2018.3月議会予算特別委員会・川崎としみ議員が行った総括質疑の発言と当局答弁です。

 

総括質疑の発言と当局答弁概要

こんにちは、日本共産党議員団は、川崎敏美、こむらじゅん、真崎一子の順で予算委員会総括質疑を行います。よろしくお願いします。

 

それではまず、(国民健康保険について)からはじめます。

国民健康保険の運営主体が県へ移行しても、財政健全化繰り入れ金4億円は継続すべきだとの代表質疑に対して、市長は市は繰り入れを行わないと答弁されました。その理由として第1に国が自治体の繰り入れを全国的に解消しようとしている、第2に県の算定では国保料が従前より低くなるから、としています。
国は、自治体の国保会計の繰り入れを認めていますので、国を忖度する必要はなく、第1の理由は根拠になりません。第2の理由も、市民はこれまで県下でも、同一所得でみると、最高額に近い高すぎる国保料を払ってきました。次年度より平均で約15.000円下がるからこれで良しとは言えない市民の厳しい生活実態があります。ここでも本市の厳しい財政状況を持ち出して、繰り入れを中止することは、市民のくらしよりも財政再建かと市民にがっかり感を蔓延させるのではないでしょうか?
2016年決算で、国民健康保険料は予算額104億9100万に対して、収入済額は105億7900万円、収入未済額44億700万円あります。つまりは約40%の国保加入者が保険料を払えていないという実態がしめされています。国保料が高すぎて払えないということになっているのではありませんか。

お尋ねします。これまで通りの国保会計への繰り入れを継続して、さらに4.000円を引き下げて19.000円を超える国保料の引き下げをめざす考えはありませんか?

答弁
財政健全化の4億円の繰入金は、国民健康保険制度改革に際して、国が約3,400億円の財政支援等を実施することにより、全国的に解消するよう位置付けている決算補填等を目的とする一般会計からの繰入れに該当するものでございます。国は、こうした繰入金の削減・解消に当たっては、被保険者の負担水準に激変が生じないように検討することとしておりますが、県の国民健康保険事業費納付金等の算定結果に基づきますと、本市の平成30年度の保険料は、財政健全化のための繰入れを行わなくとも、制度改革の効果によって、現行より引き下がることとなっております。

こうしたことから、本市におきましては、国の財政支援や都道府県単位化の効果もあり、本市の厳しい財政状況も勘案したうえで、当該繰入を見直すこととしたものでございます。

一方で、本市の被保険者の所得状況等を鑑みる中で本市独自で実施している「多人数世帯等の保険料の負担軽減を図る特別減免」につきましては、多人数世帯や低所得となっている被保険者世帯の負担軽減と保険料抑制に寄与するとともに、保険料収納率向上の点からも効果が認められるものであることから、厳しい財政状況の中ではありますが当面継続することとしております。以上

 (川崎)市は国保料収納率向上対策の強化を主要事業に挙げています。
 代表質疑で、10万円以下の少額の差し押さえ、また年金、給与等の差し押さえはやめるべきだと、さらに予算委員会分科会でも質問しました。市は丁寧な納付相談を行うとしながらも、法の規定に基づき、差し押さえを進めるとしています。
 国税徴収法第153条では、「滞納処分を執行することによってその生活が著しく窮迫される恐れがあるときは、滞納処分の執行を停止することができる」となっております。
窓口でていねいな納付相談とは言えない実態、怖くて二度と相談にはけないと思える対応があるとのことを市民からお聞きしています。

お尋ねします。生存権を保障する憲法第25条や、財産権を保障する憲法29条に基づいて、市民の生活を保障することができないような、徴収強化を行ってはなりません。

また窓口対応についても、改めるべきです。

これらの点について市の見解を求めます。

答弁

国保事業を安定的かつ継続的に運営していくためには、医療費の適正化とともに、収納率の向上対策は不可欠でございます。国保料の徴収にあたりましては、減免等を適用しても、なお生活に支障が生じるといった方に対して、丁寧な納付相談を行う中で、個別事情等を考慮しながら、滞納額が今以上に増加しないよう、分納の取扱いを行っておりますが、滞納が発生した場合には、国税徴収法に基づく財産調査を実施しております。これまで、原則として滞納額10万円以上の世帯に対して滞納整理を実施してまいりましたが、来年度からは、納付相談がない無関心世帯や、分納誓約をしているものの、約束が不履行となっている世帯等に早期に滞納整理を行い、納付の確保を図っていくものでございます。財産調査の結果、保険料を納付できる資力があるにもかかわらず、ご理解いただけない場合には、法の規定に基づき、給与や年金等に対しても差押えを行いますが、滞納整理にあたりましては、これまでと同様、可能な限り被保険者の生活状況等の個別事情に配慮しながら、計画的な納付を促進していくよう努めてまいります。以上

 (川崎)次に、尼崎市の(公共施設マネジメント計画について)です。

 

代表質疑で、施設別あるいは地域別の市民参加の検討会を開いて、施設の方向性を検討すべきと質問しました。市は、「第1次尼崎市公共施設マネジメント計画の策定については、これまで公募委員による市民会議を計21回開催した、パブリックコメントで約600件、市民説明会を6地区で計12回開催してきた。施設別・地域別の市民参加の検討会を実施する考えはない、今後は内容がまとまり次第、市民・利用者の皆様への説明会を開催し、改めてご意見を伺う」と答弁されました。

お尋ねします。内容がまとまってから、説明会を開くと答弁されていますが、内容がまとまるとは計画を進めていく段階でどのレベルを指しているのでしょうか? 

答弁

第1次尼崎市公共施設マネジメント計画(方針1:圧縮と再編の取組)につきましては、現在、パブリックコメントや市民会議、市民説明会のほか、陳情審査でのご意見などを踏まえて、具体的な内容についての検討を行っているところでございます。本計画では、施設の方向性をお示しする範囲に留まっておりますことから、市民説明会では施設が具体的にどうなるのかといったご意見をいただいているところでございます。こうしたことから、今後は、施設規模、場所、スケジュールなどの具体的な対応策をまとめた実施計画案を策定し、改めて市民説明会でご意見を伺った上で、成案化を図ってまいりたいと考えております。以上

(川崎) これまで市の計画として出されてきたものは、市民が説明会等で意見を言ってもほとんど変わらないというのが、市民の認識となっていると思います。

計画の策定段階から市民の意見を取り入れるといっても、意見募集、パブコメ、説明会で計画が見直されることはほとんどなく、市民合意でつくりだしたと思えるものが印象としてありません。社協連協の役員に説明したことで、意見を聞いた、計画に了解とされてきたと多くの市民が感じています。
代表質疑で飯田市の事例を紹介しました。飯田市では施設をどうするかという意思を住民自身に問いかけ、将来を市民自らが考えています。飯田市の取り組みについて、尼崎も学ぶべきだと思います。
地域のことは地域で取り組み問題解決を図っていくことは、自治のまちづくりをめざす本市にとって大きな課題です。公共施設がなければ市民生活は成り立ちません。公共施設のあり方を市民的に議論するのは、民主主義の根幹であり、行政の責務です。

お尋ねします。公共施設のあり方については、住民に対する情報提供を行い、議論を尽くすことが求められています。議論の経過もしっかりと地域に返していく中で、住民合意で計画策定を行うべきです。制度的な対策を検討されてはいかかでしょうか?

答弁
第1次尼崎市公共施設マネジメント計画(方針11圧縮と再編の取組)につきましては、地域に対する説明会として、各地区2回の説明会を実施した他、陳情が出されました施設につきましては、陳情者の方と直接お会いし、本市としての考え方をお伝えした上で意見交換を行ってまいりました。また、これまでの意見聴取の内容や本市としての考え方につきましては、市のホームページで公開しているところでございます。私どもといたしましては、こうした対応を行っておりますことから、ご提案の制度的な対策を実施する考えはございませんが、今後とも本市としての考え方を十分にお伝えし、公共施設マネジメントの取組について、ご理解いただけるよう努力してまいります。

(川崎) 次に(アウトソーシングについて)です。

2017年1月からパソナに市民課の窓口業務を民間委託して1年以上を経過しました。代表質疑で第3者による検証の必要性を訴えましたが、市は所管局による検証作業を行うとしています。検証によって求められているのは、アウトソーシングを全庁的に進めることで、市民サービスは向上するのか、守秘義務を課せられている公務労働が民間委託されることで、市民の情報管理は適切に行われるのか、役所の機能はより高まるのかということです。そして民間委託、アウトソーシングそのものが適切かの判断が求められています。アウトソーシングを導入する際、これらの検証の実施者は、民間委託を是として進める当局ではなく、第3者でなければなりません。

お尋ねします。現在、進められている「さらなるアウトソーシング」においても、導入は外部のコンサル、検証は内部でというように考えられているのでしょうか?

答弁
今回の業務執行体制の見直しに向けた検討を進めていくにあたりましては、これまでのように一連の業務全体で見直しを行うだけではなく、一連の業務をプロセスごとに細分化し、それぞれのプロセスごとの担い手について、見直しが可能かどうかを分析するといった、本市ではこれまでに実施したことのない、新たな手法で見直しを行うことといたしました。このような新たな手法で見直しを行うにあたっては、一定のノウハウや専門性が必要となること、また、同時に多くの業務の分析を、本市自ら実施するにあたっては、短期間で一度に多くの職員が必要となると判断いたしましたことから、他都市において同様の業務について実績のある、外部のコンサルティング業者に委託する方が効率的と考えたものでございます。

また、委託業務の検証につきましては、議員ご指摘のとおり、第3者において実施するといったことも可能ではございますが、より効果的な検証とするためには、その業務内容について精通している本市において、業務実績報告の精査等を十分に行う中で、直接実施した方が望ましいと判断したものでございます。なお、今後、アウトソーシングに関するPDCAサイクルを確実かつ効率的に回すために、引き続きコンサルティング業者の支援も受けながら、委託業務における成果や課題の検証手法等について検討を進めてまいりますとともに、庁内における支援体制の構築についても、あわせて検討していく予定でございます。こうした取組を進めることで、全庁統一的な事務を取扱うことが可能となり、アウトソーシング導入後も、より効果的かつ効率的な行政サービスの提供ができるものと考えております。以上

(川崎)久々知の市営住宅での火事の件についてお聞きします。

この件は、代表質疑で緑のかけ橋の酒井議員もLSAの問題で取り上げられていましたが、ここでは民間委託の問題をほりさげていくという視点で質疑させていただきます。
火事は、1月6日、土曜日朝方4時半、3連休の初日、久々知の市営住宅で発生しました。市営住宅の火事等の緊急時の対応は、委託先の住宅管理センターがするとされています。住民が午前9時ぐらいから再々連絡するも、地域振興センターの職員は現場に来たが、管理センターの担当者には電話自体がつながらず、ようやく連絡が取れてもすぐに現場には行けないとの返事でした。住宅管理センターでは、緊急時の対応は3人体制ということでしたが、一人は遠方に住んでいる、二人目、三人目は所用ですぐに来れないというのが、その時の対応でした。結局、住民から相談を受けた議員が、都市整備局の職員に連絡を取った結果、管理センターの職員が都市整備の職員とともに到着したのは、14時30分で火事の発生から10時間も経過していました。
尼崎市市営住宅管理業務実施要項には、火災時の対応として、「火災の第一報を受けた時は、その発生日時、被災場所などを速やかに市当局など関係者に報告するとともに、周辺を含めた被災の状況など現地調査を行うほか、被災者の一時収容の必要性があれば自治会長と相談の上、集会室等を使用させ、その結果を当局に報告すること。必要な施錠、侵入および漏水防止など応急措置をすること」とあります。
しかしセンターの職員は、漏電対策を電話で業者に指示することはされたそうですが、その他の対応はあまりされてなかったように住民には映ったようです。住民が求めていたものは、この連休の間、公的支援がどの程度受けられるのか、自分達でしなければならないことは何かを知りたかったということでした。

お尋ねします。委託先の住宅管理センターの緊急時対応はこの市営住宅管理業務実施要項の規定から外れていました。これが直営で公務員であれば、もう少しまともな対応ができていたのではないでしょうか。

答弁
市営住宅における火災時の対応につきましては、指定管理者と締結している年度協定に含まれる「市営住宅管理業務実施要綱」に、速やかに尼崎市への通報や現地調査のほか、侵入や漏水防止等の応急措置をとることが規定されています。今回の火災では、緊急用携帯電話を所持している所長以下3名の職員が、身内の不幸等の事情で速やかに現地へ赴くことができませんでしたが、電気業者に連絡を取り、2次災害を防ぐための停電措置や鎮火後の漏電措置等の指示を行っております。また、鎮火後、入居者の被災状況や建物の被害状況を確認するとともに、被災した建物の応急措置といたしまして、火元住戸の閉鎖、放水による浸水や、煙の侵入等により被害を受けた隣接住戸や廊下の清掃、補修など、「市営住宅管理業務実施要綱」に定める火災時における対応等を実施しております。しかしながら、尼崎市への連絡及び現地調査が速やかに実施されなかったことは問題であったと認識しております。そのため、指定管理者に対して、火災発生の一報を受けた場合には、速やかに尼崎市に連絡を入れることを改めて指示するとともに、夜間休日における緊急時の連絡体制についての見直しを求めたところでございます。今回の経験を踏まえ、今後はより適切な対応ができるよう、努めてまいります。以上

(川崎)93業務のアウトソーシングのさらなる導入によって危機管理対応での公務員の果たす役割が失われる事態となることを危惧します。市は以前の一般質問の答弁で、マニュアルを作成するから大丈夫と言明しました。しかし今年の予算で、このマニュアルも外部のコンサルが関わることになると言われていました。

お尋ねします。危機管理の対応が万全に行えると考えているのでしょうか?
 このアウトソーシング、民間委託には他にも問題点がたくさんあります。

答弁
アウトソーシングの導入によって、本市職員が直接業務を実施しなくなった場合においても、大規模災害の発生や受託者の倒産などといった危機管理事象への対応を行うためには、契約書や仕様書へその対応を明記することに加えて、行政内部における危機管理に係るノウハウの継承といったことが重要であると考えております。こうしたことから、アウトソーシングを推進していくにあたりましては、各課において業務マニュアルを確実に整備いたしますのは勿論のこと、今後、コンサルティング業者の支援を受けて設置を検討していく、庁内の支援体制の中で、統一的なマニュアルの共有化や、契約書や仕様書の作成支援を行うなど、行政内部におけるノウハウの継承に努めることで、危機管理事象へも適切に対応してまいります。以上

 (川崎)市は民間委託によって、余剰となった職員は新たな職場へ配置転換して、人員削減はしないと言っていますが、会計年度任用職員の制度によって、市職員が低賃金の非正規雇用に置き換えられる問題が浮上してきています。

今後5年間の後期まちづくり計画では、15億円の経費削減をうたっており、その最大の効果を期待しているのがこのアウトソーシングです。結局、アウトソーシングの目的は、会計年度任用職員の任用等を活用して、人件費の削減が最大の目的となっているということではありませんか?

答弁

今回のアウトソーシングの推進や会計年度任用職員の任用範囲の拡大を含めた、業務執行体制の見直しに向けた取組につきましては、現在の執行体制を見直すことで生み出される人員を、今後とも行政需要の増加・多様化が見込まれる分野へ重点的に配分することが大きな目的でございます。また、会計年度任用職員の導入につきましても、今般の地方公務員法等の改正によるもので、これまで不明確な部分もあった臨時・非常勤職員制度の任用根拠や勤務条件を整備するものでありますことから、現在の職員の処遇低下に繋がるものではなく、人件費の削減を最大の目的とするといったような取組ではございません。以上

(まとめ)
 これまでアウトソーシングの問題点については、一般質問、委員会等で何度も指摘しましたが、行革の総仕上げ的なものとなっており、市役所の機能が大きく変わり、それによって市民生活の向上、市民サービスが引き上げられるのかと言えば、逆の現象が起こってしまうのではないかと危惧します。
違法な偽装請負、市民の情報管理、職員の技術継承、災害時の対応など危機管理体制、現業職から事務職への転職に対するサポート制度の運用、会計年度任用職員制度の導入、職員の公務に対する意識、スキルの低下、民間の労働者の供給問題等等、これらの様々な問題について、当局の説明に解決策がきちんと示されているとは、到底思われません。
市はより総合力を発揮できる役所づくりと言いますが、やみくもなアウトソーシングの導入は、市民サービスを低下させ、市政の発展には寄与しないものと考えます。よってこの事業の実施の中止を求めて私の総括質疑をおわります。