議案29号反対討論「拙速で市民合意のない市立幼稚園廃園」反対

 

日本共産党議員団の松沢ちづるです。

議員団を代表して、議案第29号に対する反対討論を行います。

教育委員会は2月2日に「就学前教育ビジョン」を策定しました。私たちはビジョンそのものに疑義があります。一つは私立幼稚園への支援策が唐突に出されたことです。発達障害をもつ子どもへの対応は補助金だけが課題なのでしょうか。インクルーシブ教育を公私共同で進めていくための具体的プランの論議が大切なのに、そこが抜けています。また、支援策の財源については、3園を廃止して捻出される人件費が主なものというスクラップ・アンド・ビルドの考え方に徹していて限定的です。

二つ目は3年保育の課題ですが、一時的に園児が増えたとしてもいずれ減少するのは目に見えていると言い切り、やってもいないのに全否定しています。

三つめは、3園の廃止によって市南部地域に市立幼稚園は1園しか残らず、今後残る6園についても定員割れが続けば廃園の方向であり、まさに市立幼稚園をなくしていく計画であることです。

更に、決め方があまりに拙速で十分市民合意を得ていないという問題があります。

策定までの経過を時系列で確認したいと思います。

・2022年2月22日 市立幼稚園あり方検討会(2021年6月22日~22年1月31日計7回の検討)から報告を受け、2022年度中に(仮)就学前教育ビジョンの策定をすることとなりました。しかし素案を公表するのは1年8か月後となり、その間に市立幼稚園が担うべき役割のひとつとして、地域の子育てセンター機能があること、3年保育を望む保護者の声が多数上がっており、実施の必要性についての検討が必要という指摘があったにもかかわらず、それが抜け落ちたビジョンとなりました。

・2023年10月26日 就学前教育ビジョン(素案)についてのパブコメ(11月2日~12月4日)の通知がおこなわれました。文教委員会への説明は11月1日でした。

  (保護者への説明:○月 全9回、市民説明会:11月 全9回)

・2024年1月22日 パブコメの結果報告と共に素案から案へと策定していくと通知

・2024年1月26日 閉会中の文教委員会で、3園廃園による影響への支援策が提示されました。

・2024年2月1日 1月22日と同じものが議員タブレットに掲載され、2月2日教育委員会は「庁内で検討しビジョンを策定した」と公言しました。

この間わずか3か月です。

市民から、存続と共にもっと丁寧に説明・周知すべきと苦言や抗議の声が上がるのは当然のことです。

議会に対しても、パブコメや市民説明会の日程直前の説明となり、広く市民に議員としてお知らせする時間的余裕もありませんでした。議会軽視と言わざるをえません。

また、パブコメには558人から705件の意見、中でもビジョン素案に反対する意見が45%にも達したのに、「庁内で検討後ビジョンは策定した」という教育委員会からの一方的な報告には、当局の市民に寄り添わない高圧的な姿勢が見て取れます。

尼崎市の就学前教育についての基本となる大事な計画が、わずか3か月余りで、それも市民合意が不十分なまま確定されていいものでしょうか。

そして今回、ビジョンが策定されたのだからと言って今議会にビジョンに見合う市立幼稚園の設置および管理に関する条例の一部改正の議案29号が提出されました。

パブコメで市民に提示した内容から数々の変化や訂正があるのに――廃園は1年延期することや新たな支援策、現予算内でしか絵を描かないことなど、市民には全く説明しないまま、市民合意を得ようとしないままのさらなる強引な進め方です。

日本共産党議員団は、こうした経過を見れば、議案29号を採択しようとするのはあまりに

拙速すぎる、まずは白紙に戻して、市民にていねいに説明し合意点を見出す努力をすべきだと考えます。よって、議案第29号の採択には反対です。

議員のみなさんに呼びかけます。

2月28日の文教委員会には大勢の市民が傍聴に来られました。3園の存続を求める署名は2つの団体から合わせて6848筆となり、お二人の陳情者が心を込めて口頭陳述をされました。しかし、その思いは受け止められず、もう決まったこととして対症療法をあれこれ説明する当局の姿に、多くの方が悔し涙を流されました。

廃園を1年延長と決めたのなら、ビジョンは案のままにして、市民と共により良い就学前計画をつくっていく努力をすべきです。その検討時間は十分あるはずです。

ぜひ、みなさんのご理解ご協力をお願いします。議案第29号に反対しましょう。

これで私の反対討論を終わります。

議員団ニュース210号【市立幼稚園をなくさないで】

日本共産党尼崎議員団のニュース210号を発行しました!

市立幼稚園を大きく減らし、そしてまた減らす案は公立の幼稚園の役割を軽視していると思います。公立幼稚園は公立であることに対する意味があります。

地域の就学前教育の水準をけん引し、研究実践を行う役割や、セイフティネットとしての役割、どの子にも豊かな教育をという子どもの権利を具現化する役割など、公立でなければできない役割がたくさんあります。

そもそもインクルーシブ教育(障害児も健常児も共に育ちあう教育)を進めるという民間(私立)ではなかなか出来ないことを公立幼稚園の役割として市が掲げている以上、「定員割れが続けば廃止」などという安易な考えでなくすべきではありません。

 

ニュースを作成した時点では「給食費の値上げ」はほぼ確定的だったのですが、その後、国の臨時交付金が出ることになり、給食費そのものは「値上げ」はするものの2024年度についても今年度と同じく保護者の負担は無しという方向になる、ということです。

ニュースでは子ども関係のことにに加え、11~12月の議会で議員団がおこなった一般質問や反対討論などについても掲載しています。

 

PDFファイルはこちらからどうぞ→ 2024 210号