2023年3月 松沢ちづる議員「総括質疑」と答弁要旨

松沢ちづる 総括質疑

 

1 市長の政治姿勢について

 市長は施政方針演説の結びに、マクロな目で見たときに見える地域の経済社会情勢と、ミクロな目で見たときに見える一人一人が置かれた生活状況や感情は異なる。改めてこの点を心にとどめ、職務に向き合わないといけない。常に謙虚に、市民、職員も含めて、それぞれが置かれている様々な立場について想像し、共感する努力を怠らず、心の通った温かい政策を実現し、それを説明できるよう、全力で職務にまい進すると述べられています。

 施政者としてたいへん信頼できる態度だと思います。ならば、なぜいま、年金生活者も賃金労働者も自営業者も、経済の停滞の下さらに物価高騰が追い打ちをかけて、くらしそのものが厳しくなっている現状に目を向けないのでしょうか。こんな時だからこそ、「市民負担は増やしません。共に支え合って、物価高騰を乗り切りましょう」と、市民に呼びかけられないのでしょうか。

 日本共産党は、今、市民のみなさんに「くらしの実感―余裕はありますか、不安はありませんか」と直接お聞きする訪問活動を行っています。そこで見聞きするのは、「食べることを切り詰めてきたが、もうこれ以上は無理だ」、喫茶店の店主は「コーヒー1杯450円を守っているが、これ以上コーヒー豆が手に入らなくなったら店を閉めるしかない」、「大学生の孫が一人くらしがきついといっているが、支援する余裕もない。シングルの娘はさぞかし大変だろう」こういった声ばかりです。

 

Q1 市長にお伺いします。市民生活が大変な今、新年度予算でまず配慮すべきは「市民負担を増やさない」ということではありませんか。しかし、生涯学習プラザなどの使用料が値上げ、火葬費も値上げ、保育所の給食費値上げ、小学校給食費値上げと、負担増が目白押しです。なぜ、配慮をしなかったのですか。

 

答弁要旨

物価高に対応するためには、物価上昇を上回る賃金上昇を実現することが必要であり、賃金の上昇が定着するまでの間、負担軽減に向けた取組を国や県の動向も踏まえ、機動的に実施していくことが重要であると認識しています。

ご指摘の使用料・手数料や、給食費などの負担については、受益者負担の考え方を基本としており、急激な物価高騰の影響を、サービスの受益者負担で賄うことができない場合、受益者でない市民の税負担になるという課題があることから、原価を適正に反映するため、使用料の改定を実施するものです。

こうした料金改定を含む物価高騰に直面する方々への負担を軽減するため、令和7年度においても、市民・事業者を対象とした「あま咲きコインプレミアムキャンペーンの実施」や、子育て世帯の負担軽減を図る「学校給食費の支援」といった支援について実施を予定しており、引き続き、市内経済や市民生活への影響を注視しつつ、国や県の動向も踏まえながら、市民の皆さまのニーズを踏まえた機動的な施策を随時実施してまいります。以上

 

 予算案を見れば、新年度市税収入が25.7億円増の見込みです。また、地方交付税は16.6億円増の見込みとなっており、市民負担を増やさないための財源確保は充分あったと思われます。今回の値上げ案で、保育所給食費で約400万円増、小学校給食費で5700万円、生涯学習プラザで560万円、すこやかプラザで13万円、火葬費で1064万円、合計わずか7437万円です。市民負担を増やさない配慮はできたと思います。非常に残念です。

 今後のこととして、年度途中に物価高騰対策として国から臨時地方交付金が組まれる場合、保育所と小学校の給食費の保護者負担軽減を考えるべきだと思います。

 

Q2 こども青少年局に伺います。保育所給食費の保護者負担支援を検討しますか。

 

答弁要旨

公立保育所における3歳以上児の給食費につきましては、1人当たりの主食費を月1,000円、副食費を

月4,500円と定め、これまで運用してまいりましたが、原材料価格の高騰等により食品価格が高止まりしており、食材費を含め物資調達に影響が出ております。

これまで、食材の種類や内容、使用頻度の変更など工夫を図ることで対応してまいりましたが、令和5年度に続き、今年度も食材費が保護者負担額を上回る見込みとなっており、このうち副食費については、保護者負担額を超える経費が発生しております。

なお、副食費相当額に関しては、国は公定価格において加算額(副食費免除加算)を設定しており、令和4年度までは4,500円でしたが、今年度は4,800円となっております。

本市では、これまで国が示す公定価格のとおり副食費の価格改定を行っておりませんでしたが、給食の栄養バランスを維持し、子どもたちの成長につながるよう、今後は、国の公定価格に準じた単価に改定することとし、令和7年度は公立保育所の副食費を4,800円に改めるところです。1㌘・

なお、現下の物価高騰が続く中ご令和7年度の副食費に要する経費が改定後の保護者賃担額の4,800円を超えることも考えられます。その際には、委員ご指摘の物価高騰対策委係る臨時地方交付金が組まれた場合には給食費会計の状況も見て活用も検討してまいります。

 

つづいて伺います。

 

Q3 教育委員会は、小学校給食費の保護者負担支援を検討しますか。

 

答弁要旨

物価高騰が続く中、栄養バランスのとれた学校給食を維持するため、小学校給食費につきましては、令和6年4月に改定を行い、その高騰分を公費で負担しております。

物価がさらに上昇した場合、給食費の改定が避けられなくなり、保護者のご負担が急激に増加することが懸念されるため、激変緩和措置として、国からの臨時地方交付金を活用し、高騰分の一部を公費で負担し、保護者の負担軽減を図ることと致しました。

今後の更なる支援については、物価高騰の状況や国からの交付金の有無、本市の財政状況や国における給食費無償化に関する議論の状況など、様々な要素を勘案しながら、適切な対応に努めてまいります。

以上

 

2 介護保険について

 

 国の報酬単価引き下げで、全国で訪問介護事業所の閉鎖が相次いでおり、高齢者の「要介護になっても住み慣れた地域でくらしたい」という願いが叶えられなくなってきています。この傾向は地方や農村部で顕著ですが、尼崎でもこの1年で廃業が1事業所増えました。新規参入が1事業所増えたことで事業所数は年度当初と変わりませんが、それでも前年より11事業所減少したままで、減少の流れは続いています。

 介護人材の確保も困難な状況が続いています。2月議会では、地域包括支援センターの職員不足の解決策として、資格の規制緩和や非正規職員の雇用が認められました。2014年地域支援・総合事業が始まり、要支援の方々への訪問・通所サービスの担い手として生活支援サポーターの養成が行われてきましたが、3年間で900人の実働サポーターを養成する計画は絵にかいた餅で終わり、10年たった今も、介護予防訪問サービスなどは有資格のヘルパーさんたちが、介護サービスの報酬単価の9割という理不尽な対価で担っています。現場のヘルパーさんたちからは、「ヘルパーの平均年齢は60代後半。若い人たちが募集をしても集まらない。」とお聞きしています。支える側がこのままの状況では、年をとっても安心の社会が展望できません。

 

Q4 国に対し、訪問介護の報酬単価を元に戻すことや、介護保険への国費を増やすことなど求め、高齢者の保健福祉の向上について 自治体が責任を果たせるようにすべきだと考えますが、いかがですか。 

 

答弁要旨

議員ご指摘の「訪問介護に係る基本報酬の引上げ」や「国費負担割合の増額」については、中核市市長会や全国市長会を通して、報酬改定の影響を十分に検証し、訪問介護サービスの実態に即した抜本的な見直しを行うなどの必要な措置を講じること、また、介護保険財政の持続的かつ安定的な運営のための国費負担割合の見直しを行うことを要望しており、引き続き、こうした働きかけを粘り強く行ってまいります。

以上

 

市としては、介護人材確保への支援として介護人材確保支援事業が行われています。予算規模はわずか530万円です。訪問介護事業所だけでも市内に約300カ所あるのに、初任者研修についての今年度の事業活用は52事業所のみです。

 

Q5 介護人材確保支援事業の拡充を求めますが、いかがですか。また、それ以外にも考えている支援策などあれば教えてください。

 

答弁要旨

介護人材確保支援事業については、令和2年度に実施した介護事業所へのアンケート調査において、介護人材の確保・定着に効果的な支援として、「介護人材キャリアアップ研修に対する支援」や「介護未経験者に対する研修支援」に多くの回答があったことを受け、介護職員初任者研修等の研修受講料助成の他、潜在介護福祉士が復職する際の手助けとなる、学びなおし研修等を実施しており、事業所の人材確保に、一定の効果を得ているものと認識しています。

しかしながら、今後、超高齢化の更なる進展が見込まれる中、介護人材の確保は増々重要な課題になると考えられることから、次期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に向けて、改めて、介護人材実態調査を実施し、事業所の皆様のご意見を伺い、先進市の取組等も参考にする中で、新たな対応策を検討して参ります。以上

 

 

3年に1回高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画が更新されています。訪問介護事業者のみなさんの丁寧な聞き取りによる実態調査を行い、今年予定されている国勢調査とリンクさせることができれば、かなり詳細な実態が把握でき、次期計画に反映できると思います。

Q6 訪問介護事業所の実態調査を実施すべきと思いますが、いかがですか。

 

答弁要旨

先程もこ答弁申し上げましたが、次期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に向けては、訪問介護事業所を含め、市内の介護事業所に対し、アンケート調査を実施し、ご意見をお伺いする中で、実態の把握に努めて参ります。以上

 

3 国民健康保険について

 国の方針で、昨年12月2日以降これまでの健康保険証は発行が止められ、マイナ保険証1本になりました。同じ所得・家族構成でも、サラリーマンの健康保険・協会けんぽの2倍にもなる高負担の国民健康保険料が、多くの滞納世帯を生んでいます。尼崎市では2023年度決算で7292世帯 国保世帯全体の12.2%になります。

 滞納世帯に対し、保険証が発行できた昨年12月1日までは短期保険証の発行とひきかえにした窓口での納付相談をされてきましたが、今はそれができません。当局は、滞納額が少額の内に傷口が小さいうちに納付相談をと対応してこられましたが、これからは納付相談の機会が減少すると思います。

 

Q7 お尋ねします。今後具体的にどのように納付相談の機会の減少を補完していくのですか。

 

答弁要旨

これまで保険料の滞納世帯に対しましては、有効期間の短い短期証を窓口で交付する中で、その更新時に来庁案内ハガキを送付することで、納付相談の機会を設けておりました。

しかしながら、昨年12月2日の短期証の廃止に伴い、そうした納付相談の機会はなくなりましたが、令和5年度から、それまでの電話及び訪問催告の実施方法の見直しに加え、ショートメッセージサービス、いわゆるSMS催告の導入など、催告業務に特化した委託事業を実施しております。

具体的な内容としましては、納付月に滞納が発生した場合は、その翌月中旬以降に督促状を発送しております。

それに合わせて、SMSによる催告も行うこととしており、それでも支払いがなかった世帯については、さらにその翌月にSMSによる催告を3回行うとともに、電話催告を最大5回併用して行っております。さらに、SMS及び電話催告に反応がない世帯に対しましては、その後、訪問催告を2回行っており、そうした取り組みにより、滞納が少額の段階で積極的に滞納者へのアプローチを行うことにより、自主納付の意識付けを行うとともに、合わせて窓口等での相談もご案内し、納付相談の機会創出に努めております

今後とも、滞納額が少額な段階でぜ様々な働きかけを行うことにより、自主的な納付を促すとともに、困窮している世帯に対しては、引き続き、相談窓口で可能な限り寄り、添った対応に努めてまいります。以上

 

 滞納の根本解決は、高すぎる保険料を引き下げることです。日本共産党は、国に対し協会けんぽと同じくらいの加入者負担にするために、国保への国庫負担をあと1.3兆円増やすことを求めています。これは全国知事会が求める増額とほぼ同じです。

Q8 国に対し、さらに強く国庫負担の増額を求めるべきだと考えますがいかがですか。

 

答弁要旨

国民健康保険制度では、保険給付に要する費用のうち、国県からの公費等で賄われるもの以外を被保険者から保険料としてご負担していただく仕組みとなっております。

この公費等のなかで、定率国庫負担につきましては、保険給付費の32%を国が負担することとなっておりますので、これまでから、全国市長会を通じて、国に対して負担割合の増加の要望を重ねてきたところです。

こうした要望活動につきましては、今後も機会を捉え、継続して行ってまいります。

以上

 

 国の方針では、滞納が1年以上続くと保険診療が受けられなくなり、特別療養資格証になり、窓口負担は10割になってしまいます。誰もが安心して医療が受けられる国民皆保険の制度が崩されることになります。こうした事態に陥らないように、滞納者への注意喚起と共に国保料を減らす努力を強く求めます。

 

4 ウォーターPPPについて

 

 代表質疑や分科会でウォーターPPPについてお尋ねをしました。当局答弁を受け、更に質問をしていきます。

ウォーターPPPは、下水道事業において施設の老朽化や職員の不足が懸念される中、民間事業者の創意工夫等を活用することにより、効率的かつ効果的なサービスの実現が期待できるとの答弁がありました。

Q9 お尋ねします。ウォーターPPPの導入理由の一つが職員不足が懸念されることだと言われますが、ポンプ場の運転や北部浄化センターの休日夜間の運転管理などを民間に委託し、下水道事業が公営企業局に移った2018年以降特に現業職が51人から現在では5人にまで減らされました。職員不足はまさに当局が行ってきた事業方針によるものではないですか。

 

答弁要旨

生産年齢人口が減少し、いわゆる「公務員離れ」の影響もあり、全国的に職員の採用が厳しい状況にある中、下水道事業では、土木職をはじめとする技術職員の不足が懸念される状況にあります。

一方、これまでに取り組んだ民間委託による職員の削減は、主に定型的な現場作業を担う技能労務職員、いわゆる現業職員を対象としており、技術職員の不足の懸念につながったものとは考えておりません。なお、民間委託の対象となった技能労務職員は、研修期間と試験を経て、高い専門性を発揮する技術職員に転職するケースも多数あり、同事業の技術力の維持・向上に貢献しているものと認識しております。以上

 

 ウォーターPPPの導入を決定済であることが2027年度以降の下水管改築の国費の交付要件になったことを踏まえ、23年度から導入検討を進めてきたと、新年度主要事業に記載されています。より割のいい国からの交付金をうけるために、市が進めてきたことだと確認します。

 続いて、民間事業者の創意工夫等を活用することで効率的かつ効果的なサービスの実現が期待できるとのことです。

 

Q10 効率的かつ効果的とは、人件費を減らすこと。つまり事業に精通する現場の人を減らし、デジタル化を進めることではないですか。

Q11 お尋ねします。技術の継承をしていく「ほかの職員」とはどこにいるのですか。現業職はすでに5人に。しかも事務職への転職や近い将来定年退職が見込まれ、若い職員の補充はされていないではありませんか。どうするのですか。

 

答弁要旨

下水道事業の将来にわたる持続可能性を確保するためには、技術職員の不足が懸念される中、事業運営に必要な技能を継承していくことが肝要であると認識しております。

そうした中、今後におきましては、新たに「ウォーターPPP」を本市でも導入し、将来の技能継承も踏まえた官民の適切なパートナーシップを構築するとともに、施設の老朽化対策などの新たなニーズにも対応できる市の体制を確保するため、市職員の着実な採用や、年齢や経験年数を踏まえた的確な人事異動など、引き続き、円滑な技能継承に資する取組に努めてまいります。

以上

 

 民間に「丸投げ」とならないように、災害時の対応も含め市職員と民間事業者の両方が

ノウハウを共有・蓄積する官民の適切なパートナーシップを構築するとのことです。分科

会の質疑では、ポンプ場の運転は民間に任せているが、まだ直営職員がいるので運転操作

技術を民間委託業者に指導しているとの説明でした。しかし、その職員が退職すると市職

員に技術の継承ができなくなることが懸念材料だと。ほかの職員につなげていくような努

力をしていきたいとのことでした。

 

 専門職員がいなくなるのは大きな問題です。現在はまだ災害時には、地域のことをよく

知っていて、下水道事業に関する経験や蓄積を持った職員が対応しています。しかし自治

体が直接関わらなくなり、対応能力が失われた下では非常時の対応がどうなるのか、きわ

めて不安です。

 ウォーターPPPはまず北部処理区でレベル3.5、北部浄化センターと西川中継ポンプ

場、高田中継ポンプ場のある処理区で、維持管理業務と改築更新を組み合わせた導入を検

討しており、武庫川処理区・東部処理区については、今後どう広げるのかを検討していく

とのことです。国土交通省の「下水道部分野におけるウォーターPPPガイドライン」によ

れば、まずレベル3.5の後「丸投げ」のコンセッション方式を選択肢として検討いただき

たいと道案内されています。尼崎市は国から誘導されるまま、コンセッション方式に進も

うとするのでしょうか。下水道事業は、根本的には市民が生きていくために欠くことので

きないものです。これを営利企業に丸ごとゆだねるシステムにしてしまっていいのか。日

本共産党議員団は反対です。

 

 

 

2024.3月 まさき一子議員 総括質疑 質問と答弁要旨

 

 

まず最初は、教員不足の対策についてです。

全国的に公立小中学校の教師不足は大変深刻です。文科省の有識者会議中央教育審議会は2023年8月、教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策として緊急提言を発表しました。具体的には、授業のコマ数をみなおす、学校行事の内容を絞る、保護者からの過剰な苦情には教育委員会などが支援する、小学校高学年の教科担任制の拡充など教職員定数の改善、支援スタッフの配置充実、主任・管理職手当などの改善が24年度概算要求に盛り込まれました。

尼崎市では昨年9月議会に「教職員の未配置問題の解消等についての請願」が提出され、本会議で採択され国に意見書を提出しました。

市内の小中学校では、2023年度当初に小学校では9名、中学校では英語、理科、家庭科の専任教師17名不足するという事態を招きました。この1年間は学校現場や教育委員会では、臨時講師の配置に大変な苦労がありました。教師が未配置という極めて深刻な状況は子どもの成長を妨げるものです。質問します。

Q1 2024年度当初の教員の配置については、提言にもとづいて未配置問題はどのように解決しますか?

答弁要旨

教員の未配置問題は、本市のみならず、全国的な問題であり、現状では教師のなり手としての絶対数が少なく、簡単に解決できる問題ではないと考えております。

教員のなり手不足の問題は、教員の負担の増大がその一因と考えられることから、これまで負担軽減策として様々な取組を行ってきており、できることを直ちに行うという提言の考え方のもと、次年度は、新たに、スクールロイヤーの設置やデジタル採点システムの導入、地域クラブ活動の拡充などで、更なる教員の負担軽減につなげていきたいと考えております。定例の学年会や職員会議だけでなく、学校の実情に応じて、朝や放課後に打ち合わせの時間を設定するなど、教職員の協働体制の整備に努めております。

またそれぞれの学校では、若手教員が孤立しないように、放課後などに年齢の近い教員がメンターとして相談に乗ることや、共同で指導方法の研究を行いながら、先輩からアドバイスをもらうことで、一人で抱え込まずにいつでも相談できる体制づくりに努めているところでございます。

今後とも、校園長会等において、校園長のリーダーシップのもと、教職員のワーク・ライフ・バランスに配慮し、心身ともに健康で、働きがいのある学校づくりに取り組むよう周知してまいります。以上

 

ある教師は「小学校では教師が長時間労働でつぶれるというけど、時間の問題だけでない。保護者からのクレーム処理、子どもたちからの教師いじめもある。若い先生が子どもから『汚い、あっち行け!』 『くそババ』など私たちだったら言い返すけど、若い先生はそんな言葉でつぶれてしまう」といっていました。子どもは特に高学年になると、少年スポーツの指導者や家庭の親からうける暴言や暴力などによるやり場のなさを担任にぶつけるといった状況があるそうです。

今、不登校の急増、子どもの貧困等子どもと保護者の悩みやストレスが積み重なっている時代です。だからこそ寄り添ってともに考えてくれる大人が学校に必要です。しかし今や子どものストレスのほこさきが教師に向けられる現状があります。文教分科会では「新任の先生には何でも相談ができる体制をとっている」と言われていました。

しかし、若い教師が困難を乗り越える手立てを見つけることなく、また乗り越えたという成功を体験することなく辞職に追い込まれる。こんな残念なことはありません。解決していくためには、職員会議や学年ミーテングを毎日短時間でも開いて、教師間での問題の共有が必要だと思います。質問します。

 

Q2 各学校の職員会議や学年会議等はどのように行われているんでしょうか。

 

答弁要旨

本市の小学校教員の約45%、中学校教員の約3分の1が30代前半までの教員であり、40代50代の教員が少ないといった年齢構成でこれは、本市のみならず、全国的な傾向であり、若手教員の育成とメンタルヘルスの保持が課題であると考えております。そのような中で、各校の学年会では、行事や教科指導等の打ち合わせだけでなく、児童生徒の抱える課題やその指導の方向性について協議するとともに、学校全体できめ細かな支援や配慮のもと児童生徒の指導を行うことが必要な場合は、職員会議においても、情報共有し、指導方法について協議し、チーム学校として取り組んでおります。

 

文科省では2022年度教員勤務実態調査を全国小中学校各1200校、勤務するフルタイムの常勤教員(校長・教頭・教諭等)約35,000人を対象に調査を行っています。そこには30歳以下の教師の在校時間が長く授業以外でも多くの業務に時間をさいている。「業務時間が短縮された場合、何に時間を使いたいか」の問いに「仕事以外のプライベートに使いたい」という教師が小学校で48%、中学校で56%でした。気分転換ができずに問題を引きずっていることも多いのではないかと心配になります。

 

 

次に教師の長時間労働についてです。同調査では、中学校教諭では1週間の勤務時間が60時間を超える人が36.6%に上り、8割近くが月45時間を超える残業をしているなど、依然として異常な長時間労働です。

先ほど述べた文科省の調査によると、業務が短縮出来たら何に使う?という質問に、「更なる授業準備、教材研究等に当てたい」と答えた教師が小学校48%、中学校41%でした。

教師は「授業の準備の時間がなければ、授業の質が低下する。教材研究して準備すれば面白い授業となり子どもの目の色が違うことはわかっていても、その時間をとれば過労死するかもしれない」そんなジレンマに苦しんでいます。

 

Q4 本市の小中学校の教職員の長時間労働と働き方はどのように改善されるのか方向性をお示し下さい。

 

答弁要旨

教員が心身ともに健康で充実した教育活動を行うことができるよう超過勤務時間を削減することは悩みやニーズを把握することと同様、大変重要であると考えています。

そのため、各学校では、会議・行事の精選のほか、ICT活用による資料のペーパーレス化、データの共有などにより超過勤務の削減に努めております。また教育委員会におきましても、各学校へのスクールサポートスタッフの配置や、中学校の部活動への外部指導員や部活動指導員の導入など、人的支援を行っているほか、給食費の公会計化、ICT環境の整備、勤務時間外の自動音声サービスの導入、学校閉庁期間の設定等の取組を進めてまいりました。

こうした取組により、学校現場からは一定効果があるといった声も届いているところですが、依然として超過勤務が多い教員もいることから、引き続き学校現場とも連携し、働き方改革に取り組んでまいります。(以上)

 

ひとクラスで教師の目に1度に映る数は20人以下だと言われます。教師が児童生徒個々の表情を見ながら授業ができる、子どもの生活の変化を素早く気づくことができる、丁寧な授業ができる。こんな教育を進めるためにさらなる少人数学級が必要だと思います。

 

 

次に保育士の配置基準についてです

国による保育所の職員配置基準が76年ぶりに見直されます。4・5歳児の基準をこれまでの30人から25人に改めるとしています。3歳児については、2015年度より「3歳児配置改善加算」を措置していますが、今回は4・5歳児同様に最低基準等の改正で20:1を15:1に改めるとしています。しかし1歳児の配置基準は、現在の6人から5人にすることを、2025年以降の早期に改善を進めると先送りしました。基準改正は保育士や保護者が国や自治体に対して長年求めてきたもので、現場の切実な要求と粘り強い運動と世論の広がりの成果だと思います。質問します。

Q5 国の配置基準の改定が、本市の来年度の予算に反映されていませんが、具体的にいつから予算に組み込まれるのでしょうか。年度途中からでも補正を組んで実施するべきと思いますが、いかがですか。

 

答弁要旨

議員御指摘のとおり、来年度から3歳児の職員配置基準が現行の20:1から15:1となり、4・5歳児の職員配置基準が現行の30:1から25:1とそれぞれ改善されることになります。この配置基準の改正に伴い、3歳児の配置改善については、既に公定価格上で平成27年度から「3歳児配置改善加算」が措置されておりますが、4・5歳児の配置改善については、新たに「4・5歳児配置改善加算」が設けられ、30:1の配置に要する経費と、25:1の配置に要する経費との差額に相当する金額が加算されることになります。

現時点では、来年度の公定価格に係る単価が国から示されておらず、また各施設の保育士の配置状況によっても費用が変わりますので、どの程度の規模になるか見通しを立てることができませんが、保育施設の円滑な運営に資することができるよう、予算に不足が生じる場合、必要な時期に補正予算を上程させていただきたいとかなえております。

なお、保育士の配置人数については、保育所の開所時間中に登園している年齢別の児童数に合わせて基準に沿った保育士数を配置することとなっており、それらを踏まえ公定価格は設定されております。

以上

 

公共施設の断熱化について

代表質疑で、会派の川崎議員が体育館の空調設備は断熱化と空調と一体でおこなうことで、国からの補助金があることを紹介しました。市は「体育館の空調について直ちに計画を策定する予定はないが他都市の事例や情報収集を行いより実効性のある空調設備、検討を行う」とのことでした。

文科省は学校体育館の空調と断熱化について次のように説明しています「教育環境改善および避難所としての機能強化を図るため体育館の空調設備について補助対象としている。断熱性の確保されていない体育館の空調を設置した場合過大な能力の空調機が必要となったり、光熱費が過大になったりと効率的・効果的な施設整備ができない。断熱性のない体育館には空調設備と合わせて断熱性確保のための工事を実施する必要がある」とのことです。

しかし普通教室の空調設置率は95.7%と進んでいますが、体育館の断熱化・空調設置はこれからです。

資料1をご覧ください。文科省が作成したものです。東京に立地する面積930㎡の体育館の断熱性確保による電気代削減の試算です。初期費用は空調設備に2600万円、断熱化改修4000万円と大きいのですが、ここには国からの補助金が出ます。冷房能力は小さく、年間の電気代は半分ですみます。15年ごとの空調整備を更新しても、40年間で5500万円の削減を試算しています。

 尼崎市では来年度から下坂部小学校の建て替え計画があります。また市立尼崎高校の体育館の改修が予定されています。視察に行った市尼高校の体育館は夏休みでも一日中部活で使われており、大型の扇風機がフル稼働していました。モデル事業としてでも体育館の空調と断熱化をセットで計画するべきと思います。質問します。

 

Q7 新築する下坂部小学校と改修予定の市尼高校体育館に空調設備と共に断熱化の設置を進めるチャンスです。その上で効果の検証を行うべきと考えますが、いかがですか。

答弁要旨

建替えを予定している下坂部小学校の体育館につきましては、新築時に断熱性能を確保することが可能なことから、空調設備の方式や設置方法などを検証し、設置に向けて検討を進めてまいります。

中規模改修を予定している市立尼崎高校第2体育館につきましては、平成12年に新築されており比較的新しいことから、二重サッシは設置されておりませんが、屋根や床等に断熱材が入っており、一定の断熱性能が確保されていると考えております。

ご紹介いただきましたように、空調整備に合わせて断熱性を確保すれば電気代を削減できるメリットがありますが、多額の初期費用がかかる等の課題もあります。また、断熱性を確保したとしても空調設備にはランニングコストや保守点検などの維持管理費用も大きな課題となりますが、国の補助対象とはなっておりません。

現時点で直ちに体育館の空調設備や断熱化を整備することは困難な状況でございますが、児童生徒の熱中症対策や災害対応の観点から空調整備の必要性は認識しておるところでございます。どの学校でどのようにとは考えておりませんが、試験的実施も視野に入れ、他都市の事例や機器メーカーからの情報収集など実効性のある調査・検討を進めてまいります。

以上

 

 

昨年、自治体学校に参加し、東京都杉並区長岸本聡子さんの話を聞きました。岸本区長は「どれだけ暑くなったら私たちは気象変動が緊急の課題であることを認識するのでしょう。学校の断熱すらできておらずクーラーも効かない状態です。個人の家でも公共施設でも、地域の事業者が一緒に断熱化をすすめればどれだけの経済効果が生まれ、どれだけの命が救え、どれだけの光熱費を下げることができて、CO2の排出を下げることができるでしょうか。エネルギー価格が高騰し、特に低所得者に大きな打撃を与えています。だからこそ断熱をしなくてはいけない」と話されました。

尼崎市では2021年6月に尼崎市気候非常事態行動宣言を表明し、「2050年までに脱炭素社会を実現するため、30年の二酸化炭素排出量を13年比で50%程度削減することを目指す」ことを宣言しました。

これまでの新築された市営住宅や生涯学習プラザ、公立保育所等は太陽光発電やLDE化は進みましたが、断熱化等脱炭素に向けた取り組みはなぜしてこなかったのでしょうか。

公共施設の建設ついて、断熱材、2重サッシ等の断熱化の規定をしっかり打ち出し、業者に資材や建設手法の指導や要望をするなどの積極的な対策を打つべきでした。

今後、建設される北図書館と女性センターの合築施設、大庄ふれあい体育館、公立保育所、市営住宅等の公共施設に断熱化を行うべきです。

質問します。

Q8 新築される公共施設に断熱材や2重サッシを設置し、その効果を検証することについてはどのように考えますか。

 

答弁要旨

近年新築した公共施設につきましては、省エネ適合基準を上回る断熱性能を確保した建物としており、例えば、生涯学習プラザなどにおいては、外壁や屋根内側には硬質ウレタンフォームの断熱材を施工しているほか、必要に応じてサッシには断熱性の高い複層ガラスを採用するなどしております。

さらには、令和4年度向けの主要事業でお示しましたとおり、4年度以降に本市が設計を行う新築建築物については、他都市に先駆けた取組として、原則、「ZEB Ready」を導入しており、より一層の外壁の断熱化や断熱性能の高い窓ガラスの採用、高効率な省エネルギー設備などを備えることにより、ライフサイクルコストの効果を試算のうえ、脱炭素化を推進すべく、省エネ基準より50%以上のエネルギー消費量の削減に取り組んでいるところです。以上

 

最後は高齢難聴者の補聴器購入費用助成制度について

 2018年兵庫県は「国に補聴器購入に対する公的補助制度の創設を求める」意見書を提出。22年都道府県では初の補聴器購入補助事業「高齢者の補聴器活用調査」が実施されました。県内400人を対象に補聴器購入助成を施行し、補聴器に導入による社会参加の状況を調査しました。しかしいまだに調査結果が公表されず、来年度の予算にありませんでした。

兵庫県内では明石市が65歳以上の高齢難聴者を対象に所得制限なく、「認知症あんしんプロジェクトの推進事業」の一つとして、補聴器助成をしています。2021年は180人、22年は300人限定で2万円の補助。事業費だけでは600万円の財源です。

 相生市では、「在宅福祉サービス」の一つとして、22年は市民税非課税世帯を対象に2万円の補助。事業費は38万6千円で25人の方が補助を受けました。23年からは市民税課税世帯の方も対象にしています。県内でも5市3町に助成制度が広がっています。

年齢を重ねることによる難聴は、程度の差こそあれ、誰しも避けられない生理的な変化です。難聴により家族との会話が成り立たなくなったり、テレビ・ラジオの音が聞こえにくくなったりすることは生活の質に関わります。人の話が聞こえにくくなれば人とのコミュニティに参加することも、外出することもおっくうになり、心身の健康に大きく影響します。高齢者の尊厳にかかわる問題です。

県では400人、明石市では300人限定でした。他の自治体でも低所得者対策として市民税非課税世帯から始めています。最初は対象者を限定してでも、市民ニーズがどれほどあるのかの検証が必要です。まずは始めるべきです。質問します。

 

Q9 高齢難聴者補聴器購入費用助成制度は、難聴高齢者に対して社会参加だけでなく、孤独な高齢者の生活の質を高める手助けをする制度です。ぜひとも実施してほしいとおもいますがいかがですか?

 

答弁要旨

加齢性難聴者の補聴器購入費助成につきましては、昨年度から引き続き、兵庫県がモデル事業として、補聴器装具のニーズや社会参加活動の状況等を把握するアンケート調査を実施しております。

また、国立長寿医療研究センターでは、加齢性難聴によりコミュニケーションの低下などが生じ、認知症のリスクが高まる可能性があるとの指摘を受けて「補聴器による認知機能低下予防の効果を検証するための研究」を実施しているところです。

本市としましては、全国市長会を通じ、令和5年11月に令和6年度向け高齢者福祉施策に係る提言の中で、「加齢性難聴者の補聴器購入に対する補助制度を創設すること」これに加え、「難聴と認知機能の低下との関連性の究明」を国に求めているところです。

先程申し上げましたとおり、現在、国における研究や県のモデル事業のアンケート調査結果の検証が途上である中で、現時点において、市単独での事業を実施する状況にはないと考えておりますが、引き続き、国・県の研究・調査結果や他都市の実施状況等を踏まえて効果的な支援のあり方について検討してまいります。

 

これで、日本共産党議員団の総括質疑はおわります。代表質疑、分科会、総括質疑を踏まえまして、意見表明で意見を述べていきます。ありがとうございました。