2024.12月議会 山本なおひろ 一般質問と当局答弁要旨

第1登壇

日本共産党議員団の山本直弘です。

今日は「選挙と民主主義について」と「ふるさと納税について」質問いたします。よろしくお願いします。

 

まず、午前のわたせ議員を含め、昨日から数名の議員が取り上げた兵庫県知事選挙と、民主主義についてです。

11月17日投開票で行われた兵庫県知事選挙では、全ての県議から不信任を突き付けられ失職した斎藤元彦前知事が当初の予想を大きく裏切って、大逆転により再選しました。

日を追うごとに斎藤氏に対する県民の評価は、それまでの「知事失格、もう2度と兵庫県に関わらないでほしい」といった怒りの声から、「既成政党、既得権益」と闘うヒーローへと劇的に変化していきました。

この手のひら返しともいうべき県民の変化に大きく影響したのがSNSであることは明白です。選挙戦の中でSNSでは「斎藤氏は公益通報違反に当たらない」「斎藤氏ははめられた」などといった事実に反する情報、根拠のない情報が大量に拡散されました。また、斎藤氏を後方支援した候補者などにより、対立候補が言ってもいないような政策を言っているように流す、自死した元県民局長や斎藤氏以外の候補者や百条委員会の委員長などに対して耳を覆いたくなるような卑劣な誹謗中傷がされる、挙句には、自宅前に出向き「出てこい」などと拡声器で叫ぶといった、およそ民主主義とは相いれない、乱暴な事が多数行われました。

 投票日の直前の11月14日には、事態を憂慮した県内29市長有志22名が、稲村前尼崎市長支持を表明する記者会見を行う異例の事態もありました。

 そして、家族にまで危害が及ぶ可能性に恐れを抱いた県議が辞職を表明するまでに追い込まれました。

そこで松本市長におたずねします。

 

Q1  今回の兵庫県知事選挙の問題点について市長の考えをお聞かせください。

 

答弁要旨

今回の兵庫県知事選挙は、公職選挙法にまつわる様々な課題があったものと考えています。

SNSにまつわるものに関しては、例えば、

・SNSによる事実ではない情報が出回ったこと

・候補者陣営の公式SNSの凍結

・選挙期間中におけるユーチューバー等による収益活動

などです。

また、既に告発がなされている、SNS運用における政治活動と選挙活動の分界点についても、今後の各種選挙活動の円滑な運営の観点から、整理がなされるべきものと考えています。

公職の候補者に対する誹諺中傷等による選挙の妨害については、公職選挙法にもその根拠規定がある一方、いわゆるリアルな世界において、選挙妨害については、妨害者の把握と指導が可能なところ、SNSの世界は、妨害者の実態も把握できないという意味で、法の適用が十分に及ばない部分が多く、今後、SNSにおける適切な情報発信と、誹請中傷への対策の在り方については、さらなる国民的な議論が必要と考えています。

また、選挙期間中におけるユーチューバー等による収益活動については、これを認めたままにした場合、当該候補者の政策以上に、フォロワー数やインプレッション数が重要な要素となってしまい、選挙期間中における、有権者の情報発信と情報収集のバランスが崩れる恐れもあることから、例えば、選挙期間中は、選挙を活用したSNSの収益活動を認めないこととするなど、一定の対策が必要ではないかと考えているところです。

次に、自身の当選を目的とせず、実質的に、他候補を応援することを目的とした者の立候補等についての課題です。こうした形の立候補を認めてしまった場合、街宣車の数や証紙ビラ、選挙はがきの枚数、選挙運動員の人数制限等、立候補の機会均等を図るための様々な規制が意味をなさないものとなる恐れがあり、大きな課題と感じています。

これら課題の一部については、既に、東京都知事選挙でも、同様の課題が指摘されているところですが、現在の公職選挙法が想定していない事例であり、今後、公職選挙法の見直しの議論がなされる中で、取り上げられるべき課題と認識しています。

以上に代表されるように、今回の兵庫県知事選挙においては、選挙への関心が高まったという側面があった一方、公職選挙法にまつわる種々の課題が生じており、こういった課題について、本市としても、どういった対策が可能か、選挙管理委員会とも意見交換をしていきたいと考えています。以上

 

斎藤候補の後方支援を目的に立候補した候補者が、東京都知事選挙でおこなったような候補者の多数擁立を警戒したために、掲示板の枠を増設することで経費が増加したこともありました。

現行の公職選挙法は、「べからず選挙」と言われるように、戸別訪問の禁止や候補者のビラ発行の制限、ハンドマイクなどの音出し、時間制限、など多くの縛りによって、有権者に各候補者、政党の政策が非常に伝わりにくくなっています。そんな中、2013年にそれまで制限されていたネットを使った情報発信が解禁されました。これは既存のメディアだけでなく、今や主流になったインターネットを使って有権者に情報を届けることができるもので、大いに歓迎すべきものです。しかし、今回の選挙のような根拠のないデマ情報が大量にXなどのSNSで拡散され、一夜にして世論の風向きが激変することが当たり前になれば、「言ったもの勝ち」「再生回数を稼ぐ目的のインフルエンサーを取り込んで、発信したもの勝ち」の誹謗中傷合戦の選挙戦が常態化する恐れがあります。

日本の民主主義の根幹をなす選挙制度が著しくゆがめられ、公正公平な情報に基づく有権者の選択権をおびやかし、ひいては対立と分断の社会が作られるのではないか、と大いに懸念するものです。

県議会では12月定例会で、公職選挙法改正を国に求める意見をまとめる動きが出てきていますが、新たな公職選挙法の制限項目を作ることで、現行の不合理、理不尽な「べからず選挙」と呼ばれる制限事項までも強化することがあってはなりません。

しかしながら、今回の兵庫県知事選挙で行われた、デマ情報を大量拡散するSNS、自らははなから当選する気がなく、後方支援を目的にしただけの立候補といった、法の網目をかいくぐるようなことは、今後の選挙に影響することは必至です。

多くの心ある県民、市民は今回の事態を大変憂慮し不安を抱いているのではないでしょうか。

一方、マスメディアは選挙後、これらの問題をいっせいに報じましたが、選挙期間中にデマ情報を告発し、正しい情報の提供、各候補者の政策を深堀りして報道することについては不十分だったと思います。これまでの選挙でも、公平な報道を盾に有権者にとって投票の判断材料を報じる姿勢に欠けるマスメディアの弱点が露呈したと思います。

 

おたずねします。

 Q2  公正な選挙を阻害することを2度と起こさないために、市はどのように対応していきますか。考えをお聞かせください。

答弁要旨

SNSの選挙運動で、デマが拡散された場合、内容の真偽は選挙管理委員会で確認できるものではなく、インターネットを含め選挙運動全般に係る違反取り締まりは警察が行い、法の手続きに基づいて対応されるものと考えております。

本市としましても、今後執行される選挙を注視しながら、兵庫県下の各市とも、県内の選挙管理委員会で構成される協議会等で、情報交換と問題共有を図りながら、法改正を含めて要望してまいりたいと考えております。

 

次に「ふるさと納税」についてお聞きします。

 ふるさと納税制度は2008年度地方税制改正によって創設されました。「ふるさとに貢献したい」「ゆかりのある自治体を応援したい」という国民、市民の気持ちを寄付という形で表すことができる仕組みをと創設された制度です。

しかし、「ふるさと納税」という名称にも関わらず、税法上は「寄附金」であり、「ふるさと」の自治体への「納税」ではありません。また、納税者にとっての「ふるさと」の自治体への寄付である必要はなく、自分が住んでいる自治体と東京都以外のどの自治体に対する寄付にも適応される制度です。

控除額の仕組みは、個人が都道府県・市区町村に対して寄附をすると、寄附額のうち2,000円を超える部分について、一定の上限まで所得税・個人住民税から全額控除されます。

配布資料の総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」の中で控除のイメージ図がありますが、要は住民税所得割額の2割を上限として、「寄付額-2,000円」の全額が税額控除される仕組みです。また、寄付した自治体から食料品をはじめ、日用品や家電、バッグや靴、時計、旅行券などの返礼品を金額に応じてもらうことができます。よって、住民税所得割額が多額になる高額所得者ほど限度額が高くなり、返礼品を受け取るインセンティブを享受できます。

8月に、総務省から2023年度受入額の実績等、「ふるさと納税に関する現況調査結果」が公表されました。ふるさと納税の受入額及び受け入れ件数の全国合計は年々伸びていて、2023年度の実績は約1兆1,175億円となり、対前年度比約1.2倍、初めて1兆円の大台を超えました。件数は対前年度比約1.1倍5895万件となっています。

制度利用者の増加に伴い、住民税控除額及び控除適用者数も年々増加の一途をたどっています。

 

おたずねします。

Qふるさと納税によって影響を受けた、尼崎市の税収額はいくらですか。直近の5か年の推移をお示しください。Q4 これまでのふるさと納税による尼崎市の財政収支をお示しください。

 

答弁要旨

ふるさと納税による個人市民税減収額の直近5か年

の推移は、億円未満を四捨五入で申し上げますが、

令和元年度の寄附に対して7億円、令和2年度は9億円、令和3年度は12億円、令和4年度は14億円、令和5年度は16億円となっております。

また、収支につきましては、各年度の個人市民税減収額とそれに対する地方交付税の措置及び寄附金収入や返礼品等の寄附募集に係る経費を踏まえて算定した結果、ふるさと納税制度開始の平成20年度から直近で算定可能な令和4年度までの累計で約10億円のマイナスとなっております。以上

 

 

これで第1問目を終了します。

 

第2登壇

自分の当選を目的にしないことを公言する候補者が斎藤氏を援護したことは、斎藤陣営は事実上、他候補者の倍の選挙活動ができることになって、公正な選挙が阻害されました。

 そのような異常な選挙戦が展開される中、先ほども申したように大手メディアは「報道の中立」を理由に、選挙報道の肝心要である、選挙の争点や各候補の政策を報じて有権者に判断材料を与えることに非常に消極的であったと言わなければなりません。 

 有権者がそれらを知ろうと思えばSNSに頼らざるを得ず、しかしSNSでは先ほど申したように、根拠のないデマなどのフェイク情報や、候補者・県議への誹謗中傷で溢れかえり、およそ公正で正確な情報にもとづく判断のニュースソースとはなりえませんでした。

 総務省のHPでは「メディアを主体的に読み解く能力、メディアにアクセスし、活用する能力、そしてメディアを通じコミュニケーションする能力」を、メディアリテラシーという言葉で定義しています。インターネットが生活にとってなくてはならない現代社会において、幼少時からこれらの情報の洪水にさらされて成長する子どもたちが、学校教育の段階からしっかりとメディアリテラシーを備えることが益々必要になってきているのではないでしょうか。

 特に今回のように、個人の尊厳を踏みにじる誹謗中傷にまみれた情報が溢れかえる選挙戦を目の当たりにして、近い将来有権者になる子どもたちにリテラシーの力を養う事がとりわけ重要だと思いました。

 

おたずねします。

Q5 子どもたちのメディアリテラシーを高めるために、どのように取り組んでいきますか。

答弁要旨

市立小中学校におきましては、国語や技術及び道徳等の教科、その他、総合的な学習の中で情報モラル、メディアリテラシーについて学んでおります。

例えば、小学校では道徳科において、1年生から6年生まで実生活の場面を想定した教材を通じて、情報モラルについて学ぶとともに、高学年の国語科では、インターネットを使って適切に情報を得るといった単元があります。

また、中学校においても、国語科では、メディアの特性を理解し・情報社会を生きていくためにメディアリテラシーを身に付けることの必要性を題材にした教科がございます。技術科では、文字、音声、静止画、動画等のプラス面とマイナス面を正しく理解し、情報を正しく活用するための技能を養う単元がございます。

教科の他にも、各学校に専門的知識を有する支援員を派遣し、「情報モラル教室」を市内の小中高等学校全校で実施するとともに、講師を招聰した講演会の実施等により、規範意識や情報モラル、メディアリテラシーの育成に努めております。

今後も、各教科の学習や講演会等、様々な機会を通して、情報社会を生きる児童生徒が、様々なメディアの特性を理解し、正しく、効果的に活用できる力を育成できるよう取り組んでまいります。以上

 

さて、今回の知事選挙は全国的な注目を集めたこともあり、尼崎選挙区で前回30.46%から51.7%と投票率が大幅に上がりましたが、話題性だけでは一過性のものになりかねず、引き続き「選挙の投票率向上」は国政、地方政治問わず大きな課題です。

期日前投票の充実をはじめ有権者の投票所へのアクセシビリティは、投票率向上にとって非常に重要なものです。私は2023年6月の一般質問で、同年4月に行われた兵庫県議会議員選挙に関して、それまで設けられていた開明庁舎の期日前投票所が廃止され、大庄北生涯プラザに新設されたことについて取り上げました。城内地域にお住いの高齢者の方が気軽に行ける投票所がなくなって、バスに乗って市役所まで行かないといけなくなり、大変不便であるという声をお聞きし、投票率向上のためにも期日前投票所を復活、増設すべきだという要望をしました。

 今回の選挙でも同地域の市民から、「開明庁舎の期日前投票所を復活してほしい」という声を聞きました。また、「足が悪くて期日前だけでなく、投票日にも投票所まで行くことが難しい」といった声を何人もの高齢者からお聞きしました。

 今後、さらに高齢化が進めば、投票所に行くことができない市民がさらに増えていくのではないかと痛感した次第です。

 

おたずねします。

Q6 今後、足腰が弱って投票所に行くことができない市民が増えていくことに対して、選挙管理委員会としてどのように対応していきますか。

 

 答弁要旨

選挙人の皆様が出来るだけ投票しやすい環境をつくることは、選挙管理委員会といたしましても、非常に大切なことであると考えております。

そうした中で、期日前投票所の増設及び当日投票所の投票環境の改善につきましては、引き続き、設置場所の調査を続け、今後の高齢化の進展をふまえた上で、費用対効果など考慮しつつ、対応して参りたいと考えております。以上

 

 解散総選挙から始まり、知事に対する不信任決議、現職県議の衆院選出馬など、一連の矢継ぎ早の事態によって行われた今回の兵庫県知事選挙と県議補欠選挙は、有権者への投票用紙の送付をはじめ選挙管理委員会にとって対応が非常に大変だったと思います。

 その中で、郵便投票制度による不在者投票をしている市民の方から、タイトな日程故か、2つの選挙に際して、それぞれの選挙について郵便投票の申請をしなければならず、投票日までに郵便投票用紙を選挙管理委員会に届けるのに非常に短くて困ったという声をお聞きしています。

 

おたずねします。

Q7 一度申請したら次回以降は申請なく投票できるように、郵便投票の利便性を改善できないでしょうか

答弁要旨

郵便等投票の投票用紙の請求につきましては、その選挙に対して投票する旨の意思を確認するためのものでもあり、実際に投票用紙を同封して送付するため、次回以降申請無しに送付するといった運用はできません。

ただし、今回めように引き続き行われる選挙の場合に、投票用紙の請求書は2枚必要となりますが、一度に請求していただくことは可能です。以上

 

Q8 投票率向上に向けた問題意識と今後の方向性についてどのようにお考えですか。

 

答弁要旨

議員ご指摘のとおり、今回の知事選挙については、全国的に注目をされたことにより、大幅に投票率が上昇した結果となりました。

選挙管理委員会といたしましても、過去に本市において執行された各選挙につきまして投票率が低かったことが課題と認識しておりますので、効果的な啓発等を行い、投票率の向上に努めてまいります。

以上

 

 「ふるさと納税制度」の本質的な問題点は、まず「税の原理原則」に反することです。

寄付と違い税は、「納税の義務」を規定した憲法30条や各種条例に根拠として「国家等の権力の強制力」を持って賦課・徴収されるものであり、住民が自由意思で納税先を選択できることは、「税の原理原則」に反します。住民税はその住民が住んでいる自治体において、住民サービスを受けるために負担する税金で、「応益課税」の原則にもとづいたものですが、納税者の判断で非居住地自治体を選択して「納税」するというのは、この「応益課税」原則に反します。また、住民税は地方自治体が行政サービスを提供するために必要な経費を賄うものであるのに、地方交付税交付団体では税控除額の75%は国から地方交付税として補填されるとはいえ、減収になるとその自治体が減収分を負担することになります。このことから、現在のふるさと納税制度は、受益と負担の趣旨を逸脱したものとなっているのです。

そして返礼品競争の過熱によって、多くの自治体が返礼品を提供しているため、本制度を利用した住民のみが返礼品などの恩恵を受けますが、減収による行政サービスの影響は、そこに住む全住民に及ぶという不公平が生じています。

税額控除という税の仕組み上、所得税を多く納めている住民ほど恩恵をうける一方、所得税が低額かあるいはゼロの低所得者にとってはメリットを享受できない構造になっていて、非常に逆進性の要素が強い問題もあります。

年収400万円の独身の給与所得者では42,000円なのに対し、年収2,500万円では85万5,000円と、実に20倍もの差が生じるという、高所得者ほど制度の恩恵が受けられることになっています。

 

おたずねします。

Q9 ふるさと納税制度のこれらの問題点、課題をどのように認識していますか。

Q10 税のあり方をゆがめる、ふるさと納税制度の改善を市長会を通じて訴えるべきだと思いますが、いかがですか。

 

答弁要旨

ふるさと納税は生まれ育ったふるさとへの貢献や、自分の意思で応援したい地方自治体を選ぶことができるという趣旨に加え、都市部と地方における税源の偏在を是正する一面もあると考えております.しかしながら一方で、返礼品による寄附の獲得競争の様相を呈しており、魅力的な返礼品が乏しい団体においては寄附額より個人市民税における減収額が上回り、収支がマイナスとなることが課題であると認識しております。

こうしたことから、ふるさと納税における地方自治体の負担の縮小等、制度の改善について、これまでから中核市市長会などで国等へ提言活動を行っておりますが、現行の制度下においては、本市のふるさと納税の収支はマイナスとなっているため、そのマイナス幅を少しでも縮小できるよう、魅力的な返礼品の開拓など、ふるさと納税の積極的な獲得に取り組んでいるところです。以上

 

 

ふるさと納税には、2016年度から導入された、企業版と言うべき「地方創生応援税制」というものもあります。

この税制度は、自治体の地方創生事業に他市の企業が寄付すれば、寄付額の一部を法人税等から差し引くというものです。寄付額の3割にあたる金額が法人住民税や法人事業税などから控除される制度です。2020年度からは地方への資金の流れを促進するためとして今年度まで6割に拡大する特例措置が設けられていましたが、先日の来年度税制改正の議論の中で、延長する方向で調整されていることが報道されました。

 

おたずねします。

Q11  尼崎市における企業版ふるさと納税の実績をお示しください。

答弁要旨

本市における企業版ふるさと納税の実績は、令和2年度より寄附の受け入れを開始し、そこから令和5年度末までの間に、合計11件、総額3,040万円の寄附をいただいたところでございます。以上

 

日本共産党は、企業版ふるさと納税が導入される当初から、「企業と地方自治体の癒着が生まれる危険性と、実質的な自治体間の税源移動が起こり、住民自治の及ばない財政制度に変質してしま」うことを指摘し、反対しました。

企業版ふるさと納税をめぐって、福島県国見町の救急車の研究開発事業で、原資の約4億円をグループで寄付したネット関連企業の子会社が、救急車の車両製造を請け負っていたことで資金の還流があったのではないかという疑惑が昨年地元地方紙の報道で明らかになりました。

町議会が百条委員会を設置し調べて7月に報告書を公表し、国は当時の会社への便宜供与にあたるとして先月、町の計画の認定を取り消しました。

寄付企業の節税対策に町が利用され、「特定企業への便宜供与」がおこなわれていたことは、企業が公金を食い物にする行為です。

「企業版ふるさと納税」では制度上、企業との癒着を防ぐため、自治体が寄付者に経済的な見返りを与えることを禁じています。寄付企業や関係企業への発注は、公正な入札を経れば許されますが、今回は間に別会社が入り、他社が事実上参入できない仕組みで、入札に見せかけた実質的な随意契約だったという制度の穴を悪用した事案でした。 

 

おたずねします。

Q12 市はこれまで、企業版ふるさと納税を受けた企業との間で、随意契約をはじめ、何らかの契約をしたケースはありましたか。

答弁要旨

2016年度から導入されました地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税で本市へ寄付があった企業のうち、契約事務を所管する部署において水処理施設の運転管理業務等について、随意契約の相手方となった企業がこれまで1社ございました。以上

 

個人版では自治体間に不毛な返礼品競争をかりたて、企業版では癒着を生みかねないふるさと納税制度は、税のあり方をゆがめ、地方財政に大きな影響を及ぼすものになっているのではないでしょうか。

 あるべき地方財政の姿は何か、国だけでなく、県や市レベルでも考えなおすべきであるということを申し上げて、私の全ての質問を終わります。