2024.3月 まさき一子議員 総括質疑 質問と答弁要旨

 

 

まず最初は、教員不足の対策についてです。

全国的に公立小中学校の教師不足は大変深刻です。文科省の有識者会議中央教育審議会は2023年8月、教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策として緊急提言を発表しました。具体的には、授業のコマ数をみなおす、学校行事の内容を絞る、保護者からの過剰な苦情には教育委員会などが支援する、小学校高学年の教科担任制の拡充など教職員定数の改善、支援スタッフの配置充実、主任・管理職手当などの改善が24年度概算要求に盛り込まれました。

尼崎市では昨年9月議会に「教職員の未配置問題の解消等についての請願」が提出され、本会議で採択され国に意見書を提出しました。

市内の小中学校では、2023年度当初に小学校では9名、中学校では英語、理科、家庭科の専任教師17名不足するという事態を招きました。この1年間は学校現場や教育委員会では、臨時講師の配置に大変な苦労がありました。教師が未配置という極めて深刻な状況は子どもの成長を妨げるものです。質問します。

Q1 2024年度当初の教員の配置については、提言にもとづいて未配置問題はどのように解決しますか?

答弁要旨

教員の未配置問題は、本市のみならず、全国的な問題であり、現状では教師のなり手としての絶対数が少なく、簡単に解決できる問題ではないと考えております。

教員のなり手不足の問題は、教員の負担の増大がその一因と考えられることから、これまで負担軽減策として様々な取組を行ってきており、できることを直ちに行うという提言の考え方のもと、次年度は、新たに、スクールロイヤーの設置やデジタル採点システムの導入、地域クラブ活動の拡充などで、更なる教員の負担軽減につなげていきたいと考えております。定例の学年会や職員会議だけでなく、学校の実情に応じて、朝や放課後に打ち合わせの時間を設定するなど、教職員の協働体制の整備に努めております。

またそれぞれの学校では、若手教員が孤立しないように、放課後などに年齢の近い教員がメンターとして相談に乗ることや、共同で指導方法の研究を行いながら、先輩からアドバイスをもらうことで、一人で抱え込まずにいつでも相談できる体制づくりに努めているところでございます。

今後とも、校園長会等において、校園長のリーダーシップのもと、教職員のワーク・ライフ・バランスに配慮し、心身ともに健康で、働きがいのある学校づくりに取り組むよう周知してまいります。以上

 

ある教師は「小学校では教師が長時間労働でつぶれるというけど、時間の問題だけでない。保護者からのクレーム処理、子どもたちからの教師いじめもある。若い先生が子どもから『汚い、あっち行け!』 『くそババ』など私たちだったら言い返すけど、若い先生はそんな言葉でつぶれてしまう」といっていました。子どもは特に高学年になると、少年スポーツの指導者や家庭の親からうける暴言や暴力などによるやり場のなさを担任にぶつけるといった状況があるそうです。

今、不登校の急増、子どもの貧困等子どもと保護者の悩みやストレスが積み重なっている時代です。だからこそ寄り添ってともに考えてくれる大人が学校に必要です。しかし今や子どものストレスのほこさきが教師に向けられる現状があります。文教分科会では「新任の先生には何でも相談ができる体制をとっている」と言われていました。

しかし、若い教師が困難を乗り越える手立てを見つけることなく、また乗り越えたという成功を体験することなく辞職に追い込まれる。こんな残念なことはありません。解決していくためには、職員会議や学年ミーテングを毎日短時間でも開いて、教師間での問題の共有が必要だと思います。質問します。

 

Q2 各学校の職員会議や学年会議等はどのように行われているんでしょうか。

 

答弁要旨

本市の小学校教員の約45%、中学校教員の約3分の1が30代前半までの教員であり、40代50代の教員が少ないといった年齢構成でこれは、本市のみならず、全国的な傾向であり、若手教員の育成とメンタルヘルスの保持が課題であると考えております。そのような中で、各校の学年会では、行事や教科指導等の打ち合わせだけでなく、児童生徒の抱える課題やその指導の方向性について協議するとともに、学校全体できめ細かな支援や配慮のもと児童生徒の指導を行うことが必要な場合は、職員会議においても、情報共有し、指導方法について協議し、チーム学校として取り組んでおります。

 

文科省では2022年度教員勤務実態調査を全国小中学校各1200校、勤務するフルタイムの常勤教員(校長・教頭・教諭等)約35,000人を対象に調査を行っています。そこには30歳以下の教師の在校時間が長く授業以外でも多くの業務に時間をさいている。「業務時間が短縮された場合、何に時間を使いたいか」の問いに「仕事以外のプライベートに使いたい」という教師が小学校で48%、中学校で56%でした。気分転換ができずに問題を引きずっていることも多いのではないかと心配になります。

 

 

次に教師の長時間労働についてです。同調査では、中学校教諭では1週間の勤務時間が60時間を超える人が36.6%に上り、8割近くが月45時間を超える残業をしているなど、依然として異常な長時間労働です。

先ほど述べた文科省の調査によると、業務が短縮出来たら何に使う?という質問に、「更なる授業準備、教材研究等に当てたい」と答えた教師が小学校48%、中学校41%でした。

教師は「授業の準備の時間がなければ、授業の質が低下する。教材研究して準備すれば面白い授業となり子どもの目の色が違うことはわかっていても、その時間をとれば過労死するかもしれない」そんなジレンマに苦しんでいます。

 

Q4 本市の小中学校の教職員の長時間労働と働き方はどのように改善されるのか方向性をお示し下さい。

 

答弁要旨

教員が心身ともに健康で充実した教育活動を行うことができるよう超過勤務時間を削減することは悩みやニーズを把握することと同様、大変重要であると考えています。

そのため、各学校では、会議・行事の精選のほか、ICT活用による資料のペーパーレス化、データの共有などにより超過勤務の削減に努めております。また教育委員会におきましても、各学校へのスクールサポートスタッフの配置や、中学校の部活動への外部指導員や部活動指導員の導入など、人的支援を行っているほか、給食費の公会計化、ICT環境の整備、勤務時間外の自動音声サービスの導入、学校閉庁期間の設定等の取組を進めてまいりました。

こうした取組により、学校現場からは一定効果があるといった声も届いているところですが、依然として超過勤務が多い教員もいることから、引き続き学校現場とも連携し、働き方改革に取り組んでまいります。(以上)

 

ひとクラスで教師の目に1度に映る数は20人以下だと言われます。教師が児童生徒個々の表情を見ながら授業ができる、子どもの生活の変化を素早く気づくことができる、丁寧な授業ができる。こんな教育を進めるためにさらなる少人数学級が必要だと思います。

 

 

次に保育士の配置基準についてです

国による保育所の職員配置基準が76年ぶりに見直されます。4・5歳児の基準をこれまでの30人から25人に改めるとしています。3歳児については、2015年度より「3歳児配置改善加算」を措置していますが、今回は4・5歳児同様に最低基準等の改正で20:1を15:1に改めるとしています。しかし1歳児の配置基準は、現在の6人から5人にすることを、2025年以降の早期に改善を進めると先送りしました。基準改正は保育士や保護者が国や自治体に対して長年求めてきたもので、現場の切実な要求と粘り強い運動と世論の広がりの成果だと思います。質問します。

Q5 国の配置基準の改定が、本市の来年度の予算に反映されていませんが、具体的にいつから予算に組み込まれるのでしょうか。年度途中からでも補正を組んで実施するべきと思いますが、いかがですか。

 

答弁要旨

議員御指摘のとおり、来年度から3歳児の職員配置基準が現行の20:1から15:1となり、4・5歳児の職員配置基準が現行の30:1から25:1とそれぞれ改善されることになります。この配置基準の改正に伴い、3歳児の配置改善については、既に公定価格上で平成27年度から「3歳児配置改善加算」が措置されておりますが、4・5歳児の配置改善については、新たに「4・5歳児配置改善加算」が設けられ、30:1の配置に要する経費と、25:1の配置に要する経費との差額に相当する金額が加算されることになります。

現時点では、来年度の公定価格に係る単価が国から示されておらず、また各施設の保育士の配置状況によっても費用が変わりますので、どの程度の規模になるか見通しを立てることができませんが、保育施設の円滑な運営に資することができるよう、予算に不足が生じる場合、必要な時期に補正予算を上程させていただきたいとかなえております。

なお、保育士の配置人数については、保育所の開所時間中に登園している年齢別の児童数に合わせて基準に沿った保育士数を配置することとなっており、それらを踏まえ公定価格は設定されております。

以上

 

公共施設の断熱化について

代表質疑で、会派の川崎議員が体育館の空調設備は断熱化と空調と一体でおこなうことで、国からの補助金があることを紹介しました。市は「体育館の空調について直ちに計画を策定する予定はないが他都市の事例や情報収集を行いより実効性のある空調設備、検討を行う」とのことでした。

文科省は学校体育館の空調と断熱化について次のように説明しています「教育環境改善および避難所としての機能強化を図るため体育館の空調設備について補助対象としている。断熱性の確保されていない体育館の空調を設置した場合過大な能力の空調機が必要となったり、光熱費が過大になったりと効率的・効果的な施設整備ができない。断熱性のない体育館には空調設備と合わせて断熱性確保のための工事を実施する必要がある」とのことです。

しかし普通教室の空調設置率は95.7%と進んでいますが、体育館の断熱化・空調設置はこれからです。

資料1をご覧ください。文科省が作成したものです。東京に立地する面積930㎡の体育館の断熱性確保による電気代削減の試算です。初期費用は空調設備に2600万円、断熱化改修4000万円と大きいのですが、ここには国からの補助金が出ます。冷房能力は小さく、年間の電気代は半分ですみます。15年ごとの空調整備を更新しても、40年間で5500万円の削減を試算しています。

 尼崎市では来年度から下坂部小学校の建て替え計画があります。また市立尼崎高校の体育館の改修が予定されています。視察に行った市尼高校の体育館は夏休みでも一日中部活で使われており、大型の扇風機がフル稼働していました。モデル事業としてでも体育館の空調と断熱化をセットで計画するべきと思います。質問します。

 

Q7 新築する下坂部小学校と改修予定の市尼高校体育館に空調設備と共に断熱化の設置を進めるチャンスです。その上で効果の検証を行うべきと考えますが、いかがですか。

答弁要旨

建替えを予定している下坂部小学校の体育館につきましては、新築時に断熱性能を確保することが可能なことから、空調設備の方式や設置方法などを検証し、設置に向けて検討を進めてまいります。

中規模改修を予定している市立尼崎高校第2体育館につきましては、平成12年に新築されており比較的新しいことから、二重サッシは設置されておりませんが、屋根や床等に断熱材が入っており、一定の断熱性能が確保されていると考えております。

ご紹介いただきましたように、空調整備に合わせて断熱性を確保すれば電気代を削減できるメリットがありますが、多額の初期費用がかかる等の課題もあります。また、断熱性を確保したとしても空調設備にはランニングコストや保守点検などの維持管理費用も大きな課題となりますが、国の補助対象とはなっておりません。

現時点で直ちに体育館の空調設備や断熱化を整備することは困難な状況でございますが、児童生徒の熱中症対策や災害対応の観点から空調整備の必要性は認識しておるところでございます。どの学校でどのようにとは考えておりませんが、試験的実施も視野に入れ、他都市の事例や機器メーカーからの情報収集など実効性のある調査・検討を進めてまいります。

以上

 

 

昨年、自治体学校に参加し、東京都杉並区長岸本聡子さんの話を聞きました。岸本区長は「どれだけ暑くなったら私たちは気象変動が緊急の課題であることを認識するのでしょう。学校の断熱すらできておらずクーラーも効かない状態です。個人の家でも公共施設でも、地域の事業者が一緒に断熱化をすすめればどれだけの経済効果が生まれ、どれだけの命が救え、どれだけの光熱費を下げることができて、CO2の排出を下げることができるでしょうか。エネルギー価格が高騰し、特に低所得者に大きな打撃を与えています。だからこそ断熱をしなくてはいけない」と話されました。

尼崎市では2021年6月に尼崎市気候非常事態行動宣言を表明し、「2050年までに脱炭素社会を実現するため、30年の二酸化炭素排出量を13年比で50%程度削減することを目指す」ことを宣言しました。

これまでの新築された市営住宅や生涯学習プラザ、公立保育所等は太陽光発電やLDE化は進みましたが、断熱化等脱炭素に向けた取り組みはなぜしてこなかったのでしょうか。

公共施設の建設ついて、断熱材、2重サッシ等の断熱化の規定をしっかり打ち出し、業者に資材や建設手法の指導や要望をするなどの積極的な対策を打つべきでした。

今後、建設される北図書館と女性センターの合築施設、大庄ふれあい体育館、公立保育所、市営住宅等の公共施設に断熱化を行うべきです。

質問します。

Q8 新築される公共施設に断熱材や2重サッシを設置し、その効果を検証することについてはどのように考えますか。

 

答弁要旨

近年新築した公共施設につきましては、省エネ適合基準を上回る断熱性能を確保した建物としており、例えば、生涯学習プラザなどにおいては、外壁や屋根内側には硬質ウレタンフォームの断熱材を施工しているほか、必要に応じてサッシには断熱性の高い複層ガラスを採用するなどしております。

さらには、令和4年度向けの主要事業でお示しましたとおり、4年度以降に本市が設計を行う新築建築物については、他都市に先駆けた取組として、原則、「ZEB Ready」を導入しており、より一層の外壁の断熱化や断熱性能の高い窓ガラスの採用、高効率な省エネルギー設備などを備えることにより、ライフサイクルコストの効果を試算のうえ、脱炭素化を推進すべく、省エネ基準より50%以上のエネルギー消費量の削減に取り組んでいるところです。以上

 

最後は高齢難聴者の補聴器購入費用助成制度について

 2018年兵庫県は「国に補聴器購入に対する公的補助制度の創設を求める」意見書を提出。22年都道府県では初の補聴器購入補助事業「高齢者の補聴器活用調査」が実施されました。県内400人を対象に補聴器購入助成を施行し、補聴器に導入による社会参加の状況を調査しました。しかしいまだに調査結果が公表されず、来年度の予算にありませんでした。

兵庫県内では明石市が65歳以上の高齢難聴者を対象に所得制限なく、「認知症あんしんプロジェクトの推進事業」の一つとして、補聴器助成をしています。2021年は180人、22年は300人限定で2万円の補助。事業費だけでは600万円の財源です。

 相生市では、「在宅福祉サービス」の一つとして、22年は市民税非課税世帯を対象に2万円の補助。事業費は38万6千円で25人の方が補助を受けました。23年からは市民税課税世帯の方も対象にしています。県内でも5市3町に助成制度が広がっています。

年齢を重ねることによる難聴は、程度の差こそあれ、誰しも避けられない生理的な変化です。難聴により家族との会話が成り立たなくなったり、テレビ・ラジオの音が聞こえにくくなったりすることは生活の質に関わります。人の話が聞こえにくくなれば人とのコミュニティに参加することも、外出することもおっくうになり、心身の健康に大きく影響します。高齢者の尊厳にかかわる問題です。

県では400人、明石市では300人限定でした。他の自治体でも低所得者対策として市民税非課税世帯から始めています。最初は対象者を限定してでも、市民ニーズがどれほどあるのかの検証が必要です。まずは始めるべきです。質問します。

 

Q9 高齢難聴者補聴器購入費用助成制度は、難聴高齢者に対して社会参加だけでなく、孤独な高齢者の生活の質を高める手助けをする制度です。ぜひとも実施してほしいとおもいますがいかがですか?

 

答弁要旨

加齢性難聴者の補聴器購入費助成につきましては、昨年度から引き続き、兵庫県がモデル事業として、補聴器装具のニーズや社会参加活動の状況等を把握するアンケート調査を実施しております。

また、国立長寿医療研究センターでは、加齢性難聴によりコミュニケーションの低下などが生じ、認知症のリスクが高まる可能性があるとの指摘を受けて「補聴器による認知機能低下予防の効果を検証するための研究」を実施しているところです。

本市としましては、全国市長会を通じ、令和5年11月に令和6年度向け高齢者福祉施策に係る提言の中で、「加齢性難聴者の補聴器購入に対する補助制度を創設すること」これに加え、「難聴と認知機能の低下との関連性の究明」を国に求めているところです。

先程申し上げましたとおり、現在、国における研究や県のモデル事業のアンケート調査結果の検証が途上である中で、現時点において、市単独での事業を実施する状況にはないと考えておりますが、引き続き、国・県の研究・調査結果や他都市の実施状況等を踏まえて効果的な支援のあり方について検討してまいります。

 

これで、日本共産党議員団の総括質疑はおわります。代表質疑、分科会、総括質疑を踏まえまして、意見表明で意見を述べていきます。ありがとうございました。