2016.12月議会の松村ヤス子議員の一般質問の発言と答弁要旨

日本共産党議員団の松村ヤス子です。

国民健康保険制度の広域化・都道府県化等に関して質問します。

まず、国保の現状についてです。1984年に、国は、国保法を改悪し、国保に対する国の負担割合を医療費ベースで45%から38.5%に大きく引下げました。医療の高度化とも相まって、この国庫負担割合の引き下げが、国保料をさらに引き上げる結果になりました。2015年度の本市の国保加入世帯は73,995世帯で、その17.5%、14,717世帯が滞納のある世帯です。4カ月以上の滞納世帯は、全世帯の7.9%で、6,664世帯、6カ月以上の滞納世帯は5.5%で、4,628世帯です。

お尋ねいたします。もちろん、滞納は好ましくありません。しかし、これだけの滞納者がいることについて、市長は、どう受け止めておられますか。

近隣他都市に比べて、尼崎市の滞納状況は、どういう状況でしょうか。

滞納の原因をどのように分析されていますか。

市として、この状況を改善するためには、何に努力しなければならないとお考えでしょうか。それぞれ御答弁ねがいます。

答弁

国民健康保険事業において、滞納世帯がいるという状況につきましては、滞納は、国保の歳入の根幹である保険料収入が確保できないことにつながり、安定的な国保の事業運営を行う上で、大きな課題であると認識しております。本市における収納率につきましては、近隣他都市と比較しても低位にあり、平成27年度保険料の現年収納率で見た場合、阪神間8市では、三田市が95.61%と最も高く、本市は、90.13%と最も低い状態となっております。次に、被保険者における滞納の原因でございますが、本市の国民健康保険事業は、一人当たり医療費が県下平均を下回っているものめ、低所得者が多く、所得水準が低いため、所得に対する保険料の負担感が高いといった様々な要因があると考えております。こうしたことから、本市は、様々な保険料収納対策の実施に加え、医療費適正化事業として、ヘルスアップ尼崎戦略事業などに取り組み、国保事業の健全運営に向けて努力しているところでございます。以上

過去5年間における本市の国保の加入者は、年金所得層が35~6%を占めており、給与所得控除などを差し引いた後の国保料の計算上ベースになる 加入者一人あたりの平均所得は年50万円から52万円程度とのことです。当局からいただいた資料によると、国保加入世帯は2008年度で8万2000世帯でしたが、その後、2015年度には、9.6%減少し、7万4千世帯になっています。そして、国保加入者一人当たり所得は、58万1000円から、9.4%減少して52万6000円になりました。一方、一人あたりの平均医療費支出は、30万円から36万円と1.2倍に増加です。その結果、一人あたりの国保料は、2008年度には83,263円 でしたが、2015年度は87,909円になり、4000円以上の負担増です。一人当たり所得が9.4%減少にもかかわらず、一人当たり医療費が1.2倍になり、国保料が5.6%ひきあがっているわけです。

お尋ねします。高齢者の割合が高く、所得水準が低いというのが本市の国保加入者の特徴と理解していますが、本市の国保加入世帯の平均所得は、近隣他都市と比較して、どういう状況でしょうか。

また、一人当たり国保料は他都市との比較では、どういう状況でしょうか。答弁ねがいます。

答弁

本市国民健康保険事業で把握している所得は、保険料基準所得でございます。

1人当たり保険料基準所得につきましては、平成27年度で比較しますと、本市は52万6,087円で、阪神間8市で最も低位な状況にございます。なお、本市を除く阪神間7市平均は、73万8,757円で、最高は芦屋市の120万4,580円、本市に続いて低い神戸市では、56万8,350円などとなっております。次に、1人当たり保険料でございますが、医療分と後期高齢者支援金分の合計で比較しますと、本市の平成28年度予算では、8万6,904円となっており、最高額は芦屋市の12万6,554円で、最低額は伊丹市の8万3,945円でございます。なお、本市を除く阪神間7市平均では・9万4004円となっており、本市の方がt7,100円下回っている状況でございます。以上

 先日、私の自宅に新規の国保証が送付されてきました。

現状での本市の国保世帯数は73,995世帯ですが、そのすべての国保世帯に送付されたのでしょうか。そうでないとすれば、送付する世帯と送付しない世帯との区分けについて、どういうルールを定めているのか。説明願います。

答弁

国保被保険者に対する保険証の交付につきましては、原則として、1年間有効の保険証を郵送しておりますが、保険料の滞納がある方に対しては、生活状況の確認や納付相談機会の確保のためにご来庁いただき、相談後に4か月間有効の短期保険証を窓ロで交付することといたしております。以上

また、ここ数年間において、国保料を滞納した状況で、国保証が送られていない人で、亡くなられた方はおられるのでしょうか。おられるのであれば、亡くなられた方の受診状況についても答弁ねがいます。 

答弁

保険料に滞納がある世帯に対しましては、生活状況の確認や納付相談の機会を確保し、短期保険証を窓ロ交付しております。滞納の原因は、各個人により様々であると考えられますが、被保険者の方が「医療機関の受診のために保険証が必要」との理由で来庁された場合におきましては、まず生活状況を丁寧に聞き取り、その事実を踏まえた上で納付相談を行い、保険証をお渡しするよう、最大限努めております。なお、保険料を滞納している方の死亡状況につきましては把握しておりません。以上

国保運営上の大きな問題は、加入者の所得減・貧困化です。かつて国保加入者の多数派は自営業者と農業者でした。しかし、先日、市当局から、いただいた資料によると、2008年から2015年までの8年間の構成割合は、給与所得者が37%、年金所得者が36%、自営業者が10%を少し切る状況です。本来、給与所得者といえば、企業などに安定的に雇用されているのが普通のことであり、健康保険など社会保障制度が整っているのが当たり前でした。そして、常時必要ではない、特殊な能力が必要な時に短期間、派遣され、その間、高い報酬で働くのが、派遣労働者でした。製造現場には派遣労働者は使えませんでした。しかし、現在は、職種の限定がはずされ、製造業など多くの職種で派遣労者に置き換えられ、その派遣労働者やアルバイトなど、不安定な雇用状況の労働者が国保加入者の1/3を占めています。

お尋ねします。本市の国保加入者の1/3が給与所得者だということですが、この給与所得者の中に、本来なら、社会保険に加入すべき労働者でありながら、企業主がそれを拒み、国保加入に誘導していることは、ないのでしようか。当局は、実態を把握していますか。把握していなければ、把握すべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁ねがいます。

答弁

国民健康保険は、協会けんぼや健康保険組合などの被用者保険に加入していない人を被保険者として、保険給付を行う制度であり、本来、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所、または法人事業所については、協会けんぽなどの被用者保険への加入が法で義務づけられております。しかし、勤務先が、こうした被用者保険の適用事業所にも関わらず、未適用である場合の事業主への文書提出命令、事業所への立入り、帳簿書類等の検査について、本市国保は、その権限を有していないことから、ご質問の「企業主が国保加入に誘導している」という実態は把握しておりません。しかしながら、本市国保加入の受付時には、収入や生活状況の聞取りをする中で、被用者保険に加入できないかを確認するとともに、被用者保険に加入できると推測される場合は、年金事務所や会社に問合せをするよう指導しているところでございます。今後とも、窓ロ受付時等の機会をとらえて、資格の適正化に努めてまいります。以上

また、加入者が貧困化しているのに国民健康保険料が上がり続けるのでは、生活が苦しく、滞納が増えるのは当然ではないかと思います。当局の見解をお聞かせください。

答弁

本市の国保にあっては、一人当たり医療費が県下平均を下回っているものの、低所得者が多く、所得水準が低いため、所得に対する保険料の負担感が高いという課題がございます。そうしたことから、本市は、様々な保険料収納対策の実施に加え、医療費適正化事業として、ヘルスアップ尼崎戦略事業などに取り組み、国保事業の健全運営に向けて努力しているところでございます。今後は、平成30年度からの国保の都道府県単位化の中で、県に納める納付金の財源となる保険料が、同一所得・同一医療費水準であれば、保険料も県下同一水準になるという考え方のもと、保険料の平準化の効果が一定期待できるものと考えております。以上

これで第1問目を終わります。

 

2問目の質問です。

 2問目は、国保制度の広域化に関して伺います。

安倍政権は2015年、「国民皆保険創設以来の大改革」といって、「国保の都道府県化」を含む「医療保険改革法」を可決し、2018年度から、国保の運営主体を都道府県に移します。その際、全国の自治体がこれまで国保料抑制のために繰り入れてきた3400億円に匹敵する同額を国が投入するとしています。私は、尼崎市の高い国保料が他自治体と一緒になる広域化で国保料が平均化されて今よりも安くなるのではと思ったこともありました。

しかし、保険料の決定・徴収は市町村が担い、市町村ごとの保険料格差が残ることになります。国保の財政は都道府県が管理し、各市町村に割り当てた「納付金」で国保財政は賄われることになります。この納付金が、現在の国保料の総額に当たります。「納付金」は国保料を100%完納することが原則で、市町村には、国保料の徴収強化の圧力がかけられます。また、「納付金」の割り当てに際し、都道府県は市町村ごとに「医療給付費の水準」「標準的な収納率」「標準保険料率」などの指標を提示することになります。これにより、「給付費の水準の高い自治体」「収納率が低い自治体」「一般会計の独自繰入で保険料を下げている自治体」などが一目瞭然となり、市町村には、給付抑制、収納率向上、繰入解消への圧力が加えられます。

お尋ねします。要するに、広域化することで、都道府県を「国保財政の管理者」「市町村国保の監督役」として、「高い国保料で住民がより苦しめられる」国保行政をいっそう強化する、これが、国の狙いであるともいわれていますが、国保の広域化について市はどう受け止めておられますか。 答弁ねがいます。

答弁

国保の都道府県単位化は、市町村国保が財政上の問題や地域(市町村)間格差などの構造的な課題を抱える中、財政運営の主体を都道府県に移行することにより、安定的な財政運営や効率的な事業の確保を目指して、国の財政支援の拡充とともに実施されるものでございます。今後も国民皆保険制度を維持し続けるためには、必要な取組みであると考えております。以上

 

また、「医療保険改革法」は、都道府県に、「国保運営方針」の策定を義務づけ、それを都道府県が別に策定する「医療費適正化計画」や「地域医療構想」と整合させることを義務づけています。そして、都道府県の「国保運営方針」による市町村への予算配分、「医療費適正化計画」による給付費抑制、「地域医療構想」による病床削減、これらの権限をすべて都道府県に集中させることになり、強権的に給付費削減を進めることになるのが避けられないのではと危惧されています。このような形で、医療を受けにくくしたり、強権的に給付費を削減するのではなく、本来、「市民の健康増進によって給付費が減少・伸びを抑えられる」とならなければならないと強く思います。

それに、大変強く危惧するのは、国保料引き下げのために、市町村が独自で実施している国保会計への繰り入れを禁止させるとしていることです。全国の市町村が、国保会計に繰り入れている総額に相当する3,400億円を国が追加負担するからというのが理由です。しかし、現在、全国の市町村の国保会計に3400億円が繰り入れられているとしても、高い国保料に市民・国民は苦しんでいるのです。各自治体による従来からの独自の繰り入れを廃止すれば、国による3400億円の新たな繰り入れは、それこそ、意味をなさなくなってしまいます。本市は、ヘルスアップ尼崎戦略事業で、医療給付費ののびを抑えることにより、国保料の伸びを抑える努力を行っています。それに、年間、約9億円の国保会計への繰り入れにより、国保料を軽減する努力も行っていると理解しています。しかし、高齢化や医療技術の進歩により、今後も、国保の医療給付費は増え続け、このままでは、保険料は上がり続けると考えます。現在、国保の一人当たり保険料は「年9万1千円」ですが、内閣府は、2025年には「年11万2千円」になると試算しています。国保料の高騰を抑えていくためには、国保の財政負担のあり方を変えることが不可欠だと思います。現在、国・都道府県による国保の公費負担は「給付費の50%」ですが、1984年の国保法改正まえは、定率負担と調整交付金をあわせた国庫負担は「総医療費の45%」でした。給付費に直せば6割以上でした。この間、全国知事会は、国との「国保改革」の協議の場で、「1兆円の国庫負担増」を要求しています。これが実現すれば、国保料は1人当たり3万円、4人家族で12万円の軽減となり、国保の保険料負担は協会けんぽと同水準になると知事会が説明しています。

お尋ねします。高すぎるとの国保加入者の悲鳴に応えるために、市は、国保料が高い他の自治体とも連携して、国保の国庫負担割合を大幅に引き上げるよう、強く国に求めるべきだと思います。市長のご見解をお聞かせください。

答弁

国庫負担割合につきましては、これまでから、全国市長会や近畿都市国民健康保険者協議会を通じて、早急に引き上げるよう国に要望しているところでございます。今後におきましても、引き続き機会を捕えて要望してまいります。以上

 

 現行の国保制度には、被災・事業不振など「一時的な所得激減」におちいった場合の免除制度はありますが、「恒常的な低所得」に対応する保険料の免除は行なわないことが、制度の建前となっています。また、介護保険には、生活保護基準ギリギリの所得状況にある世帯が、保険料徴収によって基準以下となる場合に、保険料免除を適用する、「境界層措置」という救済制度があるとのことですが、国保にはそうした仕組みはありません。そのため、生活保護基準以下の世帯であっても、多額の保険料がかけられて、払えないことで制裁を受けたり、生活保護基準ギリギリの境界層世帯が、保険料の賦課・徴収によって基準以下に落ち込むなど、生存権が侵害される状況が起こっているのではないでしょうか。貧困層・境界層など「恒常的な低所得」に対応した国保料の免除制度の創設が必要だと考えます。

お尋ねします。広域化に際しても、「 7割・5割・2 」の法定減額や、失業で国保に加入した人への「所得割」の軽減など、現行の減額制度も改善・拡充し、低所得者が重すぎる国保料に苦しめられる状況を打開できる制度に改善していく必要があると考えます。市長のご見解をお聞かせください。また、国および県に対しても、強く求めていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

答弁

国民健康保険料は、被保険者世帯の所得、被保険者数等に応じて賦課しており、所得が一定以下となっている世帯などについては、均等割及び平等割を、所得に応じて、7割・5割・2割軽減する措置が保険基盤安定制度において講じられているところでございます。また、被災、失業・廃業、所得激減といった事由に該当し、保険料を納めることができない場合には、保険料を減免する制度がございます。これらの保険料負担を軽減する制度については、都道府県単位化後においても、継続されるものと考えております。なお、国、県への要望につきましては、都道府県単位化後の国保制度が、国民本位の制度として安定的に運営されるよう、国の動向を注視しつつ、市といたしましても適切に対応してまいります。以上

「医療保険改革法」による「国保の都道府県化」は、市町村の一般会計からの繰入をやめさせる圧力を強めるものですが、地方自治を規定した憲法のもと、市町村独自の公費繰入を法令で「禁止」はできないというのが政府の説明です。法案審議でも、政府・厚労省は、新制度スタート後も、市町村の独自繰入は制限されず、自治体の判断で行なえると答弁せざるを得なかったということですが、当然のことだと思います。本市では、国保財政健全化、国保料引き下げのための市独自の措置として、2003年度から4億円の繰り入れを行い、さらに、2011年度からは、低所得、多人数世帯の負担を軽減するといった目的で、2億7千万円の繰り入れも計上しており、市の財政が厳しいといいながらも、9億6700万円の法定外の繰り入れを行っています。しかし、それでも、国保料が高すぎるという市民の声は止まらないのが実態です。そこで、心配なのが、国保の広域化です。

お尋ねします。広域化後も、本市が県におさめる納付金にこの約9億円の繰り入れを行い、本市の国保加入者の負担を軽減することを強く求めます。ご答弁ねがいます。

答弁

国保の都道府県単位化後における法定外の繰入金のあり方につきましては、今後示される標準保険料率や国からの保険者努力支援制度などの財政支援の動向を注視しながら、本市の厳しい財政状況も勘案したうえで、慎重に検討してまいりたいと考えております。以上

 

2013年、地方税を滞納した自営業者に対する「滞納処分」として、児童手当が振り込まれる専用口座を差し押さえた鳥取県の措置を、「違法」と断じる判決が広島高裁から下されました。また、厚労省は、国保料滞納への対応でも、公的手当が入る口座を「狙い撃ち」にするような差し押さえはできないこと、生活困窮など個々の滞納者の実情をつかみ、機械的な「滞納処分」をしてはならない旨を国会で答弁しています。これまで、ひたすら「滞納処分」の強化を訴えてきた厚労省が、こうした答弁をしたことは重要です。「国保改革」の議論のなかで、全国知事会など地方団体からは、「被保険者の多くが低所得なのに、保険料負担が重過ぎることこそ「国保の構造問題」であり、この矛盾は、国庫負担の大幅増額によってしか解決できない」ということが、たびたび指摘されています。自公政権のもと、貧困と格差が広がり、「国保の構造問題」はいっそう深刻となり、滞納世帯の増加、「資格証明書」や無保険の急増、差し押さえの横行など、さまざまな社会的被害が拡大しています。都道府県を「国保の監督者」とすることで、住民負担増、滞納制裁、給付費抑制をいっそう強化するという「国保の都道府県化」では、この矛盾は解決するどころか、いっそう拡大しかねません。低所得者が多く加入し、保険料に事業主負担もない国保を維持するのに「相当額の国庫負担」が必要であることは、国民皆保険が実現した直後、当時の首相の諮問機関である社会保障制度審議会の勧告も明言していたとのことです。 

お尋ねします。広域化するに際して、国保への国庫負担を大幅に増額し、保険料水準の全面的引き下げ、所得の低い層に対する保険料免除制度の確立、「応益割」の見直し・撤廃などの改革が必要だと考えますが、いかがでしょうか。答弁願います。

答弁

国保の都道府県単位化に際しましては、国保への公費拡充として、国が、約3,400億円の財政支援を実施することとなっております。この公費拡充には、中間所得者層を中心に保険料を軽減する保険者支援制度の拡充が含まれているなど、被保険者への財政改善効果も見込まれているところでございます。お尋ねの応益割の見直しや撤廃などの改革につきましては、国民健康保険制度は、経済的な負担能力に応じて賦課される応能割(所得割・資産割)と、保険救済などの利益を受けることに対する負担として賦課される応益割(均等割・平等割)の両方によって制度全体を支える仕組みとなっていることから、これらの見直し等につきましては、国民健康保険制度全体で議論されるべきものと考えております。なお、所得が一定以下となっている世帯などについて、応益割である均等割及び平等割を、所得に応じて、7割・5割・2割軽減する保険基盤安定制度が、都道府県単位化後においても継続されていくものと考えております。以上

 

また、「だれもが払える負担額」にしてこそ、保険料の収納率は改善し、国保財政は安定すると考えますが、いかがでしょうか。答弁ねがいます。

答弁

国民健康保険制度につきましては、財政基盤の安定化が優先課題となっております。具体的には、市町村国保が抱える構造的問題として、①低所得者の加入が多い、②加入者の年齢構成が高い、③所得に占める保険料負担が重い、などの課題がございます。そのような国保が抱える課題に対応すべく、国におきましては、国民健康保険の都道府県単位化により、都道府県が国民健康保険の財政運営の責任主体として、安定的な財政運営や効率的な事業の確保などの事業運営の中心的な役割を担うとともに、国民健康保険への約3400億円の財政支援の拡充を行い、国民健康保険制度の安定化を図ることとなったものでございます。こうしたことに加え、一定の所得以下の世帯に対して、均等割及び平等割を7割・5割・2割軽減する保険基盤安定制度といった保険料軽減策についても、都道府県単位化後も継続して措置されることから、負担能力に応じた保険料の公平性が図られるものと考えております。一方、国民健康保険の医療費は、年々増加し、被保険者の保険料負担も増加傾向にあります。本市といたしましても医療費の適正化に向けた取組を進め、保険料の収納対策等の一層推進いたしますが、国においても、国民皆保険制度を維持するため、国民健康保険制度を継続的・安定的に運営できるよう努めることが重要であると考えております。以上

 

 国保料や国保財政などから質問してきましたが、社会保障制度にかかわる市民負担は、国保料に限らず、市民生活に大きな負担にならないように、運営されることが強く求められます。

 そうしたことからも正規雇用の拡大、賃上げ、中小企業振興など、国民のくらし第一の経済政策が不可欠だと思います。こうした経済政策について、市は、具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。答弁ねがいます。

答弁

本市では、平成26年に尼崎市産業振興基本条例を制定し、「産業の振興」、「起業の促進」「雇用就労の維持創出」の3つの基本理念の元、雇用就労や中小企業の振興等に関する各種施策を実施しております。具体的には、中小企業の日々の経営相談やものづくり技術相談、金融相談のほか、展示会出展補助など中小企業の販路開拓・営業力強化に対する支援を行っております。さらに、本市の就労支援窓ロでは、正社員の求人を中心とした企業開拓や、正社員採用での求人を参加要件とした就職面接会等に取り組んでおります。また、平成27年に策定しました尼崎版総合戦略におきましても、本条例の基本理念を踏まえて、「経済の好循環と『しごとの安定』を目指す」ことを基本目標のひとつとし、企業立地促進制度など、新たな雇用の創出に寄与する事業について、より効果的・効率的な取組を推進することとしております。一方、国におきましては、賃金引き上げを伴う設備投資を行った場合に、その費用の一部を助成する制度など、企業における雇用・賃金増加の取組に対する優遇支援を行っております。今後も、こうした国等の動きや取組を事業者に対し積極的に周知するとともに、産業関係団体等との連携をさらに深める中で、より効果的な産業施策の構築に取り組んでまいります。

これで第2問目を終わります。

3問目

 「国保改革」の議論の中で、全国知事会などからは、被保険者の多くが低所得であり、国保料負担が重過ぎることこそ「国保の構造問題」であり、この矛盾は、国庫負担の大幅増額によってしか解決できないとたびたび指摘されています。貧困と格差が広がるもと、「国保の構造問題」は、より深刻になり、多くの滞納世帯を生んでいます。自公政権の「国保の都道府県化」では、矛盾は解決するどころか、一層拡大しかねません。国・県・市ともに、現在の国保料は、負担能力を超えて高いのが最大の問題点ということを共通の認識にしてほしいと強く思っています。市としても、国・県の公費負担割合を拡大するように強く働きかけほしいと願っています。広域化に際して、国保行政のかなめになる兵庫県に対して、各市町村が共通の認識のもと、共通の努力を払い、連携した取り組みにより、より良い国民健康保険制度に発展させるよう、強く願って、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

2016.12月議会での真崎一子議員の一般質問の発言です

1登壇

 日本共産党議員団のまさき一子です。今日は「尼崎市の子ども・青少年を取り巻く状況について」、「子どもの育ちに係る支援センターの機能について」、「児童館の設置について」「公立高校の通学区拡大について」質問していきます。

最初に≪子どもの貧困の原因≫についてです。

NHKの視点・論点「子どもの貧困とワーキングプア」で山形大学准教授、戸室(とむろ)健作氏がコメントされ、2つのことを言われていました。一つはワーキングプアをなくしていくこと、二つ目は社会保障の充実についてです。戸室氏によると「貧困が全国一般の問題となっていることを考えると、地域の努力と平行して、国が率先して貧困の削減を進めることが重要。国が行うべきはワーキングプアをなくしていく政策が必要。具体的には労働者の4割にも達した非正規労働者の活用を規制すること。あるいは最低賃金の金額を時給1500円以上に引き上げる対策が必要である」との見解を示しておられます。

質問します。このNHKの視点・論点の「子どもの貧困とワーキングプア」の見解をどのように考えられますか。市長の思いをお聞かせください。          

答弁

子どもの貧困問題において、経済的困窮は大きな要因の一つであり、国が策定した「子供の貧困に関する大綱」においても、当面の重点施策として「保護者に対する就労の支援」や「経済的支援」を挙げていることから、子どもの貧困対策において、就労の不安定さの解消や、自立・安定した経済基盤の確保が不可欠であると考えております。そのためにも、国と地方が役割に応じた支援を行うことが必要であり、労働形態や賃金構造等の就労に係る全体的な枠組みに関することは国が行い、個人の実情を把握し、それぞれに応じた寄り添い型の支援二は地方が行うべきものと考えております。以上

また戸室氏は子どもの貧困問題の解消について「労働条件の改善だけでなく、生活保護制度の拡充、児童手当の増額、医療費の窓口負担の無料化、働きつつ子育てができるように保育所の増設、など社会保障制度による対策も当然必要になってくる」と述べています。

質問します。市長は子どもの貧困と社会保障の充実の関連性については、どのように思われていますか

答弁

子どもの貧困対策は、「子供の貧困に関する大綱」の基本的な方針において、貧困の世代間連鎖の解消と積極的な人材育成を目指すと示されており、子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることなく、自立・安定した生活基盤の確保に向け、行政をはじめとする地域社会全体で子どもの育ちを支えることが必要であると考えております。そうしたことから、子どもの貧困対策と社会保障の充実との関連性は認識しておりますが、それに加え、子どもが自立した大人に成長するための支援も合わせた総合的な取組みが重要であると考えております。以上

次に≪「子どもの育ちに関わる支援センター」について≫です。

 尼崎市の児童虐待の相談件数が年々増加している問題です。5年前には504件の相談件数が、2015年度には1734件。3.5倍にも増加しています。虐待で犠牲になった子どもの報道により、児童相談所による「間違いでも構わないから疑わしい場合は連絡・通報をしてほしい」という市民啓発により通報件数が増えています。中には間違いだったという通報もあるでしょう、しかし深刻な状況も間違いなく増えています。年齢では、3歳未満15.9%、3歳から就学前27.9%、小学生34.5%、中学生13.4%、高校生等8.4%。主たる虐待者は、実母が68.2%、続いて実父(じっぷ)20.9%と約90%が実の親です。 種別では、ネグレクトが41.9%で全国と比べても高い、深刻な状況です。ネグレクトというのは、家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かないなどの育児放棄状態です。乳幼児であったら死に至る行為です。児童福祉法が一部改正をされ、「市町村は児童等の福祉に関し、必要な支援を行うための拠点の整備に努めることとする」となりました。それを受けて、尼崎市は旧聖トマス大学跡地に「子どもの育ちに係る支援センター」(以後支援センターといいます)が設置されます。その役割に期待されるところです。

質問します。「支援センター」をどのような規模、どのような機能を持たせるのですか?

答弁

子どもの育ちに係る支援センター・は、旧聖トマス大学の施設を改修し、本市の0歳からおおむね18歳までの子どもとその保護者を対象に、子どもの育成に関して総合的かつ継続的に切れ目なく支援する拠点として、それにふさわしい規模で設置していきたいと考えております。子どもの育ちに係る支援センターは、子どもや子育て家庭の相談をワンストップで受けられる総合相談窓ロを設けるとともに、既存の福祉、保健、教育の関係所管課の機能を集約して、発達相談支援、児童虐待を含めた家庭児童相談、教育相談・不登校対策支援の専門相談支援機能を有するものとして整備し、専門職や関係機関との連携を図っていきたいと考えております。さらに、セキュリティ対策を講じた上で、子どもの生育歴等の記録を一元的に把握する電子システムを構築し、子どもや子育て家庭が抱える多様な問題に対応していきたいと考えております。以上

次に《青少年施策の今後の方向性について伺います。》

私が経験した事例を報告します。1月の寒い日の早朝4時ごろ私が自宅マンションのエントランスに行くと、10人以上の中学生が肩を寄せ合ってたむろしていました。6時にもう一度エントランスに行くと、今度は5・6人の子どもが寒さに震えていました。私はなぜこんなに寒いのにこんなところにいるのか、と聞きました。すると男の子が「家ないねん」えっと聞き直すと、「おかんもおとんもいないねん。死んだ」という言葉に私は後の言葉が出ないほどショックでした。その子が言った言葉が本当とは思いませんが、子どもが「家がない親が死んだ」と言う、家に居場所がない状況にせつなくなりました。また、長期間の休みに入ると一晩中街中を徘徊する、コンビニや公園にたむろする子ども達がいます。行き場のない子どもたちが安心して過ごせる居場所が必要です。現在尼崎市には青少年センターがあります。音楽やスポーツ、読書、学習とおもいおもいに小中高校生たちが団体でまたは個人でも活用しています。「青少年施策の今後の方向性について」の中で、旧聖トマス大学の施設活用として、青少年センターの機能を移転し、学生会館・図書室に、青少年の交流、演劇やダンス、音楽などの活動や発表会、学びの場とする。また拠点施設だけでなく、各地域の公共施設を利用した事業を実施するとともに、地域と共同事業や地域が行う様々な事業の助言を行う。とあります。私はそれはそれでよいと思います。しかし今求められているのは、イベント等を主とする施策ではなく、どの子も一人でも参加できる子育て、地域性、福祉的、教育的な視点をもつ、日常的な遊び場や居場所です。

質問します。青少年施策の今後の方向性の中にも示されているように、「小学生だけでなく中高生や、中学卒業後進学も就職もしていない子、高校中退者、ひきこもりの青少年等、様々な子どもが、参加しやすいものになるようにする」この課題をどのように具体化していくのですか?また、私が経験したような家に居場所がなく公園やコンビニにたむろする青少年にどのように安心できる居場所を提供していくのですか?

答弁

青少年施策の拠点施設に位置付けることにしている旧聖トマス大学の学生会館等は、さまざまな青少年を対象にした事業を実施するだけでなく、居場所としても活用することにしております。また、各地域の公共施設においても、各施設の特性を生かした青少年の居場所づくりに努めていくことにしております。こうした青少年の居場所づくりにつきましては、単に場を提供すればよいのではなく、こどもの育ちに係る支援センターをはじめとした関係機関と連携することにより、まずは家庭訪問等による青少年への働きかけが大切であると考えております。また、その居場所におきましても、さまざまな相談を受けるとともに、一人ひとりに応じた支援を行う機能を有することが必要と考えます。

答弁

ご質問にありました「青少年施策の今後の方向性」につきましては、現在、市として「子どもの育ち支援・青少年施策の今後の方向性」を取りまとめているところであり、その中で記述しているものでございます。この内容につきましては、先般、市の付属機関でございます青少年問題協議会でご協議いただいたもので、こうした議論を踏まえ、来週の健康福祉委員協議会においてご説明し、ご協議いただく予定にしております。この方向性におきまして、「青少年施策に係る具体的な事業の企画立案に当たっては、さまざまな青少年が参加しやすいものになるよう配慮する」としております。青少年施策の展開に当たりましては、青少年と同じ目線に立ち、また支援する場合には専門家による支援よりも、寄り添い型の支援が有効と考えております。こうしたことから、拠点となる旧聖トマス大学の学生会館等の運営につきましては、青少年の健全育成を専門とする団体への委託化などを検討しており、具体的な事業の企画立案に当たりましては、そうした団体などとどのように取り組むのがよいか協議しながら進めてまいりたいと考えております。以上

≪公立高校の通学区域拡大についてです≫

今年3月に2回目の高校通学区域拡大後の受検がありました。県教委が行った全日制高校の新入生等を対象として実施した「通学区域実施に関するアンケート結果」(以下アンケートと言います)の結果を踏まえて質問します。アンケートによると、今年度の複数志願選抜合格者では、尼崎から他都市の高校に入学した生徒は合計104人。反対に他都市から尼崎への入学者は合計317人です。2年前までの尼崎単一学区であれば、その差213人が尼崎の公立高校に入れたということになります。ちなみに2015年度は232人が尼崎の公立高校に入れませんでした。昨年・今年と合わせて445人の子どもたちが、尼崎市の公立高校からはじき出されたということです。 昨年の同時期に私は教育長に「尼崎の子が尼崎の公立高校からはじき出される現状に対してどのような対策を立てるのか」とお聞きしました。教育長は「県教委に尼崎の公立高校の学級数の増を申し出ている」と答弁されました。しかし公立高校の学級数は増えていません。定員は据え置かれたものの、他市からの生徒で埋まっただけでした。尼崎市の子どもには何の恩恵もありませんでした。

質問します。①今年度は尼崎市の213人の子どもが、尼崎の高校には入れなかった。2年続きの状況をどのように受け止めておられますか。教育長は公立高校の学級数を増やすことを県に求めると答弁されました。しかしその要望は叶えられませんでした。今年はどんな対応をされるのですか?

答弁

公立高等学校の募集定員につきましては、公立中学校の卒業予定者数を基に、中学3年生の進路希望者数も参考として、兵庫県教育委員会が決定しております。本市といたしましては、新通学区域になって以来、毎年、進路動向や進路希望調査をもとに、県教育委員会に募集定員の増加を要望してまいりました。その結果、平成27年度については、40人の増となり、それ以降も卒業予定者数が減少する中、同数の定員を確保しているところでございます。来年度以降につきましても、引き続き、希望者に見合った募集定員を県教育委員会に要望してまいります。以上

答弁

今年度の高校入試における結果につきましては、全日制国・公立高等学校への進学率が64.2%であり、昨年度と比べて、2.5ポイント上昇するとともに、学区再編前の3年間の平均進学率とも大差ない状況になっております。また、学区再編の初年度に見られた志望校の偏りも、緩和されてきたところです。これらのことは、各中学校が、昨年度の進路結果や収集した高校の情報に基づいて、個に応じたきめ細かな進路指導を行った結果であると考えております。以上

これで第1問目を終わります。

2登壇

第2問目の初めは≪尼崎市の子どもを取り巻く社会的状況≫についてです。

 「H28年度第1回尼崎市子ども・子育て審議会」の開催にあたって提出された資料では、「尼崎市の子どもを取り巻く状況は、多様化し、複雑化、深刻化している。また関係する機関も多種多様で、機関単独による対応で解決するのは困難なケースが増えている」とありました。 最初に、子どもを取り巻く状況について、個々に聞いていきます。 一つは尼崎市の就学援助についてです。就学援助認定は、2015年度は小学校では23.3%であり、中学校は28.6%、小中学校あわせると25.0%であり、4人に一人が就学援助を受けています。全国の15.4%と比べても10ポイント高いことがわかっています。二つ目は、児童虐待の問題です。特に尼崎市の特徴は、ネグレクトが41.9%を占めています。

質問します。尼崎市の虐待相談数が、近年急増していること、特にネグレクトが多いことについてはどのように分析をされていますか。またどのような支援が必要なのでしょうか?

答弁

虐待相談が増加している要因としまして、児童虐待防止に係る広報啓発やマスコミ等の報道により、市民や関係機関の児童虐待に対する意識の高まりに伴う通告の増加や、DV事案に係る警察からの通報の増加等があげられます。

要保護児童対策地域協議会では、今年9月から11月にかけて、全ての相談ケースの見直しと再評価を行ったところ、「虐待の恐れがある」としたものが、全体の約6割を占めております。こうしたケースは、現に虐待の発生は見られないものの、学校や保育所をはじめとした各関係機関において、虐待予防や早期発見の視点を持って、子どもや保護者の様子を注意して見守り、必要に応じて支援に努めているところです。

なお、子どもへの無関心や安全面、養育面等の配慮が不十分である場合には、虐待が起こる可能性があるという視点で評価を行っているために、本市では特にネグレクトの割合が高くなっているものと思われます。こうしたネグレクトは、保護者や子どもに「今の生活状態が良くない」とか「困る」という認識が乏しいことなどから、不適切な生活環境や課題認識が改善しにくいことがあります。そのため、まず相談の際に、当事者の気持ちを受け止め、信頼関係を構築したうえで、不適切な状況を丁寧に伝え、改善の方法を提示したり、福祉制度等も活用した支援を行います。また、必要に応じて個別ケース検討会を開催し、様々な職種からの視点を交えて支援の協議を行うなど、関係機関で連携を図りながら、適切な対応に努めているところです。

三つ目は、子どもの発達障害についてです。児童生徒の発達障害等の状況は、学習障害、注意欠陥多動性障害、高機能自閉症等、教育的支援が必要な児童生徒は小学校では概ね横ばいですが、中学校では年々増加傾向であり、5年前と比べると約2倍に増加しています。

発達障害は3歳の乳幼児健診では発見しにくく、4・5歳で発見されることが多い、早期発見、早期対応は適切な教育に効果があると言われています。なぜ中学校で発見され対応が遅れるのか大変疑問に思います。

質問します。発達障害児童の早期発見、早期支援につなぐための対応はどのように考えておられますか?

答弁

現在、発達障害につきましては、1歳6か月児や3歳児健診において早期発見に努めており、また保護者や保育所、幼稚園等の関係機関から相談のあった幼児を対象に、臨床心理士による発達検査を含む専門相談を実施しております。加えて、親の困り事に対しては、子どもの具体的な係わり方についてペアレントトレーニングに参加していただき、支援を行っております。一方、療育が必要な幼児については、専門の療育機関等を紹介するとともに、保護者の希望をふまえ、在籍する保育所や幼稚園へ情報提供が必要な場合は、連絡票を作成し、連携支援に努めています。就学について不安がある保護者に対しては、教育相談・特別支援担当が実施している就学相談を紹介し、円滑に相談できるように連携を図っております。以上

4つ目は、不登校の児童生徒が多い問題です。年間30日以上欠席した不登校児童生徒は、2015年度は小学校120人、中学校では407人であり数年概ね横ばい状態ですが、全国と比べると約1.4倍高く推移しています。不登校は子どもの意思だけでなく、虐待や貧困にも関連することがあります。以上が、子ども子育て審議会で出された、子どもを取り巻く状況です。これらの事から、子どもの生きていくうえでの困難は、子どもだけの問題でなく家族も同時に、出口のない状況の中で孤立しています。この問題は尼崎市で最優先に取り組むべき重要課題だと思います。

質問します。支援が必要な子どもと共に、親の生活状況、成育歴も含めた丁寧な聞き取りや実態把握が必要だと思いますがいかがですか?子どもと親の「助けて」という声なき声をきちんと聴きとることが救済の第一歩だと思いますがいかがですか?

答弁

本市の家庭児童相談室では、子どもに関する様々な問題に対して、家庭や関係機関等からの相談に応じていますが、不登校や児童虐待をはじめとした要支援の子どもの問題の背景には、家庭環境や社会環境、個人固有の課題が要因となっていることも考えられることから、相談の際には、子どもだけでなく保護者の状況等も丁寧に聞き取り、当事者の気持ちに寄り添って、効果的な支援に努めているところです。以上

次は≪支援センターの機能について≫です。 

 NHKスペシャル「消えた子どもたち」の取材班が児童福祉関係機関を対象にアンケート結果をまとめました。その中で事件になって社会に表面化するケースは一握りだということが改めて分かったとありました。その中には経済的に困窮して働き詰めとなった母親が、うつ病などの精神疾患となり、育児も家事もできない状況に陥り、洗濯も入浴もままならなくなる。子どもは不衛生になり、学校に行っても臭いと言われていじめられ、家にこもるようになる。しかし親はそれを改善して送り出すことができない。家はごみ屋敷になり、親も子も困っているのに助けを求められないまま孤立していく、こんなケースが多くあった。ネグレクトを含む虐待には、親の病気と貧困が関連しています。子どもの不登校や学力低下にも強く影響します。尼崎市もそんな状況があると危惧しています。

質問します。様々な問題が絡み合った生活困難な子どもが多い中、支援センターには複合的な問題に対応できる人の配置と、人員の確保が必要です。どれくらいの専門職と人員の確保を考えておられますか?

答弁

現在、準備を進めております、子どもの育ちに係る支援センターでは、複数の困難な事情を抱える子どもや子育て家庭を総合的かつ継続的に支援するため、児童福祉司や臨床心理士等の資格を有した専門職員の確保が、必要不可欠であると認識しております。このため、現在、他の先進自治体の類似施設を参考にしながら、多様な市民ニーズに対応できるよう、具体的な事業等の検討を行う中で、官民の役割分担を行うなど、効果的かつ効率的な人員体制について、検討を進めているところです。以上

尼崎市の「支援センター」としての、機能を発揮できるということは、子どもの状況が良くわかることになり対応も早くなると期待しています。しかし支援センターは事態が起きた後の対処であり、根本的な解決にはなりません。先ほど市長にお聞きした、労働者の働き方、処遇の改善や社会保障の充実を行っていくことが肝心です。

次は《児童館の設置について》

児童福祉法の第40条に、「児童厚生施設とは、児童遊園、児童館等児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、又は情繰をゆたかにすることを目的とする施設。」厚生労働省の調査によると、2012年3月31日現在、全国で4,652の児童館があります。2002年までは、尼崎市は子どもたちの身近に、児童館が市内12館ありました。それが小学校内に子どもクラブを設置することで、すべての児童館をなくしてしまいました。児童館は0歳~18歳までの子どもが利用でき、午前中は就学前の親子教室を行い、放課後の小中高校生の遊び場、居場所として利用していました。小学生が幼い妹弟と一緒に遊びにきたり、それに中学生が加わり異年齢の子どもが一緒に遊んでいました。子どもと職員や地域の大人がふれあい、やんちゃな子どもに注意をしたり、叱ったりできる関係を築いていました。しかし児童館がなくなり、中高生の行き場がなくなってしまいました。先日、退職された元児童館長さんが「児童館をなくしたことが、中学生の居場所を奪ってしまった。悔やまれてしかたない」と心痛めています。今の時代だからこそ、子どもには安心して過ごせる、居場所が必要であり、注意ができる地域の大人と子どもの関係が非行や犯罪から守ることができると思います。

質問します。子どもたちの身近に、児童館のような日常的に遊べる場所、ほっとできる居場所の設置が必要と考えますが、いかがですか?

答弁

1問目でご答弁しましたとおり、中高生等の居場所につきましては、旧聖トマス大学の学生会館等を活用することにしております。また、各地域におきましても、既存の公共施設を、各施設の特性を踏まえながら、中高生等の居場所として活用してまいりたいと考えております。以上

最後は≪公立高校の通学区拡大について≫です。

県教委が示したアンケートでは第1~第5学区では、尼崎のように地元の高校に入れなかった子どもが200人以上になったのは尼崎と明石市だけでした。尼崎と同じように明石市からはじき出された子どもたちが昨年は303人、今年268人もいました。尼崎市を含む第2学区では、尼崎の生徒は近隣都市への入学は少ないのに比べて、伊丹、西宮市の生徒たちが大勢入学しています。特に西宮の生徒は尼崎と宝塚に行っています。その為に公立高校に入学した生徒が西宮単一学区だった時より214人多く入学出来ています。このことは西宮市には公立を希望する子に比べて高校が足りないということです。高校学区拡大以前まで西宮市は「高校を増築せよ」の声がありました。しかし学区拡大でその声がなくなりました。他都市の公立高校へ入れたからです。その反面で尼崎市では公立高校に入れない生徒が続出しています。こんなに不甲斐ないことはありません。競争社会だから仕方ないで済まされる問題ではありません。教育長は、「子どもたちの行きたい学校を選ぶ選択肢が広がった」と言われましたが選択肢が広がったのは西宮市の生徒ではありませんか。私は1年前の議会で、尼崎の子どもにとって、学区の拡大がよかったと考えているのか、と質問しました。教育長は「学区再編により、公立高等学校もそれぞれの魅力や特色を打ち出しており、生徒にとっては、多様な高等学校の選択ができるようになった。今後についてはより一層の学力向上と進路指導の充実に取り組むことで、多くの生徒が自分の能力や適性に合った進路が実現できるように、さらに取り組みを強めていきたい」と答弁されました。しかし2年続きで200人以上の生徒たちが公立高校からはじかれています。このままの対策ではこの状況は変わるとは思えません。

質問します。公立高校の通学区域拡大は、元に戻すべきです。県教委に見直しを求めてほしいと思いますが、教育長の思いをお示しください。

答弁

先ほども申しました通り、今年度は、全日制国・公立高等学校への進学率が上昇するとともに、学区再編初年度にみられた志望校の偏りが緩和されております。また、本市から他市町の公立高等学校への進学者数が、昨年度に引き続き増加し、他市町から本市の公立高等学校への進学者数も増加したことから、「学びたいことが学べる学校を選ぶ」という学区再編の趣旨に基づいて、多様な高等学校の選択が進んだものと考えており、県教育委員会に見直しを求める考えはございません。以上

これで第2問目を終わります。

3登壇

  通学区拡大について日本共産党は、尼崎の子どもが公立高校からはじき出されると言い続け、この制度には反対してきました。学校現場では、生徒と先生はがんばっています。しかし競争率がますます激しくなっている、尼崎の高校に入れないのが現実です。高校進学率は98%、ほとんど義務教育化しています。今の時代に生徒が目の前にある公立高校に入れないというのは、大きな矛盾です。よってこの制度は元に戻すべきです。これで私のすべての質問を終わります。

2016.12月議会での松沢ちづる議員の一般質問の発言です

 

1登壇

 日本共産党議員団の松澤千鶴です。私は、高齢者の社会的孤立の問題、来年からはじまる介護予防・日常生活支援総合事業、障害者移動支援事業について質問します。

 まず、高齢者の社会的孤立についてです。

国は、団塊の世代が75歳以上になる2025年を目途に、重度な介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、また、今後増加が見込まれる認知症高齢者が、地域で生活が続けられるためにも、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される地域ケアシステムを構築することが重要だとしています。そして、このシステムは、介護保険の保険者である地方自治体が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じてつくりあげていくべきだとしています。しかし、私は、ここで疑問を感じています。介護保険からの切り口だけで、果たして人生の最後まで支えるシステムができるのかという疑問です。介護保険は自らあるいは周りの人が要介護認定調査を申請するのが入口です。自ら申請しない、周りも気づかない社会的孤立した高齢者が現実にいるではないか、そこにどのような手立てが必要かという問題意識を持っています。

 まず、おたずねします。尼崎市の65歳以上の1号被保険者数に対する要介護認定者の比率、また、認定を受けた方の何割が実際に介護保険サービスを受けているのかお答え下さい。

答弁

平成28年3月末における第1号被保険者123,967人のうち、21.18%の26,251人(要介護i16,539人、要支援9,712人)が要介護・要支援の認定を受けています。また、認定者のうち、介護保険サービスを利用されている割合は、81.560%となっております。

 

 尼崎だけでなく全国で、高齢者の一人暮らし世帯や高齢者夫婦世帯で、死後相当日にちが経って発見される悲惨な孤立死が発生しています。高齢社会白書という政府が毎年国会に提出する年次報告書の2010年版では、次のように言っています。「高齢者の孤立死問題については、例えば東京23区において年間2000人程度自宅で死亡しているが、この多くが孤立死であるとする調査研究や、これに基づく推計によれば全国で年間15,000人程度の高齢者が死後4日以上を経て発見されているとする報告もある。また、前述の調査では『誰にも看取られることなく、亡くなった後に発見されるような孤立死が身近な問題だと感じる人』の割合は、60歳以上の高齢者の4割を超え、ひとり暮らし世帯では6割を超えている。」そして、「孤立死は人間の尊厳を損なうものであり、死者の親族、近隣住民や家主などに心理的な衝撃や経済的負担を与えることから、孤立死を、生存中の孤立状態が死によって表面化したものだと捉え、社会的孤立を問題として受け止めるべきだ」としています。

 おたずねします。尼崎での高齢者の孤立死について、これまで調査研究がありますか。

答弁

孤立死の実態については、現在、警察が死体検案を行った件数等を公表していないことから、調査・把握できておらず、その傾向も不明ですが、孤立死を一人でも少なくするため、高齢者の見守り活動や民生児童委員の友愛訪問など、地域での見守り体制の充実が大事であると認識しています。以上

次に、2010年度版白書では社会的孤立に陥りやすい高齢者の特徴について、①ひとり暮らし世帯、②暮らし向きが苦しい、③健康状態がよくないことを挙げています。尼崎の状況はどうでしょう。30年以上高齢者と貧困の問題を研究されている明治学院大の河合克義教授は、「ひとり暮らし高齢者出現率」という指標を使っておられます。都市や農村など生活する場所が違っても、比較できる数字のようです。その地域の65歳以上の高齢者を含む世帯に対する65歳以上のひとり暮らし世帯の割合を「ひとり暮らし高齢者出現率」とされています。すでに2015年の国勢調査の結果が出ていますので、そこから「ひとり暮らし高齢者出現率」を算出できると思います。

 おたずねします。尼崎市の「ひとり暮らし高齢者出現率」はいくらでしょうか。近隣市に比べてその値は高いか低いかお答えください。

答弁

65歳以上の高齢者を含む世帯に対する65歳以上のひとり暮らし世帯の割合につきましては、総務省が公表している平成27年度の国勢調査結果から計算しますと、本市では34.78%となっております。また、近隣市との比較では、兵庫県下では、神戸市の36.04%の次に高く、全国平均の27.30%及び兵庫県平均の29.38%よりも高い割合となっております。以上

 次に、所得についてお聞きします。

2015年の国勢調査によれば、市民の平均所得は309万円です。ちなみに伊丹市は327万円、西宮市は419万円、宝塚市401万円です。近隣市に比べて市民所得が低いことが尼崎市のひとつの特徴です。では、高齢者はどうでしょうか。1号被保険者の介護保険料の階層別人数でそれをみることができます。1号(65歳以上)被保険者の介護保険料で「基準額」とされている第5段階の所得は、世帯に課税者はいるけれど本人は市民税非課税で合計所得金額と公的年金などの収入の合計が80万円以上です。本人だけの収入では生活が苦しく、家族の収入に頼る階層といえるので、第5階層から下のランクが「暮らし向きが苦しい」人たちと見ていいと思います。

 おたずねします。1号被保険者の第1から第5段階までに占める人数、割合をお答え下さい。

答弁

平成27年度における介護保険料の第1から第5段階の調定人数につきましては、87,241人となっています。また、全段階の総人数のうち、この保険料第1から第5段階の占める人数割合につきましては、約65%となっています。以上

 続いておたずねします。尼崎市は、社会的孤立防止の対策にもなる見守り安心事業を行っています。また、いきいき百歳体操や高齢者ふれあいサロン事業を行っています。

現に実施されている見守り安心事業の対象世帯数と人数、いきいき百歳体操や高齢者ふれあいサロン事業の参加人数をお答えください。

答弁

見守り安心事業は単身高齢者や高齢者のみの世帯を対象としており、現在実施している40地区の対象者は住民基本台帳上で、平成28年12月1日時点で約25,100世帯、約34,500人で、そのうち見守り希望登録者については、約3,300世帯、約4,300人となっております。「いきいき百歳体操」は平成28年11月末日時点で70のグループが活動しており、約1,400人の方が参加されております。また、「高齢者ふれあいサロン」につきましては、本年10月から新たに事業実施しているもので、実績報告を受けてはおりませんが、平成28年11月末時点で65か所で実施されており、約1,000人の方が参加見込みとなっております。以上

 次に、介護予防・日常生活支援総合事業についてお聞きします。市は生活支援サポーターの養成を来年度から始めるとしています。とりあえず現状の要支援の方の状況から900人程のサポーターが必要だと考えられているようですが、先行実施している他の自治体でも、サポーター養成は、まだ手が出せていない状況です。暫定期間の2年で充足できない場合が想定されると思いますが、この場合でも要支援の方からはサービス提供は求められるので、ヘルパーさんが行くことになるでしょう。

 おたずねします。サポーターが充足できず有資格のヘルパーが生活支援を行っても、報酬は2018年には90%、2019年には80%に削減するつもりでしょうか。

答弁

生活支援サポーターが主たる従事者となる「標準型訪問サービス」の報酬設定につきましては、従来の介護予防訪問介護のサービス単価を参考にしつつ、業務内容を容易な家事支援に限定し、専門性の軽減と業務量の減量化を図る中で、新たな業務に対する新たなサービス単価として設定しております。そのため、「標準型訪問サービス」の報酬単価については、従来の単価を減額するという考えではなく、その単価設定については業務内容に応じた新たな報酬水準であると考えております。その中で、標準型訪問サービスに専門資格を有する訪問介護員が従事した場合の2年間の経過措置につきましては、事業者の負担軽減に配慮するとともに、必要なサービス提供体制の確保と、円滑な事業移行を目的にあくまで特例的に実施するものです。総合事業において、新たな担い手の確保とサービス提供の仕組みづくりは、制度の持続可能性を高めるための必要な取組みであり、本市といたしましては、近隣他都市とも連携を一層密にする中で、経過措置期間中に目標を達成することができるよう、生活支援サポーターの養成に全力で取り組んでまいります。以上

 次に、障害者の移動支援事業についてお聞きします。

日本は、2014年国連加盟国193カ国ある中で140番目にやっと「障害者の権利に関する条約」に批准しました。この条約の締約国は、「全ての障がい者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を有することを認めるものとし、障がい者がこの権利を完全に享受し、並びに地域社会に完全に包容され、及び参加することを容易にするための効果的かつ適当な措置を取る」ことが求められています。また、条約の20条では、個人の移動を容易にするための措置をするよう求められています。本市では国が条約を締結する以前から、障害福祉サービスについては当事者と市の話し合いをベースに進められてきました。そして、他市にはない障がい者が社会参加しやすい体制が創り上げられてきました。そのひとつが移動支援事業です。買い物や映画鑑賞、散歩、観光、行事参加など障害があるがために自分ひとりでは自由に参加できない部分を支援するものです。ところが、市は2年前「行き過ぎを是正するため」だといって、毎月サービス事業所が報酬請求のために提出する「サービス提供実績記録表」に、移動先を明記するように見直しを行いました。そして、記入された内容によっては請求が却下される事態が出てきました。

 おたずねします。当事者のみなさんの中には『なぜ障がい者は外出先まで書かなければいけないのか。プライバシーの侵害だ』と批判的意見が当然あります。障害者の権利に関する条約の主旨からいっても、移動先の記入を求めることはやめるべきです。いかがですか。

答弁

移動支援事業の実施にあたり、各利用者の利用状況等を必要な範囲において把握し、請求審査を行うことは、制度運営上、必要なものと考えており、「障害者権利条約」の趣旨に反するものではないと考えています。また、この制度運用にあたっては、平成26年12月に開催した事業者説明会などにおいても、その旨を説明し、ご理解を求めているところでございます。以上

 今議会健康福祉委員会の協議会案件にあがっている移動支援事業支給決定基準案、いわゆるガイドライン(案)には、報酬単価の変更つまり報酬削減が提案されています。当局に事前に説明を求めたところ理論的には整合性が保たれているとのことですが、障害支援区分4・5・6いわゆる中重度の肢体不自由の方を支援するある事業所が試算をされました。対象者は長く座位が保てなかったり、トイレが外出先では困難だったりするので、多くが1回1~2時間程度の利用です。Aさんの場合月16回利用で報酬差額-38,200円、Bさんは月15回の利用で-30,200円、いずれも現行の37~40%カットです。事業所責任者は「今でも職員は低賃金で働いている。更に報酬削減では、人材確保が困難になる。サービスを求める障害者に必要な対応ができなくなる」と衝撃を隠せません。

 おたずねします。大幅な報酬単価削減です。これで果たしてサービス事業所が運営して行けるのでしょうか。当局の考えをお聞きします。

答弁

移動支援事業の報酬単価の見直しに当たっては、重度の障害者が本来利用できる障害福祉サービスへ移行していただけるよう、重度知的障害者や重度精神障害者の移動を支援する「行動援護」サービスに従事するヘルパー専門研修が未受講であるヘルパーがサービスを実施した場合の報酬単価を参考に、ヘルパーに支払われる時給の約2倍となるよう想定して、新たな単価を設定しています。また、厚生労働省が実施した「平成26年障害福祉サービス等経営実態調査」においては、行動援護サービスの報酬に対する給与費の占める割合が68.4%であることに対し、新たな単価設定では50%程度となることから、事業所の運営は可能であると判断したものです。なお、この単価につきましては、当事者団体や事業者の代表が参加する自立支援協議会で協議を重ねて設定したものですが、委員からは、事業所の経営に影響を与えるといった懸念や、その準備期間を考慮する必要があると意見が出ましたことから、報酬単価の見直しにあたりましては、平成29年度下半期から実施することとしたものでございます。以上

 これで第1問を終わります。

第2登壇

 高齢者の社会的孤立の問題から続けます

答弁から分かったことをまとめてみます。2015年国勢調査で尼崎市のひとり暮らし高齢者は28,903人、ひとり暮らし高齢者出現率は近隣市に比べて高く、34.8%です。ひとり暮らしの高齢者がたいへん多いということがわかりました。 暮らし向きについては、1号被保険者の65%が第5段階以下ということでした。尼崎の高齢者は低所得者がたいへん多いことが分かりました。 健康状態についての尼崎の特徴は、これまでの健康増進課のまとめなどで平均寿命が全国より短い、がん死亡が多いなど聞いており、決して健康的だとは言えません。これらの状況を見ると、総じて尼崎の高齢者は社会的孤立に陥りやすい条件がそろっていると言えます。それなのに介護保険のサービスを利用している人は、65歳以上の14.7%だけ。また、高高齢者等見守り安心事業で把握されている高齢者は40地区で4,339人、見守り登録希望者の12・5%のみです。行政として把握できている量が少なすぎるのではないでしょうか。

 介護保険は自ら声を上げられる人にとっては利用しやすい制度ですが、社会的に孤立した声をあげない人にとっては、制度との距離が大きいものになっています。また、介護保険制度の導入によって、高齢者福祉の行政サービスの大部分は民間事業者に委ねられました。地域包括ケアシステムの要となるべき地域包括支援センターは、12ヵ所すべてが民間委託です。地域の支え合い活動は、地域活動専門員もサポート事業も社協がやっています。

 おたずねします。市の役割は、これらを有機的に繋げるものだ言われるかもしれませんが、行政として、社会的に孤立した高齢者の声なき声を把握する力が弱まっているのではないですか。この点について、市長はどのように認識されていますか。見解を求めます。

答弁

社会的孤立状態にあることで支援に結びついていない高齢者等の早期把握は、課題の深刻化等を防止する観点からも大切なことだと考えております。しかし、超高齢化社会が進展する中、要援護者の増加や課題の複雑化などを背景に、行政職員だけでこれらの課題に対応することは年々困難になっております。このため、民生児童委員による友愛訪問や、高齢者等見守り安心事業による見守り活動のほか、ふれあい喫茶や百歳体操等の身近な通いの場における、ゆるやかなつながりを通じた見守り活動など、地域の人々による様々な支え合い活動を行政として支援してきました。また、こうした取組のほか、新聞や宅配事業者等との見守り協定の締結や、地域包括支援センターの総合相談などにより、重層的な支援体制を構築してきました。今後は、平成30年1月に設置予定の(仮称)保健福祉センターを中心に、保健と福祉の連携による総合力と、専門機関による、さらなる総合的な相談支援のネットワーク体制の構築を行い、地域の支え合いの取組との連携を深める中で、生活・福祉課題を抱えて社会的に孤立状態にある高齢者の把握と支援に取り組んでまいります。

 東京都港区の実践を紹介します。

ここはひとり暮らし高齢者出現率が2015年41.6%で、尼崎市よりひとり暮らし高齢者の率が高い自治体です。2011年から2012年にかけて港区のひとり暮らし高齢者に対する実態調査、75歳以上の高齢者を含む2人世帯への実態調査を実施し、分析した結果、孤立し声をあげないひとり暮らし高齢者の存在、とりわけ、いろいろな制度を一切利用していない人が問題になりました。また、家族と同居の世帯は地域の目が届きにくく、支援が必要な世帯が少なくないことが分かりました。港区は対策として、介護保険や福祉サービスを全く利用していないひとり暮らし高齢者と75歳以上の高齢者夫婦世帯を対象に、11名の「ふれあい相談員」が1軒1軒訪問して区の福祉サービスに繋げるなどの支援を行っています。ひとり暮らし高齢者だけでも12,900人いる港区でたった11人の相談員では活動に限界はあるものの、相談員が入ることによって、地域住民が安心して問題を抱える高齢者と関わりを持つことができるようになったと報告されています。また、住民の主体的活動を束ねる社協職員からは、ふれあい相談員という専門的サービスの底支えができて、住民活動がやりやすくなったと述べています。支え合い地域ネットワークづくりの重要なポイントになるのではないでしょうか。

 尼崎市も、介護保険などを何も利用しない社会的孤立の高齢者を訪問し、必要なサービスにつなぐ相談員制度をつくるべきではないでしょうか。今後の施策として、港区のような相談員制度をつくる必要性についての市長の見解をお聞きします。

答弁

地域包括支援センターの機能のひとつに高齢者の総合相談業務があり、これまでから、地域のケアマネジャーや社協職員、民生委員等の関係機関と高齢者を地域で支える連携体制の構築に努める中で、社会的孤立状態にある高齢者について、当人から相談がなくても、地域の方や関係機関等から相談があった場合は、センターの職員が訪問等により状態を確認し、必要な支援に繋げる活動を行っております。さらに、行政の取り組みとして民生委員に要援護独居高齢者リストを提供し、単身高齢者宅へ訪問活動をしていただくほか、ふれあい喫茶などの小地域福祉活動への参加を促すよう実施地域にお願いするなどしており、引き続き、これらの取組を重層的に進めてまいります。以上

 次に介護予防・日常生活支援総合事業について伺います。先ほどの答弁では、生活支援サポーターが充足できずヘルパーさんが支援すると、2019年には報酬が80%にカットされるとのことでした。

 おたずねします。サポーターの養成に責任を持つのは尼崎市であり、ヘルパー事業所には何の責任もありません。それなのに、どうして事業所の報酬削減になるのですか。理不尽です。市の責任はどう果たすのですか。

答弁

第1問目で先程もこ答弁申し上げたとおり、標準型訪問サービスの報酬単価については、従来の単価を削減するものではなく、新たな業務内容に応じた新たな報酬単価を適正に設定するものであり、現行の報酬水準を維持する考えはございません。しかしながら、総合事業の開始時点においては、生活支援サポーターが充足するまでの間、有資格者の訪問介護員が主たる従事者になる状況を考慮し、事業者の負担軽減に配慮する取組みとして2年間の経過措置の実施を予定しているところでございます。介護サービス事業者に対しては、今後とも説明会等を通じて、本市の総合事業の実施目的や事業内容等について十分に説明を行い、事業に対する理解を深めてまいりたいと考えております。以上

 いくつかの事業所から聞く話ですが、現状として、規模の大きい事業所はなかなか要支援の方のサービスを引き受けない。小規模程、要介護のケース紹介が少なくて、いや応なく要支援者のサービスを引き受けているとのこと。機械的に報酬を2018年90%、2019年80%にカットしていくようでは、要支援の方の生活支援を引き受けている小規模事業所は経営悪化で、消えてしまう危険性があります。そうなれば、尼崎の介護の必要量が保てません。

 おたずねします。サポーターの養成が充足するまでは、せめて報酬削減分を市の一般会計から補てんする、などして現行報酬額を維持し、市の責任を果たすべきです。市長の見解をお聞きします。

答弁

行動援護の資格要件につきましては、行動援護従業者養成研修を修了した者で、知的障害者又は精神障害者の直接業務に、ヘルパーについては1年以上、サー一ビス提供責任者については3年以上の従事経験を有するものとされています。このため、平成28年12月22日に開催する予定の事業者説明会におきまして、研修の受講を促していきますが、最近の県内における養成研修の開催状況をみますと、年度の上半期において、概ね3日間程度のカリキュラムとなっていることから、新制度の運用を開始する平成29年度下半期までに体制を整備していただくことは可能と考えております。また、重度の肢体不自由の方に対する報酬単価につきましては、ヘルパー要件について、重度訪問介護研修等の受講を条件としていないことから、重度の肢体不自由以外の障害種別の方と同様に、「行動援護」のヘルパーの専門研修受講を義務としない報酬単価を設定しております。第1問目でも答弁しましたが、報酬単価につきましては、当事者団体や事業者の代表等が参加する自立支援協議会において、約2年間にわたり協議を重ねてきたものでございます。以上

 次に、障害者移動支援事業についてです。「サービス提供実績記録表」への移動先の記入は求めず、これまでから培ってきた障害者関連団体との話し合いによる信頼関係の中で、「障害者の権利に関する条約」の理念に則った円滑な移動支援事業の展開を図ることを求めます。報酬削減については、国・県が合わせて75%を負担する介護給付サービスである行動援護への誘導を進めようとされていますが、このサービスの対象となるのは行動上著しい困難を有する知的障害児者又は精神障害者です。肢体不自由の障害児者は対象外です。移動に困難性を抱えた障がい者の外出を支援するサービス事業者が、市の施策変更でサービス提供ができなくなるようでは、これまでの本市の努力も水の泡ではありませんか。

 提案します。周知の為に実施は2017年下半期としていますが、行動援護の資格を取得する体制づくりにとても時間が足りないと思われます。実施は一定その体制ができてからとすべきです。行動援護の対象とならない肢体不自由の方への移動支援は、報酬単価のあり方を当事者や関係団体ともっと話し合うべきです。

第3登壇

  障害者移動支援事業の見直しは、給付額が同じような規模の他市と比較して突出していること、国・県の負担金が減額され、市の持ち出しが増えていることにあると思います。お金か障害者の権利擁護か、まさしく市長の政治姿勢が問われる問題です。報酬単価は現行のままにとどめ、当事者や関係団体との話し合いを続けることを求めて、私の一般質問を終わります。

 

 

 

12月議会定例会へ新たに提出された請願・陳情の内容です

園和幼稚園の耐震化工事の早期実施等についての請願

 請願者 保田智恵ほか11人

(請願の要旨)

 これからの市立幼稚園のあり方について、教育委員会は、市立幼稚園園児募集(以下、「園児募集」という。)や教育の充実に関する取り組みを強化すると発言しているにも関わらず、次のような不備がある。

1、教育委員会は、当該地区である園和連協へ園児募集のポスターを持ってきたが、募集開始日当日であった。

2、園和幼稚園のホームページにおいて、園児募集の項目が25年度以降更新されておらず、教育委員会もそのことを把握していなかった。

3、平成28年10月5日は、台風の影響で市内の市立幼稚園が休園となったが、募集期間の延長を行わなかった。

その結果、29年度園児募集(9月30日~10月6日までの期間)に関しては、市内10園のうち5園が昨年度より募集倍率が減少している。これは、教育委員会の前向きな取り組みがなされていないことを裏付けるものである。こうした中で、園和幼稚園は29年度園児募集において、市内全園が定員割れを起こしている状況のもと、倍率が1位であった。さらに昨年度より倍率は0.13ポイント上昇し0.9倍(27人/30人)となった。これにより、市内でも公立幼稚園の入園希望者が多い地域であることがわかる。そして、耐震化工事がなされていないことが理由で入園を見送った世帯が存在し、耐震化がいまだ実施されていない状況の中で市民・保護者の不安は大きく、入園希望者に与えた影響も少なくないと思われる。よって、次の事項について措置されたい。

1、市立幼稚園教育振興プログラムにおいて、27年度までに判断するとしていた暫定園(園和幼稚園)の耐震化工事を、今年度の園児募集結果に関わらず、直ちに着手すること。

2、園和幼稚園の存廃の判断を耐震化工事完了後まで留保し、入園募集者数の増加に向けた積極的な取り組みを進めること。

付託 文教委員会

紹介議員 福島さとり、田中淳司、真崎一子、楠村信二

 

福島第一原子力発電所事故避難者への支援拡充についての陳情

 陳情者 廣畑貞昭ほか8人

(陳情の要旨)

東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故の発生から5年8か月が過ぎたが、政府の原子力緊急事態宣言は未だ解除されていない。原発事故は収束しておらず、多くの避難者は事故前の汚染のない状態に戻ってほしいと願っているが、残念ながら程遠いと言わざるを得ないのが現実である。しかし、福島県は平成27年6月に自主避難者に対する災害救助法に基づく住宅無償支援を平成29年3月末をもって打ち切ることを発表した。健康被害のリスクを考え、様々な困難を抱えながら避難生活を継続せざるを得ない避難者にとって極めて深刻な事態である。平成24年6月に国会で「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」が制定され、その第1条において「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故(以下「東京電力原子力事故」という。)により放出された放射性物質が広く拡散していること、当該放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないこと等のため、一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住し、又は居住していた者及び政府による避難に係る指示により避難を余儀なくされている者並びにこれらの者に準ずる者(以下「被災者」という。)が、健康上の不安を抱え、生活上の負担を強いられており、その支援の必要性が生じていること及び当該支援に関し特に子どもへの配慮が求められていることに鑑み、子どもに特に配慮して行う被災者の生活支援等に関する施策(以下「被災者生活支援等施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、被災者の生活を守り支えるための被災者生活支援等施策を推進し、もって被災者の不安の解消及び安定した生活の実現に寄与することを目的とする。」としており、自主避難者への支援も求めている。この法律に基づき、被災者の方々が移動前の地域への帰還、現在の避難生活の継続などの選択を自らの意思で行うことができるよう、そのいずれを選択した場合でも適切に支援するための必要な施策を講じることが重要だと考える。よって、各自治体において、避難者の相談窓口を設けるなどの必要な行政サービスが講じられるとともに、長期避難者をはじめ、福島第一原子力発電所事故避難者への一層の配慮と支援拡充を確固たるものとするため、次の事項について、政府関係機関に対し、意見書を提出されたい。

1、災害直後の応急期を想定した災害救助法の枠組みを超えた長期に及ぶ避難者に対して、避難生活の支援を強固にする新たな制度を確立すること。

2、上記制度が確立するまでの間、避難先の自治体が避難者に対する各種支援を行えるよう、自治体への財政措置を速やかに講じること。

付託 総務委員会

杭瀬保育所の建てかえについての陳情

陳情者 有村由佳(杭瀬保育所父母の会)

(陳情の要旨)

本市が公立保育所を調査したところ、杭瀬保育所の外壁の塗材にアスベストが含まれていることが判明し、特に劣化が激しいことから、改修工事を行うことになった。工事を行うにあたり、子供の別の施設への移動はなく、通常と変わらず保育すると聞いているが、いくら安全に工事すると言われても、安全が100%保障される訳ではなく、保護者の不安は募るばかりである。また、本年2月に調査報告書が提出されていたにも関わらず、保護者への説明会は10月であり、とても遅い開催であった。1歳児から杭瀬保育所で過ごしている子供は多く、その間、アスベストが飛散しているかもしれない、吸引して肺がんになるかもしれないという保護者の不安は、1回の説明会では、拭い去ることはできない。杭瀬保育所は、建物が古く、これまでも雨漏りがあったり、壁がはがれたりと老朽化が進んでいた。その都度、建てかえの要求は、保護者の中からもあったが、プレハブの公立保育所があるので、そちらが優先されると聞いている。しかし、耐震診断も行われておらず、現在の耐震基準に満たないまま放置されていることは明白であり、南海トラフ級の地震が起きた場合には、子供の安全は保障されない。その点からも早急に建てかえを要求する。

よって、杭瀬保育所の建てかえを早急に行い、建てかえに際しては、子供の安全が保障されるよう措置されたい。

付託 健康福祉委員会

子ども・子育て支援新制度における保育料軽減等についての陳情

陳情者 中静昌雄(尼崎保育運動連絡会)ほか862人

(陳情の要旨)

本市は昭和40年代より公立保育所の整備、保育料の軽減、独自基準による職員配置、保育料の階層細分化などを率先して行ってきた。しかし、財政難が叫ばれるころから、これらの保育施策を次々に後退させ、殊に保育料の分野では毎年、保護者から負担感の重さを訴える声が多数届いている。本市の子育て世帯の収入が他市より高いわけでもなく、むしろ経済的には苦しい世帯が多いのが実態ではないか。子ども・子育て支援新制度における本市の利用者負担にっいては、新制度の実施時に若干の細分化がされたが、依然として階層間格差が大きく、そもそもの保育料設定も高額であることで子育て世帯の負担感は重くなっていると思われる。また、新制度導入にあたっては、社会問題となっている保育所入所待機児童の解消のために、量的拡大とそれを支える質の向上がうたわれていたが、質の向上を担う人材は圧倒的に不足しており、今や社会問題となっている。保育士不足の背景には、保育士のおかれている低賃金の問題が厚生労働省調査でも明らかになっており、保育士の処遇改善は緊急の課題であるにもかかわらず、国の示した処遇改善はわずか月額6,000円程度で、保育現場としては「焼石に水」と言わざるを得ない状態である。全業種の平均賃金より月額10万円以上低い保育士の平均賃金、人手不足のための責任過重等々、厳しい労働条件のままでは長時間保育をはじめ多様なニーズに応えることも、増える入所待機児童の保育を担うことも非常に困難である。また近年、子供の育ちに問題のある家庭が増加傾向にあり、保育施設においては適切な対応を求められる役割も重要になっているが、本市においては公立保育所の民間移管で公立保育所をわずか9か所にする計画が進んでおり、子供の育ちに問題のある家庭の多くを法人保育園にも委ねていく必要もある。そのため法人保育園の人材不足と人材確保は法人保育園の問題だけではなく、本市そのものの問題であり、緊急に解決しなければならない課題でもある。よって、保育施設職員の処遇改善対策等として、次の事項について措置されたい。

1、子育て世帯に負担が大きい保育料を軽減すること。

2、保育施設職員が確保され、働き続けられ、高い専門性を身につけて質の高い保育ができるよう処遇改善につながる補助をすること。

付託健康福祉委員会

次屋保育所の建てかえ等についての陳情

陳情者 妹尾広子(尼崎市立次屋保育所保護者会)ほか1人

(陳情の要旨)

次屋保育所は、昭和45年以前に建築された軽量鉄骨造のいわゆるプレハブの園舎である。急増する保育需要に対応するために本市が急ぎ建築を進めた園舎の一っであり、昭和40年代初期に建てられた園舎には築50年近いところもある。次屋保育所は、定員60人でこじんまりとした家庭的な雰囲気のとても温かい保育所である。しかし、50年近く風雨にさらされたプレハブ園舎の老朽化には甚だしいものがある。歩くと床がきしみ、ゆがみにより部屋の引き戸は大人でも開閉しにくく、畳は古くて傷んでいる。壁が薄いため夏場は外気熱が伝わりとても暑く、冬場はすき間風や下からの冷気により、しもやけができるほど床は冷たくなっている。屋根が薄いため降雨時には雨音で保育士の声が聞こえず、テラスに置かれている靴箱のところにまで雨水がかかるため、濡れながら送迎を行っている。そのため、保育士たちは、冬場は廊下にマットを敷き詰めてファンヒーターをつけたり、雨が降るとテラスに足ふきマットを敷くなど様々な対策を行っている。不都合な面が多い園舎でも、毎日子供たちが笑顔で登所できているのは、こうした保育士たちの工夫や努力のおかげである。本来ならばこれらの作業に使われる時間は、子供たちに費やされるべきである。また、プレハブは耐震1生が高いと言われているが、劣化が進み、メンテナンスもされていない現状の園舎にどれほどの耐震性があるのか、将来起こるであろう地震に耐えられるのか、強い不安を感じている。園田保育所と塚口保育所が建てかえられ、定員を拡大して待機児童対策に寄与していることを踏まえると、次屋保育所はJR尼崎駅に近く、近隣に大型マンションが次々と建築されていることから、多くの保育ニーズが見込まれるため、早急な建てかえが望まれる。その他の公立保育所においても、汚物槽の故障が放置されていることや床が抜けそうになっていること、トイレが臭いことなどへの様々な改善要求が尼崎市職員労働組合保育支部からも出されていると聞いている。老朽化の進む公立保育所の保育環境は、日々そこでかけがえのない生活を送っている子供たちにふさわしい環境とは到底思えない。子供の最善の利益が実現される社会を目指すとの考え方を基本として、子ども・子育て支援新制度が導入されているが、子供たちの生活環境でもある施設の改善は緊急の課題である。よって、次の事項について措置されたい。

1、次屋保育所の建てかえ計画を早急に立てること。

2、公立保育所の施設で改善が必要な箇所について、早急に補修・改善を行うこと。

付託 健康福祉委員会

12月議会定例会が12月6日(火)から21日(水)までの日程で始まる

 12月議会定例会が12月6日(火)から21日(水)までの日程で始まります。 

常任委員会

  14日(水)健康福祉、建設消防企業

  15日(木)経済環境市民、文教

  16日(金)総務

市長提出予定案件

 一般会計補正予算

   潮小学校校舎及び児童ホーム改築の設計など

 園和幼稚園の廃止に伴う設置及び管理に関する条例

 健康の家の廃止に伴う設置及び管理に関する条例条例

 地区会館の設置及び管理に関する条例

 武庫支所の変更に伴う設置及び管理に関する条例

 本庁舎耐震補強工事

 社会体育施設の指定管理

 すこやかプラザの指定管理

 美方高原自然の家指定管理

 地区会館指定管理

 市道路線の認定、変更及び廃止

 記念公園の指定管理

 野球場及び多目的運動広場の指定管理など

12月議会一般質問は7日から行われ日本共産党議員団から5人が質問に立ちます

 12月市議会定例会は12月6日から21日までの日程で始まります。一般質問は7日から3日間行われ、日本共産党議員団から5人が質問に立ちます。

 ぜひ傍聴をお願いします。またインターネットにより中継も行われます。

松沢ちづる議員

 7日(水)午後2時5分頃から38分間

  ・高齢者の孤立化について

  ・介護予防・日常生活支援総合事業について

  ・障害者の移動支援について

まさき一子議員

 8日(木)午後2時50分頃から40分間

  ・子ども・青少年を取りまく状況について

  ・子どもの育ちに関わる支援センターについて

  ・児童館の設置について

  ・公立高校の通学区拡大について

松村ヤス子議員

 9日(金)午前10時から40分間

  ・国民健康保険制度の広域化について

徳田みのる議員

 9日(金)午後1時45分頃から40分間

  ・防災教育と防災対策について

  ・休日夜間急病診療所の深夜帯の小児救急診療について

  ・市産業振興基本条例について

  ・マイナンバー制度について

辻おさむ議員

 9日(金)午後2時25分頃から40分間

  ・大庄のまちづくり、空地活用について

  ・住宅政策について

    (市営住宅・家賃補助制度・空き家リフォーム助成)

  ・外来生物について

  ・公共施設マネジメントについて

日本共産党議員団の稲村市長への2017年度予算に対する要望書

尼崎市長 稲村和美 様

     2017年度予算に対する要望書 

                  2016年11月9日 

                     日本共産党議員団

                       徳田 稔

                       辻  修

                       松沢 千鶴

                       松村 ヤス子

                       真崎 一子

                       川崎 敏美 

 市長をはじめ職員の皆さんが、地方自治の本旨に基づいて、平和と市民のくらしを守り発展させるために、日々尽力されていることに敬意を表します。安倍政権は立憲主義を否定して、憲法をないがしろにする政治をすすめています。またアベノミクスの効果に疑問が言われるなか、2019年10月から消費税率を10%に再引き上げしようとしています。労働者派遣法の改悪による不安定・低賃金の非正規雇用の増加、社会保障制度の負担増によって市民のくらしは痛みつけられています。税金は負担能力に応じた税制改革、社会保障の拡充路線への切り替え、残業時間の上限規制をはじめ働き方の改善など、くらしを応援することが求められています。このようななかで、子育て世代の定住・転入の促進、経済の好循環で地域の活性化を図り、これからの超高齢化社会において、安心して暮らせる市政運営をめざされることを強く要望します。以下、来年度予算に対する日本共産党議員団の要望書を提出させていただきます。 よろしくご配慮いただきますようお願いいたします。                                      以上

<国への要望>

1 原子力発電からの撤退を政治決断し、再生可能エネルギーへの転換を加速させるよう強く求めること。重大事故が起これば本市にも多大な放射能汚染をもたらす恐れのある福井県の高浜原発第4号機の再稼働を許さないこと。また、老朽化した美浜、高浜第1・2・3号機、もんじゅの廃炉を国に求めること。

2 憲法違反の閣議決定に基づく安全保障関連法制については、廃止を求めること。南スーダンからの自衛隊の撤退を求めること。

3 労働者派遣法の改悪は更なる貧困格差を生み出し、本市にとっても財政基盤を脆弱にする。労働者派遣法の抜本改正、「残業代ゼロ法案」の撤回、「サービス残業」を根絶する罰則強化、残業時間の上限を法律で規制する労働基準法改正を求めること。

4 消費税増税は市民生活、地域経済、市財政等に多大な悪影響を与える。所得が低いほど負担の重い逆進性の消費税に頼らず、「税金は負担能力に応じて」の原則に立った税制改革を求めること。

5 地方交付税について近年改善しつつはあるが、基準財政需要額、基準財政収入額ともに実態との乖離をなくすよう、ひきつづき求めること。

6 障害者総合支援法は、「基本合意」や「骨格提言」に基づいて見直すよう、ひきつづき求めること。

7 障害者総合支援法に基づく福祉サービスを受けている障がい者が、65歳になると介護保険に移行し、サービスの量が不足したり自己負担が生じる場合が出てくる。障害者総合支援法を優先するよう求めること。

8 難病対策として、低所得者の医療費減免を求めること。

9 障がい者支援事業所への報酬は月払いに改め、基本報酬単価を引き上げるよう求めること。

10 生活保護費の引き下げを元に戻し、老齢加算を復活するよう求めること。また、母子加算は減額・削除しないよう求めること。

11 生活保護のケースワーカー数について、社会福祉法(第15条所員の定数)は「標準数」としているが、見直し前の「法定数」に戻すよう求めること。

12 予測される南海トラフ巨大地震・津波に対する防災対策については、市民力の強化にもまして自治体職員の果たす役割が大きくなる。必要な職員を配置できるよう財政措置を求めること。

13 国民健康保険会計に対する国の負担割合を引き上げるよう、ひきつづき求めること。

14 介護保険の利用者負担は現行の1割を堅持し、軽度者を給付対象から外さないよう求めること。特に、軽度者の福祉用具・住宅改修、生活援助は現行制度を継続するよう求めること。

15 介護予防日常生活支援事業が来年4月から市の総合事業に移行するが、対象者の支援が現行通り継続できるよう財政措置を求めること。

16 全産業の平均給与より大幅に低い保育や介護など福祉現場で働く労働者の処遇改善を迅速に行うよう求めること。

17 「アスベストは公害」の立場に立ち、認定被害者の医療費負担は全額加害企業と国にひきつづき求めること。

18 アスベストによる中皮腫の早期発見につなげるために、所見の変化が分かる経年的な検診制度と治療法の確立を国の責任で行うよう求めること。

19 「カジノ設置法」に反対すること。

20 公営住宅申し込み資格のある住宅確保要配慮者に対する住宅対策として、家賃補助制度の創設を求めること。

21 中学3年生まで35人以下学級を実施するよう、ひきつづき求めること。

22 中学校給食をすべての自治体で実施するよう、制度化を求めること。

23 子どもの貧困問題解決の一助として、児童扶養手当の更なる増額を求めること。

24 マイナンバー制度は「なりすまし」詐欺や情報漏えいなどの危険がある。運用をやめるよう、国に求めること。

<県への要望>

25 子どもの医療費を所得制限なしで中学卒業まで無料にするよう、ひきつづき求めること。

26 障害者医療費助成制度について、身体障がい者は3級まで、知的障がい者は中度まで、精神障がい者は2級まで対象を拡充するよう、また、所得制限については本人所得を基本とするよう、ひきつづき求めること。

27 液状化による沈下が想定される尼崎側の武庫川堤防の耐震調査を実施するよう求めること。

28 武庫川河川敷公園の洪水対策を行うよう求めること。

29 県道園田西武庫線の藻川工区については、住民合意が得られるまで架橋等の工事は凍結するよう求めること。

30 兵庫県公立高校の学区は尼崎学区に戻し、当面は、公立高校のクラス数を増やすよう求めること。

31 中学校3年生まで、少人数学級を実施するようひきつづき求めること。

32 いじめ、不登校、非行などの問題の発生予防、教師の多忙解決のために必要な教職員を配置するよう求めること。

33 栄養教諭を全校に配置するよう、求めること。

34 学校生活支援教員の大幅な増員及び拡充、通級指導教室の設置を求めること。

35 県立尼崎総合医療センターの五合橋線南行きバス停にベンチを設置すること。 

<市への要望>

  • 企画財政局・総務局

36 市財政確保の観点から、現役世代の定住・転入の促進は不可欠の課題である。そのために

  ①学校給食法にもとづく中学校給食を早期に実施すること。

  ②中学卒業まで子どもの医療費は無料にすること。

  ③基礎学力及び応用力向上に必要な教職員について、学校現場が要望している人員加配を行うこと。

37 移譲後の阪神バスの路線運行について検証を行うこと。市民要望を踏まえて、地域公共交通の充実に努めること。特に、園田地域から県立尼崎総合医療センターへ直通で行けるバス路線がないので、早急に設けるよう阪神バスに働きかけること。

38 公共調達基本条例について、実施後の検証を行うこと。「労働関係法令遵守報告書」の分析を行い、今後の契約の改善に努めること。契約先労働者の賃金の最低額を規定するいわゆる「賃金条項」について、導入も視野に入れて調査研究を行うこと。

39 市民意見聴取プロセスにおける熟度の低い段階では、市民に具体的なイメージが伝わりにくい。市報、ホームページでの記述の改善も含め、丁寧な説明に努力すること。また、多くの市民から反対意見が寄せられた計画は、市民意見に真摯に向き合い市民の理解が得られるまで実施しないこと。

40 旧聖トマス大学跡の施設やグランドは、地域住民も使用ができるようにすること。

41 JR塚口駅東口のバス停ベンチをはじめ市内数カ所のバス停ベンチの設置を求める市民要望がある。阪神バスと協議し、早急に対応すること。

  • 危機管理局・資産統括局

42 高齢者施設の防災訓練に対して、ひきつづき市から指導者(防災士)を派遣すること。各施設の訓練を掌握して、ひきつづき交流を深めること。

43 防災ハンドブックの内容を適宜更新して、あらゆる機会を通じて市民が学べるよう努めること。

44 ひきつづき、全市を対象にした広域的な避難訓練を定期的に行うこと。また、地域特性に適する避難計画と訓練を、学者専門家と協働して行うこと。

45 保健福祉センターの2カ所集約については、乳幼児健診などが遠くなるため柔軟に対応すること。支所・地区会館の合築にあたっては、乳幼児健診が可能となるような設備を設けること。

46 市立東高校跡地の活用計画は住民合意が得られていない。住民の意見を踏まえ見直すこと。

47 大庄西中学校・啓明中学校・若葉小学校跡地については、住民の意見を尊重し、防災などの課題解決とまちの活性化に役立つものとすること。

48 旧若草中学校跡地は、地域の意見を十分に反映させて活用すること。

49 武庫川河川敷公園については、台風・洪水による被害が相次いでいるため、復旧だけでなく地盤の改良など、洪水がおこっても被害を抑える構造とすること。

50 南海トラフ地震の津波や水防法の改正により、大きな被害が想定されている猪名川・藻川・神崎川流域について、越流などによる浸水対策の強化を行うこと。

  • 健康福祉局

51 乳幼児健診は支所と地区会館を合築する新複合施設で行えるようにすること。また、地域保健・福祉の申請窓口業務は社会福祉協議会に委託するのではなく、市職員で行うこと。

52 公営住宅入居資格のある高齢者世帯の住宅家賃助成制度を創設すること。

53 介護保険料を滞納するとサービス利用時自己負担は3割となる。しかし、厚生労働省の見解によれば1割にしたとしても自治体にペナルティをかける権限はないとのことなので、滞納状況や対象者の状況を考慮した柔軟な対応をすること。

54 特別養護老人ホーム増設をすすめ、待機者を減らすこと。

55 来年4月開始の介護予防・日常生活支援総合事業について、新たに要支援の認定を受けた人も含め有資格者による生活支援を行うこと。また、介護事業所の報酬は現行の介護予防と同額とすること。国に対して必要な財政措置を求めること。

56 障がい者の移動支援事業について、市はレセプト備考欄に行き先記入を求めているが、それはプライバシー侵害であり、即刻やめること。

57 計画相談事業は、障がい児者のニーズに合わせた適切なサービスの利用が行えるためのものである。しかし、市からの規制が強くニーズに応えた計画ができないとの声が相談員から上がっている。是正をすること。

58 阪急園田駅のエレベーター設置を急ぐこと。

59 アスベストによる深刻な健康被害が相次ぎ、中皮腫や肺がんで亡くなる人が後を絶たない。ハイリスク者に対して、恒常的な健康管理体制を確立すること。

60 旧小田南中学校卒業生など、旧クボタ神崎工場周辺の学校卒業生にアスベスト被害が多発している。クボタがアスベストを使って操業中の時期に在校していた人に対し、アスベスト検診をすすめること。

61 スクールソーシャルワーカーの勤務時間と人の配置を増やすこと。

62 子どもの医療費は、中学卒業まで所得制限なしで入院・通院ともに無料にすること。

63 無料低額診療事業適用者への支援として、薬局一部負担金に対して市の補助を創設すること。

64 夜間・休日急病診療所での深夜帯(午前0時から6時)の小児救急医療を復活すること。

65 福祉避難所を増やし、要援護者や家族に周知すること。また、避難時、直接福祉避難所に避難できるようにすること。

  • こども青少年本部事務局

66 子どもの貧困についての実態調査を行うこと。

67 子ども食堂を実施している個人、団体に、支援すること。

68 老朽化した公立保育所の建て替え計画を策定し、順次建て替えを行うこと。

69 子ども子育て支援制度の制定や子どもの貧困が大きな社会問題となっているなど、保育をとりまく環境は大きく変化している。10年前に策定した「公立保育所の今後の基本方向」は今の状況にマッチしているかどうか疑問である。「基本方向」に基づく公立保育所第4次民間館は移管計画は凍結し、見直すこと。また、公立保育所の企業への移管は絶対にやめること。

70 保育料は、負担感の高いD階層の軽減を行うこと。

71 0歳児保育に単独補助を行うこと。

72 民間保育所への保育士処遇改善補助を市単独で行うこと。

73 保育所の入所要件に、「障がいがあること」を追加すること。

74 児童ホームの入所希望者が全員入所できるようにすること。

75 児童ホームの施設を生活の場にふさわしく拡充すること。子どもクラブとの統合は行わないこと。

76 中・高生の居場所づくりを促進すること。そのために、子どもたちの生活実態調査を行い、児童館事業を復活すること。

  • 都市整備局

77 尼崎市自転車ネットワーク整備方針に基づき、歩行者道・自転車道・自動車道の区分の明確化を促進すること。自転車の交通ルールについての啓もう活動を促進すること。

78 市営住宅マスタープラン及び公共施設マネジメント基本方針では「市営住宅の戸数を減らす」としているが、入居希望者が非常に多いことを配慮し、市営住宅の戸数を減らさないこと。

79 低所得者・高齢者・新婚世帯の家賃補助制度を創設すること。

80 空家リフォーム助成制度を創設すること。

81 木造住宅の耐震補強の公的補助制度について、市民に周知すること。

82 金楽寺町の借り上げ復興住宅の借り上げ期限20年が到来する。ひきつづき居住を希望する人に対しては、個別借り上げを行うこと。

  • 教育委員会

83 中学3年生までの35人以下学級を実現すること。また、達成するまでは対応策として教職員の加配を行うこと。

84 質の良い安全安心の中学校給食を、早期に実施すること。

85 トイレの改善は児童生徒の健康管理の面からも重要であり、トイレの老朽化対策及びすべての校舎の4階に設置することは、必要な施設整備である。最優先で実施すること。

86 車いすや階段を利用できない児童生徒のために、校舎にエレベーターを設置すること。

87 読書力向上事業の更なる向上ために、全小学校に配置されている臨時的任用職員は正規職員にすること。また、中学校については全校に常時図書司書を配置すること。

88 教師が教育活動に専念できる体制づくりのために、給食費・教材費の徴収事務は教育活動から外し、市の責任で行うこと。

89 特別支援学級の生活介助員は不足している。実態を調査し、子どもの実情に合わせて増員すること。

90 阪神間で一番高い尼崎の市立幼稚園保育料を引き下げること。

91 中断している学校プールの改修計画を復活させ、残事業の計画を作成すること。

92 児童生徒の増加が見込まれる学校については、事前に状況を把握し、児童ホームも含めすみやかな対策を講じること。

93 給食費の保護者負担を軽減すること。

94 地域の様々な活動に貢献している地域学習館に対する補助金を復活し、運営を援助すること。

95 特に、小園地域学習館は耐震化されている。廃止せず存続させること。もし廃止するとしても、地域住民と協議して、ひきつづき施設が活用できるようにすること。

  • 市民協働局

96 国民健康保険について

(1)高すぎる保険料を引き下げること。都道府県単位になっても、一般会計からの繰り入れ(①財政健全化繰入金、②多人数世帯等の負担軽減を図る特別減免)は減額せず継続すること。

(2)また、現在本市が実施しているその他の独自事業(①結核・精神医療付加金および葬祭費、②あんま・マッサージ・はり・きゅう施術助成、③特定健診等)についても継続すること。

(3)国民皆保険制度の主旨にのっとり、未納保険料の有無にかかわらず、正規の国民健康保険証をすべての世帯に郵送すること。

(4)国民健康保険料減免制度をさらに拡充すること。

(5)国民健康保険の一部負担金減免制度は、所得激減を条件とせずに生活困窮世帯も対象にするなど、使いやすく安心して受診できる制度に改善すること。

(6)預金残高があっても、事業継続上必要不可欠の運転資金である場合がある。国民健康保険料徴収のため、本人の承諾なしに一方的に資産調べや差押えを行わないこと。差押え禁止財産は、差し押さえないこと。

(7)分納誓約時に、納税者を一方的に追い詰めるだけの「分納誓約額算出書兼確認書」を求めないこと。

97 市民課窓口業務の民間委託をやめ、市職員で行うこと。

98 旧梅香小学校跡に造られる複合施設の大・中・小ホールは、かっての労働福祉会館のように市民の使い勝手がいいものにすること。

  • 経済環境局

99 太陽光パネル設置を促進するために、一般住宅への補助制度を復活すること。

100 地域振興を図るために、小規模企業振興基本法に基づいて、小規模企業、特に小企業に対する振興策を強化すること。そのために、すべての中小業者の実態調査を行うこと。

101 制度融資の利子補給・保証料補助は、困難をかかえる中小業者が活用しやすい、元気の出る中小企業融資にすること。

102 地域経済活性化のために、住宅・店舗リフォーム助成事業を創設すること。

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9月議会・一般会計補正予算・決算認定に対する川崎としみ議員の反対討論です

 日本共産党議員団の川崎敏美です。認定第1号 平成27年度尼崎市歳入歳出決算、認定第4号 平成27年度尼崎市自動車運送事業会計決算に不認定、議案第104号平成28年度尼崎市一般会計補正予算(第3号)に反対する討論を行います。まず認定1号 平成27年度尼崎市決算認定についてです。27年度は、安倍政権の経済政策・アベノミクスのもとで、市民生活をどう守るのかが、問われた年です。大企業や一部の富裕層が膨大な利益を上げている一方、尼崎市の事業所景況調査でも平成27年度は「横ばい」「全体では悪化」の判断が続き、中小企業融資あっせん件数は、わずか2件と落ち込むなど、中小企業は消費税の8%増税や円安による原材料高を価格に転嫁できずに経営難に苦しんでいます。個人市民税の増加は、平均賃金が1.4%増えていますが、消費税の3%増税により実質賃金は上がっていません。消費譲与税の増額は、それだけ市民負担が増えたということであり、個人消費は落ち込んでいます。財政的にも地方交付税が減らされるため、市財政が好転する訳ではありません。当初予算では、約55億円の収支不足があるとして、財源対策を講じていましたが、市税収入の増、実質的な地方交付税や地方消費税交付金の増、不動産売払い収入の増で、収支は改善され、一転して黒字となりました。予測が難しい面があることは理解できますが、各部署で経費節減にとりくみ、市民にも負担やガマンを要請しているなかで、財政見通しの大きな乖離は不信感を募ることにもつながり、そうした乖離はできるだけ生まないような取り組み、努力を要請しておきます。国民健康保険では、収納率を上げる取り組みが強化され、前年比0.56%アップしました。預金掌握の職員を2人増員し、差押え件数は、急激に増えました。しかし、滞納者1件当たりの年間収入金額の平均は、25年74万円にたいし、27年は25万円と、少ない金額でも差押える傾向がうかがえ、窓口での対応も厳しくなっています。強権的な取り立てを強化する前に、高過ぎる保険料の解決こそ進めるべきです。国・自治体の公的責任を後退させる子ども・子育て支援新制度が27年度から実施されました。新たな事業としての地域型保育は、これまでの認可保育所の基準を下回っており、子どもの保育に格差と不平等をもたらすものです。読書力向上事業では、安い臨時職員の採用によって、市がワーキングプアづくりに手をかすことになります。市民窓口改善事業は、市民課窓口が民間委託されました。偽装請負になる危険性をはらみ、職員組合の指摘ではじめて調査し、偽装請負の「疑い」があったことを当局も認めました。市民の個人情報を扱う部署だけに、直営に戻すべきです。マイナンバー実施にむけたシステム改修、交付事務などが、行われています。マイナンバーは行政手続が便利になるなどと言いますが、膨大な個人情報を国が一手に握ることへの懸念、情報漏れへの不安も依然としてあります。国民のプライバシーを危うくする仕組みづくりを強引に推進するものであり、実施には反対です。保健・福祉の2か所化にむけての施策は、市民合意が得られたとはいえず、乳幼児健診が遠くなるなどの問題があります。児童ホームは、こどもクラブと全く違う制度です。しかし、土曜日開所は、こどもクラブと児童ホームの混然一体とした運営であり、問題があります。公立幼稚園の最大の魅力は保育料が安いこと、歩いていける身近な場所にあることでしたが、保育料の大幅引き上げで、この魅力が失われてしまいました。今議会にも陳情が出されているように、2年続きで定数を割ることによる暫定園の廃止を食いとめようと頑張っている地域・関係者の努力に冷や水をかけるものです。3か所の公立保育所が民間移管されました。移管状況を第三者が検証する制度が必要です。県道園田西武庫線の建設事業では、移転交渉の内容も非公開のまま負担金のみ支出するのは問題があります。市バスの民営化が実施されました。運転手職員の処遇は、本人の希望を聞いて対処されたことは評価します。しかし委譲後3年間は路線が維持されるものの、その後の市民サービスは不透明であり、市バスの民営化は認められません。競艇場事業については、地元住民も合意した年間180日の本場開催日数を超え、センプルピアは、盆・正月を含めて年間360日開所されており、認めることはできません。以上の理由で認定第1号 平成27年度決算認定に反対します。

 次に、認定第4号平成27年度尼崎市自動車運送事業会計決算についてです。市バスの高齢者特別乗車証を有料化して以降、事業の赤字が増え高齢者の足を年間延べ400万人分奪う結果となりました。日本共産党議員団は当初からこのことを指摘し、民営化補助金ではなく、経営再建補助金として活用し、高齢者の乗車証も無償に戻し、経営再建を図るべきと主張してきました。よって民営化補助金として使われたこの決算認定に反対します。

 最後に、議案第104号平成28年度尼崎市一般会計補正予算(第3号)についてです。まず、マイナンバーの団体統合宛名システムのテスト費用についてです。マイナンバー制度自体が、個人情報漏洩や詐欺の危険がつきまとうものとの懸念は取り除かれていません。いまだにマイナンバー通知の受け取りを拒否している市民、マイナンバーカードを申請しない市民が多数いるなど、決して市民合意が取れている状況には至っていません。日本共産党議員団はマイナンバー制度に反対する立場から、システム運用を進めるための予算は認められません。また、市民にとって保育料負担軽減となる施設型給付費、地域型保育給付費については賛成ですが、支所をなくし、仮称保健福祉センター2カ所化を進めていくことは、市民サービスの低下をきたす恐れがあります。日本共産党議員団は、複合施設にこれまで通り支所機能を残すことを求めており、保健福祉センター2カ所化を推進していくための予算は認められません。よってマイナンバー制度と保健福祉センターの2カ所化推進のための予算が含まれている議案第104号補正予算案に反対します。これですべての反対討論を終わります。ご賛同くださいますようお願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。