2016.12月議会での松沢ちづる議員の一般質問の発言です

 

1登壇

 日本共産党議員団の松澤千鶴です。私は、高齢者の社会的孤立の問題、来年からはじまる介護予防・日常生活支援総合事業、障害者移動支援事業について質問します。

 まず、高齢者の社会的孤立についてです。

国は、団塊の世代が75歳以上になる2025年を目途に、重度な介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、また、今後増加が見込まれる認知症高齢者が、地域で生活が続けられるためにも、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される地域ケアシステムを構築することが重要だとしています。そして、このシステムは、介護保険の保険者である地方自治体が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じてつくりあげていくべきだとしています。しかし、私は、ここで疑問を感じています。介護保険からの切り口だけで、果たして人生の最後まで支えるシステムができるのかという疑問です。介護保険は自らあるいは周りの人が要介護認定調査を申請するのが入口です。自ら申請しない、周りも気づかない社会的孤立した高齢者が現実にいるではないか、そこにどのような手立てが必要かという問題意識を持っています。

 まず、おたずねします。尼崎市の65歳以上の1号被保険者数に対する要介護認定者の比率、また、認定を受けた方の何割が実際に介護保険サービスを受けているのかお答え下さい。

答弁

平成28年3月末における第1号被保険者123,967人のうち、21.18%の26,251人(要介護i16,539人、要支援9,712人)が要介護・要支援の認定を受けています。また、認定者のうち、介護保険サービスを利用されている割合は、81.560%となっております。

 

 尼崎だけでなく全国で、高齢者の一人暮らし世帯や高齢者夫婦世帯で、死後相当日にちが経って発見される悲惨な孤立死が発生しています。高齢社会白書という政府が毎年国会に提出する年次報告書の2010年版では、次のように言っています。「高齢者の孤立死問題については、例えば東京23区において年間2000人程度自宅で死亡しているが、この多くが孤立死であるとする調査研究や、これに基づく推計によれば全国で年間15,000人程度の高齢者が死後4日以上を経て発見されているとする報告もある。また、前述の調査では『誰にも看取られることなく、亡くなった後に発見されるような孤立死が身近な問題だと感じる人』の割合は、60歳以上の高齢者の4割を超え、ひとり暮らし世帯では6割を超えている。」そして、「孤立死は人間の尊厳を損なうものであり、死者の親族、近隣住民や家主などに心理的な衝撃や経済的負担を与えることから、孤立死を、生存中の孤立状態が死によって表面化したものだと捉え、社会的孤立を問題として受け止めるべきだ」としています。

 おたずねします。尼崎での高齢者の孤立死について、これまで調査研究がありますか。

答弁

孤立死の実態については、現在、警察が死体検案を行った件数等を公表していないことから、調査・把握できておらず、その傾向も不明ですが、孤立死を一人でも少なくするため、高齢者の見守り活動や民生児童委員の友愛訪問など、地域での見守り体制の充実が大事であると認識しています。以上

次に、2010年度版白書では社会的孤立に陥りやすい高齢者の特徴について、①ひとり暮らし世帯、②暮らし向きが苦しい、③健康状態がよくないことを挙げています。尼崎の状況はどうでしょう。30年以上高齢者と貧困の問題を研究されている明治学院大の河合克義教授は、「ひとり暮らし高齢者出現率」という指標を使っておられます。都市や農村など生活する場所が違っても、比較できる数字のようです。その地域の65歳以上の高齢者を含む世帯に対する65歳以上のひとり暮らし世帯の割合を「ひとり暮らし高齢者出現率」とされています。すでに2015年の国勢調査の結果が出ていますので、そこから「ひとり暮らし高齢者出現率」を算出できると思います。

 おたずねします。尼崎市の「ひとり暮らし高齢者出現率」はいくらでしょうか。近隣市に比べてその値は高いか低いかお答えください。

答弁

65歳以上の高齢者を含む世帯に対する65歳以上のひとり暮らし世帯の割合につきましては、総務省が公表している平成27年度の国勢調査結果から計算しますと、本市では34.78%となっております。また、近隣市との比較では、兵庫県下では、神戸市の36.04%の次に高く、全国平均の27.30%及び兵庫県平均の29.38%よりも高い割合となっております。以上

 次に、所得についてお聞きします。

2015年の国勢調査によれば、市民の平均所得は309万円です。ちなみに伊丹市は327万円、西宮市は419万円、宝塚市401万円です。近隣市に比べて市民所得が低いことが尼崎市のひとつの特徴です。では、高齢者はどうでしょうか。1号被保険者の介護保険料の階層別人数でそれをみることができます。1号(65歳以上)被保険者の介護保険料で「基準額」とされている第5段階の所得は、世帯に課税者はいるけれど本人は市民税非課税で合計所得金額と公的年金などの収入の合計が80万円以上です。本人だけの収入では生活が苦しく、家族の収入に頼る階層といえるので、第5階層から下のランクが「暮らし向きが苦しい」人たちと見ていいと思います。

 おたずねします。1号被保険者の第1から第5段階までに占める人数、割合をお答え下さい。

答弁

平成27年度における介護保険料の第1から第5段階の調定人数につきましては、87,241人となっています。また、全段階の総人数のうち、この保険料第1から第5段階の占める人数割合につきましては、約65%となっています。以上

 続いておたずねします。尼崎市は、社会的孤立防止の対策にもなる見守り安心事業を行っています。また、いきいき百歳体操や高齢者ふれあいサロン事業を行っています。

現に実施されている見守り安心事業の対象世帯数と人数、いきいき百歳体操や高齢者ふれあいサロン事業の参加人数をお答えください。

答弁

見守り安心事業は単身高齢者や高齢者のみの世帯を対象としており、現在実施している40地区の対象者は住民基本台帳上で、平成28年12月1日時点で約25,100世帯、約34,500人で、そのうち見守り希望登録者については、約3,300世帯、約4,300人となっております。「いきいき百歳体操」は平成28年11月末日時点で70のグループが活動しており、約1,400人の方が参加されております。また、「高齢者ふれあいサロン」につきましては、本年10月から新たに事業実施しているもので、実績報告を受けてはおりませんが、平成28年11月末時点で65か所で実施されており、約1,000人の方が参加見込みとなっております。以上

 次に、介護予防・日常生活支援総合事業についてお聞きします。市は生活支援サポーターの養成を来年度から始めるとしています。とりあえず現状の要支援の方の状況から900人程のサポーターが必要だと考えられているようですが、先行実施している他の自治体でも、サポーター養成は、まだ手が出せていない状況です。暫定期間の2年で充足できない場合が想定されると思いますが、この場合でも要支援の方からはサービス提供は求められるので、ヘルパーさんが行くことになるでしょう。

 おたずねします。サポーターが充足できず有資格のヘルパーが生活支援を行っても、報酬は2018年には90%、2019年には80%に削減するつもりでしょうか。

答弁

生活支援サポーターが主たる従事者となる「標準型訪問サービス」の報酬設定につきましては、従来の介護予防訪問介護のサービス単価を参考にしつつ、業務内容を容易な家事支援に限定し、専門性の軽減と業務量の減量化を図る中で、新たな業務に対する新たなサービス単価として設定しております。そのため、「標準型訪問サービス」の報酬単価については、従来の単価を減額するという考えではなく、その単価設定については業務内容に応じた新たな報酬水準であると考えております。その中で、標準型訪問サービスに専門資格を有する訪問介護員が従事した場合の2年間の経過措置につきましては、事業者の負担軽減に配慮するとともに、必要なサービス提供体制の確保と、円滑な事業移行を目的にあくまで特例的に実施するものです。総合事業において、新たな担い手の確保とサービス提供の仕組みづくりは、制度の持続可能性を高めるための必要な取組みであり、本市といたしましては、近隣他都市とも連携を一層密にする中で、経過措置期間中に目標を達成することができるよう、生活支援サポーターの養成に全力で取り組んでまいります。以上

 次に、障害者の移動支援事業についてお聞きします。

日本は、2014年国連加盟国193カ国ある中で140番目にやっと「障害者の権利に関する条約」に批准しました。この条約の締約国は、「全ての障がい者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を有することを認めるものとし、障がい者がこの権利を完全に享受し、並びに地域社会に完全に包容され、及び参加することを容易にするための効果的かつ適当な措置を取る」ことが求められています。また、条約の20条では、個人の移動を容易にするための措置をするよう求められています。本市では国が条約を締結する以前から、障害福祉サービスについては当事者と市の話し合いをベースに進められてきました。そして、他市にはない障がい者が社会参加しやすい体制が創り上げられてきました。そのひとつが移動支援事業です。買い物や映画鑑賞、散歩、観光、行事参加など障害があるがために自分ひとりでは自由に参加できない部分を支援するものです。ところが、市は2年前「行き過ぎを是正するため」だといって、毎月サービス事業所が報酬請求のために提出する「サービス提供実績記録表」に、移動先を明記するように見直しを行いました。そして、記入された内容によっては請求が却下される事態が出てきました。

 おたずねします。当事者のみなさんの中には『なぜ障がい者は外出先まで書かなければいけないのか。プライバシーの侵害だ』と批判的意見が当然あります。障害者の権利に関する条約の主旨からいっても、移動先の記入を求めることはやめるべきです。いかがですか。

答弁

移動支援事業の実施にあたり、各利用者の利用状況等を必要な範囲において把握し、請求審査を行うことは、制度運営上、必要なものと考えており、「障害者権利条約」の趣旨に反するものではないと考えています。また、この制度運用にあたっては、平成26年12月に開催した事業者説明会などにおいても、その旨を説明し、ご理解を求めているところでございます。以上

 今議会健康福祉委員会の協議会案件にあがっている移動支援事業支給決定基準案、いわゆるガイドライン(案)には、報酬単価の変更つまり報酬削減が提案されています。当局に事前に説明を求めたところ理論的には整合性が保たれているとのことですが、障害支援区分4・5・6いわゆる中重度の肢体不自由の方を支援するある事業所が試算をされました。対象者は長く座位が保てなかったり、トイレが外出先では困難だったりするので、多くが1回1~2時間程度の利用です。Aさんの場合月16回利用で報酬差額-38,200円、Bさんは月15回の利用で-30,200円、いずれも現行の37~40%カットです。事業所責任者は「今でも職員は低賃金で働いている。更に報酬削減では、人材確保が困難になる。サービスを求める障害者に必要な対応ができなくなる」と衝撃を隠せません。

 おたずねします。大幅な報酬単価削減です。これで果たしてサービス事業所が運営して行けるのでしょうか。当局の考えをお聞きします。

答弁

移動支援事業の報酬単価の見直しに当たっては、重度の障害者が本来利用できる障害福祉サービスへ移行していただけるよう、重度知的障害者や重度精神障害者の移動を支援する「行動援護」サービスに従事するヘルパー専門研修が未受講であるヘルパーがサービスを実施した場合の報酬単価を参考に、ヘルパーに支払われる時給の約2倍となるよう想定して、新たな単価を設定しています。また、厚生労働省が実施した「平成26年障害福祉サービス等経営実態調査」においては、行動援護サービスの報酬に対する給与費の占める割合が68.4%であることに対し、新たな単価設定では50%程度となることから、事業所の運営は可能であると判断したものです。なお、この単価につきましては、当事者団体や事業者の代表が参加する自立支援協議会で協議を重ねて設定したものですが、委員からは、事業所の経営に影響を与えるといった懸念や、その準備期間を考慮する必要があると意見が出ましたことから、報酬単価の見直しにあたりましては、平成29年度下半期から実施することとしたものでございます。以上

 これで第1問を終わります。

第2登壇

 高齢者の社会的孤立の問題から続けます

答弁から分かったことをまとめてみます。2015年国勢調査で尼崎市のひとり暮らし高齢者は28,903人、ひとり暮らし高齢者出現率は近隣市に比べて高く、34.8%です。ひとり暮らしの高齢者がたいへん多いということがわかりました。 暮らし向きについては、1号被保険者の65%が第5段階以下ということでした。尼崎の高齢者は低所得者がたいへん多いことが分かりました。 健康状態についての尼崎の特徴は、これまでの健康増進課のまとめなどで平均寿命が全国より短い、がん死亡が多いなど聞いており、決して健康的だとは言えません。これらの状況を見ると、総じて尼崎の高齢者は社会的孤立に陥りやすい条件がそろっていると言えます。それなのに介護保険のサービスを利用している人は、65歳以上の14.7%だけ。また、高高齢者等見守り安心事業で把握されている高齢者は40地区で4,339人、見守り登録希望者の12・5%のみです。行政として把握できている量が少なすぎるのではないでしょうか。

 介護保険は自ら声を上げられる人にとっては利用しやすい制度ですが、社会的に孤立した声をあげない人にとっては、制度との距離が大きいものになっています。また、介護保険制度の導入によって、高齢者福祉の行政サービスの大部分は民間事業者に委ねられました。地域包括ケアシステムの要となるべき地域包括支援センターは、12ヵ所すべてが民間委託です。地域の支え合い活動は、地域活動専門員もサポート事業も社協がやっています。

 おたずねします。市の役割は、これらを有機的に繋げるものだ言われるかもしれませんが、行政として、社会的に孤立した高齢者の声なき声を把握する力が弱まっているのではないですか。この点について、市長はどのように認識されていますか。見解を求めます。

答弁

社会的孤立状態にあることで支援に結びついていない高齢者等の早期把握は、課題の深刻化等を防止する観点からも大切なことだと考えております。しかし、超高齢化社会が進展する中、要援護者の増加や課題の複雑化などを背景に、行政職員だけでこれらの課題に対応することは年々困難になっております。このため、民生児童委員による友愛訪問や、高齢者等見守り安心事業による見守り活動のほか、ふれあい喫茶や百歳体操等の身近な通いの場における、ゆるやかなつながりを通じた見守り活動など、地域の人々による様々な支え合い活動を行政として支援してきました。また、こうした取組のほか、新聞や宅配事業者等との見守り協定の締結や、地域包括支援センターの総合相談などにより、重層的な支援体制を構築してきました。今後は、平成30年1月に設置予定の(仮称)保健福祉センターを中心に、保健と福祉の連携による総合力と、専門機関による、さらなる総合的な相談支援のネットワーク体制の構築を行い、地域の支え合いの取組との連携を深める中で、生活・福祉課題を抱えて社会的に孤立状態にある高齢者の把握と支援に取り組んでまいります。

 東京都港区の実践を紹介します。

ここはひとり暮らし高齢者出現率が2015年41.6%で、尼崎市よりひとり暮らし高齢者の率が高い自治体です。2011年から2012年にかけて港区のひとり暮らし高齢者に対する実態調査、75歳以上の高齢者を含む2人世帯への実態調査を実施し、分析した結果、孤立し声をあげないひとり暮らし高齢者の存在、とりわけ、いろいろな制度を一切利用していない人が問題になりました。また、家族と同居の世帯は地域の目が届きにくく、支援が必要な世帯が少なくないことが分かりました。港区は対策として、介護保険や福祉サービスを全く利用していないひとり暮らし高齢者と75歳以上の高齢者夫婦世帯を対象に、11名の「ふれあい相談員」が1軒1軒訪問して区の福祉サービスに繋げるなどの支援を行っています。ひとり暮らし高齢者だけでも12,900人いる港区でたった11人の相談員では活動に限界はあるものの、相談員が入ることによって、地域住民が安心して問題を抱える高齢者と関わりを持つことができるようになったと報告されています。また、住民の主体的活動を束ねる社協職員からは、ふれあい相談員という専門的サービスの底支えができて、住民活動がやりやすくなったと述べています。支え合い地域ネットワークづくりの重要なポイントになるのではないでしょうか。

 尼崎市も、介護保険などを何も利用しない社会的孤立の高齢者を訪問し、必要なサービスにつなぐ相談員制度をつくるべきではないでしょうか。今後の施策として、港区のような相談員制度をつくる必要性についての市長の見解をお聞きします。

答弁

地域包括支援センターの機能のひとつに高齢者の総合相談業務があり、これまでから、地域のケアマネジャーや社協職員、民生委員等の関係機関と高齢者を地域で支える連携体制の構築に努める中で、社会的孤立状態にある高齢者について、当人から相談がなくても、地域の方や関係機関等から相談があった場合は、センターの職員が訪問等により状態を確認し、必要な支援に繋げる活動を行っております。さらに、行政の取り組みとして民生委員に要援護独居高齢者リストを提供し、単身高齢者宅へ訪問活動をしていただくほか、ふれあい喫茶などの小地域福祉活動への参加を促すよう実施地域にお願いするなどしており、引き続き、これらの取組を重層的に進めてまいります。以上

 次に介護予防・日常生活支援総合事業について伺います。先ほどの答弁では、生活支援サポーターが充足できずヘルパーさんが支援すると、2019年には報酬が80%にカットされるとのことでした。

 おたずねします。サポーターの養成に責任を持つのは尼崎市であり、ヘルパー事業所には何の責任もありません。それなのに、どうして事業所の報酬削減になるのですか。理不尽です。市の責任はどう果たすのですか。

答弁

第1問目で先程もこ答弁申し上げたとおり、標準型訪問サービスの報酬単価については、従来の単価を削減するものではなく、新たな業務内容に応じた新たな報酬単価を適正に設定するものであり、現行の報酬水準を維持する考えはございません。しかしながら、総合事業の開始時点においては、生活支援サポーターが充足するまでの間、有資格者の訪問介護員が主たる従事者になる状況を考慮し、事業者の負担軽減に配慮する取組みとして2年間の経過措置の実施を予定しているところでございます。介護サービス事業者に対しては、今後とも説明会等を通じて、本市の総合事業の実施目的や事業内容等について十分に説明を行い、事業に対する理解を深めてまいりたいと考えております。以上

 いくつかの事業所から聞く話ですが、現状として、規模の大きい事業所はなかなか要支援の方のサービスを引き受けない。小規模程、要介護のケース紹介が少なくて、いや応なく要支援者のサービスを引き受けているとのこと。機械的に報酬を2018年90%、2019年80%にカットしていくようでは、要支援の方の生活支援を引き受けている小規模事業所は経営悪化で、消えてしまう危険性があります。そうなれば、尼崎の介護の必要量が保てません。

 おたずねします。サポーターの養成が充足するまでは、せめて報酬削減分を市の一般会計から補てんする、などして現行報酬額を維持し、市の責任を果たすべきです。市長の見解をお聞きします。

答弁

行動援護の資格要件につきましては、行動援護従業者養成研修を修了した者で、知的障害者又は精神障害者の直接業務に、ヘルパーについては1年以上、サー一ビス提供責任者については3年以上の従事経験を有するものとされています。このため、平成28年12月22日に開催する予定の事業者説明会におきまして、研修の受講を促していきますが、最近の県内における養成研修の開催状況をみますと、年度の上半期において、概ね3日間程度のカリキュラムとなっていることから、新制度の運用を開始する平成29年度下半期までに体制を整備していただくことは可能と考えております。また、重度の肢体不自由の方に対する報酬単価につきましては、ヘルパー要件について、重度訪問介護研修等の受講を条件としていないことから、重度の肢体不自由以外の障害種別の方と同様に、「行動援護」のヘルパーの専門研修受講を義務としない報酬単価を設定しております。第1問目でも答弁しましたが、報酬単価につきましては、当事者団体や事業者の代表等が参加する自立支援協議会において、約2年間にわたり協議を重ねてきたものでございます。以上

 次に、障害者移動支援事業についてです。「サービス提供実績記録表」への移動先の記入は求めず、これまでから培ってきた障害者関連団体との話し合いによる信頼関係の中で、「障害者の権利に関する条約」の理念に則った円滑な移動支援事業の展開を図ることを求めます。報酬削減については、国・県が合わせて75%を負担する介護給付サービスである行動援護への誘導を進めようとされていますが、このサービスの対象となるのは行動上著しい困難を有する知的障害児者又は精神障害者です。肢体不自由の障害児者は対象外です。移動に困難性を抱えた障がい者の外出を支援するサービス事業者が、市の施策変更でサービス提供ができなくなるようでは、これまでの本市の努力も水の泡ではありませんか。

 提案します。周知の為に実施は2017年下半期としていますが、行動援護の資格を取得する体制づくりにとても時間が足りないと思われます。実施は一定その体制ができてからとすべきです。行動援護の対象とならない肢体不自由の方への移動支援は、報酬単価のあり方を当事者や関係団体ともっと話し合うべきです。

第3登壇

  障害者移動支援事業の見直しは、給付額が同じような規模の他市と比較して突出していること、国・県の負担金が減額され、市の持ち出しが増えていることにあると思います。お金か障害者の権利擁護か、まさしく市長の政治姿勢が問われる問題です。報酬単価は現行のままにとどめ、当事者や関係団体との話し合いを続けることを求めて、私の一般質問を終わります。