2023年3月 松沢ちづる議員「総括質疑」と答弁要旨

松沢ちづる 総括質疑

 

1 市長の政治姿勢について

 市長は施政方針演説の結びに、マクロな目で見たときに見える地域の経済社会情勢と、ミクロな目で見たときに見える一人一人が置かれた生活状況や感情は異なる。改めてこの点を心にとどめ、職務に向き合わないといけない。常に謙虚に、市民、職員も含めて、それぞれが置かれている様々な立場について想像し、共感する努力を怠らず、心の通った温かい政策を実現し、それを説明できるよう、全力で職務にまい進すると述べられています。

 施政者としてたいへん信頼できる態度だと思います。ならば、なぜいま、年金生活者も賃金労働者も自営業者も、経済の停滞の下さらに物価高騰が追い打ちをかけて、くらしそのものが厳しくなっている現状に目を向けないのでしょうか。こんな時だからこそ、「市民負担は増やしません。共に支え合って、物価高騰を乗り切りましょう」と、市民に呼びかけられないのでしょうか。

 日本共産党は、今、市民のみなさんに「くらしの実感―余裕はありますか、不安はありませんか」と直接お聞きする訪問活動を行っています。そこで見聞きするのは、「食べることを切り詰めてきたが、もうこれ以上は無理だ」、喫茶店の店主は「コーヒー1杯450円を守っているが、これ以上コーヒー豆が手に入らなくなったら店を閉めるしかない」、「大学生の孫が一人くらしがきついといっているが、支援する余裕もない。シングルの娘はさぞかし大変だろう」こういった声ばかりです。

 

Q1 市長にお伺いします。市民生活が大変な今、新年度予算でまず配慮すべきは「市民負担を増やさない」ということではありませんか。しかし、生涯学習プラザなどの使用料が値上げ、火葬費も値上げ、保育所の給食費値上げ、小学校給食費値上げと、負担増が目白押しです。なぜ、配慮をしなかったのですか。

 

答弁要旨

物価高に対応するためには、物価上昇を上回る賃金上昇を実現することが必要であり、賃金の上昇が定着するまでの間、負担軽減に向けた取組を国や県の動向も踏まえ、機動的に実施していくことが重要であると認識しています。

ご指摘の使用料・手数料や、給食費などの負担については、受益者負担の考え方を基本としており、急激な物価高騰の影響を、サービスの受益者負担で賄うことができない場合、受益者でない市民の税負担になるという課題があることから、原価を適正に反映するため、使用料の改定を実施するものです。

こうした料金改定を含む物価高騰に直面する方々への負担を軽減するため、令和7年度においても、市民・事業者を対象とした「あま咲きコインプレミアムキャンペーンの実施」や、子育て世帯の負担軽減を図る「学校給食費の支援」といった支援について実施を予定しており、引き続き、市内経済や市民生活への影響を注視しつつ、国や県の動向も踏まえながら、市民の皆さまのニーズを踏まえた機動的な施策を随時実施してまいります。以上

 

 予算案を見れば、新年度市税収入が25.7億円増の見込みです。また、地方交付税は16.6億円増の見込みとなっており、市民負担を増やさないための財源確保は充分あったと思われます。今回の値上げ案で、保育所給食費で約400万円増、小学校給食費で5700万円、生涯学習プラザで560万円、すこやかプラザで13万円、火葬費で1064万円、合計わずか7437万円です。市民負担を増やさない配慮はできたと思います。非常に残念です。

 今後のこととして、年度途中に物価高騰対策として国から臨時地方交付金が組まれる場合、保育所と小学校の給食費の保護者負担軽減を考えるべきだと思います。

 

Q2 こども青少年局に伺います。保育所給食費の保護者負担支援を検討しますか。

 

答弁要旨

公立保育所における3歳以上児の給食費につきましては、1人当たりの主食費を月1,000円、副食費を

月4,500円と定め、これまで運用してまいりましたが、原材料価格の高騰等により食品価格が高止まりしており、食材費を含め物資調達に影響が出ております。

これまで、食材の種類や内容、使用頻度の変更など工夫を図ることで対応してまいりましたが、令和5年度に続き、今年度も食材費が保護者負担額を上回る見込みとなっており、このうち副食費については、保護者負担額を超える経費が発生しております。

なお、副食費相当額に関しては、国は公定価格において加算額(副食費免除加算)を設定しており、令和4年度までは4,500円でしたが、今年度は4,800円となっております。

本市では、これまで国が示す公定価格のとおり副食費の価格改定を行っておりませんでしたが、給食の栄養バランスを維持し、子どもたちの成長につながるよう、今後は、国の公定価格に準じた単価に改定することとし、令和7年度は公立保育所の副食費を4,800円に改めるところです。1㌘・

なお、現下の物価高騰が続く中ご令和7年度の副食費に要する経費が改定後の保護者賃担額の4,800円を超えることも考えられます。その際には、委員ご指摘の物価高騰対策委係る臨時地方交付金が組まれた場合には給食費会計の状況も見て活用も検討してまいります。

 

つづいて伺います。

 

Q3 教育委員会は、小学校給食費の保護者負担支援を検討しますか。

 

答弁要旨

物価高騰が続く中、栄養バランスのとれた学校給食を維持するため、小学校給食費につきましては、令和6年4月に改定を行い、その高騰分を公費で負担しております。

物価がさらに上昇した場合、給食費の改定が避けられなくなり、保護者のご負担が急激に増加することが懸念されるため、激変緩和措置として、国からの臨時地方交付金を活用し、高騰分の一部を公費で負担し、保護者の負担軽減を図ることと致しました。

今後の更なる支援については、物価高騰の状況や国からの交付金の有無、本市の財政状況や国における給食費無償化に関する議論の状況など、様々な要素を勘案しながら、適切な対応に努めてまいります。

以上

 

2 介護保険について

 

 国の報酬単価引き下げで、全国で訪問介護事業所の閉鎖が相次いでおり、高齢者の「要介護になっても住み慣れた地域でくらしたい」という願いが叶えられなくなってきています。この傾向は地方や農村部で顕著ですが、尼崎でもこの1年で廃業が1事業所増えました。新規参入が1事業所増えたことで事業所数は年度当初と変わりませんが、それでも前年より11事業所減少したままで、減少の流れは続いています。

 介護人材の確保も困難な状況が続いています。2月議会では、地域包括支援センターの職員不足の解決策として、資格の規制緩和や非正規職員の雇用が認められました。2014年地域支援・総合事業が始まり、要支援の方々への訪問・通所サービスの担い手として生活支援サポーターの養成が行われてきましたが、3年間で900人の実働サポーターを養成する計画は絵にかいた餅で終わり、10年たった今も、介護予防訪問サービスなどは有資格のヘルパーさんたちが、介護サービスの報酬単価の9割という理不尽な対価で担っています。現場のヘルパーさんたちからは、「ヘルパーの平均年齢は60代後半。若い人たちが募集をしても集まらない。」とお聞きしています。支える側がこのままの状況では、年をとっても安心の社会が展望できません。

 

Q4 国に対し、訪問介護の報酬単価を元に戻すことや、介護保険への国費を増やすことなど求め、高齢者の保健福祉の向上について 自治体が責任を果たせるようにすべきだと考えますが、いかがですか。 

 

答弁要旨

議員ご指摘の「訪問介護に係る基本報酬の引上げ」や「国費負担割合の増額」については、中核市市長会や全国市長会を通して、報酬改定の影響を十分に検証し、訪問介護サービスの実態に即した抜本的な見直しを行うなどの必要な措置を講じること、また、介護保険財政の持続的かつ安定的な運営のための国費負担割合の見直しを行うことを要望しており、引き続き、こうした働きかけを粘り強く行ってまいります。

以上

 

市としては、介護人材確保への支援として介護人材確保支援事業が行われています。予算規模はわずか530万円です。訪問介護事業所だけでも市内に約300カ所あるのに、初任者研修についての今年度の事業活用は52事業所のみです。

 

Q5 介護人材確保支援事業の拡充を求めますが、いかがですか。また、それ以外にも考えている支援策などあれば教えてください。

 

答弁要旨

介護人材確保支援事業については、令和2年度に実施した介護事業所へのアンケート調査において、介護人材の確保・定着に効果的な支援として、「介護人材キャリアアップ研修に対する支援」や「介護未経験者に対する研修支援」に多くの回答があったことを受け、介護職員初任者研修等の研修受講料助成の他、潜在介護福祉士が復職する際の手助けとなる、学びなおし研修等を実施しており、事業所の人材確保に、一定の効果を得ているものと認識しています。

しかしながら、今後、超高齢化の更なる進展が見込まれる中、介護人材の確保は増々重要な課題になると考えられることから、次期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に向けて、改めて、介護人材実態調査を実施し、事業所の皆様のご意見を伺い、先進市の取組等も参考にする中で、新たな対応策を検討して参ります。以上

 

 

3年に1回高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画が更新されています。訪問介護事業者のみなさんの丁寧な聞き取りによる実態調査を行い、今年予定されている国勢調査とリンクさせることができれば、かなり詳細な実態が把握でき、次期計画に反映できると思います。

Q6 訪問介護事業所の実態調査を実施すべきと思いますが、いかがですか。

 

答弁要旨

先程もこ答弁申し上げましたが、次期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に向けては、訪問介護事業所を含め、市内の介護事業所に対し、アンケート調査を実施し、ご意見をお伺いする中で、実態の把握に努めて参ります。以上

 

3 国民健康保険について

 国の方針で、昨年12月2日以降これまでの健康保険証は発行が止められ、マイナ保険証1本になりました。同じ所得・家族構成でも、サラリーマンの健康保険・協会けんぽの2倍にもなる高負担の国民健康保険料が、多くの滞納世帯を生んでいます。尼崎市では2023年度決算で7292世帯 国保世帯全体の12.2%になります。

 滞納世帯に対し、保険証が発行できた昨年12月1日までは短期保険証の発行とひきかえにした窓口での納付相談をされてきましたが、今はそれができません。当局は、滞納額が少額の内に傷口が小さいうちに納付相談をと対応してこられましたが、これからは納付相談の機会が減少すると思います。

 

Q7 お尋ねします。今後具体的にどのように納付相談の機会の減少を補完していくのですか。

 

答弁要旨

これまで保険料の滞納世帯に対しましては、有効期間の短い短期証を窓口で交付する中で、その更新時に来庁案内ハガキを送付することで、納付相談の機会を設けておりました。

しかしながら、昨年12月2日の短期証の廃止に伴い、そうした納付相談の機会はなくなりましたが、令和5年度から、それまでの電話及び訪問催告の実施方法の見直しに加え、ショートメッセージサービス、いわゆるSMS催告の導入など、催告業務に特化した委託事業を実施しております。

具体的な内容としましては、納付月に滞納が発生した場合は、その翌月中旬以降に督促状を発送しております。

それに合わせて、SMSによる催告も行うこととしており、それでも支払いがなかった世帯については、さらにその翌月にSMSによる催告を3回行うとともに、電話催告を最大5回併用して行っております。さらに、SMS及び電話催告に反応がない世帯に対しましては、その後、訪問催告を2回行っており、そうした取り組みにより、滞納が少額の段階で積極的に滞納者へのアプローチを行うことにより、自主納付の意識付けを行うとともに、合わせて窓口等での相談もご案内し、納付相談の機会創出に努めております

今後とも、滞納額が少額な段階でぜ様々な働きかけを行うことにより、自主的な納付を促すとともに、困窮している世帯に対しては、引き続き、相談窓口で可能な限り寄り、添った対応に努めてまいります。以上

 

 滞納の根本解決は、高すぎる保険料を引き下げることです。日本共産党は、国に対し協会けんぽと同じくらいの加入者負担にするために、国保への国庫負担をあと1.3兆円増やすことを求めています。これは全国知事会が求める増額とほぼ同じです。

Q8 国に対し、さらに強く国庫負担の増額を求めるべきだと考えますがいかがですか。

 

答弁要旨

国民健康保険制度では、保険給付に要する費用のうち、国県からの公費等で賄われるもの以外を被保険者から保険料としてご負担していただく仕組みとなっております。

この公費等のなかで、定率国庫負担につきましては、保険給付費の32%を国が負担することとなっておりますので、これまでから、全国市長会を通じて、国に対して負担割合の増加の要望を重ねてきたところです。

こうした要望活動につきましては、今後も機会を捉え、継続して行ってまいります。

以上

 

 国の方針では、滞納が1年以上続くと保険診療が受けられなくなり、特別療養資格証になり、窓口負担は10割になってしまいます。誰もが安心して医療が受けられる国民皆保険の制度が崩されることになります。こうした事態に陥らないように、滞納者への注意喚起と共に国保料を減らす努力を強く求めます。

 

4 ウォーターPPPについて

 

 代表質疑や分科会でウォーターPPPについてお尋ねをしました。当局答弁を受け、更に質問をしていきます。

ウォーターPPPは、下水道事業において施設の老朽化や職員の不足が懸念される中、民間事業者の創意工夫等を活用することにより、効率的かつ効果的なサービスの実現が期待できるとの答弁がありました。

Q9 お尋ねします。ウォーターPPPの導入理由の一つが職員不足が懸念されることだと言われますが、ポンプ場の運転や北部浄化センターの休日夜間の運転管理などを民間に委託し、下水道事業が公営企業局に移った2018年以降特に現業職が51人から現在では5人にまで減らされました。職員不足はまさに当局が行ってきた事業方針によるものではないですか。

 

答弁要旨

生産年齢人口が減少し、いわゆる「公務員離れ」の影響もあり、全国的に職員の採用が厳しい状況にある中、下水道事業では、土木職をはじめとする技術職員の不足が懸念される状況にあります。

一方、これまでに取り組んだ民間委託による職員の削減は、主に定型的な現場作業を担う技能労務職員、いわゆる現業職員を対象としており、技術職員の不足の懸念につながったものとは考えておりません。なお、民間委託の対象となった技能労務職員は、研修期間と試験を経て、高い専門性を発揮する技術職員に転職するケースも多数あり、同事業の技術力の維持・向上に貢献しているものと認識しております。以上

 

 ウォーターPPPの導入を決定済であることが2027年度以降の下水管改築の国費の交付要件になったことを踏まえ、23年度から導入検討を進めてきたと、新年度主要事業に記載されています。より割のいい国からの交付金をうけるために、市が進めてきたことだと確認します。

 続いて、民間事業者の創意工夫等を活用することで効率的かつ効果的なサービスの実現が期待できるとのことです。

 

Q10 効率的かつ効果的とは、人件費を減らすこと。つまり事業に精通する現場の人を減らし、デジタル化を進めることではないですか。

Q11 お尋ねします。技術の継承をしていく「ほかの職員」とはどこにいるのですか。現業職はすでに5人に。しかも事務職への転職や近い将来定年退職が見込まれ、若い職員の補充はされていないではありませんか。どうするのですか。

 

答弁要旨

下水道事業の将来にわたる持続可能性を確保するためには、技術職員の不足が懸念される中、事業運営に必要な技能を継承していくことが肝要であると認識しております。

そうした中、今後におきましては、新たに「ウォーターPPP」を本市でも導入し、将来の技能継承も踏まえた官民の適切なパートナーシップを構築するとともに、施設の老朽化対策などの新たなニーズにも対応できる市の体制を確保するため、市職員の着実な採用や、年齢や経験年数を踏まえた的確な人事異動など、引き続き、円滑な技能継承に資する取組に努めてまいります。

以上

 

 民間に「丸投げ」とならないように、災害時の対応も含め市職員と民間事業者の両方が

ノウハウを共有・蓄積する官民の適切なパートナーシップを構築するとのことです。分科

会の質疑では、ポンプ場の運転は民間に任せているが、まだ直営職員がいるので運転操作

技術を民間委託業者に指導しているとの説明でした。しかし、その職員が退職すると市職

員に技術の継承ができなくなることが懸念材料だと。ほかの職員につなげていくような努

力をしていきたいとのことでした。

 

 専門職員がいなくなるのは大きな問題です。現在はまだ災害時には、地域のことをよく

知っていて、下水道事業に関する経験や蓄積を持った職員が対応しています。しかし自治

体が直接関わらなくなり、対応能力が失われた下では非常時の対応がどうなるのか、きわ

めて不安です。

 ウォーターPPPはまず北部処理区でレベル3.5、北部浄化センターと西川中継ポンプ

場、高田中継ポンプ場のある処理区で、維持管理業務と改築更新を組み合わせた導入を検

討しており、武庫川処理区・東部処理区については、今後どう広げるのかを検討していく

とのことです。国土交通省の「下水道部分野におけるウォーターPPPガイドライン」によ

れば、まずレベル3.5の後「丸投げ」のコンセッション方式を選択肢として検討いただき

たいと道案内されています。尼崎市は国から誘導されるまま、コンセッション方式に進も

うとするのでしょうか。下水道事業は、根本的には市民が生きていくために欠くことので

きないものです。これを営利企業に丸ごとゆだねるシステムにしてしまっていいのか。日

本共産党議員団は反対です。

 

 

 

2024年10月 決算特別委員会 川﨑としみ議員の総括質疑と当局答弁要旨

【子どもの医療費助成について】

市民意識調査で、本市にこれからも住み続けたいと回答した市民の割合が85.9%、その理由として尼崎市への愛着、買い物などの利便性、地域とのつながりが評価されています。一方で住み続けたくないとの理由としては、ルールマナー、子ども子育て支援、防犯が挙げられています。単身世帯および2人世帯がファミリー世帯になっても、本市に住み続けたいと感じてもらえる街づくりが必要とは、誰しも思うところです。

子育てをしやすい街だと感じている市民の割合は、51.2%前年比+0.8%ほぼ横ばいで推移しています

こうしたデータから見ても、ファミリー世帯定住のために1丁目1番地に取り組むべき課題は、医療費助成事業、18歳までの子どもの医療費を所得制限なしで無料化にする制度だと思います。

子ども医療費助成制度は、2021年・22年・23年(令和3・4・5年)と助成金額を約1億円・3億円・5億円と事業費をのばしてきました。そして医療費の2割負担が→所得別にゼロ円とか、400円とか、800円と減り、市民に大変喜ばれ、また、多くの市民が救われていると思います。

 

Q .1 実際にこのこども医療費助成制度の件数は、2021年以来、どのように推移していますか?また受診する診療科目の変化について、どのような特徴があるのでしょうか?

答弁要旨

 乳幼児等医療費助成事業とこども医療費助成事業を合わせた年間総助成件数につきましては、拡充前の所得制限があった令和3年度は約52万件でしたが、制度拡充後の令和4年度は約63万件、令和5年度は約78万件と増加しており、この伸びについては、制度拡充以外の全国的な医療費の増加分も加味されております。

 次に、受診する診療科目の変化につきましては、医科・歯科・調剤のデータを見ますと、令和3年度から令和4年度には医科120%、歯科116%、調剤123%と全体的に助成件数が増加しており、令和4年度から令和5年度には医科121%、歯科111%、調剤134%と更に全体的に助成件数が増加している状況であり、調剤の伸びが他に比べて少し高い伸びを示しております。以上

 

歯科の受診が増えていると思います。歯科の先生は口の中に貧困やネグレクトがあると言われます。お金がなくて歯を治せない、兄弟でもらった薬を分けているなどのことが、解消の方向に向かっているのではないでしょうか。

 

Q .2 市は歯科の受診が増えていることを、どのように評価されていますか?

答弁要旨

 先ほどご答弁申し上げましたとおり、令和3年度から令和4年度、さらには令和5年度と歯科も含めて全体的に助成件数は増加しております。

 この要因としましては、これまでの制度拡充に伴い、医療費の負担が軽減されたことにより、必要な時に安心して受診できるようになったことによるものと認識しております。以上

 

さらなる支援策の強化が必要だと思います。

 

Q .3 18歳までの医療費完全無償化にするためには、どのくらいの予算が必要とされるのでしょうか?

答弁要旨

 子どもの医療費助成制度について、18歳までを完全無償化にする場合、完全無償化をしている未就学児を除き、小学生及び中学生の無償化に約1億8千万円、高校生の無償化に約3億2千万円必要となり、合わせて約5億円の財源が必要になると試算しております。以上

 

一気に実施すべきだとは思いますが、今の財政状況からはすぐには無理となるのであれば、段階的にどのように進めていくのでしょうか。

 

Q.4 段階的に実施するとなれば、どのような展開をめざしているのでしょうか?

答弁要旨

 先ほど答弁いたしましたとおり、現在、診療科目ごとの実績も含め、受診頻度や事業費の変化・推移など、その効果や影響について、検証を進めています。

 一方で、完全無償化は、経常的に多額の財源が必要となるため、制度の持続可能性について留意が必要であると考えております。

 そのため、制度拡充にあたっては、先に申し上げた検証結果に加え、制度の持続可能性を考慮するほか、ライフステージごとの子育て世帯の家計負担の状況や、すでに実施している各種支援策とのバランスなど、様々な視点で検討し、できるだけ早期に拡充策を明らかにしてまいります。以上

 

ぜひとも子育てしやすい街、当面は兵庫県下で、他の市町とそん色のない他の市町並みにしていただきたい。早期の取り組みを求めます。

 

【上下水道事業へのPPP/PF I手法の導入について】

 

市は、2027年(令和9年)より、下水道事業の一部をPPP/PFI化しようとしています。国は補助金助成で、国の政策を強引に自治体に押し付ける政策を実行してきており、それが市民の暮らしに真にプラスになるのか、慎重な検討が必要だと思います。

またこれまでも、様々な分野で事業の民営化が急速に進んできたことに対し、市民サービスに直結する公共事業を見直す取り組みがはじまっています。イギリス・欧州では上水道の民営化は公共に戻す等のことが行われ、日本では「公共を取り戻す」スローガンのもとに、いくつかの自治体でも民営化の見直しが始まっています。

本市でも、アウトソーシングの実効による課題として、市職員のノウハウの損失、災害時の対応、コストの妥当性といった問題点をあげています。

 

Q .5 これらの課題について、どのような検証を図り、事業計画を作っていくのかお答えください?

 

答弁要旨 

PPP/PFIは公共施設の整備・運営に民間事業者の創意工夫等を活用することにより、効率的かつ効果的なサービスを実現する手法であり、本市の下水道事業におきましても、施設の老朽化や技術職員の不足が懸念されるといった課題を抱える中、国が推進する官民連携方式である「ウォーターPPP」の考えを踏まえた上で、当該方式の導入を計画的に進めるものです。

 この手法の導入にあたっては、公営企業局内に設置する検討会議で議論を重ねるとともに、下水道事業や民間事業者の動向、また、コスト分析などに高い知見を有する事業者への導入検討業務の委託などを通じ、職員のノウハウの蓄積、災害時の対応や導入コストなどの課題につき、十分に精査した上で導入に向け検討をしてまいります。 以上

 

 

今後、補助金がでるから、PPP/PFI化で事業の民営化を進めることにはもっと慎重になるべきだと思います。絶えず検証し、立ち止まって評価を行い、問題解決のために何をなすべきか考察すべきと考えます。

能登の地震の際、公務員が現場にいなくて、受援体制が整わず、復興に遅れが生じている現状に私たちは遭遇しています。

 

先に実行ありきでの進め方は改めるべきです。また国に対してPPP/PFI化の事業でなければ補助金を出さないという、国の強引な政策誘導に自治体の主体的な判断で取り組みが進められるよう、こうした制度を見直すべきだと主張することも大事ではないでしょうか。

 

Q.6 全国市町村会等を通じて、施策誘導につながるひも付きの補助金制度はやめるよう申し入れるべきです、市の考えは?

 

答弁要旨

 下水道事業における、いわゆるウォーターPPPは、増大する施設の老朽化への対応や、技術職員の不足か懸念される課題が全国的となる中、国において、新たな官民連携方式として示されたものです。

 また、国は、このウォーターPPPの導入拡大に向け、下水道事業の汚水管の改築に係る国庫補助採択について、この官民連携方式の導入が決定済みであることを、令和9年度以降に採択要件化することとしております。

 本市としましては、下水道事業の持続可能性が懸念される課題に対し、国が示す「ウォーターPPP」の導入による効果の発現を期待するところであり、ご指摘の補助金の採択要件化の廃止を申し入れる考えはございません。以上

 

【公立保育所の役割について】

1)待機児童対策について

保育所の待機児童数は2019年236人が2023年11人まで減少しました。しかし、隠れ待機児童と呼ばれる、保育所を希望していながら、実際には様々な理由で、保育所に入所できていない子どもの数は、2020年895人、2021年865人、2022年607人、2023年597人、2024年530人となっています。やや減少傾向となっていますが、いまだに530人というのは、大変大きな数字だと思います。

 

Q .7 直近の隠れ待機児童の状況は、どうなっていますか?

 

答弁要旨

 保護者が育児休業中で早期の副食を希望しない者や、特定の保育施設等を希望している者など、国の待機児童の定義には該当しない、いわゆる未入所児童数につきましては、令和6年4月1日時点では530人、現在把握できる直近のデータの令和6年8月1日時点で780人となっております。以上

 

2)ゼロ歳児の定員割れ問題について

待機児童対策のために昨年度は3カ所民間園を増やして228人の定員増、来年度はさらに4か所増やして360人の定員増を図ろうとしています。しかし実際には、民間園では定員割れという問題が発生しています。特にゼロ歳児で極端な定員割れといった問題が発生しています。民間園では4月当初から、定員に基づく職員の配置を行っていますが、実際に定員が充足されるのは10月ごろになってしまう、結果人件費がますます民間保育園の経営を圧迫しています。年度途中で職員を募集してもなかなか職員が集まらないからと、4月から職員体制を整え苦労されています。

ある保育園では、昨年はゼロ歳児の定員7人に対する、定員割れは4月が2人、5月が一人だけでしたが、今年は4月から7月まで5人、8月も4人、9月も3人とあり、年度中に定員7名を満たすことは難しい予測となっています。結果その分だけ子どもの委託費は一人当たり月額で215,120円減少しています。今年度10月以降2名の定員割れが続くと想定しても、年間でマイナス9,680,400円減収になるということです。

 

Q .8 このような実態について、市はどのように把握されていますか、数字をつかんでいますか?

 

答弁要旨

 各法人保育施設における保育士の配置につきましては、年齢ごとのクラス単位での詳細な状況までは把握しておりませんが、市に対して「保育士等配置状況確認書」を毎月ご提出いただく中で、入所児童数に対して保育士数の充足状況を把握しております。

 また、法人保育園等におきましても、保育士を募集しても、必要な時期に必要な人材を確保することが困難なため、年度途中の入所児童数を見越した保育士数を年度当初から確保することが人件費の増加につながり、少なからず経営に影響を及ぼしていることについて、法人保育園会からお聞きし、補助金創設のご要望もいただいております。以上

 

Q .9 また、ゼロ歳児が年度当初から少なくなってきている、その原因はどこにあると思いますか?

Q .10 大阪市のような市独自の支援策を構じる考えはありませんか?

 

答弁要旨

 議員ご指摘のとおり、大阪市では0歳児は育児休業SY風良悟からの途中入所が多く、保育施設においては年度途中における保育士確保が困難であることから、年度途中の入所を見越し、年度当初から保育士を配置している保育施設に対し、その間の保育士の人件費を助成する「0歳児途中入所対策事業」を実施しております。

 本市におきましても、育児休業制度の拡充等により、大阪市と同様に年度当初の0歳児の利用が少なくなっておりますが、年度当初から年度末にかけて順次、保護者の産後休暇や育児休業が終了するなど、年度途中において利用希望者が増加している状況です。

一方で法人保育園や認定こども園の入所児童数については、令和6年4月時点でも利用定員に対する平均入所率が100%を超えており、依然として保育ニーズが高い状態で推移しております。

 また、今後もしばらくの間は保育ニーズの増加が続くと見込んでいることから、一時的な0歳児クラスの定員割れに対する補助制度の創設は現時点では考えておりませんが、いずれ迎える少子化の影響等も見据えながら、持続的に法人保育施設の運営が確保できるよう保育行政を進めてまいります。 以上

 

こうした状況下で、市に対してすでに法人保育園会から要望も届いていると思いますが、大阪市などで行われているような支援が求められています。大阪市では、保育人材確保策として、0歳児の途中入所に対応するため、1歳児保育士配置基準を改善するための人件費助成が行われています。年度途中の入所を見越した保育士を配置する保育施設に対し0歳児が入所するまでの間(4月〜9月)、0歳児一人当たり140.400円の助成が行われています。

 

 

3)障害児対策 公私間格差

障害児やグレーゾーンにいる子どもたちが保育園、公立の保育所に入所しづらい状況が出てきているのではないでしょうか。またこうした子ども達の受け入れが、公立と民間で大きな差が生まれています。

私たちはかねてより公私間格差の解消を訴えてきました。2022年の9月議会で真崎一子議員が、また昨年の3月予算委員会の総括質疑では、松澤議員が質問しています。障害児保育事業補助で、現在障害児1人に月74,140円の加算がされていますが、この単価は20年以上変わっていません。障害をもつ子どもの対応には保育士がつきっきりで当たる必要があり、公立保育所では障害児2人に1人の保育士が加配となっていますが、法人園では障害児一人につき74140円ですから賃金べ一スにすれば障害児3人に保育士1人の加配となり、明らかに公私間格差があると思います。と質問しています。

【資料23年3月予算 松澤議員の総括質疑 答弁】

公立保育所におきましては、概ね障害児2名に対し保育士1名とする配置を標準としております。一方、法人保育施設においては、加配保育士の有無にかかわらず、法人保育施設からの申請等に基づき、市において障害児として判定された児童1人当たり、月額74,140円を補助する制度を活用し、障害児保育に対応されています。障害児若しくは気になる児童の態様も様々であり、その実情に即して各法人保育施設において、保育士の配置がなされるなか、一概に公私間格差があるとの認識はございませんが、障害児若しくは気になる児童が多数在籍していることは認識しており、障害児保育推進の観点から、今後もよりよい保育士確保策を検討してまいりたいと考えております。

 

昨日の維新の会の別府議員の質問にも答えられていると思いますが、お尋ねします。

 

Q .11 民間への助成を公立並みに引き上げることは、なぜできないのでしょうか。いつから実行されるのですか?

答弁要旨

 法人保育施設障害児保育事業補助金につきましては、昨日、別府議員にご答弁した内容と重なりますが、加配保育士の有無にかかわらず、市が障害児として判定した児童1人当たり、月額74.140円(年額889.680円)を補助する制度で、保育に必要な経費として人件費だけはなく、研修費や設備購入費等も補助対象としております。

 このような中、保育現場の法人保育園会からも補助制度の充実を図るよう要望を受けておりますこと、また、補助額につきましても、地方交付税により財政措置された平成15年度以降、単価額を設定して約20年にわたり変更していない状況でございます。そのため、阪神間の各自自治体の水準、昨今の物価高や人件費の高騰、保育現場のニーズ等の状況や「尼崎市就学前教育ビジョン」に基づく私立幼稚園等への新たな補助制度の内容を踏まえた上で、よりよい障害児保育の環境整備につながる制度の在り方を検討してまいりたいと考えております。以上

 

公立といえども障害児や障害を抱えていると思われる子ども達が、入所待ちといった状況が生まれています。

 

 

今後、事業計画の次期策定、公立保育所の今後の基本的方向についての見直しや時期公立保育所の民間移管計画の検討などが行われようとしています。現実との乖離、見込み違いが生まれないような、充分な対策を講じてほしいと思います。

 

以上で日本共産と市議団の2023年度決算、施策評価等に対する総括質疑を終わります。ご清聴ありがとうございました。