日本共産党議員団の真崎一子です。
今日は子ども誰でも通園制度について、小中学生の就学援助費について、小中学校給食の無償化について、子どもの医療費の無償化について質問します。
まずは子ども誰でも通園制度についてです。
子ども誰でも通園制度(以後通園制度という)は、国の主導で全国一律の事業として整備し、0歳6ヵ月~2歳児で保育事業所に通園していない子どもを、月IO時間以内で保育事業所や公立保育所、幼稚園等を利用できる制度です。保育事業所と利用者の直接契約になり、市の役割が大きく後退します。
2024年度から一部の自治体で試行的に導入し、26年度はすべての自治体で実施する予定としています。
今年は115自治体で試行しています。兵庫県では神戸、姫路、加西、養父、南あわじ市の5市で導入しました。
通園制度は0歳6ヵ月~2歳児までの人見知りが激しい時期に、月10時間という上限の中で月1・2回だけ、あるいは週に2時間半だけ預けられる。最悪の場合空きがある異なる事業所を転々とさせられる。子ども同士の関係や子どもと保育士の関係が出来上がっているところヘポンと入れられる、まるで荷物のように。子どもにとって不安な思いだけで2時間ほど過ごすことになります。こんな保育環境が子どもにとって望ましいと言えますか。
質問します。
Q1、通園制度は、子どもの健全な成長発達に懸念があります。
通園制度に対する市の見解をお示しください
答弁要旨
こども誰でも通園制度は、すべての子どもの育ちを応援し、子どもの良質な成育環境を整備するとともに、すべての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルに関わらない形での子育て支援を強化するために、令和8年度から子ども・子育て支援法に基づく新たな給付制度として全自治体で実施できるよう、国において現在、詳細な制度設計がなされております。
具体的な制度の内容は、月一定時間までの利用可能枠で就労要件を問わずに時間単位で柔軟に保育所等を利用できるようにすることで、子どもが家庭とは異なる経験や家族以外の人と関わる機会を持つことにより、健やかな成長につながるなど、すべてのこどもの育ちを応援することを目的とするものと認識しております。
本市においても、こうした国の制度目的を踏まえ、すでに試行的事業を実施している先行自治体での子どもの安全・安心面や保育士の負担増大などの取り組みを検証するとともに、関係団体と意見交換を行う中で、こども誰でも通園制度の意義・目的に沿った運用ができるよう検討を進めてまいります。
なお、法人保育施設がこども誰でも通園制度を実施するに当たって、市は、実施施設の認可や確認、利用者の給付認定、利用実績を確認のうえ給付、同制度の実施に関する監査、助言等を行わねばならないことと同法で定められており、利用調整以外は、通常保育に係る業務と同等の業務を市の役割として果たすこととされています。 以上
続いて就学援助の単価引き上げについて伺います。
2023年度は国の要保護基準において、中学生の就学援助費が引き上げられ、新入学学用品費が3000円上げられ6万3000円になりました。近隣都市では昨年度から伊丹、宝塚、明石市は6万3000円に。西宮市は6万円。尼崎市は4万7400円のまま、その差は1万5600円です。
小学校はどうでしょうか。24年度から新入学児童の学用品費用は、3000円増の5万7060円になりました。伊丹、宝塚、明石、西宮市は今年度5万4060円です。ここでも、尼崎市は4万600円でありその差は1万3460円です。質問します。
Q2、尼崎市は小中学校とも新入学用品費の増額はされなかった。
他都市と比べて少ない理由をお答えください。
答弁要旨
就学援助費の支給費目の一つである新入学学用品費は、資格要件を満たす保護者に対して、その児童生徒の市立小学校の及び中学校などの入学前又は入学後において支給されるものであり、その設定金額は国が示す金額を参考に、市の裁量により決められるものでございます。
本市は令和2年度新入生向けに新入学学用品費の設定金額の増額を行いましたが、その後、新型コロナウイルス感染症の流行に起因した家計急変への対応により、就学援助認定者数が増えたことや、オンライン学習通信費という新たな支給メニューが追加されたことで、多くの財源が必要となりますことから、設定金額の更なる増額を行うことができなかったものでございます。以上
就学援助制度は、全ての子どもが安心して楽しく学校生活、勉強ができるように経済的な理由で就学させることが困難な保護者に給食費用や学用品費の一部を援助する制度です。住んでいるところで支援に格差がつくのは子どもの人権が守られていないと言えるのではないでしょうか。
質問します。
Q3、今後、他都市と足並みをそろえる考えはありますか?
答弁要旨
新入学学用品費は、児童生徒が新しい学校生活をスタートさせる際に、学用品等の調達の一助にしていただくものです。そのため、近年の物価高騰の傾向などから、設定金額の増額は必要であると考えております。
しかしながら、設定金額を他都市並みに増額するためには、増額の予算措置が必要となりますので、今後、関係部局と協議しながら設定金額の引き上げを検討してまいります。 以上
次は、小中学校の給食費の無償化についてです。
今年8月3日のテレビ朝日ANNニュースで、 NPO法人「ひとり親家庭サポート団体全国協議会」が7月20日~28日までに全国ひとり親家庭2100世帯に行った調査によると、31.8%の家庭が「1日2食」、2,2%が「1日1食」と回答しました。夏休みに入り給食がないことに加えて、物価高で「おかゆにしてかさ増しする」「エアコンの使用を控える」など厳しい生活実態を訴える声が上がっていました。
文科省の2023年度9月の給食無償化の調査では、児童生徒全員を対象に無償化を実施しているのが547自治体。支援要件を設けるなど一部の児童生徒を対象にして無償化を実施しているのが145自治体。
23年度中に40自治体で無償化を実施しており、全国の自治体へと広がっています。
子育て支援策の柱の一つである給食の無償化について、跡見学園女子大学の鴉(がん)咲子教授は「コロナ危機後、食材高騰の中で子どもの食の格差が拡大している。この格差を小さくする役割が学校給食にはある。給食の無償化にはすべての子どもが給食費を気にせずに、安心して給食を食べられるというメリットがあると述べました。
また鷹氏は隣国の韓国の給食無償化を紹介し、「就学援助のような所得制限のある給食費への支援を転換し、普遍的支援である給食無償化を実施している。給食に農業予算を使っている、高校まで給食を実施している、費用は基礎自治体だけでなく都道府県にあたる広域自治体も負担しているなどが韓国の特徴。」と述べています。無償給食は、韓国の憲法第31条3項で「義務教育は無償にする」に基づくものです。そして給食は教育の一環であるということに同意しているということです。
日本でも、憲法第26条第2項に「義務教育はこれを無償とする」と明文化しており、学校給食法では食材費は保護者負担となっておりますが、学校給食も教育の一環として国の責任で実施するべきです。東京都では給食費用の2分の1を保障し、今年4月から23区すべてで小中学校の無償化が始まりました。青森県でもこの10月から無償化が都道府県で初めて実施されます。質問します。
Q4、市として、国と兵庫県に対しても給食の無償化を求めてほしい。いかがですか?
Q5、小中学給の無償化について県との協議はやっているのですか。給食無償化への市の見解、また今後の方向性をお示しください。
答弁要旨
給食費の無償化については、多額の財源が必要になりますことから、その実現は各自治体の財政力により左右されるのではなく、国の財政負担により全国一律に実現することが望ましいと考えております。
そのため、本市におきましては、全国の自治体の長や教育長で構成される各種市長会及び教育長会などを通じて、給食費の無償化の早期実現を国に対し求めているところでございます。
また、兵庫県と給食費の無償化について、協議はいたしておりませんが、兵庫県には国に対して国の財政負担による無償化の実施を働きかけていただくよう求めているところでございます。
一方、本市における給食費の無償化については、本市の財源のみで給食費を無償化することは、多額の財源を要することから、財政状況等を踏まえた責任ある検討が必要であると認識しており、引き続き、国や県の動きを注視しながら、検討して参ります。以上
目本は食糧自給率、カロリーべ一スで38%と先進国の中で最低水準です。
物価高騰で食材やエネルギーが高騰しています。減反や日本の農業政策を外国の輸入に頼ってきた弊害が今沸騰しています。これら食糧難や物価高騰が国民の生活を圧迫し、米や食材が買えない不安が町中に渦巻いています。学校給食の値上げが保護者を苦しめています。そのすべてが国の責任です。政治の方向転換が必要だと思います。
市は国県に学校給食の無償化を強く求めるべきです。
国が実施するまでのつなぎとして地方自治体は「住民の福祉の向上」の立場で住民の要望を踏まえて学校給食の無償化を推進、実施するべきでしょう。しかし小申学校への完全無償化は毎年多額の財源がかかり、尼崎独自での無償化は難しいと思っています。兵庫県と協議して、小中学校一方のみ、多子世帯、
半額負担等、段階的に条件を設けてでも前進するべきです。
第2登壇
2問目の初めは、こども誰でも通園制度の子どもの安全についてです。
今でも、保育所等を利用していない家庭においても、一時的に家庭での保育が困難になった場合や育児疲れによる保護者の負担を軽減するために支援が必要とされた場合に、月12日間利用できる一時預かり制度があります。利用者と保育事業所との直接契約ですが、市が補助金を支払うため、利用した時間や月回数、担当者まで詳細に情報を共有します。預かる際には事前の保護者・子どもの面接と慣らし保育もあります。子どもの特性を事前に知り安全に保育するためです。
しかし通園制度はスマホで申し込み、子どもの情報を送信するという申請方法です。慣らし保育もありません。また事業所や日時を固定せずその都度申し込んで利用する自由利用の場合はコロコロと子どもが入れ替ったり、初めて保育される子どももいます。そんな状況で安全な保育ができるでしょうか。
2015年~22年までに発生した保育所や幼稚園での死亡事故件数で一番多いのは、0歳児25件38.5%、二番目が1歳児23件35.4%、三番目が2歳児で5件7,7%でした。就学前施設で起こった死亡事故の82.5%がこの年齢です。しかも保育初日に起こっている事故があるというのも見逃すことができません。保育所で過ごすことに慣れていない子どもへの対応について保育現場では戸惑いもあり、保育士不足に拍車がかかります。質問します。
Q6、保育士不足が深刻な保育事業所で、通園制度は子どもの安全性が脅かされます。当局の見解はいかがですか。
答弁要旨
保育所は、子どもたちが日々安全・安心に過ごすことができるよう、生活や遊びの環境を整え、乳幼児期の健やかな育ちを支えることが求められており、こども誰でも通園制度においても、こうした子どもの安全が当然のこととして確保される必要があります。
ご指摘のあった申込方法につきましては、事前に利用申込者が記載する登録洋式や面談の機会を用いて、保育所が子どもの健康状態、生活リズム、発達の状況やアレルギーを確認するなど、子どもの安全確保について適切に対応ができるよう、現在、国において制度設計が進められております。
また、深刻な保育士不足に対応するため、引き続き、保育士確保・定着化に係る支援等の実施に加え、更なる拡充策の検討を行うなど、法人保育施設への支援に取り組んでまいります。
さらに、利用者と保育施設、市がつながるシステムなど、今後、見込まれる保育現場での職員の負担の軽減についても、国の検討会で議論されているところであり、これら国の検討過程を注視し、安定的な運営を確保する方策を検討する必要があるものと認識しています。以上
政府は、今年と来年は試行段階で、2026年には全自治体で施行するとしています。利用者と保育事業者との直接契約であり、市の関与がない場合トラブル時の対応や責任を押し付けられたり、また保育士の配置等、保育事業所の負担が大きくなります。法人園長会との協議を重ね、納得した実施が必要だと思います。質問します。
Q7、本市としてはいつから実施に向けた検討し、実践しようと考えておられますか?
法人園長会との協議をするべきと思いますが、当局はどう考えますか。
答弁要旨
こども誰でも通園制度は、令和6年6月5日の子ども・子育て支援法の改正により、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、令和8年度からすべての自治体で実施することとされております。
こうしたなか、本市では、現在制度実施に向けた庁内会議等において検討を進めているところですが、本格実施に係る設備・運営基準や配置基準等、実施するために必要な制度の詳細は現時点で国から示されていません。
このような状況ですが、保育現場とも丁寧な協議を重ねていく必要があると考えておりますので、現時点において国から示されている内容を基に、今月から法人保育園会等に対し説明、協議していく予定です。
今後は、引き続き、国の情報や近隣で試行的事業を実施している自治体から具体的な課題を確認するとともに、法人保育園会等との意見交換の実施、子ども・子育て審議会での意見聴取等、関係機関と丁寧に調整を行いながら、対応してまいりたいと考えております。 以上
通園制度は子ども一人当たり、1時間利用者負担300円、国の補助850円の1150円が定されます。この制度を担当する保育士を確保しなければなりません、朝から夕方まで子どもがコンスタントに確保できれば、保育事業所の経営は成り立ちますが、曜日や時間帯によって空きができると、赤字になる可能性があります。
一時預かり保育の場合は、半日または1日預かっても、1臼単位で保育料は計算できるために、保育事業者の安定した収入と利用者が月12日利用できる等の需要があります。
質問します。
Q8、現在行っている一時預かり保育制度を充実することが、子どもや保護者、保育士にとって安定した保育ができるのではありませんか。当局の見解をお示し下さい。
答弁要旨
一時預かり事業の利用にあたっては、利用者は保育施設に事前登録を行い、契約を締結した上で、直接保育施設に申込いただく仕組みであり、こども誰でも通園制度と同様、市が利用者と保育施設の間に入って受け入れを調整することはございません。
また、保育施設経営の観点から、こども誰でも通園制度においては需要と供給が一致しないと運営が困難になるのではないかとのご指摘ですが、一時預かり事業においても同様の課題があると考えており、利用料の設定につきましても、国は誰でも通園制度と一時預かり事業では同水準になることを想定した制度設計を検討しております。
このように、一時預かり事業と誰でも通園制度には類似点があることから、こども誰でも通園制度の開始に当たっては、一時預かり事業についても一定の整理がなされるものと考えております。
最後は子どもの医療費無料化についてです。
子どもの医療費に対する助成制度の通院は2023年5月1日時点では「高校卒業まで」が1202自治体(69%)となっています。「中学卒業まで」は482自治体(28%)併せて97°/・の自治体で実施しています。
会派の決算学習会で、当局は「今後は他都市を参考に医療費助成の対象を高校生まで拡充することを検討中」と答弁をされました。
厚労省は2023年国民生活基礎調査を行い、今年7月に発表しました。18歳未満の子どもがいる世帯を「児童のいる世帯」といいます。
資料をご覧ください。
①児童のいる世帯は全世帯の18.l%すごい勢いで少子化が進んでいます。
②児童のいる世帯の母親は77.8%が働いています。正職員32.4%と非正規職員35.5%。
③全世帯の生活状況は23年度大変苦しい26.5%、やや苦しい33.1%併せて約60%が、生活が苦しい状況。
④児童のいる世帯の生活の苦しいが65%を占めている。
調査では児童のいる世帯の平均所得金額は、22年度は812万円です。
子育て世帯は決して収入が少ないわけではなく、仕事もある、マイホームも車もある、保険にも入っている、税金も払っているけれど生活が苦しい。子どもの教育や部活・塾にお金がかかる、大学の入学金・学費が高い、家や車のローンがある等の出費に苦しんでいる人も多いのではと思われます。
尼崎市は子育てしやすい街、子育て世帯の転入促進の街を目指していますが、子育て世帯の生活実態がこんなにひどいことになっている現状では、子育て支援の充実、子どもの医療費の無料化の充実は待ったなしの課題です。せめて他都市並みのサービスの提供が必要ではないでしょうか。
改めてお聞きします。
Q9、子どもの医療費の助対象を高校生まで拡充を行うのですね。
実施時期及び助成の内容についてお答えください。
QIO、市は児童のいる世帯の生活実態を見てどのように思いましたか?子どもの医療費 中学卒業まで所得制限を外して無料にすることの決意をお聞かせください。
答弁要旨
18歳までの制度拡充に向けましては、子育て世帯の経済的負担軽減の観点から、検討を進めているところでございます。
その検討にあたりましては、これまでの制度拡充による効果や影響について、拡充前後の受診回数や事業費の変化・推移などについて検証するほか、ライフステージごとの子育て世帯の家計負担などの状況や、すでに実施している各種支援策とのバランスも含め、様々な視点で検討し、制度設計を行っているところです。
また、ご指摘の「子育て世帯の生活実態」に対しましては「あまがさき子ども・子育てアクションプラン」にも掲げておりますとおり、子育てや教育にかかる「経済的負担」は大きいものであり、軽減を図っていくべき課題と捉えております。
いずれにいたしましても、こうした現状認識のもと、各種検証をおこなった上で、財政状況も考慮し、できるだけ早期に拡充策を明らかにしてまいります。以上