2024年6月議会 山本なおひろ議員の一般質問【関西万博への児童無料招待関連の質問と答弁要旨】

2024年6月6日 尼崎市議会 山本なおひろ議員の一般質問より、

関西万博への児童無料招待についての質問と答弁要旨の抜粋です。

日本共産党議員団の山本直弘です。

今日は「官民連携による大阪関西万博への児童生徒無料招待」と「ギャンブル依存症対策」、「介護保険認定申請」の3点について質問いたします。どうぞよろしくお願いします。

日本政府と大阪府・大阪市、そして関西財界が中心となって「大阪関西万博」が来年4月から半年間開催されようとしています。

しかし、度重なる開催に関わる経費の増加とそれにともなう際限のない税金の投入、参加予定国の撤退、パビリオン建設の遅れ等、新型コロナ禍があったとはいえ、経済効果3.3兆円を期待した万博開催は様々な困難に直面しています。

 開幕予定1年前になっても「関心がない」市民7割(「読売新聞」。開催反対が45%、賛成47%(「朝日新聞」)と、国家的イベントとしては賛否が拮抗する異例の事態になっています。関心の低さと不入気から前売りチケットが販売目標の1割も売れない状況に危機感を募らせたのか、大阪府は府内85万人の小中高生を官民連携で無料招待する方針を決め、近隣の兵庫県と京都府、滋賀県にも広げようとしています。

そんな問題山積の、万博会場予定地の夢洲1区に建設中のトイレで、3月28日、メタンガス爆発事故が発生しました。溶接作業の火花がメタンガスに引火して発生したものです。

当初、日本国際博覧会協会(以下、「万博協会」と言います)は破損したのはコンクリートの床や床の点検口と発表していましたが、天井にまで及んでいたことが大阪市此花消防署の事故概要文書で判明しました。

概要文書では、3月28日午前10時55分に「溶接作業中に爆発が起こり大きな音とともに床面がめくれ上がった」と記述されています。破損の範囲は約100平方メートルとされてきましたが、地下から1階天井まで被害が及んだ重大事故であったことがうかがえます。しかし万博協会が公開した事故現場の写真は1枚だけで一部しか写っていなくて、全容を明らかにしていません。

事故が起きた夢洲1区はごみの最終処分場で、約80本のガス抜き管から1日約2トンもの可燃性のメタンガスが常時発生し、今後も事故が起きる危険性のある非常に危険な地域です。

また万博協会は5月30日、万博会場の中心、夢洲2区・3区のパビリオン地区においても、1区で起きたのと同じメタンガスが発生していたと発表しました。

万博協会はこれまで「同地区でこれまでガスは検出されておらず、ガス発生の可能性は極めて低い」と繰り返し明言していましたが、1月から3月にかけて爆発を起こす濃度の下限である5%にもかかる7%~2%の濃度が、地下鉄工事の上部地表付近4カ所で検出されたのです。1区のメタンガス爆発事故を受けて「5%を基準に対応する」と表明していましたが、今回の7%検出で「退避基準である濃度である濃度30%の4分の1で低濃度だ」として対策を示していません。1区の爆発事故の過少な公表と共に、「会場のどこでも爆発の危険性」があることさえも過少に偽る、隠ぺい体質、ご都合主義と言わなければなりません。

大阪府はこのメタンガス爆発事故を受けた安全対策の取りまとめを今年夏ごろに行うとする一方、無料招待する大阪府内の学校に万博への遠足についての意向調査の回答を今月末までに求めています。順序が逆ではないでしょうか。

兵庫県も先月4月11日、県内の小中高校生最大56万人を官民連携、民間企業の協力で無料招待すると発表しました。

夢洲会場はゴミ廃棄物の最終処分場であるとともに、有害物質を含む建設残土や産業廃棄物が大量に埋まっている人工島です。交通手段であるバスの駐車場には有害物質PCBの袋が約1万袋埋まっています。

万博のスローガン「いのち輝く未来社会のデザイン1に相いれない場所に会場建設が進められているのです。

 

おたずねします。

Ql 今回のメタンガス爆発事故について市は把握していますか。また、今、申し上げた万博会場の危険性についてどのように考えますか

 

答弁要旨

大阪・関西万博の会場西側の建設現場における今年3月のメタンガスによる爆発事故につきましては、把握していますとともに、今回発生した爆発事故を踏まえ、博覧会協会では、より一層の安全策を検討し、追加の安全対策をまとめる予定であると聞いています。本市としましても、当然のことではありますが、万博会場における来場者の安全対策につきましては、十分に図られるべきものと考えています。以上

共産党市議団は、5月16日、松本市長と白畑教育長宛に「大阪関西万博への子ども無料招待を実施しない」ことを求める申し入れをしました。

メタンガス爆発事故の危険があるだけでなく、夢洲へ行くルートが夢舞橋と夢咲トンネルの2カ所しかなく、地震などの災害が発生したとき通行不能となる可能性があります。

こんな2重にも3重にも危険な場所であるから、子どもたちを動員しないことを求めました。

対応していただいた教育次長は、「校外行事は児童生徒の安金第一で、これまでも下見をおこなったうえで実施してきた。危険な場所に子どもを行かせない」とおっしゃいました。

 

お尋ねします。

Q5 校外行事などで安全な場所でないと判断する際の具体的な基準は何ですか。

 

答弁要旨

校外で教育活動を実施する際には、「学習の目的に適した場所であるか」や、「現地までの交通手段を含めた安全性」、施設の状況や地理的環境、所要時間等を検討し、活動する児童生徒及び引率する教職員にとって無理のない行程で計画を立て、保護者にも必要事項をお知らせしております。

また、立てた計画に基づいて教員が下見を行い、「計画が児童生徒にとって適切であるか」という点に加え、施設等の安全性はもちろん、配慮を要する児童生徒への対応や、気象条件等に応じた対応などについて、現地スタッフ等と事前に十分に打ち合わせしたうえで、児童生徒の安全を最優先に、教育的効果も含め総合的に判断して実施しております。以上

 

Q6また下見をして安全確認をしているということですが、今度の万博についても開幕後に下見をするのですか。

答弁要旨

万博を校外行事の行先として実施するならば、児童生徒の安全確保のため、開幕後に下見が必要だと考えておりますが、現時点では、下見が可能かどうかの情報もないため、検討しておりません。以上

 

先ほど述べた交通ルートが2カ所しかないことで、災害が発生した場合、最大で1日22万7000人の来場者が帰宅不能になるという懸念があります。

2018年9月の台風21号では同じ人工島の関西空港が浸水し、連絡橋にタンカーが衝突して約8000人が孤立する事態が発生しました。

この時、夢洲でも多数のコンテナが吹き飛ぼされ、護岸の一部が高潮で倒壊する事態となりましたが、万博協会が昨年12月にまとめた災害被害想定「防災基本計画」は専門家から「被害想定が甘すぎる」と指摘され、「避難計画」がいまだに策定されていません。

 

おたずねします。

Q7避難時に避難経度が2つしかない。避難計画もない。 非常に危険な場所ではありませんか

 

答弁要旨

万博開催時の会場内における防災対策については、現在、運営主体である博覧会協会が、学識経験者や大阪府・市、警察、自衛隊などの関係機関による「2025年日本国際博覧会安全対策協議会」を設置し、「2025年日本国際博覧会協会防災基本計画」に基づき具体的な対策について各種検討を行っているところです。

そうした中、災害時における避難等の対応について、博覧会協会に確認しましたところ、現在、大阪府市等の関係機関と調整を行いながら、検討を進めており、夏頃までに詳細を取りまとめるとのことでございます。

いずれにしましても、世界中から多くの方々の来場が見込まれる中、誰もが安全で、安心して訪れることができる環境をしっかりと整えていただきたいと考えています。以上

 

兵庫県は「2025大阪・関西万博への学校単位での無料招待事務局運営業務」公募を行い、先日プPポーザル事業者選定結果について発表しました。

これは、万博への無料招待の業務を外部に委託するためプレゼンテーション審査会を行い、その結果、日本旅行神戸支店が当該委託事業者に決定したことを伝えるものです。

一方、6月中旬ごろにこの無料招待の行程などを、県を通じて各学校に案内し、オンラインで説明会を開催するとお聞きしています。この説明会は強制ではなく、希望する学校が参加していただければと考えていると兵庫県は言っているそうです。

 

Q8 兵庫県から万博への児童生徒招待に関して、参加の意向を問うような内容の連絡はありますか。今回のオンライン説明会は行くことを前提にした内容のものなのでしょうか。

 

答弁要旨

兵庫県が主催する「2025大阪・関西万博への学校単位での無料招待に関する事業」につきまして、オンライン説明会の内容も含め、現時点では県教育委員会からの通知はございません。以上

 

Q9 いつ頃までに、どのようなプロセスを経て子どもたちの万博への無料招待について決めるつもりですか。その決定をするのに、事前の調査をどのように行いますか。お答えください。

 

答弁要旨

『一現時点では県教育委員会から無料招待についての通知はなく、スケジュールを含めた詳細は、不明であるため、事前調査の方法等につきましても決まっておりません。以上

 

大阪府交野市の市長は5月24日の記者会見で、「学校単位で連れて行かなくてもいい」と述べて、万博への子ども動員にくみしない考えを表明しました。府の教育委員会は、参加の意向を先月5月末までに回答するよう要請していますが、交野市では市立の全小中学校13校が参加を希望しなかったという事です。

交野市長は「学校現場に話を聞いたが行きたいという学校は一つもなかった。各学校や市町村に行くか行かないかの回答をさせる踏み絵を踏ませるのはいかがなものか」と指摘し、3つの問題を指摘しました。1つは、学校参加では低学年には混雑した電車は乗りにくく、貸し切りバスは数が限られており、費用も1台15万円、1人当たり5,000円かかること、2つめは、メタンガスの爆発事故が起こり安全性に懸念があること、3つめはパビリオンが選べないという問題点です。

これら以外にも、バスの駐車場から会場入口まで1キロあり、低学年の児童にとっては過酷。1日の招待数のピークは1万4千人に対し、昼食をとる団体休憩所は2,000人までで、入れ替えしても入りきれない団体は芝生広場か大屋根リングの下でしか場所がない。

運転手不足やインバウンド需要の影響により送迎バスの確保が困難、などあげればいくらでも問題点が出てきます。

大阪府の吉村知事は5月27日、無料招待の事業の意向調査の途中集計について「約75%の学校が参加希望だった」と発表しました。府内の約1900校に対して実施し、24日時点で回答があった1280校のうち、950校が「希望する」と答えたとのことです。しかし、18%の約330校は「未定・検討中」と回答しました。これだけ不安材料があることが学校現場をして決めかねさせているのは明らかです。

ここで市長におたずねします。

QlOこうした大阪の状況も踏まえて、現在、松本市長はどのような見解をお持ちでしょうか。

答弁要旨

(大阪・関西万博への子どもたちの参加については、兵庫県が公表をしたときから、その実施方法等について心配をしていました。)

2025大阪・関西万博は国家的なプロジェクトであり、子どもたちが万博を訪れ、世界各国の様々な展示に触れる機会は大変有意義な体験となると考えており、会場近くに立地する本市としても、児童生徒が訪問できる機会の充実に努めていくのは大切なことと考えています。

一方で、市立小・中・高等学校、特別支援学校の全児童生徒が参加する「校外学習」として実施する場合、修学旅行や自然学校等と比べて規模が圧倒的に大きく、児童生徒の管理や熱中症対策、昼食・休憩場所・トイレの確保など当日の引率や事前の準備を考えると、学校・教職員の負担は膨大になると懸念されます。

また、チケット代以外の自治体の負担や交通手段の確保など様々な課題が予想され、実施にあたっては関係機関と丁寧にコミュニケーションを図りながら対応を検討する必要があります。

万博の会場側のサポート体制や実施時期等、様々な条件による影響が考えられるなか、現時点では児童生徒の安全が確保できる十分な情報を持ち合わせていないため、断定的なことは申し上げられませんが、少なくとも、学校単位の行事ありきで進められていくことを大変心配しています。

今後、例えば、チケットの転売防止措置等を講じた上で、家族単位で行っていただくことを認め、家族単位で訪問できない子どもたちに対しては、市として移動手段・引率環境を確保するなどの手段も考えられます。

そういった柔軟な対応も視野に入れて、県には準備を丁寧に進めてもらいたいと考えているところです。

以上