9月議会 松村ヤス子議員の一般質問と当局答弁です

(松村質問)

 日本共産党議員団の松村ヤス子です。生活保護法と密接な関係にある「生活困窮者自立支援法」について質問します。

 生活保護世帯は、高齢世帯、母子世帯、障害者世帯、傷病者世帯、そして、それらに属さない、「その他世帯」の5類型に分類されています。

 世帯類型別被保護世帯数の一覧表などを机上に配布させていただいています。参考にしてください。

 2005年度から2014年6月までの10年間の増加率は、高齢世帯、1.62倍、母子世帯、1.17倍、障害世帯、1.31倍、傷病世帯、1.28倍、「その他世帯」は、実に、3.91倍で、他の世帯と比べて、著しく増加しています。また、生活保護世帯に占める各世帯の分布割合では、直近の4月から6月までの平均では、高齢世帯が6496世帯で48.6%、母子世帯が1024世帯で7.7%、障害世帯が1213世帯で9.1%、傷病世帯が3197世帯で23.9%、その他世帯が1427世帯で10.7%です。高齢世帯が49%、傷病世帯が24%、合わせて73%です。「その他世帯」は、11%で、1割程度です。世帯数は少ないけれど、増加率は突出して高いのです。

 資料②にも記述していますが、「その他世帯」とは、高齢世帯、母子世帯、障害世帯、傷病世帯に属さない世帯です。資料③に示しているように、「その他世帯」には、0歳~80歳以上の人も含まれていますが、65歳未満の稼働年齢世代の人がいて、失業中、もしくは、働いていても、生活保護費以下の収入しか得られていない世帯です。

 

 今年の4月末時点で生活保護人員総数は、17,928人で、そのうち、2,441人が「その他世帯」に含まれています。この2,441人のうち、生活困窮者自立支援事業の対象者に匹敵すると思われる人数を試算してみました。

 資料③をご覧ください。0歳~19歳までが360人で14.7%、65歳以上が391人で   16%、30.7% この方たちは対象外です。

 概ね20歳~64歳までの1,690人が稼働能力のある年齢層となります。稼働年齢層のうち、40歳以上が1,323人で、稼働年齢層の78.3%をしめています。今の社会では、40歳以上でも就職しにくいようですが、稼働年齢層の51.2%をしめている50歳以上の866人は、さらに困難になり、よほどの知識・能力を持っていなければ正規での雇用はないでしょうし、そういう能力のある方たちが就職できずに、「その他世帯」におられるとしても、極めて少数ではないかと思います。

 このような状況の「その他世帯」のなかの稼働年齢世代も含めて、今後、稼働年齢層の自立を支援し、生活保護世帯の増加を抑えようとするのが、「生活困窮者自立支援法」です。現在、福祉事務所において、「その他世帯」における「稼働能力あり」の方に、どのような支援を行っていますか。

(健康福祉局長答弁)

 現在、福祉事務所では、生活保護受給者への就労支援としてケースワーカーによる支援を行うほか、就:労促進相談員を配置して、対象者に対して寄り沿い型の面談・』を行い、ボランティア・職業体験を通じた就労前の意欲喚起をはじめとして、履歴書作成や面接の指導、ハローワークヘの同行訪問、求人や能力開発に係る情報提供など、対象者Jの意欲や能力に応じたきめ細かな就労支援に努めております。また、些定の稼働能力と就労意欲を有する人に対しては、しごと支援課の地域週雇用就労相談窓口を通じて各種セミナーへの参加や無料職業紹介の利用促進を図っております。

 さらに、平成23年度から本市とハローワークとの協定に基づき、生活保護受給者等を対象として4より専門的な見地から、職歴や能力に応じた個別の職業紹介事業をハローワークで行うとともに、本庁舎内においても~昨年7月から、毎週1回、生活保護受給者を対象としたハローワークの巡回相談を開始するなど、庁内外の関係機関との連携を進め、就労支援に取り組んでいるところでございます。

(松村質問)

 就労支援を行うことで、就職できた方は、年間何人おられ、その割合はどれぐらいですか。

(健康福祉局長答弁)

 平成25年度中に就労促進相談員が就労支援を行ったその他世帯の生活保護受給者は285人で、そのうち105人が就職に至っており、その割合は57%となっております。

(松村質問)

 就職できた場合の月収はどの程度ありますか。

(健康福祉局長答弁)

 ただいま申し上げました就職者105人の月収につきましては、最高で約35万円の人もいましたが、平均では82、766円となっております。就職した人に占めるフルタイム就労の人の割合は19%に過ぎず、大部分がパートタイム就労となってJおり、月収5万円未満の人が46%を占めている状況でございます。

(松村質問

 最低賃金が保障されていることを確認していますか。最低賃金を割っているような働き方はありませんか。

(健康福祉局長答弁)

 就労支援を進めていく中で、福祉事務所としましても新規就労開始時には、ご本人から就労開始報告書を提出していただき勤務条件を確認しております。また、就職に結びついた経路といたしましては、ハローワークの職業紹介や求人情報誌に掲載されているものが主なものであり、こうしたことからも一定の勤務条件が守られ’ていると考えてJおります。

(松村質問)

 就職できて、自立した方は、どの程度おられますか。

(健康福祉局長答弁)

 さきほど申し上げました就職者105人のうち、自立廃止に至ったのは12人となっております。

(松村質問)

 就職するうえで障害になっていることは、どういうことだと分析していますか。

(健康福祉局長答弁)

 稼働年齢層における就労阻害要因としては、傷病によるもの、障害によるもの家族の育児や介護によるものが主なものとなっておりますが、その他にもご自身の社会的な適応能力に課題がある場合など、様々な要因がございます。ー方、稼働能力を一定有する方につきましても、詳細な分析を行っているもの。ではありませんが、専門的な資格や技能、就労経験などが乏しいといった本人の能力によるものや、これまでの経験を活かすことができる業種の求人数が少なかったり、あるいは、jあっても失職期間必の長期化により採用されにくい傾向があるなどの雇用環境によるものや、以前の就労時に失敗した経験を思い出してなかなか意欲を前面に出せないなどの就労意欲によるものなどを原因としてへ就職に至るまでに長期の時間を必要としている方が多いのではないかといった印象を持っているところでございます。

(松村質問)

 2013年1月25日に、国の社会保障審議会の「生活困窮者の生活支援のあり方に関する特別部会」が報告書を出しています。

 その総論の中の「生活困窮をめぐる現状と課題」の項に概ね次の記述があります。

・生活困窮者の増大によって、この国の基盤が揺らいでいる。

・1990年代の半ばから、安定した雇用が減少し、世帯構造も変化して、現役世代を含めて生活困窮者の増大が顕著になった。

・この傾向はリーマンショック、2008年9月15日、後に加速している。稼働年齢世代にある人々を含めて生活保護を受給する人が増加した。

・将来の展望を失った人々が増えると勤勉な労働力という最大の資源が失われていく。

・生活困窮は、責任のない子どもたちの未来にも影を落とす。貧困の連鎖も現れこの国の将来を担う世代の力が大きく減じていく。

と生活保護増加が日本社会に与えるマイナス面を述べております。しかし、合わせて、

・日本の生活保護制度は、先進国の制度としては、保護されている国民の割合からしても、支出の規模は決して高いものではなく、受給者も、相対的に割合が減っているものの、約8割が高齢・傷病・障害世帯などの就労困難な人々が中心である。制度への信頼と理解を得るうえで、生活保護をめぐる客観的事実は正しく伝えていくべきである。

・ 生活保護を受給している稼働世帯にも、保護を受給せず働き続ける困窮層にも、安定した就労で、生活を向上させる支援を等しく提供する必要がある。

と生活保護利用者の実態について、正しい理解と事実を伝えることの大切さと、困窮者への支援の必要性をのべています。

 そして、この社会保障審議会の報告で、新たな生活困窮者自立支援制度の構築と生活保護制度の見直しがまとめられました。

 日本共産党は、「生活保護法の改正案は、水際作戦の強化など、到底受け入れられるものではない、生活困窮者自立支援法案には、「最低賃金を下回る中間的就労が盛り込まれており、生活保護制度からの追い出しと水際作戦の手段にされる恐れがある」として、反対しました。しかし、法が成立したなかで、危惧する運用が行われないよう、生活困窮者の立場に立って、自立できるように親身の相談活動などの支援が必要だと考えます。

 私は、この報告書は、「リーマンショック以降に生活困窮者が増え」とあり、原因はリーマンショックにあると受けとられる書き方をしていることに、違和感と怒りを感じています。派遣労働法が製造業にも適用されるように改正されたのが2004年、リーマンショックは2008年です。厚生労働省は、派遣労働法の改正には触れていませんが、雇用については、非正規雇用者は、2000年には26%だったものが2013年には36.7%に増え、年収200万円以下の給与所得者が18.4%から23.9%に増加していると述べています。

 これは、決して自然現象ではなく、経済界の利益にそう政治が生みだした結果です。生活困窮者の増加は、リーマンショックの4年前の2004年3月に日本共産党以外の当時のすべての政党が「労働者派遣法の大改悪法」を可決し、労働組合の弱体化が進む中、正規から派遣への置き換えがすすみ、低賃金・不安定雇用の拡大、長時間労働による過労自殺の多発、ブラック企業化の野放し状態が大きな社会問題になるなど雇用環境が悪くなり、結局、労働者の購買力低下による不況が長期化し、それも加わって、雇用の悪化を加速させてきたことが、大きな要因だと考えますが、生活困窮者増加に対する市長の認識はいかがでしょうか。

(健康福祉局長答弁)

 生活困窮者自立支援法において蕊生活困窮者は、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」と定義されております。生活困窮に陥る要因といたしましては、経済的な問題だけでなく、健康上の課題や家庭の事情などの複合的な問題を抱えている場合が多く雇用や労働環境など、様々な要因から生活困窮の状態に至っているものと考えております。

2回目登壇

(松村質問)

 一般的に、ほとんどの国民は、学校を卒業後、定年まで、もしくは、自営の場合は、体力が続き、営業が成り立つ限り、働き手として社会を支えます。私の母も70歳を過ぎても、ささやかな商いを続けていました。未来に不安がなければ、若者は結婚し、次の世代の働き手を育てます。しかし、そんな当たり前のことをできにくくしているのが、派遣雇用です。

 私は、「その他世帯」の増加は、先に述べたように、企業利益を最優先するために、生きている人間をごみのように捨てることができるようにした政府・国会に最大の原因があると思っています。貯金を使い果たし、家庭崩壊、家賃の滞納、退去、ホームレスになった人、家主の善意でホームレスにはならなかったものの、心の病に侵され働けない状態に陥っている人などから相談を受けたことも少なくありません。

 この「その他世帯」を減らすための「生活困窮者自立支援法」が昨年12月に制定され、来年4月から全国の福祉事務所のある自治体で施行すると定められました。これまで十分でなかった、生活保護受給者以外の生活困窮者に対する「第2のセーフティネット」を拡充するものと位置付けられています。

 「生活困窮者自立支援法」について、厚生労働省の熊木正人 生活困窮者自立支援室長の講演をお聞きしました。昨日、弘中議員も言っておられましたが、私たちも参加しました。私はこの生活困窮者自立支援法が、生活保護制度の利用をさせにくくし、かえって、生活に困窮する人を生み出すことにならないのか、大変危惧を抱き、支援法そのものを読み、講演もお聞きし、厚生労働省と自治体との問答集などにも一定目を通しました。

 市職員としてはどの部署であっても、そうですが、特に、この分野では、生活困窮者の心に寄り添って、親身の相談ができる職員の配置が必須だと考えます。また、新法の自立相談支援事業は、アセスメント、プラン作成、支援調整会議、支援決定といった一連のプロセスに基づき、就労支援も含めた包括的な支援を行うことで、生活困窮者の自立と尊厳の確保、地域づくりを行うものであり、一般論としては、これまで自治体等において行われてきた事業と相当程度異なるものであることには留意が必要であると述べています。特に、要の事業になる自立相談支援事業を担当する部署を新設する必要があると考えますが。

(健康福祉局長答弁)

 自立相談支援事業については、複合的な問題を抱える生活困窮者を対象者に、包括的一元的に相談対1応する中で、個人の課題や事情に応じて適切帳なJ支援を行っていくという新たな取組みであり、多くの部署や関係機関との『連携を図りながら、相談者に寄り添った支援ができるような新しい体制が必要であると考えております。その業務内容については、生活保護業務とも密接な関連があることから、そうしたことも踏まえご組織体制一設置場所等について、現在~J庁Ⅱ内検討会議とその部会において、検討を行っているところでございます。

(松村質問)

 合わせて、生活保護担当との連携が必要です。福祉事務所と十分連携がとれるよう、福祉事務所内か、近接して設置するのが望ましいと考えますが。

(健康福祉局長答弁)

 自立相談支援事業の実施において、窓口に来所されない生活困窮者をいかに把握するかは大変重要なことであると考えており、関係部署や関係機関と連携しながら、対象となる困窮者を把握し、必要に応じて自立相談支援の窓口につⅡなぐことで、できるだけ早い段階で支援が行っていけるよう取り組んで参りたいと考えております。

(松村質問)

 本市では、高金利のサラ金の厳しい取り立てに苦しむ市民の多重債務者救済のために、関係各課と消費生活支援センターとが連携して解決する実績も持っています。生活困窮者が相談に来るのを待つことから始めるのでなく、生活困窮状態にある恐れがあると推察されるデータとして、市税・国保料、市営住宅家賃、給食代、保育料、水道料金など、さまざまな税・使用料などを滞納している市民を把握できる市役所の各担当課と積極的に連携して、早い段階から、自立相談支援事業につなぐ体制をつくって対応することが求められますが。自立支援相談事業は、委託でもできるとされていますが、保護世帯が多く、貧困世帯の状況を多く把握している本市では、委託でなく直営で実施すべきと考えますが。

(健康福祉局長答弁)

 必須事業である自立相談支援機関の運営は、自治体が行うこととされている「支援決定」を除き、就労等の自立に関する相談部分や、支援プラン案の作成、支援調整~会議の開催などの事業を民間団体等へ委託できることとされております。直営と委託のいずれの場合においても、メリットとデメリットがありますことから、現在、庁内検討会議とその部会において、その他の任意事業の実施手法等も含めて、円滑に事業が実施できるよう、検討を行っているところでございます。

(松村質問)

 また、問答集には、自立支援相談事業の各支援員には、一定の経過措置を前提としつつ、国が行う養成研修の受講を要件とすることを考えている。とあり、主任相談支援員については社会福祉士、精神保健福祉士、保健師として保健、医療、福祉、就労、教育等の分野における業務に5年以上従事しているものであり、かつ、生活困窮者への相談支援業務そのたの相談支援業務に3年以上従事している者、生活困窮者への相談支援業務その他の相談支援業務に5年以上従事しているもの、相談支援業務に準ずる業務として、実施主体である自治体の長が認めた業務に5年以上従事しているもの、のいずれかに該当することを検討するとしています。なお、主任相談支援員の配置要件の緩和については、認めないと受けとれる回答をしています。

 本市は、2003年度及び2004年度は、財政再建を目的に市職員新規採用をストップ。この間、保護世帯が増加しているにもかかわらず、福祉事務所の職員も新規採用されませんでした。

 県及び国の監査でワーカーの標準数を満たしていないとの指摘を受け続けており、80世帯担当を標準としていますが、実質的には、2倍近い世帯を担当している実態もあります。来年度から社会福祉士の資格のある職員を何人か新規採用する予定と聞いていますが、先に述べた3つの条件のいずれかに該当する職員は現状でそれぞれ何人おられますか。

 また、生活困窮者自立支援事業を進めるうえでは、主任相談支援員だけでなく、専門職の増員が必要と考えますが、かならず専門職で対応するのか答弁願います。また、専門職の配置については、自立相談支援員だけでなく、福祉事務所への配置に対する考え方を示してください。

 

(健康福祉局長答弁)

 自立相談支援事業における主任相談支援員の資格要件については、実務経験の対象業務等の詳細が示されていないことから、正確な人数は申し上げることはできませんが、社会福祉士、精神・保健福祉士、保健師の資格を所持している職員に限定しますと、本人の申告べ一スでそれぞれ27人、旧人、75人の合計1可5人でございます。自立相談支援の窓口においては、主任相談支援員に限らず、一般の相談支援員等においても専門的な知識・経験は重要であると考えており、そのような人材をできるだけ確保していきたいと考えております。また、福祉事務所においても昨今の福祉制度の複雑化に伴い、同様に必要とされる専門性が高まっており、来年度からの福祉職採用なども行いつつ、育J成のための継続的な研修も行いながら、専門性が安定的に維持できるよう努めてまいりたいと考えております。

(松村質問)

 5月20日付の質疑応答集に示されている内容等に関連して質問します。必須事業の自立相談支援事業においては、相談事業の性格上、相談者の資産・収入に関する具体的な要件は設けないとしています。この回答の後に、自治体からの質問に対して、「複合的な課題を抱える困窮者がいわゆる「制度の狭間」に陥らないよう、できる限り幅広く対応することが必要である」と回答していますが、どういう場合が考えられるのか、イメージがわきません。事例をあげて、わかりやすく説明してください。

(健康福祉局長答弁)

 複雑化した生活困窮者の課題に対し-既存の制度や窓口の枠組みのなかでは、充分に対応しきれていないために、日常生活において、支援を必要としながらも、必要な支援が行き届いていない場合が考えられます。具体的な例で申し上げますと、持ち家に居住し、貯蓄が残っているために、生活保護の要件には当てはまらず家族の中に失業や介護などの問題があり、すぐに働くことは難しいといった複雑な課題が複合して絡み合っている場合、単に生活保護という観点からだけではなく、その方の背景にある家族の失業や介護などの問題にも目を向け、関連する関係機関につないだり、社会資源を活用するなど、幅広く対応することが求められているものでございます。

(松村質問)

 「自立相談支援事業」と「住居確保給付金の支給事業」はかならず実施しなければならない事業であり、また、「就労準備支援事業」、「一時生活支援事業」、「家計相談支援事業」や「学習支援事業」は任意事業です。本市では、学習支援事業については、生活保護世帯の児童生徒に対して実施されていますが、この事業について拡大充実についてはどう考えていますか。また、生活保護世帯に含まれていない児童生徒については、どう働きかけるのでしょうか。答弁願います。

(健康福祉局長答弁)

 生活保護世帯の子どもへの学習支援事業につきましては、これまで生活保護法のもとでセーフテイネット支援対策等事業費補助金に位置づけられておりました。平成27年度からは、生活困窮者自立支援法に基づき、『生活困窮者である子どもに対し学習の援助を行う事業」として生活保護Ⅱ世帯の子どもも含めて位置づけられ、その対象者については各実施主体が地域の実情を踏まえて設定することになり、国の補助も全額補助から2分の1以内の補助に変更されることとなります。これまでの実施状況から、生活保護世帯の子どもに対~する取組として学習支援事業の必要性を改めて感じているところであり、平成27年度に向けて、学習支援事業の拡充も視野に入れた対象者の設定、事業規模や実施体制などについての検討を行っているところでございます。

(松村質問)

 それに、中核市である尼崎市は、民間事業者が生活困窮者に対し、就労の機会を提供し、合わせて、就労に必要な知識や能力の向上のために、必要な訓練などを行うと事業所が申請した場合、基準に該当する「就労訓練事業」であることを認定することができるとなっています。工業系・商業系・サービス系など様々な業種の事業所が数多くあります。本市では、特に、仕事支援課も設置しています。それだけに、任意事業ですが、「就労訓練事業」については、より積極的に進める必要があると考えますがいかがでしょうか。

(健康福祉局長答)

 就労訓練事業は、いわゆる『中間的就労」とも呼ばれ、直ちに一般就労を目指すことが困難な人に対して、一定の支援を行いながら、就業の機会の提し供などを行うものでございます。こうした就労訓練事業の場の提供が推進されますと、生活困窮者の状況に応じたよりきめ細やかな支援ができるようになることから、本市においても、こうした場がより多く提供されていくよう、就労訓練事J業」を行う事業所への啓発Jや開拓に努めていかなければならないと考えております。

(松村質問)

 「住居確保給付金の支給事業」も必須事業です。これは、住居のない人が住居を確保する際に必要な、「いわゆる敷金」と「何カ月間の家賃」が給付されるということでしょうか。もし、そうならば、手持ち金が、少ないことを意味していると考えますが、いかがでしょうか。

(健康福祉局長答弁)

 生舌困窮者自立支・援法に基づく住宅確保給付金は、平成2で年Ⅲ10月から実施している住宅支援給付事業を基本に、制度化を図るものでございますが、国から給付要件等の詳細が示されていないため、現行の住宅支援給付事業でご説明いたします。内容といたしましては、離職者であって就労能力及び・就労J意欲Ⅱのある人のうち之住宅を喪失している人、または喪失するおそれのある人に対して、一定期間、家賃相当額の給付を行うとともに、就労支援を行い、対象者の生活再建を支援するものでございます。資産要件として、単身であれば預貯金50万円以下、複数であれば100万円以下という基準を設けておりますが、手持ち金の保有が一定程度認められていることから、必ずしも手持ち金が少ないということはありません。なお、住宅を喪失した人が住宅を確保する際に必要な敷金等につきましては、住宅支援給付事業において支給を行うものではなく、手持ち金の活用や、本人の希望がある人には、一定の貸付要件を満たしていれば、社会福祉協議会が行っている総合支援、資金貸付事業を案内しております。

(松村質問)

 一般的には、そのような場合は、生活保護受給が必要なのではないかと思うのですが、どういう場合に給付されるのでしょうか。

(健康福祉局長答弁)

 現行の住宅支援給付の場合で申しますと、先ほども申し上げました資産の保有で、単身世帯50万円以下、複数世帯で100万円以下といった要件のほか、世帯上の月額収入として、単身世帯で12万6,500円未満、2人世帯でW万2,000円以内などといった一定の要件が定められており、これを満たす場合に本人からの申請に基づき、支援給付を行うものでございます。一方、相談をお伺いする中で、手持ち金も少なく、生活保護の利用が適当と認められる場合には、住宅支援給付の説明と併せ、生活保護制度についても案内し、本人の希望に沿って適切に保護の担当につないでおります。

(松村質問)

 生活保護申請を希望している市民の意に反して、自立支援事業を押し付けないことが必要です。市民の意志を尊重し、生活保護の申請権は、絶対侵害しないと理解しますが、いかがですか。

(健康福祉局長答弁)

 相談窓口には、様々な生活課題を抱える方が相談に来るものと思われますが、今後とも、本人が生活保護の申請を希望している場合には、申請権を侵害しないことはもとより、侵害していると疑わiれるような行為も厳に慎み、適切に対応してまいります。

(松村質問)

 また、生活困窮者自立支援室が制度の理念などを公表しており、「生活困窮者の自立と尊厳の確保」に関することとして、次のように書いています。本制度では、本人の内面からわき起こる意欲や想いが主役となり支援員がこれに寄り添って支援する。本人の自己選択、自己決定を基本に、経済的自立のみならず、日常生活自立や社会生活自立など本人の常態に応じた自立を支援する。生活困窮者の多くが自己決定感、自尊感情を失っていることに留意し、尊厳の確保に特に配慮するとあります。立派な内容であり、本当にこのような立場で、生活困窮者に対応してもらえるのか、正直不安があります。日本共産党は、「最低賃金を下回る中間的就労が盛り込まれており、生活保護制度からの追い出しと水際作戦の手段にされる恐れがある」として、反対しましたが、この危惧が現実のものになるかならないかは、本市の取り組みいかんにかかっています。危惧したことが、それこそ、とりこし苦労だったと確認できる対応を強く求めますが、市長の決意を伺います。これで第2問目を終わります。

(健康福祉局長答弁)

 就労訓練事業、いわゆる「中間的就労」については、雇用型と非雇用型の2つの類型があり、非雇用型については最低賃金を下回る場合がございますが、いずれにおいても、生活保護が必要な方につきましては、これまで通り確実に生活保護を実施してまいります。また、事業所において、労働力が不当に扱われることがないよう留意することが大変重要であり、このことを受け、都道府県知事や政令市長、中核市長に、事業所に対する認定制度が創設されましたことから、本市としましても、今後出される政省令に基づき、就労訓練事業の適切な認定に努めてまいります。

         3回目登壇

 滋賀県野洲市では、貸金業法が改正される以前から、多重債務で生活困窮に陥った市民を総合的に支援する取り組みを行って来ており、全国的にも高い評価を受けていました。今回の自立支援法制定の背景には、野洲市が果たしてきた実績が反映しているように感じています。しかし、野洲市は人口5万人程度の市で本市の中央地区より若干少ない規模です。45万人の尼崎市では、野洲市のような丁寧な支援をするためには、手厚い職員配置と大変な努力が必要です。生活保護世帯が多い最大の理由が、満額の国民年金でも、最低生活費以下だということ、「つらいときでも、辛抱して定年まで働けば、子どもも育てられる」そんな励ましが通じない社会にしてしまった政治に責任があることを理解し、困難を抱えている市民に、暖かさと優しさのある心で、寄り添った支援を行い、生活困窮世帯が、安心して相談に来所できるようにすることが必要です。担当部署や福祉事務所だけでなく、全職員が、「生活困窮者の自立と尊厳の確保」をしっかりとらえて対応をされることを心より願い、そして期待して私の質問を終わります。