2018.6月議会・徳田みのる議員の一般質問の発言と答弁概要です

 

1登壇

日本共産党議員団の徳田稔です。

私は、自治のまちづくりに向けた地域振興体制の再構築、公共施設マネジメント方針の取り組みについて見解をお聞きします。

(地域振興体制の再構築)

 まず、自治のまちづくりに向けた地域振興体制の再構築の取り組みについてです。

市は自治のまちづくり条例を制定し、その理念を具体化するために必要な地域振興体制を再構築する。そして①地域発意の取り組みが広がる環境づくり、②地域を支える新たな体制作り、③地域とともにある職員づくりをすすめるとしています。そして地域に関わる様々な主体の参画をえて、まちづくりをすすめるための合意形成の場となる新たな協議体を設置するものです。

地域振興センターと公民館に代わる市長部局の新たな組織をつくり、地域振興機能と学びのサポート機能を融合するなど、それぞれの強みやスケールメリットを活かすとともに、職員を積極的に配置するとしています。目的別に設置している公民館と地区会館をともに学びと活動を支えるための施設として、より柔軟な利用を可能にする。さらに、施設の管理は指定管理者制度を導入するなど、職員が講座等の企画立案・実施に加え、積極的に地域に出向き、「地域を知る、地域に参画するきっかけづくり」と「次の学びと活動につなげていく働きかけ」を行う体制をつくるとしています。地域振興体制の再構築で、めざす姿のイメージとして、学びを通じて地域や社会に関心を持ち、人々がともに行動する事で、新たな気づきをえてさらに学びを深めていく。この様な学びと活動の循環は、人と人の交流やつながりを生むことにもなり、さらに、学びの成果を身近な人や地域社会に還元するような活動が活発になることは、地域の課題解決や魅力向上にもつながるとしています。

一方、教育基本法12条では、国及び地方公共団体の社会教育に対する奨励や振興の責任が明記されています。この教育基本法の精神にのっとり、社会教育法第3条で、社会教育に関する国及び地方公共団体の任務を明らかにしています。①すべての国民が自ら、文化教養を高め得るような、環境を醸成するように努めなければならない、②必要な学習の機会の提供及びその奨励を行うことにより、生涯学習の振興に寄与すること、③学校、家庭及び地域住民その他関係者相互間の連携及び協力の促進に資することとなるよう努めるとなっています。そして第20条で公民館の目的がうたわれ、第21条で市町村が公民館を設置するとなっています。

 

Q1,まず市長にお尋ねします。地域振興体制の再構築で、学びと活動の循環で、学びの成果を地域社会に還元する活動につなげるとしていますが、この「学び」とは、どの様な学びでしょうか。また社会教育法に基づく、市の任務の遂行と責務を果たすためには、どの様な対策を講じられるのでしょうか、お答えください。

答弁

地域振興体制の再構築の取組は、地域の方々が自らを取り巻く課題を知り、考え、解決に向け取り組む地域を目指すものであり、まちに関わる人々がそうした課題に「自分事」として関わっていくことができるよう、とりわけ、「学び」を重要視しております。この「学び」は、趣味や地域の歴史のように学習ニーズに基づくものに加え、防災マップや子どもの居場所づくり、また、高齢者の見守りなど、生活に密接に関連した課題を知るとともに、他者との対話を繰り返しながら、お互いの考えを共有したり、深めたりしていく過程も含んでいると考えております。

また、市の任務の遂行等につきましては、昨日もこ答弁申し上げましたように、生涯学習プラザの設置及び管理に関する条例において、生涯学習プラザが、社会教育を含む生涯学習の拠点として設置する施設であることや、公民館が実施することとされている事業を実施することについて規定するとともに、市長と教育委員会、両者の付属機関を設置し、開かれた事業評価を行うことができる仕組みを.新たに設けることなどにより、担保してまいります。以上

 

Q2,教育長にお尋ねします。この地域振興体制の再構築の中で教育委員会として、どのような役割を果たそうと考えられているのか、見解をお聞かせください。

答弁

公民館の機能には、①地域の学習拠点としての機能、②家庭教育支援拠点としての機能、③学較・家庭・地域社会等との連携等を図り地域をつなぐといったコーディネート機能がございます。そして、今回の地域振興体制の再構築の取組の拠点施設である生涯学習プラザにおいては、これらの機能を継承、発展させていくとの方針がございます。この方針に沿って、市長と教育委員会、両者の付属機関として「(仮称)社会教育等審議会」を新たに設置しく事業評価等を行う仕組みの検討が進められているところでございます。教育委員会といたしましては、こうした仕組みの中で、社会教育行政の視点から、市長部局と協議を行い、生涯学習、社会教育を共に進めてまいりたいと考えております。また、地域学校協働活動を中心に、学校教育と社会教育との連携を一層推進するとともに、教育委員会の各種事業や教育関係団体との繋がりを活かす中で、市長部局と十分に連携を図り、相乗効果を上げられるよう、その役割を果たしてまいりたいと考えております。以上

 

(飯田市のまちづくりの状況)

長野県飯田市の公民館活動は、住民の主体的参画による住民自治力の土台になっているとともに、市民協働の姿勢を学ぶ職員のキャリアアップの場となり、公民館館長、主事などが、地域住民とともに考え、まちづくりを実践されています。尼崎市は、この優れた飯田市の公民館活動を、住民自治の本質と共に自治活動を支援する職員としての姿勢や、役割を体験的に学ぶとして、職員を飯田市に派遣しています。

Q3,そこでお尋ねします。飯田市に職員を派遣したことで、市長はどのような成果があったとお考えでしょうか、お聞かせください。

答弁

自治のまちづくりを進め、より良い地域を築いていくためには、市民の方が発揮ざれる環境づくりに加え、地域に配属される職員についても、地域の課題解決や魅力向上に向け、市民とともに考え行動する中で、必要なカを磨くことが求められております。そうした観点から、地域を人材育成の場として捉え先進的な公民館活動を展開している飯田市へ、地域振興センター職員を派遣しているところでございます。

昨年度派遣された職員については、飯田市の公民館主事と活動を共にすることにより、地域に携わる職員として、地域住民の思いに寄り添い実現に向けてコーディネーター役に徹する姿勢や地域の気運を高めていく手法など、職員力の大切さを身をもって学びとってきたものと考えております。このような体験につきましては、さまざまな機会を通じて、他の職員と共有するとともに、現在は、地域振興体制の再構築に向けモデル的取組を行っている武庫地区の地域振興センターと公民館において、実践活動に着手しているところでございます。今後は、こうした職員の行動事例や取組姿勢等を基にs地域とともにある職員づくり、地域に根差した思考が全庁的に根付いていくよう取り組んでいくこととしております。以上

 

(徳田)党議員団は飯田市に派遣された職員から報告を受けるとともに、5月に飯田市の地域自治組織制度と公共施設マネジメントについて視察をしてきました。飯田市は人口10万人の南信州の中心都市です。高齢化率31%にのぼっています。市の一般会計の予算規模は460億円です。飯田市は戦後から何度も合併を繰り返して、現在の規模に至っています。2006年に、まちづくりに関する基本的な指針を定めた、飯田市自治基本条例を制定しました。 そして、人口減少、少子高齢化に伴う地域力の低下、地域への価値観の希薄化、地域の役員負担の増大、地域活動の担い手の不足、地域活動団体の連携及び情報共有の困難さが増している。その解決として、行政と住民の協働による住民自治を拡充するために、住民が行政の意思決定に参画しやすい仕組み、行政と住民の協働を推進するための仕組みとして、地域自治組織を発足させました。

そして住民自らの地域自治が大きく前進しています。 

飯田市の牧野光朗市長は、前進させた秘けつとして、住民と地域共同体の当事者意識を共に高めること。そのための住民の主体的参画、自治性と価値観の共有を強調されています。そして、それをまとめられ市長が,共創の場づくりから生まれる善い地域づくりとは「円卓の地域主義」と題する本を発行されています。この「円卓の地域主義」に対して里山資本主義の著者、日本総合研究所主席研究員である藻谷浩介(もたにこうすけ)氏は、市民力ある10万人の飯田市の光輝く未来をこの本から確信したと絶賛されています。

 

 Q4,そこでお尋ねします。飯田市の牧野市長の著書「円卓の地域主義」を市長はお読みになりましたか。お読みでしたらそのご感想をお聞かせください。

答弁

議員お尋ねの著書は、あいにくお読みしたことはございませんが、牧野市長とは、親しくさせていただいており、飯田市の取組についても、かねてより存じ上げているところでございます。

飯田市では、まちづくりの基礎となる質の高いコミュニティを形成していくため、自分たちのまちは自分たちで良くしていこうという共通した価値感のもと、市民と市民、市民と行政、みんなが対等に前向きな議論ができる素地づくりに徹してこられました。・「行政の脱・縦割り」、「学びと地域活動の循環」、何よりも、地域住民の皆さまと職員とが一緒に考え、学び、実践する中で、ともに育っていくといった形は、まさに飯田市の住民自治力の土台となっており、それらの点については大いに学びたいと考えております。(以上)

 

(徳田)以上で第1問を終わります。

2登壇

 答弁をいただきました。飯田市の地域自治の取り組みを学んでいくとのことです。

またこれまで公民館が果たしてきた役割は維持するということです。そして今年は武庫地域において先行的な取り組みを行っているとのことですが、それを踏まえて、第2問に入ります。

(飯田市の地域自治区とまちづくり委員会)

 飯田市の地域自治組織は、市の組織の地域自治区と住民組織のまちづくり委員会に分かれています。お手元の資料をご覧ください。20の地域自治区には自治振興センターと公民館が配置され、地域住民から選出された地域協議会があり、多様な主体による地域づくり活動への支援が行われています。

一方、住民組織のまちづくり委員会には町内会から選出された人によって、健康福祉委員会、公民館・育成委員会など地域の実情に合わせて各委員会が設置されています。そして、住民が一体的かつ総合的にまちづくりに取り組むためパワーアップ地域交付金が交付されています。

飯田市では、自治振興センターと公民館がすべての地区にあり、職員もたくさん配置され、それぞれの機能を果たしながら、多様な課題が、地域協議会に持ち込まれて検討され運営されています。そして地域自治組織の中で、地域振興センターと公民館がそれぞれの機能を果たしながら、それぞれの立場から地域と共に活動をしているわけです。

尼崎市が地域活動を実践的に学んでいる、飯田市の公民館活動は、飯田市の地域活動にとってなくてはならない存在となっています。尼崎市でも、これまで地区会館と公民館はそれぞれの機能を発揮し、独自の活動をすすめてきました。以前は6つの公民館と16の分館があり、市民の生きがい、尼崎の文化水準を上げるものとして貢献してきました。その後、財政難もあり分館が廃止されてきました。そして地域振興体制の再構築で、今度は公民館を廃止しようとしています。しかし、これまで公民館が果たしてきた役割を維持するため、市の条例において施設の目的等を明記し、生涯教育や社会教育の発展に向けて取り組むとしています。しかし、公民館を社会教育法の規定からはずしてしまえば、公民館活動ではなく、社会教育法に基づく活動と言えません。

地域振興センター・地区会館と教育委員会の公民館が独自の活動を引き続きすすめ、そして各地区ごとの協議体に課題を持ち込んで、地域振興をすすめるべきと考えます。

 

5,そこでお尋ねします。地区会館と社会教育法に基づく公民館を残して、それぞれ独自の活動進め、地域振興を図るべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

  今回の取り組みは振興ゼンター、地区会館、公民館が一体となって、それぞれの地区の特性を踏まえながら、市民の学びと活動を支え、地域の振興を図っていこうとするものでございます。これまでも、各施設等が連携することで、こうした対応をしてきておりますが、組織目的等が異なることにより、十分な連携が図れなかった場合があったものと認識しております。そうしたことから、組織を再編することで、職員が共通の組織目的の下、市民とともに考え、行動するといった職務を遂行できる体制を築くものでございます。さらに、公民館を市長部局に移管し、原則として地区会館と同様の施設に位置付けることにより、学びや活動の場を増やすととともに、より柔軟な利用を可能とするなど、学びや活動の活発化に資するよう取り組む考えでございます。(以上)

 

(徳田)振興体制の再構築の中で、市内にある地区会館と公民館を廃止し、新しい施設にしようとしています。この新しい施設は、教育基本法第12条1項の「社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない」とする規定によるとしています。一方、教育基本法第12条2項は、「国及び地方公共団体は社会教育の振興に努めなければならない」。同13条は「学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育における役割と責任を自覚するとともに、相互の連帯及び協力に努める」となっています。

6,お尋ねします。地域振興体制の再構築による新施設の設置は教育基本法第121項「社会において行われる教育は国及び地方公共団体によって奨励されなければならない」の規定によるものです。なぜ教育基本法第122項、「国及び地方公共団体は、社会教育の振興に努めなければならない」、第13条、「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携及び協力に努める」の規定によらないのでしょうか、お答えください。

答弁

議員ご指摘の教育基本法第12条第2項につきましては、国や地方公共団体が、図書館や公民館といった社会教育施設の設置等によって、社会教育の振興に努めることを規定したものであり、また、同法第13条は、学校や家庭、地域住民等が相互に連携、協力することなどを規定したものであることから、これら両条文の内容は、いずれも、今回の設置及び管理に関する条例になじまないものでございます。なお、この条例は、教育基本法の規定を引用するとともに、事業実施に当たり、教育基本法の精神に基づき実施することを規定しており、これにより、これまで公民館が担ってきた役割と事業を継承していく考えでございます。以上

 

(尼崎市の公共施設マネジメント方針)

次に公共施設マネジメント方針についてお聞きします。尼崎市公共施設マネジメント方針では、市の施設は建築後30年を経過したものが60%を占め、老朽化した施設の建て替えや改修が大きな課題となっています。そうしたことから方針では施設の圧縮と再編で、①35年間で床面積を30%以上削減する、②予防保全によって長寿命化をはかる、②施設の効率的・効果的な運営を行うとしています。そして、昨年、市民説明会が12カ所で開かれて、市民100人が参加しました。多くの施設利用者から納得がいかないとの声が、たくさん寄せられました。また市議会へも陳情書が提出されてきました。

(飯田市の公共施設マネジメント方針)

 一方、飯田市には753の公共施設があり、施設の55%が築30年以上となっており、尼崎と同じように老朽化が進んでいます。飯田市では公共施設に関する財政の見通しを次のように分析しています。公共施設の更新を築後60年とした場合、今後40年で2079億円、1年あたりに換算すると毎年52億円の経費が必要となります。これは過去4年間の投資的経費の建物費用は平均14億円のため、年間38億円が不足するという計算になります。そのためすべての公共施設を改修・建て替える事は、費用が莫大となり困難であります。このことは尼崎と同じであります。

ところが、この後の取り組みが尼崎と大きく違っています。飯田市公共施設マネジメントの基本的な考え方では、これまで様々な課題を、関係者との協議や市民からの問題提起によって解決してきた市民力があります。そのため施設白書を基に削減目標を定め、一方的に実践する方法はなじまない、地域が主体的に考えられる環境づくりをすすめ、市民と十分な意見交換を行ってすすめるとしています。尼崎市では今後35年間で30%以上の削減目標をつくっていますが、飯田市ではあえて公共施設の廃止等の数値目標は出していません。また数値目標を設定していない中核市も、2016年度末、全国で16自治体、36%にのぼっています。

 

Q7,そこでお尋ねします。飯田市では削減目標を定めて一方的に実践する方法はなじまないとして、削減の数値目標は決めていません。この方針に対しての市長の感想をお聞かせください。

答弁

ご質問の飯田市の取組は、市内の全20地区に地域別の検討会議を設置し、市民や利用者などと協議する形式となっており、数値目標を定めていないことは承知をいたしております。

しかしながら、平成26年度に総務省が策定した「公共施設等総合管理計画の策定に当たっての指針」においては。計画期間内に公共施設等の数や延べ床面積の削減の数値目標を設定することが求められており、中核市のうち6割以上の自治体で数値目標が設定されております。

本市におきましては、このような動きを先取りする形で、平成25年度に市長を座長とした副市長及び局長級職員で構成するファシリティマネジメント推進会議を設置し、将来負担や財政状況などを勘案し、35年間で公共施設の保有量を30%以上削減するという数値冒標を定めたものであります。したがいまして、公共施設マネジメントを着実に推進するためには、数値目標の設定は必要であると考えております。以上

 

 (徳田)この様な中で、飯田市では2015年に公共施設マネジメント基本方針を策定しました。

そして公共施設に関する基本的な政策方向のみ住民に提示しています。

公共施設管理の基本原則、暮らしやすい地域づくりの推進、よりよい市民サービスの推進、財政負担の軽減の基本方針を提示しています。

利用者、関係団体、地域住民などにより総合的な検討をすすめるための環境をづくり、十分な意見交換により課題の解決と具体的な検討をしています。お手元の資料をご覧ください。

文化・スポーツ・観光など多くの市民が利活用している施設については、目的別検討会を設置して、その施設の目的に関する利用者・関係団体・まちづくり委員会・関係部署の行政などによる全市的な視点に立って、現有する施設の長寿命化及び統廃合や複合化等の具体的検討を行っています。また市内の各地域に設置された地域に密着した様々な施設については、地域別検討会を設置し、実際に地域で使用している地域の人による、利用者の視点・地域の視点に立って施設の長寿命化、地域課題解決に向けた施設の有効活用等の具体的検討を行っています。飯田市では、公共施設をどうしたらよいのかという意思を市民自身に問いかけ、市民自らが主体的に施設の今後の方策、長寿命化、集約化・多機能化、廃止、売却、民間活力導入、新規施設などを決めている訳です。

 

Q8,お尋ねします。飯田市の市民力に活かした公共施設マネジメント計画を策定していますが、尼崎でも学ぶべきと考えますがいかがでしょうか、お答えください。

尼崎の公共施設マネジメント計画による長寿命化、集約化、多機能化、廃止・売却、民間活用の導入、新規施設などの判断は、市民と十分に話し合い、市民に判断をゆだねるべきと考えますが,市長の見解はお聞かせください。

答弁

先ほど副市長がご答弁申し上げましたとおり、飯田市では、地域別の検討会議での議題として、施設の再編や廃止などについて、市の原案を示した上で、市民から意見聴取を行っているものであり,これまで、本市が実施してきた手法と大きな差異はないと考えております。今後は、個別施設の具体的な対応策について政めて市民。利用者の方々へ説明を行ってまいりたいと考えているところであり、本市の考え方を十分にお伝えし、ご理解いただけるよう努めていくことが、行政としての重要な役割であると考えております。以上

(徳田)飯田市では、市民に地域の将来を自ら考えてもらう自治の取り組みを行っています。

すでに2015年から19年までの5年間で14分野198施設をピックアップして、目的別検討会、地域別検討会を通じて、具体的な方向性を話し合っています。そして、地域住民との協議により、例えばある保育園については地域が出資して社会福祉法人を立ち上げ運営する、森林公園では地域が指定管理を受けて総合的に管理する、廃校した学校をまちづくり委員会が利活用などさまざまな取り組みが行われています。

私は3月予算議会の代表質疑で、「公共施設マネジメント計画は、市民参加の検討会を開いて、施設の方向性を検討すべき」と求めました。市長は「これまで公募委員による市民会議を開催するとともに、パブリックコメントにおいて600件の意見を受け、市民説明会も開催してきたので、市民参加の検討会は実施しない」との答弁でした。飯田市では、財政状況から見た公共施設の適正規模にして行くために、利用者による目的別検討会、地域住民に地域別検討会で、市民目線により、市民の中で話し合い、解決の具体化を検討しているわけです。尼崎でも公共施設マネジメント計画の、個々の施設の具体的な方向性の判断は市民にゆだねるべきだと質問した訳です。

以上で第2問を終わります。

3登壇

 ご答弁をいただきました。第3問は要望に留めておきます。地域振興体制の再構築による新しい施設を設置する根拠法令は、なぜ教育基本法第12条1項のみに限定するのか疑問です。これまでの公民館が果たしてきた役割を維持していくのであれば、教育基本法第12条2項も含め、12条全体で根拠法令にすべきです。教育基本法第12条1項、「社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない」なっています。2項では、「国及び地方公共団体は、社会教育の振興に努めなければならない」となっています。1項の「社会において行われる教育」ではなく、2項の「社会教育の振興」をはっきりといれなければ、これまでの公民館が果たしてきた役割を維持する事ができないのではないでしょうか。

 これまで尼崎の公民館は、社会教育法に基づいて、生涯学習の拠点施設として、地域住民の実生活に役立つ、教育・文化・学術に関する各種事業の実施及び集会の場の提供を行い、住民の教養の向上、健康の増進、文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的として活動してきました。この様に尼崎の公民館が、社会教育法に基づく教育機関であったからこそ発展してきたものです。地域振興体制の再構築で、公民館を存続させるか、あるいは新施設に移行させるのであれば、半数は社会教育法に基づく施設にすべきであります。

次に、公共施設マネジメントについてですが、施設削減の数値目標を設定しないと国からの補助金が少なくなるので、数値目標がいるとのことです。市民はすべての施設を残せと言っているわけではありません。まず数値目標ありきの公共施設マネジメントでは、市民と、とことん話し合うことができないと思います。この点では、市長の政治姿勢が問われていると思います。尼崎市は、住民自治の本質、自治力を体験的に学ぶために職員を飯田市に派遣しているわけです。その飯田市は住民の自治力を基礎にして、公共施設マネジメントを行っています。この飯田市の公共施設マネジメントのやり方を同時に学んでこそ、飯田市の住民主体の住民自治を学んだと言えるのではないでしょうか。そのことを強く求めて、私のすべての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

2018.3月議会・予算案並びに関連議案に対する広瀬わかな議員の反対討論です

 日本共産党議員団の広瀬若菜です。議員団を代表して、予算案及び予算関連の議案第1号、第2号、第10号、第15号、第35号、第38号について反対討論を行います。

 尼崎は阪神間の他市と比較して平均収入が年100万円程度低い中で、国保料を見れば同一所得当たりの負担額は高く、払いたくても払えないことを議員団は指摘をしてきました。今回の広域化で国から3400億円の財源投入がされたことにより、保険料は平均約15,000円下がるため4億円の繰り入れは行わないとのことですが、他市の保険料が決定していない中で、高すぎる保険料の解消ができたかどうか検証もできていません。また、国保条例の一部を改正する条例議案は、国の賦課限度額が上がれば、運営協議会で市民の声を聞くことなく最高額があがってしまい問題です。よって賛成できません。

 介護保険料は開始時の額に比べて倍以上に増えています。第6期の収支は18億円の黒字見込みです。市は全額を介護保険会計に入れるので市民に還元していると説明しますが、それなら保険料を据え置くことが、市民にとって還元の実感を一番得やすいと考えます。よって、介護保険料の引き上げに反対します。

 あまっこステップアップ事業は、市の説明によると1人1人の子どものつまづきがわかり、その子に合った指導が経年的に可能となるもので一層の学力アップが期待できるとされる拡充事業ですが、教育現場や子どもからは「テスト漬け」と批判の声も上がっています。学校間に学力向上の競い合いが持ち込まれ、教育のゆがみを引き起こすことも危惧されることから、賛成することはできません。

 県道園田西武庫線整備事業は市民にとって急ぐ必要のない事業です。JR福知山線の下を通る工事費がかさみ、当初市負担金は44億円でしたが50億円にまで膨らんでいます。市民の負担が大きい大型公共事業は当面の間凍結することを求めます。よって、この事業費が含まれる尼崎宝塚ほか2路線県施行街路事業地元負担金は認められず、反対します。

 業務執行体制の再構築による市業務のアウトソーシングの結果、窓口業務における市民サービスの低下や危機管理対応に不備が起こっていることが代表質疑・総括質疑でも明らかになってきました。このアウトソーシングをさらに進める業務プロセス分析には反対します。

 モーターボート事業は市民合意の年開催180日を超えることから賛成できません。

 行政情報化推進事業です。マイナンバー制度は、導入時から情報漏洩の危険性が指摘されてきました。その運用をさらに広げるマイナポータルは自己管理が基本です。自分に関するどのような情報を行政機関が保有しているのか、どこの行政機関が自分に関する情報を見たのかを、マイナポータルで各自確認し、問題があれば申し出をしなさいというものです。しかし、個人情報の侵害はいつ起こるかわからず、四六時中見ることは不可能です。また、高齢化が進む中で、個人番号カードやパスワード、マイナポータルを安全に管理できる保証はなく、マイナポータルをつかった行政サービスの推進には賛成できません。

 よって、予算案及び予算関連の議案第1号、第2号、第10号、第15号、第35号、第38号について反対します。ご賛同いただけますようよろしくお願い致します。

2018.3月議会予算特別委員会・維新の会の修正案(中学校弁当の廃止)に対するこむら潤議員の反対討論です

 こんにちは、日本共産党議員団の、こむら潤です。議案第1号 平成30年度尼崎市一般会計予算に対する修正案について、日本共産党議員団を代表して反対討論をおこないます。

 維新の会によれば、中学校弁当事業は費用対効果が認められないため、事業は廃止すべきとのことですが、本事業は、家庭から弁当を持って来ることができない子ども達へ、栄養価の高いバランスのとれた食事を保障するために必要な事業です。費用対効果が認められないとの理由のみで突然来年度より打ち切ることは問題があります。たとえ少ない利用率でも、現に利用している子ども達がおり、廃止した後の代替え案もない状態はあまりにも無責任です。もちろん中学校給食を早期に実施することが最善であることは言うまでもありませんが、中学校給食の実施が整うまでは、市が責任を持って弁当事業を継続すべきであると考えます。

 また、予算案修正項目として挙げられている「ストップイットの導入」および「ハイパーQ-Uテストの導入」については、議論が尽くされておらず、効果の確証もない状態で導入の是非を結論づける事はできません。

 よって、この度の修正案には反対をいたします。

2018.3月議会・予算特別委員会での松沢ちづる議員が行った意見表明です

 2018年度予算及び関連する議案について、日本共産党議員団を代表して松沢ちづるが意見表明を行います

 貧困と格差の恐るべき拡大が日本で進んでいます。上位40人の資産が、下位50%の資産を超える状況です。貯金「0」の世帯が31%、非正規労働者は全体の40%、正社員でも解雇・病気で働けないとなればすぐに貧困層へ転落する今の情勢の中に、尼崎市民もいます。厳しい市民のくらしに寄りそって、市民福祉の向上に目配りする市政になっているかという視点から述べます。
 まず、乳幼児・こども医療費助成についてです。他会派からも指摘されましたが、尼崎は県下自治体の中で大きく立ち遅れてしまいました。現時点で県下41自治体中35自治体、実に85%が中学卒業まで医療費無料です。さらに、負担在りの6自治体中尼崎をのぞく5自治体は、いずれも県制度に自治体独自の助成を上乗せしています。代表・総括質疑に応えて、市長は「都市間で、助成内容に格差が生じているのは認識している」「所得制限を撤廃した場合どうなるか、助成対象をどれくらいどの年齢まで行ったら効果はどうかなど内部で検討している」と言われました。ぜひ、検討からさらに1歩踏み込んで具体的な施策にしていただきたいです。わが会派の試算では、小1~小3の通院窓口負担を今の半分にする、小4~中3の通院は1回800円月2回までにする助成拡充に必要な経費は1億2千万円程度と見積もっています。今の市の財政状況でも、これぐらいはやりくりできる範囲です。給料日前になったら、子どもに熱出すなケガするなと願い、一番下の子はお医者さんに連れていくけど、上の子は下の子の残った薬を飲ませて様子を見ている尼崎の多くの子育て世代が現にいます。市長は「子どもは社会全体で育てると言う観点から、子どもの医療費助成が自治体によって異なる制度で運用されるのではなく、基本的には国の責務として必要な財源を講じるべき」だとおっしゃいました。その通りです。しかし、貧困の格差が子どもたちを取り巻いており、国がやるまで待てません。他市のように、尼崎市も一刻も早く医療費助成の拡充に取り組むべきです。
 次に、保育施策についてです。子どもの人口は減少傾向とはいえ、尼崎の保育所待機児は2017年度よりさらに増え、2018年4月時点で600人前後、昨年の2倍弱と予想されています。その多くが0~2歳です。市は対策として0~2歳対象の小規模保育事業を増やしてきました。現在21ヵ所あり今後2年間で更に20ヵ所増やす計画です。しかし、小規模保育事業は園庭がなくても給食は外部からの持ち込みでもOKです。国は緊急対策だと言って小規模保育事業の定員を今の19人から21人まで認める、3歳以降も認めるなどの保育の質を落とす改悪案をかざしている代物です。また、3歳になった時の受け皿不足も課題です。小規模保育事業に頼ることなく、認可園でしっかりと受け皿をつくる方向に施策を進めていただきたいです。市長は、「公立保育所の第4次民間移管計画を推進する」「計画を進めることが保育の質を維持するもの」だとおっしゃっています。そうでしょうか。第4次民間移管計画では6ヵ所を対象にしていますが、1番手の富松保育所が来年度移管され、計画通り進めても6カ所全部移管するのにまだ8年かかります。更に、それでもなお、民間移管対象保育所が6カ所も手つかずで残されます。しかも、第4次計画では企業参入も視野に入れた文言が出てきています。儲け第一の企業に保育をゆだねるようなことがあってはなりません。わが会派は、第4次民間移管計画は凍結し、保育所待機児解消の対策として、今ある21カ所公立保育所のうち、老朽化した公立保育所の建替えとその際に0歳児保育も含めた定員増を順次進めることを求めます。また、法人園の保育士確保対策のさらなる充実および、保育料の軽減を求めます。保育料は特にD5・D6の階層が重い負担であり、軽減すべきです。
 2018年度予算のPRで、「全小学校の敷地内で児童ホーム・こどもクラブの両方を実施しているのは、全国48の中核市で尼崎だけ」と強調されています。そして2年間で受け入れ枠500人増で待機児解消と銘打っています。しかし、定員増はそのほとんどが民間児童ホームです。民間児童ホームは保育時間が延長できる面もありますが、利用料が高額で、有効な待機児対策となっていないのが現実です。待機児の多い所はこどもクラブに子どもが流れ、第2児童ホーム化が問題になっています。公設児童ホームを1年に1ヵ所増築では、あまりに需要に見合わないスローペースです。もっと現実にあった増設を求めます。
 あまっこステップ・アップ調査事業についてです。一人ひとりの子どもの「つまづき」が分かり、その子に合った指導が経年的に可能となるので、一層の学力アップが期待できると太鼓判が押される拡充事業ですが、教育現場や子どもからは「テスト漬け」と批判の声があがっています。学校間に学力向上の競い合いが持ち込まれ、教育のゆがみを引き起こすことも危惧されます。どの子も「賢くなりたい」と思っています。現場の教職員は、どの子も分かる授業をと努力しています。テストに頼らず、少人数学級に関する人員や放課後学習のスタッフ人員の拡充で授業のつまづきをなくし、学習を確かな力にしていく支援こそ力を入れるべきです。よって、あまっこステップ・アップ調査事業は必要ありません。
 次に中学校給食です。代表・総括質疑の中で、4年前中学校給食を実施すると市民に約束したときから、すでに1ヵ所の給食センター方式しかないという前提が市にあったということがよく分かりました。だからこそ、市民から自校方式や親子方式などの声があがっても、きっちりと市民に向き合わず平行線のままここまできたということなのでしょう。わが会派は、親子方式ではできないという当局側の理由付けが的をえているのかどうかを、高槻市と市内小学校の給食現場で比較検証してきました。そこでは、総括質疑で述べたように「そうではない」事実がたくさん出てきました。市民は、安心安全で一刻も早い実施を求めています。そこに応えるために、今からでも給食センター方式だけでなく、他の方式ではどうかという検討をすべきだと強く求めます。
 昨年10月から障がい者移動支援事業の報酬単価が大幅に減額されました。分科会質疑で当局からは、10月を起点に従前の3ヵ月と減額後の3ヵ月を比較したところ、利用件数や利用時間に大きな変化は見られなかった。3月になって、ガイドライン部会でこの報告をし、経過を見ようということになっていると説明がありました。これだけを聞けば、あまり変わっていないんだととらえられますが、「障害者の生活と権利を守る連絡協議会」が今年1月から2月にかけて行った施設アンケートでは、報酬単価の減によって9施設中年間400万円も減収になると推計されるところが3施設もありました。職員の人件費1人分に相当する額です。「今でも職員は低賃金で働いている。更なる報酬削減で、人材確保もままならず、サービスを求める障がい者に支援ができなくなる」という施設の叫びが、いよいよ現実味を増してきます。この事業の変更目的は、決してサービス削減ではなかったはずです。今後サービスを提供する施設、利用者それぞれの状況を更に調査し、障がい者の社会参加や自己実現に寄与するこの事業がしっかりと展開できるよう、市は責任を果たすことを求めます。
 国民健康保険の広域化によって、財政健全化の4億円を一般会計から繰り入れなくても年平均1.5万円の引き下げになることから、当局は繰り入れを止めると言っています。もともと4億円は、他市と比較して同一所得当たりの負担額がたいへん高い、「高すぎて払いきれない!」という市民の声に応えて、市独自で行ってきた繰入金です。今回1.5万円引き下げとなりますが、それで「高すぎて払いきれない」問題は解決するのでしょうか。他市の国保料がいまだ決まらず比較もできない状況なのに、繰り入れを止めてしまうことはとうてい認められません。また、2月議会で可決された債権管理条例に基づき、収納率向上の強化対策として、滞納額10万円以下の場合でも、預貯金・給与・年金・生命保険なども調査し、早期に滞納処分を行うとしています。憲法30条では国民の納税の義務をうたっていますが、一方で25条で生存権、29条で財産権の保障がうたわれています。これを受けて、国税徴収法第153条では、「滞納処分を執行することによってその生活が著しく窮迫される恐れがあるときは、滞納処分の執行を停止することができる」とあります。市民の生存権を脅かすような徴収強化は、厳に慎むべきです。また、国保条例の一部を改正する条例議案は、保険料賦課限度額について施行令の該当条項を引用するとしていますが、これによって運営協議会の開催回数が減少することが懸念されます。市民の生の声を聞く場として、運営協議会は重要です。よって、この議案は認められません。
 介護保険料の引き上げが提案されています。標準保険料は介護保険が始まった2000年に比べ約2.5倍に跳ね上がっています。しかし第6期の介護保険決算見込みでは18億円も繰越金がでるようです。保険料の見積もりが高すぎたのではないでしょうか。2018年4月からはじまる第7期で、最も所得の低い第1階層25.9%の人は国の施策で軽減されるので良しとし、51.1%を占める第2~6階層の保険料を第6期と同額にするのに必要な経費は14億3千万円弱です。繰越金を活用し保険料の引き上げを抑えるべきです。地域ケア会議が「介護保険からの卒業をせまる」場にならないかと代表質疑で伺いました。当局からは「いわゆるサービスはがしやサービス抑制などと誤解されないように、慎重に進める」と答弁をいただきました。今後の進捗状況について議会への報告を求めます。総合事業では、ヘルパーが対応する専門型サービスと、市が簡易な生活支援だからと決めて生活支援サポーターが行う標準型サービスに振り分けられますが、2対8で圧倒的に標準型が多くなっています。専門型サービスの必要な早期認知症の方に適切に対応できているのか危惧します。また、生活支援サポーターはこの1年で300人就業する計画でしたが、わずか10人です。その結果、4月から介護事業所に10%報酬カットという重い負担を負わせることになりますが、分科会での当局答弁は、簡易な生活支援なので報酬単価が落ちても事業者さんに「わかったよ」といって欲しいということでした。あまりにも当局側の勝手な言い分です。介護保険料をしっかり払っている総合事業対象市民と、尼崎の介護を支える事業者のみなさんに責任ある対応をすることを求めます。
 市民課業務の一部をパソナに民間委託していますが、新年度委託料が2600万円増になっています。マイナンバーカードの取得が大きく見込み外れとなり、窓口での証明書発行業務が膨れ上がってしまったためです。また、1月から各支所で地域福祉の窓口業務が社協委託で行われていますが、受付のみで相談できず、欲しいものは後日郵送などとなり市民に人気がありません。民間委託のほつれが見えます。危機管理についても、久々知市営住宅の火災が証明したように、協定書・マニュアルがあるから大丈夫とはなりません。市が12月に発表した「業務執行体制の見直しに向けた今後の方向性について」では、北部浄化センターやじんかい収集業務も民間委託の対象にあがりました。どちらも災害時ライフラインの復旧に重要な部署です。民官委託すべきではありません。 市民と直接係わる国保・児童手当などの窓口業務や生活困窮者自立支援・障がい者福祉サービスの相談なども民間委託の候補にあがっています。これこそ市職員がやるべき仕事ではありませんか。予算では、これらアウトソーシング導入に向けた検討を行う業務プロセス分析が計上されており、認めることはできません。
 公共施設マネジメント計画と地域振興体制の再編についてです。長野県飯田市では施設をどうするかは住民自身に問いかけ、将来を住民自らが考えています。自治のまちづくり条例にも符合するもの、学ぶべきです。地域振興体制の再編にあたっては、地区会館と公民館が拠点となる、それぞれの強みやスケールメリットを活かし、学びと活動の支援体制を強化すると言いながら、立花公民館は廃止という公共施設マネジメント計画は矛盾します。
雨水貯留管整備事業については、地元住民への情報提供を十分に行い、理解を得る働きかけを行うことを求めます。
 工業用水道・二部料金制についてです。尼崎市の地盤沈下は、鉄鋼産業や製紙業などの地下水くみ上げが原因であることが分かり、企業負担で昭和31年から8年がかりで工業用水道が完成、これによって地盤沈下はストップした歴史があります。二部料金制によって収入が年1億円以上減るものの、20年後も黒字であることは確認しましたが、将来に渡って市民負担を招くことのないように管理をよろしくお願いします。
 県道園田西武庫線整備事業についてです。市民にとって急ぐ必要のない事業であること、JR福知山線の下を通る工事費が嵩み、当初市負担は44億円と言われていたものが50億円に膨れ上がったことなど、市民にとってメリットのない大型開発工事です。住民合意が整うまで工事は中止することを求めます。よって、この工事費が含まれる尼崎宝塚ほか2路線県施行街路事業地元負担金は認められません。
 モーターボート事業については、 地元住民と約束した開催日180日以内を守るべきです。センプルピアも含めた年間350日開催は認められません。
 行政情報化推進事業についてです。個人が自宅のパソコンやスマホから、国が用意するマイナポータルで必要な行政サービス情報を検索したり申請ができる環境を整備し、行政手続きにおける市民の利便性向上を図るとしています。マイナポータルにアクセスするには個人番号カードとパスワードが必要だから安心と政府は言いますが、個人のレベルで個人番号カードやパスワードが安全に管理できる保証はありません。万が一、他人にマイナポータルを覗かれたり乗っ取られたりすれば、プライバシーの侵害だけにとどまらず、詐欺などに巻き込まれる実害をこうむる可能性があります。よってこの事業は認められません。
 最後に、今後の財政運営についてです。市長は、「最大の課題は将来負担の管理だ」また、「未来への投資と未来への責任のバランスをいかにとっていくかが、非常に難しく重要なテーマだ」と述べられました。では、未来につながる今を生きている市民を、くらしをどう見るのでしょうか。過去の本市の無謀な再開発による公債費のつけが、長きにわたって「一般財源を必要とする福祉施策等の大幅な見直しを余儀なくされたことを教訓に」と言いつつ、やろうとしていることは、公共施設の削減・アウトソーシング・債権管理の強化など、市民サービスの低下や市民に更なる我慢を強いるものです。借金返しのピークは過ぎたのだから、もっとゆるやかな財政管理とし、市民サービスの維持・向上に予算を注ぐべきだと考えます。以上で、2018年度予算案をはじめ関連する議案に対する日本共産党議員団の意見表明を終わります。ご清聴ありがとうございました。

2018.3月議会予算特別委員会・真崎一子議員が行った総括質疑の発言と当局答弁です

真崎一子議員の総括質疑の発言
 まず最初に、子どもの医療費無料化について質問していきます。乳幼児医療では、兵庫県は0歳は所得制限なし、その他の年齢では所得制限はありますが、乳幼児医療の通院は0歳~小学3年生まで一医療機関当たり1日800円月2回を限度としています。子ども医療では小4~中3までは2割の自己負担です。尼崎市は1歳から未就学まで所得制限はありますが、全額助成の無料であり、小1~3年生まで1医療機関あたり1日800円月2回まで、小4~中学3年生まで2割負担です。昨年の総括質疑では、私は子ども医療が兵庫県内で通院は2割の窓口負担があるのは、尼崎・伊丹・川西市の3つの自治体になったと紹介をしました。昨年の7月に川西市が、今年の7月から伊丹市が子どもの医療費拡充事業を始めます。代表質疑で徳田議員が、子どもの医療費無料化について市長の認識を問いました。市長は「自治体の財政力や優先すべき都市課題の差異により、年々医療費助成内容に格差が生じていることは認識している」と答弁されています。
 そこで質問します。尼崎だけが子ども医療が2割自己負担のままです。どの自治体もファミリー世帯の定住転入・子育て支援の目玉として、また子どもの貧困もあり、子ども医療の拡充を打ち出しています。尼崎市はこのままで良いのですか?
 また代表質疑では市長は「現在、助成制度に関する他都市比較や事業費の試算などの検討を行っているが、本市においては、中学校給食など他に優先すべき施策もあり、財源確保の観点から現段階でただちに無料化を実施することは困難な状況」と答弁がありました。
質問します。どんな検討をしているのか、具体的にお示しください?
 たしかに自治体の事情はさまざまです。しかし子どもの医療に関しては、地域間格差をつけてはならないと思います。中学校給食の実施を優先すると言いますが、初期費用のほとんどは国の助成と市債の発行で賄います。市の財政に影響する費用は一部にすぎません。中学校給食が始まったらランニングコストにお金がかかり、子どもの医療費の無料化はますますあとまわしになるのではないか。だから今なんです。子どもの医療費の無料化は、多くの子育て世帯の願いです。陳情が多くの署名とともに毎年のように出されています。尼崎市でも子育て支援として制度拡充が必要です。そこで提案します。当局に試算をして頂きました。乳幼児医療小1~3年生まで、800円月2回を400円にした場合の必要経費3800万円。子ども医療で小4~中3までを2割負担から800円月2回までにしたら7700万円。合計1億1500万円でできます。これで尼崎市の75%の子どもを助けることができます。
質問します。私の提案について、検討する気持ちはありますか?
 市長はこうも言われました「子どもの医療費助成については、子どもは社会全体で育てるという観点からも、子どもの医療費助成が自治体によって異なる制度で運用されるのではなく、基本的には国の責務として必要な財源措置を講じるべきと考えている」と。私もその通りだと思います。本来国がやるべきです。しかし現時点では、国任せではなく尼崎市でも制度拡充に踏み切るべきです。
 質問します。これまでも何度も求めてきました。そして市独自で前に進んでいないのが尼崎だけとなります。市長、市長選挙の公約に「子どもの医療費の無料化」を掲げてほしいと思いますが、いかがですか?
 保育所の待機児解消についてです。国において、2017年に「子育て安心プラン」を策定し、待機児解消に必要な受け皿を、18・19年度で約22万人分の予算を確保したうえで、遅くとも20年度末までに待機児解消を図るとしています。共働きの子育て世帯が当たり前になっている現状では、少子化とは言え保育需要はこれからもますます高まっていくでしょう。保護者が、働きながらも2・3人と子どもを安心して生み育てられる環境が必要です。質の高い安心安全の保育の提供は、尼崎市の大きな政策の一つです。尼崎市は増え続けている待機児を解消するために、2018・19年度までに1200人の定員確保をする計画を立てています。尼崎市の計画では、2018年度の待機児が4月の時点では今年度よりもかなり増加傾向にあり、600人前後になると予想されます。認可保育園、小規模保育事業等で209人の定員増、また公立保育所の緊急受け入れ枠拡充と従来の弾力運用で530人分を確保、全部で739人の受け入れを計画しています。
 そこで質問します。2018年・19年の2年間で約1200人の保育需要に対し、今後2年間で約1350人分の受け入れ枠を確保するという壮大な計画を立てていますが、実現可能ですか?
 次に小規模保育事業の連携施設の位置づけについてです。当初小規模保育所の連携施設は①保育士の応援体制、②3歳児の受け入れ施設 ③園庭等での合同保育をする、という役割です。2015年に小規模保育事業が出来た時、若いお母さんから「子どもを預けるのに希望する保育所には入れず、小規模保育所を紹介されたが、兄弟でバラバラの保育所にあずけなければならない。3歳になったらまた保育所を探すことになるんですか。」と相談がありました。    私は当時の保育課長に、連携施設が遠いところにあるけど、3歳児の受け入れはどうなっているのかと聞きました。課長は「連携園は、あくまでも保育士が不足した時に手伝いに来てもらうための連携。3歳になったら市が責任もって受け入れ先を紹介します」と言われました。当時はまだ小規模保育所が少なかったからそれは可能だったでしょう。「退所があったらすぐに小規模から受け入れてほしいと、保育課から要請が来る。当局も困っているようだ」「受け入れを頼まれても、兄弟を入れたいので応じることができない」という法人保育園の声があります。
 質問します。現在21か所、今後2年間で20か所増やすとしている小規模保育事業の3歳児の受け入れが、ますます大変になって来ます。また規制緩和した小規模保育事業では、保育の質でもいずれは行き詰まりが来るのではないかと思いますが、いかがですか?
 次に保育の質の問題です。待機児解消が待ったなしの大問題になっている現状では、保育の質が置き去りになっているようで、危機感を感じています。代表質疑の中では、市長は「これまで以上の保育需要の増加に対する早期の解消策として、量の確保や受入枠の拡大に結びつく様々な方策を盛り込んでいく。」と答弁されています。 しかしそこには、保育の質、安心安全の確保が抜け落ちています。尼崎市の誇る保育の質をどうやって担保するのかが問われています。先日の真田議員の質問に、「施設基準をみたす範囲で基準を緩和する」と答えられました。私には基準ぎりぎりまで詰め込むという風に聞こえました。
 待機児問題を小規模保育事業と既存の施設に保育基準ぎりぎりまで定員を増やすことで解決しようという市の方針では、保育基準の緩和で保育環境が悪化していくのではないかと思います。保育の質をどのように考えているのですか?
 市長は「第4次の民間移管計画による施設の改築など数多くの手法を用いて待機児解消対策に取り組む」と答弁されています。待機児問題や子どもの貧困、乳幼児虐待で課題を抱える家庭の増加、障害をもつ幼児の増加、保育士不足により施設建設に手あげをする法人保育園が少なくなっている状況で保育環境が悪化しています。しかし市は、1998年20年前に決めた「公立保育所の今後の基本的方向」に基づき、9カ所を公立として残して、公立保育所の民営化計画を計画通りに進めようとしています。様変わりした保育状況の中では、公共の保育をしっかり守るべきです。
 質問します。第4次民間移管計画は中止して、市が責任もって質の良い保育を保障し、課題を抱える乳幼児への対応、また親育て等、多様な問題に応える必要があるのではないかと思いますがいかがですか?
 公立保育所の民間移管をおこなうたびに、保護者の反対の陳情が上がります。尼崎市の保育は公立保育所があるからこそ、一定の保育水準が守られてきました。保護者にとっては民間に移行することがとっても不安なのです。
 質問します。今後も保育需要が増加する中で、今ある公立保育所、21カ所残す方向で、古くなった公立保育所を公立のまま建て替え、定員増をして待機児に対応する方向転換が必要です。いかがですか。
 次は、《児童ホームの待機児解消》についてです。近年、尼崎市では児童ホームにおける待機児童が増えています。2014年度は179人の待機児でしたが、子ども子育て新制度になって、高学年の受け入れが加わり翌15年度には377人、そして17年度5月現在では355人でした。急激な増加は、今後も留まるところを知りません。15年に国・県による民間児童ホームの補助制度ができ、それまでは民間による児童ホーム1・2か所だったのが、急速に増えて現在は17か所となり約324人の子どもが登録されています。しかし利用したくても高い利用料に耐えられないという思いが強いところです。代表質疑で市長は「年度途中に、公設児童ホームを退所・辞退して民間児童ホームを利用している児童や、公設児童ホームの利用児童や待機児童が、新年度には民間児童ホームを利用している例が見受けられるなど、効果があるものと評価している」と答えられました。しかし民間児童ホームに通っている子どもは、公立の児童ホーム子ども数にくらべるとわずか10%にすぎません。
 質問します。民間の児童ホームは、待機児解消にはなっていません。また年1カ所40人の公設児童ホームの建設では追い付かない現状があります。子どもの人口動態を見ながら、公設児童ホームの早急な建設が必要です。いかがですか?
次は子どもクラブとの関係です。待機児童になった子どもを、緊急的に対応しているのが子どもクラブです。遊びで利用している児童と児童ホームの待機児で、子どもクラブは満杯のところもあると聞きました。ところで来年度子どもクラブのあり方を検討しモデル事業として、数か所を夏休みにこれまで閉所時間であった12時~13時まで時間帯を開所し、昼食等の時間に当てるというものです。
 質問します。これまでも児童ホームの待機児の昼食は、子どもクラブで食べれるようなっていました。今回モデル事業として「遊びに来ている児童も昼食を」、というのはどんな目的があるのですか?
 子どもクラブは夏場に弁当を持たせるとしています。弁当の管理は誰がするんですか。食中毒等事故が起こったらだれが責任とるんですか?
 モデルとなる子どもクラブの確保、弁当の保管方法、指導員の配置・勤務時間・休憩時間の保障等、きちんと打ち合わせはできるいるんでしょうか。指導員の了解は取れているんですか。
 子どもクラブは、児童館の代わりにできた遊び場であり、不特定多数の子どもが利用します。一方児童ホームは留守家庭に対する保育、生活の場です。だから昼食もおやつもあります。審査の時親の仕事内容も明記が必要ですし、利用料もとっています。子どもクラブと児童ホームでは、目的や役割が全く違います。
 最後の質問です。今でも第2の児童ホーム化している子どもクラブが弁当持参となったら「利用料は無料だし、子どもクラブで見てもらおうかしら」と児童ホームの保護者間で不公平感が出てきます。このようにならないように、どのようにしようと思っているのですか?
 これで日本共産党議員団のすべての質問を終わります。あとは意見表明と採決で、私たちの意思を示したいと思います。ご清聴ありがとうございました。

真崎一子議員の当局答弁
質疑
どの自治体もファミリー世帯の定住転入・子育て支援の目玉として、また子どもの貧困もあり、子ども医療費助成の拡充を打ち出しているが尼崎市はこのままで良いのか。
答弁
近隣他都市との間で子どもの医療費助成の内容に格差が生じていることは認識しておりますが、一方で、財源には限りがあることも事実でございますので、持続可能な施策としてどういった手法が有効であるのか検討を行っているところでございます。以上
質疑
「現在、助成制度に関する他都市比較や事業費の試算などの検討を行っているところ」と答弁されたが、どんな検討をしているのか、具体的にお示しください。
答弁
子どもの医療費助成につきましては、低所得者対策としての経済的・精神的負担の軽減といった福祉施策の視点から、こども全体を対象として、所得制限を外すなど、子育て支援施策へと移行してきております。こうしたことから、所得制限や自己負担などについて他都市調査を行う中で、本市が拡充策を講じた場合の事業費の試算などを行っているところでございます。以上
質疑
当局が試算したものだが、私の、子どもの医療費助成の提案について、検討する気持ちはあるのか。(小学1~3年生まで、現在の月800円2回まで保護者負担を、月400円2回まで保護者負担。小学4~中学3年生まで、現在の保護者2割負担を月800円の2回負担まで)
答弁
子どもの医療費助成の拡充に向けた一つの提案と受け止めますが、子どもの医療費助成については、先ほじもお答えしたとおり、現在、所得制限の可否や一部負担金の支払い回数や金額、さらにはどの年齢層で拡充するのかなど、本市の厳しい財政状況の中で、効果的で持続可能な政策とするために充分な検討が必要であると考えております。以上
質疑
市長選挙の公約に「子どもの医療費の無料化」を掲げてほしいと思うが、どうか。
答弁
私は、財源の確保も含めた中学校給食の円滑な実施実現が自らに課せられている優先課題だと認識しております・が、いずれにしましても、与えられた任期に全力を尽くしているところであり、現時点では、市長選挙の公約を詰めるような段階にはございません。以上’
質疑
今後2年間で約1,350人分の受入枠を確保する計画を立てているが実現可能か。
答弁
平成30年度予算においては、待機児童対策として今後2年間で約1,350人分の受入枠を確保するため特に意を用いた予算配分を行い、受入枠の拡大や保育士確保に結びつく新規・拡充事業を数多く計上しています。またその基本は、公・私立保育所、認定こども園、小規模保育事業所等の多様な保育の実施主体が担うこととしていることから、社会福祉法人など民間の参入・協力が必要不可欠です。そのため、各種新規・拡充事業について、関係法人等への情報提供等にも努める中で、今後も引き続き関係法人の皆様のご支援・ご協力いただき、公立保育所における取組みも合わせまして官民がカを合わせて待機児童解消の実現に向け取り組んでまいります。’以上
質疑
卒園後の受入が大変になり、小規模保育事業はいずれは行き詰るのではないか。
答弁
小規模保育事業所を卒園した児童は基本的には連携施設を利用することになっていますが、保護者の意向やお住まいにより、異なる施設を希望する傾向もございます。その場合も、各保育施設の協力を得る中、児童を受け入れていただいている状況です。平成30年度以降も引き続き小規模保育事業の設置を進めることから、卒園後の受け皿の整備をあわせて行う必要があるものと認識しており、事業所に対しては、より多くの連携施設を設定するよう働きかけるとともに、民間法人が運営する保育施設や幼稚園に対しても卒園児の受入に協力いただけるよう努め、さらには公立保育所においてもより多くの児童を受け入れるなどの対応をしてまいります。以上
質疑
保育基準の緩和で保育環境が悪化していると思うが、保育の質を考えているのか。
答弁
保育室等の面積や保育士の配置などの基準については、「尼崎市児童福祉法に基づく児童福祉施設等の設備及び運営の基準を定める条例」で定めており、基準を満たす範囲で子どもたちを受け入れていただいております。ご指摘の定員の増を行うにあたっても、当然のことながら本基準は遵守しており、保育環境が悪化することはありません。加えて、更なる保育の質の向上を目指し、保育環境改善事業を拡充して、法人保育園の施設の改築や大規模改修の推進に努めているところでございます。以上
質疑
第4次の民間移管計画を中止し、市の責任により、質の高い保育等に取り組むべきではないか。
答弁
第4次の民間移管計画につきましては、多様化する保育ニーズへの適切な対応や老朽化した保育施設の環境改善、待機児童の解消等の喫緊の課題に取り組むことを目的としており、計画的に推進していくことが、本市の保育の充実に結びつくものと考えております。また、民間移管の実施にあたりましては、移管先の保育園において、公立保育所の保育を安定的に継承し、円滑に保育を行っていただくために、これまでの民間移管の実績について検証を行うなかで、移管に伴う児童の影響に配慮した引継ぎや共同保育、移管後の前所長の訪問等、慎重かつ丁寧な移管手続きを行う考えでございます。以上
質疑
公立保育所すべてを残し、建て替えによる定員増により待機児童に対応すべきでないか。
答弁
本市といたしましては、老朽化した保育施設の環境改善、待機児童の解消等、喫緊の課題に対応するには公立だけによらず、多様な保育実施主体の参画のもとで、様々な手法を用いる必要があることから、引き続き、保護者の理解を求めながら民間移管を推進してまいりたいと考えております。公立保育所の民間移管につきましては、保護者の要望をお聞きするなか、説明会を複数回開催するなど、慎重かつ丁寧な民間移管手続きを進めております。また、これまで行ってまいりました民間移管につきましても、移管後の保育園において保護者の満足度は高く、充実した保育の提供により、安定的な運営をしていただいているところでございます。以上
質疑
民間児童ホームは待機児童解消になっていない。子どもの人口動態を見ながら、公設児童ホームの早急な建設が必要だがどうか。
答弁
公設児童ホームにつきましては、待機の状況に加え、児童数に基づく将来推計を踏まえ、喫緊に対応が必要な小学校から順次、施設整備などにより定員拡大を行っているところです。一方、子ども・子育て支援新制度の施行に伴う、高学年の利用など急激な利用者増や、保護者のニーズが多様化している中、こういった状況に対応するため、民間児童ホームの活用も始めたところです。民間児童ホームにつきましても、多くの児童が利用していることや、公設児童ホームを利用していた児童が、民間児童ホームを利用する例が見受けられるなど、待機児童対策に一定の効果が生じているものと考えております。今民間児童ホームが柔軟な開設や運営が可能である、一方で、公設児童ホームの整備については;多大な経費と長い日数を要するといった課題があります。こうしたことから、今後とも、公設児童ホームの施設整備、学校校舎の活用、民間児童ホームの設置といった手法を取りながら、待機児童解消に取り組んでまいります。以上
質疑
これまでも児童ホーム待機児童の昼食は、こどもクラブで食べることが出来るが、一般の児童にも拡大する目的は何か。
答弁
こどもクラブは全児童を対象とした「遊びと交流の場」でございます。今回のモデル事業は、昨今の保護者の働き方や二。一ズが多様化し、こどもクラブにおいて、特に保護者から、夏季休業期間中の昼食対応をしてほしいとの要望が強く出されていることから、モデル事業実施校の全児童を対象に実施するものであり、その中で、ニーズの把握や課題の抽出等を行い、運営のあり方を検討しようとするものでございます。以上
質疑
夏場のこどもクラブに弁当を持参させることについて、管理は誰がするのか。食中毒事故が起こったら誰が責任を取るのか。
答弁
こどもクラブでの昼食については、現在も待機児童を対象に対応を行っておりますが、こういった児童については、ほぼ毎日の利用があり児童の状況も一定把握が出来ているものでございます。一方、一般利用の児童については、児童の状況の把握が困難でもあり、食の安全を確保するために利用にあたってのルールづくりが必要であると考えております。こうしたなかで、基本的には、待機児童と同様に、保護者の管理責任において、高温多湿となる事を前提に、保冷等の対応を行っていただく必要があると考えており’ますが、対応が出来ていない不足の事態も予測されますので、現場職員の意見も聞きながら、対応策を検討してまいりたいと考えております。以上
質疑
場所の確保、保管方法、指導員の配置、勤務時間などについて、打ち合わせや指導員の了解は取れているのか。
答弁
モデル事業の実施に当たり、現在のこどもクラブの児童の利用状況などを踏まえて、現場職員の代表者との意見交換の場を設け、課題の把握や今後の対応方法等について、繰り返し、意見交換を行っております。こうした中で、ご指摘の課題等につきましても認識しております。おおむね現場職員の代表者の理解は得られているものと考えており、今後とも意見交換を重ね、モデル事業の円滑な実施に努めてまいります。以上
質疑
こどもクラブが弁当持参となると、保護者間で不公平感が出るのではないか。
答弁
「児童ホーム」は留守家庭児童を対象とした「生活の場」であることから、毎日来所する特定の児童に対し、複数の有資格者職員により、家庭に代わって生活指導を行っております。具体的には、日々の児童の状況等を連絡帳等を通じて保護者と共有するなど、一人ひとりの児童に対して、きめ細やかに保護者や学校と連携・協力をするなど、質の高い保育を実施しているところでございます。こうしたことから、保護者の方から一定の料金をいただいているところでございます。一方、「こどもクラブ」は全児童が利用できる「遊びと交流の場」として実施しているものであり、カリキュラム等に縛られることなく、不特定多数の児童が自由に参加し、自主的に活動や交流を行う居場所であるため、無料の事業として実施しているものでございます。このように、事業の内容が全く異なり、昼食対応によって、事業目的や根本的な内容に変更が生じるものではないことから、これまでどおり保護者が児童の状況を踏まえて選択いただくものものと考えており、不公平感が生じるといったご指摘にはあたらないと考えておりますが、このモデル事業を実施することにより、現在のニーズに即したこどもクラブのあり方について検討してまいります。以上

2018.3月議会予算特別委員会・こむら潤議員が行った総括質疑の発言と当局答弁です

こむら潤議員の総括質疑発言
 私からは二点おうかがいします。

ひとつは、本市の最重点施策でもある「あまっ子ステップ・アップ調査事業」についてです。

先日の文教予算分科会の審議の中で、学校現場教員の負担軽減のための対策が具体的になっておらず、児童生徒一人ひとりへのきめ細やかな対応が現実的に可能なのかなど、この事業については不確かさや疑問点が多く出てきましたので、引き続いて質問していきます。

事業の目的として「子ども達一人ひとりに応じたきめ細やかな指導の充実や学習状況の改善を図る」とありますが、新たに毎年のテストを実施することが、学校現場や子ども達への負担を増やし、個々への指導充実に繋がるとは言えない、と教職員組合から不安の声があがっています。これまで行われてきた全国学力調査のとりくみをみても、自治体によってはテストの点数を上げることそのものが目的化してしまい、教育委員会から現場へ平均点アップの課題押しつけになってしまっているケースもあります。学校間に学力向上の競い合いが持ち込まれることで、教育のゆがみを引き起こす危険性を感じますし、現場の教員や児童生徒には「成果を出さなければ」というプレッシャーが押し寄せ、負担感につながりかねません。

おたずねします。このようなテストによる調査事業に3000万円近い予算をかけて進めれば、本市の教育が「学力向上」に固執した学力至上主義的な方策を取りかねないと思いますが、教育委員会の見解をおきかせください。

答弁
 来年度から実施する予定の、「あまっ子ステップ・アップ調査」は、これまでの調査と異なり、12月から1月にかけて実施することにより、その年度内に子どもたちの学力定着状況を把握することにより、子どもたち一人ひとりに応じた、きめ細かな復習指導を行うことが可能です。さらに、次年度における学習指導の改善を図ることを目的として実施するものであります。教育委員会といたしましては、校長会等を通して、調査の実施目的や活用方法を丁寧に説明することによって、一人ひとりの子どもたちにとって、これまで以上に有効な対応が可能となるよう指導してまいります。以上

 小学校では学級担任制でクラスも毎年編成が変わります。年度替わりや勤務移動もあり、担任の負担は計り知れません。分科会審議では、「こうした子ども達の個々のデータ処理の負担を軽減するのがまさにねらいだ」ともご答弁がありましたが、サポート人員の当初予算も計上されておらず、対策が見えません。また中学校では定期考査や実力考査の結果で個々の学習指導はすでに細かく対応されていますし、従来の全国学力調査の結果は蓄積されてきています。これまでの指導の方向性に間違いがあったのであれば、尼崎の子ども達の学力が全国レベルまであと一歩というところまで来なかったはずです。現場の先生方の地道な一人ひとりへの対応、放課後学習指導や家庭学習指導があってこその成果だと思います。子どもの伸びというのは、学級担任や友達の組み合わせでも大きく変わり、発達成長の根拠は一元的な調査では見えません。学力の向上は、子ども達が安心して学ぶことのできる学習環境の改善がもっとも効果的であると考えます。先日の代表質疑では、我が会派からの少人数学級の拡充を求める質問に対し、「少人数学級編制の実現はきめ細やかな指導の充実を図るためには望ましいことだ」と教育長よりご答弁いただきました。

おたずねします。少人数学級に関する人員や放課後学習のスタッフ人員を拡充することで、授業のつまずきをなくし、学習を確かな力にしていく支援にこそ、予算を使うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

答弁
 本市におきましては、児童生徒の状況や学習内容に応じて、県の新学習システムを活用し、市内全体では、小学校92名、中学校58名の加配教員による少人数での授業を行っております。少人数での授業が児童生徒へのきめ細やかな指導に有効であることから、少人数学級編制の拡大につきましては、今後も引き続き、文部科学省や県に要望してまいります。また、各学校のニーズに応じて、学力定着支援事業における授業補助や放課後学習等を行う指導補助員を継続して支援することで、さらなる学力向上を図ってまいります。

 また、外部の研究員等を迎えた「尼崎市学びと育ち研究所」において、科学的根拠「エビデンス」に基づく多面的な研究・分析を、中長期的な視点で行い、教育政策の立案に向けた方策を教育委員会にフィードバックしていく、としています。

 

おたずねします。「子ども達一人ひとりに応じたきめ細やかな指導の充実や学習状況の改善を図る」という目的より、学びと育ち研究の実績作りのための事業にみえます。

調査の採点・集計は業者委託、分析研究は研究員に委ねるとのことですが、教育委員会はこの事業からどうやって一人ひとりに丁寧な教育指導を実現するおつもりでしょうか。

 

答弁
 先ほどもお応えいたしましたが、「あまっ子ステップ・アップ調査」は、12月から1月に実施することにより、その年度内に子どもたちの学力定着状況が把握できることに、その特徴があります。

調査結果は、年度内に、子どもたち一人ひとりに対して、どの領域や単元の学習に課題があるか、子どもたち自身が自分の課題を把握できるような資料を返却し、合わせて、教員が復習方法や学習計画などの具体的なアドバイスを行うことで、子どもたちが目標を持って学習に向かうなど、主体的な学習スタイルの確立につなげてまいります。教育委員会におきましては、調査結果をもとに分析を行い、次の教育施策につなげていくことにより、市全体の学力向上をめざしてまいります。(以上)

 「あまっ子ステップ・アップ調査事業」は今後、どのようなスパンで展開していく予定なのかも不確かです。中長期的というのは5年後、10年後、20年後までの展開を想定しているのでしょうか。子どもの育ちを追っていくには、小学校1年生から中学校2年生までの成長を観察するにも8年かかることになります。また先ほどもお話ししたように、子どもの伸びは様々な要因が絡み合っており、紙の上での調査だけで測れるものではありません。

おたずねします。研究員の方々が数字の結果だけで分析されるのでは、本当に本市の学びと育ちの現状を理解していただくことにならないと思いますが、いかがですか。

答弁
 尼崎市学びと育ち研究所は、子ども一人ひとりの状況に応じ、実社会を主体的に生きていく力を伸ばしていくために、研究による科学的根拠に基づく政策立案ができるよう、設置したものです。研究につきましては、数値のデータ分析を中心とした分析型の研究と、教員の自主研究グループなどと連携し、学校現場で研究を進めていく実践型の研究がございます。分析型の研究につきましても、数値の結果だけで判断するものではなく、実際に教育現場に入り、調査を行うものもございますし、教育委員会との連携のもと、現場での経験や実践から乖離していないか、振り返りや意見交換を行いながら進めてまいります。以上

  代表質疑や分科会審議のご答弁の中で「子ども達が主体的に生きていくための必要な育成を図る」とまで述べておられますが、この事業についてはとりあえず毎年テストをしてみよう、という大雑把な事業計画に見えて仕方ありません。数年でフェイドアウトしてしまうようであれば、多額の予算をつぎ込む価値はありませんし、子ども達と教育現場の貴重な時間を無駄にしないためにも、「あまっ子ステップ・アップ調査事業」については見直すべきだと考えます。
 次に中学校給食準備事業費についてです。本市は1月に中学校給食基本計画を策定し、それによると1万1千食を1か所の給食センター建設により供給する、早くて2022年6月からの全校一斉実施をめざすとしています。

おたずねします。市民の多くは、給食は小学校と同じように自校調理方式とイメージしています。給食センターについて不安を感じている声はあちこちから聞こえてきます。本市の基本計画についての市民説明は充分であったといえるでしょうか。

答弁
 中学校給食基本計画につきましては、最も関心の高い小学生の保護者に対して、PTA連合会を通じてご説明するほか、ご要望に応じて学校ごとにご説明するとともに、市政出前講座により、複数の市民グループへご説明を行ってまいりました。このように、中学校給食の実施に向けた取組みに関する情報提供や周知につきましては、それぞれの段階で適時適切に実施してきたものと考えております。以上

 本市のかかげる「ファミリー世帯の定住・転入促進」という方針に照らしてみても、これからまだ5年近く待たされる本計画は、現役の市内在住のファミリー世帯の期待を大きく裏切ることになっています。実際、中学校、小学校の保護者から「がっかりした」「知り合いはもう他市へ引っ越した」という話を聞きます。

本市はそのことについての認識はありますか。

答弁
 中学校給食の開始時期につきましては、他都市の事例を参考に、官民連携手法を導入し、給食センターの整備を進めることを前提に設定したものでございます。今後は、パブリックコメントなどを通じて、早期開始を望むご意見が多数寄せられていることも十分に踏まえ、様々な課題について精力的に調整を図り、できる限り早く給食が実施できるよう、取り組んでまいります。以上

 全校が一斉に5年後に実施することよりも、1校でもできるところから1年でも2年でも早く確実に実施を進める方が、市民に望まれていると考えます。我が会派は、(敷地などの条件がよい中学校には)自校調理方式、(自校が困難な学校は近くの小学校から供給する)親子方式、または(中学校同士で供給する)兄弟方式も含めたやり方で、できるところから早期の実施を求めています。代表質疑でもお話ししたように、親子調理方式の給食を実施する高槻市の学校給食の様子、尼崎市内の小学校の、自校式の給食の様子を会派で視察して参りました。代表質疑では、この視察の体験から「給食センターにこだわらず、さまざまな調理様式を組み合わせ検討すべきだと思うが見解は」と尋ねたところ、主に次のようにご答弁いただきました。まず、「親子方式」を実施する場合について。1、自校の食数キャパシティで手一杯のため、同じ釜を途中で洗浄し2回転させると衛生管理上問題がある。2、キャパを広げるためには増築が必要だが、ドライ化工事をほぼ完了した小学校の給食室の改修や増築工事は、二重投資になってしまう。3、配送する中学校分を先に調理するため、2時間以内に喫食というタイムリミットが厳しい、とのことでした。また、「兄弟方式」の場合、2校分の大きな給食室を新築すると、建設する中学校に教育環境上、影響が大きくなるといったことです。このご答弁を受け、いくつかの点について、さらにおうかがいしたいと思います。

まず、「親子方式」を実施する場合について。調理行程を2回繰り返すこととなり、厨房機器の洗浄作業を行うと衛生管理上問題があるとのことですが、今現在、小学校の調理の過程で、途中で洗浄することはまったくないのですか。

答弁
 国の学校給食衛生管理基準におきましては、「調理室内における機械、容器等の洗浄及び消毒は、全ての食品が給食室から搬出された後に行うよう努めること」とされており、本市におきましても、そうした取組みの徹底を図っているため、調理途中で洗浄作業を行うことは基本的にはないと考えております。ただし、教職員も含めた食数に対し、厨房機器の調理能力が限度一杯の状態にある給食室におきましては、献立内容によって、やむを得ず途中洗浄を行う可能性があるものと認識しております。以上

 実際、視察で市内小学校の調理場では釜を洗浄し、次の調理にかかっているところを見せていただきましたが、シンプルで素早い作業で、周りに汚れた水が飛び散るということもなく、時間的にも5分とかからずに済んでいました。衛生管理上の問題があるというのは、あたらないと思います。

教育委員会では、実際にこの厨房機器の洗浄行程は視察されたのでしょうか。

答弁
 教育委員会では、管理栄養士による給食室の巡回指導を継続的に行っております。議員ご指摘の視察校に確認いたしましたところ、当日の献立の調理過程で、釜をすすいだことはあったものの、調理途中での洗浄作業は行っていないと聞いております。国の学校給食衛生管理基準を遵守し、安全・安心な学校給食を提供するという観点からは、日常的に調理途中で洗浄作業が発生することは、望ましくないものと考えております。そのため、中学校給食の実施にあたりましては、国の学校給食衛生管理基準を遵守できるよう給食センターの整備を行ってまいります。以上

 次に、ドライ化の完了した小学校では、増築や機器の増設は二重投資になるとのことでしたが、小学校の給食室の中には、増築工事を行わなくてもキャパシティに余裕のあるところはあると思います。現在のキャパを見れば、200食以上の余裕を持ち、尚かつ児童数が急激に増える可能性の少ない小学校は10校あります。1校から1校への供給は難しくても、複数の小学校から供給すれば親子方式が可能です。

おたずねします。教育委員会では、検討段階でどのくらい具体的に親子方式について試算されましたか。

答弁
 本市において、親子方式により中学校給食を実施するとなれば、小学校の給食室で調理した給食を中学校に配送することが基本になると想定し、必要となる経費を試算いたしました。その内容につきましては、初期経費として、中学校分の給食実施に必要な面積を増築する費用、既存の小学校給食室の改修費用、新たに小学校に設置する配送用コンテナスペースの増築費用、2校分の給食調理に必要な厨房機器の増設等の費用を、また、運営経費として、中学校分の給食調理業務にあたり必要な人件費や配送費用等を見込んだものでございます。以上

 高槻市の親子方式の取り組みを視察し、大きな気づきがありました。たとえ小学校の敷地内で調理していても、そこは「教育委員会が所管する、学校給食のための調理場である」ということです。小学校と中学校の行事や授業体制が違うとか、小学校の負担になるとかいった、小さな観点ではないのだ、ということがよくわかりました。市の政策として実施する、「小中にかかわらず子ども達の食を保障する」大きな事業なのだ、ということです。次に、「兄弟方式」の場合、2校分をつくる給食室を新たに建設するといっても、単純に丸々敷地面積が2倍必要になるものではありません。学校保健課長に以前うかがったお話でも、敷地面積と給食室のキャパシティは比例するものではない、とのことです。

建設する中学校の教育環境にそこまで大きな影響が出るとは思えませんが、その点についてはいかがですか。 

答弁
 中学校給食を兄弟方式で実施する場合、安全で安心な学校給食を提供するためには、国の学校給食衛生管理基準の遵守を考えますと、2校分を同時に調理できる環境を整えることが必要であります。本市の多くの中学校において、新たに給食室を設置するために必要なスペースを確保することが困難である中、自校以外の学校分の給食も調理する給食室を建設することにつきましては、当該設置校において少なからず学校運営や教育環境への影響が生じるもの、と考えております。以上

最後におたずねします。教育委員会は、自校方式や親子・兄弟方式での実施についても引き続き具体的な調査を続ける予定はありますか。

答弁
 中学校給食基本計画でお示しいたしましたとおり、安定的に安全・安心な給食を提供できるよう、長期的な視点から検討を行った結果、給食センター方式の採用が最善であると判断いたしましたことから、他の実施方式の調査を行う予定はございません。今後は、多くの市民の皆様からお声をいただいている、できるだけ早期の給食実施に向け、力を注いでまいります。以上

 振り返ってみますと、1、給食センターありきでコンサルタント業者主導でここまで進められてきた事、2、市民意見聴取が形骸的になり、多くの市民が中学校給食について意見するチャンスが乏しかった事、3、具体的な経費試算の比較検討など議会で十分審議するタイミングがなく基本計画が立てられた事など市民にとって不本意な中学校給食になってしまうのでは、と残念でなりません。

要は「行政のやる気」そして「市長の決断」の問題であり、高槻市と本市の違いは、「初めにどの方式を前提にしたか」の出発点です。もちろん自治体ごとに事情が違いますが、本市の選択は、できるだけ手間を省きたい、という方向にばかり進んでいるように感じられます。現在の小学校給食業務の委託要綱をみても、食育についての記述は概要的な文言で、たったの二行です。食は子どもたちの心と体の成長発達に欠かせない基本要素です。ただ食べ物が配られればよい、というのではなく、作る人と食べる人の心の通う、安全でおいしい給食を実現してほしいと願っています。「より良いものを、より早く」という観点からは、まだまだ調理方式についても給食センターに決論づけてしまうのは納得がいかず、調査・議論を尽くすべきだと考えます。中学校給食の給食センターでの基本計画については、見直しを行うべきです。私からは以上です。真崎委員にかわります。

 

2018.3月議会予算特別委員会・川崎としみ議員が行った総括質疑の発言と当局答弁です。

 

総括質疑の発言と当局答弁概要

こんにちは、日本共産党議員団は、川崎敏美、こむらじゅん、真崎一子の順で予算委員会総括質疑を行います。よろしくお願いします。

 

それではまず、(国民健康保険について)からはじめます。

国民健康保険の運営主体が県へ移行しても、財政健全化繰り入れ金4億円は継続すべきだとの代表質疑に対して、市長は市は繰り入れを行わないと答弁されました。その理由として第1に国が自治体の繰り入れを全国的に解消しようとしている、第2に県の算定では国保料が従前より低くなるから、としています。
国は、自治体の国保会計の繰り入れを認めていますので、国を忖度する必要はなく、第1の理由は根拠になりません。第2の理由も、市民はこれまで県下でも、同一所得でみると、最高額に近い高すぎる国保料を払ってきました。次年度より平均で約15.000円下がるからこれで良しとは言えない市民の厳しい生活実態があります。ここでも本市の厳しい財政状況を持ち出して、繰り入れを中止することは、市民のくらしよりも財政再建かと市民にがっかり感を蔓延させるのではないでしょうか?
2016年決算で、国民健康保険料は予算額104億9100万に対して、収入済額は105億7900万円、収入未済額44億700万円あります。つまりは約40%の国保加入者が保険料を払えていないという実態がしめされています。国保料が高すぎて払えないということになっているのではありませんか。

お尋ねします。これまで通りの国保会計への繰り入れを継続して、さらに4.000円を引き下げて19.000円を超える国保料の引き下げをめざす考えはありませんか?

答弁
財政健全化の4億円の繰入金は、国民健康保険制度改革に際して、国が約3,400億円の財政支援等を実施することにより、全国的に解消するよう位置付けている決算補填等を目的とする一般会計からの繰入れに該当するものでございます。国は、こうした繰入金の削減・解消に当たっては、被保険者の負担水準に激変が生じないように検討することとしておりますが、県の国民健康保険事業費納付金等の算定結果に基づきますと、本市の平成30年度の保険料は、財政健全化のための繰入れを行わなくとも、制度改革の効果によって、現行より引き下がることとなっております。

こうしたことから、本市におきましては、国の財政支援や都道府県単位化の効果もあり、本市の厳しい財政状況も勘案したうえで、当該繰入を見直すこととしたものでございます。

一方で、本市の被保険者の所得状況等を鑑みる中で本市独自で実施している「多人数世帯等の保険料の負担軽減を図る特別減免」につきましては、多人数世帯や低所得となっている被保険者世帯の負担軽減と保険料抑制に寄与するとともに、保険料収納率向上の点からも効果が認められるものであることから、厳しい財政状況の中ではありますが当面継続することとしております。以上

 (川崎)市は国保料収納率向上対策の強化を主要事業に挙げています。
 代表質疑で、10万円以下の少額の差し押さえ、また年金、給与等の差し押さえはやめるべきだと、さらに予算委員会分科会でも質問しました。市は丁寧な納付相談を行うとしながらも、法の規定に基づき、差し押さえを進めるとしています。
 国税徴収法第153条では、「滞納処分を執行することによってその生活が著しく窮迫される恐れがあるときは、滞納処分の執行を停止することができる」となっております。
窓口でていねいな納付相談とは言えない実態、怖くて二度と相談にはけないと思える対応があるとのことを市民からお聞きしています。

お尋ねします。生存権を保障する憲法第25条や、財産権を保障する憲法29条に基づいて、市民の生活を保障することができないような、徴収強化を行ってはなりません。

また窓口対応についても、改めるべきです。

これらの点について市の見解を求めます。

答弁

国保事業を安定的かつ継続的に運営していくためには、医療費の適正化とともに、収納率の向上対策は不可欠でございます。国保料の徴収にあたりましては、減免等を適用しても、なお生活に支障が生じるといった方に対して、丁寧な納付相談を行う中で、個別事情等を考慮しながら、滞納額が今以上に増加しないよう、分納の取扱いを行っておりますが、滞納が発生した場合には、国税徴収法に基づく財産調査を実施しております。これまで、原則として滞納額10万円以上の世帯に対して滞納整理を実施してまいりましたが、来年度からは、納付相談がない無関心世帯や、分納誓約をしているものの、約束が不履行となっている世帯等に早期に滞納整理を行い、納付の確保を図っていくものでございます。財産調査の結果、保険料を納付できる資力があるにもかかわらず、ご理解いただけない場合には、法の規定に基づき、給与や年金等に対しても差押えを行いますが、滞納整理にあたりましては、これまでと同様、可能な限り被保険者の生活状況等の個別事情に配慮しながら、計画的な納付を促進していくよう努めてまいります。以上

 (川崎)次に、尼崎市の(公共施設マネジメント計画について)です。

 

代表質疑で、施設別あるいは地域別の市民参加の検討会を開いて、施設の方向性を検討すべきと質問しました。市は、「第1次尼崎市公共施設マネジメント計画の策定については、これまで公募委員による市民会議を計21回開催した、パブリックコメントで約600件、市民説明会を6地区で計12回開催してきた。施設別・地域別の市民参加の検討会を実施する考えはない、今後は内容がまとまり次第、市民・利用者の皆様への説明会を開催し、改めてご意見を伺う」と答弁されました。

お尋ねします。内容がまとまってから、説明会を開くと答弁されていますが、内容がまとまるとは計画を進めていく段階でどのレベルを指しているのでしょうか? 

答弁

第1次尼崎市公共施設マネジメント計画(方針1:圧縮と再編の取組)につきましては、現在、パブリックコメントや市民会議、市民説明会のほか、陳情審査でのご意見などを踏まえて、具体的な内容についての検討を行っているところでございます。本計画では、施設の方向性をお示しする範囲に留まっておりますことから、市民説明会では施設が具体的にどうなるのかといったご意見をいただいているところでございます。こうしたことから、今後は、施設規模、場所、スケジュールなどの具体的な対応策をまとめた実施計画案を策定し、改めて市民説明会でご意見を伺った上で、成案化を図ってまいりたいと考えております。以上

(川崎) これまで市の計画として出されてきたものは、市民が説明会等で意見を言ってもほとんど変わらないというのが、市民の認識となっていると思います。

計画の策定段階から市民の意見を取り入れるといっても、意見募集、パブコメ、説明会で計画が見直されることはほとんどなく、市民合意でつくりだしたと思えるものが印象としてありません。社協連協の役員に説明したことで、意見を聞いた、計画に了解とされてきたと多くの市民が感じています。
代表質疑で飯田市の事例を紹介しました。飯田市では施設をどうするかという意思を住民自身に問いかけ、将来を市民自らが考えています。飯田市の取り組みについて、尼崎も学ぶべきだと思います。
地域のことは地域で取り組み問題解決を図っていくことは、自治のまちづくりをめざす本市にとって大きな課題です。公共施設がなければ市民生活は成り立ちません。公共施設のあり方を市民的に議論するのは、民主主義の根幹であり、行政の責務です。

お尋ねします。公共施設のあり方については、住民に対する情報提供を行い、議論を尽くすことが求められています。議論の経過もしっかりと地域に返していく中で、住民合意で計画策定を行うべきです。制度的な対策を検討されてはいかかでしょうか?

答弁
第1次尼崎市公共施設マネジメント計画(方針11圧縮と再編の取組)につきましては、地域に対する説明会として、各地区2回の説明会を実施した他、陳情が出されました施設につきましては、陳情者の方と直接お会いし、本市としての考え方をお伝えした上で意見交換を行ってまいりました。また、これまでの意見聴取の内容や本市としての考え方につきましては、市のホームページで公開しているところでございます。私どもといたしましては、こうした対応を行っておりますことから、ご提案の制度的な対策を実施する考えはございませんが、今後とも本市としての考え方を十分にお伝えし、公共施設マネジメントの取組について、ご理解いただけるよう努力してまいります。

(川崎) 次に(アウトソーシングについて)です。

2017年1月からパソナに市民課の窓口業務を民間委託して1年以上を経過しました。代表質疑で第3者による検証の必要性を訴えましたが、市は所管局による検証作業を行うとしています。検証によって求められているのは、アウトソーシングを全庁的に進めることで、市民サービスは向上するのか、守秘義務を課せられている公務労働が民間委託されることで、市民の情報管理は適切に行われるのか、役所の機能はより高まるのかということです。そして民間委託、アウトソーシングそのものが適切かの判断が求められています。アウトソーシングを導入する際、これらの検証の実施者は、民間委託を是として進める当局ではなく、第3者でなければなりません。

お尋ねします。現在、進められている「さらなるアウトソーシング」においても、導入は外部のコンサル、検証は内部でというように考えられているのでしょうか?

答弁
今回の業務執行体制の見直しに向けた検討を進めていくにあたりましては、これまでのように一連の業務全体で見直しを行うだけではなく、一連の業務をプロセスごとに細分化し、それぞれのプロセスごとの担い手について、見直しが可能かどうかを分析するといった、本市ではこれまでに実施したことのない、新たな手法で見直しを行うことといたしました。このような新たな手法で見直しを行うにあたっては、一定のノウハウや専門性が必要となること、また、同時に多くの業務の分析を、本市自ら実施するにあたっては、短期間で一度に多くの職員が必要となると判断いたしましたことから、他都市において同様の業務について実績のある、外部のコンサルティング業者に委託する方が効率的と考えたものでございます。

また、委託業務の検証につきましては、議員ご指摘のとおり、第3者において実施するといったことも可能ではございますが、より効果的な検証とするためには、その業務内容について精通している本市において、業務実績報告の精査等を十分に行う中で、直接実施した方が望ましいと判断したものでございます。なお、今後、アウトソーシングに関するPDCAサイクルを確実かつ効率的に回すために、引き続きコンサルティング業者の支援も受けながら、委託業務における成果や課題の検証手法等について検討を進めてまいりますとともに、庁内における支援体制の構築についても、あわせて検討していく予定でございます。こうした取組を進めることで、全庁統一的な事務を取扱うことが可能となり、アウトソーシング導入後も、より効果的かつ効率的な行政サービスの提供ができるものと考えております。以上

(川崎)久々知の市営住宅での火事の件についてお聞きします。

この件は、代表質疑で緑のかけ橋の酒井議員もLSAの問題で取り上げられていましたが、ここでは民間委託の問題をほりさげていくという視点で質疑させていただきます。
火事は、1月6日、土曜日朝方4時半、3連休の初日、久々知の市営住宅で発生しました。市営住宅の火事等の緊急時の対応は、委託先の住宅管理センターがするとされています。住民が午前9時ぐらいから再々連絡するも、地域振興センターの職員は現場に来たが、管理センターの担当者には電話自体がつながらず、ようやく連絡が取れてもすぐに現場には行けないとの返事でした。住宅管理センターでは、緊急時の対応は3人体制ということでしたが、一人は遠方に住んでいる、二人目、三人目は所用ですぐに来れないというのが、その時の対応でした。結局、住民から相談を受けた議員が、都市整備局の職員に連絡を取った結果、管理センターの職員が都市整備の職員とともに到着したのは、14時30分で火事の発生から10時間も経過していました。
尼崎市市営住宅管理業務実施要項には、火災時の対応として、「火災の第一報を受けた時は、その発生日時、被災場所などを速やかに市当局など関係者に報告するとともに、周辺を含めた被災の状況など現地調査を行うほか、被災者の一時収容の必要性があれば自治会長と相談の上、集会室等を使用させ、その結果を当局に報告すること。必要な施錠、侵入および漏水防止など応急措置をすること」とあります。
しかしセンターの職員は、漏電対策を電話で業者に指示することはされたそうですが、その他の対応はあまりされてなかったように住民には映ったようです。住民が求めていたものは、この連休の間、公的支援がどの程度受けられるのか、自分達でしなければならないことは何かを知りたかったということでした。

お尋ねします。委託先の住宅管理センターの緊急時対応はこの市営住宅管理業務実施要項の規定から外れていました。これが直営で公務員であれば、もう少しまともな対応ができていたのではないでしょうか。

答弁
市営住宅における火災時の対応につきましては、指定管理者と締結している年度協定に含まれる「市営住宅管理業務実施要綱」に、速やかに尼崎市への通報や現地調査のほか、侵入や漏水防止等の応急措置をとることが規定されています。今回の火災では、緊急用携帯電話を所持している所長以下3名の職員が、身内の不幸等の事情で速やかに現地へ赴くことができませんでしたが、電気業者に連絡を取り、2次災害を防ぐための停電措置や鎮火後の漏電措置等の指示を行っております。また、鎮火後、入居者の被災状況や建物の被害状況を確認するとともに、被災した建物の応急措置といたしまして、火元住戸の閉鎖、放水による浸水や、煙の侵入等により被害を受けた隣接住戸や廊下の清掃、補修など、「市営住宅管理業務実施要綱」に定める火災時における対応等を実施しております。しかしながら、尼崎市への連絡及び現地調査が速やかに実施されなかったことは問題であったと認識しております。そのため、指定管理者に対して、火災発生の一報を受けた場合には、速やかに尼崎市に連絡を入れることを改めて指示するとともに、夜間休日における緊急時の連絡体制についての見直しを求めたところでございます。今回の経験を踏まえ、今後はより適切な対応ができるよう、努めてまいります。以上

(川崎)93業務のアウトソーシングのさらなる導入によって危機管理対応での公務員の果たす役割が失われる事態となることを危惧します。市は以前の一般質問の答弁で、マニュアルを作成するから大丈夫と言明しました。しかし今年の予算で、このマニュアルも外部のコンサルが関わることになると言われていました。

お尋ねします。危機管理の対応が万全に行えると考えているのでしょうか?
 このアウトソーシング、民間委託には他にも問題点がたくさんあります。

答弁
アウトソーシングの導入によって、本市職員が直接業務を実施しなくなった場合においても、大規模災害の発生や受託者の倒産などといった危機管理事象への対応を行うためには、契約書や仕様書へその対応を明記することに加えて、行政内部における危機管理に係るノウハウの継承といったことが重要であると考えております。こうしたことから、アウトソーシングを推進していくにあたりましては、各課において業務マニュアルを確実に整備いたしますのは勿論のこと、今後、コンサルティング業者の支援を受けて設置を検討していく、庁内の支援体制の中で、統一的なマニュアルの共有化や、契約書や仕様書の作成支援を行うなど、行政内部におけるノウハウの継承に努めることで、危機管理事象へも適切に対応してまいります。以上

 (川崎)市は民間委託によって、余剰となった職員は新たな職場へ配置転換して、人員削減はしないと言っていますが、会計年度任用職員の制度によって、市職員が低賃金の非正規雇用に置き換えられる問題が浮上してきています。

今後5年間の後期まちづくり計画では、15億円の経費削減をうたっており、その最大の効果を期待しているのがこのアウトソーシングです。結局、アウトソーシングの目的は、会計年度任用職員の任用等を活用して、人件費の削減が最大の目的となっているということではありませんか?

答弁

今回のアウトソーシングの推進や会計年度任用職員の任用範囲の拡大を含めた、業務執行体制の見直しに向けた取組につきましては、現在の執行体制を見直すことで生み出される人員を、今後とも行政需要の増加・多様化が見込まれる分野へ重点的に配分することが大きな目的でございます。また、会計年度任用職員の導入につきましても、今般の地方公務員法等の改正によるもので、これまで不明確な部分もあった臨時・非常勤職員制度の任用根拠や勤務条件を整備するものでありますことから、現在の職員の処遇低下に繋がるものではなく、人件費の削減を最大の目的とするといったような取組ではございません。以上

(まとめ)
 これまでアウトソーシングの問題点については、一般質問、委員会等で何度も指摘しましたが、行革の総仕上げ的なものとなっており、市役所の機能が大きく変わり、それによって市民生活の向上、市民サービスが引き上げられるのかと言えば、逆の現象が起こってしまうのではないかと危惧します。
違法な偽装請負、市民の情報管理、職員の技術継承、災害時の対応など危機管理体制、現業職から事務職への転職に対するサポート制度の運用、会計年度任用職員制度の導入、職員の公務に対する意識、スキルの低下、民間の労働者の供給問題等等、これらの様々な問題について、当局の説明に解決策がきちんと示されているとは、到底思われません。
市はより総合力を発揮できる役所づくりと言いますが、やみくもなアウトソーシングの導入は、市民サービスを低下させ、市政の発展には寄与しないものと考えます。よってこの事業の実施の中止を求めて私の総括質疑をおわります。

 

2018.3月予算議会での徳田みのる議員の代表質疑の発言と答弁概要です

 

第1登檀              
(市長の政治姿勢について)

おはようございます。日本共産党議員団の徳田稔です。会派を代表して、施政方針、予算案と関連議案に対して代表質疑を行います。

 

さっそく質問に入ります。

まず、市長に市民を取りまく経済情勢の認識について、伺います。
 昨年10月から12月期の国民所得統計で、国内総生産は前期7月から9月期に比べ実質で0.1%の伸び、名目で0.03%の減となり鈍化しています。国民の所得の伸び悩みが消費を冷やしていることを示しています。
 厚生労働省の毎月勤労統計調査では、昨年12月の実質賃金が1年前に比べ0.5%減少、5年間を通してみても年収換算で15万円減り、2年ぶりにマイナスになりました。実質賃金は2012年末以来、16年を除いてマイナスが続いています。
 政府のアベノミクスの政策は、大企業や富裕層がもうかれば、それが滴り落ちて国民全体が豊かになる、トリクルダウン政策です。しかし結果は国民には回らず、大企業は史上空前の利益を上げ、内部留保金は400兆円を超えています。
 総務省が発表した昨年12月の家計調査報告によっても、消費支出は、3カ月ぶりに実質0.1%の減少、この5年間で実質消費支出は20万円減りました。2014年4月の消費税増税から4年がたちますが、いまだに消費不況が続いています。増税後、昨年12月までの45カ月のうち、前年同月で家計の実質消費が前年を上回ったのは5回だけです。
消費支出全体に占める食費の割合を示すエンゲル係数は、28%と3割近くになっています。「エンゲル係数」は近年上昇が続いており、多くの世帯にとって食べること自体が精いっぱいになっていることを示しています。所得が伸び悩み、生活が苦しくなっている証拠です。
 ある20歳代後半の女性は、祖母と二人くらし。職場での人間関係に悩み、うつ病になって仕事を辞めて、傷病手当と祖母の遺族年金で生活していました。しかし傷病手当がきれ、年金では祖母ひとりが暮らすのがやっとの状態です。元々、彼女は月10万円の給料でしたが、足りないため生活費はカードで借金し、お金が入ったら返すことを繰り返し、しかし返済は利息のみで元金は膨らむばかりでした。自立して生活保護を申請し、生活を立て直しました。仕事をしていても低賃金で、貯金はできず、収入が途絶えたら、たちまち生活基盤が崩れしまうことを示しています。
また別の共働きの夫婦世帯は、小学生と2人の保育園に通う3人の子どもを育てています。夫婦どちらも正社員ですが残業や夜勤もあり、しかし毎月2人の給料は残らず、貯蓄ができません。保育料が高すぎるため、たいへんなくらしが続いていると訴えられています。

 

 お尋ねします。新年度予算の編成にあたり、市長はこの様な市民を取り巻くいまの経済環境をどの様に認識されているのでしょうか。

答弁
市民を取り巻く経済環境について、重要な視点となる雇用と所得について申し上げますと、まず雇用の面では、本市の有効求人倍率は、平成29年2月の値が1.57で、過去最高となり、同年のその他各月の値においても、概ね前年を上回って推移しております。また、所得の面では、個人市民税における納税義務者数及び1人当たりの給与収入が増加傾向にあります。加えて、そうした雇用情勢の改善等により、生活保護における被保護者数は平成28年度から減少に転じるなど、総じて、市民を取り巻く経済環境は改善している状況にあると考えております。

しかしながら、全体の数字の上では景気の上昇が見受けられるものの、その一方で、個々人では、経済環境の好転を実感していない方も多数おられることと思います。依然として続く本市の厳しい財政状況を踏まえながらも、様々な事情を抱えておられる市民の方々へのきめ細かい施策を展開することが必要であると認識しております。

 

 (徳田)こうした市民の厳しい経済環境の下で、2018年度予算編成にあたられました。市長は「人が育ち、お互いに支え合うまち」「健康、安全、安心を実感できるまち」「地域の資源を活かし、活力が生まれるまち」「次の世代によりよい明日をつないでいくまち」の実現に向けて取り組むと決意を述べられました。
今後5年間の「後期まちづくり基本計画」が示す方向で、持続可能なまちづくりに向けて,ファミリ―世帯の定住・転入促進を最重要課題とし、学びの先進都市、子どもの育ちへの支援、自治のまちづくりに向けて効果的な取り組みをしていくとしています。そこで 順次、これらの項目にそって質問をして行きます。

(子どもの医療費の無料化)

 

まず子どもの医療費の無料化についてです。

子どもの医療費の無料化については、これまでもたびたび取り上げてきました。市は「市単独で、通院医療費の自己負担軽減を行う場合、新たな財源の確保が必要となり、厳しい財政状況の中、財源の目途が立たないのが現状である」との答弁を繰り返すのみです。
「給料日前になると子どもが病気になっても病院にいけない」と悩んでいるお母さんにとって、子どもの医療費無料化は切実な願いです。ぜひ市民が安心して子育てできる環境にすべきではないでしょうか。
国は医療費の無料化を実施したら、医療費が増え、国庫負担が増えて、医療費を無料にした自治体に補助金を多く出すことになり予算を公平に配分できない。だから無料化した自治体への補助金を減額するペナルティを課しました。しかしそのペナルティ廃止を求める国民や自治体の声に押されて、今年4月から未就学児までに対する分が撤廃されます。
NHK解説員は「医療費の無料化は、本来は国が少子化対策として取り組むべき課題だと思う。少子化対策を進めるうえで重要なことは、子どもを安心して育てられる環境を整えることだ。働きながら子育てができるように保育所の待機児童の解消に力を入れるのと同じように、子どもの医療費の負担を減らすことにも国は主体となって取り組むべきだ」と述べています。医療費無料化は子育て世帯の定住を促進し、税金が潤っていきます。

医療費無料を県制度に上乗せしていないのは伊丹と尼崎市だけになっています。伊丹が始めれば、尼崎だけが残ってしまいます。

 

おたずねします。市長は子どもの医療費の中学卒業までの無料化については、引き続き実施するつもりはないのでしょうか。実施に向けての市長の決意をお聞かせください。

答弁

子どもの医療費助成については、自治体の財政力や優先すべき都市課題の差異により年々医療費助成内容に格差が生じていることは認識しております。このため現在、助成制度に関する他都市比較や事業費の試算などの検討を行っているところですが、本市においては、中学校給食など他に優先すべき施策もあり、財源確保の観点から現段階でただちに無料化を実施することは困難な状況であります。子どもは社会全体で育てるという観点からも、子どもの医療費助成が自治体によって異なる制度で運用されるのではなく、基本的には国の責務として必要な財源措置を講じるべきと考えており、引き続き全国市長会などを通じて働きかけを行っていきます。以上

(あまっ子ステップ・アップ調査事業について)

次にあまっ子ステップ・アップ調査事業についてです。

この事業は主要事業の最重点施策にかかげられています。

本市は、これまでも学力調査・生活実態調査を行ってきましたが、特定の学年にのみ実施であり、毎年、対象者が変わるため、個々の児童・生徒の学力や生活実態に着目しての分析ができていない。そのため、調査対象を小学1年生から中学2年生までの全児童生徒に広げ、経年変化を分析する中で、よりきめ細かな指導の充実や学習状況の改善を図り、尼崎市学びと育ち研究所における、中長期的な教育施策の立案に資するものであるとなっています。
 このあまっ子ステップ・アップ調査事業に対し、ある中学校の先生から、「学校現場の負担となる」と訴えられました。さらに「これまでも学力向上や生活改善の効果を上げてきたのは、学習指導にあたる指導員を配置し、子どもたちに丁寧な指導を続けてきた成果であった。児童生徒の学力を向上させるためには、データーを集めて研究所に任せるのではなく、教育現場で児童・生徒を直接指導する人員配置を充実することが必要だ」と述べられています。
 ある中学2年生の男の子は、学力調査が小学一年生から毎年実施になることについて「学校の先生が忙しくなって大変だ、生徒も課題テストや定期考査だけでも負担だ」と指摘していました。また小学校1年生からという対象も「なぜ小1からなのか。どうしてそんなテスト漬けにするのか意味がわからない。子どもは研究材料にしてほしくない」と言っています。今年度は中学2年生対象の学力テストも受けたが、事前には授業で過去の問題をさせられた教科もあったようです。いくら「これは実態の調査だ」と言われても、成果を出すよう、こういった事前対策は実際起こっているのです。

学校現場は、ただでさえ詰め込み授業で時間数が足りず、ゆとりがなくなっています。学力テストが増えれば行事やクラブ活動にもしわ寄せがきます。調査の実施そのものが、ますます現場の先生方や子ども達を追い詰めるおそれがあります。
 
そこでお尋ねします。本来、学校教育の趣旨は人間の発達成長にあるのではないでしょうか。全児童・生徒対象の学力調査・生活実態調査の実施ではなく、小学校、中学校での少人数学級の実現こそ必要ではないかと考えますが、ご見解をお聞かせください。

答弁
「あまっ子ステップ・アップ調査事業」の目的は、児童生徒の学力と学習状況を把握し、一人ひとりに応じたきめ細かな指導の充実や学習状況の改善を図ることにあり、学力の向上に加え、子どもたちが主体的に生きていくために必要な力の育成をめざしております。

一方、少人数学級編制につきましては、現在、小学校4年生までは、35人学級編制が行われておりますが、児童生徒一人ひとりの発達段階に応じた、きめ細やかな指導の充実を図る上では、少人数学級が実現されることが望ましいことだと考えており、「全国都市教育長協議会」や「兵庫県都市教育長協議会」において、少人数学級の早期実現を文部科学省や県に要望しているところでございます。(以上)

 

(中学校給食について)

 

つぎに中学校給食です。

市民が実施を待ち望んでいる中学校給食の基本計画が策定されました。

施策方針で市長は、保護者からのニーズが非常に高い中学校給食については、「集中的な衛生管理」「教育活動への影響」「全校一斉実施」「将来の財政負担」といった点について、長期的な観点での検討を行った結果、給食センター方式を選択し、2022年度の開始をめざして準備をすすめますと述べられました。5年先の実施について、市民の中では「いつまで待たされるのか」との声が渦巻いています。
基本計画の策定の前に素案に対する市民意見募集が行われました。214人から692件もの意見が寄せられ、その内実施方式の意見で、給食センター方式を望む方は40人、自校調理方式を望む方は51人、親子方式を望む方は12人、自校と親子方式併用を望む方は72人でした。いま教育委員会がすすめようとしている給食センター以外の方式を望む人は77%にのぼっています。
党議員団は2月13日に高槻市の親子方式による中学校給食、16日には尼崎市内の小学校の給食を視察しました。教育委員会は親子方式は回転釜を調理の過程で2回、3回と洗浄消毒が必要で、困難であると言われていました。しかし釜の洗浄には5分も要せず、献立や調理作業工程の工夫で複数回転が可能であると感じました。そして尼崎でも小学校の給食室を増築することなく、親子方式で実施が可能であると思います。

 

そこでお尋ねします。中学校給食を直ちに実施するためには、給食センターにこだわらず、他都市で実施しているような自校調理方式、親子方式、もしくは自校方式で行う中学校から配送する兄弟方式など、様々な調理方式を組み合わせ検討すべきではないかと考えますが、見解をお聞かせください。

答弁

本市において、ご指摘の「小学校の給食室で調理した給食を中学校へ配送する親子方式」を実施する場合、小中学校2校分の給食調理を行うことになりますが、現在の小学校の給食室は、自校の食数に対応した調理能力しか備えておりません。そのため、時間をずらして調理を2回繰り返すこととなり、調理途中での厨房機器の洗浄作業を行わざるを得ず、衛生管理上の問題が大きいことや、限られた時間内に2校分の調理を完了させるため、小学校給食の献立内容や食物アレルギー対応の見直しが必要になるなど、小学校給食の安全性と質の低下が懸念されるところであります。

また、小学校の給食室は安全・安心な給食を提供するためのドライ化整備工事をほぼ完了しており、新たに中学校分を調理する場合、調理能力を増強させるための厨房機器の増設・入れ替えに伴う改修や増築工事が二重投資になるほか、中学校分の給食を先に調理し、配送してから小学校分の給食調理にとりかかるため、中学校では、調理後2時間以内の喫食が困難である、といった課題があります。

また、「中学校に新たに給食室を建設し、他の中学校へ給食を配送する兄弟方式」につきましても、自校の食数分のみに対応した給食室を建設する場合、親子方式と同様、献立内容や食物アレルギー対応への制限、配送先の中学校は調理後2時間以内の喫食が困難であるといった課題が生じるほか、2校分を一度に調理できる給食室を中学校に新たに建設する場合、施設規模が大きくなり、建設する中学校にとって教育環境上への大きな影響が懸念されます。

こうしたことや、中学校給食は、成長期にある生徒の心身の健全な発達に資するものであることに鑑み、本市におきましては、安全でおいしい給食を公平かつ一斉に提供できる給食センター方式が最善であると判断したものでございます。以上

((仮称)子どもの育ち支援センターについて)

子どもの育ち支援センターについてです。

市長は、「子どもの学びや育ちの総合的な支援をめざし、福祉・保健・教育といった各部門が連携しながら、継続的かつ総合的な支援を行う子どもの育ちに係る支援センターを「あまがさき・ひと咲きプラザ」に開設を準備している」と述べられています。
この支援センターに、職員を増員するなかで、発達障害・不登校の相談支援業務、子ども支援教室などの各種事業、人材育成を図るための研修事業を行うなど、設置に向けた取組みを推進するとしています。
この子どもの育ち支援センターで取り組まれる、不登校対策と居場所づくりについてお尋ねします。市内の不登校児童生徒の推移は、小学校では120人から140人。中学校では420人前後で推移し、全国的に見ても不登校の多い自治体となっています。
早期の対応と解決、保護者への協力を求めることが大切です。しかし、中学校では問題も複雑化し、解決困難なことも多いと思われます。

学校以外の学習の場、居場所の確保が必要となっています。それが適応指導教室「はつらつ学級」で、子どもの支援センター内に設置されます。地域にいる不登校の子ども達が、生き生きと通学できるような居場所にしてほしいと期待しています。また各地域の公民館にもサテライト学習支援を設けて、退職した教職員の指導のもと、子どもたちが学習しています。小学生や中学生が歩いて行ける場所にあることが子どもたちの学習意欲の向上につながっていきます。

 

 お尋ねします、公民館で行っているサテライト学習支援は、適応指導教室にどのように位置づけられているのでしょうか、お答えください。

答弁

教育委員会といたしましては、不登校児童生徒の多様な原因やニーズに対応するため、学校や家庭とも連携を図りながら、一人ひとりに応じた適切な支援に取り組んでいるところでございます。

今年度からは、適応指導教室である「はつらつ学級」には参加できないが、自宅から外出できる児童生徒を中心に、身近な場所における「サテライト学習支援事業」を市内6地区の公民館等で実施しております。このサテライト学習支援に参加している児童生徒の中には、「はつらつ学級」への通級や学校の別室登校につながっている例もあります。今後とも、不登校児童生徒が、学校復帰や社会的自立につながるように支援の充実に努めてまいります。以上

(徳田) 「(仮称)尼崎市立ユース交流センター」が2019年に設置されます。

この2月にひと咲プラザで開催された「ユースワークフォーラム」に会派議員が参加しました。ユース交流センターは青少年、中高校生の居場所、各種青少年健全育成の場として取り組まれます。このセンター設立に大変期待しています。しかし武庫之荘や大庄方面からは、遠く、青少年が気軽に遊びに行ける場所が求められます。当局に聞くと「今でも公民館や支所に集っています」ということでした。

 

お尋ねします。青少年、中高生が集う、公民館や支所にユースワークの視点から指導員の配置が必要と思いますが、市長のご見解をお答えください。

答弁

平成31年秋頃に開設予定の「(仮称)尼崎市立ユース交流センター」につきましては、現在の青少年センターを単に移転させるのではなく、これまで手が届いていなかった中学・高校生を主なターゲットとし、新たに「ユースワーク」の視点を取り入れた青少年の居場所づくりや各種の青少年健全育成事業等を実施することにしております。合わせまして、この「ユース交流センター」を青少年施策の拠点施設と位置付け、各地域においても、公共施設等を活用しながら、青少年施策を実施する考えでございます。

ユースワーカーの配置など具体的な内容につきましては、地域振興体制の再構築との連携調整を行い、また課題等を十分踏まえた中で、「ユース交流センター」の指定管理者の意見も聞きながら、検討してまいりたいと考えております。以上

(就学援助制度について)

 次に就学援助についてです。

今年度から、中学入学時の新入学学用品準備金の前倒しが実施され、保護者や子どもたちの喜ぶ顔が目に浮かんできます。小学1年生についても来年度から実施の予定です。次は新入学学用品準備金の増額です。小田中学校では、今年から新校舎に移転し、制服も新調されます。それに伴い、これまでは兄弟のおさがり又は卒業生のおさがりをいただいて制服の確保をしていましたが、今年からは、すべて購入しなければならなくなり、保護者から戸惑いの声が上がっています。学校の制服の高価さに驚きました。新入学学用品準備金の増額が必要です。

 

お尋ねします。新入学学用品費準備金の増額について、どのような検討がなされているのか、お答えください。

答弁

新入学学用品費につきましては、今年度は、新中学校1年生に対しまして、入学前に前倒し支給を実施することとし、また、平成30年度には、新小学校1年生に対しましても、入学前に前倒し支給を予定しているところでございます。

なお、新入学学用品費の増額につきましては、本市の場合、恒久的に約3,000万円の財源が新たに必要となりますことから、厳しい財政状況を踏まえ、平成30年度予算におきましては、これまでどおりとしたところでございます。引き続き、課題である恒久的な財源の確保について、調整してまいりたいと考えております。以上

 

(保育所の待機児童対策について)

 

保育所の待機児童対策についてです。2019年までに待機児童ゼロを目標にするとしています。

来年度の対策では小規模保育事業で15カ所、新規保育所の建設1カ所などにより510人の定員増に加え、公立保育所4カ所に職員を12名配置して公立だけで60人の受け入れ枠の増が予定されています。
昨年の未入所児童数は440人を超えていました。今年は1次募集の段階で、新規応募が昨年の約1900人から2200人へと300人も増加しています。この3月中に入所調整を行うとのことですが、仮に約2200人、計画の受け入枠確保できたとしても、児童数は今年度を超える状況となっています。
 市は子ども子育て支援新制度の下で、待機児童対策の主要取組みとして、小規模保育事業の拡張を行ってきました。2015年からの子ども子育て支援を始めてから、21カ所増やしてきました。しかしこの事業を拡充すればするほど新たな課題を生み出しています。小規模保育事業では保育基準が低く、園庭がなくてもよい、給食はデリバリーでもよい、といったことになっています。またここでは0~2歳までの受け入れですから、3歳になった時の連携施設にスムーズに移行できるのかという問題があります。連携施設が名ばかりとなっており、市の入所担当に過重負担となっているのではないでしょうか。
 公立保育所の民間移管計画は、いまだに富松保育所の陳情にみられるように、保護者の理解が得られていません。保育士不足で受託法人の確保が困難です、民間移管計画そのものが先送りされており老朽化対策も一向に進みません。民間移管計画は中止して、民間移管対象の公立保育所も含め、中長期の公立保育所の建て替え計画の中に位置づけて、定員増を行うべきだと考えます。そして緊急の待機児童対策を講じる必要があります。

 

 お尋ねします。2019年度までの待機児童解消を見直し、定員増の新たな緊急対策が必要と考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

中間年の見直しを行った尼崎市子ども・子育て支援事業計画では、平成31年度までの待機児童対策について、これまで以上の保育需要の増加に対する早期の解消策として、量の確保や受入枠の拡大に結びつく様々な方策を盛り込んでいます。

本計画に基づきまして、これまでどおり、公・私立保育所、認定こども園、小規模保育事業所等の多様な保育の実施主体が担うなかで、認可保育所や小規模保育事業の新設、認定こども園への移行、第4次の民間移管計画による施設の改築など数多くの手法を用いて待機児童対策に取り組むこととしており、その着実な推進に努めてまいります。以上

(児童ホームの待機児童対策について)

 

次に児童ホームと子どもクラブの問題です。

児童ホームの待機児童対策とともに子どもクラブのあり方が問われています。

次年度に向けた児童ホームの12月1日から今年1月6日までの1次募集で、児童ホームの56%の23ホームで、399人の待機児が生まれています。昨年よりも67人の増加です。うち4年生以上が45人増となっており、高学年が申し込みを増やしているのも今年の特徴です。
児童ホームの待機児童対策は主に民間活用で対応するとのことで、今年は1億円を超える補助金となっており、大幅に増やしていますが、効果的な対策になっているのでしょうか。民間の学童保育はメニューを増やして様々な特色を持たせていますが、利用料は児童ホームと比べても高額です。児童ホームからもれた待機児童が、費用負担が大きくなるところに行っているのでしょうか?むしろ学習塾とみなして通う児童が増えているのではないでしょうか?待機児童対策として効果が上がっているのか、この点については調査分析が必要だと思います。
これまでの公設の児童ホームの建物が、年に1ホーム程度では、5ヶ年計画の最終年度2019年度までに待機ゼロは達成することが困難となっています。高学年の受け入れをふくめたもの、何よりも国が基準としている1クラス40人定員の施設建設の中長期の計画がつくられていないことも問題です。
また、児童ホームの待機児童対策として、子どもクラブの活用が行われていますが、第2児童ホーム化しており、本来の子どもクラブのあり方が問われています。子どもクラブには定員がありません。建物のスペースにも限りがあり、人員配置の問題からも、際限なく子どもの受け入れを増やすことはできません。特に児童ホームの待機児童を受けいれている子どもクラブでは、それぞれの子どもに対応していかねばならず運営も大変です。
来年度の新規のモデル事業として、子どもクラブでの長期休暇中の昼食を施設内で認めて、利用しやすい子どもクラブを実施するとのことですが、現状のこれらの問題をどのように解決していくのでしょうか。

 

お尋ねします。児童ホームの待機児童対策は本来、第一に一つの建物の40人定員を達成していく計画が必要です、いつまでに計画をつくるのでしょうか?第二に民間の学童保育に依拠するとのことですが、本当に効果が上がっているのか、検証はどのようになされているのか、市長の見解をお聞かせください。

答弁

児童ホームの定員確保については、子ども・子育て支援事業計画に基づき、公設児童ホームに加え、民間児童ホームの活用により、取組みを進めているところでございます。公設児童ホームの整備については、待機の状況や児童数をもとに、一定の整備計画を作成しておりますが、施設の整備にあたりましては、財源はもとより、利用希望が年度によって大きく変動することから、毎年度の予算編成時に、直近の状況を踏まえて、整備箇所の決定をしているところでございます。

また、民間児童ホームについては、平成27年度の補助制度の創設以降、入所児童数が大幅に増加しており、中には、年度途中に、公設児童ホームを退所・辞退して民間児童ホームを利用している児童や、公設児童ホームの利用児童や待機児童が、新年度には、民間児童ホームを利用している例が、見受けられるなど、効果があるものと評価しているところでございます。今後とも、公設児童ホームの施設整備、学校校舎の活用、民間児童ホームの設置といった手法を取りながら、待機児童対策に取り組んでまいります。

(高齢者対策について)
 

高齢者対策についてです。介護保険法制定から20年が経過しました。当初は介護の社会化の理念がうたわれていましたが、今はそれに逆行する介護の家族化、互助化ともいえる事態が進行しています。
 特別養護老人ホームへの入所希望者が増えています。現在、市内での特養待機者は383人と、建設が急がれています。特養の建設は介護保険事業計画から大幅に遅れています。法人経営者の皆さんは、「建物をつくっても、介護職員の処遇があまりにも劣悪のため、職員の確保が困難で特養建設の募集に手上げすることができない」と語っています。

 

 そこでお尋ねします。介護職員の処遇改善は市独自の支援策が必要ではないか。また国に対してもっと強く処遇改善の要望を挙げていくことが必要ではないかと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

現在、国においては、介護人材の確保を「ニッポンー億総活躍プラン」の重要な柱の一つに据え、介護の仕事の魅力向上を目指し、介護人材の処遇改善等に継続的に取り組んでいるところです。その中で、平成30年度の介護報酬改定においては、平均0.54%のプラス改定とともに、今後、多様な人材の確保と生産性の向上を目的に、人材の有効活用や機能の分化、ロボット技術等を用いた負担軽減等に取り組むこととしております。

本市においても、介護関係事業者との意見交換をはじめ、特別養護老人ホームの応募を見送った事業者からも、人材の確保が大きな課題である旨を聞いており、今般策定の第7期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画において、「担い手づくりの推進」を重点的な取組の一つに位置づけ、引き続き、ハローワーク尼崎と連携する中で、生活支援サポーターの養成をはじめ、市内の介護事業所等における福祉人材の確保に取り組むこととしております。そのような中、本市独自の介護職員の処遇改善策については、厳しい財政状況の中での実施は困難でございますが、介護人材の確保は、介護保険制度の安定的な運営に不可欠な取組であることから、引き続き、国に対して、全国市長会等を通じて、介護保険制度に関する重点提言として、介護従事者の確保・育成・定着と処遇改善の一層の促進を図るため、財政措置の拡充と併せ、地域の実情を踏まえた実効ある対策の実施を強く要望してまいります。

 (徳田) 高齢者の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援する地域包括支援センターを市内12カ所に設置し、総合相談や権利擁護など、高齢者の心身の健康の保持及び生活安定のために必要な支援を行っています。この地域包括支援センターが主催する地域ケア個別会議に、自立・気づきの支援の視点を加え、高齢者のQOL、生活の質及びケアマネジメントの質のいっそうの向上をめざすとして、自立支援型、(仮称)気づき支援型のケア会議にするとしています。
これは成果を上げた事業所に対し、報酬単価を引き上げるインセンティブを加点する国の施策に連動したものと考えられます。これまでも三重県桑名市や大阪府の大東市では、このケア会議が介護保険サービスからの卒業を迫るものとなったとして、大きな社会問題となっています。

 お尋ねします。今回めざす自立支援型、(仮称)気づき支援型地域ケア会議が介護サービスからの卒業を迫るものにならないとの保障があるのでしょうか。市長の見解をお聞かせください。

 

答弁

「自立支援型」の地域ケア会議は、ご本人や家族の思いに寄り添って、高齢者のQOL(生活の質)の向上や、ケアマネジャーの資質の向上を図るなど、多職種による気づきと助言に基づいて、より自立に資する支援を行おうとするものです。

この取組には、行政のほかアドバイザーとして主任ケアマネジャーや理学療法士など、複数の専門職が参画し助言をいただきますが、いわゆる「サービスはがし」や「サービス抑制」などと誤解されないように、ご意見を尊重しながら進めていきます。

(徳田) 昨年4月から介護予防・日常生活支援総合事業が始まりました。

背景として、2025年には団塊の世代が75歳に到達し、介護を必要とする人口が最高となる一方で、介護を担う人材不足は深刻で、ヘルパーや介護福祉士といった介護の専門職は重い介護度の方にシフトしていく必要がある。そのためには、軽い介護度の方や生活支援は新たな担い手の参画を得ていく目的で総合事業が規定されています。
また財政的には、持続可能な介護保険制度を維持するための仕組みとして、要支援1・2の方の訪問介護と通所介護を介護保険から外し、自治体が独自で行う地域支援事業の中に組み込まれ、上限額は国がコントロールする形になりました。
尼崎市はこうした国の動向に従い、要支援1・2の方をヘルパーが対応する専門型と生活支援サポーターが対応する総合事業に振り分ける基準を創ってきました。それによれば総合事業が始まる直前の当局の予想は、専門型と訪問型の割合は「半々ぐらい」でした。ところが実際昨年4月以降事業が始まると、標準型にどんどん振り分けられ実態は「3対7」程度になっています。
問題は、初期認知症の方には専門家の適切な関わりがないと重症化することが指摘されていますが、見落とされていないのか。また、ケアマネジャーに標準型のプランにするよう誘導をしていないかということです。会派議員が9月議会でこのことを指摘し調査をするよう求めると、当局は「集計及び分析を進めている」「実態の把握は当然必要」「検討する」と答弁されています。そこでお尋ねします。

 

お尋ねします。専門型と標準型の振り分けが適切であったかどうか、検証されてきたと思いますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

総合事業における訪問型サービスの利用状況につきましては、平成29年4月から11月までの利用状況では、標準型訪問サービスの利用が全体の8割を占め、半数程度とした当初の想定よりも高い利用割合となっております。現在、利用者の総合事業への移行が途上にあるため、詳細な分析等は今後の取組になりますが、利用サービスの選択に当たっては、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所が、認知症高齢者自立度または障害高齢者自立度の評価に加え、利用者のニーズや生活実態等を勘案する中で、必要なサービスを総合的に判断しており、本市の「介護予防ケアマネジメントマニュアル」に沿って、適切にケアマネジメントが実施されているものと認識しております。以上

 (徳田) 次に、標準型サービスの受け皿として生活支援サポーターの養成がおこなわれていますが、計画では、900人の生活支援サポーターを確保することでした。しかし現在、養成講座修了者は315人ですが、訪問サービスに従事されているのはわずか10人です。これで総合事業が維持できるのか疑問です。

 

お尋ねします。生活支援サポーター養成講座を修了しても、実際にサポーターとして就労していない実態を前に、訪問サービスを求められる高齢者に対し、市はどの様な責任を持つのでしょうか,見解をお聞かせください。

以上で第1問を終わります。

答弁

今後、支援が必要な高齢者の増加が更に見込まれることから、総合事業をより安定的に運営していくためには、担い手の裾野を拡大し、必要なサービス提供の体制づくりを進めていくことが重要であると認識しております。その中で、新たな担い手となる生活支援サポーターの養成は概ね順調ですが、就労につながる情報提供等が十分にできておらず、研修修了者の就労促進が今後の課題であると考えております。

そのため、現在、ハローワークと連携する中で、市内事業所の求人情報の把握とともに、研修修了者に対して、適宜ハローワークへの求職登録案内を行うほか、来週3月12日(月)には、市内の6事業所が参加するミニ面接会を開催するなど、鋭意、研修修了者の就労促進に努めているところです。生活支援サポーターの就労促進は、総合事業の円滑な推進に必要な取組であり、一人でも多くの方に担い手として活躍いただけるよう、取り組んでまいります。以上

 

第2登檀

答弁をいただきました。ひとつだけ感想を述べます。子どもの医療費の無料化についてですが、県制度に上乗せしていないのは尼崎だけになろうとしているわけです。ぜひ取り残されない様に実施を強く求めておきます。第2問に入ります。

(国民健康保険制度について)

 国民健康保険についてです。尼崎の国保は市民の4割の世帯が加入し、自営業者・年金生活者・非正規雇用の労働者・無職(フリーター)などで構成され、低所得者が圧倒的に多い状況です。貧困と疾病は相関関係にあり、当然のことながら保険料は高くなり、所得の低い人たちに重い負担となっています。そのため、市はこれまで高すぎる保険料を抑えるために、一般会計から4億円を国保会計に繰り入れしてきました。
 国保は4月から財政の運営主体が兵庫県に移行され、運営が県と市の共同の事業となります。このことによって4億円を繰り入れしなくても一人当たり1万5千円下がるので、一般会計からの繰り入れは止めるとしています。
年間1万5千円下がっても、尼崎の国保料が高いことには変わりはありません。昨年、厚生労働省は各地の自治体からの要望によって、従来からの方針を変更して、都道府県への移行に際して市町村が一般会計からの赤字補てんを容認すると通知しています。

 

 そこでお尋ねします。国民健康保険の運営主体が県への移行しても、財政健全化繰り入れ金4億円は継続すべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

国民健康保険特別会計における財政健全化繰入金は、国民健康保険制度改革に際して、国が約3,400億円の財政支援等を実施することにより、全国的に解消するよう位置付けている決算補填等を目的とする一般会計からの繰入れに該当するものです。国は、こうした繰入金の削減・解消に当たっては、被保険者の負担水準に激変が生じないように検討することとしておりますが、県の国民健康保険事業費納付金等の算定結果に基づきますと、本市の平成30年度の保険料は、財政健全化のための繰入れを行わなくとも、制度改革の効果によって、現行より引き下がる見込みであることから、本市の厳しい財政状況も勘案したうえで、当該繰入を見直すこととしたものです。一方で、本市の被保険者の所得状況等を鑑みる中で本市独自で実施している「多人数世帯等の保険料の負担軽減を図る特別減免」につきましては、多人数世帯や低所得となっている被保険者世帯の負担軽減と保険料抑制に寄与するとともに、保険料収納率向上の点からも効果が認められるものであることから、厳しい財政状況の中ではありますが当面継続することとしております。

(徳田) 高すぎる国保料で市民が悲鳴を上げています。これまでも、市は収納率向上に努め、2016年度の収納率は現年度分で91.47%までアップしてきました。そして2022年度までに93%にまで引き上げるとしています。
 ある青年が勤め先を解雇され、今年2月から国保に加入しました。雇用保険から失業手当が給付されるのは3月末で、それまではまったく所持金がない状態です。国保課へ失業手当が給付されたら払うので、それまで待ってほしいと伝えたが督促状が届いた。そこで国保課へ電話すると「払ってもらわなければならない」と一方的に言われ、この青年は「崖っぷちで必死に生活再建をしようと、もがいている市民の実態をわかろうとしない市の姿勢に絶望した」と語っていました。
 市は国保料収納率向上対策の強化を主要事業に挙げています。これまで預貯金を中心とした財産調査を行ってきたが、今後は給料、年金、生命保険等を対象とするとなっています。法律で差し押さえが禁止されている給与や年金まで行うとなっています。またこれまで原則として滞納額が10万円以上の世帯に対し、滞納整理を実施してきましたが、無関心世帯などを対象に10万円以下に広げるとしています。

 そこでお尋ねします。10万円以下の少額の差し押さえ、また年金、給与等の差し押さえは市民の生きる権利を奪うものになりかねないのでやめるべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

来年度から、国民健康保険事業が都道府県単位化されますが、今後、国保事業を安定的かつ継続的に運営していくためには、医療費の適正化とともに、収納率の向上対策は不可欠です。国保料の徴収にあたりましては、減免等を適用しても、なお生活に支障が生じるといった方に対して、丁寧な納付相談を行う中で、個別事情等を考慮しながら、分納の取扱いを行っておりますが、滞納が発生した場合には、国税徴収法に基づく財産調査を実施しております。これまで原則として滞納額10万円以上の世帯に対し、滞納額順に滞納整理を実施してまいりましたが、来年度からは、無関心世帯や約束不履行世帯等に早期に滞納整理を行い、納付の確保を図ることとしており、保険料を納付できる資力があるにもかかわらず、ご理解いただけない場合などに、法の規定に基づき、給与や年金等に対しても、差押えを行うものとしております。いずれにいたしましても、被保険者の生活状況等の個別事情に配慮しながら、計画的な納付を促進していくよう努めてまいります。以上

(生活保護について)

 次に生活保護についてです。

国は生活保護を最大5%削減する方針を決めました。すでに生活保護は2013年の見直しで10%削減されています。

今回の削減では、子どもの多い世帯ほど削減額が大きくなり、夫婦と子ども2人世帯では年11万円の減額となり、2013年の削減と合わせると年間37万円も大幅に減ると言われています。この生活保護の削減は、広範囲な市民のくらしに影響を及ぼします。住民税、保育料、介護保険料、就学援助、最低賃金などで低所得の生活悪化に連動しています。

 

お尋ねします。生活保護の2013年見直しの際のくらしへの影響に対し、市はどの様な対応を講じたのでしょうか。

また今年10月の生活保護の切り下げに対して、どの様な対策を講じようと考えているのでしょうか、お答えください。

答弁

2013年の基準改定の際には、厚生労働省から「生活扶助基準の見直しに伴い他制度に生じる影響について」の通知が出され、他制度へできる限り影響が及ばないようにするとされておりました。具体的には、住民税については、次年度の税制改正で対応し、保育料の免除や就学援助の制度においては、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながら対応することとしており、本市においても適切に対応してまいりました。2018年10月に予定されている生活扶助基準の見直しにおいても、同様の対応方針が示されており、今後、国の平成30年度予算成立後、あらためて通知が発せられるものと考えております。これまで同様、国の基本方針を踏まえ、適切に対応してまいります。

(徳田) 生活保護が必要な方の中で、実際に保護を受けている割合、捕捉率は、日本ではだいたい2割程度に留まっていると言われています。この様に低い理由として、自分が利用できる事を知らない、年金があったらだめ、働いていたらだめ、持ち家があったらだめなどと間違って理解している方が多いなど制度の周知不足がひとつの原因となっています。また生活保護は恥だと言う意識やバッシングから、申請をためらってしまう人もあります。
 今年に入って、市は生活保護受給者が休日や夜間などに医療機関に提示する生活保護受給証兼休日夜間等医療機関受給票をA4版に拡大しました。そのため保護受給者から、医療機関での提示の際に生活保護とわかり困っている。別の方は、年1回の資産調査において現金確認のため財布の中身までチェックされ、自分がごまかしたような人間と見られたと悩んでいた人などの訴えがありました。

 そこでお尋ねします。生活保護は憲法25条に基づく国民の正当な権利であることを市長自らが市民に周知すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また生存権が保障された、使いやすい制度にして行くために、名称を「生活保障法」へと変更してはと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

生活保護制度については、憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するものであり、要件を満たす限り、誰でも無差別平等に受けることができる制度であるということを市のホームページに記載し、広く市民に周知しております。

また、現在の生活保護法は昭和25年に施行され、60年以上、法の精神に沿って運用され、国民の最低生活を保障する制度として認知されていると考えておりますので、現時点で法律の名称変更を国に働きかけていく考えはございません。以上

(障がい者支援について)

次に障がい者移動支援についてです。障害者移動支援事業は、買物や映画鑑賞、散歩、行事への参加等、障がい者が一人では自由に参加できない部分を支援するために作られた制度です。ところが昨年の10月から障がい者移動支援の報酬単価が大幅に引き下げられました。
障害者の生活と権利を守る尼崎連絡協議会が市と行った、2月の意見交換会で、障害者移動支援事業に対して参加者から「ヘルパーの不足により支援を断らざるを得ない状況になっている」「移動支援に伴う実績記録表に目的地を記載する義務、支援内容による利用制限はやめてほしい。利用者の行動の干渉だ。プライバシーの侵害だ」「今でも職員は低賃金で働いている、さらに報酬削減で、人材確保が困難になった。サービスを求める障がい者に対応できなくなっている」との訴えが相次ぎました。
また同協議会の施設アンケートでは、移動支援の報酬単価の引き下げで年間485万円も減額となっている。ただでさえ必死で生き残りをかけている施設が経営難に陥ってしまうと回答されています。

 

お尋ねします。報酬単価の引き下げを実施して半年、障がい者や事業所がどのような状況になっているのか、関係団体との話し合いをすすめ、検証するべきと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。

答弁

移動支援事業のガイドラインや新たな報酬単価の運用状況につきましては、今月1日に自立支援協議会の「ガイドライン検討部会」を開催し、見直し前後のそれぞれ3か月間(平成29年7~9月と平成29年10~12月)の実績を比較したデータを基に、サービスの利用状況や事業所の影響等について協議してまいりました。その結果、利用者数や利用時間数に大きな変化はなく、また、給付費の減少率や事業所の減収割合の分布についても、概ね想定していた数値となっていますが、あくまで、見直し前後3か月の実績であるため、今後も、その運用状況や影響等の把握・分析を行っていくとともに、その内容については、引き続き、同部会において協議し、定期的な点検や評価を行ってまいります。以上

 (低所得者等への住宅確保について)
 

次に低所得者への住宅確保についてです。

昨年9月議会の会派議員の一般質問で、市の住宅施策について、国の住宅セーフティーネット制度を市でどう具体化していくか、民間賃貸住宅の家賃補助について質問しました。
市は「新たな住宅セーフティーネット制度については、まずは高齢者・障害者・ひとり親世帯・低所得者など住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録を法施行にあわせて実施し、居住支援協議会の立ち上げは、ひょうご住まいづくり協議会に本市も参画していることから、市独自の協議会は立ち上げない。単身高齢者向けの賃貸住宅としては、県営・市営住宅のほか、サービス付き高齢者向け住宅、高齢者向け優良住宅などがあり、相談に来られた方に説明するとともにホームページで情報の提供に努めている」と答弁されました。
2016年5月に国土交通省が実施した「サービス付き高齢者向け住宅の整備等のあり方に関する検討会」のとりまとめでは、低所得の高齢者の住まいの確保については、サービス付き高齢者向け住宅では十分に応え切れていないところであり、具体的な仕組みを検討していく必要がある」としています。
住宅セーフティーネット制度では次の2点で国の補助が受けられます。1つが登録住宅の改修、もうひとつが家賃や家賃債務保証料の負担の軽減です。尼崎市の単身高齢者世帯は4割が民間借家に住んでおり、老朽化による住み替えが今後増えることが予想されます。市民が安心して暮らしていくのに住宅の確保は欠かせません。

お尋ねします。住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録はどこまで進みましたか。

また、市は積極的に国の住宅セーフティーネット制度の補助を受けるための取り組みをすべきだと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

 新たな住宅セーフティネット制度における入居を拒まない住宅の登録につきましては、市ホームページと市報への掲載、また、窓口や昨年11月に開催しました空家の相談会でチラシを配布するなどして、PRに取り組んでいるところであり、これまでに5件の相談がございますが、登録には至っておりません。

本制度は、制度開始から5カ月であることから、全国的にも登録件数はまだ少なく、兵庫県下では、神戸市の1棟7戸にとどまっております。このため、今後は、宅地建物取引業協会にPRを依頼するなど、関係団体と連携した、更なる周知に努めていく必要があると考えております。また、国の補助金につきましては、登録を受けると、国から改修費補助を受けることが出来ますが、家賃に対する補助につきましては、本市の財源が必要となることから、本市の政策課題の優先度を踏まえ、実施する考えはございません。以上

(徳田) 「市空家等対策計画」ではその目的を、空家の発生を抑制するとともに、子育てファミリー世帯の転出傾向などの課題に対応し、空家の利活用や適正な管理を促進するとしています。
 そして2018年度新規施策で、子育てファミリー世帯の定住・転入を促進するため、所有者に賃貸や売却のアドバイスができる建築士などの専門家の派遣や、子育て・新婚世帯の購入者への改修費補助制度を実施します。さらに空家の発生の抑制するためには、空き家改修補助制度を一般住宅にも広げることが必要だと思います。 

お尋ねします。空家の発生を抑制するために、子育て・新婚向け空家改修費補助制度を、希望する市民に対象を広げるべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

来年度から実施いたします子育て・新婚世帯向け空家改修費補助制度は、空家等対策計画に基づき、空家の増加の抑制に向けて、空家の流通・利活用を進めるとともに、本市の最重要課題であるファミリー一世帯の定住・転入促進を図るため、子育て世帯と新婚世帯を対象として、補助するものでございます。限られた財源と、政策課題の優先度を踏まえる中で、まずは平成30年度は子育て世帯と新婚世帯を対象に実施していきたいと考えております。

 

(地域振興体制の再構築について)

 次に地域振興体制の再構築についてです。

市長は、まちづくり条例の趣旨を具現化していくため、地域振興体制の再構築に取り組むとしています。さらに「地域発意の取り組みが広がる環境づくり」「地域を支える新たな体制づくり」「地域とともにある職員づくり」という3つの観点から、まずは職員が地域に密着し、あらゆる分野で地域や関係団体等をつなぐ役割を担うとともに、公民館や地区会館といった施設の区別を越えて、学びをきっかけとした活動の場を広げていく環境づくりをすすめていく。そのためには、行政、職員もそれにふさわしい体制と行動をとっていかなければならないとしています。
 そうした中、先進的な取り組みを行っている自治体、長野県の飯田市へ、尼崎の職員を派遣して学んでいます。
 この飯田市は人口10万人、過去の市町村合併で、旧市町村の自治を尊重し、15の自治振興センターを維持しています。そしてこのセンター内に地域自治区が設置され、そこに地域協議会とまちづくり委員会が置かれています。市公民館のほかに20の地区公民館及び103の分館があり、公民館活動が盛んであります。
 尼崎市では地域振興体制を再構築するために、市内6地区に、地域振興センターに代わる新たな組織をつくり、公民館、地区会館を、学びと活動を支える施設として新たな組織を作ろうとしています。職員には、課題解決に向けた政策力、多様な主体が力を出し合うためのコーディネート力が、これまで以上に求められるとなっています。
尼崎市はこの公民館を、法律上の社会教育活動の施設からはずすとしています。社会教育法に規定されている、公民館の機能には、地域学習の拠点、家庭教育支援拠点、奉仕活動・体験活動の推進、学校、家庭及び地域社会との連携などがあります。

 

 お尋ねします。この地域振興体制の再構築の中で、なぜ公民館を社会教育法に基ずく施設からはずすのか、見解をお聞かせください。

答弁

自治のまちづくりに向けた地域振興体制の再構築は、市全体として「行政の地域への向き合い方」を大きく変えていこうとする取り組みであり、施設の位置付けだけではなく、組織の再編等による体制の充実や職員の行動変容にも取り組むものです。特に組織再編については、地域振興センターと公民館の強みやスケールメリットを活かすことに加え、予算や人材が限られる中にあっても、新たな課長の配置をはじめとした職員の増員を行うなど、学びと活動の支援体制を強化するものでございます。

公民館が果たしてきた役割は維持するなかで、その点については、市の法規である条例において施設の目的等を明記するとともに、教育委員会とともに市全体の生涯学習や社会教育の発展に向けて取り組んでまいります。以上

(公共施設マネジメント計画について)
 次に公共施設マネジメント計画についてです。

市は公共施設の量、質、運営コスト等の最適化をめざし、公共施設マネジメント基本方針を策定し、今後35年間で床面積30%以上を削減する数値目標を含めた3つの方針、圧縮と再編、予防保全による長寿命化、効率的・効果的運営を定めています。
 本市が職員を派遣して地域振興体制について学んでいる長野県飯田市ではどうでしょうか。飯田市には825の公共施設があり、6割が築30年以上を経過し老朽化が問題となっています。その様な中で、2015年に公共施設マネジメント基本方針を策定しました。そして飯田市の方針では、あえて公共施設の廃止等の数値目標、人口推計は出していません。
特徴は地域ごとの下からの計画づくりです。公共施設を全市施設と地域施設に分類し、目的別検討会、地域別検討会で、施設のデーターを提供し、市民が主体的に継続、長寿命化、廃止、集約、多機能化、民営化などを検討しています。飯田市では施設をどうするかという意思を住民自身に問いかけ、将来を市民自らが考えています。

 

お尋ねします。尼崎市の公共施設マネジメント計画について、施設別あるいは地域別の市民参加の検討会を開いて、施設の方向性を検討すべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

公共施設マネジメント計画に係る取組は、持続可能な財政基盤の確立を目指していくためにも、避けては通れない大変重要な取組であることから、市民・利用者・関係団体の皆様のご理解をいただく中で、着実に取組を進めていくことが重要であると考えています。このような考え方に基づき、第1次尼崎市公共施設マネジメント計画(方針11圧縮と再編の取組)の策定にあたりましては、これまで公募委員による市民会議を計21回開催するとともに、パブリックコメントにおいて約600件のご意見をいただいたほか、市民説明会を6地区で計12回開催し、様々なご意見を伺ってまいりました。したがいまして、ご質問の施設別・地域別の市民参加の検討会を実施する考えはございませんが、引き続き、皆様のご意見を踏まえて具体的な検討を行っているところであり、内容がまとまり次第、市民・利用者の皆様への説明会を開催し、改めてご意見を伺ってまいります。以上

(さらなるアウトソーシングについて)

 アウトソーシングについてです。

市は、行政ニーズの拡大・多様化に対する人的資源を確保するため、業務執行体制の見直しに向けた方向性をとりまとめてきました。そして、これまで市営住宅管理、学校給食調理、北図書館運営、南部下水処理場管理など様々な業務をアウトソーシング、民間委託してきました。

昨年1月からは、戸籍や住民票発行などを行う、市民課窓口業務まで民間企業パソナに委託しています。さらに市は全庁的に民間委託をすすめるための業務の洗い出し、業務プロセス分析を行ってきました。この分析をもとに、昨年12月に、市の業務執行体制の見直しに向けた今後の方向性が報告され、民間委託による見直しは93業務にのぼることになります。原則、単純労務業務、現業部門は、すべて民間委託するとしており、市民サービスに直結するところばかりとなっています。
市民課の職員OBが自ら申請に市民課窓口に出向いた感想として、以前は窓口が混雑している時は,機をみて応援して対応した。現在はこの様なことがなされていない。申請によっては短時間で対応できたものが、一律に待たされる状況が起こっている。原因は細かく業務が分担されている結果、総合的な対応ができなくなって、サービスの低下につながっている」と語っています。市民課窓口を請け負っているパソナは、絶えずチラシを新聞に折り込み人材募集を繰り返しています。またパソナから市に委託料の増額まで要求されています。

 

お尋ねします。市民課窓口への民間委託が2年経過したもとで、窓口業務について第3者委員会などで検証すべきではないかと考えます、市長の見解をお聞かせください。

答弁

業務のアウトソーシングにつきましては、業務手法の見直しを行うことで、効率化を図るとともに、民間事業者等の専門性を活用し、それによって生み出された人員を、今後、行政の役割が増えることが予想される分野へ重点的に配置していこうとするものです。委託業務におけるモニタリングと、検証を踏まえた改善の取組を進めていくことは大変重要だと考えており、より効果的かつ効率的な行政サービスの提供に努める観点から、まずは所管局による検証作業を進めてまいります。以上

 

(徳田)さらなるアウトソーシングの中では、会計年度任用職員の任用範囲の拡大に向けた検討を行うとなっています。
昨年地方公務員法の一部が改正され、正規職員を原則とする地方公務員に、1年任用の会計年度任用職員制度が導入されました。市はこれによって、嘱託、アルバイト、臨時職員を会計年度任用職員へ移すとしています。これは非正規職員を制度化するものであります。

これまで嘱託や臨時職員に認められていなかった期末手当の支給が可能となる良い面もありますが、期間1年の非正規雇用の拡大を合法とするものとなっています。

そして市は2020年実施をめざして整備を進めています。

現在、市職員の3割が嘱託やアルバイト、臨時職員の非正規雇用です。この会計年度任用職員制度の導入が非正規雇用をさらに広げていくものとなっていきます。

 

 そこでお尋ねします。会計年度任用職員の制度によって、市職員が低賃金の非正規雇用に置き換えられることはありませんか、また現在の職員の処遇の低下につながっていくことになりませんか、見解をお答えください。

答弁

今般の地方公務員法等の改正による会計年度任用職員の導入につきましては、

これまで不明確な部分もあった臨時・非常勤職員制度の任用根拠や勤務条件を整備するものでございます。本市におきましてもそうした改正趣旨を踏まえて適正に対応してまいりますことから、現在の職員の処遇低下に繋がるようなことはないものと考えております。また、業務執行体制の見直しにおいては、民間事業者等が専門性を有する分野ではアウトソーシングを推進するとともに、アウトソーシングが馴染まないような分野についても、業務内容をしっかりと精査した上で会計年度任用職員の任用範囲を拡大し、生み出された人員を専門分野に配置していくことによって、より総合力を発揮できる役所づくりを進めてまいります。以上

(災害対策について)
 次に災害対策についてお聞きします。

昨年7月の九州北部豪雨など近年、想定外の災害が相次いでいます。その様な中で、国は河川等の洪水対策として、過去最大規模の雨量を想定した洪水浸水想定に変更しました。すでに猪名川・藻川の浸水想定が見直され、それに基づいた避難訓練もはじまっています。
 また県も武庫川の洪水による浸水想定を見直します。そして市は新しい浸水想定による洪水ハザードマップを作製するとしています。
 また南海トラフ地震も、発生確率が今後30年間で80%に引き上げられました。
市は、これまでハザードマップを入れた防災ブックを全世帯へ配布して防災意識の醸成に努力されてきました。

 

 そこでお尋ねします。改定されるハザードマップの入った、防災ブックを再度、全世帯に配布して防災意識の向上を図るべきと考えますがいかがでしょうか。

答弁

ハザードマップにつきましては、水防法の改正に伴い、国・県において、順次、洪水や高潮の浸水想定の見直し等が行われていることから、それらの進捗に合わせて、本市も順次、改訂作業を進めているところです。お尋ねのハザードマップの入った防災ブックの再配布につきましては、各種のハザードマップの改訂時期と調整を図りつつ、新たな手法等も含め、検討してまいりたいと考えております。なお、それまでの間の対応としましては、既に国において公表されている猪名川・藻川の新たな浸水想定に基づくハザードマップが、年度末に完成することから、速やかにホームページで公表するとともに、様々な機会を捉えまして、積極的に周知して参りたいと考えております。以上

(徳田) 市は避難行動要援護者名簿を作成してきました。これまで5万人の方が関係者への名簿情報の提供に同意されています。これらの方の名簿情報は関係機関に提供され、この避難行動要援護者も参加した災害避難訓練も一部の地域で始まっています。
 また災害時に市民が学校等の指定避難所へ避難された後、入院などの必要があるほどではないが、指定避難場所での生活に支障をきたす方の為に,2次的に避難する福祉避難所が設置されます。これまで市内の特別養護老人ホームなど22カ所が福祉避難所として指定されました。市はさらに福祉避難所の拡充に向けて、福祉施設を中心として協力を求められています。
 現在、福祉施設・病院などで災害発生時であっても、きちんと福祉サービスなどを提供し、利用者や地域住民の生活を守っていくために、BCP(事業継続計画)の策定が始まっています。災害発生直後を想定した防災マニュアルや避難マニュアルを用意し、周到に避難訓練等を行って、いかに継続して福祉・医療サービスを提供していこうとする計画です。

 そこでお尋ねします。このBCP(事業継続計画)の策定とそれによる避難訓練を行う福祉・介護事業所などを増やしていくために市が積極的に取り組み、福祉避難所の拡充に寄与して行きべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

BCPとは、災害や事故等の非常時において、被害を最小限に抑え、事業の継続や早期復旧を図るための計画です。このため、事業所が実施する防災訓練等への支援や、BCPの作成方法等を紹介する事業所向けの防災セミナー開催するなど、事業所の防災の取り組みについても支援しているところです。
BCPの作成が福祉避難所の拡充に結び付くかどうかはあきらかではございませんが、要援護者の生活を支える福祉・介護事業所自身がBCPを作成することは、災害時要援護者支援体制の構築において重要なことだと考えておりますことから、事業者に対し周知し支援してまいります。こうした取り組みを今後も進め、福祉避難所の拡充も含めた災害時要援護者への支援体制の充実に努めてまいります。以上

 

PPP/PFI事業について)
 

次に、PPP/PFI事業についてです。

市はこれまで、時友住宅などの市営住宅の建て替えなどで民間の資金を活用するPFI方式を採用しています。
また本市は先月、国からの要請で、PPP/PFIの導入検討方針を策定しました。一定規模の公共施設の整備に当たって、民間の資金や技術力などを活用し、良質な公共サービスを提供するPPP/PFI手法を採用について検討するようにしています。
 ところが、有識者の話では、この方式は、選ばれた民間業者が完成後の維持管理のコストなどを考慮に入れた、基本設計、実施設計、施工を行うので、工程の調整や時間短縮ができるとされている面があるものの、その一方で、これまでの分離分割発注方式に比べて、事業費が高くなる場合もあります。また分離分割発注方式の方が、工事を細分化して発注するため、中小企業の受注機会が増え、地域経済へ寄与することになるとも述べられています。

 

 そこでお尋ねします。PPP/PFI事業手法による方がコストが安くなったとしても、地域経済へ貢献する分離分割発注を優先して検討すべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

答弁

「PPP・PFI手法」につきましては、公共施設の建設や維持管理、運営等について、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行うことにより、事業のコスト削減や質の高いサービスの提供が期待できる手法です。こうしたことから、厳しい財政状況にある本市においては、一定規模以上の公共施設の整備等を効率的かつ効果的に行っていくことを目的に、国からの策定要請も踏まえ、平成30年1月に「PPP・PFI手法導入優先的検討方針」を策定したところです。「PPP・PFI手法」の導入にあたりましては、事業の性質を勘案したうえで、従来の手法とのコスト比較をはじめとした総合的な評価を行い、効率的かつ効果的な取組であるかについて、検証したうえで選択することとしています。お尋ねのありました地域経済に貢献する取組につきましては、「PPP・PFI手法」を採用する場合においても、「公共調達基本条例」の趣旨を踏まえ、契約金額の一定割合以上を市内事業者に発注することや、構成企業に市内事業者を加えることを条件にするなど、市内事業者の受注機会の確保を図ることとしてまいります。以上

(市民意見聴取プロセスについて)

 さて、多くの市民から、市政が見えないという意見をよく聞きます。市民に開かれた市政になっているのか疑問を持たざるを得ません。
市は、基本的な計画や方針を定める条例、主要な施策などを立案する場合、熟度の低い段階から、その趣旨、目的、立案にかかる考え方など必要な資料を添えて市民に公表、また市民説明会を開くことなどで意見を求めています。これは市の意思形成の段階で意見を述べる機会の少なかった市民に、意見を求めて市政への参画を確保することとなっています。
 しかし、この機能が十分に発揮されているのか疑問です。武庫地域の市民から武庫支所で申請手続きができなくなっていることを知らなかったとの声がたくさん寄せられました。公共施設マネジメントによる立花公民館の機能移転について、利用登録団体の41%は計画を知らなかったとのアンケート報告もあります。中学校給食の市民意見募集、パブリックコメントでも市民からの意見が反映されないとの声がたくさん上がっています。
昨年の法人保育園児童検診助成廃止の提案では法人保育園会や医師会から「聞いていなかった」と言われました。社会福祉法人の借地料減免見直しでも、関係者に知らされないままで減免見直しが発表されました。
このことはいずれも市の計画の説明が十分でなく、説明会などを通じて市民の意向を聴取し、施策の検討に活かす、市民意見聴取プロセスの機能が十分に発揮されず、形骸化していると感じざるをえません。

 

 そこでお尋ねします。政策立案にあたっては、わかりやすい資料を作成し、説明会を丁寧に開催し、意見には謙虚に耳を傾けて、市民からの意見を積極的に取り入れる姿勢が必要なのではないでしょうか。市長の見解をお聞かせください。

第2問を終わります。

答弁

行政としての説明責任を果たし、透明で開かれた市政運営を目指すことは、大変重要なことであると考えています。そのため、熟度の低い段階から、市民等の声を施策等に反映させる仕組みとして、市民意見聴取プロセス制度の運用に取り組んでいるほか、事業実施の段階においては、様々な機会を通じて、説明会や市政出前講座などを実施しています。個々に事情を抱えている場合もありますが、その事業の必要性等を、市民の皆様にご理解を得られるよう、引き続き、丁寧な説明に努めてまいります。以上

 

第3登檀
 

答弁をいただきました。3問は要望に留めておきます。 

 

公民館はきちんと社会教育法のもとで、運営していくべきと考えます。 飯田市に学んでいるのであれば、飯田市の公民館活動や公共施設マネジメント計画の考え方について、もっと率直に学んで欲しいと思います。
 市長は、施政方針で、本市の将来負担率は、着実に改善してきているものの、なお類似都市平均の5.6倍という、たいへん厳しい水準になるとして、今後の財政運営における最大の課題は、将来の負担管理である、今後とも適切な将来負担の管理を行い、収支均衡の継続に向けた道筋をつけるとともに、市民サービスの維持・向上のための財源を生み出す、未来につなぐ財政運営を推進していくと述べられています。
 また「計画はつくるのではなく、使うことに意味があるという理念のもと、施策評価を実施してきた」とも述べられました。私は、市民に喜ばれる制度を作ってこそ、市長のお考えが活きてくるのではないでしょうか。
 私は、将来の負担管理も大切ですが、市長が、よりいっそう市民目線に立って市政運営をすすめられることを強く要望して、私のすべての質疑を終わります。
残余の質疑は、会派議員が分科会、総括質疑で行います。

ご清聴ありがとうございました。

2018.2月議会・常任委員会付託議案に対する松沢ちづる議員の反対討論です

 日本共産党議員団の松澤千鶴です。議員団を代表して、議案第16・26・28・29号について反対討論を行います。
 まず議案第16号補正予算案ですが、債務負担行為の教育費は1ヵ所の給食センター建設を前提とした中学校給食準備事業です。しかも実施は、計画では4年3か月先、場合によっては更に先延ばしになるかもしれないというものです。小学校と同じようにおいしくて安全な給食を、一刻も早く実施してほしいという市民の長年の願いに心をくだいたものとなっていません。よって、認めることはできません。他市の取組みに学べば、自校・親子・兄弟方式などを駆使して、もっと早く中学校給食は実現できていくと私たちは考えます。
 次に、議案第26号は市税収入率の向上への対応として、職員4人増をあげていますが、徴税強化につながる危険性があります。
次に、これまでの「尼崎市税外収入金の督促及び滞納処分に関する条例」では「滞納処分に着手する」となっていますが、第28号債権管理条例では「滞納処分に着手しなければならない」と義務規定に変わります。市民が苦しい生活の中で納めきれなかった場合に、滞納処分が強行される恐れがあります。
先日も、国保料の滞納について市民から重い苦情の声をお聞きしました。40歳の彼は、失業し3月末に失業給付がおりるまで所持金はほぼ「0」。食事は1日1回にし、家賃と食費はキャッシュカードの翌月払いで何とか乗り切りたい。2月から通っている職業訓練校でスキルアップして再就職をしたいと考えている。国保課でこうした実情をちゃんと伝えたのに、数日後督促状が届き、再度電話で訴えたけれど、市は「払ってもらわなければならない」と言うばかりだったようです。彼は「払わないとは言っていない。でも、今は無理なんだ。市民が生活再建するためにもがき苦しんでいる実情を理解しようとしない市の対応に絶望した」と話しています。納付・納税は市民の義務ですが、そこには市政への信頼が前提として横たわっています。滞納処分を義務規定にするこの議案は、市民と市政の信頼関係をも壊す危険性があります。
次に、議案第29号は市職員の退職手当を引き下げるものです。2014年に約400万円、続いて今回約78万円引き下げです。市職員の生涯設計に大きな影響を及ぼす一方的な変更で、認められません。
以上の理由から、議案第16・26・28・29号に反対します。よろしくご賛同ください。

2017.12月議会で6議案に反対し、松沢ちづる議員が反対討論をしました

 12月議会が12月25日(月)に終了しました。日本共産党議員団は24議案に賛成、6議案に反対し、松沢ちづる議員が反対討論をしました。

 日本共産党議員団の松沢ちづるです。議案第89号・91号・94号・104号・111号・114号について反対討論を行います。議案第94号は、琴ノ浦高校学校給食事業者の選定委員会を設置する条例ですが、学校給食は教育の一環として行われるものです。生徒の健康を第一に、安全安心を提供するためには、民間委託ではなく身分が安定し市民への奉仕を基本とする公務員が業務にあたるべきです。議案第91号は、特別会計母子父子寡婦福祉資金貸付事業について、マイナンバー制度に係るシステム改修を行うための補正予算です。党議員団は、従来から情報漏えいやなりすまし詐欺被害の恐れがあるマイナンバー制度は実施の中止を求めています。議案第89号平成29年度一般会計補正予算は、歳入・歳出においてマイナンバー制度に係るものがふくまれていることから、議案第91号同様に認められません。債務負担行為の変更では、わかば西小学校の給食調理業務委託が上がっていますが、議案第94号同様に民間委託は認められません。また、小田支所の施設整備事業も上がっていますが、党議員団は支所と地区会館の合築によって、地域福祉・地域保健が合築施設から無くなることは市民サービスの低下を引き起こすと考えているので、認められません。議案第111号は、議員報酬の引き上げを行うための条例改正です。議案第114号は、条例改正によって議員報酬が引き上げとなる補正予算が含まれています。党議員団は、市民のくらしが厳しい状況での増額は、市民感情からみて納得できないと考えます。

 最後に、議案第104号後期まちづくり基本計画の策定について述べます。尼崎市では、過去のまちづくりにおいて過大な公共投資や大型開発などで多額の市債を発行したことが、今日の市財政の圧迫を招いています。前期計画(2013年~17年)の5年間で30億円を超える構造改善を行ったとしていますが、その陰で、他市と比較して、市民サービスの格差が広がりました。子どもの医療費の完全無料化や中学校給食が実現していない、高すぎる国保料や保育料に悲鳴が上がっている、保育所や児童ホームの待機児童問題、特別養護老人ホームの待機者問題など、市民生活が犠牲になってきました。過去の過ちの付けを、市民に押し付けることは許されません。後期まちづくり計画(2018年~22年)では、さらに15億円の構造改善を進めようとしています。そのためには、「自治のまちづくり」と言いながら、公共施設マネジメント計画によって、市民の社会教育の拠点となっている公民館に「機能移転」や指定管理制度を持ち込もうとしています。また、高齢者の居場所として多くの市民が利用されている老人福祉センターの廃止も進めようとしています。市民からは、「地域で自らやれといわれても身近な活動の場がなくなる!」と批判の声があがっています。また、更なるアウトソーシングによって、市民の日常生活を守り、被災時には早期の復旧の要となる北部浄化センターやゴミ回収業務の民間委託、市民生活に寄りそって相談を受けるべき国保や福祉医療などの窓口業務の民間委託などを進めようとしています。財政については、社会経済情勢の変化にも対応できる持続可能で弾力ある財政構造を構築するためには、標準財政規模の概ね10%は財政調整基金に積むことが目標だといいます。将来負担率が他市に比較して高率だということがことさらに強調され、市債償還が急がれている感があります。もっと緩やかな財政運営でいいのではないですか。地方自治体が本来やるべきは、憲法25条にうたわれている健康で文化的な最低限度の生活の保障はもちろんのこと、安全安心で持続可能な発展を続けるまちづくりです。そのために、党議員団はいくつかの計画の見直しを求めます。第1に、子育て施策です。子どもの医療費の完全無料化、保育料の引き下げ、保育所・児童ホームの待機児解消、少人数学級の中3までの拡充、中学校給食は自校+親子方式で早期実施を進め、安心の子育てができる尼崎にしてこそ、子育て世代・現役世代の定住・転入は促進されます。第2に、元気に長生きできるまちづくりです。尼崎は低所得で単身の高齢者や障がいをお持ちの方が多い街です。今後もその傾向は続きます。障がい者(児)移動支援事業の拡充、特養建設の促進、介護予防・日常生活支援総合事業や介護保険サービスの充実、介護保険料・国保料の引き下げなどが必要です。国は、自立・自助、家族や地域の助け合いを進め公の負担を削減する方向ですが、これでは元気で長生きできるまちづくりはできません。しっかりと尼崎の実情に合った施策の展開が必要です。第3に、小規模事業者に重点を置いた地域経済の活性化です。住宅店舗リフォーム助成制度の創設、市の事業はPFI方式ではなく分離分割発注で行うなど、市内事業者の仕事を増やす市内地域循環型経済を確立してこそ、事業者のふところが温まり確かな市税収入の増につながります。これらはすべて、これまで市民が切に要望してきたものばかりですが、本計画には重点施策として取り上げられていません。また、本計画では、市民生活全般にわたって直接市民の声を聞き施策の改善や充実につなげる役割のある市職員なのに、「高度な専門性を有する業務に集中していく必要がある」として、相談窓口業務や現業業務から外されていきます。これでは、ますます市民から市役所が遠くなってしまいます。後期まちづくり計画の策定にあたって、今一度地方自治体の役割を見つめ直すべきです。出発は市民生活の現状、目標は市民生活の安定、安全安心のまちづくりのはずです。この点で、本計画案は市民の願いに寄り添わない側面があり、見直しを求めます。以上の理由から、議案第89・91・94・104・111・114号は反対します。これで、日本共産党議員団の反対討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。