べてきたことですが、国保法「第1条」は「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と定めており、「第4条1項」で、「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない」と 憲法第25条に沿って、国保が、社会保障制度であることを明確にしています。

質問

 本市においては、厳しい財政だといいつつも、4億円の繰り入れ、そして、国保料が基準総所得の2割を超える場合の特別減免制度を設けてきました。また、国の負担割合の引き上げを国に求めています。国保制度が、市民共助の制度でなく、国保法第1条、第4条に根拠のある社会保障制度であるからこそ、自らも努力し、そして、国にもその改善を求めてきたものと受け止めていますが、市長のご見解を伺います。

答弁

 国民健康保険事業は、国保法第1条及び第4条の文言のとおり、社会保障制度のひとつとして、保険の仕組みを用い、社会的な相互扶助の精神に基づき、加入者により支え合う社会保険として、国、県及び保険者としての市町村の責任のもと、運営されていると認識しています。

 こうした考えのもと、国保の健全運営に向け、厳しい財政状況のなかではありますが、一般会計から財政健全化として4億円、特別減免分約2億円の繰入金を確保するとともに、適宜機会を捉えて、国庫負担の引上げなどについて、要望を行っているところでございます。

 自民・公明・民主の3党による「社会保障と税の一体改革」の合意により、昨年8月10日に「社会保障制度改革推進法」略して「推進法」が成立しました。

推進法、第1条では、受益と負担の均衡が取れた社会保障制度の確立を目的と定めています。また、基本的な考え方を定めた第2条では、自助、共助を強調し、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてと、うたっています。

 また、同3項では、「年金、医療、介護は社会保険制度を基本」とするとしており、それぞれ支払った保険料の範囲で給付する仕組みにし、自治体の一般会計からの独自の繰り入れをやめさせようとする意図が見て取れます。

 推進法ができる前から、市も国保については、社会保障制度とは答弁せず、「相互扶助の制度」と答弁し続けていますが、その方向を一層強化させるものです。

 また、推進法に基づいて設置された「国民会議」では、「国保の都道府県単位化」略して「広域化」を強力に推進しようとしています。

 2006年には、レセプト1件当たり30万円を超える医療費のうち、自己負担相当分の8万円を控除した額を都道府県内の全市町村が共同で負担する「保険財政共同安定化事業」が実施されました。これに合わせて、市町村間の医療費水準および所得水準の不均衡を調整するためや 地域の特別事情に対応するために、国保会計に交付される都道府県調整交付金を給付費等の7%から9%に引き上げ、あわせて、定率国庫負担を34%から32%に引き下げ、国の交付金の2%分を県に振り替えました。この改正によって、独自の繰り入れを行う都道府県が減っています。

 そして、昨年、国保法の改正で、2015年度から1件、1円以上、つまり、すべての医療費に拡大する恒久化が決められました。

 

 高すぎる国保料に苦しむ尼崎市と市民にとって、国保の広域化は、一見、歓迎されるように見えますが、単純にそう考えていいのでしょうか。2011年度の厚生労働省速報によれば、尼崎市も含めて、全国の自治体が一般会計から、3900億円の法定外の繰り入れを行っています。この独自繰り入れは、市町村の単独国保だからできるので、広域化ではできません。この単独繰り入れがなくなると、その分、保険料が高くなります。同速報によれば、2011年度の収支では、47%の保険者が赤字で赤字総額は600億円に上ります。そのうち、390億円が累積赤字です。広域化する場合は、この累積赤字を解消しなければなりません。そのためには、国・都道府県が肩代わりするか、市町村が一般会計で全額解消するか、保険料に上乗せして解消していくかの3つの方法しかなく、結局、保険料の引き上げを余儀なくされます。

 また、現在、国保料については、全県で、同一の保険料算定でない案も検討されているとも聞いており、尼崎市民の保険料が安くなると言える保証もありません。

 1984年退職者医療制度が実施され、退職者の医療費を現役時代の社会保険からの拠出で賄い、国の負担を減らしました。これを皮切りに、国の負担を県に振り替えたりもしてきました。国保会計に占める国負担は、全国平均で、1984年当時の50%程度から、2011年度では、25%程度に半減されました。また、地方交付税が削減される中、基準財政需要額が自治体の実質負担を総じて下回るなどもあり、自治体の財政を、より厳しくさせています。

質問

市長は、国保の広域化をどうお考えでしょうか。危惧するところはないとお考えですか。御答弁願います。

答弁

 国民会議報告書では、都道府県の役割強化と国保の保険者の都道府県移行の広域化について提言されています。

 その背景には、国民皆保険制度維持のため、国保財政基盤の安定化が優先課題となっており、特に、市町村国保については、被用者保険に比べ、①低所得者の加入が多い、②年齢構成が高い、③所得に占める保険料負担が重いといった課題が示されております。また、財政運営が不安定となるリスクの高い小規模保険者があることや地域ごとの保険料格差が非常に大きいといった課題もございます。

 こうしたことから、国民皆保険制度を維持するには、国保の都道府県単位の広域化は、避けて通れないものと考えますが、国保財政基盤の安定化や保険料に係る国民負担に関する公平の確保など議論をすべき事項も多いと考えております。

 また、推進法第6条では、健康保険や国保などに「原則としてすべての国民が加入する仕組みを維持する」とあり、わざわざ「原則として」との文言を入れており、世界でも、高く評価されている「国民皆保険制度の堅持」という言葉がありません。これは、大変危険です。国民皆保険制度を壊す意図が透けて見えます。政府が参加を目指す、TPPでも、国民皆保険制度が維持できなくなることが、全国の医療団体から、厳しく指摘されています。TPPも、推進法もともに、国保が担っている国民皆保険制度を壊そうとする流れが同じです。

質問

 社会保障制度としての国民皆保険制度は堅持されるべきであると考えますが、市長の認識をお聞かせください。

答弁

 国民健康保険制度が、国民皆保険制度の最終的な支え手として堅持されることは重要と認識しております。

 私は、この20年間、国保法の1条、4条をよりどころにして、市民のいのちを守る国民健康保険制度の適正な運営を求めてきました。特に、「一人当たりの国保料」が阪神間で最も高い時期には、市民とともに、署名活動にも取り組み、保険料引き下げを強く求め続けました。

 市は、2000年度に、世帯主の一部負担を3割から2割にするために繰り入れていた一般財源を保険料引き下げに使い、「一人当たりの国保料」が阪神間最高という汚名を返上しようとしました。しかし、阪神間の所得割、均等割、平等割料率を基に、同じ家族構成・同じ所得で比較すると、本市国保料が、阪神間で最高額であることを明らかにし、更なる引き下げ努力を求めてきました。また、6億円の赤字決算だった時、それを翌年の国保料引き上げ要因にさせないために、当時企画財政局長だった村山副市長に、市民の切実な生活状況を直接お聞きいただき、一般財源で赤字分を解消するよう求めるとり組も行いました。村山副市長が「市民生活の実態は、国保課から聞いていた以上に深刻だと受け止めた」といわれたときに、期待を強く抱きました。そして、赤字解消するために、4年間に分けて繰り入れるとの予算案が出されました。

 また、国保法第44条に基づく、一部負担金の減免制度の実施を求め、2004年6月に制定されました。しかし、ほとんど利用できないハードルの高いもので、「仏つくって、魂入れず」と批判。その後、国の基準より少し利用しやすくするために、2011年4月に改正されました。それでも、2012年度の適用実績は、わずか、3件であり、極めて不十分なのが実態です。

 また、国保会計の総収入に占める国庫負担割合の全国平均が、退職者医療制度実施前の1980年度に比べて、2007年度には、1/2以下になり、一人当たり国保料が、2倍以上に増えていることを示して、「国の負担割合の引き上げを求めよ」と質問。これに対して、「退職後に国保に加入した退職者の医療費は、働いていた時の被用者保険から、拠出されており、国の負担削減分はそれで賄われているので、求めるつもりはない」との答弁でした。本当にそうなのかと、国保会計決算に基づいて検証した結果、退職者の医療分としての診療報酬支払基金からの収入より、国庫負担削減額が大きいことが明確になりました。この事実を質問したことで、「国庫負担割合の引き上げを国に要望する」と答弁が変わりました。

 このように、市民の暮らしの実態、市民の直接の声と議会での質問を通して、不十分だとは思いますが、当局も改善に努力されてきました。

 また、現在、尼崎市が全国的にも高い評価を得ているヘルスアップ事業が市民と力を合わせて、取り組まれていることの重要性も承知しています。

 こういう経過を振り返り、私は地方自治の観点からも、市民に最も身近な地方自治体の果たす役割の大事さを実感しています。

質問

 国保の広域化は、市民の声が届きにくく、市民の生活実態などをつぶさに、反映させることに大変な困難が伴うと考えます。そういう方向に向かうことは好ましいとお考えでしょうか。答弁願います。

答弁

 国民会議報告書では、国保に係る財政運営の責任を都道府県としていますが、保険料の賦課徴収や医療費適正化のための保健事業などの業務は、市町村に残す『分権的広域化」を目指すべきとする考え方が示されております。

 また、国保の運営にあたっては、都道府県、市町村、被用者保険の関係者が協議する仕組みを構築することが求められております。

 いずれにいたしましても現時点では、具体的な個別法案が国会提案されていないことから、今後とも国等の情報把握に努めながら、市町村の市民生活実態が反映される制度となるよう適切に対応してまいります。

 

 厚生労働省の調査によると、

 1990年度の世帯当たり所得は、276.5万円で、国保料が155,934円。負担率は5.64%。
 10年後の2000年度の所得は、190.9万円で、国保料が148,083円、負担率は7.76%、
 さらに10年後の2010年度も所得は減り、20年前に比べて、51%の141.6万円、国保料は143,145円、 負担率が10.11%となっています。

 所得が減少し続け、国保料が上がり続けているのです。尼崎市の動向も全国と同様だと思いますが、実態は、全国平均より低い所得と高い保険料ではないかと推察しています。

 2012年度の全国の国保料の滞納世帯の割合は18.9%です。しかし、本市では、国保世帯、88,276世帯中、18,694世帯、21.2%が滞納世帯で、全国平均を2.3ポイントも上回っています。長期間の滞納による資格証明書は912世帯に発行され、医療機関の窓口では、保険による医療は受けられません。短期保険証が発行されているものの、窓口に留め置かれたままで、手元に国保証がない世帯が、この6月末時点で約4,000世帯、4.5%にも上っています

 現実に、本当に無保険の人、国保加入者であっても、実態として、無保険状態で切羽詰まった状況で、受診し、命をなくす人が出ていることが、医療機関から報告されています。

質問

 このような実態は、国保料が市民の負担能力を超えて高すぎることによるものと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

 国保の医療費には、50%の国費及び県費が手当てされることから、国保料は、原則的には医療費の50%相当となっていますが、さらに国保財政の安定化と保険料の軽減を図るため、保険基盤安定制度や、保険者支援制度、財政安定化繰入金や高額医療費共同事業に対する国・県負担金など様々な支援制度が設けられております。

 滞納の要因は、様々な理由があると考えられます。先ほどもご答弁申し上げましたとおり、厳しい財政状況ではございますが、本市独自の対応として、一般会計からの繰入金を確保するなど、最大限、保険料の軽減に努めているところでございます。

質問

 また、国民健康保険制度が抱えているこのような問題を国民本位に改善することこそが政治の責任だと考えますが、市長のご見解をお聞かせください。

答弁

 市町村国保は、市民のいのちを守る国民皆保険制度の「最後のとりで」としての役割を担っているものと認識いたしております。

 一方で、国保の現状につきましては、今日の少子高齢化の進展や雇用環境の変化に伴い、退職した高齢者や無職者など、疾病リスクの高い人や保険料の支払い能力の弱い人を抱えるといったことから、財政基盤が脆弱であるという課題が顕在化してきております。今回の社会保障制度改革においては、将来にわたり、持続可能な国保制度を維持すべく、今後、具体的な個別関連法案が、国会提案される見通しであります。

 国保制度が、国民本位の制度として運営されるよう、国の動向を注視しつつ、市としての責任ある対応に努めてまいります。

 次に、高すぎる国民健康保険料と生活保護との関連について質問します。

 2012年度生活保護になった人の公的医療保険加入状況は、国保が61.4%、後期高齢者医療制度が9.4%、無保険の人が22.2%です。国保加入者と無保険の人で83.6%をしめています。私の経験からも、国保加入者ではあっても、期限の切れた短期保険証の人が多いと感じています。また、国保料を支払えず、受診できないまま、体調を悪くし、結局働けなくなり、生活保護にというケースに再々出会います。とにかく、「医者に掛かりたい」そんな切羽詰まった状況での相談が少なくありません。生命を守るための国民健康保険なのに、保険料が高すぎるために、結局、生活も健康も害してしまい、医療を受けるためには、生活保護にたよらざるを得なくなる、こんな構図を見ると、いったい何のための国民健康保険なのかと言いたくなります。

質問

高すぎる国保料が、生活保護世帯を生み出している実態があることについて、市長は、どうお考えですか。

答弁

 本市の国保料にあっては、低所得者に対する法定軽減や、一般会計から4億円の繰入により、保険料の上昇を抑制しているほか、本市独自の特別減免を講じるなど、様々な対策を講じております。

 また、被保険者からの相談にあたっては、丁寧な対応に努めておりますが、国保制度では対応できない場合などは、他の制度や生活保護制度の適用など、関係各課と連携する中で、それぞれのケースに応じて、適切に対応しているところでございます。

 なお、ご指摘の生活保護を受ける過程は、様々な実態があると認識しております。

質問

 無保険者の実態は、尼崎市を含めて、どの機関も把握していません。国民皆保険制度を担保する国保の運営者である自治体として、無保険者の実態を把握する必要があると考えますが、いかがですか。

 昨年6月の定例会で、無保険状態で、命を失う市民がいる事例を示して、市はどんな対策をとるべきと考えているか、それとも何もできないと考えているのかと質問しました。中浦局長からは、「無保険者の問題に関する国への要望についても検討していきたい」と答弁をいただきました。その後の取り組み状況をご説明願います。

答弁

 無保険者の実態を把握することは、国民皆保険制度を維持し、被保険者が等しく医療を受けるという観点からも必要であると認識しております。

 しかしながら、現状では、医療保険者のひとつである、本市が市民の現状を全て把握することには限界があることから、昨年6月の定例会でご意見をいただいた後、無保険者の解消対策について、尼崎市から提案し、市長会を通じ、要望を行ったところでございます。

 今後は、今回成立した共通番号法により、市町村国保と被用者保険の間で被保険者情報のやり取りが可能となるため、無保険者の減少に向けた活用方法について改めて国へ要望をしていきたいいとと考えております。

 推進法成立以降、昨年11月16日に、まともな審議もなく、わずか1日で、年金2.5%切り下げ法が強行され、2013年度予算案で、生活保護基準の6.5%引き下げが強行され、この8月から実施されています。また、生活保護を申請させにくくする、いわゆる「水際作戦」を制度化するなどの生活保護法案の大改悪が、提出されました。これは、審議未了で廃案になりました。しかし、同法案が再度提出されることも十分考えられます。

質問

 生活保護基準の引き下げや、廃案になった、水際作戦を制度化する生活保護法改悪法案に対する市長の見解を伺います。

答弁

 生活保護基準につきましては、生活扶助の基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかどうかといった観点から検証された、先の社会保障審議会生活保護基準部会の検証結果を踏まえ、厚生労働大臣が、生活保護受給者の年齢や世帯人員、地域差による影響を調整し、物価の動向を勘案して定めています。また、実施に際しては、3年間かけて段階的に行うなど、見直しによる影響を一定程度抑制して行われるものでございます。

 今後とも、生活保護制度が法の精神の下、最後のセーフティーネットとして機能するよう、基準額が適切に定められるのであれば、引き続き本来の役割を果たしていけるのではないかと考えております。

質問

 国民健康保険は、推進法にある、相互扶助・助け合いの制度・相互共済・応益制度ではなく、現在の国保法、の「社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする制度」たるにふさわしい内容に充実させることこそ必要だと考えます。これに対する市長の見解をお聞かせください。

答弁

 今回の社会保障制度改革は、少子高齢化の進展など今日的な社会情勢を踏まえながら、将来を見据え、受益と負担の均衡がとれた持続可能な制度の確立を目指すものであり、国保法の目的は、変わるものではございません。

 今後、国の個別法案に基づく、具体的な内容や本市の特性を踏まえ、市民の身近な医療保険として、低所得者世帯への対応など、市として果たすべき役割を検討しながら、引き続き国民健康保険事業の健全な運営に努めてまいります。

 医療では、広域化などの国保改悪に加えて、70歳から74歳の窓口負担を1割から2割に、入院時の給食の患者負担引き上げなど、保育分野では、規制緩和による質の引き下げなど、介護保険では、要支援1、2の保険給付からの除外、デーサービスの削減など、年金では、支給額の引き下げ、開始年齢の引き上げなど、市民の暮らしをますます大変にする社会保障の大後退計画が、全分野にまたがっておこなわれようとしています。それに、最後のいのちの砦でもある、保護基準額の引き下げ、申請させにくくする水際作戦計画など生活保護制度の改悪は、人間の尊厳をもつぶすものです。

 社会保障制度の水準引き下げは、政治悪の最たるものです。

 議員の皆さん、市長、市職員の皆さん、いのちと安心の暮らしをまもる社会保障制度を後退させるのではなく、向上させられるように、力を合わせようではありませんか。心から訴えて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

終わり

2011年12月議会一般質問 早川すすむ:老齢加算の復活を

日本共産党尼崎市会議員団ニュースNo.136 (2012.1.22.)

12月議会一般質問 早川すすむ議員
生活保護「老齢加算」の復活を

生活保護制度の「老齢加算の廃止」をめぐって、尼崎市民を含む受給者が原告となり、国に復活を求めて裁判をおこなっています。

早川すすむ議員は、この問題に関連して、「老齢加算の廃止」が保護受給者だけでなく、低年金で苦しい生活を続ける市民に影響を与えている問題について、相談例を示し取り上げました。

90才近い寝たきりの母親を含む三人世帯。お風呂のない三畳・六畳と一畳ほどの台所という住宅で、食器棚などが置かれた三畳の部屋に母親を寝かし、息子たちは、その布団を踏まなければ台所にも、玄関にもいけません。

この世帯は、保険料と母親の介護保険の利用料を払うと、銭湯に行くのも始末しなければなりません。

早川議員は「この家族は『健康で文化的な生活』をおくっていると言えない。老齢加算の復活を国に求めよ」と質しました。

当局は、「現在、国が保護基準の見直しをおこなっている。市としては、老齢加算の復活は求めない」と答弁しました。

低年金高齢者の生活実態を見ない答弁だと厳しく指摘し、再考を求めました。