「議員定数削減」は本当に民意か? 維新と自民の連立協議に思うこと

「議員定数削減」は本当に民意か?
維新と自民の連立協議に思うこと

最近、維新の会が自民党との連立に向けて動いているというニュースが話題になっています。
てか、そればっかり・・・

つい最近の選挙でも「裏金は許さない」「自民との連立はありえない」と声高に主張していた維新が、今や連立に前のめり。

しかも、その条件として掲げているのが「議員定数の削減」です。

でも、ちょっと待って!
それって本当に国民のための改革なんでしょうか?

 

企業・団体献金の禁止はどこへ行ったんや?

維新は当初、連立の条件として「企業・団体献金の禁止」などを掲げていました。これは、裏金問題で信頼を失った自民党に対して、クリーンな政治を求める当然の要求だったはずです。

ところが、連立協議が進む中で、企業・団体献金の禁止は後回しにされ、「議員定数削減」が急浮上。これは、自民党が企業献金の禁止には強く反発している一方で、定数削減にはある程度柔軟な姿勢を見せているからです。

つまり、維新は「改革の本丸」を引っ込めて、交渉しやすい“見た目の改革”にすり替えたということ。

 

じゃ、議員定数削減は本当に民意なのか?

 

確かに、世論調査では「議員定数を減らすべき」と答える人が5〜6割にのぼることもあります。「議員は多すぎる」「税金の無駄」といったイメージが先行しているのが現状です。議員活動の実態は国民からはなかなか見えませんもんね。
悪いイメージだけが動画などでまことしやかに流されています。

しかし、実際のデータを見てみると、日本の国会議員数(衆参合わせて712人)は、人口比で見ると先進国の中でも少ない方です。

国名 議員数(人口100万人あたり)
スウェーデン 約33人
フランス 約14人
ドイツ 約9.7人
日本 約5.8人
アメリカ 約1.6人

 

つまり、「日本の議員は多すぎる」というのは、事実というより印象論に近いのです。

 

議員定数削減のリスク 少数意見は排除される!

議員定数を減らすことには、以下のような深刻なリスクがあります。

  • 少数政党の排除:比例代表の定数が減ると、少数政党が議席を得にくくなり、政治の多様性が失われます。

  • 地方の声が届かなくなる:定数削減は都市部に有利に働き、地方の代表が減ることで地域の課題が置き去りにされる恐れがあります。

  • 議会の監視機能の低下:議員1人あたりの負担が増え、行政へのチェックが甘くなる可能性があります。

    維新の「身を切る改革」の演出でしかなく、実際の財政効果はごくわずかで、パフォーマンスに過ぎません。

 

本当に求められていることは
「数」より「質」の改革ですよ

議員の居眠りや不祥事が目立つことで、「議員なんていらない」と感じる人が増えるのも無理はありません。でも、それは議員の質や政治の透明性の問題であって、数を減らせば解決するわけではありません。

むしろ、定数削減によって「声を上げにくい人たちの代表」がいなくなってしまうことの方が、よほど民主主義にとって危険です。

維新が「企業・団体献金の禁止」から「議員定数削減」へと主張をすり替えた背景には、政権入りへの野心が透けて見えます。
けれども、私たちが本当に求めているのは、数合わせの政治ではなく、信頼できる政治のはず。

「議員定数削減=改革」という単純な図式に流されず、その本質と影響をしっかり見極めることが、今こそ求められているのではないでしょうか。