9月議会 田村征雄議員の一般質問と当局答弁です

登壇1

(田村質問)

 聖トマス大学問題と尼崎のまちづくりについて伺います。 

 学校法人英知学院が運営する聖トマス大学は、1963年に設立された英知大学を母体とし、当初は神学部神学科のみの単科大学であったが、翌年に文学部に改組し、2008年には文学部を人間文化共生学部に改組したが、学生募集に苦戦したことから2009年6月に、2010年度(平成22年度)以降の学生募集を停止し、他大学との合併等を検討すると発表しました。在学生に対しては他大学への転入の斡旋も始め、聖トマス大学はこのまま廃校に向かうと思われていました。

 その後、方針変更が発表され、聖トマス大学は2010年11月、アメリカに本部を置くローリエイト国際大学ネットワークに加盟し、同11月にローリエイト社から送り込まれたドーソン・スティーブン・リン氏が理事長に就任しました。投資会社系のローリエイト社のもとで、名称を「日本国際大学」に変更し、新しい学部を設置するとの方針を公表しましたが、文部科学省に提出した開設認可書類に虚偽の申告が見つかり、文科省から2014年度までの2年間は学部の認可申請を認めないという処分を受けました。

 2015年度に看護学部を新設するための施設改修を行い、学生募集を再開する方針でしたが、その後、学部新設を断念したことが明らかになり、大学の存続が危ぶまれる事態となりました。今年4月以降は在校生がゼロとなっています。

 平成23年(2011年)2月に、敷地のグランド1万平方メートルを14億円という当時の時価を大幅に下回る廉価で売却しました。その後も敷地のグランド6000平方メートルを7億6000万円で、住宅販売会社に売却しました。

 このような情報が私たちに届いたので、私たち党議員団として、今年5月に聖トマス大学に出向いて、教授、准教授と面談し、ききとり調査を行いました。教授らの情報では、大学側は来年2015年3月に、大学を廃止すると言っていると聞きました。ローリエイト社に日本での大学運営の力があったのかどうか疑問であり、また私立大学を受験する学生数の減少の中で、学生募集の停止を発表してしまった私立大学に学生は集まらず、結局いきづまって大学廃止に直面せざるを得なくなったものと考えます。

質問1,そこで質問します。

 本市で数少ない大学のうちの一つが廃止されれば、若い世代が尼崎のまちに触れる機会が少なくなり、教育、文化の面で尼崎のまちのイメージにマイナスの影響が出ると思いますが、市長はどのようにお考えでしょうか。また今後、学校法人が解散となる場合、市として何か関わることがあるのかどうか、お考えがあればお聞かせ願います。

 

  次に、園田地区の災害の想定と公共施設について伺います。

 世界の異常気象の話がありましたか、この夏は日本列島を台風だけでなく平年と異なる気圧配置によりつぎつぎと大量の雨を含んだ雲が西日本などに流れ込み、短時間に大量の雨を降らせ災害を引き起こしました。広島市の土砂災害の犠牲者には哀悼の意を表し、福知山市、丹波市をあわせ被災者の方々にはお見舞いを申し上げます。太平洋高気圧の張り出しがもっと弱ければ、広島のあの雨雲は猪名川・武庫川の上流に来ていた可能性があるのです。

 南海トラフ巨大地震への備えがもちろん必要でありますが、最近の異常気象により過去に経験したことのない短時間での大量の大雨が襲ってくる可能性が高まっています。武庫川について二人の議員から質問がありましたので、私は、猪名川、藻川の洪水への備えについてあらためて注意を喚起するものです。

 さて尼崎東高校跡地の土地活用方針素案が7月に発表されました。

 素案の「土地活用の方向性」ではまず、『「防災」水害に備えたまちづくり』とし、東高校跡地とその周辺は、「洪水ハザードマップによると2~3mの浸水深が想定され、藻川右岸の堤防が壊れた場合、一定時間歩行不可能とされる地域である。こうした地域特性を考慮し、水害に備えたまちづくりを進めるため、東高校跡地内の建物については、一定の高さを確保するなど周辺住民の一時避難場所としても活用できるよう取り組む。」と記述しています。

 なるほどと思いました。

 それなら、藻川の東側、島之内、東園田地域の被害はどうかでありますが、洪水ハザードマップによる東園田地区の被害として、2~4mの浸水深が想定されています。

<資料1>参照,

 <資料1>は、猪名川上流での大規模な集中豪雨により、濁流が猪名川の右岸、藻川の右岸、左岸の堤防を越えたり、堤防が決壊するなど最悪のケースが発生した場合です。浸水深4mになる場所は、藻川の西側では宮園橋の西のアンダ―パス周辺、濃い青色の部分ですが、藻川の東側では、東園田町7丁目、8丁目の民家のあるところを含め、宮園橋付近の5倍か6倍くらいの面積と想定されます。また本市南部のほうまで広域的な被害が想定されており、第3号防災指令が発令される、つまり全職員が出動となると思われます。

 その際、住民は指定避難場所であるそれぞれの小中学校と園田地区会館に避難してもらう、あるいは民間の3階以上やその他の建物に一時避難してもらうことが基本になると思われます。 学校以外の公共施設もその役割を果たすことになるのでしょう。

質問2.猪名川、藻川ならびに武庫川の上流で、過去に経験したことのないような短時間に大量の雨が降り、猪名川、藻川の氾濫などが現実にあり得るとして、行政も住民も対応を考える必要があるのではないでしょうか。答弁願います。

質問3.そこで質問します。大規模な洪水災害の場合、初動段階では、学校以外の水に浸かっていない公共施設での避難者の受入れや地区会館などの公共施設を活用して市職員やボランティアによる被災者への救援・支援活動が行われるものと考えますが、いかがですか。ご答弁願います。

 次に、尼崎東高校跡地の土地活用方針素案については、総務消防委員会に報告がありましたが、その後、2か所で市民説明会があり、パブリックコメントの募集がありました。

 私は2回の市民説明会に参加し傍聴しました。それらを踏まえての質問です。8月25日の園田地区会館では180人、8月28日の園田公民館では97人の住民が参加し、当局にとって予想を超える多数の参加者数だったと思われます。跡地活用だけでなく、複合施設の設置場所との関係で、地域の関心が高かったものと思います。

質問4.藻川の東側、園田地区会館の説明会では、東高校跡地活用素案の住宅や、特養ホームなどに対する意見はあまりなく、複合施設の候補地の区割りに対する意見が圧倒的に多いのが特徴だったと思いますが、いかがでしょうか。 

 次に、藻川の西側、園田公民館での説明会では、校舎の解体工事で5~6000台のダンプが生活道路を通過する騒音、振動の問題や住宅ゾーンへの意見、スポーツ施設など、跡地活用の素案に対する意見がありましたが、複合施設の候補地の区割りに対する意見もありました。 

質問5.園田公民館の説明会には、東園田地区の住民らも26名参加しており「地区会館は園田地区会館の現在地に」との主張を行ったものの、藻川西側の住民がこれに反論して、複合施設を東高校跡地に設置せよという意見はなく、むしろ、東高校跡地周辺のもとの地権者などから「地区会館は東園田にあってもいい」と東園田地域の住民に理解する趣旨の発言があったと思いますがいかがですか、答弁願います。 

質問6.9月1日まで募集したパブリックコメントは、164人から意見が寄せられたときいておりますが、その中で最も多かったのは「園田地区会館を東園田地域からなくすことに反対します」という意見であったと聞いていますが、その理由としてはどのようなことをあげているのでしょうか、要点を答弁願います。 

質問7.8月18日に園和連協の会長以下13人の社協会長らが、複合施設の設置場所について、市長あてに要望書を提出し、担当局長らと協議されたと聞いていますが、3年間も続けて園田地区会館を現行の場所での建替えを求める要望が出されたことについて、どのように受けとめているのか、ご答弁願います。 

質問8. 園田地区会館の平成25年度の利用者数は、何人だったのでしょうか。

 以上で第一問を終わります。答弁を受けて、以下、1問1答で質問していきます。 

登壇1の答弁要旨

村山副市長/答弁1

 聖トマス大学はかねてから新入生の募集停止など、今後の存続が厳しいことは聞いておりましたが、仮に正式ニに廃止されることになれば、し本市にとりましても大きな地域資産が失われることになるものと考えております.また、近年、大学は教育・研究だけでな<地域への社会貢献の役割も求められてきており、そうした機会の喪失や、地域の賑わいも失われるものと懸念されるところでございます。いずれにいたしましても、今後、聖トマス大学から、一定の方針が示された場合には、市としましても、必要に応じて対応を考えてまいりたいと考えております。 

衣笠防災担当局長/答弁2

 本市は、西に武庫川、東に猪名川・藻川などの川に囲まれていることから、河川の流域に大雨が降った際には、河川が氾濫し、浸水被害が生じるなどの洪水災害をはじめ、地震・津波・高潮などあらゆる災害が発生することが想定されます。

 そうしたことから、洪水災害時において行政としては、河川流域の降雨や河川水位等の状況を正確に把握し、避難勧告発令等の情報を迅速に発信することで、市民の皆様が早期に避難行動を起こせるように対応することが重要と考えております。

 また、市民の皆様には、平常時から洪水など様々な災害から身を守る方法等を考えて頂くなど、行政と市民が一体となって本市の防災力を向上させることが重要であると考えております。 

衣笠防災担当局長/答弁3

 本市地域防災計画におきましては、大規模な災害時に、学校等の指定避難場所のほか、災害の状況によっては、私立学校、公民館等及び野外に天幕を張る等、臨機応変の処置をとることとしており、指定避難場所以外においても、避難場所として開設することとなっております。

 また、それらの施設は災害の状況等に応じて、応急活動を行うために使用することもあると考えております。 

塚本資産統括局長/答弁4、5

 東高校跡地の土地活用方針素案に関する市民説明会につきましては、8用25日に園田地区会館、28日に園田公民部において開催し、それぞれ18C)人、97人、延べ277人の多くの市民の皆さまにご参加いただき、改めて跡地活用に対する関心の高さを認識したところでございます。説明会当日は、束園田町にお住まいの方々を中心として、「藻川の東側に公共施設がなくなる」、「避難場所として残してほしい」、「利用者も多く利便性が高い」等の理由から、「園田地区会館を残してほしい」との多くの意見がございました。

 また、公民館での説明会においては、藻川の西側にお住まいのおー人から、「地区会館は東園田にあってもいいのではないか」とのご意見がございましたが、一方では地区会館での説明会において、藻川の西側にお住まいのおー人から尼崎東高校跡地の区割りに賛成する」とのご意見もいただいたところでございます。今回お示ししました土地活用方針素案は、東高校跡地の土地利用についてまとめたものでございますが、市民説明会全体としましては、園田地区会館を現在地で残してほしいとの強い思いをお持ちの方々から、意見が多かったものと受け止めております。

塚本資産統括局長/答弁6

 東高校跡地の土地活用方針素案に関するパプリックコメントにつきましては8月11日から9月1日までの20日間実施し、(ご指摘のとおり)164人の方からご意見をいただいたところでございます。ご意見の多くは、「園田地区会館を東園田・地域からなくすことに、反対します」とあらかじめ印刷された様式を用いて提出されたものでございました。

 それ以外も東園田町にお住まいの方々を中心に、多くのご意見をいただいており、「複合施設の候補地として区割りすることに反対し、現在の園田地区会館を残してほしいという同主旨のものでございました。その理由につきましては、市民説明会のご意見と同様に「藻川の東側に公共施設がなくなる」「避難場所として残してほしい」「利用者も多く、利便性が高い」、といったものでございました。      

 塚本資産統括局長/答弁7

 ご指摘の要望書につきましては、平成24年6月 7 日、25年11月 6日、そして今年26年7月31日付けで、市長あてに提出されており、要望の趣旨といたしましては、いずれも、東園田地域における防災拠点、コミュニティの拠点として園田地区会館を存続させることや、阪急園田駅前証明コーナーを地区会館に収容し、機能充実を図るよう求めるものでございます。こうしたご要望を、3年続けて提出されたことにつきましては、地域振興センターと地区会館の複合施設の位置等に関して、東園田地域の方々の強い思いを伝えようとする表れであると、受け止めております。 

中浦市民協働局長/答弁8

 平成25年度園田地区会館の利用人数は、80、478人でございます.

1問1答です

(田村質問)

 ご答弁ありがとうございました。聖トマス大学問題について答弁がありました。

 聖トマス大学が学校法人として解散した場合、国が補助金を出してきた関係で、土地建物については所有権が国に所有権が移転されるものと考えます。そうなるとどうなるのか、この資産の処分については、所在地の尼崎市と国とでなんらかの協議の場があるのではないかと指摘して、この質問は終わります。 

 次に、園田地区会館など複合施設の質問に入ります。

 1問1答です。

 園田地区会館について、現状は非常によく市内の地区会館の中でも利用されております。76の登録団体がありまして、利用率も高いということになっています。

 当局の答弁で、昨年1年間の利用者数は、80400人余りとのことでしたが、市民説明会での当局答弁では、利用している40%は藻川西側の住民、60%は藻川の東側の住民とのことでした。つまり藻川の西側東側の住民あわせて、現在地にある園田地区会館で非常によく利用されている、定着している、ということを表しています。

 災害時でない、平時の場合に園田地区会館がこういう風によく使われているのは、これはやはり、阪急電車園田駅の近くにあり、園田駅の周辺には、スーパーが4軒あります。入院できる病院が3病院ありこのほか診療科目の異なる個人の医院も多数あります。

 地区会館を利用したあとに、園田駅の周辺で用事をすますことができるのです。園田地区会館は利便性のある場所に設置しているので、藻川の西側の人も園田駅周辺に来ることも多いし、地区会館を利用したあと、園田駅周辺で用事をすますことができる、つまり今の場所は利便性が高いという状況があります。私は、この1点でも、園田地区の複合施設は現在の場所で設置すべきだと思います。 

 まず、園田地区は藻川で分断されているといった地域特性があると思いますが、当局はどのように認識しているのか、答弁願います。

塚本資産統括局長/答弁

 園田地区においては、確かに藻川で分断されている地理的な特性はあると認識しておりますが、園田地区以外でも、例えば高架化されていない鉄道や、広い幹線道路、川で分断されていたり、またそうしたことがコミュニティエリアの形成に影響しているなど、各地区内において地域特性があると認識しております。

(田村質問)

 配布しています<資料2>を参照願います。

 各6地区の地区会館と支所の位置関係を示していますが、小田地区の2か所の施設は近接しています。中央地区は2か所とも存続です。大庄地区は旧大庄西中の跡地を含む3施設が近接しています。武庫地区はつり池貸し地等など3つの施設が近接しており、立花地区も支所と地区会館が近接しています。(当局は)鉄道などいろいろ言いましたが、藻川という川で分断されている、これが園田地区の地域特性ではないですか。局長どうですか。

 塚本資産統括局長/答弁

 先程も答弁した通り、田村議員がいわれたように藻川で分断されていると認識しておりますし、先程も言いましたが、この地域だけが分断されているという認識ではないということは答弁した通りです。

(田村質問)

 それは少し違うと思います、市民説明会に参加された両側の住民がこういうことを言っているのです。それによって生活圏が多少ちがうところがあるのです。園田だけでないとおっしゃるけれど、川によってこんなに分断されているのは私の配った資料で明らかじゃないですか。率直に認めるべきですよ。園田は川で地域が分かれている、それを前提に次の質問に移ります。

 私も質問したことがありますが、現在も藻川の西側には園田公民館と園田支所の2か所があります。藻川の東側には園田地区会館と駅前証明コーナーの2か所があります。2か所ずつ設置されているのは、こういう藻川の両側に配置するという配慮があって設置されたと考えますが、いかがですか。 

塚本資産統括局長/答弁

 今年6月に策定した「公共施設マネジメント基本方針」では、財政状況や人口減少傾向などを勘案し、ファシリティマネジメントの考え方を踏まえ、「圧縮と再編」を基本としながら、今後35年間で30%以上の施設総量の削減を目標と定めたところでございます。同様の精神で先行して策定した「公共施設の最適化に向けた取り組み」における、地域振興センターと地区会館の複合化や証明コーナーの集約などについては、着実に取組を進め、施設総量の圧縮と機能の強化を図ってまいりたいと考えております。

(田村質問)

 私の質問したことと違うように思います。今までのように、藻川で分断されているから西側に地域振興センター、東側に地区会館を個別に設置してはどうかと質問してきましたが、5地区のバランスがあるから個別に設置することはしないという答弁でした。それは市民説明会に参加した方々は納得していなかったと思います。「そもそも複合化が必要なのか」といった質問が出ていた、本来、市は6か所のバランスと言ってきたでしょう。おかしいじゃないですか。なぜ5か所のバランスなのですか。

岩田副市長/答弁

 5地区というのは中央地区会館と中央支所との関係でそうしておりまして、5地区というのはそれぞれ歴史的経過がある、もともとは1町5村の合併の関係により、各町に支所があり、それが今に脈々と受け継がれてきている、それが合併後は支所として各行政区として、地方自治法に基づく支所として存在してきており、その後形態は変わりましたが、いまも支所はコミュニティづくり、市民サービスに大きな役割を果たしています。

 一方、地区会館についても歴史的経過があり、各地区に航空機騒音対策補助を使って地区会館がつくられ、これも地域づくりやまちづくりに大きな貢献してきておりますが、ここにいたっていずれも老朽化、耐震化の問題を抱えており、一方、ファシリティマネジメントの精神にもとづいて、これからの人口減少、財政力を考えたなかでそれぞれを両立して建て替えることは不可能であり、目的は各地区とも同じ形で支所も地区会館も建っているわけですから、これは園田地区においてもそういう風に統合させて頂こうと、地域全体を一つとして考えた妥当な考えである、こういったことから5地区一緒にバランスをとってやろうということで、バランスという表現を使っているものです。

(田村質問)

 の説明は、市民は聞き飽きている、誰も納得していない。この前、園和連協の方々が当局に要望した際、塚本局長は「園田地区の複合施設の場所に関して藻川を境に東と西でさまざまな意見が分かれており、意見を踏まえて一つの答えを導き出すことが困難な状況です。」と、連協の方に説明しています。

 副市長もそういう答弁をしてきているのです。藻川の西と東で意見が二分しているためまだ決められない、困難だと言ってきたんです。いつまでそんな答弁をするのですか、ということです。いろいろ経過はあるでしょう。中央地区はどちらも耐震性があるから二つとも残す、これは中央地区の現実なんですね。園田地区は園田支所と地区会館の距離がいちばん遠いでしょう。間には川があるでしょう。ほかの4地区と条件が違うでしょう、いかがですか。

岩田副市長/答弁

 確かに園田地区は藻川で分断されているのですが、先程、田村議員から、二つの意見があって決められないという意見がありましたが、それはもともと統合場所は、東高校跡地、園田地区会館の現在地、園田支所、の三つを候補地を示しているもので、どこか一つに集約していきたいということで、東高校跡地につきましては、候補地として区割りを示したもので、現実に3か所のうちどこにするかは、いろいろ意見を聞いて協議検討しているもので、両方とも併存するということは申し上げておりません。

(田村質問)

 三か所とも候補地ということは私も知っていますが、ただ素案の中に、東高校跡地に複合施設の候補地として区割りのイメージ図が示されたことで、市民はああここになるのかなと思っても仕方がないのですよ、やり方にはいろいろ問題があると思います。東高校跡地に複合施設を設置した場合、藻川の西側には園田公民館と複合施設の2か所の公共施設があることになり、一方、島之内地区、東園田には類する公共施設がなくなってしまいますが、これでは、東園田地区の住民の納得は得られないと思います。私は、東高校跡地を候補地にしたこと、また複合施設化すること、そういう発想そのものに問題があると思っています。次に、確認の質問をします、園田支所、東高校跡地、園田地区会館の最新の路線価はいくらか。 

塚本資産統括局長/答弁

 平成26年度の財産評価基準書によれば、路線価図にもとづきますと、それぞれ1㎡あたりで示すと、園田支所が15万円、園田地区会館が18万5千円、東高校跡地が13万円です。

(田村質問)

 答弁いただいた路線価をみれば、同じ面積なら、園田地区会館が一番高く売れる、2番目が園田支所、3番目が東高校跡地になるが、「公共施設の最適化の取り組み方向・素案では、(11ページの)エ」の冊子では、「現在の支所、地区会館の廃止に伴い生じる遊休地は、当該遊休地周辺の状況を見ながら、現役世代の転入・定住を促進するため、基本的には優良な住宅等の形成並びに新施設建設の財源確保に活用する。」と書いてあります。つまり、支所または地区会館を売った場合は、それは財源にすると書いてあります。次に15ページには選択肢1の東高校跡地に複合施設を設置した場合、遊休地となるのは、園田支所と園田地区会館とあります。つまり一番高く売れる園田地区会館と2番目の園田支所は売却できる、そうでしょう。いかがですか。 

塚本資産統括局長/答弁

 三つの候補地を示し、それぞれ選択した場合、遊休地がどこになるかを記載したものであり、路線価が高いから園田地区会館を売るとしているものではない。いずれにしても、公共施設はここだけでなく全体として圧縮と再編の流れの中にあります。公共施設の最適化、マネジメントの取り組みの中で、生じる余剰地の売却は貴重な財源であり、優良な住宅地として売却することにより税源の涵養につながるものとして考えていきたいと思いますし、公共施設の設置の位置の決定は売却収入の多寡だけで決めるものではないと考えております。

(田村質問)

 そういうけれど、あなた方の出した公共施設の最適化という冊子で、目的の1番目には、公共施設の総量の圧縮による維持管理コストの抑制と建て替えのための財源の確保を図ると書いてあるんですよ。

 お金のためじゃないんですか。2番目には機能の充実とありますが、1番目にこういうことを書いているじゃないですか。公共施設の最適化という冊子には、防災という視点でこの施設が必要だと、つまり、防災という言葉がまったくないのはなぜですか。 

塚本資産統括局長/答弁

 この冊子全体の中で、防災の視点が書かれてなかったかもしれません。

(田村質問)

 「公共施設の最適化の取り組みにむけて」冊子の中では、防災という言葉がひとこともありません。

 そこで次の質問に移っていきます。

 当局が東高校跡地の活用素案を示したわけですが、島之内、東園田地区には類する公共施設がなくなってしまう、駅前証明コーナーもなくされる計画もあり、つまり公共施設がなくなる、職員もいなくなるということであります。資料1をご覧願います。これは防災担当局がつくられた洪水のハザードマップの猪名川、藻川編です。洪水災害の最悪のケースでは、東園田地区では浸水の深さが2m、3m,4mというように、藻川の西側、東高校周辺より、浸水深さの深いところがかなり広い面積で想定されています。上流で時間当たり100ミリ、200ミリを超えるような雨量で一定時間降れば、マップのような最悪の事態になります。そして堤防が破堤したり、越流したりすれば島之内に水がたまってしまいます。質問します。北部浄化センターの雨水ポンプがフル稼働したとすれば、東園田地域で浸水した水の排出には何日かかるのか、一定の条件のもとでの概算での試算でいいですから、答弁願います。 

芝都市整備局長/答弁

 猪名川、藻川の両河川から同時に東園田地域に越流するということは現実的ではありませんが、仮にそうした想定で浸水したとした場合、北部浄化センターの雨水ポンプだけで排水すれば、これも現実的でないと思いますが、雨水ポンプの能力から大まかに試算すると、計算上4日程度となります。しかしながら、現実には、消防ポンプなども導入し、また河川管理者の国とも連携して復旧に全力をあげますので、一両日中には排出できるものと思います。

(田村質問)

 島之内といわれるように南のほうに行くほど浸水が深くなり、川は増水しているので川を渡って逃げることもできない。孤立化するともいわれています。次に質問します。現在の園田地域振興センターの職員は、正職員、再任用、嘱託、臨時それぞれ何人ですか。また、園田駅前の証明コーナーの職員は同じく何人ですか。 

中浦市民協働局長/答弁

 地域振興センターは 正職員4人、再任用職員1人の計5人です。駅前証明コーナーは正職員1人、短時間再任用職員2人、嘱託職員1人、臨時職員2人の計5人です。

(田村質問)

 質問します。 次に、現在の園田公民館の職員は同じく何人ですか。 

徳田教育長/答弁

 園田公民館4月1日現在の職員は、館長含め正職員3人、短時間再任用職員3人、嘱託職員1人、臨時的任用職員1人の 計8人です

(田村質問)

 マップの左下に、この地域の指定避難場所の一覧があります、小中学校、高校含めてすべてです、園田地区会館も指定避難場所になっています。次に、地区会館としては中央地区会館と園田地区会館だけが指定避難場所になっているが、それ以外の4か所の地区会館はなっていない。なぜ園田地区会館が避難場所になっているのか、その意味はどういうところにあるのでしょうか。 

衣笠防災担当局長/答弁

 園田地区会館については平成17年に避難場所に指定されており、そのとき一緒に指定したのは、中央地区会館および立花公民館で、この3か所が指定避難場所になった考え方としては周りの指定避難場所までの主に距離、指定避難場所までの距離が離れているからと聞いています。

(田村質問)

 資料配布した、洪水ハザードマップ、猪名川・藻川編を示しながら(過去に経験したことのない短時間の大雨が上流で降れば)それで、河川の氾濫ということを私が想定しますが、藻川の上食満水位観測所と書いてある辺りが東高校跡地で藻川の川の流れが上流からまっすぐぶつかるところで堤防が壊れる可能性がある、次に、下流に下って藻川と書いてある辺り、流れがまっすぐぶつかる所、東園田町3丁目付近ですが、ここの堤防が壊れたり越流する可能性があります。

 3丁目で堤防が壊れた場合、3丁目、4丁目の住民の皆さんは、園田地区会館と書いてあるところから南側が4丁目になるわけですが、北から水がくるわけですから、(やや南東の)園和小学校をめざして避難するのが基本ですが、近くの人は遅れても園田地区会館があればそこに逃げ込める、指定避難場所なんです。広島などで一瞬の差で助かるケースも出ている、場合によっては園和小に向かう途中で洪水に巻き込まれて犠牲になる、そういうことも想定しなくてはならない、

 マップの右上にある写真、阪急園田駅のところで水深が2.5m想定されている、大人がすっぽりと水に浸かってしまう、最悪の場合の想定です。その前の段階で避難するわけですが、藻川から100mから150m離れているところに園田地区会館があり指定避難場所になっている、それが東高校跡地に候補地とはいえ複合施設をつくると園田地区会館の跡地は売却してしまう、すると指定避難場所がなくなってしまう、これでいいんですか。こういうことについて防災担当としてどうですか。 

衣笠防災担当局長/答弁

 避難所につきましては、本市では河川洪水、津波、高潮などでハザードマップの浸水予測図を重ね合わせますとほぼ市内全域が災害のリスクがある、そういう意味からすると防災の視点だけからいえば、当然のことながら、災害時に被災者が安全に避難できる場所が公共施設であれ、民間施設であれ、一つでも多くあるほうが望ましいことだと思います。

(田村質問)

 田村/防災担当局長としては当然の答弁ですよね。「避難場所は多いほどいい」。しかし、東高校跡地に複合施設をつくるという候補地を素案で示したため、園田地区会館の跡地は売却される。園田地区会館はなくなってしまう、災害があれば住民にとって大変なことになる、素案に示した東高校跡地に複合施設の候補地とすることに問題があるのではないか。副市長か市長に答えてもらわないといけないと思うのですが、なぜ危険リスクの多いところの避難場所が無くなるような素案を示したのか、認めたのか、どうですか。 

岩田副市長/答弁

 防災担当局長から、防災の観点から数があればいいというのは当然の話でありましてただファシリティマネジメントの考え方、公共施設の最適化につきましては、尼崎市を持続可能なまちにしていこうというまちづくり全体の大きな考えのもとにやっておりまして、園田地区会館だけがダメということではなしに、それは別の観点でありまして、全体の中で防災機能の向上という考え方でしていこうとことですし、今までから学校の統廃合もやってきており、公共施設の最適化ができなくなってしまう、ファシリティマネジメントができなくなってしまう、園田地区会館の廃止が一つの候補地になったからといって、防災の避難所が全部なくなるという、そういう話にはならないと考えます。

(田村質問)

 私、冒頭に質問しましたが、これからは経験したことのない大雨が猪名川上流で降ることを想定しなければならないし、行政も住民もそういう対応する必要があると防災担当局長が答弁したんですよ、それなのに避難場所は(をなくすのは)、市全体のためというのはお金のことですよね。つまり「住民の命より、お金のほうが大事だ、そう聞こえますよ」、どうなんですか。 

岩田副市長/答弁

 そういうことを言ったわけではない。島之内地区にもほかに防災拠点として避難所があるわけでして、地区会館だけをとってすべてがなくなるような極端な話ではない、お金のためではなく、もちろん行財政改革の一環と言う精神ではありますけど、統合することはファシリティマネジメントの観点であり、持続可能な尼崎市を目指すのであり、島之内地区は園田全体のなかで防災拠点といいますか、避難所を確保していく必要があると考えます。

(田村質問)

 市全体としてとか園田全体とかいいますけど、副市長がそこまで言うならお聞きしたい。ハザードマップで東園田地区で、2m、3m、4mという浸水地域が想定される中で、園田地区会館を無くすという中で、園和小、園田東中学校があり、阪急電車のホームなども使わしてもらえるでしょうが、この地区に何人の住民がいて、地区会館がなくてもすべての住民が避難できる場所はあるのですか。このような閉じ込められているような場所で、すべての避難者を受け入れる施設があるのですか。 

衣笠防災担当局長/答弁

 地区会館がなくなることは全く想定できないが、仮に無くなった場合、防災担当として、まず発災時に自分がいる位置の一番近い避難所に避難していただくのが基本、まずは水平避難してください、それが危ないのであれば、近くの高いところへ避難してください、そういう啓発をしている。

 避難所についてはこれまで、平成21年にハザードマップを全戸配布したが、その中で85か所が記載されていたが、現実、今では学校の統廃合などで81か所に、4か所を廃止した、そういう中で,身をまもるために、自分がどこにいるのか、水の流れがどういう方向から来るのか、そういう中でどこへ行くのかを日頃からよく考えて頂きたいというのが我々の考えですけど、それともう一つ、避難場所が全人口の分がいるのかどうかですが、それは災害の種類によります。たとえば地震が起きた場合家が倒れて行くところがない、この場合は避難場所に行くことになりますが、風水害のうち水害については、一時的に水が引いた場合は自宅に帰ってもらう、そして国のほうからも二次避難所の考え方も問われている、今後はそのほうのことも考えていきたいと思います。 

(田村質問)

 資料のマップをご覧願います、藻川の西の東高校跡地周辺は1m、2m、3mの浸水となっていますが、その浸水地域の西側には0.5m未満の黄色で示した地域が隣接しています、南側にも隣接しています。つまり西の方へ、南の方へ逃げ場があるのです。ところが東園田地区は氾濫した河川に囲まれて逃げ場がないんです。副市長や局長の答弁には納得がいかない。こういう危険リスクが高いところ(東園田地区)で、指定避難場所になっている地区会館を無くしていいのですか。 市長に答弁お願いしたいと思います。 

市長/答弁

 園田地区の複合施設については、候補地3か所を示して検討中です。川に囲まれている地域という特性を踏まえて防災拠点としての意義がニーズとして非常に地元でも強いのだ、といわれていると認識しています。

 私ども、まちづくりを進めていく上では当然総合的なことを考えていくわけでして、これから公共施設の再配置をやっていきます、人口が減っていく中、私たちもかってのようにたくさんの税収が集まるわけでない中、扶助費の伸びが大きい中で、どれだけ窓口サービスとか公共施設にお金をふり向けていくのか考えたとき、一定の施設集約が必要だということを方針として出しております。

 その中でも、地域振興センターについては6地区ひとつずつしっかり残し、住民自治を支える拠点として機能させるべきだろう、ということで6か所残していく、そこについては人の配置も含めて地区会館との合築で効率的効果的な運営をしていくのがいいのではないかというのが私たちの素案でありますけども、そもそも地域振興センター自体が地域の自治をしっかり支えていくことが目的でありますから、園田地域の中においては、やはり防災ということが重要だということであれば、園田地域の歴史やニーズに即した園田方式というものが全くあり得ないわけでもないと思っています。ただそうは言っても先程来、財源の話もさせていただいており、売却代金が少なくなれば、売却代金が大きくなるからと言ってそれは誰かが私腹を肥やすのでなく、私たちのまちづくり全体にかかるお金が制約を受けるということで、その範囲の中でそういうことも選択肢として、これからのまちづくりのことで地元の皆さんと丁寧に話していくことだと認識しています。

 みなさんも、将来の子どもたちに借金のツケをまわして施設をつくれと言っているのではないと思いますし、そこは皆さんがしっかりとそういった責任と役割の中で、話し合ってやっていくものと思いますし、私たちも必要な情報を提供いたしますし、そこは皆さんも話し合って、当然、地域の特性を踏まえて一諸に考えていきたいと思います。 

(田村質問)

 資料4は、島之内の洪水災害の歴史を歩いて調べたものです。参考にしてください。資料3の実績浸水深の表示板は、この地域に3~4か所たてられていることを紹介して、時間になりましたので終わります。

9月議会 決算委員会での松村ヤス子議員の反対討論です

 9月議会の決算委員会が、9月18日(木)19日(金)22日(月)に開かれ、松村ヤス子議員と徳田稔議員が平成25年度の決算審議に参加しました。最終日の採択の前に松村議員が反対討論を行いました。平成25年度決算は市民生活をより苦しめるものとなっているため反対しました。

松村議員の反対討論

 議案、第1号、2013年度尼崎市歳入歳出決算に対する反対討論を行います。

2013年度一般会計予算では、①投資的経費や経常経費など、歳出全般にわたる経費削減、②人件費の削減、③基金の取り崩し、④市債充当率のかさ上げ、⑤退職手当債の活用などの財源対策を行いました。しかし、①臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税、②市税収入、②臨海部の用地売り払い収入などにより、収支が大幅に改善し、19億円近い黒字決算となりました。

 しかし、決算は黒字でしたが、個人市民税の現年課税分では、2億円減額した補正後予算よりも6億1000万円少なくなっており、50万円から30万円の滞納層への集中的な差押えによって6億1000万円が減額分を埋めています。一方、財界の強い要請による法人実効税率の引き下げにより、法人税収は、昨年度決算に比べて5億円も少なくなっています。

 生活保護費の伸びが予算より低かったとしても、無年金・低年金高齢者の増加により、保護率は、4%を超えており、市民の所得が伸びた結果ではなく、低賃金不安定雇用の増加、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療制度などの負担が市民生活をより苦しめているのが実態です。決算が黒字になったからと言って、市民生活は、決して改善していません。

 労働福祉会館も市民の願いに反して、閉館が決定されてしまいました。国民健康保険料は、高くなり、滞納を余儀なくされる世帯が増加しているにもかかわらず、引き下げ努力は、前市長就任後の4億円、そして、現市長就任後の特別減免制度の2億円の繰り入れにとどめられたままです。滞納者には、保険証を国保課に留め置くといった制裁措置が継続されており、病気の重篤化を余儀なくされ、死に至る市民がいることを見過ごすことはできません。

 事業棚卸についてです。市民目線で、市の事業のチェックを目標としていますが、事業についての事前の説明、現地の視察、など、職員に掛かる負担の大きさ、そして、当日、いろいろ質問を受ける担当課長が異動直後で、日が浅く、事業の内容を熟知していない場合は本当に悲惨な状況でした。それだけでなく、質問する市民が事業について正しく理解されていない場合もありました。

 棚卸に参加した市民が、エーリックへの支出について、大きく怒っておられましたが、私が、リサーチコア事業全体の組み立て、つまり、学校でコンピューターの知識をつけ、高度加工技術研究所の成果を活用し、新事業を立ち上げられるように、インキュベーションセンターの部屋を借りて、独立を目指す、そんな構想だった。しかし、コンピューター学校は、建物が建設された頃には、民間で林立状態、その後コロコロと変わり、やっと今落ち着いていること、高度加工技術研究所には、フランスに1台ある高出力CO2レーザー装置の2台目をはじめ、各種の高度な加工機などを尼崎市が購入したけれど、結局ほとんど大企業が使っていたということを説明したところ、呆れ果て怒りをあらわにしていたことをよく覚えています。ということは、市の棚卸では、そんなことまでは、説明されていなかったと推察されました。結局、神戸製鋼の所有地を尼崎市が買ったり、借りたりして、神戸製鋼に尽くしているようなものです。棚卸事業こそ棚卸すべきです。

 また、園田西武庫線事業についてです。車離れが進んでいるとのこと。こんなにも財政が厳しいなか、軍需産業である三菱電機に対する補償費の詳細が一切明らかにされ、市が負担する事業費の詳細が明らかにされないままで、支出することには問題があります。

 尼崎の子どもたち、保護者から、高校の学区拡大の要望があったわけではないにもかかわらず、また、尼崎の子どもたちの高校進学に大きな不安と障害を持ち込むことを承知の上で、県教委の方針に追随する教育委員会の姿勢は、尼崎の子どもと保護者に目を向けているとは言えません。

 中学校給食の実施を求める市民の強い要望に応えて、議会が全会一致で陳情を採択しました。一日も早く具体化することが必要です。

 2012年10月から3校で始められた、注文弁当方式を全中学校に広げるとしています。しかし、2013年度新たに始めた5校を加えた8校の実績を見ると平均利用率が2、3%程度です。なお、今年度から、380円を350円にし、教育委員会の管理栄養士が栄養のバランスを考えた献立をつくるなど、学校給食並みに改善をし、弁当容器にも配慮し、ご飯の量も生徒の要求に沿えるように、3段階にするなど、利用率を上げるための必死の努力がうかがえます。それでも、利用率の伸びは、ほとんど感じられません。注文弁当事業の限界だと思います。やはり、学校給食法に基づく、給食を早期に実施するよう強く求めます。

 大高洲町の尼崎港運㈱所有の倉庫に聖和興業が許可条件を大幅に超える廃棄物を保管し、3回も火災が発生し、聖和興業は、実体がない状況になっています。問題が起こった直後に、自民党国会議員の鴻池氏は会社の役員をおりて責任逃れをし、火災により、焼け残った廃棄物がある状態のまま、いまは、用地所有者が3社になっており、焼け残った廃棄物は、尼崎港運㈱と、自民党の国会議員である泉原氏の泉興業が購入した土地に残されたままになっています。泉原氏は、一般社団法人、兵庫県産業廃棄物協会副会長であり、兵庫県クリーンリサイクル事業共同組合理事長をも務めているとインターネットで紹介されています。国会議員としての見識が強く問われます。幸いにも、市の調査によれば、今のところ、海水への汚染はないとのことですが、土壌汚染から海洋汚染へとつながりかねません。早期の処理を強く求めるべきです。以上、議案第1号に反対する討論を終わります。

9月議会 松村ヤス子議員の一般質問と当局答弁です

(松村質問)

 日本共産党議員団の松村ヤス子です。生活保護法と密接な関係にある「生活困窮者自立支援法」について質問します。

 生活保護世帯は、高齢世帯、母子世帯、障害者世帯、傷病者世帯、そして、それらに属さない、「その他世帯」の5類型に分類されています。

 世帯類型別被保護世帯数の一覧表などを机上に配布させていただいています。参考にしてください。

 2005年度から2014年6月までの10年間の増加率は、高齢世帯、1.62倍、母子世帯、1.17倍、障害世帯、1.31倍、傷病世帯、1.28倍、「その他世帯」は、実に、3.91倍で、他の世帯と比べて、著しく増加しています。また、生活保護世帯に占める各世帯の分布割合では、直近の4月から6月までの平均では、高齢世帯が6496世帯で48.6%、母子世帯が1024世帯で7.7%、障害世帯が1213世帯で9.1%、傷病世帯が3197世帯で23.9%、その他世帯が1427世帯で10.7%です。高齢世帯が49%、傷病世帯が24%、合わせて73%です。「その他世帯」は、11%で、1割程度です。世帯数は少ないけれど、増加率は突出して高いのです。

 資料②にも記述していますが、「その他世帯」とは、高齢世帯、母子世帯、障害世帯、傷病世帯に属さない世帯です。資料③に示しているように、「その他世帯」には、0歳~80歳以上の人も含まれていますが、65歳未満の稼働年齢世代の人がいて、失業中、もしくは、働いていても、生活保護費以下の収入しか得られていない世帯です。

 

 今年の4月末時点で生活保護人員総数は、17,928人で、そのうち、2,441人が「その他世帯」に含まれています。この2,441人のうち、生活困窮者自立支援事業の対象者に匹敵すると思われる人数を試算してみました。

 資料③をご覧ください。0歳~19歳までが360人で14.7%、65歳以上が391人で   16%、30.7% この方たちは対象外です。

 概ね20歳~64歳までの1,690人が稼働能力のある年齢層となります。稼働年齢層のうち、40歳以上が1,323人で、稼働年齢層の78.3%をしめています。今の社会では、40歳以上でも就職しにくいようですが、稼働年齢層の51.2%をしめている50歳以上の866人は、さらに困難になり、よほどの知識・能力を持っていなければ正規での雇用はないでしょうし、そういう能力のある方たちが就職できずに、「その他世帯」におられるとしても、極めて少数ではないかと思います。

 このような状況の「その他世帯」のなかの稼働年齢世代も含めて、今後、稼働年齢層の自立を支援し、生活保護世帯の増加を抑えようとするのが、「生活困窮者自立支援法」です。現在、福祉事務所において、「その他世帯」における「稼働能力あり」の方に、どのような支援を行っていますか。

(健康福祉局長答弁)

 現在、福祉事務所では、生活保護受給者への就労支援としてケースワーカーによる支援を行うほか、就:労促進相談員を配置して、対象者に対して寄り沿い型の面談・』を行い、ボランティア・職業体験を通じた就労前の意欲喚起をはじめとして、履歴書作成や面接の指導、ハローワークヘの同行訪問、求人や能力開発に係る情報提供など、対象者Jの意欲や能力に応じたきめ細かな就労支援に努めております。また、些定の稼働能力と就労意欲を有する人に対しては、しごと支援課の地域週雇用就労相談窓口を通じて各種セミナーへの参加や無料職業紹介の利用促進を図っております。

 さらに、平成23年度から本市とハローワークとの協定に基づき、生活保護受給者等を対象として4より専門的な見地から、職歴や能力に応じた個別の職業紹介事業をハローワークで行うとともに、本庁舎内においても~昨年7月から、毎週1回、生活保護受給者を対象としたハローワークの巡回相談を開始するなど、庁内外の関係機関との連携を進め、就労支援に取り組んでいるところでございます。

(松村質問)

 就労支援を行うことで、就職できた方は、年間何人おられ、その割合はどれぐらいですか。

(健康福祉局長答弁)

 平成25年度中に就労促進相談員が就労支援を行ったその他世帯の生活保護受給者は285人で、そのうち105人が就職に至っており、その割合は57%となっております。

(松村質問)

 就職できた場合の月収はどの程度ありますか。

(健康福祉局長答弁)

 ただいま申し上げました就職者105人の月収につきましては、最高で約35万円の人もいましたが、平均では82、766円となっております。就職した人に占めるフルタイム就労の人の割合は19%に過ぎず、大部分がパートタイム就労となってJおり、月収5万円未満の人が46%を占めている状況でございます。

(松村質問

 最低賃金が保障されていることを確認していますか。最低賃金を割っているような働き方はありませんか。

(健康福祉局長答弁)

 就労支援を進めていく中で、福祉事務所としましても新規就労開始時には、ご本人から就労開始報告書を提出していただき勤務条件を確認しております。また、就職に結びついた経路といたしましては、ハローワークの職業紹介や求人情報誌に掲載されているものが主なものであり、こうしたことからも一定の勤務条件が守られ’ていると考えてJおります。

(松村質問)

 就職できて、自立した方は、どの程度おられますか。

(健康福祉局長答弁)

 さきほど申し上げました就職者105人のうち、自立廃止に至ったのは12人となっております。

(松村質問)

 就職するうえで障害になっていることは、どういうことだと分析していますか。

(健康福祉局長答弁)

 稼働年齢層における就労阻害要因としては、傷病によるもの、障害によるもの家族の育児や介護によるものが主なものとなっておりますが、その他にもご自身の社会的な適応能力に課題がある場合など、様々な要因がございます。ー方、稼働能力を一定有する方につきましても、詳細な分析を行っているもの。ではありませんが、専門的な資格や技能、就労経験などが乏しいといった本人の能力によるものや、これまでの経験を活かすことができる業種の求人数が少なかったり、あるいは、jあっても失職期間必の長期化により採用されにくい傾向があるなどの雇用環境によるものや、以前の就労時に失敗した経験を思い出してなかなか意欲を前面に出せないなどの就労意欲によるものなどを原因としてへ就職に至るまでに長期の時間を必要としている方が多いのではないかといった印象を持っているところでございます。

(松村質問)

 2013年1月25日に、国の社会保障審議会の「生活困窮者の生活支援のあり方に関する特別部会」が報告書を出しています。

 その総論の中の「生活困窮をめぐる現状と課題」の項に概ね次の記述があります。

・生活困窮者の増大によって、この国の基盤が揺らいでいる。

・1990年代の半ばから、安定した雇用が減少し、世帯構造も変化して、現役世代を含めて生活困窮者の増大が顕著になった。

・この傾向はリーマンショック、2008年9月15日、後に加速している。稼働年齢世代にある人々を含めて生活保護を受給する人が増加した。

・将来の展望を失った人々が増えると勤勉な労働力という最大の資源が失われていく。

・生活困窮は、責任のない子どもたちの未来にも影を落とす。貧困の連鎖も現れこの国の将来を担う世代の力が大きく減じていく。

と生活保護増加が日本社会に与えるマイナス面を述べております。しかし、合わせて、

・日本の生活保護制度は、先進国の制度としては、保護されている国民の割合からしても、支出の規模は決して高いものではなく、受給者も、相対的に割合が減っているものの、約8割が高齢・傷病・障害世帯などの就労困難な人々が中心である。制度への信頼と理解を得るうえで、生活保護をめぐる客観的事実は正しく伝えていくべきである。

・ 生活保護を受給している稼働世帯にも、保護を受給せず働き続ける困窮層にも、安定した就労で、生活を向上させる支援を等しく提供する必要がある。

と生活保護利用者の実態について、正しい理解と事実を伝えることの大切さと、困窮者への支援の必要性をのべています。

 そして、この社会保障審議会の報告で、新たな生活困窮者自立支援制度の構築と生活保護制度の見直しがまとめられました。

 日本共産党は、「生活保護法の改正案は、水際作戦の強化など、到底受け入れられるものではない、生活困窮者自立支援法案には、「最低賃金を下回る中間的就労が盛り込まれており、生活保護制度からの追い出しと水際作戦の手段にされる恐れがある」として、反対しました。しかし、法が成立したなかで、危惧する運用が行われないよう、生活困窮者の立場に立って、自立できるように親身の相談活動などの支援が必要だと考えます。

 私は、この報告書は、「リーマンショック以降に生活困窮者が増え」とあり、原因はリーマンショックにあると受けとられる書き方をしていることに、違和感と怒りを感じています。派遣労働法が製造業にも適用されるように改正されたのが2004年、リーマンショックは2008年です。厚生労働省は、派遣労働法の改正には触れていませんが、雇用については、非正規雇用者は、2000年には26%だったものが2013年には36.7%に増え、年収200万円以下の給与所得者が18.4%から23.9%に増加していると述べています。

 これは、決して自然現象ではなく、経済界の利益にそう政治が生みだした結果です。生活困窮者の増加は、リーマンショックの4年前の2004年3月に日本共産党以外の当時のすべての政党が「労働者派遣法の大改悪法」を可決し、労働組合の弱体化が進む中、正規から派遣への置き換えがすすみ、低賃金・不安定雇用の拡大、長時間労働による過労自殺の多発、ブラック企業化の野放し状態が大きな社会問題になるなど雇用環境が悪くなり、結局、労働者の購買力低下による不況が長期化し、それも加わって、雇用の悪化を加速させてきたことが、大きな要因だと考えますが、生活困窮者増加に対する市長の認識はいかがでしょうか。

(健康福祉局長答弁)

 生活困窮者自立支援法において蕊生活困窮者は、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」と定義されております。生活困窮に陥る要因といたしましては、経済的な問題だけでなく、健康上の課題や家庭の事情などの複合的な問題を抱えている場合が多く雇用や労働環境など、様々な要因から生活困窮の状態に至っているものと考えております。

2回目登壇

(松村質問)

 一般的に、ほとんどの国民は、学校を卒業後、定年まで、もしくは、自営の場合は、体力が続き、営業が成り立つ限り、働き手として社会を支えます。私の母も70歳を過ぎても、ささやかな商いを続けていました。未来に不安がなければ、若者は結婚し、次の世代の働き手を育てます。しかし、そんな当たり前のことをできにくくしているのが、派遣雇用です。

 私は、「その他世帯」の増加は、先に述べたように、企業利益を最優先するために、生きている人間をごみのように捨てることができるようにした政府・国会に最大の原因があると思っています。貯金を使い果たし、家庭崩壊、家賃の滞納、退去、ホームレスになった人、家主の善意でホームレスにはならなかったものの、心の病に侵され働けない状態に陥っている人などから相談を受けたことも少なくありません。

 この「その他世帯」を減らすための「生活困窮者自立支援法」が昨年12月に制定され、来年4月から全国の福祉事務所のある自治体で施行すると定められました。これまで十分でなかった、生活保護受給者以外の生活困窮者に対する「第2のセーフティネット」を拡充するものと位置付けられています。

 「生活困窮者自立支援法」について、厚生労働省の熊木正人 生活困窮者自立支援室長の講演をお聞きしました。昨日、弘中議員も言っておられましたが、私たちも参加しました。私はこの生活困窮者自立支援法が、生活保護制度の利用をさせにくくし、かえって、生活に困窮する人を生み出すことにならないのか、大変危惧を抱き、支援法そのものを読み、講演もお聞きし、厚生労働省と自治体との問答集などにも一定目を通しました。

 市職員としてはどの部署であっても、そうですが、特に、この分野では、生活困窮者の心に寄り添って、親身の相談ができる職員の配置が必須だと考えます。また、新法の自立相談支援事業は、アセスメント、プラン作成、支援調整会議、支援決定といった一連のプロセスに基づき、就労支援も含めた包括的な支援を行うことで、生活困窮者の自立と尊厳の確保、地域づくりを行うものであり、一般論としては、これまで自治体等において行われてきた事業と相当程度異なるものであることには留意が必要であると述べています。特に、要の事業になる自立相談支援事業を担当する部署を新設する必要があると考えますが。

(健康福祉局長答弁)

 自立相談支援事業については、複合的な問題を抱える生活困窮者を対象者に、包括的一元的に相談対1応する中で、個人の課題や事情に応じて適切帳なJ支援を行っていくという新たな取組みであり、多くの部署や関係機関との『連携を図りながら、相談者に寄り添った支援ができるような新しい体制が必要であると考えております。その業務内容については、生活保護業務とも密接な関連があることから、そうしたことも踏まえご組織体制一設置場所等について、現在~J庁Ⅱ内検討会議とその部会において、検討を行っているところでございます。

(松村質問)

 合わせて、生活保護担当との連携が必要です。福祉事務所と十分連携がとれるよう、福祉事務所内か、近接して設置するのが望ましいと考えますが。

(健康福祉局長答弁)

 自立相談支援事業の実施において、窓口に来所されない生活困窮者をいかに把握するかは大変重要なことであると考えており、関係部署や関係機関と連携しながら、対象となる困窮者を把握し、必要に応じて自立相談支援の窓口につⅡなぐことで、できるだけ早い段階で支援が行っていけるよう取り組んで参りたいと考えております。

(松村質問)

 本市では、高金利のサラ金の厳しい取り立てに苦しむ市民の多重債務者救済のために、関係各課と消費生活支援センターとが連携して解決する実績も持っています。生活困窮者が相談に来るのを待つことから始めるのでなく、生活困窮状態にある恐れがあると推察されるデータとして、市税・国保料、市営住宅家賃、給食代、保育料、水道料金など、さまざまな税・使用料などを滞納している市民を把握できる市役所の各担当課と積極的に連携して、早い段階から、自立相談支援事業につなぐ体制をつくって対応することが求められますが。自立支援相談事業は、委託でもできるとされていますが、保護世帯が多く、貧困世帯の状況を多く把握している本市では、委託でなく直営で実施すべきと考えますが。

(健康福祉局長答弁)

 必須事業である自立相談支援機関の運営は、自治体が行うこととされている「支援決定」を除き、就労等の自立に関する相談部分や、支援プラン案の作成、支援調整~会議の開催などの事業を民間団体等へ委託できることとされております。直営と委託のいずれの場合においても、メリットとデメリットがありますことから、現在、庁内検討会議とその部会において、その他の任意事業の実施手法等も含めて、円滑に事業が実施できるよう、検討を行っているところでございます。

(松村質問)

 また、問答集には、自立支援相談事業の各支援員には、一定の経過措置を前提としつつ、国が行う養成研修の受講を要件とすることを考えている。とあり、主任相談支援員については社会福祉士、精神保健福祉士、保健師として保健、医療、福祉、就労、教育等の分野における業務に5年以上従事しているものであり、かつ、生活困窮者への相談支援業務そのたの相談支援業務に3年以上従事している者、生活困窮者への相談支援業務その他の相談支援業務に5年以上従事しているもの、相談支援業務に準ずる業務として、実施主体である自治体の長が認めた業務に5年以上従事しているもの、のいずれかに該当することを検討するとしています。なお、主任相談支援員の配置要件の緩和については、認めないと受けとれる回答をしています。

 本市は、2003年度及び2004年度は、財政再建を目的に市職員新規採用をストップ。この間、保護世帯が増加しているにもかかわらず、福祉事務所の職員も新規採用されませんでした。

 県及び国の監査でワーカーの標準数を満たしていないとの指摘を受け続けており、80世帯担当を標準としていますが、実質的には、2倍近い世帯を担当している実態もあります。来年度から社会福祉士の資格のある職員を何人か新規採用する予定と聞いていますが、先に述べた3つの条件のいずれかに該当する職員は現状でそれぞれ何人おられますか。

 また、生活困窮者自立支援事業を進めるうえでは、主任相談支援員だけでなく、専門職の増員が必要と考えますが、かならず専門職で対応するのか答弁願います。また、専門職の配置については、自立相談支援員だけでなく、福祉事務所への配置に対する考え方を示してください。

 

(健康福祉局長答弁)

 自立相談支援事業における主任相談支援員の資格要件については、実務経験の対象業務等の詳細が示されていないことから、正確な人数は申し上げることはできませんが、社会福祉士、精神・保健福祉士、保健師の資格を所持している職員に限定しますと、本人の申告べ一スでそれぞれ27人、旧人、75人の合計1可5人でございます。自立相談支援の窓口においては、主任相談支援員に限らず、一般の相談支援員等においても専門的な知識・経験は重要であると考えており、そのような人材をできるだけ確保していきたいと考えております。また、福祉事務所においても昨今の福祉制度の複雑化に伴い、同様に必要とされる専門性が高まっており、来年度からの福祉職採用なども行いつつ、育J成のための継続的な研修も行いながら、専門性が安定的に維持できるよう努めてまいりたいと考えております。

(松村質問)

 5月20日付の質疑応答集に示されている内容等に関連して質問します。必須事業の自立相談支援事業においては、相談事業の性格上、相談者の資産・収入に関する具体的な要件は設けないとしています。この回答の後に、自治体からの質問に対して、「複合的な課題を抱える困窮者がいわゆる「制度の狭間」に陥らないよう、できる限り幅広く対応することが必要である」と回答していますが、どういう場合が考えられるのか、イメージがわきません。事例をあげて、わかりやすく説明してください。

(健康福祉局長答弁)

 複雑化した生活困窮者の課題に対し-既存の制度や窓口の枠組みのなかでは、充分に対応しきれていないために、日常生活において、支援を必要としながらも、必要な支援が行き届いていない場合が考えられます。具体的な例で申し上げますと、持ち家に居住し、貯蓄が残っているために、生活保護の要件には当てはまらず家族の中に失業や介護などの問題があり、すぐに働くことは難しいといった複雑な課題が複合して絡み合っている場合、単に生活保護という観点からだけではなく、その方の背景にある家族の失業や介護などの問題にも目を向け、関連する関係機関につないだり、社会資源を活用するなど、幅広く対応することが求められているものでございます。

(松村質問)

 「自立相談支援事業」と「住居確保給付金の支給事業」はかならず実施しなければならない事業であり、また、「就労準備支援事業」、「一時生活支援事業」、「家計相談支援事業」や「学習支援事業」は任意事業です。本市では、学習支援事業については、生活保護世帯の児童生徒に対して実施されていますが、この事業について拡大充実についてはどう考えていますか。また、生活保護世帯に含まれていない児童生徒については、どう働きかけるのでしょうか。答弁願います。

(健康福祉局長答弁)

 生活保護世帯の子どもへの学習支援事業につきましては、これまで生活保護法のもとでセーフテイネット支援対策等事業費補助金に位置づけられておりました。平成27年度からは、生活困窮者自立支援法に基づき、『生活困窮者である子どもに対し学習の援助を行う事業」として生活保護Ⅱ世帯の子どもも含めて位置づけられ、その対象者については各実施主体が地域の実情を踏まえて設定することになり、国の補助も全額補助から2分の1以内の補助に変更されることとなります。これまでの実施状況から、生活保護世帯の子どもに対~する取組として学習支援事業の必要性を改めて感じているところであり、平成27年度に向けて、学習支援事業の拡充も視野に入れた対象者の設定、事業規模や実施体制などについての検討を行っているところでございます。

(松村質問)

 それに、中核市である尼崎市は、民間事業者が生活困窮者に対し、就労の機会を提供し、合わせて、就労に必要な知識や能力の向上のために、必要な訓練などを行うと事業所が申請した場合、基準に該当する「就労訓練事業」であることを認定することができるとなっています。工業系・商業系・サービス系など様々な業種の事業所が数多くあります。本市では、特に、仕事支援課も設置しています。それだけに、任意事業ですが、「就労訓練事業」については、より積極的に進める必要があると考えますがいかがでしょうか。

(健康福祉局長答)

 就労訓練事業は、いわゆる『中間的就労」とも呼ばれ、直ちに一般就労を目指すことが困難な人に対して、一定の支援を行いながら、就業の機会の提し供などを行うものでございます。こうした就労訓練事業の場の提供が推進されますと、生活困窮者の状況に応じたよりきめ細やかな支援ができるようになることから、本市においても、こうした場がより多く提供されていくよう、就労訓練事J業」を行う事業所への啓発Jや開拓に努めていかなければならないと考えております。

(松村質問)

 「住居確保給付金の支給事業」も必須事業です。これは、住居のない人が住居を確保する際に必要な、「いわゆる敷金」と「何カ月間の家賃」が給付されるということでしょうか。もし、そうならば、手持ち金が、少ないことを意味していると考えますが、いかがでしょうか。

(健康福祉局長答弁)

 生舌困窮者自立支・援法に基づく住宅確保給付金は、平成2で年Ⅲ10月から実施している住宅支援給付事業を基本に、制度化を図るものでございますが、国から給付要件等の詳細が示されていないため、現行の住宅支援給付事業でご説明いたします。内容といたしましては、離職者であって就労能力及び・就労J意欲Ⅱのある人のうち之住宅を喪失している人、または喪失するおそれのある人に対して、一定期間、家賃相当額の給付を行うとともに、就労支援を行い、対象者の生活再建を支援するものでございます。資産要件として、単身であれば預貯金50万円以下、複数であれば100万円以下という基準を設けておりますが、手持ち金の保有が一定程度認められていることから、必ずしも手持ち金が少ないということはありません。なお、住宅を喪失した人が住宅を確保する際に必要な敷金等につきましては、住宅支援給付事業において支給を行うものではなく、手持ち金の活用や、本人の希望がある人には、一定の貸付要件を満たしていれば、社会福祉協議会が行っている総合支援、資金貸付事業を案内しております。

(松村質問)

 一般的には、そのような場合は、生活保護受給が必要なのではないかと思うのですが、どういう場合に給付されるのでしょうか。

(健康福祉局長答弁)

 現行の住宅支援給付の場合で申しますと、先ほども申し上げました資産の保有で、単身世帯50万円以下、複数世帯で100万円以下といった要件のほか、世帯上の月額収入として、単身世帯で12万6,500円未満、2人世帯でW万2,000円以内などといった一定の要件が定められており、これを満たす場合に本人からの申請に基づき、支援給付を行うものでございます。一方、相談をお伺いする中で、手持ち金も少なく、生活保護の利用が適当と認められる場合には、住宅支援給付の説明と併せ、生活保護制度についても案内し、本人の希望に沿って適切に保護の担当につないでおります。

(松村質問)

 生活保護申請を希望している市民の意に反して、自立支援事業を押し付けないことが必要です。市民の意志を尊重し、生活保護の申請権は、絶対侵害しないと理解しますが、いかがですか。

(健康福祉局長答弁)

 相談窓口には、様々な生活課題を抱える方が相談に来るものと思われますが、今後とも、本人が生活保護の申請を希望している場合には、申請権を侵害しないことはもとより、侵害していると疑わiれるような行為も厳に慎み、適切に対応してまいります。

(松村質問)

 また、生活困窮者自立支援室が制度の理念などを公表しており、「生活困窮者の自立と尊厳の確保」に関することとして、次のように書いています。本制度では、本人の内面からわき起こる意欲や想いが主役となり支援員がこれに寄り添って支援する。本人の自己選択、自己決定を基本に、経済的自立のみならず、日常生活自立や社会生活自立など本人の常態に応じた自立を支援する。生活困窮者の多くが自己決定感、自尊感情を失っていることに留意し、尊厳の確保に特に配慮するとあります。立派な内容であり、本当にこのような立場で、生活困窮者に対応してもらえるのか、正直不安があります。日本共産党は、「最低賃金を下回る中間的就労が盛り込まれており、生活保護制度からの追い出しと水際作戦の手段にされる恐れがある」として、反対しましたが、この危惧が現実のものになるかならないかは、本市の取り組みいかんにかかっています。危惧したことが、それこそ、とりこし苦労だったと確認できる対応を強く求めますが、市長の決意を伺います。これで第2問目を終わります。

(健康福祉局長答弁)

 就労訓練事業、いわゆる「中間的就労」については、雇用型と非雇用型の2つの類型があり、非雇用型については最低賃金を下回る場合がございますが、いずれにおいても、生活保護が必要な方につきましては、これまで通り確実に生活保護を実施してまいります。また、事業所において、労働力が不当に扱われることがないよう留意することが大変重要であり、このことを受け、都道府県知事や政令市長、中核市長に、事業所に対する認定制度が創設されましたことから、本市としましても、今後出される政省令に基づき、就労訓練事業の適切な認定に努めてまいります。

         3回目登壇

 滋賀県野洲市では、貸金業法が改正される以前から、多重債務で生活困窮に陥った市民を総合的に支援する取り組みを行って来ており、全国的にも高い評価を受けていました。今回の自立支援法制定の背景には、野洲市が果たしてきた実績が反映しているように感じています。しかし、野洲市は人口5万人程度の市で本市の中央地区より若干少ない規模です。45万人の尼崎市では、野洲市のような丁寧な支援をするためには、手厚い職員配置と大変な努力が必要です。生活保護世帯が多い最大の理由が、満額の国民年金でも、最低生活費以下だということ、「つらいときでも、辛抱して定年まで働けば、子どもも育てられる」そんな励ましが通じない社会にしてしまった政治に責任があることを理解し、困難を抱えている市民に、暖かさと優しさのある心で、寄り添った支援を行い、生活困窮世帯が、安心して相談に来所できるようにすることが必要です。担当部署や福祉事務所だけでなく、全職員が、「生活困窮者の自立と尊厳の確保」をしっかりとらえて対応をされることを心より願い、そして期待して私の質問を終わります。

9月議会 川崎敏美議員の一般質問と当局の答弁です

公立保育所の民間移管問題と子ども子育て新制度について

(川崎質問)

 日本共産党議員団の川崎敏美です。公立保育所の民間移管と子ども子育て支援新制度について質問します。今や深刻化する子育て家族を取り巻く状況に対して、保育所・幼稚園は「防波堤」「シェルター」であり、「セーフティネット」でもあります。子ども・子育て新制度のもとで、所得があるなしで、受ける就学前保育や教育に格差が生じてしまう、そういった保育環境であってはならないと思います。より公的保育制度の充実が求められています。

1、公立保育所民間移管

 尼崎市は1998年以来、公立保育所の民間移管を行い、すでに20カ所、来年度の実施が決定されている3カ所を加えると、23カ所ということになります。これは民間移管実施以前の公立保育所45カ所が、現行22カ所という状況となります。最終的に市の計画は公立は9カ所にするということですから、今後も13カ所を民間移管するということになります。

 市は民間移管をするための公立保育所の保護者に説明するために、「公立保育所の民間移管に関するQ&A」を配布しています。その中で、「公立保育所が民間移管されると何が変わるのか?」と設問があり、その答えに「保育所保育指針に基づいて保育をしているため保育の内容は基本的に変わりません」とあります。

 本当にそうでしょうか、公立から民間の福祉法人へと運営主体が変われば、法人の保育方針によって、保育内容は変化します。保育士全員が4月1日をもって全員入れ替われば、子こどもにとっては目の前からこれまでの先生がいなくなるのです、年齢の低い子ほど「ある日突然先生が消えた」状況が生まれるのです。人が変われば大きな変化がうまれます。変わらないのは保育士の配置基準や保育料だけであって、人が変わることによって、保育の質が変化します。「保育内容は基本的に変わらない」と説明されればされるほど、保護者からの不信がつのり、民間移管についての理解がなかなか得られないという状況が続いているのではないでしょうか。

 以下、平成21年度からの、今福保育所以降の民間移管について、主に運営面からみて具体的に質問します。なお民間移管された保育所名は旧公立保育所の名称を使用します。公立の保育士は比較的ベテランの先生がいて、自分で子育てした経験、長年の保育経験で、育児相談に何でも答えてくれると保護者からの信頼を勝ち得ており、安心して子どもたちを預けることができると高い評価が与えられています。Q&Aでは、移管先法人では経験が浅い保育士ばかりになるのではないかとの問いに、一定の経験年数を求めていると答えています。

施設長は既設法人で10年以上かつ主任以上の経験を有する幹部職員として3年以上の勤務実績が必要とされています。

新規法人では10年以上かつ幹部職員として6年以上とされています。

保育士は既設、新設を問わず、保育士経験10年以上を2人以上、4年以上の経験者を全体の3分の1以上配置するとされています。

 近年、保育士不足はどこの自治体でも頭を抱える問題となっています。求人を募っても集まらない、やっと採用してもスキルの高い子どもの命を預かる仕事の割には低賃金で、やめる人が多いとの深刻な問題があります。保育士の経験年数は移管時だけクリアーすればよいといったものではありません。

 またある園では、移管を受けた保育所に、ベテランの保育士を半数程度本園から異動させたために、本園の保育体制が低下している状況等が生まれています。

 質問準備のために担当課に聞きました。市は、保育士の経験年数の条件が守られているのかを、移管時にチェックし、その後は法人に自助努力をお願いしているということでした。監査の際にも特別に民間移管された法人だからと特別のチェックはされていないということでした。このためには市の補助金も特別に組まれているのですから、移管後も引き続きこの水準を維持する指導が必要です。

 おたずねします。民間移管で、公立の保育を引き継ぐとされていますが、具体的に何が引き継がれるのか、お答えください。また、保育士の経験年数の条件は、民間移管した後でも満たされていますか?

(こども青少年局長答弁)

   公立保育所の保育については、望ましい保育者像や保育者の基本像、また,笑顔の輝くこどもを基本理念とした4つの保育目標、さらに、これまでの保育で培われてきた保育の実践方法等をまとめた「尼崎市の保育」を基本的な指針として実施しているところでございます。民間移管にあたりましては、このような公立保育所の保育の実施にあたっての基本的な考え方や手法を法人に伝え,その承継を促すとともに、日常保育や年間行事、各児童の保育記録、施設の安全管理に関ずる事項等、それぞれ詳細な内容について、きめ細やかな引継ぎを行っているものでございます。また、公立保育所の民間移管に当たっての保育士の配置条件は、移管を開始した平成10年度当初から、4年以上の経験者を3分のl以上確保することとしており,平成21年度からは,この条件に加え,l0年以上の経験者を2人以上確保することにしております。各保育園では,現在もこの基準による保育経験者を確保していることを確認しております。

(川崎質問)

 次に民間移管先を選定する選定委員会についてです。昨年10月、大島保育所の保護者の1人から、「公立保育所民間移管選定委員会のあり方」について検討を求める要望書が当時の健康福祉委員に出されました。その内容を紹介します。

 「選考委員会が大島保育所の受託法人として淡路市の沼島保育園を経営する西光寺和順会が一番優良な法人であると選考した理由に疑義があります。・保育理念が3法人の中で一番優良であると認められたが、資金については一番低い評価であった。・昨年まで沼島保育園の児童数は3名(現在の4歳児のみ)、保育士は4名。本年度より8名の小規模保育所である。・尼崎市の求めている経験年数を有する保育士が不在。・選考基準で高く評価された保育理念を踏襲する保育士は不在。・沼島保育園が受託はしたが、実際に大島保育所廃止後の保育園に就任するのは現園長のみで、副園長はじめ保育士は全員今回初めて募集をして新規採用した新規法人と同様であると思われる。・在所保護者の中から任意で参加した保護者委員は「保護者の気持ちを伝え、最善の選択をした」と言っているが、協議内容・選考過程について質問しても「当局から内容を明かすことが出来ないと言われている」と守秘義務を課されている。・西光寺和順会が本当に大島保育所を受託するのに一番優良な法人であると選考された過程も不透明で、在所保護者としてはどうしても納得がいかない。

 尼崎市公立保育所民間移管受託法人選考委員会のあり方として、情報が全く公開されず、参加している保護者に守秘義務を課していることで、公平性が保たれていません。受託法人に応募した法人のプライバシーを重視するあまりに、子どもの最善の利益の保証がないがしろにされ、子を預けて働く保護者の不安を掻き立てています。この件については、改めて選考委員会の選考基準を見直す議論が必要と考えます。ぜひともご検討のほどよろしくお願いいたします。

 以上が大島保育所の保護者の1人から出された当時の健康福祉委員あての要望です。市民の共有財産である保育所の建物と土地がゆだねられる法人だからこそ、そのプライバシーを守ることだけが優先されるのではなく、選定委員会の審議経過の透明性がはかられなければ、公正な判断がなされたとの証明にはならないのではないでしょうか。選定委員会は公開することを原則にする、そして透明性をはかり市民の理解を得る努力をすべきだと考えます。

 お尋ねします。移管先の法人を選定する選定委員会は、現在6人で構成されています。法人を選定するルールはどのようなものになっていますか。また保護者委員を増やすことはできないのでしょうか。お答えください?

(こども青少年局長答弁)

 保育所移管法人選定委員会については、「尼崎市立保育所移管法人選定委員会条例」に基づき、6人以内で組織する付属機関であり、その構成については、学識経験者、市民団体の代表者及び移管・対象保育所に入所している児童の保護者の代表者のうちから市長が委嘱することとなっております。本委員会では,移管法人を選定するための選定基準を定め,当該基準に照らして書類及び面接での審査を行い、優良法人の選定と順位付けをしていただいたうえで、審査の結果、最も優良であった法人に対して実地調査を行い、選定結果を委員長から市長に報告いただいております。こうした選定の過程では、保護者の皆様に対し、応募法人からのプレゼンテーションを実施し、質間やアンケートにより保護者の意見を聞く機会も設けております。本委員会につきましては,これまで選定委員6人以内の構成により、様々な角度から活発な意見交換や、効率的な議論がなされてきたという実績も踏まえるなかで,6人以内の定数が適切な人数であると考えております。また,委員構成につきましても、全体の3分の1が保護者委員というバランス面や他都市の委員構成を考慮しても、現在の委員構成が適切であると考えており見直す考えはございません。

(川崎質問)

 移管先の法人が決定されると、次に保護者代表と移管先法人及び市との三者による三者協議会が開催され、移管をスムーズに進めるための会議が設置されます。大島保育所では、平成25年10月29日に第1回の三者協議会が発足してからでも、市と法人との間で事前の話し合いが充分にできているのか、疑問に思われるような事態が起きています。

  • 沐浴室・調乳室の工事日程が、日程に余裕をもって保護者に説明が行われなかったため、保護者から苦情が寄せられた
  • 子どものけがが以前より増えており、起こった時の対応が問題とされ、小さなケガは保護者への説明がない、または遅れていること
  • 公立の時は見受けられなかったゴキブリが発生、掃除がきちんとできているのか不安の声が寄せられている
  • 保育室にピアノが急に設置され、子どもも保護者も困惑したこと
  • 選定委員会、三者協議会で中心的に活動していた保護者が、新しい体制に不満を感じて、2名退所。
  • 法人の保育がこころもとないのでフォロー保育の延期が保護者から求められたこと

 これらの問題は、すでにほとんどが解決済みで、一過性の問題であり今では問題となっていないと片付けられるかもしれません。しかし、本来公立の時には起こらなかったことが起こっており、子どもたちに直接・間接的に悪い影響を及ぼしていることに目を向けるべきではないでしょうか。また、これでは共同保育の期間が、前年度、浜や大島において2ヶ月から3ヶ月に延長され、1月から3月まで実施された効果は認められなかったのではないでしょうか?

 私はこの間、長洲、立花、浜、大島保育所の三者協議会での議事録を公文書公開請求で取り寄せ、文書を読みました。請求時期の関係もあって今年の3月の分までしか手に入りませんでした、また全部で600ページを超える長文ですから、すべてをくまなく読み通せたわけではありません。しかしその中でも目についたことがあります。

 少しまとめてみましたので紹介します。

○公立ではほぼ入園式が4月1日とされていますが、入園式の日が変更されることが三者協議会で提案されている。

○延長保育の時間設定と料金問題が、話し合われている。

○また新たに保護者の費用負担をともなう、トレーニングパンツ、体操服、帽子、上靴、遊び道具の購入が議題とされている

○食事の配膳から片付け、着替えと職員がスムーズに子どもを誘導できないので、お昼寝のパジャマ使用をやめる

○ある園では、過去自園で保護者が餅つきの道具を片付ける際、大けがを負っておりトラウマがあって、公立で行っていた餅つき行事はできないから了解を求める

以上のことなどが議題となっています。

 公立で行ってきたこととは変わるような状況が、いきなり三者協議会の場で議題とされており、主に法人園の都合で、保護者に了解を求める内容となっていました。何でも公立と同じ内容でなければならないとは思いませんが、はなからなぜ公立の保育とあえて違うことがなされようとしているのか疑問です。

 はじめはできるだけ公立の保育を引き継ぐ中で、子どもや保護者との信頼関係を実践的に作り上げていく中で、、こういった提案は徐々にしていくことが望ましいのではないでしょうか。保育の善し悪しは別にしても、公立の保育を受け継ぐことの意味と徹底が事前に受託法人側に充分に理解されていないのではないかと疑問をもちました。以上みてきた、大島保育所や議事録から見受けられた問題について、中には市が設置を約束している苦情処理責任者、苦情受付担当者、または保育所の関係者以外の苦情相談者である第三者委員の所に、相談が持ち込まれ、そこで本来は解決されるべき重大問題が含まれているのではないかと思います。これらの苦情処理のための制度及び第三者委員は機能しているのでしょうか?

 おたずねします。第三者委員の設置がうたわれていますが、民間移管されたすべての保育所に設置されているのですか?また苦情相談にはどのようなことが寄せられていますか?

(こども青少年局長答弁)

 公立保育所の民間移管におきましては、保護者の苦情解決の仕組みの体制整備として,苦情処理に係る第三者委員の選任を移管条件として位置づけており、平成4年度以降に民間移管した全ての保育園において、弁護士や地域住民などを当委員として選任しております。これに加え、各保育園においては,苦情受付担当者 (主任)や苦情解決責任者(園長)も設置しており、これまでに第三者委員が直接的に保護者と話し合いをするような事案はなかったと聞いております。

(川崎質問)

 これまでの民間移管では、決してあってはならない重大事故が民間移管の初期の時期にありました。すでにご存知だと思いますが、保育士の安全確認の怠り、見守り不足から公園の上り棒から子どもが転落して死亡事故が起こっています。また移管直後には、ほぼどこの園でも日常的に登所・登園を嫌がったり、お昼寝の寝付きが悪く、直ぐ起きるようになったり、「かみつき」の症状が増加したり、吃音が生じる子も発生、赤ちゃん返りをしたという状況が生まれています。ある日を境にこれまで慣れ親しんできた先生を奪われ、子どもは民間移管の流れの中で大変不安定な状況に置かれます。特に年齢の低い物言えぬ子どもだからこそ、被害の実態はなかなか伝わってきません。しかも、子どもたちには新しい環境に適応していく力をもっており、一定の時期を過ぎるとかみつきなどの問題行動も収まってしまいます。しかし子どもたちは仕方なしに新しい環境に適応しているのだととらえる視点を、私たちは大事にしていかなければならないと思います。

 お尋ねします。平成21年以降の民間移管について、今福の実施以降、福祉法人の応募状況はどうでしたか?そのうち新規法人がどれくらい含まれ、尼崎市内の法人はどのくらいありましたか?

(こども青少年局長答弁)

 平成2O年3月に公募した今福保育所から平成26年7月に再公募した道意保育所までの9保育所における募集状況につきましては,延べ28法人がらの応募がございました。そのうち、社会福祉施設として設立認可の見込みがある新設法人は12法人であり,市内の既設法人は11法人であります。

(川崎質問)

 これ以上、民間移管をすすめるためには、この間の応募状況を見る限り、すでに受け入れ先が枯渇してきており、実績のない新規法人に頼らざるを得ません。しかし新規法人ばかりでは、保育士を基準通り集めることは困難となります。あとは企業にゆだねるのかということになってきます。しかし保育は福祉であり、保育を市場化しこれを企業のもうけの対象にしてはならないと考えます。私は公立保育所の民間移管計画は、新制度の下で、今後新たに子育てのための事業計画をつくるということもあるわけですから、やはりいったん計画を止めて、再考すべきだと考えます。

 公立の保育所をなくしていくことは、市民の公的な財産、土地建物だけではなく、保育の専門性を身につけた保育士というマンパワーが失われていくという問題もあります。地域での子育ての拠点、小学校、保健所などの公的な施設との連携、一時預かり、子育て相談など、公立保育所の果たす役割についてもっと考える必要があると思います。公立保育所を積極的に活用して保育の専門性を高め、地域、民間の保育所と一体となって保育の水準を引き上げていくという役割に、目を向けるべきだと思います。

 今回あえてコスト論に踏み込みませんでしたが、財政面からみて善し悪しを判断するのであれば、公立はなくしてしまえと言うことになっていまいます。自治体が提供する公的なサービスはドンドン削ってしまえいうことになりかねません。それでは、住民の福祉を守るという自治体の本来の役割を放棄してしまうことになります。そして公的な保育制度そのものを解体していく方向しか見えてきません。私は、あくまでも公的保育制度のもとで、等しく子どもたちを平等に社会の責任で育てていく、より良い子育ての制度環境をつくっていかなければならないと考えます。

 すでに決定している民間移管については、様々な問題点からその実施方法は見直すべきです。住民合意をその都度大切にしていくためには、選定委員会、三者協議会、引き継ぎ共同保育、フォロー保育など、第三者の意見を入れて見直すべきだと考えます。このことを強く要望して次の子ども・子育て支援新制度についての質問にうつります。

 私は昨年の9月議会、今年の3月議会でも、新制度の下でも現行の尼崎の保育水準を守りまたは引き上げていくこと、公的保育制度を守っていく施策の充実を求めてきました。昨年の状況で、認定外の事業所で32事業所472人の子どもが保育され、また待機児童が80人ほどの数が報告されています。小規模保育以外の所で定員が大幅に引き上げられない限り、これら550人を超える子どもたちが、小規模保育または認定を受けなかった事業所で保育されるということになると思います。できるだけ現行の認可保育所を拡充し、尼崎の子どもたちは同じ条件の下で保育される環境整備に努めてほしいというのが、利用者の願いでもあると思います。そういった観点から質問してまいります。

 新制度では、多くの反対意見に押された3党合意による修正で、児童福祉法24条1項の市町村の保育実施義務がのこり、保育所についてのみ従前の施設補助による委託という仕組みが維持されることになりました。市町村の保育実施責任に基づいて、入所と入所後の保育保障が行われることは当然です。また「利用調整」の場合の基本は、保護者の希望する施設に入所させると言うことを大原則にするべきです。保育所入所を希望する子どもを「利用調整」という理由で、他の施設に誘導することがあってはならないと考えます。

 お尋ねします。24条1項と同条2項以降では、対象の施設が異なります。できるだけ1項の公的責任の考え方で、2項の運用がなされるべきだと思いますが、実際に市が考えているあっせん、調整の方法について説明してください。

(こども青少年局長答弁)

 児童福祉法第24条につきましては、市町村に対して第1項で保育所における保育の実施責任を規定し、第2項においては、認定こども園や家庭的保育事業等により,必要な保育を確保するための措置を講じなければならない責務を規定しております。子ども・子育て支援制度における利用調整につきましては、児童福祉法第24条第1項に規定する保育所と、同第2項に規定する認定こども園や地域型保育専業の、いずれの施設についても同様に、保護者の希望に基づいて、市が利用調整を行うとともに,各施設に対して受け入れの要請を行うこととしております。また、この要請に対しましては,いずれの施設も受け入れに関する協力義務がございます。なお、保護者が希望する施設の空き状況等により、利用できなかった場合は、他の保育施設等の空き状況や、保育内容等の情報を提供するなかで,保護者の希望に治って施設等へのあっせんを含めた利用調整を行ってまいります。

(川崎質問)

 保育所ではこれまで認められていなかった上乗せ徴収ができるようになり、英語や体操教などのオプション保育が認められ徴収されることとなっています。保護者の同意が前提ですが、市町村が入所を決めることから選択の余地はなく、低所得者ほど負担増となる危険があります。

 お尋ねします。この点について尼崎市の方針を示してください。

(こども青少年局長答弁)

 新制度における上乗せ徴収につきましては、教育・保育の質の向上を図る上で特に必要であると認められる対価について保護者に負担を求めることができるものでございます。上乗せ徴収を実施しようとする場合には、使途や金額並びに支払いを求める理由について、書面によって明らかにするとともに、保護者に対して説明を行い、文書による同意を得なければならず、また、私立保育所については,市との協議により同意を得ることが必要であるとされております。しかしながら、現時点では,これ以上の詳細な国からの通知等もないことから、今後、国の動きを注視してまいります。

(川崎質問)

 地域型保育の施設や保育士の配置基準が、基本的に20人以上の保育所と同一になっておらず、地域型保育の場合平等性が保障されていません。

 お尋ねします。地域型保育では、利用者の意見を聞いて保育料を引き下げるべきではないかと考えるが、今後そういった対策を行っていく考えはありますか?

(こども青少年局長答弁)

 子ども・子育て支援新制度におきまして,国が示す基準案は,2号・3号認定を受ける子どもにつきまして、施設・専業の種類を問わず同一の料金体系を示しております。本市におきましては,子ども・子育て審議会の答申を踏まえ、保育所保育料と同様に応能負担の適用や、低所得者への一定の配慮も等しくなされている国の考え方を踏襲し,施設・事業の種類を問わず同一の水準として、利用料金表案を策定しております。なお、この利用者負担案につきましては、7月に素案を策定し,パブリックコメントにより市民の意見を聴取するとともに、市民説明会を実施し、策定したものでございます。

(川崎質問)

 今年、市立の園和北と園和幼稚園の保護者がアンケートを実施し、108名の回答を得ています。幼稚園を選んだきっかけはの問いに、家から近い39%に次いで、保育料が安いが34%です。その他の回答では、周りの評判が良かったが16%、教育内容が良かったは6%にすぎませんでした。機能の前迫議員の質問に答えて、教育長は「教育料が安いのも選択の一つの条件」と答弁されましたが、保育料が安いは、公立幼稚園選択の大きな要因であることがわかります。今回、新制度の下で公立幼稚園の保育料が大幅に引きあげられると、公立幼稚園そのものの存続が危ぶまれるのではないでしょうか。

 お尋ねします。これまで公立幼稚園が低所得世帯の就学前教育を保障してきた役割を市はどう考えるのですか、見解を求めます。また市立幼稚園の振興プログラムでは、軽減があるとしても、9100円の保育料を前提に暫定園の存続か廃園かをの条件を設定したが、保育料の大幅値上げという新制度での事態のもとで、暫定園の存廃条件を見直すべきではないでしょうか。当局の答弁を求めます。

(こども青少年局長答弁)

 本市では、戦後、私立幼稚園を中心に、幼稚園教育が行われていましたが、昭和4O年以降、急増するすべての幼児を、私立幼稚園で受け入れることが困難な状況となりましたことから、公立幼稚園の新増設に踏み切り,公私共存により幼稚園教育を振興することで、木市のすべての子どもたちの就学前教育を保障しできたものと認識しております。また暫定園は、公立幼稚園を18園から9園に再編するにあたり、存続させる9園に入園希望者が集中し,多数の希望者が入園できない状況を回避するために設定したもので、今回の保育料の改定とプログラムに基づく存続条件とは別のものであり、見直す考えはございません。

(川崎質問)

 新制度はこれまでの保育所、幼稚園の制度を大きく改変する改革です。しかしこの改革は多くの問題を抱えています。新制度は保育の市場化をめざした保育所制度改革をベースにしたもので、これに幼稚園との一体化、さらには教育制度の改革などの政治的な思惑も絡み合い、認定こども園の制度、新たに小規模保育事業等が加わり、制度そのものが複雑となっています。そこになくそうとしていた児童福祉法24条第1項の市町村の保育実施責任が復活したことで、複雑な仕組みがさらに複雑化して、制度の全体像が見えずらないものとなっています。この制度の運用に当たっては、やはりすべての子どもの権利と豊かな成長、発達を保障するためには、国と自治体の明確な公的責任の下で、保育や子育て支援が確保される仕組みが必要です。

 経済大国でありながら、乳幼児の保育、教育における公的支出が先進国で最低レベルというのが日本の現状です。就学前教育の費用の対GDP比はOECD諸国25カ国中、日本は0.21%で22位です。子どもの貧困率が上昇を続ける中で、保育、子育て分野への大幅な公費の投入、保育・子育て環境の抜本的な改善をはかる必要があります。日本共産党議員団は、新制度の実施運営面でも、子どもたちの最善の利益を守って、少しでもよいものにしていくために、今後とも力をつくしていくことを表明して、私のすべての質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

9月議会 辻おさむ議員の一般質問と当局の回答です

(辻質問)

 日本共産党議員団の辻おさむです。第1問は、市長の政治姿勢について伺います。稲村市長が就任されてまもなく4年です。この4年間は、国政ではまさに、激動とも言える時代でした。市長就任当時は、民主党政権の時代でしたが、その後、自民党の政権が復活しました。また、 2011年3月11日に東日本大震災と、東京電力福島第一原子力発電所事故が起こり、大規模自然災害への備えと同時に、原子力発電からの脱却が国民的な課題となりました。

 また、第二次安倍政権は、第1に、これまでの自民党政権でさえできないとしてきた集団的自衛権の行使容認の閣議決定、第2に、消費税8%への増税と社会保障の削減、第3に、原子力発電所の再稼働、外国への売り込み、第4に、沖縄の米軍基地たらい回し、中でも沖縄県民の意思を無視した辺野古の海の埋め立て強行など、どの問題をとっても国を滅ぼし、国民生活を滅ぼす「亡国の政治」を進めています。同時に、これらの政治に反対し、政治的立場の違いを乗り越え、「亡国の政治は許さない」という国民の共同が大きく発展しつつあります。

 集団的自衛権行使容認に反対する国民の声はどの世論調査でも5割から6割におよんでいます。しかし、改造内閣では、19人のうち、15人が、安倍総理と同じタカ派の人たちで占められています。内閣改造で、国民との矛盾は広がるばかりです。消費税は、景気の落ち込みのなかで、10%再増税に反対する声もますます高まっています。原発再稼働に道理がないことを示した福井地裁の判決に続いて、福島原発での避難を苦にした自殺に東電への賠償責任を求めた判決も行われました。今年は、原発のない夏となりました。再稼働に道理がないことが、ますます明らかになっています。

 こうした激動の情勢のなかで、稲村市長は、一昨日、2期目をめざして、11月の市長選挙への出馬を表明されました。まだ公約も示されていませんので、市長の4年間の評価について伺ってまいります。

市長の政治姿勢について            

 さて、稲村市政の4年間は、どうだったでしょうか。私も、何人かから質問されたり、意見を言われたりしますが、多くの方が、 「良いも悪いも、見えない!」との声を多く聞きました。なかなか分かりにくい、見えていないようです。そこで、すべては言い尽くせませんが、この4年間の主なものを、私なりに振り返ってみたいと思います。

 国政関係では、核兵器廃絶、集団的自衛権については平和と国民の立場に立った発言をしてこられたと思います。また、大阪都構想については、明確に「尼崎の事は尼崎で決める」と述べられ、多くの人を励ます発言でした。しかし、「原発ゼロ」の声には、少し曖昧なままだったと思います。何回か質問させて頂きましたが、最終的には、原発がなくなる事を望んでおられるようですが、消極的だと感じています。福島第1原発事故の状況からも、再稼働させる条件はありません。再稼働させずに原発をなくしていくことが、一番現実的ですが、その点が明確ではありません。「消費税」については、4月から8%に増税され、その後4月、 5月、 6月、そして7月と連続してGDPが下がり続けるなど、国民の暮らしを圧迫し、景気の落ち込みという状況が生み出されています。景気の落ち込みは当初から懸念されたのでありますが、市長はこうした点で国に対し何ら発言することはありませんでした。

 県政との関係ではどうでしょうか。県立塚口病院、尼崎両病院の跡地活用は、医療・福祉施設の誘致など、地域医療の質を下げないよう、毎年、要望を続けたことは、市民の立場に立って来られたと評価をしたいと思います。しかし、高等学校の学区再編、県道園田西武庫線の推進、福祉医療の削減などについて、兵庫県政に対してあまり発言してこなかったのは評価できません。

 市政の関係では、共産党も提案した「クリーンセンターの灰溶融炉の運転停止」に踏み切り、売電収入を増やした事は評価できます。「中学校給食」については、市民の声に押され、実施に向けての方針を表明された事は一定評価できますが、その方式について、まだ計画が示されていませんので、最終評価は保留しておきます。「企業立地促進条例」については、中小企業の優遇や、途中で撤退した場合の固定資産税減額分を取り戻せるようにするなど一定の改善が行われましたが、もっともこの制度で恩恵を受けたパナソニックが撤退した後であり、また資産能力がある大企業も対象にするなど、改善は極めて不十分です。「住宅リフォーム助成制度」については、私が稲村市長就任直後に、認識をお聞きしたところ「住宅を所有している特定の方のみの助成になること」 「対象業種が限られること」を理由に「必要性は低い」と答えられました。しかし、今年度から始められた住宅エコリフォーム助成制度も、「住宅を所有している特定の人」に対する助成、対象業種が住宅リフォームより限られるにもかかわらず、実施されました。なぜ、住宅リフォーム助成制度実施されないのか、私には理解できません。また、「太陽光発電」については、少し消極的だったのではないでしょうか。

 4年前の市長の公約で「太陽光発電以外で」という表現を使われたために、縛りがかかっていたのではないかと推測しております。福島の原発事故をうけて、再生可能エネルギーの活用が、国民的な課題になっていることに、もうすこし積極的になってもよかったと思います。「事業棚卸し」はどうでしょうか。昨日も、質問がありました。 4年前の民主党政権の時代に「事業仕分け」というのが行われ、それにあやかったものと思われますが、職員が準備に追われたわりに、効果は薄かったのではないかとおもいます。「幼稚園の統廃合」「保育所民間移管」については、多くの市民が反対し、 1部で裁判が続けられるなど、住民の合意が得られたとは言えません。「産業振興条例」については、今議会で議案提案されており、「犯罪被害者救済条例」については、現在、作業が進められておりますので、ここでの評価は差し控えたいと思います。

このように見ていきますと、評価できるものもあれば、できないものもある、中途半端なものもあります。お金のかからない政治的な問題では、割と明確なのですが、県政に対しても、市にお金が入るものは、積極的に発言されておりますが、一方では市民生活に大きな声を影響を及ぼすものであっても、あまり言って来られなかったように思います。

Q,そこでお伺いします。

「稲村市政が見えない」という市民の意見について、どの様にお考えでしょうか。お答えください。

市長答弁)

 私は就任以来、成熟社会にふさわしいまちづくりを目指し、市が抱える様々な課題への対応や、新たな魅力づくりとまちの活性化に向け、力を尽くしてまいりました。

 具体的には、環境モデル都市の取組や学力向上を図る事業、「公開事業たな卸し」や「提案型事業委託」などによる市民参画の推進、子ども医療助成の拡大や地域福祉活動専門員の配置による地域福祉の推進、さらに、財政面では将来負担比率の着実な縮減に向けた取組を進めてきたところです。

 太陽光発言に消極的だというのは、誤解でして、個人向け女性が継続できなかったということはありますけれど、公共施設や事業者向けの太陽光パネルの導入にはかなり力を入れてまいりました。ただ、こういうことも、情報発信が出来ていないのかなと反省しております。

 政治というのはいわゆるパフォーマンスに走るというのも良くないですし、市民のみなさんに十分発信できていないのも、難題だと思っております。私自身が「市長の活動日誌」という形で、日々の活動を発信してまいりましたけれど、もう一段の工夫が必要かなと、受け止めております。

 都市の体質転換は、成果が現れるまでに時間を要するものもありますが、今後とも社会情勢の変化や新たなニーズなどへ対応しながら、総合計画に掲げるありたいまちの実現に向け、市民の皆様にわかりやすい情報発信に取り組んでいきたいと考えております。

(辻発言)

次に、原爆被害者の会への補助金について伺います。

 市長は、原水爆禁止については、廃絶を求める立場だと思っておりますが、 3年前に、原爆被害者の会に対する補助金を打ち切られました。年額わずか7万円です。その後、事業補助だということで「語り部活動」などについて補助をだす制度にあらためられました。その後、「語り部活動」などを映像に収め、DVDライブラリとしてまとめる事業が進められています。確かにこういった原爆経験を語りついでいく活動は大切です。しかし原爆被害者の会の平均年齢は当時でも77歳と高齢でした。これからますます活動がしにくくなっていく中で事業補助という形式がいいのでしょうか。何らかの改善が必要だと思います。

Q,そこで伺います。

 原爆被害者の会に対する援助について、今後、見直していく必要があるのかどうか、の考えを聞かせてください。私が、この問題を繰り返し質問するのは、核兵器廃絶に向けての、市長の姿勢を表すものだとかんがえているからです。お答えください。

市民協働局長答弁)

 尼崎市原爆被害者の会に対する援助につきましては、平成23年度に団体の方々と意見交換を行い、団体への運営補助を見直し、本市の平和啓発推進事業として、語り部活動への支援を行っているものでございます。

 具体的な取組みといたしましては、原爆被害者の会と連携しながら、その活動の場として、従前より幅広く、小学校や公民館、総合センター等と調整を行っているところでございます・

 「世界平和都市宣言」を行い、世界の恒久平和と核兵器廃絶を希求する本市として、戦争体験の継承は非常に大切な事業と認識しており、被爆体験の映像化作品の活用による継承等も含め、今後とも原爆被害者の会と連携を深めながら、戦争体験と平和への願いを継承する取組みを進めてまいります。

(辻発言)

 次に、「住民合意」について伺います。「保育所民間移管」については、川崎議員が質問しますので割愛いたします。「地域振興センターと地区会館の合築」についての問題です。どの敷地に立てるかは、それぞれの地区の実情もあり、よく協議することが大切です。問題は、機能の問題ですが、大庄からは現在の支所機能を残してほしいという要望が出されています。これは住民同士で話し合って解決できる問題ではありません。私は、住民の声をしっかりと聞いて、住民が納得できる方法を選択すべきだと考えています。この間の尼崎市の取り組みを見ていますと、努力されているようには見受けられません。

Q,そこで伺います。

 今後、住民合意が取れていない問題や、市の計画が、次々に見直しを余儀なくされる問題が出ていますが、このような状況にたいして、市長はどのように感じておられるのか、市長の考えをお聞かせください。

副市長答弁)

 市民生活に大きな影響のある施策を進める場合には、市民の皆様の声を聞きながら丁寧に進めていくことが重要であると考えております。住民合意につきましては、市民の皆様には様々な価値観やニーズなどがあることから、すべての方に合意いただくことは非常に困難です。市としましては、市民説明会やパブリックコメントなどを行い、市民の皆様のご意見をお聞きし、手続きを踏む中で、可人でも多くのご理解を得て、計画づくりを進めることが大切であると認識しています。また、社会情勢やその他様々な事情により計画が変更される場合にも、見直しに至る経緯耳経過や考え方について、十分説明を尽くし、ご理解をいただけるよう取り組んでまいります。

(辻発言)

次に住民合意の内、「小中学校の適正規模適正配置」および、陳情が出されている「尼崎市立戸ノ内地区作業所」の問題から、私が感じた点です。

 先日、若葉小学校と西小学校、大庄中学校と啓明中学校の統廃合について住民説明会が開かれました。学校というところは地域の核の1つですから、統廃合するのかどうか、あるいはどこに統合するのか、と行ったことの基本は住民合意だと思います。若葉小学校の説明会で出された意見ですが、この問題は平成13年から議論されているわけですが、これまでの教育委員会の担当者が変わるたびに説明が変わる。「以前の担当者が、何を言ったのか知っているのか」といった意見が出されました。当然、記録がなければわかりません。

 また、「尼崎市立戸ノ内地区作業所」の移転に関する陳情の審議の中で、当時の担当者の説明が問題になったのですが、これも記録がなくって分かりません。建設企業委員会では、副市長が記録の保存について何らかの改善が必要だという答弁でした。この2つの事例から、住民合意を得るためには、正確な記録、そしてその保存という問題があると思います。

Q,そこで伺います。

 市職員の担当者は、一定期間で交代しますが、住民は交代しません。正確な記録と同時に、住民との折衝はその問題が解決するまで、或いは解決してからも一定期間保存しておく必要があるのではないでしょうか。市長の考えをお聞かせください。

総務局長答弁)

 本市における文書の保存期間は、重要度や内容に応じて尼崎Ⅲ市文書規程及び文書分類表により決定しています。ご指摘の住民との折衝を記録した?公文書についても、これに基づき保存期間を決定します。また、保存期間が満了した文書であっても、一定期間保存を必要とする文書は、所管課長からの申請等により文書管理を担当する情報政策課長と協議等を行い、延長期間を決定して保存することになっています。従いまして、住民折衝記録などの公文書で、保存期間の延長が必要とされるものは、所管課長の判断により、問題解決まで或いはその後も一定期間、保存できることになっております。

(辻発言)

 次に労働福祉会館廃止と労働者政策について伺います。先日、市長とお会いした時、人事院勧告が出され、その中で地域手当が尼崎で10%なのに対し、西宮が15%だったのが非常にショックを受けているとのお話でした。尼崎市民の所得が西宮市民より低いという問題が表された数字でした。いろんな理由があるでしょう。市内企業の数や業種、あるいは正規社員、非正規社員の割合、あるいは年金の額等いろんな要素が考えられます。労働者と言うのは、自分が働く能力以外、何も持っていません。ですから、労働法制によって労働者の権利が保護されているわけです。しかし、規制緩和の名前で、近年、守るべき労働者の権利が奪われつつあります。本来、これに対抗できる労働者の権利は労働組合、団結です。労働福祉会館が廃止されたとき、多くの市民、利用者が反対をしましたが、市民が慣れ親しみ、市民活動の拠点の1つだった労働福祉会館の廃止は、その活動が弱体化することを懸念するものでした。労働組合は、それと同時に尼崎の労働行政、労働政策に対する姿勢を問う立場でもありました。尼崎市は、労働者、労働組合に対してどのように考えているのか、これが問われた問題でもあります。

Q,そこで伺います。

 市長は、労働者、労働組合をどのように考えておられるのでしょうか。市長の認識を、お答えください。

経済環境局長答弁)

 産業のまちとして発展してきた尼崎には、それを支えた労働者や労働組合が、積極的に労働環境の改善などに取り組んできた歴史があり、今日の労働福祉行政に繋がっていると考えております。一方で、社会経済環境の変化とともに、雇用形態の多様化、急速な労働人口の減少、ワークライフバランスの実現J,若者や女性の能力活用など、労働者を取り巻く環境は、めまぐるしく変化しており、労働者が自ら組織し、活動する労働組合の役割は、重要性を増しているとともに、今日の時代の変化に組合自体が対応していく必要性も増しているものと考えております。そのようなことから、本市では、市内の労働団体を代表する組織である尼崎労働者福祉協議会に対し、労働福祉行政のパートナーとして、その活動拠点の確保などの支援を行っているところでございます。

 今後におきましても、多様化・複雑化する労働環境の向上に向け、適宜、適切に対応していくため、当事者である労働者や労働組合を始め、経営者、就労支援機関など、様々な関係者のご意見をお聞きするとともに、尼崎労働者福祉協議会とも今日的な連携のあり方について協議しながら、労働者が働きやすい環境づくりを推進してまいります。

以上で第1問をおわります。

第2回登壇                 

(辻発言)

(コメント)ご答弁をいただきました。ありがとうございます。確かに太陽光発言については、個人宅への補助をしていないということで、そういう発言をしたんですけれど、色んな形でやっておられることは知っております。「市政が見えない」ということについて、「情報発信がうまくいっていないという答弁だったと思います。一昨日の出馬発言で、市長は、「劇場型」でなく、「地道に」と言われました。私は、「劇場型」を求めているのではありません。地道にすることは大切です。しかし、市民には、「尼崎が変わった」「市民を大切にしている」という実感が届いていないのでは、ないかと思っています。

 昨日の松澤議員が行った「母子家庭等医療費助成制度」でも、「尼崎市に切り捨てられた」という声を紹介しました。県が切り捨てた見直し前の制度を維持するには1億円かかるので、「出来ない」という答弁でした。県が「行革」だと言って切り捨てる、市がカバーできないといって切り捨てる、その結果、負担増になる母子家庭は何を切り捨てるんですか?市長は、一昨日の発言で「ダイエット」だと言われましたが、低所得の母子家庭にとっては、「栄養失調」になってしまうんですよ。

 もともと、県と市で半分ずつ負担していた制度ですから、県が引き上げたとしても、市が持っていた分を維持することもできたはずです。市は県にくりかえし「制度を維持してほしい」と県に要望していたのですから、少なくとも、市がこれまで負担していた金額の負担をつづける気が、その時点ではあったわけです。県の行革に便乗して、市も削減してしまったことが「やむをえない」といえるのでしょうか。これでは、「市民を大切にしている」というメッセージの発信のしようがない。市民の生活が見えているか、どうかが、市政のリーダーには、問われると思います。「原爆被害者」についても、事業補助にしてしまったために、「語り部」が出来なくなったら、補助がなくなるんではないですか。その是正をすべきです。

 「住民合意」については、なかなかすべての人の合意をとるのは難し、その通りですけれど、いくつかの問題で住民と意見が交わされると思いますが、大庄西中跡もながらく進展がありません。東高校跡地問題では、昨日も、いろんな会派から意見が出されました。「市民が何をいっても、聞き入れてもらえない」というのであれば、「住民合意」というのは、「市民があきらめる手段」ということになってしまわないのか、と危惧するものです。

 それでは、第2問に入ります。

台風11号による武庫川の補修について

 2問目は、台風11号による武庫川の補修について伺います。昨日も、北村竹師議員が取り上げたので、重複する部分はありますが、質問をいたします。武庫川沿線の議員の共通の思いだとうけとめてください。今年8月10日、台風11号が10年ぶりに兵庫県に上陸しました。また、 8月16日、 17日には集中豪雨がありました。これらは、広島、福知山、丹波などに大きな被害をもたらしました。この場をお借りいたしまして、改めて犠牲になられた方、被害に遭われた方に、哀悼の意とお見舞いを申しあげます。近年、 1時間当たり100ミリを超えるなど「これまでに経験したことのない豪雨」がたびたび起こっています。昨日も、お隣の伊丹市、大阪・池田市で、100ミリ、120ミリといった豪雨が観測されています。

 8月10日の武庫川は、どうだったのでしょうか。 午前中はちょうど台風が通っている時でした。しかし武庫川の水位を基準点の甲武橋で追ってみますと、午前10時時点で1.59mの「通常の水位」でした。 11時には、 2.06メートル、 12時には2.84メートルと「水防団待機水位」まで上がり、13時には、 3.91 mと「避難判断水位」まで急上昇しました。ピークは、13時10分の4.08mと「氾濫危険水位」の4.5メートルまであと42センチまで迫りました。急激に水位が上がった事は、武庫川駅の西宮側で逃げ遅れたゴミ収集車が水没した事でもうかがえます。阪神電車は甲子園から尼崎駅までの運行を取りやめました。

 武庫川の急激な水位の上昇を見た市民から「どうすればいいのか、どこに逃げればいいのか」といった問い合せがあり、防災対策課に問い合わせをしてもらうと、上流の水位が下がり始めているので大丈夫だろうということでありました。さいわい、15時には3.35メートルと徐々に下がり始め、ひと安心でした。私の携帯に入ってきた防災ネットからの情報は、

 8月9日 午前8時15分 兵庫県から「危険な場所に近づかないでください」、9日 12時02分 尼崎市から「水防準備配備体制に入りました」、9日 21時17分 「水防限定非常配備体制に入りました」、10日 0時58分 「中島新橋、大高須橋の通行止め」、10日 2時49分 「左門橋、神崎大橋、淀川大橋などの通行止め」、10日 7時03分 兵庫県から「危険な場所に近づかないでください」、10日 9時11分 「国道2号、神崎川JR地下道の通行止め解除」と言うもので、これを最後に一旦途絶えました。

 次に入ったのが、8月10日 19時10分 尼崎市から「尼崎市のすべての気象警報は解除されましたが、引き続き注意をしてください」という趣旨のものです。10日は、午前9時11分から、夜の7時 10分まで、防災ネットの配信がなかったわけです。急激に水位が上がったことは市民には知らされず、市民はテレビで阪神電車は止まっていることをニュースで知って、武庫川が大変なことになっていることに気がついたわけです。これで、もし水位が下がらず、氾濫危険水位にまで達する事態になったとしたら、市民はいつ知らされることになるのでしょうか。

Q,そこでお尋ねします。

 台風11号により武庫川の水位が急上昇したことについて、どのように尼崎市は認識していたのでしょうか。またそれは市民にどのように知らされたのでしょうか。今回の状況について、改善すべき点がないのか、市長の考えをお聞かせください。

防災担当局長答弁)

 台風11号による武庫川の水位については、8月10日の13時に国道171号の甲武橋の水位観測箇所において、避難を判断する水位まで一時的に上昇しましたが、その時点で三田、道場、武田尾、生瀬などの上流部において、既に雨が小康状態になり、水位が下がり始めていたことを確認しておりました。さらに、河川管理者である兵庫県や対岸の西宮市との協議を行った結果、既に危険な状況のピークを過ぎ徐々に水位が下がるであろうとの判断したものであり、事実その後は水位が下がっていくことを確認いたしました。

 また、これら河川等の状況につきましては、尼崎市防災ネットにおいて、兵庫県域気象警報情報とともに兵庫県武庫川水系武庫川氾濫注意情報において水位等についても市民の皆様に発信しておりました。しかしながら、尼崎市防災ネットに登録されていない市民もおられることなどから、改めて尼崎市防災ネットの普及等に努めるとともに、今後は防災行政無線、市ホームページ等での河川情報の発信など、より丁寧な市民への情報提供に努めてまいりたいと考えております。

(辻質問)

 次に台風11号が去った後の武庫川河川敷の補修について伺います。武庫川河川敷の状況は、樹木や遊具など障害物に、流木などが引っかかり、葦などのゴミが、河川敷に散乱しています。また、国道2号から南は歩道の砂がえぐりとられています。また、阪神電車の橋脚の下は長さ10メートル、はば1メートル、深さ1.5メートル位の大きな穴が開いて、非常に危険でした。昨年9月16日の台風による洪水の時も、今回のような大きな穴はありませんでしたが、流木やゴミ、歩道の砂がえぐりとられたのは同じような状況でした。

 今年は、武庫川河川敷を会場にした盆踊りが2週間後に予定されていたので、穴の改修は早かったようです。しかし、昨年は、武庫川の河川敷の補修を要請しましたが、なかなか進みませんでした。その時の説明では、阪神電車より北側は公園課の所管、南側は河港課の所管であり、それぞれが対応するとの事でした。また、国道43号の下は国の所管であり、対応が遅れました。最も遅かったのが、阪神電車の高架下で、ここは阪神電車が所管するということで、ここのゴミが撤去されたのは、今年の3月でした。あまりに遅すぎます。

Q,そこでお尋ねします。

 今年の武庫川の河川敷の補修は、どのような段取りで、いつまでに、全体が終わるのでしょうか。また、最近の降雨傾向からみて、たびたび洪水が起きることが予想されますが、武庫川の補修の責任分担と体制は、どのようになっているのでしょうか。あまりに遅すぎる改修について、改善すべきだと思いますが、どうでしょうか。お答えください。

都市整備局長答弁)

 今回の武庫川河川敷緑地の園路補修のように、大規模な被災を受けた場合には、国の認定を受ける必要があります。被災後直ちにその手続きに入っており、今後の予定としては、10月7日に現地において国の災害査定を受け、その後、11月に工事発注を行い、3月に完了する予定となっておりますが、庁内調整を図りできるだけ早い完成を目指して参ります。次に、補修の責任分担と体制でございますが、基本的には河川管理者である兵庫県が補修することとなっておりますが、高水敷のうち公園として占用している部分は尼崎市が、橋梁の高架下にあたる部分は各橋梁の管理者が、それぞれの責任において補修することとなっております。

(辻質問)

朝日オートセンターの跡地について       

 次に、朝日オートセンターの跡地について伺います。 国道2号線の浜田町にある「朝日オートセンター」が移転しました。すでに、店は、南武庫之荘7丁目に一部が移転していますし、「本店」は、来年1月にオープンの予定です。朝日オートセンターは、数社の中古車の展示販売所で、自称「日本最大級の自動車展示場」として37年間、営業をしていたそうです。敷地が、30,000平方メートルといいますから、かなり広いです。ここは金井重要工業の土地で、何年か前にいったん伊丹に移転したことがありますが、また元に戻ってきていました。20数年前に、ニチイが進出する計画が持ち上がったのですが、浜田小学校に隣接し、近くに大庄北中学校などがあり、「教育施設の近くに大型店を建てるなんてとんでもない」と、反対の声が上がり、断ち切れになったものです。昨年2月、敷地から「フッ素がでた」と当局から報告がありましたが、汚染物質が出ること自体、ボーリングなどの調査をした結果ですから、「何かの開発を考えているのかな?」とおもってはいました。当時、周辺の井戸の調査や、汚染物質が流れ出ないような対策を求めるという事でしたが、その後の報告がありません。

Q,そこで伺います。

 井戸の調査の結果や、その後の汚染物質の状況や対策はどうなっているのでしょうか。お答えください。

経済環境局長答弁)

 朝日オートセンター跡地につきましては、平成24年8月頃、金井重要工業株式会社が自主的に土壌調査した結果、敷地の一部で土壌汚染対策法の基準を超えるふっ素などの有害物質が検出されました。本市は周辺にある井戸の飲用状況を調査いたしましたが、井戸水を飲用されている方はなく、さらに当該跡地はアスファルト舗装され飛散防止が図られていることから、健康被害のおそれがないと判断し、土壌汚染対策法に基づく「形質変更時要届出区域」に指定し、告示したところです。形質変更時要届出区域は、掘削等へ土地の形質を変更する場合は、予め市に届け出る必要があり、併せて周囲に汚染を拡散させない工法で施工することが義務づけられますが、現在のところ形質変更に係る届出はございません。今後、届出された場合には、法に基づき指導してまいります。

(辻質問)

 それにしても3万平方メートルという広大な土地ですし、国道2号を挟んで南側には、阪神バスの浜田車庫や、使用していない浜田グランド、阪神ボウルの跡地などがありますから、使いようによっては、地域が一変してしまいます。先日、開発指導課に問い合わせたら、まだ何も聞いていないけれど、物販関係など、問い合わせがたくさんきていると言うことであります。地域でも、いろんな噂が流れ始めています。

 ここで思い出すのが森永跡地での失敗です。尼崎市は民間の土地ながら活用方向によっては、大きな影響があるので事業系の開発を希望しましたが、結果は全く違う住宅と商業施設です。少なくとも尼崎市の考えや、希望を伝えるべきではないでしょうか。その際、この地域が抱える課題を整理し その解決を図る方向を模索すべきです。例えば、学校施設の近くという条件を忘れてはなりません。またこの地域には津波などの時に避難すべき建物がありません。浜田小学校に避難するにしても朝日オートセンター跡地の広大な敷地が邪魔をして、かなり迂回しなければなりません。こうした問題の洗い出しも必要です。

Q,そこでお尋ねします。

 朝日オートセンター跡地活用について、地権者はどのような意向を示しているのでしょうか。また開発に向けての具体的な動きがあれば、お答えください。

都市整備局長答弁)

 複数の開発事業者から、店舗面積規制の法令などに関する相談はあるものの、跡地活用について、現時点で、地権者からは相談を受けておらず、開発に向けた具体的な動きは把握しておりません。

(辻質問)

 また、尼崎市としての意向や考え方を整理して、働きかけるつもりはありませんか、併せてお答えください。

経済環境局長答弁)

 朝日オートセンター敷地(約2.6ha)につきましては、用途地域上では、「近隣商業地域」と「第1種住居地域」にまたがっており、商業・業務地として開発される場合には、広域幹線道路である国道2号沿道となりますことから、「尼崎市都市計画マスタープラン」に定めておりますとおり、背後地の住環境に配慮しながら、土地の高度利用を促進し、商業・業務施設の適正な立地を誘導することとなります。

 また、「尼崎市商業立地ガイドライン」においても、「商業系(地域型商業集積)ゾーン」と「住居系(複合住宅)ゾーン」にまたがっていることから、敷地を一体開発するかどうかにより、建てられる建築物の用途制限も変わってまいります。

 こうしたことから、事業者から物販店舗の出店も含めて相談があった場合には、用途地域などの関係法令や商業立地ガイドラインに基づき、関係部局との連携を図り、適正な開発が行われるよう指導等を行ってまいります。

第3回登壇                 

(辻発言)

(コメント)ご答弁をいただきました。ありがとうございます。

 武庫川河川敷の補修問題ですが、国の査定もあり、完成は来年2月だということでした。出来るだけ早くお願いします。阪神電車橋脚の穴以外は、去年も今年も、ゴミや砂のえぐれは、同じようなものでしたが、昨年は12月の初旬には、大方の補修は終わっていました。阪神電車の下だけ残っていて、これがきれいになったのが3月。そして8月にまた水に浸かった。これでは、きれいな期間が少ないということになりますので、出来るだけ早い補修をお願いします。

 防災ネットについては、確かに、最近は河川水位情報もあるようですが、当初はありませんでした。携帯メールは、再登録で受信できるようになったのですが、パソコンメールの方は、登録できませんでした。情報発信は、ツイッタ―、フェイスブックなど、以前より充実していますが、登録人数は5000人ぐらいで、50歳までの人がほとんどだということです。あまり頼りすぎると、必要な人に情報が届いていないということもありますので、防災訓練だけでなく、こういった事態が起こった時に、防災ラジオや、防災放送などの検証をしておく必要があると指摘しておきます。

 朝日オートセンター跡地については、出来るだけ早くに情報を入手し、尼崎市としての対応が出来るようにお願いして、私のすべての質問を終わります。

ご清聴、ありがとうございました。

9月議会 松沢ちづる議員の一般質問と当局の答弁です

松沢議員の一般質問と答弁

(松沢質問)

 ひとり親家庭の福祉医療について質問します。兵庫県が、今年度から第3次行政改革で、母子家庭等福祉医療の対象を児童扶養手当全部支給の世帯のみにしました。それは、昨年まで所得が192万円未満を対象にしていたのを、80万円以下に大幅に狭めるものでした。日本共産党は県議会でも市議会でも低所得の市民を切り捨てるものだと反対しましたが、市は、県同様に対象者を削減しました。その結果、尼崎市では今年7月,1,824世帯が不認定となり、乳幼児・こども医療でも救済できない市民は2,607人、これは6月まで福祉医療を受けていた人の実に26.8%にあたる大幅削減です。6月までは通院の窓口負担が1日600円2回まで払えばそれ以上は無料になり、入院については1割負担で限度額月2,400円でよかったのに、不認定になったことで今年7月から通院も入院も3割負担となりました。

 資料①「平成26年度母子家庭等医療受給資格の不認定者における所得分布」をご覧ください。これは、こちらから資料要求して福祉医療課が作成したものです。不認定になった1,824世帯の所得分布は、230万円未満が1569世帯、全体の86%です。180万円未満は1,188世帯、全体の65%になります。次に資料②をご覧ください。昨年度の国民生活基礎調査の概況から抜粋したものです。貧困ラインは122万円で、ひとり親世帯の貧困率が54.6%と示されています。つまり、ひとり親世帯は100軒に54~55軒が貧困ライン以下の生活をしているということです。122万円は等価可処分所得なので、そのまま資料①の所得分布に照らし合わせることはできません。それでも可処分所得に税金と社会保険料を足したものが所得ですから、資料①の~180万円未満の階層が貧困ラインの周辺の人たちだと推測できます。 

 そこで、質問します。市長は、不認定となった世帯がこんなに低い所得階層だという認識はありましたか。お答えください。

(健康福祉局長答弁)

 母子家庭等医療費助成事業につきましては、県はひとり親世帯と同程度の所得水準である他の子育て世帯を比較した場合に、医療費助成の対象範囲や負担額において不均衡が生じており、より公乎な制度として維持するために、見直しを実施したものです。本市におきまして、今回の見直しを検討するにあたり、母子家庭等医療と乳幼児等医療受給者のそれぞれの所得分布を調査し、いずれも所得の低い層の方が多いことは、認識しておりました。

(松沢質問)

 市は本事業について「ひとり親家庭の医療費における経済的負担を軽減し、ひとり親家庭の世帯員が疾病等になった場合でも安心して暮らせる環境をつくるため実施している」と事務事業評価で事業趣旨を説明しています。しかし、本年行った削減で不認定となった世帯は、多くが貧困ラインの周辺あるいはそれ以下ではないですか。

 質問します。市が行った対象者削減は、事業趣旨に反していると思われませんか。市長お答えください。

(健康福祉局長答弁)

 ひとり親家庭の医療費における経済的負担を軽減していくことが大切であると認識している中で、兵庫県から行革案が示された際になされた各自治体への意向調査におきまして、本市は見直し前の制度継続を希望する旨の意見を提出しております。なお、本市の母子家庭等医療費助成事業にかかる26年度予算におきましては、約2億円の事業費を計上し、実施しているところですが、市単独で見直し前の制度を維持していくには、更に約1億円の事業費が必要となり、本市の厳しい財政状況を考えますと、見直しはやむを得なかったと考えております。

(松沢質問)

 来年度から国が改定しようとしている介護保険制度について質問していきます。「医療・介護総合法」は、6月18日通常国会会期末ギリギリに参議院で可決成立しました。案の根拠となるデーターに誤りが見つかる前代未聞の事態がおきました。公聴会では反対意見が続出するし、また、全国で多数の国民が反対をする中、自公与党が押し切る暴挙によっての成立でした。これには、介護保険第6期2015年から2017年において、要支援者を介護保険から外して市町村の地域支援事業(総合事業)に移行させる、特別養護老人ホームの入所は要介護3以上に限るなどの内容が盛り込まれています。まず、要支援者を介護保険から外す問題について質問します。厚労省は、要支援者について「専門職による対応が必要でない人が多い」と国会で繰り返し答弁しています。しかし、参議院の公聴会では、専門職の対応がなくなれば「日常生活ができなくなり介護度が上がる」「認知症の人の感情が不安定になる」「サービスの地域間格差が拡大する」など反対する声が続出しました。

 そこで質問します。市は、専門職の関わりの必要性についてどのように考えていますか。

(健康福祉局長答弁)

 国は、要支援であることをもって一律に専門職対応を排除しているものではなく、認知機能の低下した人や、退院直後で状態が不安定な人などについては、専門的なサービスが必要であるとして、国が例示をしております。本市としてもそのような方々に対しては、専門職による専門的なサービスの確保が必要であると考えております。

(松沢質問)

 次に、私は12月議会で、要支援者の介護が市町村事業に丸投げされた場合「介護の質も量も落とさずに尼崎市でカバーできるのか」と質問しましたが、それに対して、市は「現在の地域支援事業の制度設計におきましては、・・・サービスの実施内容や利用回数等に影響が出ることが危惧されます」と応えています。

 そこで質問します。「危惧されるという」懸念を国に表明されましたか。また、現時点で、市はカバーできるかどうかについて、どのような認識ですか。

(健康福祉局長答弁)

 本年6月、国に対して全国市長会を通じて、「地域支援事業への移行に当たっては、早期に国民や事業所への周知徹底を図るとともに、円滑な導入と効率的な事業実施のため、自治体の意見を十分反映すること。」との提言を行っております。・また、国が本年7月に示した総合事業のガイドライン案では、専門的な支援が必要な要支援認定者に対しては、これまでどおりのサービスを提供できるしくみが示されましたので、支援が必要な人へのサービス提供について、一定確保できるものと考えております。なお、サービスの質と量の確保については、総合事業への移行後も、引き続き既存事業者によるサービスの確保に努めるとともに、シルバー人材センターやNPO、ボランティア、地域団体等多様な主体によるサービス提供体制の構築に取り組むことで、影響が出ないよう努めてまいります。

(松沢質問)

 次に、特別養護老人ホームの入所対象者を要介護3以上に限定する問題についてお聞きします。事前に当局からいただいたデーターによれば、昨年度調査分の「入所の必要性が高い」と判定された待機者は469人です。このうち、要介護1・2は43人いらっしゃいます。判定の要件は、介護度以外に、●認知症による不適応行動があるかどうか ●在宅サービス利用度はどれくらいか ●独居か否か ●介護者の状況はどうか などが点数化されます。これらは厚労省令で定められた基準です。この基準で「入所の必要性が高い」と判定された要介護1・2が43人いらっしゃる訳です。また、現在 特養に入所されている要介護1・2の方も165人おられます。

 国は、自ら決めた入所基準に当てはまる要介護1・2の方が現にいるのに、特養の入所対象者を原則要介護3以上に限定するなんて、自己矛盾極まりないものです。 今年市が65歳以上の市民に行った「高齢者利用意向調査」では、高齢者対策として力を入れてほしいことの2番目3番目に、特養などの入所施設の充実があげられています。また、市当局も、12月議会の私の質問に対する答弁で「要介護1・2であっても・・・特養への入所が必要な要介護者がおられますので、要介護3以上に完全に限定することは好ましくない」と言っておられました。

 そこで質問です。特養入所対象者は原則要介護3以上と、国は決めました。要介護1・2で特養入所できるのは、極めてまれなケースだけになるでしょう。市は、要介護高齢者の住まいについて、今後どのように対応しようと考えていますか。

(健康福祉局長答弁)

 特別養護老人ホームの重点化において国が示している改正案では、要介護1・2であっても、やむを得ない事情により、特別養護老人ホーム以外での生活が著しく困難であると認められる場合には特例的に入所が認められることとなっております。現在、策定作業を行っております、第6期介護保険事業計画においても、引き続き、待機者の現状を踏まえた特別養護老人ホーム等の施設整備の計画数を計上することとしております。また、こうした施設整備のほか、高齢者が要介護状態になっても、住みなれた地域で安心して生活し続けられるよう、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホーム等の住まいの整備等につきましても、高齢者保健福祉専門分科会で協議してまいります。

(松沢質問)

 不認定となったある母子家庭の母親は「不認定の通知が来て、市から切り捨てられたと思った」と話しています。この家庭は就学前の女の子と母親の2人暮らしで、母親は非正規雇用です。2013年度の所得が95万9千円で、制限額80万円を超えるので不認定になりました。2014年4月分の手取り収入は10万5千円、5月分は7万8千円ほどです。5月は子どもさんがインフルエンザにかかり、何日も仕事を休んだため10万円を割ったとのことでした。ここから家賃や食費が出ていきます。母親は精神科で薬をもらっていますが、医療費が3割負担になったら「私の受診するお金は捻出できなくなる。受診しなかったら体調が悪くなり仕事ができなくなる。悪循環だ。」と訴えています。こんなひとり親家庭をバッサリ切り捨てる冷たい市政でいいのでしょうか。市は、子育て世代の定住促進を図っているのではありませんか。尼崎では今、ひとり親世帯が19,600世帯強あり、ゆるやかに増加しています。県が対象者を削減する中でも福祉医療の充実を行い、ひとり親家庭が安心して住み続けられるよう支援する市政が求められていると思います。

 3月議会予算委員会の質疑で、「県に対して2度、文書で意見をあげました。現行制度の継続を希望する。市単独で実施する財源がないため、県の見直しどおりにせざるを得ないといった内容でした。」との当局答弁がありました。尼崎市も一定努力はしてみたけれど、結局は県が継続しないので、市も財政が厳しいという理由で、1,842世帯を切り捨てたことになります。今年度予算を組む際、県に母子家庭等の福祉医療継続を求めたということは、市には削減しないための市が負担すべき財源支出の力があったことを示しています。それをしなかったというのは、まさに政治姿勢が問われる問題です。県が継続しなかったからといっても、せめて市の負担分である二分の一は財源として残し、対象外となった市民への救済策にあてるべきではなかったでしょうか。宝塚市は、県が対象外とした世帯に対して、市単独での事業を行っています。

 そこで質問します。県に対してこの事業を元に戻せと、再び要求すべきだと考えますがいかがですか。また、県が改めない間は、宝塚市のように、尼崎市も県が対象外とした世帯に対し、市単独でカバーする事業を行うべきだと考えますがいかがですか。お答えください。

(健康福祉局長答弁)

 福祉医療費助成制度は県との共同事業であるため、必要な人に必要な支援ができるような福祉医療制度となるよう、機会をとらえて県に対して働きかけてまいりたいと考えております。また、市単独での実施につきましては、先ほども申し上げましたとおり、見直し前の制度を実施するためには、新たに約1億円の財源が必要となりますことから、宝塚市のように実施することは困難であると考えております。

(松沢質問)

 次に、高齢者の住まいですが、厚労省は、特養待機者対策としてサービス付高齢者向け住宅の増設を推奨し、企業参入が著しく増えています。サービス付高齢者向け住宅は市内に現在26か所839戸あり、昨年12月から見ても5か所177戸も増えています。価格帯は様々で、特養とほぼ同じぐらいの所もあれば月20万円をゆうに越す所もあります。特養と大きく違うのは、負担軽減の対応策が何もないことです、特養ならば、低所得者が利用できるように補足給付と言って部屋代と食費の軽減措置がありますが、サービス付高齢者向け住宅にはありません。ですから、年金の少ない低所得の高齢者は、サービス付高齢者向け住宅にはなかなか入れません。また、生活保護受給者でも入居できる、もっと安価な高齢者の専用賃貸住宅が民間でありますが、介護の質や住宅環境、防災設備などについて、市の指導がどこまで入るかは不定で、行政的にはそこに頼るわけにはいかないでしょう。市は、第5期介護保険事業計画で、「施設の整備が需要の増加に追いつかず、現在、多数の人が自宅などで待機されている状況」だとして、「補助金や公有地の活用等により、介護老人福祉施設(特養)を中心として整備を進めていきます」としています。この方向で第6期も特養の整備を更に積極的に進めるべきです。市有地の活用や小規模特養の増設を行い、要介護1・2でも入所の必要性が高い人については、しっかりと特養で受け止める施設整備を求めます。次に、要支援者の地域支援ですが、専門的関わりが必要だと厚労省が示しているイメージは、①日常生活に支障があるような病状・行動を伴う認知症の場合 ②退院直後で集中的に自立に向けた取り組みが必要な場合 ③自らの生活管理が困難・地域社会との関係・構築ができない場合です。これではうつや統合失調など精神疾患を抱えた人、がんのターミナル期の人、リウマチや筋委縮性側索硬化症、パーキンソン病のように進行性の難病を抱えた人、いつ急変するかわからない循環器・呼吸器疾患を抱えている人、守秘義務のあいまいなボランテイアの受け入れに抵抗感の強い人、家族から虐待を受けている恐れのある人などが対象外になるのではないでしょうか。こうした方々にも介護の専門職によるサービス提供が必要です。市は、厚労省のイメージにこだわらず、専門的なサービスを必要とする人全てがそれを受けられる体制作りを求めます。

 次に、現在要支援の人たちに訪問介護や通所介護のサービスを提供している現場事業所のみなさんは、いわゆる「要支援外し」についてどう考えておられるのでしょうか。今、日本共産党議員団は事業所の方々にアンケート調査を行っています。まだ、途中なので集計はこれからですが、特徴的な事業者の声を紹介します。「要支援の人のほとんどは専門的ケアを必要としない」という国の見解に対して、回答を寄せたほとんどのところが「そうは思わない」と応えています。

・要介護レべルの人が要支援に認定されていることが多々ある。

・サービスを外せば、結果として要介護化をはやめることになる。

・しっかりしてそうでも、一つ何かあれば命に係わる病気を持っている人もおり、細心の注意を払ってケアしている。などの声が多数です。

「そう思う」と答えた事業所も、線引きが難しいと言っています。多くの事業所が利用者減少による経営への影響を心配しています。利用者・家族にとっての影響については、介護度が増す・家族が困る・利用者の生活が成り立たなくなる・介護事故や事件が起こってくる等々訴えています。介護労働者のますますの待遇悪化につながると危惧する声もあります。コストダウンは事業所経営に大きな痛手としながらも、一番困るのは利用者本人と家族だから援助せざるを得ない、どうなるかわからないなど悩んでいると答える事業所が多く、こうした悩みを相談する行政窓口もないという意見もあります。また、実情を見ない国の制度改定に怒りをあらわにされている事業所も多数あります。要支援の人への支援で、専門的なサービスを担う介護事業所の協力は、今後もなくてはならないものです。市は6月に地域包括支援センターと居宅介護支援事業所のケアマネージャーにアンケート調査を行っていますが、介護事業所に対してはどうするのでしょうか。

 質問します。要支援者への訪問介護・通所介護事業を行っている事業所に対して、地域支援事業に移行することについての要望や意見などを聞くべきだと考えますがいかがですか。

(健康福祉局長答弁)

 先ほどもこ答弁申し上げましたように、要支援認定者には、専門的サービスに加えまして、生活支援サービスについても、引き続き事業者からのサービス提供が必要であると考えており、総合事業への移行にあたっては、事業者の協力を得ることが不可欠であると考えております。そのため、総合事業に移行するまでの間に、事業者への意向調査を実施したいと考えております。

(松沢質問)

 基本チェックリストについて伺います。厚労省は、市民が介護の相談に来た時、窓担当者は、明らかに要介護認定が必要な場合や本人が介護サービスを希望しているときは要介護認定の申請手続きにつなぎ、そうでない場合は要介護認定を省略して基本チェックリストを行って総合事業につなぐというガイドラインを示しています。窓口対応は必ずしも専門職でなくてもよいとされており、厚労省のガイドライン通りに窓口業務を行えば、市民がはっきりと「介護認定を受けたい」と言わないかぎり、入り口段階で介護保険サービス利用の道が閉ざされる危険性があります。市民の介護保険についての理解は様々で、とにかく援助を求めて相談に来て、市職員から説明を受けてはじめて必要な手続きやサービスの受け方などがわかるという場合も多々あるでしょう。窓口で安易に基本チェックリストで振り分けず、これまでのようにまず、認定申請の手続きを行うことが必要だと考えます。

 質問します。市は、基本チェックリストを安易に使わず、これまでのように介護認定を希望する希望者すべてに、認定申請の手続きを行うべきだと考えますがいかがですか。お答えください。

(健康福祉局長答弁)

 総合事業移行後の基本チエックリストは、必ずしも要介護認定を受けなくても、簡便な手続きにより必要なサービス事業を利用できるよう、相談窓ロにおいて本人の状況を確認するためのツールとして用いるものです。相談受付時に、まず相談の目的や希望するサービスを聴いて、総合事業内容や手続き等を説明した上で、認定を希望される方には、従前どおり要介護認定の申請の手続きを行ってまいります。

(松沢質問)

 国が今回の介護保険制度「改定」でめざしているのは、様々な困難をかかえる利用者や介護現場に視点をあてたものではなく、増え続ける国負担を減らしたいという保険財政の事情を何よりも優先させた「持続可能性」の追求です。弊害は、利用者市民、介護現場に現れてきます。市民のく。らし・いのち守る防波堤の役割をもつ自治体として、専門的なサービスが必要、あるいは求める要支援者に、しっかり受け皿を用意する体制を作っていくことが求められています。そのためにも、ぜひ、現場の声、様々なケースを肌で感じて考えるべきだということを、強調しておきます。基本チェックリストを安易に使わず、介護認定申請の手続きを従来どおり行うことを求めます。

 ひとり親家庭の福祉医療については、2月に市は「平成26年度主要取組項目(案)」で、対象者削減により「効果額は3916万円」になるといいました。貧困と闘いながら必死にがんばっている市民を切り捨てて、なにが「効果額だ」と怒りを感じます。当局の答弁で、県に再び元に戻すよう言うということですので、ぜひ強くいってください。日本共産党議員団は県議員団とも連携して、母子家庭等医療費助成制度をもとに戻すため更にがんばることを表明して、私の一般質問を終わります。

9月議会 市長提案案件に対する徳田稔議員の質疑です

質疑者 徳田稔

(徳田質問)

 日本共産党議員団の徳田稔です。子ども・子育て支援新制度にかかわって、議案第104号108号についてお聞きします。

 子ども・子育て支援法の制定により幼稚園・認定こども園・保育所・小規模保育施設などの保育料の基準が国によって示され、各自治体で保育料を定めることになっています。議案第104号は市立幼稚園の保育料を定めようとするものです。保育所などの2号認定・3号認定の子どもの保育料設定は、従来と同じ程度か、減額になる提案がされようとしていますが、市立幼稚園だけは大幅な保護者負担増になっています。

 尼崎子ども子育て審議会の「子ども子育て支援新制度に係る尼崎市の利用者負担についての最終答申」別紙2「1号認定子どもの保育料設定検討例」に利用世帯の分布率が出ていますが、市立幼稚園は、市民税非課税から市民税所得割77,100円以下の低所得の世帯が実に64.8%も占めています。 

 お聞きします。市立幼稚園は、まさに、低所得世帯の子どもの就学前教育を保障する役割を果たしていると思いますが、市の見解を求めます。

(教育長答弁)

 本市では、昭和40年以降、市内の幼児数の急激な増加とともに、市民の幼稚園教育を求める声が高まる中で、私立幼稚園だけでは幼児の受入れが間に合わない状況などを解消するために、公立幼稚園の新増設を開始し、5歳児のみの1年保育を実施するに至りました。その後、幼児数の減少に伴い、公立幼稚園でも、平成8年度から2年保育を実施し、就学前教育を保障する役割を果たしてきたところでございます。新年度からの開始が予定されている、「子ども・子育て支援新制度」におきましては、幼稚園の保育料を設定するにあたっては、保育所保育料の設定の考え方とも整合を図るとともに、応能負担を原則とするとされております。そうした意味において、公立幼稚園、私立幼稚園を含め、応能負担の考え方のもと、就学前教育の保障を行うものでございます。

(徳田質問)

 今回の案で、ひとり親家庭以外の市民税非課税世帯では、これまで保育料は無料だったものが月2,200円に、所得税非課税世帯では無料から6,900円になります。市民税所得割77,100円以下の世帯では、4,966円から11,400円へと跳ね上がります。

 お聞きします。経過措置期間が終わる2016年4月以降、保育料が高すぎて、入りたくても入れない子どもたちが激増するのではないですか。

(教育長答弁)

 子ども・子育て支援新制度における幼稚園保育料につきましては、国の子ども・子育て会議において、公立、私立幼稚園の「1号認定こども」に係る利用者負担額を設定するにあたり、「2号認定こども」の保育所保育料との整合性を図ることとされてきました。そのことを踏まえ、「尼崎市子ども・子育て審議会」・「利用者負担検討部会」におきまして、本市の公立保育所、法人保育所の現行の保育所保育料が、公私間統一料金を適用していることや、所得に応じた負担となっている現状から、公立幼稚園を含めた1号認定こどもの利用者負担額について、ご議論いただいたところでございます。その結果、8月12日付けで「子ども・子育て支援新制度に係る尼崎市の利用者負担について」の最終答申書をいただき、その答申に基づき市の料金表(案)を設定しようとするものでございます。現行の公立幼稚園保育料は、所得に関係なく一律9,100円をご負担していただいておりますが、新制度の料金表(案)では、最終答申書に基づき「市民税非課税世帯及び市民税所得割非課税世帯においても、応能負担の原則により、母子世帯等の一部を除いては、負担されるべきもの。」とし、現行の保育所保育料と同様に公私間格差のない、所得に応じた応能負担の原則により、ご負担いただくものとしたところでございます。

 子ども・子育て支援新制度では、就学前の子どもが教育保育サービスを受けるにあたっては、施設や事業の種類を問わず、認定区分ごとで同一の料金表を適用することとされております。そうした中、本市の新制度における幼稚園保育料は、保育所保育料の考え方との整合を図り、保育所保育料と同様に、国の基準額に対し、一定割合を減じることに加えて、低所得階層に、より高い減額率を乗じて保育料額を設定しようとするものでございます。こうしたことで、公立幼稚園の保育料は現行よりも高くなりますが、私立幼稚園の8割以上の世帯では、現行保育料よりも低くなります。

(徳田質問)

 次に、議案108号についてお聞きします。議案第108号は、市立保育所保育料を定めるものです。第8条2項および3項の 延長保育料及び一時あずかり保育料についての規定に関連して伺います。

 これまでは、延長保育・一時預かり保育などは、それぞれに国の補助金が出ていましたが、新制度導入で補助金はなくなり、新たに交付金という形で一括して交付されることになります。新聞報道では、国は当初制度全体で1兆1千億円必要だといっていたのが、7千億円の見込と報じられました。4千億円足らないということは、尼崎市が公立保育所で行う延長保育・一時あずかり事業を進めるうえで、財源不足の影響が出てくると思われます。議案に示されている保護者負担でこの先事業が継続できるのか、負担増はないのか危惧されます。また、保育所にとって、きちんと事業を行う財源保障ができるのかも危惧されるところです。

 お聞きします。市は、公立保育所で行う延長保育・一時あずかり事業の財源見通しをどのようにとらえていますか。お答えください。以上で私の質疑を終わります。ありがとうございました。

(こども青少年局答弁)

 延長保育については、全公立保育所について午後7時まで、また、2保育所において午前7時からの延長保育を実施しております。当該運営経費については、国等からの補助はなく、現在でも一般財源と月額1、500円又は日額1回200円の利用者負担により実施しており、本負担額においては本条例案第8条第2項において新制度実施後も同単価とするよう定めさせていただくこととしていることから・国からの財源保障の問題1ま直接的には影響しないもめと考えております。次に、一時預かり事業については、現在園田保育所で実施しており、来年度は建替後の塚ロ保育所においても、実施する予定でございます。当該事業の補助については、平成25年度は県の安心こども基金により、実績に応じ設定された金額の2分の1の補助でしたが、平成26年度は保育緊急確保事業として、実績に応じ設定された金額の国、県、市それぞれが3分の1づつ負担することとなつております。本事業に係る補助金の仕組みが新制度施行後に変更があるのかどうかは未だ国から示されておりませんが、当該事業についても市の事業として継続して実施していく予定であり、利用者負担につきましても本条例案の第8条第3項において、現行どおり、年齢に応じ日額2,000円から2;800円の範囲での設定としたものでございます。

9月議会がはじまります。一般質問は党議員団から5人が質問します。

9月議会の会期 9月9日~10月3日

 *一般質問

松沢千鶴議員

 9月10日(水)13時15分頃より45分間

 内容 ひとり親家族の福祉医療について、介護保険について

辻おさむ議員

 9月11日(木)11時10分頃から45分間

 内容 市長の政治姿勢について、台風11号による武庫川の補修について、朝日オートセンター跡地について

松村ヤス子議員

 9月12日(金)10時より40分間

 内容 生活困窮者自立支援制度実施について

川崎敏美議員

 9月12日(金)13時頃より45分間

 内容 子ども子育て支援新制度について、公立保育所の民間移管について

田村征雄議員

 9月12日(金)14時50分頃より45分間

 内容 尼崎東高校跡地の土地活用方針素案について、公共施設の最適化と園田地区会館の複合施設について、園田地域の災害の想定と公共施設について、聖トマス大学問題について

*決算委員会

 9月18日(木)19日(金)22日(月)いずれも10時より

  一般会計・特別会計 松村ヤス子議員・徳田稔議員

  企業会計      真崎一子議員・川崎敏美議員

 *常任委員会

 9月26日(金)10時より

  経済環境市民委員会  松村ヤス子議員

  建設委員会      辻おさむ議員

 9月29日(月)10時より

  文教委員会     真崎一子議員

  健康福祉委員会   川崎敏美議員・松沢千鶴議員

 9月30日(火)10時より

  総務消防委員会   田村征雄議員・徳田 稔議員

CCF20140907_0000

訪問・通所介護事業所アンケート調査のお願い

 平素から介護を必要とする高齢者のケアにご尽力いただき、ありがとうございます。

 国は来年4月から、①要支援1・2の方から訪問・通所介護の保険給付を外し、市町村の行う地域支援事業(総合事業)に組み込む、②特養ホームの対象を要支援3以上に限定する、③所得によっては利用者負担2割を導入するなど、全体として増え続ける国の介護保険負担を抑える「改定」をすすめようとしています。また、尼崎市は「改定」を推進する「第6期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」の策定にとりかかろうとしています。

 私たちは、介護難民を増やし現場に大きな混乱をもたらす「改定」に反対の立場です。今回、現場で働く専門職のみなさんから率直な意見や現状をお聞きし、今後の議会活動に活かしていきたいと考えております。

 お忙しいところとお手数をおかけしますが、調査の趣旨をご理解いただきご協力くださいますようお願いいたします。なお9月議会の日程上、誠に恐縮ですがご記入いただいた調査票は、9月7日(日)までにご返信かファクス、メールをいただきましようよろしくお願いいたします。

2014年8月

日本共産党尼崎市会議員団

住所      尼崎市東七松町1ー23―1市役所内

電話        06―6489-6070 ファクス06―6489-6073j

メール     jcpam-sigidan@hcc6.bai.ne.jp      

 2014.08.29.144744-001

徳田みのる市議会報告 第9号 一般質問で市長の見解を聞きました

徳田みのる市政報告 第9号 2013.9.16.

日本共産党尼崎市議会議員 徳田みのる

徳田みのる市議会報告 第9号はこちら(PDFファイル)

市議会 一般質問で市長の見解を聞きました

・県立尼崎総合医療センターについて
・アスベスト被害者救済について

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