今日はまさき一子議員と会派を代表し、2024年度予讃並びに関連議案に対する総括質疑をいたします。
まず南武庫之荘保育所の民間移管問題についてです。
2月2日付け神戸新聞で、川西市が、移管先法人である社会福祉法人「光会」が運営する認可保育所「ちきゅうっこ保育園」に対し、不適切な保育を理由に子ども・子育て支援法に基づく改善勧告の行政処分を出したという、衝撃的な記事が掲載されました。その不適切な保育の中身は、本当にそんなことが子どもたちを保育する保育園で行われてきたのか、と耳を疑うようなものでした。
それを受け3月2日土曜日と6日水曜日に、現在南武庫之荘保育所に子どもを預けている保護者と4月から入園予定の保護者を対象にした法人と市当局からの説明会が行われました。それぞれ2時間半、のべ73名の保護者の参加で開催されました。
1回目の説明会では、問題の法人の理事長も参加し、川西のちきゅうっこ保育園の園長から、神戸新聞の報道についてこれまでの経緯と見解についての説明がされ、市当局からは経緯と今後の対応について説明があり、その後保護者からの質疑応答があったということです。
保護者からは、報道されていた「不適切な言動18件」について、法人から「誤解によるもの」「保護者とのコミュニケーション不足」などといった説明が、多々あったので、法人の保育姿勢を疑念視、つまり反省がないのではないかという声があったそうです。また、この不適切な言動18件について、1回目の説明会では具体的な説明がなく、保護者の指摘、批判を受けてようやく2回目に文書ではなく、口頭での説明がされたという事でした。
おたずねします。
Q1説明会開催にあたって、市は法人と内容、進め方について話し合ったのですか。
包み隠さず、書面で出すべきものは出すことが、保護者の方の不安を少しでも解消するのではないですか
答弁要旨
保護者の御不安を解消する目的で3月2日と3月6日に、法人及び市から保護者説明会を開催いたしました。
説明会の開催に当たり、現在南武庫之荘保育所に通所中の児童及びこの4月に新たに通所される児童の保護者の方々から事前質問を受けておりました。
そのなかで、報道のあった「不適切な言動18件について詳細を知りたい」という主旨の質問が数多く寄せられたことから、法人に対しまして、保護者説明会では丁寧に文書で説明するよう、指導助言をしておりました。
しかしながら、保護者説明会時点において、改善勧告を行った川西市教育委員会と法人との間で18項目中、一部、法人が事実誤認によるものと主張する項目があり、確認・調整中の内容も含まれていること、さらに改善勧告を受けた川西市の園でも保護者説明会が実施できていないこと等の理由から、口頭での説明にしたいとの意向が法人から示されたものです。以上
市当局は、今後の市の対応として、9つの項目を列挙しています。
共同保育における法人への指導強化、移管後の見守り保育の体制強化、三者協議会の充実、音声録音付きカメラの設置、などです。
カメラの設置については、不審者の監視ならいざ知らず、監視カメラで保育の様子を監視するという保育の現場に最もそぐわない異常なことであり、甚だ情けない限りです。本来なら人権の観点から反対したいところではありますが、移管法人の川西市でのこれまでの行いを見れば、いたしかたないと言わざるを得ません。
「見守り保育の体制強化」については、これまで4月は3歳以上児、3歳未満児、それぞれ1人、2名の保育士が見守り保育を実施していたのを、5月に当面延ばして、その後については保護者、法人、尼崎市の3者協議会で話し合い、検討するということです。
おたずねします。
Q2今後見守り保育について、期間と内容など、保護者からの要望を最優先に取り組んでいくべきだと思いますが、いかがですか。
答弁要旨
見守り保育につきましては、民間移管後のフォローとして、これまで元所長、3歳未満児、3歳以上児を担当していた保育士各一人ずつの計3人が移管後の保育園を訪問し、保育環境の変化に伴う子どもへの影響に対する配慮や保護者への不安解消を図り、引継ぎの内容が確実に実施されるよう保育の見守りや助言を行ってまいりました。
その期間は、元所長が4月から9月までの半年間、保育士は4月から7月の4か月間見守りを実施し、移管後の保護者の不安解消に努めてまいりました。
今回の報道を受け、保護者から御不安の声が多数寄せられたことを踏まえ、これまでの見守り保育内容を拡大し、人数面では保育士を2人から4人に増員し、期間面では、元所長は一年間、保育士は9月までの半年間まで延長いたしますが、移管後の保育状況の確認及び、市、法人、保護者代表で構成される三者協議体の意見も聞きながら、保護者の思いに寄り添うことを優先し、期間の延長等も含め、柔軟に対応していきたいと考えております。
以上
わが会派は、効率化、財政難、を理由にした公立保育所の民間移管に一貫して反対してきました。「費用対効果」といった民間企業の論理を行政に持ち込むことは、行政の役割を投げ捨てることであると共に、長期的には市民サービスの低下につながり、これまで公が担ってきた福祉、教育の質を低下させることになるからです。
もちろん、多くの民間保育園の保育士をはじめとした職員の方は、少ない措置費の中、子どもたちの人権を守り、発達を見守り、日々過酷な職場環境の中で必死に働いていらっしゃいます。
しかし、今回の移管先は、明らかになった様々な事例を見るにつけ、そもそも保育の仕事に携わっちゃいけない、資格がないところだと言わざるを得ません。
代表質疑で会派の川崎議員が、今後の移管法人選定委員会のあり方、移管後にも法人が守るべき事項に違反した場合の罰則規定の創設などの抜本的な対策を要求しました。
そもそも今回の移管法人の選定委員会の時点で、この光会の川西市でのトラブルの数々、保護者から訴訟を起こされたりすることが、21年からあったということです、なぜわからなかったのか、という疑念がどうしてもぬぐえません。選定された当時、業界での評価に疑問視する市民がいたということも聞いています。
おたずねします。
Q3選定委員会での選定のあり方に大きな瑕疵、問題があったのではないですか。
Q4また、今後の選定の項目に過去の事故歴や不法行為歴、行政指導、処分の有無を入れること、そして移管後については、人権侵害などの不法行為の罰則を追加すべきだと考えます。他都市での取り扱い事例を参考にするだけでなく、今回の事例に即して、先駆けとなって改正すべきです。いかがですか
答弁要旨
南武庫之荘保育所の移管法人の選定の経緯につきましては、代表質疑や昨日までの総括質疑でご答弁申し上げたとおりですが、今後につきましては、今回の事例を踏まえ、公立保育所の民間移管に係る法人選定に当たり、応募法人が過去に受けた行政指導や行政処分の取扱い、さらには選定の取消事由について、他都市での取扱い事例も参考にしながら、早急に検討をしていきたいと考えております。以上
次に「介護保険」についてお聞きします。
2024年度は、介護保険法改正に伴い、「第9期介護保険事業計画」が始まります。
それにともない、65歳以上の介護保険料が引き上げられます。基準となる第5段階の加入者の月額保険料がこれまでの6,609円から7,493円に、年額では79,310円から89,916円、実に10,606円も引き上げられます。これは、予算特別委員会健康福祉分科会で当局答弁にありましたように、阪神間の平均76,749円を13,167円も上回っています。
さらに政府は今後、介護サービス利用料の2割負担の拡大、要介護1,2を保険給付対象から外して総合事業へ移行、ケアプラン作成の有料化など、さらなる利用者負担、保険改悪を狙っています。
おたずねします。
Q5近隣他市に比べても高い介護保険料が、物価高騰で苦しむ市民の生活をさらに厳しいものになることが予想されます。市はこの状況をどうとらえ、どのような対策をとろうとしていますか。
答弁要旨・
本市の介護保険を取り巻く状況といたしましては、高齢者人口が横ばい傾向となる中で、後期高齢者数が増加し、要支援・要介護認定者数が増加傾向となっております。
また、近隣他市と比較して、在宅で生活を送るためのサービス利用が進み、訪問系サービスにおける1人1月あたりの介護保険サービス費用額が高いことや要支援・要介護認定率が高く、低所得者が多いなどの理由により、介護保険料が高くなっているものと認識をしております。
・介護保険制度におきましては、全国的に介護保険料が増加傾向にあり、低所得者に対する介護保険料の軽減の取組として、第9期計画においても、第8期計画と同様に、公費による負担軽減策を、引き続き実施することとしております。
本市としましては、介護保険料の引き上げ抑制策として、コンビニ収納やスマートフオン決済の導入など、納付方法の拡大など、保険料収納対策の強化や、ケアプラン等の点検、医療情報との突合・縦覧点検など、介護給付適正化を実施するとともに、計画策定時にすべての介護給付費準備基金を取り崩して、次期保険料の財源に充当する取組を行っております。
引き続き、これらの取組を推進し、可能な限り、介護保険料の引き上げ抑制に努めてまいります。
以上
政府・厚生労働省は来年度の介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬を2~3%引き下げようとしています。訪問介護事業者が他の介護サービスより高い利益を上げているとの同省が行なった調査を根拠にしています。
ところが「約4割の訪問介護事業者が赤字」の状態であることが、少なくとも2020年度以降3年続いていることが明らかになっています。
基本報酬が引き下げられれば赤字事業者が増加、廃止・倒産に拍車がかかり、訪問介護サービスの基盤が壊滅的に損なわれる危険があります。
政府・厚労省は、同省の「2023年度介護事業経営実態調査」で訪問介護事業所の収支の差の割合、利益率が、2022年度決算で7.8%あり、介護サービス全体の平均利益率の2.4%より高いことを引き下げの理由にしています。ところが同じ22年度決算で、赤字事業所が37%を占めていること、さらに20年度、21年度決算でも赤字事業所がともに41%に上ることがわかりました。4割弱の事業所が赤字なんですね。
この比率からすると、2022年4月時点で約3万4400カ所ある全国の訪問介護事業所のうち、赤字事業所は1万2600カ所以上にも上ります。尼崎市にある事業所304カ所に当てはめれば、約120カ所になります。
この利益率、収支差率を、すべての値を小さいほうから順番に並べた時に、真ん中にくる「中央値」が4.2%であったことも厚労省の資料から明らかになっています。
「平均値」の7.8%と大きな乖離があります。
中央値と平均値との間で、なぜこれほど差が生じるのか。それは、訪問回数が月400回以下の事業所は収支差率が1%台ですが、2001回以上の事業所は13%台と実に10倍以上の開きがあるためです。ヘルパーの移動時間がほとんどない集合住宅併設型や、都市部の大手事業所が「平均値」を引き上げているのが実態です。訪問介護に要支援者のサービスが導入されてから、単価が低いサービスを大手事業者は受けたがらず、その分を小規模訪問介護事業者が担ってきたことも経営難に拍車をかけてきました。
政府は看板政策の賃上げのため「加算で応援する」などと言っていますが、加算の要件として、昇給の仕組みの整備などが課されて、小規模事業所にとってその事務負担が重く難しいとの声が上がっています。賃上げの加算もハードルが高く、このままでは訪問介護事業者の大半を占める小規模事業所は耐えきれず、倒産や閉鎖が増え、訪問介護事業そのものが崩壊する危機に直面します。
おたずねします。
Q6 このまま訪問介護の基本報酬が引き下げられれば、市内の多くの訪問介護事業者の経営が成り立たなくなるおそれがあると思いますが、どのように対応されますか。
答弁要旨
ご指摘のとおり、令和6年度の介護報酬改定におきましては、訪問介護の基本報酬のマイナス改定が示されておりますが、介護職員の処遇改善分として、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップにつながるよう加算率の引上げが予定されております。
そのため、本市といたしましては、訪問介護事業所に対しまして、一層の制度周知・加算申請の勧奨等を図り、加算要件を満たす事業所がもれなく加算が取得できるよう、取組を進めてまいります。
介護保険制度におきましては、全国一律の制度であり、介護報酬における市の負担割合の変更や市独自の加算創設など、市単位での変更はできませんが、今後、訪問介護事業所からの要望等をお聞きする中で、経営状況等に変化がある場合は、全国市長会等を通じて国に申し入れを行うとともに、国からの対応策が示された場合には、適宜対応してまいります。以上
訪問介護事業は、在宅サービスの基本のサービスです。地域の小規模事業所がなくなれば、行き場のない「介護難民」や、家族の「介護離職」が広がります。介護保険制度の理念である「介護の社会化」に逆行します。
おたずねします。
Q7 事業所や利用者に負担を強いる介護保険の改悪を止めるよう国に働きかけること、国費・公費負担割合を引き上げて、抜本的な処遇改善とサービスの拡充、支払える保険料への軽減をすすめるよう、国に働きかけるべきだと思いますが、いかがですか。
答弁要旨
国への働きかけにつきましては、全国市長会において、令和5年11月に策定しました令和6年度向け介護保険制度に関する提言の中で、「持続可能な介護保険制度の確立」や「自治体の財政負担や被保険者の保険料負担が過重とならないよう国費負担割合の引き上げ」、「安定した介護サービス提供のための介護人材の確保」、「低所得者に対する保険料や利用料の軽減策」、「サービス等の実態に即した、適切な報酬の評価・設定」など、介護保険制度の円滑な運営を図るため、国に積極的な措置を講ずるよう求めており、引き続き、こうした働きかけを粘り強く行ってまいります。以上
次に「自衛隊への市民情報の提供」についてです。
市が18歳と22歳の市民の個人情報を、自衛隊にCDデータとして提供している問題について、これまで市民団体と当局との懇談の場や、会派の一般質問などで取り上げてきました 。また、尼崎市の中学3年生男子に対し、神奈川県にある陸上自衛隊高等工科学校入学の案内はがきが送付されるなど、本人家族が知らないところで個人情報が流出しています。
自衛隊に対する考え方は国民の中で様々あります。災害救助が本来の任務ではなく、アメリカと共に防衛を口実に積極的な攻撃を辞さない集団です。自らの個人情報が、知らないうちにどこかの機関、組織にわたってしまうことは、個人情報の保護に関する法律の趣旨に反します。情報コントロール権は、欧米をはじめ諸外国でも確立されている民主主義国家において当然の権利です。
しかし、自らの情報が、市から自衛隊にわたっていることを知らない市民がまだ圧倒的に多数ではないでしょうか。市はこれまで、市のホームページに掲載して周知しているとしてきました。
おたずねします。
Q8 ホームページへの掲載だけでは市民への周知は不十分です。
市報「あまがさき」にも「自衛隊への市民情報の提供」について掲載すべきではないですか
答弁要旨
自衛官等の募集に係る情報提供は、自衛隊法第97条第1項及び自衛隊施行令第120条の規定に基づき法定受託事務として行っているものでございます。
そうした中で、「自衛官募集事務に係る対象者情報の提供について」の市民への周知は、本市ホームページに継続して掲載しており、月に一度の発行で文字数が限られる市報などの紙媒体への掲載よりも効果的であると考えております。以上
また、ホームページでは、情報提供を希望しない場合、除外申出書という書類を提出することを掲載しています。しかし、本来は逆ではないでしょうか。
おたずねします。
Q9 情報提供するのは、情報提供に同意する市民だけに改めるべきではないですか
答弁要旨
先程もこ答弁申し上げましたとおり、自衛官等の募集に係る情報提供は、法定受託事務として行っておりますことから、同意する市民のみの情報を提供するという考えはございません。以上