2012年9月決算議会 松村ヤス子議員:2011年度決算に対する反対討論

2012年9月 日 日本共産党議員団 松村ヤス子

認定第1号 2011年度尼崎市歳入歳出決算に対する討論を行います。

市決算は黒字、減債基金積み立て。しかし、市民のくらしは改善されず。

 2011年度一般会計決算は、歳入では、法人市民税が若干伸び、地方交付税増などで約20億円増え、歳出では、生活保護費の伸びが当初予算より下回わった。これらで、27億円の基金取り崩しをやめて、さらに、19億円を減債基金に積み立て、6300万円の黒字となりました。

 しかし、市民の暮らしは、決して改善していません。2010年度に比べて、個人市民税の課税標準が200万円以下の層の割合が増え、200万円以上の層が減り、生活保護費は、予算時の見込みより少なかったとはいえ、増加し続けています。

市民の暮らしが改善しないなか、市の将来負担比率が166.8%で、類似する中核市のなかで突出して高く、借金返済に追われているのが実態です。過去の財政運営の失敗と、賃金を抑え、失業者を生み出す現在の政治のあり方が、尼崎市民と市財政を苦しめる結果になっています。

地方交付税の改善を国に求めるべき

市民の暮らしを守るべき国の制度である生活保護・児童扶養手当、介護保険、後期高齢者医療制度における2011年度の事業費の一般財源負担分に対する基準財政需要額の不足は11億6100万円にのぼります。過去5年間では、84億4500万円にもなります。本市にとってはこの差額は、見逃すことのできないものであり、地方交付税の目的とする財源保障機能を果たすよう国に強く改善を求めるべきです。

このようななか、決算委員会の始まる前日に新聞報道で、入湯税を市と協議の結果、12年間不正に減免していたということが明らかになりました。まだ調査中ということで、決算委員会ではなく、議運の場での議論をということでありましたが、本来、2011年度分としては、2358万円の歳入が見込めたところ、500万円弱しか徴収されていません。市財政が厳しいとして、わずかな市民サービスも切り捨てられることが続いているのです。市政の公正性にかかわる問題でもあり、到底許されるものではありません。市職員以外の関与がなかったのかも含めて、徹底的に真相を明らかにすることを求めます。

国保 特別減免の実施は高く評価

国民健康保険制度においては、2011年度から、新たな対策として、特別減免を実施し、その対象者には、減免申請用紙を郵送したことにより、対象者がほぼ、100%申請できるように取り組んだことは、高く評価したいと思います。

国保の2008年度の一人当たり基準所得が58万980円であったものが、2011年度では50万505円に8万円以上も下がっています。一方、医療分に係る所得割は7.8%から8.88%に、支援金分にかかる所得割は2.64%から3%に、介護分でも2.04%から3.24%にと、また、均等割額、平等割額も医療分、支援金分、介護分ともに、すべて引きあがっており、まさに、負担能力の限界を超える国保料へと突き進んでおり、滞納により、短期保険証が市役所に留め置かれたままで、手元に保険証のない世帯が、少ない月でも、4000世帯を超えるといった異常な状態です。

国の負担割合を引き上げる以外に市民の苦しみを取り除くことは、できないといっても過言ではありません。

特定検診事業において、未受診者への電話などによる呼びかけが行われたことにより、昨年度の26,768人に比べて31,768人と5000人強、増やしました。しかし、市全体として、厳しい財政配分をしているなかで、1億2000万円もの扶養額を出したことは、問題があると指摘せざるを得ません。なお、受信者を増やすだけではこの事業は目的を達成しません。受診後の健康指導が不可欠であり、医療機関で受診した市民への健康指導の徹底について、特段の取組が必要と指摘します。

高齢者市バス特別乗車証制度の見直しに伴い、交通局は2011年度当初予算で、5割以上の減収が見込まれ、収支不足比率が経営健全化基準の20%を超えることとなり、このままでは現在の事業量やサービスを維持することが困難な状況になることから、経営支援として3億5000万円補助することになりました。また、「尼崎市バス交通検討会議」が庁内で始まり「バス交通事業の担い手のあり方について」を尼崎公営企業審議会へ諮問、その結果、今年7月に公営審は「市バスは完全民営化が望ましい」との答申を出すに至りました。答申どおりの実施とすれば、市民の足を守るべき市の責任の放棄につながる危険を含むことになります。

幼稚園廃止は市民の合意を得られていない

教育委員会は、昨年5月に「市立幼稚園教育振興プログラム素案」を発表し、市立幼稚園教育の6つの柱を提示しました。

6つの柱そのものについては、保護者市民の方々からは、おおむね賛同の意見があったと思います。しかし、18園のうち9園を廃止することについては、2011年度の決算委員会でも検討委員会の運営の仕方をめぐっては不適切であったと指摘したとおり、7園の保護者らから、園の存続を求める陳情が議会に提出されました。

また、昨年12月の文教委員会では「保護者や市民の意見を十分に聞いたうえで、幼稚園教育振興プログラム素案を見直すこと」と意見をまとめました。こうした議論を受けて、今年6月議会の直前に、教育委員会が素案の見直し案を発表しましたが、もとの素案通り最終的には9園を廃止するとしています。「子育てしやすいまちづくり」という点でも、また、地域住民に合意を得られていない点でも、問題です。

原爆被害者の団体に対して長年運営費補助を行ってきましたが、2009年に一般市民団体と同じように事業補助に切りかえ、2011年度補助を打ち切りました。議会からの批判を受け、語り部活動を委託事業としました。しかし、2011年度の語り部活動の忙しさは、会の運営と合わせても、病弱な上に平均年齢77歳という高齢の被爆者にとっては、心身ともに大きな負担となったとのことです。原爆被害者の会を他の一般市民団体と同じに考えるべきではありません。運営費を補助すべきです。

県道園田西武庫線の市負担金 市民の理解が得られない

次に園田西武庫線です。

2011年度の御園工区にかかる市の負担金は、2億1200万円です。計画道路上の菱彩テクニカ立ち退き補償に関連して、複数建物を移転新築させるとのことですが、その詳細は、明らかにされていません。建物、機械類の補償額は、現在の価値に換算して、今建てるといくらになるか、築後20年とすると20年分減価した形で算出した補償費、それに、建物撤去費及び休止する必要があれば、営業休止補償の3種の補償の合計額とのことです。しかし、都市計画道路上に建物を建てるとすれば、将来立ち退かなくてはならないことは承知の上のことであり、新たな負担を要しないようにどこに移転するかを考えておくのが当然のことでしょう。玉突き移転を認めること事態、あまりにも三菱に都合が良すぎます。それに、県の公社が道路用地を買収しますが、その費用も明らかではありません。市は、県から詳しく聞いており、妥当だと考えるとの答弁ですが、費用を負担する市民にはその妥当性がわかりません。まして、ほとんどが市債なのです。

このような事業の進め方は市民の理解が得られないものと考えます。

以上、日本共産党議員団は2011年度一般・特別会計決算の認定に反対する討論を終わります。