2022.10月議会 まさき一子議員の総括質疑と答弁要旨

総括質疑

日本共産党議員団の川崎としみ、まさき一子が総括質疑を行います。よろしくお願いします。

まずは会計年度任用職員の処遇改善についてです。

 労働法制の規制緩和で働く女性の56%がパート、派遣、契約など非正規雇用です。自治体では国の交付金において行革推進の誘導がおこなわれ、アウトソーシング、民営化、指定管理者制度など様々な方式が持ち込まれ、すでに多くの業務が非正規雇用に代替えさせられました。自治体で働く非正規雇用の8割が女性であり、自治体は官製ワーキングプアを生み出している当事者です。ジェンダー平等の立場から処遇改善を求め質問します。

 

 会計年度任用職員として、多くの女性が働く学童保育(以後児童ホームという)の現場では、退職金制度が廃止され、離職慰労金が働く年数によって支給されました。青少年総務費から出される105人分の慰労金の中で104人分が児童ホームの職員でした。勤続年数20年~30年以上の人が38人おられます。長年公務員として誇りをもって仕事してこられた方々です。

 市職員の年収は平均約630万円。会計年度任用職員は年収約270万円です。知り合いの指導員さんは22歳から40年間働き、児童ホームで多くの教え子を育ててきました。時給は1800円、一日6時間勤務、経験手当がついて年収が約280万円。65歳になったら年金は月10万円程度だそうです。

 

Q1:長年、職員として仕事を全うしてこられた方の生活保障はこれでいいのでしょうか?

 

答弁要旨

本市における会計年度任用職員につきましては、勤務時間が常勤職員と比べて短いこと

等から年収差が生じておりますが、令和2年度に現在の会計年度任用職員制度を導入した際には、初任給再算定による実質的昇給等、一定の処遇改善を図ってまいりました。

また、常勤職員の定年引上げに先立ち、今年度から非常勤行政事務員の任用上限年齢を撤廃し、能力や健康状況等を踏まえたうえで、高齢期においても引き続き就労いただける枠組みを設けているところでございます。

今後も引き続き、国や他都市の動向を踏まえながら、会計年度任用職員の処遇について検討してまいります。 以上

 

 今年の2月から国による「処遇改善臨時特例事業」として看護、介護、保育、幼児教育などの現場で働く労働者に、平均月額9000円の引き上げが実施されました。児童ホームの職員にも適応されています。この制度、今年2.3月分は一括で、4~9月までは子ども子育て交付金とは別で補助金として国から10分の10支出されます。10月からは子ども子育て支援交付金により同様の措置を講じるとして、国1/3、県1/3、市1/3の支出となります。

 

Q2:この制度は今後、一部、市の負担が発生します。確認します、来年度以降も継続されるのでしょうね。

 

答弁要旨

処遇改善臨時特例事業につきましては、現時点では来年度以降における制度が未定でございますが、国の動向を注視しながら、継続に向け進めてまいりたいと考えております。 以上

 

 先日の健康福祉分科会では、児童ホームの指導員が20歳代は3%、30歳代が5%ということが話題になりました。子どもと一緒に校庭を駆け回る体力のいる仕事です。ベテランの指導員と若い指導員のコンビネーションが必要です。しかし結婚・出産で辞めていく人が多い状況にあります。

 扶養手当や住宅手当等がなく、給料は上がらず生活ができないところに長く働けない理由があるのではないでしょうか。

 

Q3:指導員の中には、シングルマザーや男性指導員もいます。諸手当がない状態でいいのですか。給料が上がらないところに若い指導員がやめていくという認識はありますか?

 

答弁要旨

本市の会計年度任用職員制度につきましては、法の趣旨や国の考え方を踏まえて導入しております。扶養手当や住居手当などの手当につきましては、国において、支給しないことが基本とされているため、本市においても支給の考えはございません。

一方で、一部の職場においては欠員が生じていることは認識しておりますことから、他の自治体における勤務条件等を調査したうえで、本市の会計年度任用職員の処遇について検討してまいりたいと考えております。 以上

 

 保育の現場同様に児童ホームでも慢性的な人手不足です。今年度から人材派遣事業所からの職員派遣がされています。仕事を教えても臨時的雇用であり長く続かない、二人や三人の職場で一人前として働いてもらわないと困ると苦情があります。

 会計年度任用職員制度となり、国が一律でボーナスを年4カ月分から2.6カ月にしました。

その分、給料に加算されて年収は同じです。その一方で市職員にはボーナスに勤勉手当がついていますが、会計年度任用職員にはありません。

 

Q5:会計年度任用職員のボーナスに勤勉手当がついていないのはなぜですか?

 

答弁要旨

繰り返しになりますが、本市の会計年度任用職員制度につきましては、法の趣旨や国の考え方を踏まえて導入しております。

勤勉手当につきましては、国において、各地方公共団体における期末手当の定着状況等を踏まえた上での検討課題とすべきものとして、現時点においては、支給しないことが基本とされているため、本市においても現在のところ支給の考えはございませんが、引き続き国の動向を注視してまいります。

 

 

 次はがん健診の受診率について

 2022年度施策評価では「がん検診の受診率は依然として兵庫県下でも低い水準にある」とあります。食習慣や嗜好品の多様性、ストレスが多い社会で、がんは誰もがかかる病気です。早期発見でがんは完治が可能な病気です。しかし発見が遅れると治療が困難となり、莫大な医療費を必要とします。だから検診が必要なのです。

 尼崎市の死因は2013年から約10年間の第一位は悪性新生物(がん)です。2位は心疾患で死亡率は2020年のデータでは肺がんが23%、胃がんが12%、肝臓がんが7.5%、女性では乳がんが4%です。

 私の義理の姉は、40歳代で乳がん全摘術を受け、放射線、抗がん剤治療を受けましたが、10年間の治療を受け50歳代で亡くなりました。若い世代のがんの進行が速い、気が付いたときには手遅れ状態に、40,50歳代の人が自分の健康に関心を持って検診を受け早期に発見治療することで、がんの死亡率を下げる鍵となるのではないかと考えます。検診で早期発見治療することで救えた命です。働き盛りで社会責任を負っている世代としてはどんなに無念でしょうか。

 

Q6:働き盛りの年代、子育て中の年代にがん検診へ誘導するアプローチが必要だと思いますが、どのように考えますか?

 

答弁要旨

悪性新生物、いわゆる「がん」については、検診によって早期発見し、早期の治療につなげることで、治癒率が大きく高まるとともに、治療の際の身体的・経済的負担も軽くなることから、

より多くの現役世代の方々に検診を受診いただきたいと考えております。

そうした中、本市のがん検診の受診率の向上に向け、今年度からは、巡回バスによる受診機会の増加や、新たに民間企業や生命保険会社と協定を締結し、調剤薬局、量販店や保険外交員を通じ、がん検診の大切さの普及啓発にも取り組んでいるところであり、今後におきましても、より効果的な受診勧奨の方策について検討を進めてまいります。以上

 

 

 資料1をご覧ください。

各市のがん検診の情報をまとめ一覧にしました。兵庫県でも阪神間は人口が多く、がん検診の補助も十分ではなく、それに伴い受診率も低く推移しています。その中でも、尼崎市の受診率の低さは際立っています。例えば川西市では国保加入者は条件付きで無料、伊丹市はセットで検査したら安くする。西宮・芦屋市は70歳からは無料等、アピールの方法はさまざまです。当局は分科会で他都市の状況を検証していると言われていました。

 

Q7:資料1での近隣都市でがん検診の補助について、参考にしようと思っている事例はありますか?

 

答弁要旨

木市では、子宮頸がんは20歳、その他の肺がん・胃がん等は40歳の年齢を機に、無料クーポン券を同封して受診勧奨を行っており、これらの無料対象者は、他の年齢層に比べて、受診率が高い傾向にあります。

がん検診の無料対象者については、各市で対象が異なる状況にありますが、現役世代の多くの方々を対象とする自治体では、全体の受診率も高い傾向にあり、また、本市の無料対象者は、他市と比較して少ない状況にあります。

こうしたことから、がん検診の現役世代を対象とする無料化については、本市の受診率の向上に寄与する有効な取組であると認識しておりますが、財源確保という大きな課題もありますので、引き続き、他市の状況を分析しながら検討してまいります。以上

 

 

 大きな会社の検診費用は福利厚生で無料または一部負担で受けることができます。中小企業が入っている協会けんぽでは個人負担が発生します。また国保加入者には川西市のような40~74歳までの国保加入者は無料にするなど、検診を受けやすくする支援が必要なのではないか、また、宝塚市のように乳がんは40歳~55歳まで5歳刻みでクーポンを利用し受診を促すこともよい試みだと思います。

 

Q8:保育事業所や介護施設、飲食業も含めた市内中小事業者等へ受診勧奨をすること。また、国保加入の個人事業者や市民には川西市のような支援が必要ではないでしょうか?

 

答弁要旨

がん検診につきましては、川西市のような、国民健康保険加入者の全てを無料化することは、多額の財源が必要となることから、非常に難しい状況にありますが、個人事業主等を含む現役世代の受診率向上に向けては、協定を締結する民間企業や生命保険会社との連携による取組に加え、今後は、生活習慣病予防のインセンティブとなる「未来いまカラダポイント」の拡充を検討するなど、より一層の受診勧奨に取り組んでまいります。

 

次は保健所の機能強化と保健師の増員について

 新型コロナ感染対策、気候変動による熱中症、がん・特定健診、乳幼児健診と育児相談、地域・精神保健、アル中対応等保健師の仕事は、市民の命を守る仕事です。コロナ感染の全数届がなくなり、インフルエンザの流行と重なったらどういうことになるのか。気候変動の中、さらなる新感染症の発生も危惧されます。コロナ禍での保健師の増員については、一般質問で「派遣の増員や全庁挙げての応援体制で乗り切る、増員は考えていない」との答弁でした。本当にこれでいいのでしょうか。これからますますの公衆衛生の役割が重要となります。恒常的な保健師の増員と保健所の機能強化が必要です。

 

 子どもの医療費について

 尼崎市も多くの市民の要望に応えて、今年7月からの子どもの医療費助成の拡充で多くの子どもとその保護者が喜んでいます。どの世帯や年齢の子どもも自己負担が軽減されたことが、市の努力が伺える内容になっていたこと感謝します。

 全国的にはどういった動きになっているのか調べてみました。厚生労働省は毎年乳幼児医療費に対する援助の実施状況をアンケート調査しています。都道府県では所得制限をなくす、自己負担をなくす取組が行われています。2022年4月現在では47都道府県中、通院では所得制限なしが17府県(36%)自己負担なしが10県(21%)であり兵庫県は入っていません。

 市町村1741自治体における実施状況は通院では、所得制限なし1521自治体(87%)自己負担なし1136自治体(65%)でした。この中には尼崎市は入っていません。

 全県で子どもの医療費無料化を取り組んでいるところはそう多くはありませんが、各市町村の努力で所得制限や自己負担をなくしている自治体が多くあることがわかりました。

 

Q10:全国の自治体にならって、本市でも子どもの医療費の無料化に向けて奨めていく考えはありますか?

 

答弁要旨

子どもの医療費助成につきましては、将来的な収支を見通す中で一定の財源が確保できたことから、所得制限を撤廃し、通院医療費につきましては、中学3年生まで、入院医療費につきましては、高校3年生まで全ての子どもを対象とし、現時点での最大限の拡充を本年7月より実施したところです。

医療費の無料化を含めた今後の更なる拡充につきましては、施策目的やその効果、他の施策との優先順位、また、新たな恒久的財源の確保を前提に検討を進める必要があると考えています。以上

 

 尼崎市は所得が非課税世帯は負担がありませんが、市民税所得税額23万5000円未満の世帯の通院400円月2回まで、市民税所得割税額23万5000円以上の世帯は800円を月2回までです。この部分について質問します。

 

Q11:小学1年から市民税所得割税額23万5000円以上の世帯を、通院400円月2回までにした場合の市の財政的負担はどれほどになりますか?

 

答弁要旨

中学3年生までで月額600万円の財源が必要と見込んでいます。

 

 医療費の助成の拡充したばかりなのに、また言うのかとお思いでしょうが、子どもの貧困は減っているどころかコロナ感染の影響、物価高騰、円安不況でますます増えているのが実態です。子どもの権利として、どこに住んでいても、どんな家庭で育ったとしても、収入が多かろうが少なかろうが、平等に保障する仕組みが必要です。続いて川崎としみ議員に替わります。