2024.12月議会 松沢ちづる 一般質問と当局答弁要旨

 

日本共産党議員団の松澤千鶴です。私は、①国民健康保険について ②介護保険について ③尼崎駅前2号線歩道の改善について質問します。

 

 まず、国民健康保険についてですが、国策によって大きくその運用が変わろうとしています。一つは、戦後ずっと各市区町村が保険者となって行ってきた国民健康保険制度を、2008年から県が財政運営の責任主体となり「保険料水準の統一」つまり同一所得同一保険料とするための作業が進められ、兵庫県では2027年から2030年をゴールときめつつあること。もう一つは、マイナ保険証への切り替です。12月2日以降現行の国民健康保険証の発行ができなくなりました。

 「兵庫県国民健康保険運営方針」によれば、保険料水準の統一の目的は、県と市町が一体となって、国民健康保険の財政運営の安定化、事務の標準化、広域化及び効率化を図ることとされています。

 尼崎市では、これまでの統一化の作業の中で「葬祭費」「出産育児一時金」が他自治体にならって増額されました。これらは、国保加入者にとってうれしい変化ですが、一番の問題はやはり国保料がどうなっていくのかです。

 

Q1 今後、保険料水準の統一で尼崎市の国保料は上がるのか下がるのか、どのように見込んでいますか。

答弁要旨

 国民健康保険料につきましては、現在、その年度に必要な保険料賦課総額を所得割額、被保険者均等割額、世帯別平等割額に、条例で定める割合で按分し、保険料率を算定した上で、各被保険者世帯にご負担いただいているところです。

 こうした中、兵庫県におきましては、県が提示する県下一律の保険料率への移行時期の目安を、令和9年度としており、遅くとも12年度には全市町の移行が完了し、保険料水準の統一を達成するものとしています。

 保険料水準の統一の際には、先ほど申し上げました所得割額等の按分割合の変更が想定されており、加えて、保険料の算定は、その時点における医療費や所得水準にも左右されますことから、統一によって保険料がどのように推移するのかといったことを、現時点でお答えすることは難しいと考えております。

 

 次に、介護保険についてです。様々な問題や課題がありますが、今回は訪問介護事業と要介護認定に絞ってお聞きします。9月議会で我が会派の山本議員が取り上げましたが、引き続きお聞きします。

 今年度、国により訪問介護の報酬単価が2~3%下げられ、全国的に訪問介護事業所の運営が厳しくなっています。特に規模の小さい事業所は赤字経営が続いているのに、そこに冷や水をかけるようなものです。尼崎市でも今年度にはいって10月までに、6事業所が新規参入したものの11事業所が廃業していると聞きます。

 

Q2 今年度新規参入・廃業した17の訪問介護事業所の事業所規模を教えてください。また、市内での事業所の経営状況をどのように把握されていますか。

 

答弁要旨

 訪問介護事業所の規模については、ヘルパー数の増減に届け出義務がないため、最新の状況を把握することはできませんが、令和6年度の新規指定6事業所の指定時の常勤換算ヘルパー数は、平均で3.2人、廃止11事業所の事業所指定更新等の届出字の常勤換算ヘルパー数は、平均で4.3人となっております。

 また、各事業所の経営状況については、各年度の決算資料等の届出義務がないため、把握することはできませんが、廃止11事業所のうち、主な廃止理由としては「事業統合」と「人員不足」がそれぞれ3事業所となっております。以上

 

 

 続いてお聞きします。要介護認定の申請から確定までの期間が長期化していることは、これまで我が会派だけでなく他会派のみなさんも問題と指摘されてきたところですが、今なお改善されていないのではないでしょうか。介護保険法第27条11項では「申請に対する処分(つまり回答すること)は、当該申請のあった日から30日以内にしなければならない」とされています。

 

Q3 現状、要介護認定申請から確定まで何日かかっていますか。30日以内に改善できていないのならば、その理由は何ですか。

 

答弁要旨

  令和6年9月から11月までの要介護認定申請につきましては、要介護度判定までに平均で42日間を要しているところでございます。

 介護保険法で定められた30日を超過している要因といたしましては、すでに調査員の増員および 調査委拓件数の増加により改善を進めているところではございますが、コロナ禍以前に比べ介護認定申請件数が約一割増加したことに加え、申請者の都合による調査日の遅延や、要介護認定に必要な医師の意見書回答期限の超過などがあげられます。

 

 次に、尼崎駅前2号線歩道についてお聞きします。

ここは、35年ほど前に整備され「未来型都市」と称されたところです。レンガ様のブロックで敷き詰められた歩道、街路樹の並木は、私も好きな空間です。しかし、ここはJR尼崎駅を利用する際の通り道で、朝夕の通行量が多い時間帯は人と自転車が混在して、ぶつかりそうになる状況が日常になっています。また、街路樹の根が張り出し、歩道は凸凹が目立つところもあります。高齢者の方からは「あそこは危ないから通れない」との声もお聞きしているところです。

 

Q4 市は、こうした尼崎駅前2号線歩道の状況を把握していますか。

答弁要旨

 議員ご質問の歩道は、JR尼崎駅北第二地区の市街地再開発事業のなかで、平成11年に完成したもので、その後、自転車の通行環境整備が求められるようになったことから、歩行者と自転車が安全に通行できるよう、それぞれの通行位置を明示するためのピクトグラムや吊看板を設置しているものです。

 この歩道は、駅や商業施設の利用者が集中することから、特に朝夕の時間帯には、歩行者と自転車が輻輳している状況となっています。

 また、整備から長期間が経過したことで、歩道の中央部では、街路樹の値による凹凸が生じ、通行に支障がある箇所や、自転車と歩行者の通行区分を示すピクトグラムの視認性が低下している箇所があることから、部分的な補修について、随時対応してきているところです。以上

 

 尼崎駅前2号線歩道については、デザイン重視も大切ですが、早急に安心して人も自転車も往来ができる道に改善することが求められます。

Q5 市は、今後どんな対応をしますか。

答弁要旨

 先ほどご答弁しましたとおり、東側の歩道に課題があることは認識しており、部分的な補修については、随時、実施してきたところです。

今後は、自転車の車道への誘導なども含め、有効な安全対策について検討を進めていきます。以上

 

 

 次に訪問介護事業所についてです。答弁で事業所規模や経営状況の把握はできていないことが分りました。

私はこれまで何度も介護の学習会に参加する中で、現場の声をお聞きしてきました。訪問介護は、要介護状態になって自分の力や家族の力だけでは地域で暮していけない方々にとって、在宅生活を支えてくれるなくてはならないサービスです。ヘルパーさんたちはその役割に誇りを持って働いておられます。ところが労働状況をみれば、低賃金、非正規労働が圧倒的に多く、慢性的な人材不足になっています。ある訪問介護事業所では主力となっているのは60歳台以上の方々で、最高85歳の方も現役だとのことです。若い人たちに引き継いでいきたいけれど、募集をしても人が集まらないとおっしゃっています。

Q6 訪問介護事所は、誰もがその人らしく生きていける尼崎を創っていくうえで重要な社会基盤の一つだと考えますが、市の認識はいかがですか。

答弁要旨

 高齢者の誰もが自分らしく、誰からも大切にされながら、介護が必要になっても、認知症があってもなくても、その人らしい生活を実現できることが大切です。

 本市では、地域がこうした基盤となるよう、地域包括ケアシステムの構築に取り組んでおり、訪問介護事業所は、介護が必要になった高齢者にとって、住み慣れた地域で居宅生活を送るために、なくてはならないサービスと認識しております。

 加えて、本市の訪問介護サービスの利用は、全国・県平均よりも高く、重要な社会基盤の一つと考えております。以上

 

今、その訪問介護事業所が人材不足と報酬単価の引き下げで存続困難な状況に追い込まれつつあると思います。市にはそうした認識があるのでしょうか。

東京都世田谷区では、今年10月から介護サービス事業所や施設など対象に「緊急安定経営事業者支援給付金」事業を始めました。人材確保や経営に必要な経費を補い、区民に必要な福祉サービスの事業継続を支えるためとしています。もちろんこの交付対象に訪問介護事業所も入っています。この施策をはじめたきっかけは、訪問介護事業者のみなさんが国の報酬単価切り下げに抗議し、共同で処遇改善を求める署名運動を進め区議会に陳情し、全会一致で可決したことによると聞いています。

尼崎市も市民に必要な介護サービスの事業継続を支援するために、独自の施策を考えるべきだと思います。そのために必要なのは、現場を知ることです。

 

Q7 訪問介護事業所の声を聞く場を持っているのか。訪問介護事業所の現状を把握するために、現場視察やアンケート調査で声をきくことが必要だと思いますが、いかがですか。

 

答弁要旨

 9月議会の山本議員のご答弁で申し上げたとおり、現時点で訪問介護事業所の実態調査の実施は考えておりませんが、引き続き、今後の訪問介護事業所の状況に注視するとともに、ホームヘルパー協会等の訪問介護事業所が関わる団体と、適宜、意見交換等を行う中で、実態の把握に努めてまいりたいと考えております。以上

 

答弁要旨

 第10期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に向けては令和7年度に「介護人材実態調査」を予定しており、その調査の中で、「介護人材確保・定着に対して希望する支援」や「事業運営する上での問題」などの聞き取りを検討しているところです。

 また、先程ご答弁いたしましたとおり、ホームヘルパー協会等の訪問介護事業所が関わる団体と適宜、意見交換等を行う中で、実態の把握に努めてまいりたいと考えております。

 

 

 次に要介護認定についてです。要介護認定が遅れることは、必要なサービスを受けたいのに受けられず、状態が悪化したり在宅生活に困難が生じることにつながります。

 11月20日尼崎社会保障推進協議会と当局の懇談会の場で、「確定まで2か月かかっていたところを、職員を2人採用して40~50日になった。30日は無理だ」と当局から回答がありました。納得できない回答でした。

 

Q8 介護保険法で定められている30日以内を遵守すべきではないですか。

 

答弁要旨

 令和6年3月に厚生労働省が作成しました統計資料では、全国的な「申請から認定」までに要する期間の平均日数は、令和4年度下半期で40.2日と、他市におきましても、30日以内の遵守は困難な状況と考えております。もちろん法定期限は遵守するべきではありますが、現状におきましては、先程も答弁いたしましたとおり、申請者の都合による調査日の遅延、医師の「意見書」回答期限の超過などの要因により、平均での30日以内の認定は、困難な状況にありますが、申請から介護認定日までに要する日数の更なる縮減に取り組んでまいります。以上

 

 

次に国民健康保険についてお聞きします。

2030年までに保険料水準の統一がおこなわれることで、国保料が上がるのか下がるのか予測できないとのことですが、今年度から全国に先駆けて完全実施をしてしまった大阪府では、全国の国保料負担ワースト50に府下41市町村全てが入っています。保険料水準の統一は、市町村国保に蓄えられた剰余金や基金を保険料引き下げに使えなくなり、市町村独自の保険料減免制度や独自控除制度も廃止されるものです。当然、国保料は引き上げられると予想されます。

 尼崎では今年度5月末現在で、全世帯に対する国保加入率は25.6%、その内国保料滞納世帯は7292世帯国保加入世帯の12.6%に当たります。知恵を絞って、国保料の引き下げを図ることが求められます。

 

 剰余金(繰越金)・基金についてお尋ねします。これらは、国保加入者が払った保険料の残りです。当然何らかの形で、加入者に返金すべきものです。2023年度決算で、繰越金○円、基金残高○円合計○円、一人当たり○円です。

 

Q9 繰越金+基金を、どのように国保加入者に返していく計画ですか。

Q10 尼崎市も、知恵を絞って保険料水準の完全統一2030年までに国保料引き下げの手だてを考えてはみませんか。

 

答弁要旨

 国民健康保険事業基金につきましては、条例に基づき、これまでから、被保険者の保険料負担に激変を生じさせないことを念頭に、保険料の上昇抑制や失業・廃業などの一般的な保険料減免措置の財源として活用しております。

 今後、令和9年度に県下一律の保険料率が提示された際、保険料負担に激変が生じた場合は、保険料水準統一の達成年度とされている令和12年度までの間に、激変緩和措置として基金を活用できるよう、検討してまいりたいと考えております。以上

 

繰越金+基金は、保険料水準の統一後引き下げに使えなくなります。国保加入者の一番の願いは国保料の引き下げです。市は、この願いにどのように応えるのでしょうか。

 名古屋市では、繰越金は3年かけて加入者に返還するルールを作っています。22年度決算で1人当たり1074円の返金です。山形県河北町では、5年間後期高齢者支援金分の均等割り:1人10,400円を免除しています。いずれも、国の言う「赤字補填は認めない」をうまく理由付けしてクリアしています。

 

 次に、市独自の給付である「結核・精神医療付加金」についてお聞きします。現在はそのほとんどが精神障がい者の通院医療に係るものになっているとお聞きしています。費用の5%あるいは自己負担額のいずれか少ない額を支給するものです。

 「兵庫県における保険料水準の統一に向けたロードマップ」を読むと、保険料水準の統一とはサービスの標準化も合わせて求めるもので、結局のところ、実施している自治体が少ないこの給付金制度は廃止されるのではないでしょうか。

 

Q11 結核・精神医療付加金の給付は存続しますか。

 

答弁要旨

 結核・精神医療付加金は、対象となる患者の治療費の負担軽減を図るため、本市国民健康保険の独自給付事業として実施しているものでございます。

「兵庫県における保険料水準の統一に向けたロードマップ」では、①結核医療付加金については「制度を取り巻く状況に鑑み、今後国民健康保険の給付としては廃止するものとし、廃止粘土については、今後協議の上決定する。」、さらに、②精神医療付加金については、「県内及び全国においても実施している市長が少数であること、他の公的医療保険では制度化されていないこと等の状況を踏まえ、令和9年度以降の国民健康保険の給付としての取り扱いについて引き続き検討する。」とされております。

 本市としましては、これらの趣旨を踏まえ、今後、県と協議・調整を行う中で適切に対応してまいります。以上

 

 

 

マイナ保険証についてお聞きします。

国がいくら圧力をかけても、現時点で医療機関での窓口利用は15%程度です。国民の理解は進まず、個人情報の漏洩に対する不安も払拭されていません。先の総選挙でも、当選した議員の51%が現行の健康保険証を無くすことは「見直し」あるいは「延期」を表明していました。

 12月2日以降現行の国保証は発行できなくなりました。2日以降に国保に加入する人は、「資格確認書」か「資格情報のお知らせ」が発行されると聞きますが、資格情報はA4のペラペラの紙で、保管しにくいです。

 

 市は、10月28日からマイナ保険証の登録解除の手続きも開始しています。

Q12 マイナ保険証の登録解除の手続きを始めた理由を教えてください。

 

答弁要旨

 令和6年10月9日付けの厚生労働省通知において、マイナ保険証の登録解除を行うための医療保険者向けシステムが改修されたことや、解除申請書のひな形などの具体的な内容が記されるとともに、各医療保険者において原則10月28日から、登録解除申請の受付を開始するよう方針が示されたことから、本市もこれに従い、登録解除の手続きを開始したものです。以上

 

市のHPだけの提示では、市民への周知は不十分だと思います。

 マイナ保険証の自己管理が困難な障がい者や高齢者をケアしている施設の現場は、急変時にすぐ受診できるよう、これまで健康保険証を施設側で預かる対応をしてきましたが、マイナ保険証は預かれません。今後どうすればいいのか対応に苦慮されています。

 

Q13 特養、GH、サービス付き高齢者住宅、障がい者施設などには、特にマイナ保険証の登録解除ができることを情報提供する必要があるのではないですか。

 

 答弁要旨

 保健局と連携しながら、適切な対応を図っていきたいと考えています。以上