日本共産党議員団の総括質疑を、松沢ちづる、まさき一子が行います。
まず最初は、公立小中学校の老朽校舎の緊急補修について
本市の公立学校施設においては、1950年~80年代にかけて児童生徒急増期に建設した校舎が多く、建設後40年以上経過した校舎が6割を占めており、適正規模・適正配置推進事業や耐震化事業を進めてきました。多くの校舎の老朽化が進んでいます。
尼崎市学校施設マネジメント計画では、代表質疑で川崎議員が「学校修繕予算を活用し、大規模改修や建て替えを待つまでもなくすぐに改修するべき」との問いに、教育委員会は「日常点検や法定点検により不具合の兆候を把握し、安全性・機能性の確保のため、大規模改修を待つことなく優先順位をつけて行っている」との答弁でした。
党議員団は今季冬休みの間に学校施設の視察に行きました。すべて行ったわけではありませんが、
築50年~80年以上経過している校舎について、緊急に対応しなくてはいけない子どもの安全面に問題がある箇所があることを改めて質問したいと思いました。
資料をご覧ください。
築85年の武庫小学校
⑪2年生の教室の床がフローリングの継ぎ目が凹んでいる部分が床全体にあり、机がガタつく、
子どもがつまずく危険があり。
②外壁がはがれており、建物の下にそのかけらが落ちている。
築60年の武庫中学校
③特別支援学級に近い所のトイレが、ドアや壁がつぎはぎで、ドアのところに「水洗使うな」との張り紙が貼ってある。あまりにもお粗末。
築55年の武庫北小学校
④壁が剥がれ落ち、中のコンクリートが丸出し
⑤廊下の階段付近の踊り場の床がはがれており、つまずいたら階段から転げ落ちそうになる。
⑥教室に雨漏りがあり、床のフローリングの劣化が激しい。その範囲は机の配置を外してある。
廊下や渡り廊下にも雨漏りの跡がありましたが、早急に教室の雨漏りに対しては対応していただきたい。廊下の床がはがれている、壁に深い凸凹になっているなどありましたが、少なくとも階段踊り場の剥がれた部分に引っかかって転倒したら階段を転げ落ちそうで危険だと思います。
外壁や内壁がはがれているところは多くあります。破片が落ちてこないところはいいとして、いつ剥がれ落ちるかわからない部分は補修が必要であると思いました。まだ気になる箇所はありましたが、子どもの安全な学校生活を送ってもらいたいという思いで①~⑥まで上げさせていただきました。質問します。
Q1、以上のような状況で、なぜ放置されているのですか?
答弁要旨
学校施設の不具合などが生じた場合は施設担当の職員が学校長などと現場の状況の確認をしています。
例えば床のフローリングや内壁の傷みなど修繕が必要な場合、小規模で軽微なものについては、修繕の為の予算を各学校に配当しており、学校の裁量により対応しております。
また、修繕以外の施設改修工事につきましては、施設の状況について日常点検や法定点検等により不具合の兆候を把握し、安全性や機能性の確保のために施設改修工事を実施するなど対応しております。
しかしながら老朽化した校舎が多いことから劣化した部分については、安全性などを考慮し、優先順位の高いものから対応しているところです。
今後も引き続き、学校施設の安全性や機能性の確保のために適切な維持管理に努めてまいります。
以上
学校施設については、これまで耐震化、空調整備、改築・新築工事、トイレの洋式化、 ICT環境等の整備を行ってきました。耐震化工事で各学校とも外壁の改修等が行われ比較的きれいな反面、内部がボロボロです。教室のドアの建付けは良いが、職員室が開けにくい学校もありました。
築50年~80年以上の老朽校舎がなおざりになっています。建て替え・大規模改修計画、優先順位をつけた計画的改修がありますが、私はそれに加え、子どもの安全のための緊急対策費が別途必要ではないかと思いました。学校教師は何言っても聞いてもらえない、日々の業務に追われて校舎の不具合を見ないようにしているというあきらめの思い、老朽校舎が当たり前すぎて問題意識を持てないのではないかと思わざるを得ません。質問します。
Q2:教育委員会は学校現場の要望をキャッチしていますか?老朽校舎には必ずすぐに直さなくてはならない箇所があります。教育委員会は現場に出向いて点検が必要ですいかがですか?
答弁要旨
学校が定期的に行う安全点検などに基づく施設修繕の要望箇所については、基本的に教育委員会事務局の施設担当の職員が現場の状況を確認し、対応策について学校と協議しております。また、学校へ出向いた際には、要望があった箇所以外についても可能な限り不具合の点検を行っています。
これに加え、建築基準法や消防法等において必要な法定点検についても専門業者で点検しており、優先順位を検討した上で修繕するなど、学校施設の安全確保に努めています。以上
武庫北小学校のプール、武庫川の土手から子どもたちがプールで授業を受ける姿が丸見え状態でした。遮光ネットを目隠しにしてありますが、何の役にもたっていません。風が通る目隠しフェンスが必要です。
コロナで2年間プール使用されずに来ました。案内していただいた先生が似前は不審者の話も聞きましたが、昨年の夏は不審者情報を聞かなかった」と言われました。武庫川土手を散歩途中に何気なく子どもたちの泳ぐ姿を見るといった行為が不審者と誤解されることもあります。学校は不審者(犯罪者)を生まない対策が必要です。
Q3:子どもの安全を守る観点から、武庫北小学校のプールの目、。しフェンスは早急にこの夏でに対応してほしいと思います。いかがですか?
答弁要旨
武庫北小学校のプールは西側の敷地境界沿いに建設されていることから武庫川土手からの視線を防ぐために、プールのフェンスに遮光ネットを張り対応しているところです。
武庫川土手の高所から視線を防ぐ目隠しフェンスを設置することは、かなりの高さが必要であり、費用も莫大なものになることから、設置は難しいと考えておりますが、プールの授業が行われる夏場は、樹木による目隠し効果もあり、土手からの見え方を学校と確認するとともに必要に応じて、遮光ネットの修繕など対応してまいります。以上
次は小中学校の給食費の無償化についてです。
異次元の少子化対策を打ち出した岸田政権は基本方向として①児童手当などの経済的支援の強化、②子育て家庭を対象としたサービスの拡充、③働き方改革を示しました。しかし子育て世帯の切実な問題として教育費の負担軽減が抜けおちています。
2020年度内閣府がおこなった「少子化社会に関する国際意識調査報告書によると、若い世代が最も重要な育児支援策と答えたのは「教育費の支援、軽減」が69.7%と最も高く、中心に据えるべき対策はここにあります。
コロナ禍の中多くの子育て世帯は仕事が減った、失業した等で不安定な生活になっています。それに追い打ちをかけるように物価や光熱費の高騰が止まりません。低所得世帯、年金生活者、ひとり親世帯、子育て世帯等多くの世帯のくらしが大変厳しい状況です。先日私の事務所に「子ども食堂に届けてください。貧乏人より」という手紙と一緒に袋にいっぱい詰められたラーメンが置いてあり驚きました。社会の貧しさの中での善意だと思います。
文部科学省が調査した子どもの学習費は、学校にかかるものだけで小学生が年間約10万円、中学生が約17万円であり、その大半は給食費用です。尼崎市の公立小中学校の給食費は、年間で小学校が4万3920円、中学校が5万6730円であり重たい負担です。2人3人と子どもがいたらなおさら家計に大きな負担となります。給食費が無償になればかなりの負担軽減になります。
質問します。
Q4:公立小中学校の給食費の無償化についての意見をお示しください。
答弁要旨
学校給食に要する経費は、学校給食法等において市と保護者でそれぞれ負担することが定められており、保護者については、こどもの食べる食材費相当額を学校給食費としてご負担いただいております。
給食費の無償化には多額の経費を要し、本市の財政状況等を踏まえると困難であると考えております。
なお、家庭の経済状況が厳しい世帯には、就学援助制度により給食費を実質無償にするなど、負担軽減を図っているところでございます。以上
兵庫県下では、以前から小中学校で無償化を実施しているのが相生市と加西市です。申学校のみ無償にしているのが明石市、たつの市。一部補助が神戸市や淡路金域等17市町あります。
質問します。
Q5:公立小中学校の給食費を無償にした場合の、試算額はどれほどになると見込まれますか?
答弁要旨
小中学校等の給食費を無償化した場合には、試算では約14億円となります。
以上
Q6:財源の問題では、教育費負担が大きい中学校から無償にする。第2子3子への支援をする。
答弁要旨
仮に中学校の給食費を無償化した場合、年間約5億円の経費が必要となります。それ以外にも、現在、学校給食の運営に必要な維持管理に係るランニング経費など、小学校給食で年間約12億円、令和4年1月から開始した中学校給食では年間約5億円、合計で年間17億円のランニング経費を市が負担しております。
学校給食は、学校教育の一環であり、安定的に提供し、限られた財源の中で、持続可能な制度として継続運営していくことが必要と考えております。
議員ご提案の一部無償化等については、財政状況等を踏まえますと、現段階での実施は困難であると考えております。以上
半額助成をする等、前向きに検討してみてはいかがでしょうか?
子育て支援の対策について
2022年に生まれた赤ちゃんの出生数は79万9,728人、前年と比べて4万3,169人(5.1%)減少しました。1899年の統計開始以降で初めて80万人を割り込み、7年連続で過去最少を更新しています。
日本共産党は、少子化傾向の根本原因として、不安定雇用の広がりと異常な長時間労働、出産育児・教育の経済的負担、子育ての社会環境の悪化を指摘し、「家庭生活との両立ができる人間らしい労働をとりもどす」ことを解決策の一つとしています。
今年に入って政府は児童手当の所得制限をなくすことについて議論がされています。自民党の茂木俊充幹事長は1月25日の衆議院代表質問で所得制限の撤廃を求めました。これまで自民党は、子育ては親や家族が担うべきという主張にもとづき、児童手当の拡充や所得制限の撤廃にたいし「ばらまき政策」と猛烈に反対してきました。子育てを親や家庭の自己責任として固執する立場に、古すぎる家族観やジェンダー観が少子化対策にも影響を与え、若い世代の心を傷つけています。
親の所得による子育て家庭への支援から、所得制限をなくし子どもの人権として、一人ひとりの健康と発達を行政として保障していくという流れが広がりつつあります。
今回市長は子どもの医療費について、就学前の医療費の所得制限を撤廃しすべての乳幼児がひとしく医療が受けられる制度に拡充されました。他会派の代表質疑で近隣市が医療費の無料化が進む中、尼崎の制度はどうか?と問われ、市長は「他都市に比べて見劣りをするような制度拡充ではない」と言われました。私もその通りだと思いました。所得制限を撤廃するというのはジェンダーの観点で大変尊いものだと思います。
そこで質問します。
Q7:市長は子育て施策全般について所得制限を撤廃することはどのように受け止められていますか
答弁要旨
子育て関連施策は、扶助費的な位置づけと、子育て支援の位置づけの、大きく分けて二つの考え方があると思っています。
扶助費的な位置づけにすれば所得制限と親和性が強くなり、子育て支援の位置づけにすれば所得制限撤廃との親和性が強くなります。
子育て支援は、将来への持続的な成長にとって極めて重要な観点ですので、そういう意味では、どのような家庭に生まれたとしても、できるだけ等しく、子育て支援の恩恵が受けられるようにしたいと思っています。ただし、現実的には、財政は限りあるものですから、施策の展開にあたっては、極めて慎重な検討が必要であり、子育て施策全般に対して所得制限を撤廃するとはなかなか申し上げられません。
しかしながら、個別施策ごとに、それぞれの事業の効果なども見極めながら、丁寧かつ慎重に、所得制限の在り方については、考えていきたいと思います。以上
もともと子どもの医療費等の福祉医療は県が行ってきた事業です。2023年度予算では県の支出金は、乳幼児医療費と子ども医療費補助金併せて3億3800万円。子どもの医療費にかかる市の歳出は13億8600万円です。県支出金は23%にすぎません。本市は県の事業として所得制限を撤廃し制度拡充を求めるべきと思います。共産党議員団は兵庫県に対して制度拡充を毎年要望しています。
Q8:兵庫県に対して、すべての子どもが同じサービスが受けられるよう、所得制限の撤廃と制度拡充を求めるべきと思いますが、いかがですか?
答弁要旨
こどもの医療費助成につきましては、県の制度に加え、対象年齢や所得制限、自己負担額といった認定基準や助成範囲の拡充を独自に図る市も多く、各市における単独事業費が多額となっていることから、これまでも県に対しまして支援拡大を要望してきたところです。
なお、令和5年度の県副市長会におきましても、「国の責務として、所得制限を設けることなく、高校生世代までの全ての子どもを対象として、子どもの医療費を無償化する全国一律の持続可能な助成制度を創設すること」を、県が国に対して提言するとともに、制度創設までの間、県が財政支援を拡充するよう、要望する予定でございます。以上
最後は加齢性難聴者の補聴器購入助成制度についてです。
毎日新聞に「聴力に関する大規模調査の結果」が今年1月26目公表されました。聞こえにくさを自覚している人のうち、補聴器を所有している人の割合は15,2%であり、16か国中15位でした。欧州各国の所有率は3~5割で、日本の低さは際立っていました。
2021年発行の慶応義塾大学医学部名誉教授で耳鼻咽喉科の小川郁(カオル)先生の「認知症と加齢性難聴」の論文によると「難聴は認知症の危険因子であり、難聴への介入は認知症の予防法として最も有効であることが明らかになっている。少なくとも軽度認知障害の時点で難聴がある場合はできるだけ早く補聴器の装用(そうよう)などの対策を考える必要がある。日本の補聴器普及率は欧米に比べて極めて低いと言われており、その理由の一つとして補聴器購入に際して公的補助制度や補聴器供給システムの問題が指摘されている」と記されています。
私の知り合いは70歳、訪問介護ヘルパーをしています。「耳の聞こえが悪くて思い切って補聴器を買ったの。高くてびっくりした、私は仕事しているので買えたけど、年金暮らしのお友達は買えない。補聴器付けたらよく聞こえるので、人とのコミュニケーションが楽しい。仕事が楽しくなった。まだまだ働ける気がする」と目を輝かせています。でも40万円もする補聴器購入には勇気がいったそうです。
2022年に兵庫県が補聴器購入補助を試験的に単年度実施しました。対象は、医師による補聴器が必要と診断された65歳以上で、400人程度でk限が2万円です。県と同程度のサービスを実施していた明石市は79人がこの制度に応募しました。一方尼崎市では5人の市民にとどまっています。県内には明石市を含めた4市町が助成制度を設けています。
大小さまざまな集まりで、補聴器助成の話をすると地域のみなさん「うちの夫に買ってあげたい」塙いので躊躇してしまう。助成制度があったらいいな」とニーズが多くあります。
Q10:補聴器の助成金額、人数、申請の条件等など検討しながら、実施に向けた前向きな決断をしてほしい、いかがですか?
答弁要旨
加齢性難聴者の補聴器助成につきましては、議員ご案内のとおり、今年度、兵庫県がモデル事業として、補聴器装用のニーズや社会参加活動の状況等を把握する調査を実施しております。
また、本市では、現在実施しております、第9期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に係る本市のアンケート調査において、「補聴器等の利用状況」や「会話の聞きづらさによる外出頻度」の調査項目を新たに設け、状況の把握を行っているところです。
県のモデル事業や本市のアンケート調査結果の検証が途上であり、また、対象者が多く、財政面を考慮する必要があることから、引き続き、国・県・市の研究・調査結果や、他都市の実施状況等を踏まえ、効果的な支援のあり方について、研究してまいります。以上
これでまさき一子の質問を終わります。