2022.10月議会 川﨑敏美議員の総括質疑と答弁要旨

2022年10月決算総括質疑 

決算不用額について

2021年度の予算現額は2398億5584万円、これに対して不用額が55億6500万円出ています。この不用額の金額は最近ではかなりの金額となっていると思います。予算額に対して決算額との差はできるだけ小さい数字であるべきなんでしょうが、ここまで大きな差額が生じるということは、特段の事情で済まされるのでしょうか。

質問1

決算不用額はコロナ前後でどのように変わってきているのでしょうか?この5年間の不用額の推移はどのようになっていますか?

 

答弁要旨

過去5年間の一般会計に係る不用額につきましては、令和3年度で55億65百万円、令和2年度で51億21百万円、令和元年度で39億78百万円、平成30年度で30億21百万円、平成29年度で30億55百万円となっており、年間を通じてコロナの影響があった令和2年度以降と、コロナ前の令和元年度以前を比較しますと、20億円程度多くなっています。以上

コロナが始まる以前とコロナ期に入ってからの推移はかなりの変化があると思います。

また不用額が出てくるその要因について、近年入札不調、資材や人材の確保困難に伴うものなど多様なものがあると思います。

 

質問2

2021年度の不用額の主な要因となるものはどのようなものがあるのでしょうか?

年度によって特徴があると思いますが、特に2021年度の特徴について教えてください。

 

答弁要旨

令和3年度一般会計決算の不用額の主な内容は、人件費全体で4億98百万円、子育て世帯臨時特別給付金給付関係事業費で4億87百万円、生活保護扶助費で4億83百万円などとなっています。

予算の積算にあたりましては、前年度決算額など直近の実績をもとに精査を行っていますが、これまでの決算では、そこから執行差金等により不用額が生じていましたが、それに加えて、コロナ禍の令和2年度と3年度決算においては、新型コロナウイルス感染症対策経費や、コロナの影響を受けやすい事業等は、執行見込の全てを精緻に見込むことが困難である中、極力市民サービスに支障を来すことがないよう予算を措置してきたことから、最終的に決算の段階において不用額が生じたものでございます。以上

 

 

不用額の大きさが、そもそも予算の立て方に問題ありと指摘されることがないように、色々努力されていると思います。

 

 

質問3

予算と決算の差額は何パーセントとか、いくらの金額が望ましいとか不用額に対する具体的な指標はあるのでしょうか?また不用額をできるだけすくなくしていくための取り組みについて、特に対策を講じようとしていることはありませんか?

 

答弁要旨

予算執行にあたりましては、当然のことながら、予算の範囲内で執行しなければならないことから、歳出予算においては不用額が一定生じる仕組みとなっています。

ご答弁しましたとおり、コロナ禍において増加しているものの、令和3年度決算における現計予算額に対する不用額の割合は2.3%程度であり、決して高い比率であるとは考えておりません。

しかしながら、過大な不用額が生じることがないよう、今後も引き続き、適切に予算の見積もりに努めてまいります。以上

 

 

アウトソーシングについて

施策評価のDX(デジタルトランスフォーメンション)の推進と最適な業務執行体制の構築の項目で、つぎのような記述があります。「今後の課題としてこれまで取り組んできたアウトソーシングについて、直接業務に携わらなくなった市職員におけるノウハウの維持・継承手法等、業務の継続性に係る対応策の確保が必要である」と、述べられています。私はこの点に市が着目していることに感心しました。

 公共施設の業務委託、各部署での業務執行体制の見直しによって、かなりの部署で民営化が進んでいます。公務員が民間に置き換えられ、公務員として市民と直接向き合わないことが常態化し、こうした状況が続くと、市民の意見・声が直接職員に届かない、市民感覚との隔たり、つまりは市民ニーズを把握することができにくくなるのではありませんか。そのことが、結果として市民感覚に鈍感となり、職員のスキル、モラルを低下させていくという問題が出てくるのではないかと思います。市民は、職員が親切、ていねいに、寄り添ってくれる対応をもとめています。正規の公務員であるのかそうでないかによっても、信頼度が大きく変わるのではないでしょうか。公務員は業務を通して知り得た市民の情報やプライバシーを護る義務を課せられているからです。

 

質問4

公共施設の業務委託、各部署での業務執行体制の見直しによって、かなりの公務員が民間の人に置き換えられていると思うのですが、その数は何人となっているのでしょうか。また今後の目標はどうなっているのでしょうか?

 

答弁要旨

平成15年の経営再建プログラム策定以降、例えば、保育所の民間移管、指定管理者制度の導入などといった市外部への業務執行体制見直しの実施については、正規職員ベースで約600人分の定数削減となっております。

今後の目標数については定めておりませんが、人口減少及び少子高齢化の進展による労働力の減少に伴い、今後も限られた職員数で安定的な行政サービスを維持しつつ、新たな市民ニーズや行政課題に対応するため、これまで以上に業務の優先順位の整理や事業の休廃止等による業務量の調整を意識した組織マネジメントを強化するとともに、業務手法の見直しによる効率化を図ることにより、柔軟かつ持続可能な執行体制の構築に努めてまいります。以上

 

 

質問5

現在、公共施設の運営上の民間への指定管理がほとんどの所で行われていると思うのですが、その割合と件数を教えてください。

 

答弁要旨

令和3年度末時点で、公営企業会計を除く、延べ床面積が100㎡以上の公共施設につきましては、約430施設となっております。

そのうち、令和4年度に指定管理者制度を導入している施設は、171施設であり、導入割合といたしましては、約40%となっております。

なお、分母となる約430施設の中には、学校などといった指定管理者制度の活用が見込めない公共施設が多数含まれていることから、割合としては低くなっております。以上

 

アウトソーシングについて、USBメモリー紛失問題も起こっている今日、このまま続行、さらに進めていくべきではないと思っています。一旦立ち止まってこれまでのアウトソーシング、民営化について総合的に検証を行うべきではないでしょうか。

これまでの民間委託等の検証はどのように行われているのでしょか?業務委託がきちんと遂行されているのか、それを判定する基準、例えば契約書とか運営マニュアルとかがあると思うのですが。検証方法はどうなっているのでしょうか?

 

質問6

検証は何に基づいてどのように行われ、そのチェック基準は示されているのでしょうか。またそのチェックは定期的に行われなければなりませんが、どのようなルールが定められているのでしょうか?

 

答弁要旨

アウトソーシングの実施にあたっては、行政における技術・ノウハウの喪失や、職員個人の知識の低下などといった面で課題があるとの認識から、令和2年度に職員向けの「尼崎市業務見直しガイドライン」を策定し、アウトソーシング導入後におけるモニタリングや評価検証等に関する全庁統一的な視点を持って進めているところでございます。

アウトソーシングに係る評価検証につきましては、当該ガイドラインを踏まえ、今年度から、「委託評価シート」を活用するなかで、委託業務が適正に実施されたかどうかを「成果・体制・経費」の観点で評価することとしております。その中でも、とりわけ市民生活への影響が特に大きい業務については、「委託評価カルテ」を用いて、重点的にリスク管理すべき項目を洗い出し、ノウハウの維持やコストの妥当性などのリスクに対する対応策について評価検証していくこととしております。

なお、評価検証の実施時期につきましては、基本的には、毎年度実施する予定としておりますが、今後、この評価検証を進めていくなかで、実施時期も含め、より一層の効率的・効果的な運用手法を引き続き検討してまいります。以上

 

 

市民の間には、アウトソーシング、民間委託の見直しが必要だとの声が高まっていると思います。

具体的にどうするのかといった点で、一つの提案をしたいと思います。業務の中でアウトソーシングを決定した部署で全面的に公務員に替わって民営化を進めるのではなく、半分は公務員を残すべきです。民営化で問題となる偽装請負が起こらないよう対策を講じ、業務に対して並立的に職員が関わることで、職員と民間の人間との間に指揮命令系統が発生しないスタイルを作ることは可能だと思います。そうすることによって市民感覚とのずれを防止でき、また業務上の問題点や課題、ノウハウを共有できるということに繋がりませんか、検証と共に検討していただきたいと要望します。

 

児童ホームとこどもクラブについて

施策評価表の中で02子育てと仕事の調和の実現に向けた環境づくりで、評価と取り組み方針についてこのような記述があります。「児童ホーム及びこどもクラブについては、それぞれの利用状況や待機児童数の動向に加え、必要経費なども見極めた上で、一体的にあり方を検討する。なお児童ホームについては、開所時間の延長に向けて検討する。」とあります。

 

質問7

児童ホームとこどもクラブの一体的あり方について検討すると言われれば、誤解を生じます。一体的に在り方を検討するとはどういうことでしょうか?

 

答弁要旨

施策評価表における一体的あり方の検討の意味につきましては、今年度から、児童ホームの土曜日及び長期休業期間の朝の開所時間の延長や、こどもクラブの開所時間を通年で午後5時まで延長するとともに、昼食時間帯も開所したことによって、一定、児童ホームの待機児童の縮減効果が出ていることから、児童ホームとこどもクラブそれぞれが同一敷地内にある強みを活かし、来年度に向けて更に効果的な運営が出来るよう検討することを意図したものです。以上

 

 

生活の場としての児童ホームの存在を今後もきちんと位置付けてほしいと思います。

 

質問8

児童ホームの待機児童対策に民間活用がどこまで効果を発揮しているのか疑問です。市は児童ホームの待機者が実際に民間ホームを利用している実態をどこまで掴まれているのですか?

 

答弁要旨

本市の児童ホーム、こどもクラブの利用児童数は、令和4年5月1日時点で、公設児童ホームが56か所で2,681人、こどもクラブが41か所で2,716人、民間児童ホームについては、平成27年度の子ども子育て支援新制度により施行されておりますが、初年度は4か所で20人、令和4年では37か所で711人となっており、大幅に増加しております。

令和4年5月1日時点での公設児童ホームの待機児童数419人のうち、こどもクラブに登録した児童は368人、民間児童ホームに登録した児童は3人でした。何れにしても、こどもクラブと民間児童ホームが公設児童ホームを補完しているものと考えており、民間児童ホームは待機児童対策として効果があるものと認識しております。以上

 

国が民間の施設に補助を出しているからだと思うのですが、待機児童対策としてどこまで実効性があるのかわからない補助について見直すべきだと思います。

 

ホームの待機児童対策は、国基準の1施設あたり40人定員に基づく整備を基本とすべきだと思います。この基準はこども子育て支援法が2017年に施行されたときに、定められておりすでに7年が経過しています。しかし整備はまだ進んでいません。

 

質問9

この1か所あたり40人の児童ホームを整備できていない理由は何なのでしょうか、お示しください。

 

答弁要旨

児童ホームの定員については、平成27年4月の厚生労働省令で概ね40人以下とされておりますが、各自治体の状況に応じ市が条例で定めることとされております。

本市においては、子ども・子育て審議会の答申に基づき、尼崎市児童福祉法に基づく児童福祉施設の設備及び運営の基準等を定める条例で、この条例の施行の際、平成27年4月時点で既存の児童ホームについては、60人定員であっても、待機児童の解消という課題もあることから、当分の間、厚生労働省令で定められたおおむね40人という基準は適用しないものとしております。

なお、それ以降に整備された児童ホームにつきましては、この厚生労働省令で定められた40人定員を遵守しております。以上

 

 

児童ホームの開所時間の延長は、保護者の働き方が変化していくもとで、よりよい児童ホームの運営にとって必要なことだと思います。現行の18時までの開所では保育所と同時利用している家庭にとっては、お迎えの問題で大変な苦労が生まれています。しかし嘱託職員の処遇問題、労働時間の延長等について協議し合意を得るべきだと思います、また利用者の保護者に改めて意見を聞くべきです。

 

質問10

さらなる児童ホームの開所時間の延長について、アンケート調査等は実施されないのでしょうか?職員や保護者、生徒の意見徴収についてどのような手立てをとられるのでしょうか?

 

答弁要旨

児童ホームの開所時間につきましては、阪神間各市町のうち、尼崎市を除く全市町で午後7時までの利用ができるようになっていること、また、まちづくり提案箱などで複数の市民の方々から、開所時間の延長へのご要望もあることから、市として、延長の実施について検討をはじめており、改めてアンケート調査を実施する予定はございません。以上

 

テナント事業者向け 緊急つなぎ資金 市独自の中小企業対策について

コロナ禍の元でテナント事業者向け緊急つなぎ資金の完済ができていない事業者が22%います。これからもコロナ感染拡大がいまだ収束のめどが見えない中で、円安による物価高が資材や燃料の高騰をもたらし、事業者の営業を脅かしています。

国・県の助成を待つ姿勢をあらため市独自の支援策が必要となっているのではないでしょうか?

 

質問11

財政調整基金等を活用して、つなぎ資金の返済猶予など中小業者向けの新たな支援策を実行する考えはありませんか?

 

答弁要旨

緊急つなぎ資金貸付金につきましては、当時、国・県、金融機関などの支援策が実行されるまでに相当の期間を要したため、申請後、概ね1週間で入金するもので、総額163,245千円、457件の利用がございました。

返済方法につきましては、当初は6か月の返済据置後の一括返済としておりましたが、長引くコロナ禍の実情を鑑み、借入事業者の状況に応じた返済計画を定め、分割での返済の相談に応じているもので、令和4年9月末までの回収額は128,713千円、回収率は78.850/oと、着実に回収が進んでいることから、既に返済いただいた方との公平性の観点から返済猶予は考えておりません。

また、資金繰り支援対策といたしましては、9月議会において、既存の貸付制度を活用していただけるよう、借入にあたっての信用保証料の補助を行う予算を計上しており、現段階で、新たな貸付制度の創設は考えておりませんが、今後におきましても、引き続き借入事業者に対し、きめ細やかな聴き取りを行いつつ、早期完済に向けて取り組んでまいります。以上

 

尼崎市立幼稚園について

尼崎市立幼稚園のあり方検討会で、今後の市立幼稚園に求められる機能、役割として、4つの意見が出されています。その意見の中で、3年保育の実施を言う一方で、市立幼稚園の再編として認定こども園化や統廃合がうちだされています。これまでも市立幼稚園で3年保育が実施されていれば、入園希望は落ち込まなかったのではなかったのか。この3年間の市立幼稚園の幼児数は定員1325人に対して、2年前は518人、昨年は470人、今年は420人となっており、毎年50人程度入園数が減少しています。この減少傾向について総括がないまま安易な市立幼稚園の再編計画を進めてはならないと思います。

 

市立幼稚園の今後の在り方について、まずは3年保育を実施してから今後の再編計画を考えるべきと思います。

 

あまっ子ステップアップ調査事業について

現場の教師にとっては個々の生徒のつまずきを経年的に追いかけることができる優れた調査活動だと、教育委員会は自己評価しています。しかしその認識は現場の先生方との間でいまだに乖離があるのではないでしょうか。先生への事務的なものも含めて様々なサポート体制がとられていないもとで、長時間労働が解決されず、この調査活動が現場に押し付けられている、また、学習のつまずきを克服するための、生徒一人ひとりに配布されるプリントが十分に活用されているとは思えない、担任がチェックできる時間的余裕がないとの教職員からの声も聞こえてきます。

施策評価の評価と取り組み方針では、「今後、調査結果を他者との比較だけでなく、自身の伸びやつまずきに着目した活用ができるように、より具体的な取り組みを検討していく必要がある」としています。これは実施の最初の段階から考えられ検討しておくべきことだったのではありませんか。

 

実施時期が必ずしも学期末でないため、習っていない問題にも回答しなければならないとかいった問題は克服されていません。現場がこの調査事業に背を向けざるを得ない状況は変わっておらず、この問題は解決できていないのではありませんか。年間3100万円もかけてやるほどの値打ちがあるのか疑問です。

 

以上で日本共産党議員団の2021年度の決算、その他施策評価に関する総括質疑を終わります。