9月議会 川崎敏美議員の一般質問と当局の答弁です

公立保育所の民間移管問題と子ども子育て新制度について

(川崎質問)

 日本共産党議員団の川崎敏美です。公立保育所の民間移管と子ども子育て支援新制度について質問します。今や深刻化する子育て家族を取り巻く状況に対して、保育所・幼稚園は「防波堤」「シェルター」であり、「セーフティネット」でもあります。子ども・子育て新制度のもとで、所得があるなしで、受ける就学前保育や教育に格差が生じてしまう、そういった保育環境であってはならないと思います。より公的保育制度の充実が求められています。

1、公立保育所民間移管

 尼崎市は1998年以来、公立保育所の民間移管を行い、すでに20カ所、来年度の実施が決定されている3カ所を加えると、23カ所ということになります。これは民間移管実施以前の公立保育所45カ所が、現行22カ所という状況となります。最終的に市の計画は公立は9カ所にするということですから、今後も13カ所を民間移管するということになります。

 市は民間移管をするための公立保育所の保護者に説明するために、「公立保育所の民間移管に関するQ&A」を配布しています。その中で、「公立保育所が民間移管されると何が変わるのか?」と設問があり、その答えに「保育所保育指針に基づいて保育をしているため保育の内容は基本的に変わりません」とあります。

 本当にそうでしょうか、公立から民間の福祉法人へと運営主体が変われば、法人の保育方針によって、保育内容は変化します。保育士全員が4月1日をもって全員入れ替われば、子こどもにとっては目の前からこれまでの先生がいなくなるのです、年齢の低い子ほど「ある日突然先生が消えた」状況が生まれるのです。人が変われば大きな変化がうまれます。変わらないのは保育士の配置基準や保育料だけであって、人が変わることによって、保育の質が変化します。「保育内容は基本的に変わらない」と説明されればされるほど、保護者からの不信がつのり、民間移管についての理解がなかなか得られないという状況が続いているのではないでしょうか。

 以下、平成21年度からの、今福保育所以降の民間移管について、主に運営面からみて具体的に質問します。なお民間移管された保育所名は旧公立保育所の名称を使用します。公立の保育士は比較的ベテランの先生がいて、自分で子育てした経験、長年の保育経験で、育児相談に何でも答えてくれると保護者からの信頼を勝ち得ており、安心して子どもたちを預けることができると高い評価が与えられています。Q&Aでは、移管先法人では経験が浅い保育士ばかりになるのではないかとの問いに、一定の経験年数を求めていると答えています。

施設長は既設法人で10年以上かつ主任以上の経験を有する幹部職員として3年以上の勤務実績が必要とされています。

新規法人では10年以上かつ幹部職員として6年以上とされています。

保育士は既設、新設を問わず、保育士経験10年以上を2人以上、4年以上の経験者を全体の3分の1以上配置するとされています。

 近年、保育士不足はどこの自治体でも頭を抱える問題となっています。求人を募っても集まらない、やっと採用してもスキルの高い子どもの命を預かる仕事の割には低賃金で、やめる人が多いとの深刻な問題があります。保育士の経験年数は移管時だけクリアーすればよいといったものではありません。

 またある園では、移管を受けた保育所に、ベテランの保育士を半数程度本園から異動させたために、本園の保育体制が低下している状況等が生まれています。

 質問準備のために担当課に聞きました。市は、保育士の経験年数の条件が守られているのかを、移管時にチェックし、その後は法人に自助努力をお願いしているということでした。監査の際にも特別に民間移管された法人だからと特別のチェックはされていないということでした。このためには市の補助金も特別に組まれているのですから、移管後も引き続きこの水準を維持する指導が必要です。

 おたずねします。民間移管で、公立の保育を引き継ぐとされていますが、具体的に何が引き継がれるのか、お答えください。また、保育士の経験年数の条件は、民間移管した後でも満たされていますか?

(こども青少年局長答弁)

   公立保育所の保育については、望ましい保育者像や保育者の基本像、また,笑顔の輝くこどもを基本理念とした4つの保育目標、さらに、これまでの保育で培われてきた保育の実践方法等をまとめた「尼崎市の保育」を基本的な指針として実施しているところでございます。民間移管にあたりましては、このような公立保育所の保育の実施にあたっての基本的な考え方や手法を法人に伝え,その承継を促すとともに、日常保育や年間行事、各児童の保育記録、施設の安全管理に関ずる事項等、それぞれ詳細な内容について、きめ細やかな引継ぎを行っているものでございます。また、公立保育所の民間移管に当たっての保育士の配置条件は、移管を開始した平成10年度当初から、4年以上の経験者を3分のl以上確保することとしており,平成21年度からは,この条件に加え,l0年以上の経験者を2人以上確保することにしております。各保育園では,現在もこの基準による保育経験者を確保していることを確認しております。

(川崎質問)

 次に民間移管先を選定する選定委員会についてです。昨年10月、大島保育所の保護者の1人から、「公立保育所民間移管選定委員会のあり方」について検討を求める要望書が当時の健康福祉委員に出されました。その内容を紹介します。

 「選考委員会が大島保育所の受託法人として淡路市の沼島保育園を経営する西光寺和順会が一番優良な法人であると選考した理由に疑義があります。・保育理念が3法人の中で一番優良であると認められたが、資金については一番低い評価であった。・昨年まで沼島保育園の児童数は3名(現在の4歳児のみ)、保育士は4名。本年度より8名の小規模保育所である。・尼崎市の求めている経験年数を有する保育士が不在。・選考基準で高く評価された保育理念を踏襲する保育士は不在。・沼島保育園が受託はしたが、実際に大島保育所廃止後の保育園に就任するのは現園長のみで、副園長はじめ保育士は全員今回初めて募集をして新規採用した新規法人と同様であると思われる。・在所保護者の中から任意で参加した保護者委員は「保護者の気持ちを伝え、最善の選択をした」と言っているが、協議内容・選考過程について質問しても「当局から内容を明かすことが出来ないと言われている」と守秘義務を課されている。・西光寺和順会が本当に大島保育所を受託するのに一番優良な法人であると選考された過程も不透明で、在所保護者としてはどうしても納得がいかない。

 尼崎市公立保育所民間移管受託法人選考委員会のあり方として、情報が全く公開されず、参加している保護者に守秘義務を課していることで、公平性が保たれていません。受託法人に応募した法人のプライバシーを重視するあまりに、子どもの最善の利益の保証がないがしろにされ、子を預けて働く保護者の不安を掻き立てています。この件については、改めて選考委員会の選考基準を見直す議論が必要と考えます。ぜひともご検討のほどよろしくお願いいたします。

 以上が大島保育所の保護者の1人から出された当時の健康福祉委員あての要望です。市民の共有財産である保育所の建物と土地がゆだねられる法人だからこそ、そのプライバシーを守ることだけが優先されるのではなく、選定委員会の審議経過の透明性がはかられなければ、公正な判断がなされたとの証明にはならないのではないでしょうか。選定委員会は公開することを原則にする、そして透明性をはかり市民の理解を得る努力をすべきだと考えます。

 お尋ねします。移管先の法人を選定する選定委員会は、現在6人で構成されています。法人を選定するルールはどのようなものになっていますか。また保護者委員を増やすことはできないのでしょうか。お答えください?

(こども青少年局長答弁)

 保育所移管法人選定委員会については、「尼崎市立保育所移管法人選定委員会条例」に基づき、6人以内で組織する付属機関であり、その構成については、学識経験者、市民団体の代表者及び移管・対象保育所に入所している児童の保護者の代表者のうちから市長が委嘱することとなっております。本委員会では,移管法人を選定するための選定基準を定め,当該基準に照らして書類及び面接での審査を行い、優良法人の選定と順位付けをしていただいたうえで、審査の結果、最も優良であった法人に対して実地調査を行い、選定結果を委員長から市長に報告いただいております。こうした選定の過程では、保護者の皆様に対し、応募法人からのプレゼンテーションを実施し、質間やアンケートにより保護者の意見を聞く機会も設けております。本委員会につきましては,これまで選定委員6人以内の構成により、様々な角度から活発な意見交換や、効率的な議論がなされてきたという実績も踏まえるなかで,6人以内の定数が適切な人数であると考えております。また,委員構成につきましても、全体の3分の1が保護者委員というバランス面や他都市の委員構成を考慮しても、現在の委員構成が適切であると考えており見直す考えはございません。

(川崎質問)

 移管先の法人が決定されると、次に保護者代表と移管先法人及び市との三者による三者協議会が開催され、移管をスムーズに進めるための会議が設置されます。大島保育所では、平成25年10月29日に第1回の三者協議会が発足してからでも、市と法人との間で事前の話し合いが充分にできているのか、疑問に思われるような事態が起きています。

  • 沐浴室・調乳室の工事日程が、日程に余裕をもって保護者に説明が行われなかったため、保護者から苦情が寄せられた
  • 子どものけがが以前より増えており、起こった時の対応が問題とされ、小さなケガは保護者への説明がない、または遅れていること
  • 公立の時は見受けられなかったゴキブリが発生、掃除がきちんとできているのか不安の声が寄せられている
  • 保育室にピアノが急に設置され、子どもも保護者も困惑したこと
  • 選定委員会、三者協議会で中心的に活動していた保護者が、新しい体制に不満を感じて、2名退所。
  • 法人の保育がこころもとないのでフォロー保育の延期が保護者から求められたこと

 これらの問題は、すでにほとんどが解決済みで、一過性の問題であり今では問題となっていないと片付けられるかもしれません。しかし、本来公立の時には起こらなかったことが起こっており、子どもたちに直接・間接的に悪い影響を及ぼしていることに目を向けるべきではないでしょうか。また、これでは共同保育の期間が、前年度、浜や大島において2ヶ月から3ヶ月に延長され、1月から3月まで実施された効果は認められなかったのではないでしょうか?

 私はこの間、長洲、立花、浜、大島保育所の三者協議会での議事録を公文書公開請求で取り寄せ、文書を読みました。請求時期の関係もあって今年の3月の分までしか手に入りませんでした、また全部で600ページを超える長文ですから、すべてをくまなく読み通せたわけではありません。しかしその中でも目についたことがあります。

 少しまとめてみましたので紹介します。

○公立ではほぼ入園式が4月1日とされていますが、入園式の日が変更されることが三者協議会で提案されている。

○延長保育の時間設定と料金問題が、話し合われている。

○また新たに保護者の費用負担をともなう、トレーニングパンツ、体操服、帽子、上靴、遊び道具の購入が議題とされている

○食事の配膳から片付け、着替えと職員がスムーズに子どもを誘導できないので、お昼寝のパジャマ使用をやめる

○ある園では、過去自園で保護者が餅つきの道具を片付ける際、大けがを負っておりトラウマがあって、公立で行っていた餅つき行事はできないから了解を求める

以上のことなどが議題となっています。

 公立で行ってきたこととは変わるような状況が、いきなり三者協議会の場で議題とされており、主に法人園の都合で、保護者に了解を求める内容となっていました。何でも公立と同じ内容でなければならないとは思いませんが、はなからなぜ公立の保育とあえて違うことがなされようとしているのか疑問です。

 はじめはできるだけ公立の保育を引き継ぐ中で、子どもや保護者との信頼関係を実践的に作り上げていく中で、、こういった提案は徐々にしていくことが望ましいのではないでしょうか。保育の善し悪しは別にしても、公立の保育を受け継ぐことの意味と徹底が事前に受託法人側に充分に理解されていないのではないかと疑問をもちました。以上みてきた、大島保育所や議事録から見受けられた問題について、中には市が設置を約束している苦情処理責任者、苦情受付担当者、または保育所の関係者以外の苦情相談者である第三者委員の所に、相談が持ち込まれ、そこで本来は解決されるべき重大問題が含まれているのではないかと思います。これらの苦情処理のための制度及び第三者委員は機能しているのでしょうか?

 おたずねします。第三者委員の設置がうたわれていますが、民間移管されたすべての保育所に設置されているのですか?また苦情相談にはどのようなことが寄せられていますか?

(こども青少年局長答弁)

 公立保育所の民間移管におきましては、保護者の苦情解決の仕組みの体制整備として,苦情処理に係る第三者委員の選任を移管条件として位置づけており、平成4年度以降に民間移管した全ての保育園において、弁護士や地域住民などを当委員として選任しております。これに加え、各保育園においては,苦情受付担当者 (主任)や苦情解決責任者(園長)も設置しており、これまでに第三者委員が直接的に保護者と話し合いをするような事案はなかったと聞いております。

(川崎質問)

 これまでの民間移管では、決してあってはならない重大事故が民間移管の初期の時期にありました。すでにご存知だと思いますが、保育士の安全確認の怠り、見守り不足から公園の上り棒から子どもが転落して死亡事故が起こっています。また移管直後には、ほぼどこの園でも日常的に登所・登園を嫌がったり、お昼寝の寝付きが悪く、直ぐ起きるようになったり、「かみつき」の症状が増加したり、吃音が生じる子も発生、赤ちゃん返りをしたという状況が生まれています。ある日を境にこれまで慣れ親しんできた先生を奪われ、子どもは民間移管の流れの中で大変不安定な状況に置かれます。特に年齢の低い物言えぬ子どもだからこそ、被害の実態はなかなか伝わってきません。しかも、子どもたちには新しい環境に適応していく力をもっており、一定の時期を過ぎるとかみつきなどの問題行動も収まってしまいます。しかし子どもたちは仕方なしに新しい環境に適応しているのだととらえる視点を、私たちは大事にしていかなければならないと思います。

 お尋ねします。平成21年以降の民間移管について、今福の実施以降、福祉法人の応募状況はどうでしたか?そのうち新規法人がどれくらい含まれ、尼崎市内の法人はどのくらいありましたか?

(こども青少年局長答弁)

 平成2O年3月に公募した今福保育所から平成26年7月に再公募した道意保育所までの9保育所における募集状況につきましては,延べ28法人がらの応募がございました。そのうち、社会福祉施設として設立認可の見込みがある新設法人は12法人であり,市内の既設法人は11法人であります。

(川崎質問)

 これ以上、民間移管をすすめるためには、この間の応募状況を見る限り、すでに受け入れ先が枯渇してきており、実績のない新規法人に頼らざるを得ません。しかし新規法人ばかりでは、保育士を基準通り集めることは困難となります。あとは企業にゆだねるのかということになってきます。しかし保育は福祉であり、保育を市場化しこれを企業のもうけの対象にしてはならないと考えます。私は公立保育所の民間移管計画は、新制度の下で、今後新たに子育てのための事業計画をつくるということもあるわけですから、やはりいったん計画を止めて、再考すべきだと考えます。

 公立の保育所をなくしていくことは、市民の公的な財産、土地建物だけではなく、保育の専門性を身につけた保育士というマンパワーが失われていくという問題もあります。地域での子育ての拠点、小学校、保健所などの公的な施設との連携、一時預かり、子育て相談など、公立保育所の果たす役割についてもっと考える必要があると思います。公立保育所を積極的に活用して保育の専門性を高め、地域、民間の保育所と一体となって保育の水準を引き上げていくという役割に、目を向けるべきだと思います。

 今回あえてコスト論に踏み込みませんでしたが、財政面からみて善し悪しを判断するのであれば、公立はなくしてしまえと言うことになっていまいます。自治体が提供する公的なサービスはドンドン削ってしまえいうことになりかねません。それでは、住民の福祉を守るという自治体の本来の役割を放棄してしまうことになります。そして公的な保育制度そのものを解体していく方向しか見えてきません。私は、あくまでも公的保育制度のもとで、等しく子どもたちを平等に社会の責任で育てていく、より良い子育ての制度環境をつくっていかなければならないと考えます。

 すでに決定している民間移管については、様々な問題点からその実施方法は見直すべきです。住民合意をその都度大切にしていくためには、選定委員会、三者協議会、引き継ぎ共同保育、フォロー保育など、第三者の意見を入れて見直すべきだと考えます。このことを強く要望して次の子ども・子育て支援新制度についての質問にうつります。

 私は昨年の9月議会、今年の3月議会でも、新制度の下でも現行の尼崎の保育水準を守りまたは引き上げていくこと、公的保育制度を守っていく施策の充実を求めてきました。昨年の状況で、認定外の事業所で32事業所472人の子どもが保育され、また待機児童が80人ほどの数が報告されています。小規模保育以外の所で定員が大幅に引き上げられない限り、これら550人を超える子どもたちが、小規模保育または認定を受けなかった事業所で保育されるということになると思います。できるだけ現行の認可保育所を拡充し、尼崎の子どもたちは同じ条件の下で保育される環境整備に努めてほしいというのが、利用者の願いでもあると思います。そういった観点から質問してまいります。

 新制度では、多くの反対意見に押された3党合意による修正で、児童福祉法24条1項の市町村の保育実施義務がのこり、保育所についてのみ従前の施設補助による委託という仕組みが維持されることになりました。市町村の保育実施責任に基づいて、入所と入所後の保育保障が行われることは当然です。また「利用調整」の場合の基本は、保護者の希望する施設に入所させると言うことを大原則にするべきです。保育所入所を希望する子どもを「利用調整」という理由で、他の施設に誘導することがあってはならないと考えます。

 お尋ねします。24条1項と同条2項以降では、対象の施設が異なります。できるだけ1項の公的責任の考え方で、2項の運用がなされるべきだと思いますが、実際に市が考えているあっせん、調整の方法について説明してください。

(こども青少年局長答弁)

 児童福祉法第24条につきましては、市町村に対して第1項で保育所における保育の実施責任を規定し、第2項においては、認定こども園や家庭的保育事業等により,必要な保育を確保するための措置を講じなければならない責務を規定しております。子ども・子育て支援制度における利用調整につきましては、児童福祉法第24条第1項に規定する保育所と、同第2項に規定する認定こども園や地域型保育専業の、いずれの施設についても同様に、保護者の希望に基づいて、市が利用調整を行うとともに,各施設に対して受け入れの要請を行うこととしております。また、この要請に対しましては,いずれの施設も受け入れに関する協力義務がございます。なお、保護者が希望する施設の空き状況等により、利用できなかった場合は、他の保育施設等の空き状況や、保育内容等の情報を提供するなかで,保護者の希望に治って施設等へのあっせんを含めた利用調整を行ってまいります。

(川崎質問)

 保育所ではこれまで認められていなかった上乗せ徴収ができるようになり、英語や体操教などのオプション保育が認められ徴収されることとなっています。保護者の同意が前提ですが、市町村が入所を決めることから選択の余地はなく、低所得者ほど負担増となる危険があります。

 お尋ねします。この点について尼崎市の方針を示してください。

(こども青少年局長答弁)

 新制度における上乗せ徴収につきましては、教育・保育の質の向上を図る上で特に必要であると認められる対価について保護者に負担を求めることができるものでございます。上乗せ徴収を実施しようとする場合には、使途や金額並びに支払いを求める理由について、書面によって明らかにするとともに、保護者に対して説明を行い、文書による同意を得なければならず、また、私立保育所については,市との協議により同意を得ることが必要であるとされております。しかしながら、現時点では,これ以上の詳細な国からの通知等もないことから、今後、国の動きを注視してまいります。

(川崎質問)

 地域型保育の施設や保育士の配置基準が、基本的に20人以上の保育所と同一になっておらず、地域型保育の場合平等性が保障されていません。

 お尋ねします。地域型保育では、利用者の意見を聞いて保育料を引き下げるべきではないかと考えるが、今後そういった対策を行っていく考えはありますか?

(こども青少年局長答弁)

 子ども・子育て支援新制度におきまして,国が示す基準案は,2号・3号認定を受ける子どもにつきまして、施設・専業の種類を問わず同一の料金体系を示しております。本市におきましては,子ども・子育て審議会の答申を踏まえ、保育所保育料と同様に応能負担の適用や、低所得者への一定の配慮も等しくなされている国の考え方を踏襲し,施設・事業の種類を問わず同一の水準として、利用料金表案を策定しております。なお、この利用者負担案につきましては、7月に素案を策定し,パブリックコメントにより市民の意見を聴取するとともに、市民説明会を実施し、策定したものでございます。

(川崎質問)

 今年、市立の園和北と園和幼稚園の保護者がアンケートを実施し、108名の回答を得ています。幼稚園を選んだきっかけはの問いに、家から近い39%に次いで、保育料が安いが34%です。その他の回答では、周りの評判が良かったが16%、教育内容が良かったは6%にすぎませんでした。機能の前迫議員の質問に答えて、教育長は「教育料が安いのも選択の一つの条件」と答弁されましたが、保育料が安いは、公立幼稚園選択の大きな要因であることがわかります。今回、新制度の下で公立幼稚園の保育料が大幅に引きあげられると、公立幼稚園そのものの存続が危ぶまれるのではないでしょうか。

 お尋ねします。これまで公立幼稚園が低所得世帯の就学前教育を保障してきた役割を市はどう考えるのですか、見解を求めます。また市立幼稚園の振興プログラムでは、軽減があるとしても、9100円の保育料を前提に暫定園の存続か廃園かをの条件を設定したが、保育料の大幅値上げという新制度での事態のもとで、暫定園の存廃条件を見直すべきではないでしょうか。当局の答弁を求めます。

(こども青少年局長答弁)

 本市では、戦後、私立幼稚園を中心に、幼稚園教育が行われていましたが、昭和4O年以降、急増するすべての幼児を、私立幼稚園で受け入れることが困難な状況となりましたことから、公立幼稚園の新増設に踏み切り,公私共存により幼稚園教育を振興することで、木市のすべての子どもたちの就学前教育を保障しできたものと認識しております。また暫定園は、公立幼稚園を18園から9園に再編するにあたり、存続させる9園に入園希望者が集中し,多数の希望者が入園できない状況を回避するために設定したもので、今回の保育料の改定とプログラムに基づく存続条件とは別のものであり、見直す考えはございません。

(川崎質問)

 新制度はこれまでの保育所、幼稚園の制度を大きく改変する改革です。しかしこの改革は多くの問題を抱えています。新制度は保育の市場化をめざした保育所制度改革をベースにしたもので、これに幼稚園との一体化、さらには教育制度の改革などの政治的な思惑も絡み合い、認定こども園の制度、新たに小規模保育事業等が加わり、制度そのものが複雑となっています。そこになくそうとしていた児童福祉法24条第1項の市町村の保育実施責任が復活したことで、複雑な仕組みがさらに複雑化して、制度の全体像が見えずらないものとなっています。この制度の運用に当たっては、やはりすべての子どもの権利と豊かな成長、発達を保障するためには、国と自治体の明確な公的責任の下で、保育や子育て支援が確保される仕組みが必要です。

 経済大国でありながら、乳幼児の保育、教育における公的支出が先進国で最低レベルというのが日本の現状です。就学前教育の費用の対GDP比はOECD諸国25カ国中、日本は0.21%で22位です。子どもの貧困率が上昇を続ける中で、保育、子育て分野への大幅な公費の投入、保育・子育て環境の抜本的な改善をはかる必要があります。日本共産党議員団は、新制度の実施運営面でも、子どもたちの最善の利益を守って、少しでもよいものにしていくために、今後とも力をつくしていくことを表明して、私のすべての質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。