【雨水貯留管の整備について】
2025年3月に尼崎市総合治水対策基本ガイドラインが策定されました。概要をまとめると、
「国土交通省が、大雨の原因である気候変動に対し提言をまとめ、降雨量の増大に対応して2021 年(流域治水関連法)が改正され、ハード整備の加速化・充実や治水計画の見直し、また流域全体において、国・流域自治体・企業・住民等、あらゆる関係者が協働し、ハード対策・ソフト対策を総動員した「流域治水」への転換が図られています。そのもとで市民、事業者、行政向けに内容の見直しを行い、新たなガイドラインとしてまとめました」とあります。
これまでの治水対策である「河川下水道対策」に加え、流域全体で雨水を一時的に貯留し、又は地下へ浸透させることで、河川、下水道への雨水の集中的な流出の抑制を図る「流域対策」、浸水が発生した場合において被害の軽減を図る「減災対策」を効果的に組み合わせて実施する「総合治水」に取り組むことが重要となっています。
大きく「ながす」「ためる」「そなえる」の三つの対策に分類し計画して総合治水に取り組むということですが、今日は「ながす」機能として整備を進めようとしている武庫分区の雨水貯留管整備計画について、代表質疑でわが会派の川崎議員が質問しました内容を、さらに詳しくお聞きしていきたいと思います。
Q1.そもそも、浸水対策として武庫分区の雨水貯留はどのくらいの容量が実際必要とされているのでしょうか?尼宝線と山手幹線のL字型から、山手幹線だけの直線型にして、貯留容量は変更されたのですか?
答弁要旨
雨水貯留管の整備水準につきましては、10年確率降雨1時間51 .7mmに対して整備することとなり、武庫分区の雨水貯留管の全体の計画としては、約2万㎥(立米)の貯留が必要となります。
武庫分区の2つの工区のうち、山手幹線工区の貯留管(これから整備するもの)必要容量としましては
全体の4分の3となる約1 万5千㎥(立米)となります。
以上
当初、武庫分区の雨水貯留管計画は20,000㎥と説明されていました。(直径2~4m、地下20m)根拠は国の方針に則り、計画確率降雨を6年確率の46.8ミリから10年確率の51.7ミリに引き上げた差+5ミリ分という説明でした。尼宝線地下の南北に引く管は、武庫地域の幹線(武庫H,F,E,I,)から雨水を引き込むとしていて距離も長かったが、それは作らず容量が20,000㎥以下(15,000㎥)に減る…なぜ減らせたのか?単純に疑問です。
その残りの5,000㎥の雨水はどのように処理するのでしょうか?以前は「20,000㎥の貯留能力が必要だ」というのが、当局が計画の必要性を主張する論点だったと、私は記憶しています。
Q2.武庫分区の貯留管計画を変更した理由と、変更した内容について簡潔にお答えください。
答弁要旨
近年の社会経済情勢の影響を受け、人件費や物価が高騰する中で、当初の武庫分区雨水貯留管整備計画では、費用対効果の観点から国の補助採択要件を満たせないことが令和5年度に明らかとなったため、事業費を削減した整備計画に見直し、校区を2つに分割して、早期に浸水対策の事業効果が発現できる山手幹線工区から事業着手していくことといたしました。
一方の尼崎宝塚線工区につきましては、山手感染工区を整備後、社会経済情勢や周辺地域の浸水状況等を踏まえ、改めて事業効果を分析・評価し、事業手法を検討していく考えでございます。以上
Q3.当初計画の予算額と、計画変更後の予算額は変わりますか?
総額は国庫補助と市財半々で100億円の事業と聞いていました。現在の総額見込みはいくらですか?工事期間は最短見込みで何年ですか?
答弁要旨
当初計画から変更した理由等は、先にご答弁したとおりですが、当初の武庫分区雨水貯留管整備計画( L 字の計画)の事業費は約100億円に対し、人件費や物価が高騰する中で、約150億円を超える額となることが判明し、工区を2つに分割し、山手幹線工区から事業着手する計画に見直しました。
現時点においては山手幹線工区の設計等もこれからであることから、大まかな概算となりますが、山手幹線工区の事業費としましては、物価高騰等も見込まなければならないが現段階では約100億円、工事期間としては7年程度を見込んでおります。
今後、関係機関等との協議を踏まえ、設計等、進めていく中で事業費や工区について検討してまいります。
以上
物価の高騰で資材や人件費もあがっているので、当然、総額も増えていくことになると思います。ちなみに工事期間については、当初計画では、発進立坑と到達立坑、2か所の公園に穴を掘る計画だったこともあり7年半でした。
こうした金額や工期についても、そもそものところで、市民に必要性をじゅうぶん理解してもらわなければ進まない話ではないでしょうか。
総合治水ガイドラインの見直しで、流域治水の考え方が大きく変わってきました。市民に理解を得ながらあらゆる方法で雨水を貯める、活用する、そして計画的に流すことがさらに求められていきます。以前は総合的に見て現実的ではないと当局が言っていた校庭貯留や各家庭で雨水を貯める雨水槽の普及などがガイドラインに盛り込まれたことは画期的です。
Q4. 雨水貯留管の計画を進めるのであれば、計画変更の内容説明だけでなく、浸水の危険性と防ぐための有効性など、市民にその都度丁寧な説明を常におこなう、また市民とともに考える場をもってこそ、市民と協働した「流域治水」となるのではないでしょうか?
答弁要旨
これまでから、雨水貯留管整備事業を進める中で、浸水対策等の必要性について、市民の皆様の理解を深め、考えていただく場として、地域団体等への説明や出前講座のほか、また直近では本市2月にも市民説明会を実施してきたところでございます。
今後につきましても、雨水貯留管の必要性や被害を軽減する効果について、市民の皆様にご理解いただけるよう、機会をとらえて場を設け、引き続き丁寧な説明に努めることで、市民の皆様と協働した取組として事業を進めてまいりたいと考えております。以上
ガイドライン全体から伝わってくるのは、市民が主体的に「自分たちのまちはどういう特徴があり、どんな対策が必要なのか?」という事をともに作っていこうという観点がみられず、「行政がつくった計画通りに一方的に役割を与えられ、協力する市民像」として市民をとらえられている点です。これが当初の計画からずっと感じてきたことであり、今も転換されていないところだと思います。町会長、農会の了解にとどまらず、地域住民との合意形成に努めることを要望します。
【子ども一人ひとりに寄り添った教育のあり方について】
今年度の2学期から学級崩壊状態になった、ある学年の保護者の方々から「子どもたちが毎日、学校に行きたくないと言うのを、なんとか登校させている」「子どもたちが落ち着いて勉強できる環境に改善してほしい」と切実な相談を受けました。保護者の皆さんは学校からの要請で授業の見守りにも足を運びましたが、状況は改善せず、11月下旬、保護者有志は複数人で学校長、本市教育委員会あてに要望書を提出されました。子どもたちの中には、不登校になる、転校する子も出ています。
また私も、12月末には保護者の方々と懇談、また学校長とも面談させていただき、2月には共産党議員団で教育委員会とも懇談の機会をもっていただきました。
こうして各方面から聞き取った中から、課題と感じたことを申し上げると、コロナパンデミック後、家庭訪問は希望者にはおこなうが、それ以外はポストインのみ、学級懇談会は年に一回程度など、保護者と学校や担任が顔を合わせて、子どもたちの様子について話をする機会がコロナ前に比べて極端に少なくなっている、ということです。どこの学校でも、PTA活動も縮小し、元には戻っていないところが大半ではないでしょうか。
また、保護者からは「子どもたちと学級担任がじっくりと話をする機会が少ない」ともお聞きしました。一番深刻な状況になっているクラスでは、2学期以降、騒いだりルールを守らない子どもがいても、先生は授業を止めることなく、淡々と授業を進めるばかりだそうです。もちろん、支援員も入っておられて、担任の先生は授業を中断させないことに注力する、という役割を果たそうとしていることは、大人には理解できます。
騒ぐ子の対応はもちろん必要ですが、騒がずに、そして我慢して学校に来ている子どもが、本当は担任の先生にいろいろ言いたいことや聞いてほしいことがある、そんな気持ちを打ち明ける隙が、いま無い、「先生は私の話を聞いてくれない」と子どもが感じているということが問題ではないでしょうか。これは、「子どもの権利が保障できていない」状態であると重く受け止めなければいけません。
先日の文教予算分科会では、委員からの発言で「あまっ子ステップアップ調査の影響で、テストまでに、この範囲まで授業を済ませておくように』など授業の進め方を制限される」という事が指摘されました。教員が、学級や子どもたちの様子を見て授業の塩梅をきめる余裕がないほど、学力調査等で教員の働き方が多忙になっていることによって、「子ども達に寄りそう教育」を現場から奪ってしまっていないでしょうか。
また保護者も共働きが増え、さらにコロナの影響で学校行事や節目、PTA活動などで学校に関わる時間や条件が減っていることも、学校運営にとって影響が出てきているのではないでしょうか。
もう一つ、学力向上を追い求め導入された「帯学習」は、わずかなスキマ時間にも小テストや小学習をおこなうものです。これにより、担任と児童生徒、また子ども同志がコミュニケーションをとる「ゆとり」や、気持ちの切り替えをおこなう「息抜き」を奪ってはいないでしょうか。
Q5.学力至上主義的な、全国学力テストや、あまっ子ステップアップ調査などの学力テスト、また帯学習よりも、学校や教員が子どもや保護者と顔を突き合わせて、とことん話す機会を増やすべきではありませんか?
答弁要旨
あまっ子ステップ・アップ調査や全国学力・学習状況調査は、児童生徒の学力や学習状況を客観的に把握し、個に応じた指導の充実や学習状況の改善を図るための取組であり、各学校の教員もweb分析システムを活用し、必要に応じて調査結果を参照しながら指導に役立てているところでございます。
なお、これらの学力調査では、学力調査とあわせて生活実態調査を実施しており、学習意欲や生活習慣、子どもたちの心の状態についても把握するなど、テストの点数のみを追い求めるものではなく、寄り添った指導につなげるための調査でございます。
また、帯学習につきましても、基礎的。基本的な学力の定着を図る上で重要な取組であると認識しております。一方で、議員ご指摘のとおり、これらの取り組みのみで子どもたち一人ひとりの成長を十分に支えることは難しく、児童生徒の生活面や心の状況も含めた丁寧な把握と支援が重要であると考えております。
教育委員会といたしましては、学力向上の取組と子どもに寄り添う教育は相反するものではなく、一人ひとりの状況を的確に把握することが、寄り添った教育の基盤になるものと考えております。教育DX化等の推進により教職員が子どもと向き合う時間の確保を図るとともに、学校運営協議会の活動等を通じて、学校と家庭・地域が連携した教育活動の充実に向けた取組を進めてまいります。以上
Q6.コロナパンデミック以降の、学校と保護者の関係性、および子どもとのコミュニケーションについて教育委員会はその変化をどう捉えていますか?コロナ禍で失ったもの、ポストコロナに取り組むべき課題について、教育委員会は議論や検証をおこないましたか?
答弁要旨
コロナ禍において、様々な行動制限が行われたことなどにより、教育活動における対面でのコミュニケーションにおける子どもの様子について、 保護者のお声、様々な調査結果等から、課題があることを認識しています。
令和5年5月にコロナが第5類感染症となった後の教育活動等については、単にコロナ禍前の取組に戻すのではなく、コロナ禍で工夫した取組や児童生徒の体験不足等を加味しながら、各学校の実情に応じた対応を進めております。その際には、保護者や地域の皆様のご意見もお聞きしながら、顔の見える関係を大切にして、学校行事やPTA活動等を進めているところです。また、各学校園におきましては、学校行事やオープンスクールの際の保護者アンケートや学校評価で意見聴取を行うとともに、その結果を公表し、学校と保護者、地域と成果や課題を共有し、行事等の実施方法等を検討しております。教育委員会といたしましては、コロナ禍の影響に特化した検証は行っておりませんが、各学校の学校評価の報告や学校運営協議会の委員の方々からいただくご意見等を通じて、学校の状況の把握に努めているところです。今後も教員の働き方改革や教育DX化の推進などにより、教員が児童生徒と向き合う時間を確保し、制限された環境下で学んできた子どもたちに対し、対人関係を構築し、協調性や社会性を養う機会の確保を行うとともに、教員と児童生徒との信頼関係、学校と保護者との関係性の向上や信頼ある学校づくりを支援してまいります。 以上
【学校と地域の連携(コミュニティスクールの機能強化)について】
子育て世代の転入、定住の促進を掲げる本市は、新年度から子育て政策として、児童相談所の設立や、不登校対策のフラッグシップとなる学びの多様化学校の開校を予定しています。
不登校児童生徒に対する多様な居場所づくりや、支援体制の充実はとても大切なことですが、やはりそれは対処療法にすぎません。学校現場で、教員が不足している、子どもに十分向き合えていない、学級運営がままならない、そういう所にスピード感をもって適切な対応(スタッフの加配、少人数教育体制など)ができれば、またインクルーシブな教育が徹底されていれば、学校は多様な子どもの居場所になれるはずではないでしょうか。
また同時に、学校だけで解決できない問題もあることは確かで、学校が地域や保護者、PTAと協力し合い、連携をとって子どもを取り巻く環境をつくっていくべきだと考えます。
居場所を失った子ども、地域で問題行動を起こしてしまう子どもに対しても、地域の大人たちがどう関わっていくか、これもコロナ後に課題となっていると感じています。
地域の少年補導員からは「いま学校でどういうことが起きているか、なにも情報が来ない」とお聞きしています。また、コロナ以前には高校の校長先生が長となり地域の民生児童委員、少年補導員、保護司、警察、保護者会、小中学校の生徒指導担当、教頭が集まり、地域で子どもたちを見守り、子ども達が置かれている状況を情報交換する場がありましたが、いまはおこなわれていないようです。先日の文教予算分科会でお聞きすると「青少年健全育成協議会は学校運営協議会に主体が移っている」とのことでした。
Q7.地域で児童生徒を見守る体制として学校運営協議会はどのように役割を果たしているのですか?
答弁要旨
中学校区健全育成協議会では、中学校を核として、保護者や地域住民、関係機関との協働により、児童生徒の健全育成を図るための協議と活動を行ってきたところです。現在は、コミュニティ・スクールの導入に伴い、その役割は学校運営協議会へ引き継がれております。
学校運営協議会では、委員である地域の方などと共に、児童生徒の健全育成のみならず、不登校対策や学力向上など、学校運営に関わる様々な課題やその必要な支援について協議を行っております。 以上
地域によって学校運営協議会の取り組みはさまざまだろうと思います。それぞれの地域や学校の特徴や歴史が違うので、画一化することはないと思いますが、コミュニティ・スクールという取り組みは、新しい形で地域ぐるみで子どもたちを支えるいろんな可能性を持っていると考えます。
Q8.コミュニティ・スクールを地域と学校の連携を進める体制として、より活発に展開すべきと考えますが、課題はどんなところにあると考えていますか?
答弁要旨
校長および学校運営協議会会長を対象に行った調査結果では、子どもたちの学びや成長を支える環境づくりにつながるとの期待が大きい一方で、学校が抱える課題などの解決策を見いだせたと回答した割合は回答者の3割程度とそれほど高くないのが現状です。
令和7年度に全市立学校へのコミュニティ・スクールの導入が完了しましたが、活発な取り組みを進めている学校もある一方で、導入から年数の浅い学校も多数あり、制度を活かした取り組みが進んでいない学校があることも認識しております。
当該制度をより活発に展開していくためには、制度への理解を深めるとともに、地域と学校の互いに対する理解と信頼が必要であると考えており、そのためには一定の時間を要するものと考えております。
今後も、コミュニティ・スクールが、学校の課題を解決する一助となるよう、引き続き行政職員による学校運営協議会へのオブザーバー出席や研修会の実施、地域に向けた取組の情報発信などの伴走支援を6地区の地域課とも連携しながら行うことにより、取組を一層進めてまいります。 以上