2012年9月決算議会 辻おさむ:平成23年度決算、市立幼稚園5園廃止を含む条例提案、保育所条例の一部改正に反対

2012年10月4日

日本共産党議員団 辻おさむ 反対討論 

平成23年度決算、市立幼稚園5園廃止を含む条例提案、保育所条例の一部改正に反対

 日本共産党議員団の辻おさむです。
 ただいま議題となっております 「認定第1号」「議案第109号」および、「議案第111号」について、反対討論を行います。

まず、認定第1号 平成23年度歳入歳出決算についてです。

 平成23年度予算は、前年の平成22年12月に稲村市長が就任されて、初めての予算でした。就任後、間もないことから、ほとんどが前市長の予算編成を踏襲したものでした。

 平成23年度一般会計決算は、歳入では、法人市民税が若干伸びたものの、市民の暮らしは、決して改善していません。平成22年度に比べて、個人市民税の課税標準が200万円以下の層の割合が増え、生活保護費は、予算時の見込みより少なかったとはいえ、増加し続けています。

 市民の暮らしが改善しないなか、市の将来負担比率が166.8%で、類似する中核市のなかでも突出して高く、借金返済に追われているのが実態です。過去の財政運営の失敗と、賃金を抑え、失業者を生み出す国の政治のあり方が、尼崎市民と市財政を苦しめる結果になっています。

このようななか、決算委員会が始まる前日の新聞報道で、入湯税を市が温浴施設業者と協議し、12年間も不正に条例に基づかない軽減を認めていたことが明らかになりました。

本来、平成23年度分としては、2358万円の歳入が見込めたところ、500万円弱しか徴収されていません。
明らかに不正があったことは間違いのない事実で、この件だけでも、決算認定に同意することはできません。

過去の分を支払うから良いではないか、とお考えの方もあるかも知れません。

しかし、ここで思い出していただきたいのは、原爆被害者の団体に対して長年運営費補助を行ってきたものを、一般団体と同じように事業補助に切りかえ、わずか年間7万円の補助金を打ち切ったことです。

私は平成23年の予算委員会の総括質疑で、原爆被害者の方たちがどんなお思いで活動をしているのかを訴えました。原爆被害者の方たちの語り部活動を委託事業としたのですけれど、語り部活動の忙しさは、会の運営と合わせても、病弱な上に平均年齢77歳という高齢の被爆者にとっては、心身ともに大きな負担となったとのことです。1人は亡くなられました。1人は、語り部活動を続ける体力がなくなりました。本当に、命を削るとはこのことです。原爆被害者の会を他の一般市民団体と同じに考えるべきではありません。運営費を補助すべきです。

このように、市財政が厳しいとして、わずかな市民サービスも切り捨てる一方で、入湯税の不正軽減は、市政の公正性にかかわる問題でもあり、到底許されるものではありません。今後の調査では、市職員以外の関与がなかったのかも含めて、徹底的に真相を明らかにすることを求めます。

また、尼崎工場の生産中止・集約のなかで1000人の削減を行ったパナソニックPDPに対しても、企業立地促進条例にもとづく不均一課税を続けるなど、企業に対しては非常に弱腰な対応です。このことも市民の納得いくものではありません。

 

さて、決算審査にあたって、市民の生活を守る点で見てみますと、国民健康保険加入世帯の一人当たり基準所得が3年間で8万円以上も下がっているのに、負担能力の限界を超える国保料へと突き進んでいます。こうした中で、滞納により、短期保険証が市役所に留め置かれたままで、手元に保険証のない世帯が、少ない月でも、4000世帯を超えるといった異常な状態は見過ごせません。

また、高齢者市バス特別乗車証の有料化で、高齢者の移動の自由が奪われた上、交通局の減収をおぎなうため、経営支援として3億5000万円が補助されています。定額補助制度も含め、無料パス制度の復活を検討すべきです。

また、住民合意という点では、昨年5月に発表された「市立幼稚園教育振興プログラム素案」で、廃止対象の9園のうち7園の保護者らから、園の存続を求める陳情が議会に提出され、昨年12月の文教委員会では「保護者や市民の意見を十分に聞いたうえで、幼稚園教育振興プログラム素案を見直すこと」との意見がまとめられました。しかし、こうした議論を受けた「素案の見直し案」でも、最終的には9園を廃止することは、「子育てしやすいまちづくり」という点でも、地域住民に合意を得られていない点でも、問題です。

また、園田西武庫線については、今に至っても非公開部分が大きく、決算に対するチェック機能という議会の権能を果たすことができない状況にいまだ置かれています。

費用負担の妥当性が判断できない状況にあるままでは認定できません。

以上の理由から、平成23年度一般・特別会計決算を認定することはできません。

 

次に、議案第109号 市立学校の設置及び管理に関する条例の一部改正についてです。

 本議案は、平成25年1月1日施行の定時制高校に関する条項と、平成28年4月1日施行の市立幼稚園5園の廃止を内容とする条項を、抱き合わせで提案されました。

議案の提案の仕方については、文教委員会の議論を踏まえ、先ほど修正案を提案させていただいています。

会派としては、廃止される尼崎工業高校、城内高校の受け皿として、琴ノ浦高校が新たな考え方のもとに設置されることについては、生徒たちが技術を身につけて、社会に出ていけるよう、現場の教職員の意見を反映させて取組むとの答弁がありましたので、賛同するものです。

 さて、議案第109号の原案は、市立幼稚園のうち、博愛、梅園、武庫南、富松、武庫庄の5園を廃止する条項を含む条例改正であります。

第一に、廃止予定の保護者らは、今ある近くの市立幼稚園に通園できるのが最大のメリットだと主張しています。小学校に行けば複数学級で切磋琢磨という環境になりますが、就学前の幼児に無理に複数学級にする必要があるのか、少人数だから友だち同士や先生との人間関係をつくりやすい良さもあるとの意見が、アンケートで多数あるとのことです。

保護者らは、一方的に今ある園を廃止してまで、複数学級にすることに同意していないのです。

第二に、説明会で、遠距離通園になる保護者に自転車通園を認めるとうちだしましたが、「2歳、3歳児の子を連れて、また妊娠中のお母さんが自転車通園するのは危険が伴う」との意見がありました。

 当局は、自転車に乗れない方々にはバス路線をつくり、バス停をつくる、とそれが実現するかのように受け取られる説明をしてきたようですが、質疑応答で、責任もって要望していくとの答弁で、民営化される中でバス停や路線新設などの確たる保障がないことが明らかになりました。

第三に、財政問題を理由に、地域の市立幼稚園を廃止するのは、地域の子育て支援の拠点を失くし、現役世代の定住、転入促進というまちづくりに逆行するものであると指摘します。

 第四に、武庫庄から小学校の用地提供者を含む社協役員などが、武庫庄幼稚園の廃止には断固反対だと、教育委員会に存続を求めています。

存続を求める陳情には5245筆の署名が添えられており、一部どころか町ぐるみで存続を願っています。また昨年、5400筆を超える署名が集まった富松幼稚園については、8月末に廃止条例の提案がされると分り、短期間に1174筆の署名が集まり、存続を求めています。

昨年の文教委員会では、「9園廃止の素案に対し、住民合意がえられていない、素案の見直しを」と意見まとめをしています。

5園の廃止は、住民合意がえられていないと判断するが、教育長、教育委員長は、住民合意がえられたと考えているのか? との質問に教育長は、「5園の廃止については、お近くのすべての方々に賛同を得たと、あるいは納得していただいたことにはなっていない、ある程度については理解していただいた、総合的判断だ」と言わざるを得ず、実質的には5園の廃止に、住民合意がえられていないことを示す答弁でした。

教育委員長の答弁は「保護者の皆さんから100%合意を得られたというものではありません、努力をしてきた、どこもなくしたくないと思いがあるが、どこかということになれば、一定ある程度の理解をいただきたい」と答弁し、さらに「教育委員の会議に5園の廃止条例を9月議会で提案すると決める際に、住民合意はえられていると判断していたのか」との質問に、教育委員長は「すべてに合意が得られたということは言えない、ただ、充実のためにお願いします、という声も聞いており、教育のために進めていきたいと思っております」と答弁し、幼稚園の統廃合を進めるとの見解でした。

 つまり、5園の廃止について、教育長も、教育委員長も、「園の廃止に合意が得られたとは言えない」との答弁です。

 こういう場合は、教育委員会事務局が幼稚園の廃止を強行しないよう、教育委員長が、教育委員の会議で、5園の廃止条例を9月議会に提案するのかどうかについて、慎重な判断をすることが必要だったのではないでしょうか。

 今回の市立幼稚園5園の廃止を含む条例提案は、住民合意が得られていないことが明らかであり、議案第109号に反対するものです。

最後に、議案第111号 市立保育所条例の一部改正についてです。

 日本共産党議員団は、公的保育制度について、「自治体は、保育条件を確保し、運営費を公費で負担し、保育の保障責任がある」として、民間移管に反対してきました。

いま、保育の構造改革=保育の市場化が進められようとしているとき、公立保育所の果たす役割はますます大きくなってきています。

公立保育所の廃止・民営化の問題点については、保護者等から「子どもと親にとって大切な保育者との深い信頼関係が断ち切られる」「自治体の保育する責任が後退する」「住民意志が反映できなくなる」「コスト削減ありきで、子どもを犠牲にしないで欲しい」など多くの意見が述べられてきました。

また、民間移管に関する保護者への説明は、民間移管ありきで進められ、保護者の納得いくものとはなっていません。ですから毎回「民間移管の撤回や中止を」という陳情が出てきます。

 本来、こどもの発達保障は、公の責任で行うべきです。子どもを大切にする国・自治体にするために公立保育所をこれ以上なくさないことがあるべき姿です。

民営化というのは、公立保育所の「廃止」です。建物はそのままですが、慣れ親しみ、信頼してきた所長も保育士さんも、今までの保育環境が全て変わってしまいます。完全に公立保育所を引き継ぐことはできないのです。

それなのに、共同保育も不十分で「納得のいくものではない」と、そこに多くの保護者は不安を持っています。共同保育期間も2ヶ月から3ヶ月に延ばされるものの、保護者は、なお不安があると述べています。

よって、議案第111号、尼崎市立保育所条例の一部を改正する条例に反対します。

 以上で、反対討論を終わります。

2012年9月決算議会 松村ヤス子議員:2011年度決算に対する反対討論

2012年9月 日 日本共産党議員団 松村ヤス子

認定第1号 2011年度尼崎市歳入歳出決算に対する討論を行います。

市決算は黒字、減債基金積み立て。しかし、市民のくらしは改善されず。

 2011年度一般会計決算は、歳入では、法人市民税が若干伸び、地方交付税増などで約20億円増え、歳出では、生活保護費の伸びが当初予算より下回わった。これらで、27億円の基金取り崩しをやめて、さらに、19億円を減債基金に積み立て、6300万円の黒字となりました。

 しかし、市民の暮らしは、決して改善していません。2010年度に比べて、個人市民税の課税標準が200万円以下の層の割合が増え、200万円以上の層が減り、生活保護費は、予算時の見込みより少なかったとはいえ、増加し続けています。

市民の暮らしが改善しないなか、市の将来負担比率が166.8%で、類似する中核市のなかで突出して高く、借金返済に追われているのが実態です。過去の財政運営の失敗と、賃金を抑え、失業者を生み出す現在の政治のあり方が、尼崎市民と市財政を苦しめる結果になっています。

地方交付税の改善を国に求めるべき

市民の暮らしを守るべき国の制度である生活保護・児童扶養手当、介護保険、後期高齢者医療制度における2011年度の事業費の一般財源負担分に対する基準財政需要額の不足は11億6100万円にのぼります。過去5年間では、84億4500万円にもなります。本市にとってはこの差額は、見逃すことのできないものであり、地方交付税の目的とする財源保障機能を果たすよう国に強く改善を求めるべきです。

このようななか、決算委員会の始まる前日に新聞報道で、入湯税を市と協議の結果、12年間不正に減免していたということが明らかになりました。まだ調査中ということで、決算委員会ではなく、議運の場での議論をということでありましたが、本来、2011年度分としては、2358万円の歳入が見込めたところ、500万円弱しか徴収されていません。市財政が厳しいとして、わずかな市民サービスも切り捨てられることが続いているのです。市政の公正性にかかわる問題でもあり、到底許されるものではありません。市職員以外の関与がなかったのかも含めて、徹底的に真相を明らかにすることを求めます。

国保 特別減免の実施は高く評価

国民健康保険制度においては、2011年度から、新たな対策として、特別減免を実施し、その対象者には、減免申請用紙を郵送したことにより、対象者がほぼ、100%申請できるように取り組んだことは、高く評価したいと思います。

国保の2008年度の一人当たり基準所得が58万980円であったものが、2011年度では50万505円に8万円以上も下がっています。一方、医療分に係る所得割は7.8%から8.88%に、支援金分にかかる所得割は2.64%から3%に、介護分でも2.04%から3.24%にと、また、均等割額、平等割額も医療分、支援金分、介護分ともに、すべて引きあがっており、まさに、負担能力の限界を超える国保料へと突き進んでおり、滞納により、短期保険証が市役所に留め置かれたままで、手元に保険証のない世帯が、少ない月でも、4000世帯を超えるといった異常な状態です。

国の負担割合を引き上げる以外に市民の苦しみを取り除くことは、できないといっても過言ではありません。

特定検診事業において、未受診者への電話などによる呼びかけが行われたことにより、昨年度の26,768人に比べて31,768人と5000人強、増やしました。しかし、市全体として、厳しい財政配分をしているなかで、1億2000万円もの扶養額を出したことは、問題があると指摘せざるを得ません。なお、受信者を増やすだけではこの事業は目的を達成しません。受診後の健康指導が不可欠であり、医療機関で受診した市民への健康指導の徹底について、特段の取組が必要と指摘します。

高齢者市バス特別乗車証制度の見直しに伴い、交通局は2011年度当初予算で、5割以上の減収が見込まれ、収支不足比率が経営健全化基準の20%を超えることとなり、このままでは現在の事業量やサービスを維持することが困難な状況になることから、経営支援として3億5000万円補助することになりました。また、「尼崎市バス交通検討会議」が庁内で始まり「バス交通事業の担い手のあり方について」を尼崎公営企業審議会へ諮問、その結果、今年7月に公営審は「市バスは完全民営化が望ましい」との答申を出すに至りました。答申どおりの実施とすれば、市民の足を守るべき市の責任の放棄につながる危険を含むことになります。

幼稚園廃止は市民の合意を得られていない

教育委員会は、昨年5月に「市立幼稚園教育振興プログラム素案」を発表し、市立幼稚園教育の6つの柱を提示しました。

6つの柱そのものについては、保護者市民の方々からは、おおむね賛同の意見があったと思います。しかし、18園のうち9園を廃止することについては、2011年度の決算委員会でも検討委員会の運営の仕方をめぐっては不適切であったと指摘したとおり、7園の保護者らから、園の存続を求める陳情が議会に提出されました。

また、昨年12月の文教委員会では「保護者や市民の意見を十分に聞いたうえで、幼稚園教育振興プログラム素案を見直すこと」と意見をまとめました。こうした議論を受けて、今年6月議会の直前に、教育委員会が素案の見直し案を発表しましたが、もとの素案通り最終的には9園を廃止するとしています。「子育てしやすいまちづくり」という点でも、また、地域住民に合意を得られていない点でも、問題です。

原爆被害者の団体に対して長年運営費補助を行ってきましたが、2009年に一般市民団体と同じように事業補助に切りかえ、2011年度補助を打ち切りました。議会からの批判を受け、語り部活動を委託事業としました。しかし、2011年度の語り部活動の忙しさは、会の運営と合わせても、病弱な上に平均年齢77歳という高齢の被爆者にとっては、心身ともに大きな負担となったとのことです。原爆被害者の会を他の一般市民団体と同じに考えるべきではありません。運営費を補助すべきです。

県道園田西武庫線の市負担金 市民の理解が得られない

次に園田西武庫線です。

2011年度の御園工区にかかる市の負担金は、2億1200万円です。計画道路上の菱彩テクニカ立ち退き補償に関連して、複数建物を移転新築させるとのことですが、その詳細は、明らかにされていません。建物、機械類の補償額は、現在の価値に換算して、今建てるといくらになるか、築後20年とすると20年分減価した形で算出した補償費、それに、建物撤去費及び休止する必要があれば、営業休止補償の3種の補償の合計額とのことです。しかし、都市計画道路上に建物を建てるとすれば、将来立ち退かなくてはならないことは承知の上のことであり、新たな負担を要しないようにどこに移転するかを考えておくのが当然のことでしょう。玉突き移転を認めること事態、あまりにも三菱に都合が良すぎます。それに、県の公社が道路用地を買収しますが、その費用も明らかではありません。市は、県から詳しく聞いており、妥当だと考えるとの答弁ですが、費用を負担する市民にはその妥当性がわかりません。まして、ほとんどが市債なのです。

このような事業の進め方は市民の理解が得られないものと考えます。

以上、日本共産党議員団は2011年度一般・特別会計決算の認定に反対する討論を終わります。