2016.12月議会の松村ヤス子議員の一般質問の発言と答弁要旨

日本共産党議員団の松村ヤス子です。

国民健康保険制度の広域化・都道府県化等に関して質問します。

まず、国保の現状についてです。1984年に、国は、国保法を改悪し、国保に対する国の負担割合を医療費ベースで45%から38.5%に大きく引下げました。医療の高度化とも相まって、この国庫負担割合の引き下げが、国保料をさらに引き上げる結果になりました。2015年度の本市の国保加入世帯は73,995世帯で、その17.5%、14,717世帯が滞納のある世帯です。4カ月以上の滞納世帯は、全世帯の7.9%で、6,664世帯、6カ月以上の滞納世帯は5.5%で、4,628世帯です。

お尋ねいたします。もちろん、滞納は好ましくありません。しかし、これだけの滞納者がいることについて、市長は、どう受け止めておられますか。

近隣他都市に比べて、尼崎市の滞納状況は、どういう状況でしょうか。

滞納の原因をどのように分析されていますか。

市として、この状況を改善するためには、何に努力しなければならないとお考えでしょうか。それぞれ御答弁ねがいます。

答弁

国民健康保険事業において、滞納世帯がいるという状況につきましては、滞納は、国保の歳入の根幹である保険料収入が確保できないことにつながり、安定的な国保の事業運営を行う上で、大きな課題であると認識しております。本市における収納率につきましては、近隣他都市と比較しても低位にあり、平成27年度保険料の現年収納率で見た場合、阪神間8市では、三田市が95.61%と最も高く、本市は、90.13%と最も低い状態となっております。次に、被保険者における滞納の原因でございますが、本市の国民健康保険事業は、一人当たり医療費が県下平均を下回っているものめ、低所得者が多く、所得水準が低いため、所得に対する保険料の負担感が高いといった様々な要因があると考えております。こうしたことから、本市は、様々な保険料収納対策の実施に加え、医療費適正化事業として、ヘルスアップ尼崎戦略事業などに取り組み、国保事業の健全運営に向けて努力しているところでございます。以上

過去5年間における本市の国保の加入者は、年金所得層が35~6%を占めており、給与所得控除などを差し引いた後の国保料の計算上ベースになる 加入者一人あたりの平均所得は年50万円から52万円程度とのことです。当局からいただいた資料によると、国保加入世帯は2008年度で8万2000世帯でしたが、その後、2015年度には、9.6%減少し、7万4千世帯になっています。そして、国保加入者一人当たり所得は、58万1000円から、9.4%減少して52万6000円になりました。一方、一人あたりの平均医療費支出は、30万円から36万円と1.2倍に増加です。その結果、一人あたりの国保料は、2008年度には83,263円 でしたが、2015年度は87,909円になり、4000円以上の負担増です。一人当たり所得が9.4%減少にもかかわらず、一人当たり医療費が1.2倍になり、国保料が5.6%ひきあがっているわけです。

お尋ねします。高齢者の割合が高く、所得水準が低いというのが本市の国保加入者の特徴と理解していますが、本市の国保加入世帯の平均所得は、近隣他都市と比較して、どういう状況でしょうか。

また、一人当たり国保料は他都市との比較では、どういう状況でしょうか。答弁ねがいます。

答弁

本市国民健康保険事業で把握している所得は、保険料基準所得でございます。

1人当たり保険料基準所得につきましては、平成27年度で比較しますと、本市は52万6,087円で、阪神間8市で最も低位な状況にございます。なお、本市を除く阪神間7市平均は、73万8,757円で、最高は芦屋市の120万4,580円、本市に続いて低い神戸市では、56万8,350円などとなっております。次に、1人当たり保険料でございますが、医療分と後期高齢者支援金分の合計で比較しますと、本市の平成28年度予算では、8万6,904円となっており、最高額は芦屋市の12万6,554円で、最低額は伊丹市の8万3,945円でございます。なお、本市を除く阪神間7市平均では・9万4004円となっており、本市の方がt7,100円下回っている状況でございます。以上

 先日、私の自宅に新規の国保証が送付されてきました。

現状での本市の国保世帯数は73,995世帯ですが、そのすべての国保世帯に送付されたのでしょうか。そうでないとすれば、送付する世帯と送付しない世帯との区分けについて、どういうルールを定めているのか。説明願います。

答弁

国保被保険者に対する保険証の交付につきましては、原則として、1年間有効の保険証を郵送しておりますが、保険料の滞納がある方に対しては、生活状況の確認や納付相談機会の確保のためにご来庁いただき、相談後に4か月間有効の短期保険証を窓ロで交付することといたしております。以上

また、ここ数年間において、国保料を滞納した状況で、国保証が送られていない人で、亡くなられた方はおられるのでしょうか。おられるのであれば、亡くなられた方の受診状況についても答弁ねがいます。 

答弁

保険料に滞納がある世帯に対しましては、生活状況の確認や納付相談の機会を確保し、短期保険証を窓ロ交付しております。滞納の原因は、各個人により様々であると考えられますが、被保険者の方が「医療機関の受診のために保険証が必要」との理由で来庁された場合におきましては、まず生活状況を丁寧に聞き取り、その事実を踏まえた上で納付相談を行い、保険証をお渡しするよう、最大限努めております。なお、保険料を滞納している方の死亡状況につきましては把握しておりません。以上

国保運営上の大きな問題は、加入者の所得減・貧困化です。かつて国保加入者の多数派は自営業者と農業者でした。しかし、先日、市当局から、いただいた資料によると、2008年から2015年までの8年間の構成割合は、給与所得者が37%、年金所得者が36%、自営業者が10%を少し切る状況です。本来、給与所得者といえば、企業などに安定的に雇用されているのが普通のことであり、健康保険など社会保障制度が整っているのが当たり前でした。そして、常時必要ではない、特殊な能力が必要な時に短期間、派遣され、その間、高い報酬で働くのが、派遣労働者でした。製造現場には派遣労働者は使えませんでした。しかし、現在は、職種の限定がはずされ、製造業など多くの職種で派遣労者に置き換えられ、その派遣労働者やアルバイトなど、不安定な雇用状況の労働者が国保加入者の1/3を占めています。

お尋ねします。本市の国保加入者の1/3が給与所得者だということですが、この給与所得者の中に、本来なら、社会保険に加入すべき労働者でありながら、企業主がそれを拒み、国保加入に誘導していることは、ないのでしようか。当局は、実態を把握していますか。把握していなければ、把握すべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁ねがいます。

答弁

国民健康保険は、協会けんぼや健康保険組合などの被用者保険に加入していない人を被保険者として、保険給付を行う制度であり、本来、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所、または法人事業所については、協会けんぽなどの被用者保険への加入が法で義務づけられております。しかし、勤務先が、こうした被用者保険の適用事業所にも関わらず、未適用である場合の事業主への文書提出命令、事業所への立入り、帳簿書類等の検査について、本市国保は、その権限を有していないことから、ご質問の「企業主が国保加入に誘導している」という実態は把握しておりません。しかしながら、本市国保加入の受付時には、収入や生活状況の聞取りをする中で、被用者保険に加入できないかを確認するとともに、被用者保険に加入できると推測される場合は、年金事務所や会社に問合せをするよう指導しているところでございます。今後とも、窓ロ受付時等の機会をとらえて、資格の適正化に努めてまいります。以上

また、加入者が貧困化しているのに国民健康保険料が上がり続けるのでは、生活が苦しく、滞納が増えるのは当然ではないかと思います。当局の見解をお聞かせください。

答弁

本市の国保にあっては、一人当たり医療費が県下平均を下回っているものの、低所得者が多く、所得水準が低いため、所得に対する保険料の負担感が高いという課題がございます。そうしたことから、本市は、様々な保険料収納対策の実施に加え、医療費適正化事業として、ヘルスアップ尼崎戦略事業などに取り組み、国保事業の健全運営に向けて努力しているところでございます。今後は、平成30年度からの国保の都道府県単位化の中で、県に納める納付金の財源となる保険料が、同一所得・同一医療費水準であれば、保険料も県下同一水準になるという考え方のもと、保険料の平準化の効果が一定期待できるものと考えております。以上

これで第1問目を終わります。

 

2問目の質問です。

 2問目は、国保制度の広域化に関して伺います。

安倍政権は2015年、「国民皆保険創設以来の大改革」といって、「国保の都道府県化」を含む「医療保険改革法」を可決し、2018年度から、国保の運営主体を都道府県に移します。その際、全国の自治体がこれまで国保料抑制のために繰り入れてきた3400億円に匹敵する同額を国が投入するとしています。私は、尼崎市の高い国保料が他自治体と一緒になる広域化で国保料が平均化されて今よりも安くなるのではと思ったこともありました。

しかし、保険料の決定・徴収は市町村が担い、市町村ごとの保険料格差が残ることになります。国保の財政は都道府県が管理し、各市町村に割り当てた「納付金」で国保財政は賄われることになります。この納付金が、現在の国保料の総額に当たります。「納付金」は国保料を100%完納することが原則で、市町村には、国保料の徴収強化の圧力がかけられます。また、「納付金」の割り当てに際し、都道府県は市町村ごとに「医療給付費の水準」「標準的な収納率」「標準保険料率」などの指標を提示することになります。これにより、「給付費の水準の高い自治体」「収納率が低い自治体」「一般会計の独自繰入で保険料を下げている自治体」などが一目瞭然となり、市町村には、給付抑制、収納率向上、繰入解消への圧力が加えられます。

お尋ねします。要するに、広域化することで、都道府県を「国保財政の管理者」「市町村国保の監督役」として、「高い国保料で住民がより苦しめられる」国保行政をいっそう強化する、これが、国の狙いであるともいわれていますが、国保の広域化について市はどう受け止めておられますか。 答弁ねがいます。

答弁

国保の都道府県単位化は、市町村国保が財政上の問題や地域(市町村)間格差などの構造的な課題を抱える中、財政運営の主体を都道府県に移行することにより、安定的な財政運営や効率的な事業の確保を目指して、国の財政支援の拡充とともに実施されるものでございます。今後も国民皆保険制度を維持し続けるためには、必要な取組みであると考えております。以上

 

また、「医療保険改革法」は、都道府県に、「国保運営方針」の策定を義務づけ、それを都道府県が別に策定する「医療費適正化計画」や「地域医療構想」と整合させることを義務づけています。そして、都道府県の「国保運営方針」による市町村への予算配分、「医療費適正化計画」による給付費抑制、「地域医療構想」による病床削減、これらの権限をすべて都道府県に集中させることになり、強権的に給付費削減を進めることになるのが避けられないのではと危惧されています。このような形で、医療を受けにくくしたり、強権的に給付費を削減するのではなく、本来、「市民の健康増進によって給付費が減少・伸びを抑えられる」とならなければならないと強く思います。

それに、大変強く危惧するのは、国保料引き下げのために、市町村が独自で実施している国保会計への繰り入れを禁止させるとしていることです。全国の市町村が、国保会計に繰り入れている総額に相当する3,400億円を国が追加負担するからというのが理由です。しかし、現在、全国の市町村の国保会計に3400億円が繰り入れられているとしても、高い国保料に市民・国民は苦しんでいるのです。各自治体による従来からの独自の繰り入れを廃止すれば、国による3400億円の新たな繰り入れは、それこそ、意味をなさなくなってしまいます。本市は、ヘルスアップ尼崎戦略事業で、医療給付費ののびを抑えることにより、国保料の伸びを抑える努力を行っています。それに、年間、約9億円の国保会計への繰り入れにより、国保料を軽減する努力も行っていると理解しています。しかし、高齢化や医療技術の進歩により、今後も、国保の医療給付費は増え続け、このままでは、保険料は上がり続けると考えます。現在、国保の一人当たり保険料は「年9万1千円」ですが、内閣府は、2025年には「年11万2千円」になると試算しています。国保料の高騰を抑えていくためには、国保の財政負担のあり方を変えることが不可欠だと思います。現在、国・都道府県による国保の公費負担は「給付費の50%」ですが、1984年の国保法改正まえは、定率負担と調整交付金をあわせた国庫負担は「総医療費の45%」でした。給付費に直せば6割以上でした。この間、全国知事会は、国との「国保改革」の協議の場で、「1兆円の国庫負担増」を要求しています。これが実現すれば、国保料は1人当たり3万円、4人家族で12万円の軽減となり、国保の保険料負担は協会けんぽと同水準になると知事会が説明しています。

お尋ねします。高すぎるとの国保加入者の悲鳴に応えるために、市は、国保料が高い他の自治体とも連携して、国保の国庫負担割合を大幅に引き上げるよう、強く国に求めるべきだと思います。市長のご見解をお聞かせください。

答弁

国庫負担割合につきましては、これまでから、全国市長会や近畿都市国民健康保険者協議会を通じて、早急に引き上げるよう国に要望しているところでございます。今後におきましても、引き続き機会を捕えて要望してまいります。以上

 

 現行の国保制度には、被災・事業不振など「一時的な所得激減」におちいった場合の免除制度はありますが、「恒常的な低所得」に対応する保険料の免除は行なわないことが、制度の建前となっています。また、介護保険には、生活保護基準ギリギリの所得状況にある世帯が、保険料徴収によって基準以下となる場合に、保険料免除を適用する、「境界層措置」という救済制度があるとのことですが、国保にはそうした仕組みはありません。そのため、生活保護基準以下の世帯であっても、多額の保険料がかけられて、払えないことで制裁を受けたり、生活保護基準ギリギリの境界層世帯が、保険料の賦課・徴収によって基準以下に落ち込むなど、生存権が侵害される状況が起こっているのではないでしょうか。貧困層・境界層など「恒常的な低所得」に対応した国保料の免除制度の創設が必要だと考えます。

お尋ねします。広域化に際しても、「 7割・5割・2 」の法定減額や、失業で国保に加入した人への「所得割」の軽減など、現行の減額制度も改善・拡充し、低所得者が重すぎる国保料に苦しめられる状況を打開できる制度に改善していく必要があると考えます。市長のご見解をお聞かせください。また、国および県に対しても、強く求めていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

答弁

国民健康保険料は、被保険者世帯の所得、被保険者数等に応じて賦課しており、所得が一定以下となっている世帯などについては、均等割及び平等割を、所得に応じて、7割・5割・2割軽減する措置が保険基盤安定制度において講じられているところでございます。また、被災、失業・廃業、所得激減といった事由に該当し、保険料を納めることができない場合には、保険料を減免する制度がございます。これらの保険料負担を軽減する制度については、都道府県単位化後においても、継続されるものと考えております。なお、国、県への要望につきましては、都道府県単位化後の国保制度が、国民本位の制度として安定的に運営されるよう、国の動向を注視しつつ、市といたしましても適切に対応してまいります。以上

「医療保険改革法」による「国保の都道府県化」は、市町村の一般会計からの繰入をやめさせる圧力を強めるものですが、地方自治を規定した憲法のもと、市町村独自の公費繰入を法令で「禁止」はできないというのが政府の説明です。法案審議でも、政府・厚労省は、新制度スタート後も、市町村の独自繰入は制限されず、自治体の判断で行なえると答弁せざるを得なかったということですが、当然のことだと思います。本市では、国保財政健全化、国保料引き下げのための市独自の措置として、2003年度から4億円の繰り入れを行い、さらに、2011年度からは、低所得、多人数世帯の負担を軽減するといった目的で、2億7千万円の繰り入れも計上しており、市の財政が厳しいといいながらも、9億6700万円の法定外の繰り入れを行っています。しかし、それでも、国保料が高すぎるという市民の声は止まらないのが実態です。そこで、心配なのが、国保の広域化です。

お尋ねします。広域化後も、本市が県におさめる納付金にこの約9億円の繰り入れを行い、本市の国保加入者の負担を軽減することを強く求めます。ご答弁ねがいます。

答弁

国保の都道府県単位化後における法定外の繰入金のあり方につきましては、今後示される標準保険料率や国からの保険者努力支援制度などの財政支援の動向を注視しながら、本市の厳しい財政状況も勘案したうえで、慎重に検討してまいりたいと考えております。以上

 

2013年、地方税を滞納した自営業者に対する「滞納処分」として、児童手当が振り込まれる専用口座を差し押さえた鳥取県の措置を、「違法」と断じる判決が広島高裁から下されました。また、厚労省は、国保料滞納への対応でも、公的手当が入る口座を「狙い撃ち」にするような差し押さえはできないこと、生活困窮など個々の滞納者の実情をつかみ、機械的な「滞納処分」をしてはならない旨を国会で答弁しています。これまで、ひたすら「滞納処分」の強化を訴えてきた厚労省が、こうした答弁をしたことは重要です。「国保改革」の議論のなかで、全国知事会など地方団体からは、「被保険者の多くが低所得なのに、保険料負担が重過ぎることこそ「国保の構造問題」であり、この矛盾は、国庫負担の大幅増額によってしか解決できない」ということが、たびたび指摘されています。自公政権のもと、貧困と格差が広がり、「国保の構造問題」はいっそう深刻となり、滞納世帯の増加、「資格証明書」や無保険の急増、差し押さえの横行など、さまざまな社会的被害が拡大しています。都道府県を「国保の監督者」とすることで、住民負担増、滞納制裁、給付費抑制をいっそう強化するという「国保の都道府県化」では、この矛盾は解決するどころか、いっそう拡大しかねません。低所得者が多く加入し、保険料に事業主負担もない国保を維持するのに「相当額の国庫負担」が必要であることは、国民皆保険が実現した直後、当時の首相の諮問機関である社会保障制度審議会の勧告も明言していたとのことです。 

お尋ねします。広域化するに際して、国保への国庫負担を大幅に増額し、保険料水準の全面的引き下げ、所得の低い層に対する保険料免除制度の確立、「応益割」の見直し・撤廃などの改革が必要だと考えますが、いかがでしょうか。答弁願います。

答弁

国保の都道府県単位化に際しましては、国保への公費拡充として、国が、約3,400億円の財政支援を実施することとなっております。この公費拡充には、中間所得者層を中心に保険料を軽減する保険者支援制度の拡充が含まれているなど、被保険者への財政改善効果も見込まれているところでございます。お尋ねの応益割の見直しや撤廃などの改革につきましては、国民健康保険制度は、経済的な負担能力に応じて賦課される応能割(所得割・資産割)と、保険救済などの利益を受けることに対する負担として賦課される応益割(均等割・平等割)の両方によって制度全体を支える仕組みとなっていることから、これらの見直し等につきましては、国民健康保険制度全体で議論されるべきものと考えております。なお、所得が一定以下となっている世帯などについて、応益割である均等割及び平等割を、所得に応じて、7割・5割・2割軽減する保険基盤安定制度が、都道府県単位化後においても継続されていくものと考えております。以上

 

また、「だれもが払える負担額」にしてこそ、保険料の収納率は改善し、国保財政は安定すると考えますが、いかがでしょうか。答弁ねがいます。

答弁

国民健康保険制度につきましては、財政基盤の安定化が優先課題となっております。具体的には、市町村国保が抱える構造的問題として、①低所得者の加入が多い、②加入者の年齢構成が高い、③所得に占める保険料負担が重い、などの課題がございます。そのような国保が抱える課題に対応すべく、国におきましては、国民健康保険の都道府県単位化により、都道府県が国民健康保険の財政運営の責任主体として、安定的な財政運営や効率的な事業の確保などの事業運営の中心的な役割を担うとともに、国民健康保険への約3400億円の財政支援の拡充を行い、国民健康保険制度の安定化を図ることとなったものでございます。こうしたことに加え、一定の所得以下の世帯に対して、均等割及び平等割を7割・5割・2割軽減する保険基盤安定制度といった保険料軽減策についても、都道府県単位化後も継続して措置されることから、負担能力に応じた保険料の公平性が図られるものと考えております。一方、国民健康保険の医療費は、年々増加し、被保険者の保険料負担も増加傾向にあります。本市といたしましても医療費の適正化に向けた取組を進め、保険料の収納対策等の一層推進いたしますが、国においても、国民皆保険制度を維持するため、国民健康保険制度を継続的・安定的に運営できるよう努めることが重要であると考えております。以上

 

 国保料や国保財政などから質問してきましたが、社会保障制度にかかわる市民負担は、国保料に限らず、市民生活に大きな負担にならないように、運営されることが強く求められます。

 そうしたことからも正規雇用の拡大、賃上げ、中小企業振興など、国民のくらし第一の経済政策が不可欠だと思います。こうした経済政策について、市は、具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。答弁ねがいます。

答弁

本市では、平成26年に尼崎市産業振興基本条例を制定し、「産業の振興」、「起業の促進」「雇用就労の維持創出」の3つの基本理念の元、雇用就労や中小企業の振興等に関する各種施策を実施しております。具体的には、中小企業の日々の経営相談やものづくり技術相談、金融相談のほか、展示会出展補助など中小企業の販路開拓・営業力強化に対する支援を行っております。さらに、本市の就労支援窓ロでは、正社員の求人を中心とした企業開拓や、正社員採用での求人を参加要件とした就職面接会等に取り組んでおります。また、平成27年に策定しました尼崎版総合戦略におきましても、本条例の基本理念を踏まえて、「経済の好循環と『しごとの安定』を目指す」ことを基本目標のひとつとし、企業立地促進制度など、新たな雇用の創出に寄与する事業について、より効果的・効率的な取組を推進することとしております。一方、国におきましては、賃金引き上げを伴う設備投資を行った場合に、その費用の一部を助成する制度など、企業における雇用・賃金増加の取組に対する優遇支援を行っております。今後も、こうした国等の動きや取組を事業者に対し積極的に周知するとともに、産業関係団体等との連携をさらに深める中で、より効果的な産業施策の構築に取り組んでまいります。

これで第2問目を終わります。

3問目

 「国保改革」の議論の中で、全国知事会などからは、被保険者の多くが低所得であり、国保料負担が重過ぎることこそ「国保の構造問題」であり、この矛盾は、国庫負担の大幅増額によってしか解決できないとたびたび指摘されています。貧困と格差が広がるもと、「国保の構造問題」は、より深刻になり、多くの滞納世帯を生んでいます。自公政権の「国保の都道府県化」では、矛盾は解決するどころか、一層拡大しかねません。国・県・市ともに、現在の国保料は、負担能力を超えて高いのが最大の問題点ということを共通の認識にしてほしいと強く思っています。市としても、国・県の公費負担割合を拡大するように強く働きかけほしいと願っています。広域化に際して、国保行政のかなめになる兵庫県に対して、各市町村が共通の認識のもと、共通の努力を払い、連携した取り組みにより、より良い国民健康保険制度に発展させるよう、強く願って、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。