日本共産党議員団の川崎敏美です。会派を代表して、2025年度予算並びに関連議案、施政方針についてお聞きします。
総務省が2月21日発表した1月の全国消費者物価指数(2020年を100とした場合)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が109・8と、前年同月比3・2%上昇。1年7カ月ぶりの高い伸びで、米類の上昇率は70・9%と過去最大を更新。
野菜の高騰などが影響し、生活実感に近い生鮮食品を含む総合指数も4・0%上昇と、2年ぶりの高さとなりました。
生鮮食品を除く食料は5・1%プラス。米類は需給の引き締まりに加え、生産コストが上乗せされ、上昇率は4カ月連続で過去最大となりました。生鮮食品は21・9%プラスで、04年11月以来の高い伸び。昨夏の猛暑などが響き、キャベツは3倍、白菜は2倍の高さとなりました。
エネルギー全体の伸びは10・8%(前月は10・1%)。上昇幅は、電気代と都市ガス代はやや縮小した一方、政府の補助金縮小が響きガソリンは3・9%(同0・7%)、灯油は6・3%(同1・8%)と、それぞれ大幅に拡大しました。
生鮮食品を除く総合指数は41カ月連続の上昇。このほか生鮮食品とエネルギーを除く総合指数も2・5%上昇しました。
昨年、主食であるコメがスーパーの店頭から消えました、コメを求めてスーパーを何件もまわり、ようやく見つけても2倍以上の高値となっており、手が出せないという状況が生まれていました。政府は新米が出回ればコメ不足は解消されると、備蓄米の放出を最近まで怠ってきていました。
こうした物価上昇のもとで、市民の置かれている状況は深刻です。ある喫茶店での話、コーヒーいっぱい400円で頑張ってきたが、450円にやっと値上げした。お客さんは500円ぐらいにせんとあかんやろと言うてくれるけど、お客さん自体毎日のコーヒーを3回にしたりして倹約している。ただでさえ街の人通りが減っていてお客さんは常連客ばっかりなのに、値上げはお客さんを減らす、これからも商売を続けていけるのか不安だと言って嘆いています。市民の多くは、1万円なんか持っていても、物が高くてすぐにお金がなくなる、だからできるだけ買い物に行かないで生活防衛をしています。年金暮らしの高齢者は、以前はお米など子育て真っ最中の娘に援助していたが、コメ高すぎて助けをしたくてもできへんとため息をついています。
- 物価高騰対策 消費税の減税について
2025年度の予算全体を見渡すと、市民の負担軽減を見直すというよりは、例えば物価高に対して給食の負担増、市民に公平性を求めることを口実に公共施設の利用料を引き上げる等の施策が散見されます。市が市民の暮らし、社会活動を応援する、コミュニティを育んでいくといった観点がもっと重視されるべきではないでしょうか。
(提供している税負担の割合を示した図表をご覧ください)日本共産党は国会でも、消費税の低所得者こそ重い負担となっている逆進性の問題や、国民の払っている税の中でも、消費税の負担割合が高いことを示して、消費税減税が必要であることを訴えてきました。勤労者世帯の年収別税負担率をみると、低所得者のみならず年収900万円以下の世帯まで所得税より消費税の負担率が重いことがわかります。
Q1 .物価高騰に市民の暮らしが圧迫されています、市としてできる最も有効な対策は何だとお考えでしょうか、また国の物価高騰対策の最も有効な対策の一つが消費税減税だと思いますが、市として国に消費税減税を要請する考えはありませんか?
答弁要旨
物価高騰対策は賃金の上昇がもっとも重要と考えていますが、賃金の上昇が定着するまでの間、物価高を乗り切るための負担軽減に向けた取組を、国や県の動向も踏まえ、市民や事業者の声に耳を傾けながら、機動的に実施していくことが重要であると考えています。
そうした中、消費税率の引き下げについては消費税が国と地方を通じた財政の健全化や、社会保障施策の財源となるものであり、市歳入の一部となっていることから、安定した財政運営への影響、ひいては市民サービスへの影響が懸念されます。
また、税率変更による事業者への負担も伴うため、税率の引き下げにつきましては、慎重な対応が必要であると認識しています。
以上
2、市長の施政方針について 市の財政について
市長の施政方針で、財政運営の指針が示されています。『財政規律、財政運営の目標とルールを踏まえた予算を編成し、公債費に起因する収支不足に対応するために現在基金を取り崩すことで、実質的な収支均衡予算を確保。また、本市の財政運営において、長きにわたって課題となっていた将来負担についても、これまでの教訓を踏まえ適切に管理している。今後も税源の涵養(カンヨウ)などによる収支確保に努めるとともに市債の早期償還や基金の活用により財源を確保し、規律ある財政運営と魅力ある街づくりに向けた投資の両立を図る。あわせて昨今の経済状況や本市の財政状況が好転していることも踏まえ、より柔軟かつ効果的な財政運営を目指す。』とあります。受け取り用によっては、市長は財政運営の方針を積極財政に転じたのではないかと感じています。
Q2施政方針での財政運営で示されていることは、緊縮財政から積極財政への転換をおこなっていくとの姿勢を表しているのですか?
答弁要旨
昨今の経済状況や、20年間にわたる行財政改革の取組により、一時期の危機的な状況からは脱し、本市の財政状況は好転しています。
そして、こうした好循環を続けていくためには財政構造の弾力性確保に向けた取組を強化することが重要であり、そのために不可欠な税源洒養に向けた戦略的な投資として、市民の皆様にとって、「生活する場」としても、「働く場」としても魅力的と思えるまちとなるよう「あまがさき子ども・子育てアクションプラン」、「良好な住環境形成のための住宅施策パッケージ」といった政策プランを「実
行・実現」させてきました。
したがいまして、必要な財源を確保し、必要な事業への投資も行いながら、規律ある財政運営を行うことで、将来にわたって安定的で持続可能な財政基盤を築いて
いくことが何より重要でありますので、「緊縮財政から積極財政への転換」「緊縮財政の堅持」などと、その方針を明確にするものでもないものと考えています。以上
市長が掲げる第2ステージへの引き上げに向けて、主要3基金も積極的な活用がなされるようになり、一定の前進がなされていると感じています。しかし、そのあゆみはあまりにも慎重で、市民が求めている施策の充実に追いついていっていないと思います。財政調整基金をはじめ主要3基金は一体どこまで積み上げるのでしょうか、他の中核市と比較して、その平均値を目標に据えることは妥当なのでしょうか?また、毎年負担しなければならない経常支出には使えないなどとの財政規律も、固定的に考えなければならないのでしょうか。自治体の成り立ちはそれぞれ違いますし、課題も千差万別です。財政支出には柔軟な対応を行うべきだと思います。
Q3.基金の活用について、これまでのルールを見直し積極的な活用ができるよう柔軟な対応ができないのでしょうか?
答弁要旨
議員ご指摘のとおり、主要3基金については、財政運営方針に基づく計画的な積立・活用により、残高は増加傾向にありますが、財政調整基金につきましては、緊急的な事態が生じた場合に他都市と同等の対応がとれるよう、決算剰余等を積み立てることで、目標として定める類似他都市並みの残高に近づいてきているものの、引き続き目標水準まで残高の確保が必要であると考えています。
一方、公共施設整備保全基金については、目標として定める類似他都市並みの残高が確保できていることから、活用方策につきましては、様々な財政需要を検討する過程で柔軟に検討してまいります。以上
3,子ども支援策3つのゼロについて
30年間経済の成長が止まり、働く人たちの実質賃金は減少しているところへ物価高が覆いかぶさり、市民の暮らしは厳しさが増すばかりです。ところが国の政治は相変わらず大企業ばかり応援の経済政策、アメリカいいなりの軍事費増額が続けられ、国民の暮らしや中小企業、子どもの教育などについては、自助努力が強調されています。
こうした情勢のもと子どもを産み育てようとする世代の負担感は、ますます大きくなっています。人はどこに生まれどこに住んでも、すべての子どもがお金の心配なく、安心して希望に向かって前に進めるまちづくりが行われるべきです。
子育て世代が持つ大きな負担感を政治の力で軽減し、安心して暮らしていける尼崎にして行くため、次の3つのゼロを要望します
- 18歳まで所得制限なしで医療費をゼロにすること
- 小中学校の給食費をゼロにすること
- ゼロから2歳児の保育料をゼロにすること
これらを実現させるためには財政的な裏付けが必要です。一足飛びに実施することは困難だと思います。国や県に強く働きかけ、連携して実現に向かっていくことが必要です。
新年度予算を見たとき、果たして子育て世帯の負担を軽減する、あるいは増額しないものになっているかが、問われます。
子どもの医療費が対象18歳まで拡充し、助成内容を前進させていることは評価できます。しかし、小学校給食費が昨年より1食あたり16円値上がり、年間約3000円負担増となる。公立保育所3歳児以上の給食費が月300円値上がり、年間約3600円増となる。準要保護就学援助金の入学支度金は他自治体に比べ、2年連続小学校で約1万円、中学校で約1万5千円も低いまま手がつけられていません。児童ホーム育成料の決め方を変更し、それによって負担増となる子どもが、推計値で4.7%増えるなどの問題があります。
Q4 .市民の暮らしが厳しさを増す今こそ予算編成上、子育て世代の負担を増やさない目配りが求められており、配慮すべきではないでしょうか。
答弁要旨
若い世代が希望をもって尼崎で生活し続けたいと思えるようなまちづくりを進めるうえで、子育て世代が抱える負担を軽減し、多様なニーズへ対応していくことは私にとっても一丁目一番地の取り組みであると考えています。
そうしたことから、「子ども・子育てにかかる支援」を市が重点的に取り組む項目に位置づけ、保育料の引き下げやこども医療費助成の拡充など、様々な取組を進めてまいりました。
議員ご指摘の給食費の改定につきましても、材料費の・高騰などによる値上げが避けられない状況の中、保護者の負担を可能な限り軽減するため、費用の一部を公費負担するものです。
一方で、安心して子どもを産み・育てられる環境の充実には、経済的負担の軽減に加え、時間的、心理的負担の軽減も含めた様々な観点からの出産・子育てにかかる支援策が必要であり、それらの実現に向けては子育て世帯の実情やニーズはもとより、本市の財政状況等も踏まえた検討が必要となります。このことからも、まずは「あまがさき子ども・子育てアクションプラン」に掲げた各項目の実現に向けた取組を進めるとともに、今後も国や県の制度改革等も注視しつつ、更なる子育て支援策の充実・強化に努めてまいります。 以上
4.教育のあり方について
教育委員会は「子どもファースト」からより広い解釈につながるとして「子どもセンタード」という用語を使うようになってきています。大変良いことだと思います。子どもを中心にして、教育をどう充実させようとしているのか、この言葉を使用することの意味、その目的はどこにあるのか、たえず考えていかなければならないと思います。
私は常々、学力至上主義、点数主義、競争主義が子どもたちを壊しているのではないのか、また置き去りにしてきているのではないのか、この考えを改めない限り子どもの健全な発達は得られないのではないのかと思っています。
教育の目的とは何でしょうか。近年、教育の現場から子どもの全人格的な発達に取り組むということが聞こえてこなくなっていると感じているのは、私だけではないと思います。
日本の教育はどうなっているのか、その目的について探ってみました。教育基本法2006年の改正から紐解き、様々な文献を参考にしているうちに、法政大学教授児美川孝一郎氏の一文に目をひかれました。紹介します。
『教育基本法の改正について、旧法の第一条「教育の目的では」、人格の完成を目指し平和的な国家及び社会の形成者としての国民の育成を期して行われなければならないと、主体的なつくり手を育てることを期すとされていた規定には、改正後の第一条ではそのために「必要な資質を備えた」という言葉がわざわざ追加されました。必要な資質を身につけていない子どもは、国家・社会の主体的なつくり手になどならなくてもいいと言わんばかりです。教育改革において財界や経済界経産省は人材という言葉を使っています。教育の目的が変えられ、経済界に役立つための必要な資質を備えたものが人材と言われるわけですが、今なら、そうした文脈において文科省までが人材という言葉を使用しています。みんな同じ土俵に乗ってしまい、誰も人格の完成などという武骨なことは言えなくなりました。』とあります。
児美川氏は、また戦後の教育改革の流れの中で育ってきた世代は、ある特徴を有していると分析されています。
何でも市場に任せ、競争を煽り、勝ち組が利益を独り占めにしていく新自由主義の考え方が社会全体に強要された結果、なんでも自己責任を多くの人々が受け入れていく状況が生まれていると指摘されています。
児美川氏は、『新自由主義の内面化は自分事ではないことに関しては「傍観」を勧めます。自分に火の粉はかかってこないのだから、そのくらいは見て見ぬふりをしろとささやくのです。他方で、自分ごとの問題は自己責任で受容しろと迫ります。競争社会の中で、学校に入ってからずっと他人と競わされ評価を受け続け、小学校受験から始まり中学入試、高校入試、大学入試そして就職活動まで、すべては自己責任であると言われてきました。とうの昔から自己責任を内面化させられているのです。競争原理で世の中は回っているのだから努力した人がいい目を見て、そうでない人はそれなりの状態に甘んじざるを得ないと教えられてきたのです。そういう感覚で世の中のことを見ていれば、最初は多少の違和感を持つことがあったとしても、それは最終的には自己責任の論理に回収されていきます。なんとか歯止めをかけていかないと、社会が問題を認識しない、社会的要因で引き起こされた問題が、全て自己責任に置き換えられていけば、社会的発展、文化の発展は遠くに追いやられ、経済的発展のみが目的化されてしまうのではないでしょうか。』と論じられています。私は、教育を取り巻く環境と社会的的影響によって、人間が自分のことを自分で縛って自己規制しているのだと半ば納得させられました。
Q5 .このような新自由主義の内面化が進んでいるとの論に、市長はどう思われますか、また本来の教育の果たすべき役割を市長はどう考えますか?
答弁要旨
私も戦後教育改革の流れの中で育ってきた人間として、児美川氏のご指摘を伺いますと、大変肩身の狭い思いをいたしますが…
私自身は「新自由主義」と言ったらよいのか、「資本主義」と言ったらよいのかわかりませんが、このことと教育における競争原理との因果関係は、素直に受け止めることができず、例えば、中国における「科挙」や、もっとさかのぼれば、各国の文明で多くみられた身分制度なども、ある種の人間の中の差別化・競争でありますので、その意味では、人間そのものに備わった、仏教でいう「業(ごう)」のようなものではないかと受け止めています。
その上で、「教育の本質」は、文化の継承と一人ひとりの人間がより豊かで幸せな人生を送るための成長を手助けすることが第一であると考えており、その結果、平和でで民主的な社会を担う構成員の育成を目指すものであると捉えています。
この思いは、今回定めた「教育大綱」の冒頭に記載させていただきましたので、改めて、読み上げをさせていただきます。
「「教育」は、先人が蓄積した文化を継承しつつ、一人ひとりが、他者を尊重し助け合いながら、それぞれの持てる能力を最大限に発揮し、より豊かで幸せな人生を送るための成長を手助けするものであり、そのことを通じて、平和で民主的な社会を担う構成員の育成を目指すものです。
われわれは、教育の本質である、個々の内発的動機付けを重視し、一人ひとりの学習する権利の保障を目指します。」
少なくとも、教育は、国家や資本が先に来る時代ではないのだろうと思っています。
以上
- 人口減少社会をどう乗り切るか?
「少子化・人口減少社会と地域・自治体ができること」と題した、自治体問題研究所の中山徹先生の講演をお聞きしました。その要旨をご紹介します。
政府は異次元の少子化対策として、様々な対策を講じています
しかし政府の異次元の少子化対策はには、5つの大きな問題があります。
1、新自由主義的な雇用政策は見直しされず、放置されています。国際競争力を強化するため人件費の削減、正規雇用を減少させる不安定就労の拡大、そして賃金の低下がもたらされてきました。こうした状況のもとで自分の将来を見通せない若者が結婚し子供を産むのかという問題があります。
2つ目の大きな問題としてジェンダー問題には手をつけていないということもあります。女性の社会進出が進んでいるにもかかわらず様々なジェンダー問題が存在しており、家事育児の負担が女性にかかっている限り少子化対策は前進しないのではないでしょうか。
3つ目に長時間労働全体の見直しがされていません。子育て期間のみ長時間労働を是正するのは困難です。日本の長時間労働全体を改善しつつ、その中で子育て世帯の長時間労働を見直すべきです。
4つ目に、東京一局集中の見直しがありません。若者が東京に集中していますが、東京の合計特殊出生率は常に全国最下位です。東京は通勤時間が長く、住宅が狭いなど子育てしにくい街となっています。東京に若者が集中している限り少子化は止まりません。
5つ目に、教育費の個人負担が大きすぎると言う問題にも対応できていません。 以上5つの問題です。この問題解決を含めて
今後どのように少子化対策を進めるべきか。提言されています。
国レベルでは、これまでの新自由主義的な政策を抜本的に改めることが必要。女性の就労と育児の両立を可能にする、すべての年齢層を対象とした働き方改革を進める、東京一極集中の是正、教育費の自己負担を軽減する、少子化対策の財源は大手企業、富裕層に求めていく。
自治体レベルでの少子化対策として、市区町村によって行われる少子化対策は経済的支援が大半となっており、まちづくりとの関係で少子化対策をどう位置づけるか重要と指摘されています。以上、中山徹氏の講演要旨です。
私がこの講演で学んだことは、少子化対策は国の対策と自治体の対策が両輪となって推し進められなければならないということでした。尼崎市における少子化対策の基本的な考えを見直さなければならないと思いました。
自治体として少子化対策を進めるために、経済的支援や専門性の重視、地域の参加を促すことが重要。経済対策と一体化し、地域全体が子どもを大切にする環境を作ることが求められている。また、施設の統廃合を進め集約化することではなく、住み続けられるまちづくりの中で少子化対策を推進することが必要ということでした。
Q.6 子どもの減少に応じて、学校、公立幼稚園の廃止、公立保育所の民間移管などではなく、少人数学級・少人数保育の導入で、地域に学校・幼稚園・保育所を残しつつ教育環境の改善、保育環境の改善を進めるべきだと考えるが、市はどう思うか?
答弁要旨
本市では、多様化する保育ニーズへの適切な対応や、保育所機能の充実とより効率的な保育所運営を行うこと、老朽化した保育施設の環境改善、待機児童の解消に向けた取組などを目的に、公立保育所の民間移管を進めてまいりました。
こうした中、社会情勢や子育て家庭の状況など保育を取り巻く環境の変化に対応するため、民間移管を含めた、今後の公立保育所のあり方について、改めて、検討を進めています。
今後におきましても、保育ニーズに応じた保育定員の確保を図るとともに、国が定める保育士配置基準に沿った保育体制の確保に努めるなど、こどもたちの安全・安心につながる保育環境の改善に取り組んでまいります。以上
教育長答弁要旨
小中学校一学級当たりの児童生徒数には基準が定められており、議員ご提案の、地域に学校を残したまま現行の基準数を下回るような少人数学級を導入すれば、学級数と学級担任の教員を増やす必要があり、その増員に要する費用は市が負担することとなります。
こうした費用負担の問題のほか、近年の教員確保の難しさを踏まえると、国・県の基準数を下回る少人数学級の導入は現実的ではなく困難であると考えております。
また、市立幼稚園については、「尼崎市就学前教育ビジョン」に基づき、効果・効率的な運営体制を構築すべく、令和6年3月に条例改正を行い、保護者需要等を踏まえる中で、9園のうち3園を廃園するとと
もに、残る6園のうち4園で3年保育等の充実策を実施することとしました。
幼稚園は、様々な園児同士が関わること等により、人格形成の基礎を培うとても大切な時期のため、適切な人数の中での保育が望ましいと考えており、今後も「尼崎市就学前教育ビジョン」に沿った取り組みを丁寧に進めてまいります。以上
6、市職員の雇用のあり方について
尼崎市の正規職員は、この約30年間で最高時の約5600人から昨年の3100人へと、45%も減りました。会計年度任用職員など非正規職員の割合が、再任用を除き全体の40%近くを占めています。非正規の皆さんは働く時間が決められており、原則として残業を求められることはありません。
正規職員を減らしてきたことにより、会計年度任用職員の雇用に頼らざるを得ない状況となっています。しかし会計年度任用職員は、勤務時間が限定されているため、コロナ期にみられたように、正規職員に過大な負担がのしかかっていた状況からは何とか脱しているとはいえ、この歪な構造を続ける限り、災害時、マンパワーの不足は如何ともし難い状況となっています。
またワークライフバランスの観点から見ても、非正規職員の1年ごとの契約更新は安定的な雇用が得られなくなっており、正規職員の働き方にも影響を及ぼし、改善、改革が求められているのではないでしょうか。希望があれば、働く時間が選べる、正規に登用するなどの人事政策を改めることが必要となってきています。
Q7 . 今こそ、正規市職員の雇用を増やす方向に人事政策を転換すべきと思いますが、市の見解は?
答弁要旨
市役所の正規職員の適正数については、様々議論があるところでありますが、あらゆる非常事態を想定したときに必要となる最大の職員数を見越した正規雇用数を維持することは、現実的ではありません。
非常変災時に、全ての部局が同じように忙しくなるわけではないことから、仮に、マンパワーがひっ迫した部局が出たとしても、組織全体で柔軟に助け合える組織文化を、平時から作っておくことが大切と考えています。
一方で、例えば、今後、デジタル化や児童相談所の体制整備、救急需要の増加に対応するための救急隊の増隊など、通常業務において、必要業務量が増している分野もございます。
こういった分野については、正規職員の採用を進め、通常業務が確実に担える体制整備を進めてまいります。以上
7、公立幼稚園 長洲・小園・竹谷3園の廃止
2023年、市は「尼崎市就学前教育ビジョン」を11月に発表しました。その中で、9園ある市立幼稚園のうち、入園希望が定数を大きく下回る長洲・小園・竹谷の3園の廃止を2025年度から実施するとしていました。
このビジョンに対し、12月に意見聴取が行われ、700を超える意見が出されました。そこでは「来年の入園募集を行う10月を過ぎて11月にこのビジョンが発表されており、廃止が決まっているところに応募なんかしなかった」等の意見が数多く出されており、事前の計画の周知が徹底されていなかったことが明らかになりました。
そして意見を参考にするとの当局見解で、3園の廃止を1年間先送りする方向が示されました、まさに朝令暮改です。3園廃止は拙速すぎるということは、はなからわかっていたことです。
しかし1年延期だけでは根本問題は解決されません。幼稚園は公立が2年、私立は3年保育の違いがあります、以前から共産党議員団は公立の3年保育を実施する中で、市立幼稚園のあり方を検証するべきと提案していました。公立だけ2年保育では年々公立の入園希望が少なくなるのは当たり前であるにもかかわらず、教育委員会は2年連続応募者が少なければ廃園という決まりを変えようとしてきませんでした。今回もこの規定はのこされ、3年保育を実施するのは4園だけで、2園は据え置かれています、これで正しい検証ができるとは思われません。すでに2年保育しか行わない園和北と武庫は廃園を決定したも同じ扱いとなっていくのではないでしょうか。
また今回のビジョンでは、就学前のインクルーシヴ教育(障がい児との共生)の必要性が打ち出されていますが、公と私でどう取り組んでいくのか議論が不足しています。特に公立はこうした問題を研究する機関としての役割とともに、障害のある子どもたちをあずかる最後の砦としての役割を持っています。かつては18園もあった公立が9園まで減り、さらに6園、最後には全くなくなる恐れも内在しています。そうなれば、障がい児保育やグレーゾーンの子どもたちの受け入れ先の多くが、失われてしまいます。さらにインクルーシブ教育のリードオフマンとしての公立の機能も失われてしまうのではありませんか。スクラップアンドビュルドの考え方をこの分野に持ち込んではなりません。公立の役割を軽視しないでほしいと願います。こうした数多くの問題があるにも関わらず、市教委はすでに「尼崎市就学前教育ビジョン」計画は決定と取り扱っています。
Q8 .今一度、「尼崎市就学前教育ビジョン」計画を中断して、この問題を全市的に議論すべきだと思います。
教育長答弁要旨
市立幼稚園は、近年利用者数が大幅に減少する一方、特別な支援が必要な幼児が増加傾向となる等、多くの課題があります。
そのため、令和3年度に設置した「尼崎市立幼稚園のあり方検討会」の報告書を踏まえた上で、「尼崎市就学前教育ビジョン」を策定しました。
その策定作業の過程においては、市民意見聴取プロセスに基づき、各市立幼稚園での保護者説明会や各地域での市民説明会等を数多く実施するとともに、法人団体とも協議する等、できる限り時間をかけて丁寧に策定事務手続きを進めてまいりました。
教育委員会といたしましても、存続する6園全てで3年保育の実施が出来れば望ましいと考えている一方で、人材や財源には限りがあるため、地域ニーズ等を踏まえ、4園での3年保育実施といたしました。
また、インクルーシブ教育については、存続する全市立幼稚園で充実を図るとともに、私立幼稚園等を対象とした特別な支援が必要な幼児の受入に係る補助制度の創設や、特別な支援が必要な幼児の受入体制について市立幼稚園と私立幼稚園とが情報交換する等により、本市の就学前におけるインクルーシブ教育を推進してまいりたいと考えております。
今後とも「尼崎市就学前教育ビジョン」を推進することで、市立幼稚園については市民に選んでもらえる魅力ある園づくりを目指すとともに、官民が連携して、どの就学前教育施設においても質の高い教育が受けられるよう努めてまいります。
以上
8、PF I(Private Finance Intiative)の活用による下水道事業の整備等について
今後の下水道の整備をだれが担うのかというテーマに関連して、新聞「赤旗」が八潮市の事故を報道しています。紹介します。
1月28日に起きた埼玉県八潮市の県道交差点陥没事故を受け、上下水道施設の維持管理の重要性が浮き彫りになっています。石破茂首相は2月20日、デジタル行財政改革会議で上下水道の老朽化策として、デジタルトランスフォーメーション(DX)を急ぐよう担当閣僚に指示しましたが、優先すべきは技術系職員の確保です。
八潮市の事故は運用から42年たつ下水管腐食が原因といわれますが、下水道に起因する道路陥没は全国で2607件(2022年度)発生。標準耐用年数50年を経た管路の割合は2042年に全国で約40%になるとされ、老朽化対策は緊急課題です。しかし現場では、予算と職員が足りず、日常の運用管理はおろか補修や点検、更新が追いついていません。特に小規模自治体は事務系と技術系職員を合わせても数人以下のところもあり、職員の高齢化も相まって業務のひっ迫は深刻です。
背景には総務省の「集中改革プラン」(2005~2009年度)などによる人員削減があり、上下水道職員数は1995年の6万2千人から2022年には3万9千人に激減しました。
上下水道は、住民の命と暮らしを守る大事な施設です。現場では人にしかできない作業が多数あり、職員の技術やノウハウは重要な財産です。災害時に各自治体の職員が自力で復旧するためにも、技術系職員を抜本的に増やすべきです。以上が赤旗の記事です。
昨年の代表質疑で、下水道事業、東部雨水ポンプ場の建設、維持管理は公共が行うべきと、当局の考えについて聞きました。答弁は、『下水道事業については、経験豊富な技術職員の減少や老朽化施設の急増、将来投資額の縮減などの課題を抱えており、「ウォーターPPP」をはじめとする官民連携により、こうした課題の解決を図っていく必要がある。また、その導入については、下水道管の改築の国庫補助事業の採択要件となることから、維持管理と改築更新の一体マネジメント方式の検討を進める。また、東部雨水ポンプ場の建替えも、市の方針に基づき、「PPP/PFI手法」を検討する』と答えています。
八潮市の事故を受けて当局の今後の対応は、この時の答弁と基本的に変わらないのでしょうか?昨年の能登の災害では、自治体職員が少なくて受援体制ができず、復旧・復興の大きな障害となっていました。
技術系職員は募集しても来ないから民間に頼ると当局は言いますが、処遇改善や働きやすい環境の改善を図る中で対応すべきではありませんか、仕方がないから民間へでは安易すぎませんか。
今後、本市においては、公務員の技術系職員の配置動向は、どうなっていくのでしょうか。今後、技術系の職員がどんどん減少していくと、結果、ほとんど全ての業務を民間に委ねることになってしまい、コスト面でも言いなりになって経費削減どころか経費増大、いざ災害時には協定があるからといっても物理的に民間が対応できないのではないのか、その結果市民サービスの低下は免れないと思います。
技術系職員が募集しても来ない問題は、職員の処遇改善で対応すべきです。インフラ整備の責任は、現在もそして未来も、国と自治体にある、民営化丸投げにつながる民間委託はやめるべきであり、行うとしても限定的に行うべきであると考えます。
Q9 .「ウォーターPPP」の見直しを行い、民間連携が丸投げにならない取り組みを進めるべきではないのか?当局の見解を求めます。
答弁要旨
国が推進する官民連携方式である「ウォーターPPP」は、下水道事業において、施設の老朽化や職員の不足が懸念される中、民間事業者の創意工夫等を活用することにより、効率的かつ効果的なサービスの実現が期待できるものであり、本市では令和10年度の導入を目途に準備を進めているところです。
導入にあたりましては、民間事業者が施設管理の全ての裁量を掌握するという、いわゆる「丸投げ」とはならないよう、災害時の対応も含め、市職員と民間事業者の両方がノウハウを共有・蓄積する官民の適切なパートナーシップを構築するとともに、今後ニーズが増加する施設の老朽化対策や新たな整備については、必要となる市職員の体制を確立し、将来にわたる事業の持続可能性の確保に努めてまいります。以上
以上で第1問を終わります。
第2登壇
9、児童ホームの待機児童対策について
児童ホームの待機児童数は、昨年24年の5月1日現在で290人となっています。前年度の214人と比較すると、76人待機児童が増えています。
待機児童の学年別の内訳をみると一年生が18人、二年生が65人、三年生が123人となっており、児童ホームの運営上バランスの取れた構成となっていません。
実際の入所者数の学年別を見ると、一年1,147人と二年861人、三年445人、4年195人、五年58人、六年18人となっており、学年が上がるにつれて極端に高学年が減少しています。必要度から言うと、3年生までは利用できる環境を整えるべきとの意見もありますが、全ての希望者を受けいれることをめざさなければなりません。
待機者の状況、日常的な居場所は、こどもクラブが242人、自宅が48人となっています。民間利用登録数は660人、うち公設の児童ホームの待機者はわずか21人です。
市は待機児童の解決策として、民間の学童保育を活用とすることを第一にするとして、取り組みを進めています。しかしすでに民間はわずか数年で閉所したりして、不安定な経営状態となっています。待機児童対策は、国基準である施設1箇所40人定員の公設の施設の拡充で対応すべきです。
Q10 .児童ホームの待機児童対策は公設公営で行うべきであり、そのことが公平性平等性を担保するのではないでしょうか。民間の学童保育に安易に頼る方針を見直すべきではないでしょうか?
答弁要旨
児童ホームにつきましては、近年、工場跡地等の大規模マンション開発や児童ホームの利便性向上の取組みによる更なる需要の喚起などにより、入所希望者が増加しており、特に人口集中地域の小学校区で多くの待機児童が生じています。
そうしたなか、待機児童対策として、今年度に武庫庄児童ホーム、令和7年度には上坂部及び園田南児童ホームのクラス数を増設するなど、公設児童ホームの定員拡大に向けた取組を進めているところですが、公設児童ホームのクラス数の増設には、学校に児童ホームに転用できる余裕教室がないなど、実施場所の確保が難しいこと、また、全国的に保育士等の有資格者が不足しており、指導員の確保が難しいことなどの課題があります。
そうしたことから、特に待機児童の多い地域など、本市が開設を推進すべき地域を指定し、指定地域で民間事業者が児童ホームを新規開設した場合に、当該事業者に対して、施設整備に要する費用の一部を補助する設置促進事業補助金のほか、運営費の一部を補助する運営費補助金を交付しているものであり、令和6年5月現在で660人の児童が民間児童ホームを利用されています。
議員ご指摘のように、民間児童ホームの事業所数は、令和3年度をピークに減少傾向にありますが、待機児童の解消に向けては、現在のところ必要不可欠と考えており、官民双方で受け皿整備に取り組む必要があるため、民間児童ホームの定員数及び安定的な運営の確保に向け、令和7年度から補助金制度を拡充することとしており、今後も公設児童ホームのクラス数の増設とあわせて、民間児童ホームの参入を促進してまいります。以上
10、公立保育所の今後のあり方について
公立保育所の今後のありかた、民間移管計画が見直されようとしています。これまで、まるで秘密会のような、2年にわたって職員だけの庁内議論を行い、そこでまとまった意見を、新しく立ち上げる審議委員会で検討、成案化するとのことです。かつて45カ所あった公立保育所は9カ所にするというのがこれまでの方針でした。公的保育はどうあるべきなのか、尼崎における公立保育所の民間移管の検証、ふりかえりを十分に行い、全体的に検証結果を共有すべきではないでしょうか。順番、方法が間違っています。そこで成案がまとまると、それが決定になっていくのが通例です。尼崎における公立の果たす役割はもう終わったと判断するに等しい乱暴なやり方です。なぜ庁内だけの議論を先行させたのでしょうか、またしても市民は置き去りにされているのではないでしょうか。
Q11。まずは、広く関係する団体、専門家、地域、市民の意見を聞くべきです。職員だけの議論で結論を押し付ける「今後の公立保育所のありかた」の検討は見直すべきです、再考を求めますがいかがですか?
答弁要旨
公立保育所の民間移管は、平成19年に策定した「公立保育所の今後の基本的方向」等に基づき実施してまいりましたが、策定から15年以上が経過する中、子ども・子育て家庭や保育を取り巻く環境は大きく変化しています。このような背景を踏まえ、公立保育所に求められる役割の再整理が必要なことから、昨年度、まずは庁内の関係課で構成する会議体を立ち上げ、検討を重ねてまいりました。
議員が御指摘されている趣旨を踏まえ、学識経験者、関係団体及び保護者代表からなる委員で構成された「公立保育所のあり方懇話会」を昨年10月に設置し、庁内会議体で議論した課題について御意見をいただきながら、検討を進めています。
当該懇話会の運営におきましては、保育に関連した客観的データを示したうえで、委員それぞれの立場から、幅広い視点で御協議いただいています。
今後、引き続き懇話会で御協議いただきました後、当該懇話会からの御意見を踏まえ、「公立保育所の今後の基本的方向」の見直しを行い、民間移管を含めた公立保育所のあり方を整理してまいりたいと考えています。以上
11、体育館の断熱化、空調について
日本共産党議員団は、22年12月から1月と23年8月と、築40年以上の老朽化した34校の学校施設を視察して、これまで様々な要望を行ってきました。主にはトイレの洋式化、体育館の断熱化・空調整備、学校のプール環境の改善等々についてです。すぐに改善が行われたものもありますが、しかし残された未実施の課題は大変多く、一朝一夕に改善は困難です。中長期の計画とともに何を優先課題としていくのか充分な検証が必要でもあると思います。
昨年の代表質疑では、体育館の断熱化・空調整備をすすめる計画を、24年度あらためて実施する考えはないかと質問しました。答弁は「学校施設の整備改修については、老朽化した校舎の建替えや大規模改修、トイレの洋式化、照明器具のLED化など児童生徒の安心安全な教育環境を維持・確保していくため、多額の経費が必要、一定の財源の中で優先順位をつけて取組を進めている。来年度ただちに体育館の空調整備についての計画を策定する予定はないが、その必要性は認識しているので、他都市の事例や機器メーカーからの情報収集など、実現に向けて、より実効性のある空調設備の調査・検討を進める。」とのことでした。
政府は12月17日に成立した2024年度補正予算で「空調設備臨時特例交付金」を創設しました。政府は全国の小中学校体育館の設置率は22、1%にとどまっており、全国の小中学校の95%が避難所に指定されていることから、今後10年間で設置率を95%まで引き上げる目標を掲げ、新たに交付金を創設しています。
尼崎では、今年度、中学・高校の体育館から進めるとして3校の名前が上がっています。考え方として2026年度からの本格的な地域クラブ活動が実施されることからこのような優先順位になったのではないかと推測しています。しかし、体育館はどこも避難所として指定されています、学校ごとの課題を明示して、今後何年かけて実行していくのか、全体計画を示すべきではありませんか。市民は自分たちが居住している体育館の空調整備はいつから始めるのか、その優先度について納得のいく説明を求めていると思いますがいかがでしょうか。
Q12 .お尋ねします、体育館の断熱化・空調の全体計画はどうなるのですか、その優先度の考え方とともにお示しください?
教育長答弁要旨
学校体育館の空調整備につきましては、夏休みを含め使用頻度が高いことに加え、避難所としての市域全体の配置バランスを考慮し、まずは中学校、高等学校から優先的に整備を進めてまいります。
今回、国において新たに「空調設備整備臨時特例交付金」が創設されましたが、断熱性能の確保が要件とされていることから来年度は、断熱性能等が異なるタイプの体育館の整備に着手し、より効果的な整備方策について検証したうえで、小学校を含む全体計画を踏まえた整備方針を来年度中に策定し、できるだけ早期に全小中学校への設置に努めてまいります。以上
12、図書館のあり方について
北図書館が昨年8月半ばより約1ヶ月半の間、一定期間閉鎖やサービスの限定がされていました。
8月7日突然冷房が効かなくなったそうです。年度初めの空調点検では異常がなかった、すぐ直せないので他の公共施設から冷風機を借りてきたりして急場をしのいでいたが、それも夏の暑さに限界となり、8月15日から閉館されていました。復帰まで時間がかかったのは、空調は20年ぐらい使っている機械なので、部品の調達等がなかなかできなかった。また図書館そのものの建て替え問題もあり、検討していたからとのことでした。公共施設のメンテナンスが計画的に充分に行われていたのか問われるところです。また、運営が指定管理となっているからそうだったのかこの問題の検証と総括が必要だと思います。
Q13 .お尋ねします。図書館が1ヶ月半もの間、休館やサービスの限定を余儀なくされたことについて、事前対策で防止できなかったのか、指定管理という運営上の体制に問題はなかったのか?
答弁要旨
北図書館の空調設備につきましては、夏場の最も暑い時期に故障したため、利用者や職員の健康を配慮し、令和6年8月15日から一部のサービスを除き館内の利用を一時的に休止しました。その間は、貸し出し・返却業務のみ出入口にて対応しました。急遽、空調機を1台設置し、9月3日に窓ロカウンターで貸出し・返却業務を再開、暑さが和らいだ10月1日より全ての館内サービスを再開しました。
故障の主な原因は、冷温水発生機のコントロールモーターが老朽化により突然故障したものであり、稼働前の保守点検や試運転では不具合は確認されておらず、予期せぬ事態であり、指定管理者の運営体制に問題があったとは考えておりません。
また、故障後の指定管理者の対応も中央図書館や専門業者等と緊密に連携する中で、適切に対処できたと考えています。(以上)
1月に会派視察で福井市の図書館を見てきました。そこの運営については、図書の貸し出し窓口については、一部委託するなどしているが、全体としては指定管理を行なっていませんでした。そこで質問すると、やはり佐賀の武雄市で起こっていた蔦屋に対する指定管理の問題を重く受け止めて、指定管理は図書館運営にそぐわないからと福井市は実施していないということでした。
Q14 .図書館の運営についても学校や地域との連携など、全市的な観点で考えられていかなければなりません。これまでの図書館の指定管理を実施してきたことをどう評価しているのか、また指定管理のあり方を見直す考えはありませんか。
教育長答弁要旨
図書館の主な役割は、「いつでも、誰でも」図書に親しめる環境をつくり、読書を推進することであり、地域や学校と連携し、きめ細かな図書サービスを展開することが重要であると考えています。
本市の図書サービス網は、中央図書館と北図書館を中心に構築しており、直営の中央図書館は、主に学校や生涯学習プラザなどの関係機関との連携を図る、いわば全体の司令塔の役割を担っております。
一方、指定管理制度を導入している北図書館では、民間の専門知識を活かし子ども向けのお話し会や大型紙芝居大会を定期的に開催することで幼少期からの読書習慣の定着を図るなどの取り組みを行っております。このように両館が相互に補完し合う関係性のもと成り立っていることから、現行の体制を見直すことは考えておりません。(以上)
13、市の住宅政策について 賃貸低所得者への家賃補助制度
昨年の代表質疑で、低所得高齢者の住居補助制度の充実、高齢者のための市営住宅を増やすことについてお聞きしました。市の答弁は「市営住宅については、高齢者が入居しやすいよう、抽選時の優先入居枠の設定、高齢者のみが申込みできる部屋を設けるなどの取組も行っている。加えて、23年9月より、定期募集で入居者のなかった部屋については、常時募集にするなど、高齢者などが入居できる機会の拡充にも努めている。市営住宅の管理戸数については、今後の持続可能な管理運営の観点から、削減することとしているが、低所得者の方々の大切なセーフティネット機能でもあるので、こういった機能については、引き続き、維持できるように留意する。」との答弁でした。
国の住宅政策のもとでは、少子高齢化や人口減少が顕著に進む中で、市場重視で住民への適切な住宅供給や、安心・安定した居住の継続への支援をすることはますます難しくなってきています。先般も真崎議員が議会で紹介していますが、杉並区の岸本聡子区長は、「命と暮らしを守る最前線にある自治体にできることはあります。選挙公約で住まいを失った人や失いかけている人に対して、安定した住まいの確保を最優先とする、ハウジングファーストの理念に則った支援を行ない、民間賃貸住宅に暮らす低所得者を対象にした家賃補助制度を創設することを掲げました。『住むことは権利だ』という視点に立つと住宅政策は大きく変わってきます」と述べられています。非常に高い見識だと思います。居住保障の実現をめざす自治体住宅政策への転換が尼崎でも必要だと思います。
Q15 . 民間賃貸住宅に暮らす低所得者を対象にした家賃補助制度を創設することにどのように考えていますか?
答弁要旨
住宅に困窮する低額所得者につきましては、住宅セーフティネットの根幹であり、類似中核市と比較しても多くの管理戸数を有する市営住宅での対応を基本としており、必要に応じた家賃の減免制度を実施していることから、住宅セーフティネット施策である家賃低廉化の補助などの経済的支援や、個人に対する給付としての家賃補助を実施する予定はございません。以上
14、中小企業支援策について 住宅・店舗リフォーム助成で市内循環型の経済発展を
これまで、中小企業支援策として住宅・店舗リフォーム助成制度を行い、市内循環型の経済発展をと何度も訴えてきました。しかし、市は「商店リニューアル助成制度」は、助成がなくともいずれ実施されるであろう店舗改修を前倒しして行うものであり、新たなリニューアル需要を生むものではない」との答弁を繰り返してきました。また本市では、「商店リニューアル助成制度」よりも、省エネ効果や商店街活性化を重視した「脱炭素化設備等導入促進支援事業」や「空き店舗改修」を優先している。また、空き家問題と地域経済活性化を同時に解決するため、「エコリフォーム助成」ではなく、「空き家改修助成」を実施していると述べています。
実際にこの制度を実施している高崎市では、この制度を14年も続けています。
高崎市の「住環境改善助成事業」は、市民が市内業者に住宅の修繕や改修工事を依頼すると、助成金として工事に要した費用の30%、上限20万円を支給し、間接的に市内中小企業・業者を支援する制度です。
同時に既存住宅の長寿命化や住環境の改善を図ることを目的としています。外壁や屋根の塗装などの外装工事、浴室やキッチンなどの水回り改修工事、壁紙の張替えや障子ふすま、畳の取り替えなど、非常に多くの種類の工事が助成対象になっています。
予算規模は、当初予算で1億円、申請は500件の見込みですが、補正予算5千万円を足して2022年度は1億5千万円、805件の申請。総工事費951,051千円で、予算額の6倍以上の経済流通となっています。
当初は、3年間実施して、その後継続するかどうかを検討するということでしたが、市民からの継続の要望が強いということです。
高崎市には、市民が市の事業をただ利用するだけにとどまらず、まちづくりに協力していこうとのエネルギーを感じます。住宅・店舗リフォームか空き店舗・空き家対策どっちがいいのか、対立的に硬直的に捉えるのでなく、できることは積極的に取り組むべきではないでしょうか。実行して検証すべきではないでしょうか。
Q16 . 市内循環型経済を発展させるために、商店リニューアル助成事業や、住宅リフォーム助成制度の実施について再考を求めます
答弁要旨
ご提案の商店や住宅リフォーム助成制度は、対象事業者を市内事業者に限定することや助成金額の条件設定を行うことで、一定の経済効果が発生するものと考えますが、リフォーム需要の前倒し効果はあるものの、リフォーム自体の総需要の増加につながるものではなく、地域経済全体に及ぼす効果は限定的であると認識しています。
そうしたことから、本市としましては、市内事業者による省エネ診断から設備導入までを対象に補助を行う、「脱炭素化設備等導入促進支援事業」や、商店街の活性化につながる空き店舗改修など、地域経済効果に加え、省エネや本市が抱える課題の解決にも資する取組を優先することが望ましいと考えています。
また、住宅に関しましても、居住中の住宅へのリフォーム助成ではなく、活用可能な空き家の利活用を促進する「空き家改修助成」など、本市が抱える空き家問題の解消を優先することが望ましいと考えています。以上
15、公園の整備について
中央公園、小田南公園のリニューアルが進んでいます。両公園の木々がかなり伐採されていることに多くの市民が驚いています。中央公園は公園PF I事業で行われており、そのなせる技かなと思います。市内には、この事業に馴染む公園はここだけのとのことですから、問題はこれ以上拡大しないのかもしれませんが、あまりにも変容を遂げる公園PFIのあり方については、今後これで大丈夫なのかとの思いを強くしています。
今後全市的に、みどりのマスタープランによって公園の見直しがされるようですが、どのように市民意見を拾い上げていくのでしょうか、気になるところです。
Q17.公園をエリアや機能で分担して、特色づくりを行うということですが、どのようにして実行して行くのでしょうか。
また、日常的な公園整備についても、老木の処理、草刈り、掃除、洋式トイレの設置等、課題は多岐にわたります。市民からの問い合わせ、苦情に敏速に対応できる体制、それに伴う予算措置など全市的な整備計画が必要となっていると思います。
Q18.市民にとってより良い、憩いの場としての公園づくりのための維持管理、整備計画が必要と思うが、今後どのように対応していこうとしていますか?
答弁要旨
昨年度末に改定した「みどりのまちづくり計画」では、主要な取組の1つに魅力ある公園づくりを掲げ、その中では、身近な公園の機能分担について取り組んでいくこととしています。
機能分担とは、一定の地域にある複数の公園を一体的に捉え、利用実態や施設の状況、地域ニーズに合わせて、例えば「遊具の充実した公園」や「ボール遊びができる公園」といったように、公園の機能を分担するというもので、利用実態の把握や、公園ごとの役割を考える際など、検討の段階に応じてアンケートやワークショップなどを通じて、地域住民との協働で進めていくこととしており、その対話を重ねる中で、学校とも連携しながら取組を進めてまいります。
また、併せて老木の処理、草刈り、清掃などの日常的な維持管理やトイレなど公園の諸施設のあり方についても、そのなかで検討を進めながら、効率化や省力化に向けてICTを活用した公園情報のデータベース化にも取り組むことで、今後も市民の皆様により良い憩いの場としての公園づくりに努めてまいります。以上
16、個人情報保護法について 自衛隊への個人情報を電子データでの提供
個人情報を提供できる根拠として自衛隊法97条一項「都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行う」や同法施行令第120条「防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市 町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる」が引用されています。しかしこの条文によれば防衛大臣は自衛隊員の募集に必要があると認める場合、都道府県知事や市町村長に対して必要な報告や資料の提出を求めることができるとしか書かれていません。提供されている個人情報は、まさしく個人を特定できるものであり単なる資料として扱うものではありません。
一方で個人情報保護法に基づく規定も存在します。個人情報保護法第69条第一項では、「法令に定めがある場合を除いて自治体が保有する個人情報を利用目的以外の目的で提供することはできない」と規定されています。ただし個人情報保護委員会は自衛隊法施行令第120条に基づく個人情報提供は法令に基づく場合に該当するとの見解を示しています。政府は個人情報の提供はあくまで自治体への協力であり住民基本台帳法は、防衛省自衛隊が行えるのは閲覧請求だけだとしています。この問題は法的な側面だけでなく個人情報保護と公益についても考慮していくことが必要です。
またこのような提供が行われるようになったのは、2019年に安倍首相が自民党大会や国会答弁で自衛官の募集業務について自治体が非協力だと発言したことがきっかけでした。その後、2020年12月18日に閣議決定がなされ、2021年2月5日に防衛省と総務省から自衛隊法を根拠とした「個人情報」の提供は、「住民基本台帳法」に特段の問題を生じるものではないとの通知が出されたことで、2022年度には、1068の自治体が自衛隊に個人情報を何らかの形で提供を行うまでになっています。
個人情報は、憲法13条の基本的人権に含まれるものでプライバシーへの関心が高まる中で、住民基本台帳法や個人情報保護条例などで厳格に扱われてきました。このような中で市は自衛隊から求められるままに個人情報を「電子データ」として提供を続けています。
データ提供を拒否できる制度は周知の不備もあり、機能しているとは到底思えません。まず市が自衛隊に市民の個人情報を提供していることを、多くの市民は知りません。情報提供をやめよとの市民からの要請があって、ようやく市は個人情報提供の辞退を求める手続きを定めましたが、市のホームページに載せているだけで、周知は徹底されていません。その結果、情報提供の拒否を行っている市民は、今年度18歳で4人、22歳で2人と極めて少ない状況となっています。
Q19.個人情報保護の観点から住民基本台帳の電子データでの自衛隊への提供はやめるべきです、市の見解は?
答弁要旨
自衛官等の募集に係る住民基本台帳情報の提供につきましては、自衛隊法第97条に基づく法定受託事務
として実施しており、自衛隊法施行令第120条に基づく、防衛大臣からの資料提供依頼に応じて、自衛官及び自衛隊候補生の募集のため必要な住民基本台帳情報を提供しているものです。
そうした中で、個人情報保護の取り扱いにつきましては、議員ご紹介のとおり、個人情報保護委員会において、「個人情報保護法第69条第1項の法令に基づく場合に該当する」とされているところです。
一方で、情報提供を望まない方への対応としましては、令和4年度から、兵庫県下では最初に除外申出の受付を行っており、データを提供する時期だけではなく、本市のホームページにおいて常時掲載しており、引き続き、より多くの市民の皆様に認識していただけるよう、努めてまいります。(以上)
17、がん検診について
今国会で、高額療養費の患者負担増を巡って、議論がされていました。高い医療費がかかった時、患者負担に上限を設ける高額療養費制度は患者の命綱です。その上限額を大幅に引き上げようとする石破政権。「全国がん患者団体連合会」などが取り組んだ反対署名は135,000人を超えました。石破首相は長期治療に限って負担増の凍結を表明したものの、高額療養費の上限額の見直し自体は実施する方針です。
この問題で注目を集めているのが、がん治療患者です。高額な医療費のため生活がままならない患者にとって、この制度があるからこそ生きていくことができる、制度を存続させてほしいと言う声が大きなものとなっています。
そして何よりも、がんの早期発見によって高額医療にならない体制整備がより必要とされているところです。
毎年死亡原因の上位を占める各種がんについては、検診による早期発見、早期治療の重要性が年々高まっています。天寿を全うするまで健康であり続ける「健康寿命」の延伸は誰もが願うことです。医療費の抑制にとっても早期発見、早期治療が有効であることは論を待ちません。
阪神間他都市が、軒並みがん検診を無料、あるいは低廉な費用で実施しています(2024年度伊丹市は胃がん検診500円、肺がん検診100円、喀痰検査400円/川西市は5大がん検診がすべて無料)
しかし本市においては、肺がん検診300円、胃がん検診800円、大腸がん検診900円、乳がん検診2200円、子宮頸がん検診1500円、依然として有料のままです。がん検診の無償化を妨げているものは、またしても財源それとも市の考え方にあるのでしょうか。
Q20 .お尋ねします阪神間他都市にならって、がん検診を無料にすべきだと思いますが市の見解は?
答弁要旨
日本人の死因の第一位であるがんは、本市においても年間1,500人程度が亡くなっている疾患であることから、がん検診による早期発見・早期治療が重要であり、併せて、医療費の抑制にもつながるものと考えています。
国が定めるがん検診の指針においては、特に受診を推奨する者として、40歳から69歳が(子宮頸がん検診については20歳から69歳)示されています。
阪神間の他都市では、年齢は各市で異なるものの、高齢者を中心とした、がん検診の無料化を実施しておりますが、本市につきましては、国が推奨する初年度にあたる40歳の方に対して、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん検診を、更に20歳の方に対して、子宮頸がん検診を無料化することにより、がん検診の受診の動機付け及び継続的な受診に繋げていくことを目的として、実施しているところです。
どこの年代をターゲットにして、無料化も含めたがん検診の受診勧奨をするかは、財源確保も含めて、様々な研究が必要と思いますが、少なくとも、これまでの取組とし.て、ハガキによる受診勧奨を行った年齢層の受診率が高いという結果から、子宮頸がん検診については、受診勧奨対象者の拡充を考えているところです。
今後、これまでの効果を検証するとともに、引き続き、受診勧奨はがきやホームページ等での情報発信に注力し、がんの早期発見の重要性を市民一人ひとりが意識して、多くの方にがん検診を受診していただけるよう、効果的な取り組みを進めてまいりたいと考えています。以上
18、生活保護について
2018年生活保護法の改正により、保護開始時や転居等の新たに住居を構えた場合など、エアコンの購入費用の支給が可能となりました。昨年の12月議会で、尼崎市の支給実績を聞いたところ、2018年から24年までの6年間で553軒の支給がされておりました。エアコンが設置できていない世帯は、壊れて使用できないものも含め24年末で570世帯全世帯の4.2%ということでした。
昨年の夏は65歳以上の市民が熱中症で病院に救急搬送される事例が相次ぎ、6月から9月までで314人ありました。生活保護世帯では、エアコン設置されていても光熱費を気にして使用を控え、熱中症になる事例がありました。市は、毎年のように夏の最高気温が更新される中、市民の命と健康が守られるよう最善を尽くさなければなりません。
Q21 .生活保護世帯のエアコン設置ができていない世帯に対する措置について、また電気代一部補助への対策について、市としての考えをお示しください。
答弁要旨
定期的な家庭訪問の際に、エアコンの持ち合わせがない、または、故障で使用できないことが確認された場合には、ケースワーカーからお声がけし、必要に応じ、社会福祉協議会の貸付制度の案内を行うとともに、申請手続きに同行するなど、設置に向けての働きかけや支援を行っています。
また、生活保護制度では、電気代の一部補助について、国によって全国一律で様々な基準が定められており、電気料金等の光熱水費は、生活扶助として最低生活費に含まれていることから、市独自での負担は困難です。
しかしながら、気候変動による近年の熱中症の危険性については、特に高齢者の方にとっては、命に関わる問題であると認識しておりますことから、夏季における冷房器具使用に係る電気代相当分の扶助については、引き続き、国への要望を続けてまいります。以上
また、生活保護の受給数が近年減ってきています。受給者が高齢で亡くなるという要因だけではないと思います。決して、低所得の市民の暮らしが向上しているとも思われません。根底には、生活保護は憲法25条の国民は健康で最低限の生活を営む権利を有するとの考えに基づくものであり、権利であるという考えが、まだまだ社会に定着していない問題があると思います。
ここ数年来、尼崎生活と健康を守る会が、毎年行われている市との懇談会で、ポスターを作り公共施設等に掲示し、生活保護は権利であることをもっと知らせていこうと訴えています。生活保護の補足率は、日本は極めて低いと研究者が指摘しています。2018年、厚労省が国民生活基礎調査に基づく推計として出している、捕捉率の数値は所得考慮で22.6%、資産考慮で43.3%となっています。生活保護基準以下で生活している人がたくさんいるわけです。生活保護受給者に対するバッシングはいまだに多く見受けられます、私も相談活動でなぜもっと早く受給申請しなかったのかと聞くと、「恥ずかしい」という答えが圧倒的に多く、また社会に対して申し訳ない、受給していることが世間に知られるのが怖いとの声をお聞きしてきました。安倍首相が、困っている人は生活保護を受給してくださいと呼びかけたのは何年前のことだったのでしょうか。
Q22 .生活保護は権利であるという啓発活動を強め、補足率を引き上げていくための取り組みとしてポスターなどの活用を含めて、実行しませんか?
答弁要旨
しごとくらしサポートセンターや生涯学習プラザ、国民健康保険や市民税の窓口において、生活にお困りの方には、生活保護の窓口へつなぐよう関係部署間で連携を図り、幅広く受け止める支援体制を整えており、市民にとって生活保護の申請の権利が妨げられることの無いよう十分に配慮しています。
生活保護制度の相談では、様々な聞き取りを行う中で生活保護制度上の権利のみならず義務についても漏れなくお伝えしており、ポスターなどの掲示物にて生活保護制度を詳細にお伝えすることは困難と考えておりますので、支援が必要な方に対しては、個別の事情を踏まえた相談・支援を実施し、生活保護を必要とされる方が抵抗感を抱かれるようなことがないよう、丁寧に制度の説明を行っており、今後も寄り添った対応を心がけてまいります。以上
19、万博について
大阪・関西万博の開催まで1ヵ月半となっています。大阪府が進める小中高の児童生徒を学校単位で万博に招待する事業には安全性などに、教員や保護者から懸念の声が上がっています。近隣の市町村から不参加の表明や参加中止を求める声が広がっています。大阪府では吹田市、交野市、熊取町、島本町が招待事業への参加を見送っています。
吹田市教委は、「児童らの昼食時や待機場所での熱中症対策、団体行動をする際の導線などで安全を確保できないと判断。団体として行く際の安全対策の懸念が、払拭されなかった。」とコメントしています。
熊取町の小中学校校長会は、昨年末、保護者に向けて参加見送りを通知。安全面の懸念などを理由にあげています。
安全への懸念が広がったきっかけは、昨年3月に会場内の建設中トイレで起きた爆発事故でした。コンクリートの床約100平方メートルが破損し、地下から1階天井に被害が及びました。万博会場の夢洲はゴミの最終処分場として埋め立てられた人工島です。事故が起きた1区は焼却灰や生ゴミなどの有機物も廃棄される区域。分解過程でメタンガスが発生。ガスが発生しないとされていた他の地区でも工事中にメタンガスを検知しています。
熱中対策も不十分です。医師がいる救護施設は3箇所だけです。熱中症は1人や2人ではなく集団発生する可能性があるのに、医師の数は最大時でも4人。設置されるベッド数は最大で74床。会期中、来場客数はピーク時で1日22万人を見込んでおり、熱中症対策のための手立てがあまりにも貧弱です。
交野市は昨年5月不参加を表明しています。10月には事業の中止を要望しています。交野市長は「万博会場までのアクセスに難があります。バスを確保すると一人当たり5000円程度の費用負担が発生します。電車での移動は混雑が予想されます。危険も伴い、引率する教員の負担が大きくなります。メタンガスの爆発事故への対応や熱中症などの対策も不十分だと感じました。」と述べられています。
尼崎市は、万博の子ども動員について、開幕前に下見をするとのことでしたが、実現できるのか、またその判断を各校の校長の判断に委ねて良いのか。近隣他市でも行かないとの判断を示している自治体が増えてきています。
伊丹市では、昨年の12月議会で「県が実施する大阪関西万博に子どもたちを招待する取組」について議員が質問しています。伊丹市教育委員会は、現時点で万博に行く予定の学校は37%、予定がない学校59%、検討している学校は4%と答えています。参加を希望しない学校に対して参加を促すものではないとも答えています。
伊丹では万博への校外学習に対して具体的な報告を出しています。尼崎はどうなっているのでしょうか?
Q 23.万博に子どもを連れていくことに対して、市長としての、または教育長の判断が必要となってきているのではないのか。こどもたちの安全を守るために危険箇所には行かせない決断が求められていると思うが、市長はどう考えているのか。
教育長答弁要旨
昨日もこ答弁いたしました通り、「万博」は世界中からたくさんの人やモノが集まるイベントで、地球規模のさまざまな課題に取り組むために、世界各地から英知が集まる場所であり、本市の児童生徒が、未来社会や将来の自分を考えたり、SDGsへの関心を高めたりする機会が得られるなど、特別な学びの場になるものと考えています。
一方で、熱中症対策や緊急時の対応、会場までの交通手段の課題などの懸念事項がございます。
校内外における教育活動は、学校が主体的に計画・実施するものと考えており、とりわけ、校外で教育活動を実施する際には、「学習の目的に適した場所であるかどうか」や「現地までの交通手段を含めた安全性」、施設の状況や地理的環境、所要時間等、児童生徒及び引率する教職員にとって無理のない行程となるよう、慎重に検討する必要がございます。
教育委員会といたしましても、万博開幕1週間前に大阪・関西万博博覧会協会が実施する「テストラン」において、事務局職員を派遣して情報の収集を行い、各学校の判断の一助となるよう情報提供に努め、児童生徒の安全面を第一に教育的効果も含め、検討してまいります。
以上で代表質疑を終わります。ここで取り上げなかった残余の問題については、予算委員会の分科会および委員会の総括質疑、意見表明で述べさせていただきます。ご清聴ありがとうございます。