日本共産党議員団の稲村市長への2017年度予算に対する要望書

尼崎市長 稲村和美 様

     2017年度予算に対する要望書 

                  2016年11月9日 

                     日本共産党議員団

                       徳田 稔

                       辻  修

                       松沢 千鶴

                       松村 ヤス子

                       真崎 一子

                       川崎 敏美 

 市長をはじめ職員の皆さんが、地方自治の本旨に基づいて、平和と市民のくらしを守り発展させるために、日々尽力されていることに敬意を表します。安倍政権は立憲主義を否定して、憲法をないがしろにする政治をすすめています。またアベノミクスの効果に疑問が言われるなか、2019年10月から消費税率を10%に再引き上げしようとしています。労働者派遣法の改悪による不安定・低賃金の非正規雇用の増加、社会保障制度の負担増によって市民のくらしは痛みつけられています。税金は負担能力に応じた税制改革、社会保障の拡充路線への切り替え、残業時間の上限規制をはじめ働き方の改善など、くらしを応援することが求められています。このようななかで、子育て世代の定住・転入の促進、経済の好循環で地域の活性化を図り、これからの超高齢化社会において、安心して暮らせる市政運営をめざされることを強く要望します。以下、来年度予算に対する日本共産党議員団の要望書を提出させていただきます。 よろしくご配慮いただきますようお願いいたします。                                      以上

<国への要望>

1 原子力発電からの撤退を政治決断し、再生可能エネルギーへの転換を加速させるよう強く求めること。重大事故が起これば本市にも多大な放射能汚染をもたらす恐れのある福井県の高浜原発第4号機の再稼働を許さないこと。また、老朽化した美浜、高浜第1・2・3号機、もんじゅの廃炉を国に求めること。

2 憲法違反の閣議決定に基づく安全保障関連法制については、廃止を求めること。南スーダンからの自衛隊の撤退を求めること。

3 労働者派遣法の改悪は更なる貧困格差を生み出し、本市にとっても財政基盤を脆弱にする。労働者派遣法の抜本改正、「残業代ゼロ法案」の撤回、「サービス残業」を根絶する罰則強化、残業時間の上限を法律で規制する労働基準法改正を求めること。

4 消費税増税は市民生活、地域経済、市財政等に多大な悪影響を与える。所得が低いほど負担の重い逆進性の消費税に頼らず、「税金は負担能力に応じて」の原則に立った税制改革を求めること。

5 地方交付税について近年改善しつつはあるが、基準財政需要額、基準財政収入額ともに実態との乖離をなくすよう、ひきつづき求めること。

6 障害者総合支援法は、「基本合意」や「骨格提言」に基づいて見直すよう、ひきつづき求めること。

7 障害者総合支援法に基づく福祉サービスを受けている障がい者が、65歳になると介護保険に移行し、サービスの量が不足したり自己負担が生じる場合が出てくる。障害者総合支援法を優先するよう求めること。

8 難病対策として、低所得者の医療費減免を求めること。

9 障がい者支援事業所への報酬は月払いに改め、基本報酬単価を引き上げるよう求めること。

10 生活保護費の引き下げを元に戻し、老齢加算を復活するよう求めること。また、母子加算は減額・削除しないよう求めること。

11 生活保護のケースワーカー数について、社会福祉法(第15条所員の定数)は「標準数」としているが、見直し前の「法定数」に戻すよう求めること。

12 予測される南海トラフ巨大地震・津波に対する防災対策については、市民力の強化にもまして自治体職員の果たす役割が大きくなる。必要な職員を配置できるよう財政措置を求めること。

13 国民健康保険会計に対する国の負担割合を引き上げるよう、ひきつづき求めること。

14 介護保険の利用者負担は現行の1割を堅持し、軽度者を給付対象から外さないよう求めること。特に、軽度者の福祉用具・住宅改修、生活援助は現行制度を継続するよう求めること。

15 介護予防日常生活支援事業が来年4月から市の総合事業に移行するが、対象者の支援が現行通り継続できるよう財政措置を求めること。

16 全産業の平均給与より大幅に低い保育や介護など福祉現場で働く労働者の処遇改善を迅速に行うよう求めること。

17 「アスベストは公害」の立場に立ち、認定被害者の医療費負担は全額加害企業と国にひきつづき求めること。

18 アスベストによる中皮腫の早期発見につなげるために、所見の変化が分かる経年的な検診制度と治療法の確立を国の責任で行うよう求めること。

19 「カジノ設置法」に反対すること。

20 公営住宅申し込み資格のある住宅確保要配慮者に対する住宅対策として、家賃補助制度の創設を求めること。

21 中学3年生まで35人以下学級を実施するよう、ひきつづき求めること。

22 中学校給食をすべての自治体で実施するよう、制度化を求めること。

23 子どもの貧困問題解決の一助として、児童扶養手当の更なる増額を求めること。

24 マイナンバー制度は「なりすまし」詐欺や情報漏えいなどの危険がある。運用をやめるよう、国に求めること。

<県への要望>

25 子どもの医療費を所得制限なしで中学卒業まで無料にするよう、ひきつづき求めること。

26 障害者医療費助成制度について、身体障がい者は3級まで、知的障がい者は中度まで、精神障がい者は2級まで対象を拡充するよう、また、所得制限については本人所得を基本とするよう、ひきつづき求めること。

27 液状化による沈下が想定される尼崎側の武庫川堤防の耐震調査を実施するよう求めること。

28 武庫川河川敷公園の洪水対策を行うよう求めること。

29 県道園田西武庫線の藻川工区については、住民合意が得られるまで架橋等の工事は凍結するよう求めること。

30 兵庫県公立高校の学区は尼崎学区に戻し、当面は、公立高校のクラス数を増やすよう求めること。

31 中学校3年生まで、少人数学級を実施するようひきつづき求めること。

32 いじめ、不登校、非行などの問題の発生予防、教師の多忙解決のために必要な教職員を配置するよう求めること。

33 栄養教諭を全校に配置するよう、求めること。

34 学校生活支援教員の大幅な増員及び拡充、通級指導教室の設置を求めること。

35 県立尼崎総合医療センターの五合橋線南行きバス停にベンチを設置すること。 

<市への要望>

  • 企画財政局・総務局

36 市財政確保の観点から、現役世代の定住・転入の促進は不可欠の課題である。そのために

  ①学校給食法にもとづく中学校給食を早期に実施すること。

  ②中学卒業まで子どもの医療費は無料にすること。

  ③基礎学力及び応用力向上に必要な教職員について、学校現場が要望している人員加配を行うこと。

37 移譲後の阪神バスの路線運行について検証を行うこと。市民要望を踏まえて、地域公共交通の充実に努めること。特に、園田地域から県立尼崎総合医療センターへ直通で行けるバス路線がないので、早急に設けるよう阪神バスに働きかけること。

38 公共調達基本条例について、実施後の検証を行うこと。「労働関係法令遵守報告書」の分析を行い、今後の契約の改善に努めること。契約先労働者の賃金の最低額を規定するいわゆる「賃金条項」について、導入も視野に入れて調査研究を行うこと。

39 市民意見聴取プロセスにおける熟度の低い段階では、市民に具体的なイメージが伝わりにくい。市報、ホームページでの記述の改善も含め、丁寧な説明に努力すること。また、多くの市民から反対意見が寄せられた計画は、市民意見に真摯に向き合い市民の理解が得られるまで実施しないこと。

40 旧聖トマス大学跡の施設やグランドは、地域住民も使用ができるようにすること。

41 JR塚口駅東口のバス停ベンチをはじめ市内数カ所のバス停ベンチの設置を求める市民要望がある。阪神バスと協議し、早急に対応すること。

  • 危機管理局・資産統括局

42 高齢者施設の防災訓練に対して、ひきつづき市から指導者(防災士)を派遣すること。各施設の訓練を掌握して、ひきつづき交流を深めること。

43 防災ハンドブックの内容を適宜更新して、あらゆる機会を通じて市民が学べるよう努めること。

44 ひきつづき、全市を対象にした広域的な避難訓練を定期的に行うこと。また、地域特性に適する避難計画と訓練を、学者専門家と協働して行うこと。

45 保健福祉センターの2カ所集約については、乳幼児健診などが遠くなるため柔軟に対応すること。支所・地区会館の合築にあたっては、乳幼児健診が可能となるような設備を設けること。

46 市立東高校跡地の活用計画は住民合意が得られていない。住民の意見を踏まえ見直すこと。

47 大庄西中学校・啓明中学校・若葉小学校跡地については、住民の意見を尊重し、防災などの課題解決とまちの活性化に役立つものとすること。

48 旧若草中学校跡地は、地域の意見を十分に反映させて活用すること。

49 武庫川河川敷公園については、台風・洪水による被害が相次いでいるため、復旧だけでなく地盤の改良など、洪水がおこっても被害を抑える構造とすること。

50 南海トラフ地震の津波や水防法の改正により、大きな被害が想定されている猪名川・藻川・神崎川流域について、越流などによる浸水対策の強化を行うこと。

  • 健康福祉局

51 乳幼児健診は支所と地区会館を合築する新複合施設で行えるようにすること。また、地域保健・福祉の申請窓口業務は社会福祉協議会に委託するのではなく、市職員で行うこと。

52 公営住宅入居資格のある高齢者世帯の住宅家賃助成制度を創設すること。

53 介護保険料を滞納するとサービス利用時自己負担は3割となる。しかし、厚生労働省の見解によれば1割にしたとしても自治体にペナルティをかける権限はないとのことなので、滞納状況や対象者の状況を考慮した柔軟な対応をすること。

54 特別養護老人ホーム増設をすすめ、待機者を減らすこと。

55 来年4月開始の介護予防・日常生活支援総合事業について、新たに要支援の認定を受けた人も含め有資格者による生活支援を行うこと。また、介護事業所の報酬は現行の介護予防と同額とすること。国に対して必要な財政措置を求めること。

56 障がい者の移動支援事業について、市はレセプト備考欄に行き先記入を求めているが、それはプライバシー侵害であり、即刻やめること。

57 計画相談事業は、障がい児者のニーズに合わせた適切なサービスの利用が行えるためのものである。しかし、市からの規制が強くニーズに応えた計画ができないとの声が相談員から上がっている。是正をすること。

58 阪急園田駅のエレベーター設置を急ぐこと。

59 アスベストによる深刻な健康被害が相次ぎ、中皮腫や肺がんで亡くなる人が後を絶たない。ハイリスク者に対して、恒常的な健康管理体制を確立すること。

60 旧小田南中学校卒業生など、旧クボタ神崎工場周辺の学校卒業生にアスベスト被害が多発している。クボタがアスベストを使って操業中の時期に在校していた人に対し、アスベスト検診をすすめること。

61 スクールソーシャルワーカーの勤務時間と人の配置を増やすこと。

62 子どもの医療費は、中学卒業まで所得制限なしで入院・通院ともに無料にすること。

63 無料低額診療事業適用者への支援として、薬局一部負担金に対して市の補助を創設すること。

64 夜間・休日急病診療所での深夜帯(午前0時から6時)の小児救急医療を復活すること。

65 福祉避難所を増やし、要援護者や家族に周知すること。また、避難時、直接福祉避難所に避難できるようにすること。

  • こども青少年本部事務局

66 子どもの貧困についての実態調査を行うこと。

67 子ども食堂を実施している個人、団体に、支援すること。

68 老朽化した公立保育所の建て替え計画を策定し、順次建て替えを行うこと。

69 子ども子育て支援制度の制定や子どもの貧困が大きな社会問題となっているなど、保育をとりまく環境は大きく変化している。10年前に策定した「公立保育所の今後の基本方向」は今の状況にマッチしているかどうか疑問である。「基本方向」に基づく公立保育所第4次民間館は移管計画は凍結し、見直すこと。また、公立保育所の企業への移管は絶対にやめること。

70 保育料は、負担感の高いD階層の軽減を行うこと。

71 0歳児保育に単独補助を行うこと。

72 民間保育所への保育士処遇改善補助を市単独で行うこと。

73 保育所の入所要件に、「障がいがあること」を追加すること。

74 児童ホームの入所希望者が全員入所できるようにすること。

75 児童ホームの施設を生活の場にふさわしく拡充すること。子どもクラブとの統合は行わないこと。

76 中・高生の居場所づくりを促進すること。そのために、子どもたちの生活実態調査を行い、児童館事業を復活すること。

  • 都市整備局

77 尼崎市自転車ネットワーク整備方針に基づき、歩行者道・自転車道・自動車道の区分の明確化を促進すること。自転車の交通ルールについての啓もう活動を促進すること。

78 市営住宅マスタープラン及び公共施設マネジメント基本方針では「市営住宅の戸数を減らす」としているが、入居希望者が非常に多いことを配慮し、市営住宅の戸数を減らさないこと。

79 低所得者・高齢者・新婚世帯の家賃補助制度を創設すること。

80 空家リフォーム助成制度を創設すること。

81 木造住宅の耐震補強の公的補助制度について、市民に周知すること。

82 金楽寺町の借り上げ復興住宅の借り上げ期限20年が到来する。ひきつづき居住を希望する人に対しては、個別借り上げを行うこと。

  • 教育委員会

83 中学3年生までの35人以下学級を実現すること。また、達成するまでは対応策として教職員の加配を行うこと。

84 質の良い安全安心の中学校給食を、早期に実施すること。

85 トイレの改善は児童生徒の健康管理の面からも重要であり、トイレの老朽化対策及びすべての校舎の4階に設置することは、必要な施設整備である。最優先で実施すること。

86 車いすや階段を利用できない児童生徒のために、校舎にエレベーターを設置すること。

87 読書力向上事業の更なる向上ために、全小学校に配置されている臨時的任用職員は正規職員にすること。また、中学校については全校に常時図書司書を配置すること。

88 教師が教育活動に専念できる体制づくりのために、給食費・教材費の徴収事務は教育活動から外し、市の責任で行うこと。

89 特別支援学級の生活介助員は不足している。実態を調査し、子どもの実情に合わせて増員すること。

90 阪神間で一番高い尼崎の市立幼稚園保育料を引き下げること。

91 中断している学校プールの改修計画を復活させ、残事業の計画を作成すること。

92 児童生徒の増加が見込まれる学校については、事前に状況を把握し、児童ホームも含めすみやかな対策を講じること。

93 給食費の保護者負担を軽減すること。

94 地域の様々な活動に貢献している地域学習館に対する補助金を復活し、運営を援助すること。

95 特に、小園地域学習館は耐震化されている。廃止せず存続させること。もし廃止するとしても、地域住民と協議して、ひきつづき施設が活用できるようにすること。

  • 市民協働局

96 国民健康保険について

(1)高すぎる保険料を引き下げること。都道府県単位になっても、一般会計からの繰り入れ(①財政健全化繰入金、②多人数世帯等の負担軽減を図る特別減免)は減額せず継続すること。

(2)また、現在本市が実施しているその他の独自事業(①結核・精神医療付加金および葬祭費、②あんま・マッサージ・はり・きゅう施術助成、③特定健診等)についても継続すること。

(3)国民皆保険制度の主旨にのっとり、未納保険料の有無にかかわらず、正規の国民健康保険証をすべての世帯に郵送すること。

(4)国民健康保険料減免制度をさらに拡充すること。

(5)国民健康保険の一部負担金減免制度は、所得激減を条件とせずに生活困窮世帯も対象にするなど、使いやすく安心して受診できる制度に改善すること。

(6)預金残高があっても、事業継続上必要不可欠の運転資金である場合がある。国民健康保険料徴収のため、本人の承諾なしに一方的に資産調べや差押えを行わないこと。差押え禁止財産は、差し押さえないこと。

(7)分納誓約時に、納税者を一方的に追い詰めるだけの「分納誓約額算出書兼確認書」を求めないこと。

97 市民課窓口業務の民間委託をやめ、市職員で行うこと。

98 旧梅香小学校跡に造られる複合施設の大・中・小ホールは、かっての労働福祉会館のように市民の使い勝手がいいものにすること。

  • 経済環境局

99 太陽光パネル設置を促進するために、一般住宅への補助制度を復活すること。

100 地域振興を図るために、小規模企業振興基本法に基づいて、小規模企業、特に小企業に対する振興策を強化すること。そのために、すべての中小業者の実態調査を行うこと。

101 制度融資の利子補給・保証料補助は、困難をかかえる中小業者が活用しやすい、元気の出る中小企業融資にすること。

102 地域経済活性化のために、住宅・店舗リフォーム助成事業を創設すること。

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