2021 .10月 まさき一子の総括質疑と答弁要旨

日本共産党議員団のまさき一子、松沢ちづるが総括質疑をさせていただきます。

まず最初は、ファミリー世帯の転入・転出アンケートから質問していきます。

 

 尼崎市は「総合指標によるまちづくりの評価」・「4つのありたいまちに向けた主要取り組み項目ごとの評価」等をまとめたものが「まちの通信簿」です。

 そこでは、ファミリー世帯の定住・定着を1丁目1番地に取り組んでおられます。

 

昨年の2020年1月に施行した、最新の転入・転出ファミリー世帯に対するアンケート調査報告書(以後アンケートと言います)を見ていると、転入・転出共通して尼崎市が取り組むべき課題があります。

その一つが「治安・マナーが悪い」です。治安については、暴力団の発砲事件があり近隣住民はおびえているし、様々な事件や特殊詐欺等でニュースになると、市内外から「あーぁ、また尼崎か」という声が聞こえます。でもこれは尼崎市に限って多いのではないと思います。ひったくりが多いという事態も、危機管理局の必死の取り組みで激減しました。夜間の道路はLEDの街灯が点灯しており、以前のように街灯が切れている状況はありません。歩きたばこ禁止条例で、歩きたばこが全くなくなったわけではありませんが、たばこの吸い殻が少なくなり街中がきれいになりました。市は長年にわたり、治安の改善に努力をし、私はよくなったと思っています。しかし市民の印象は治安が悪いからが払拭できていません。

質問します。

 

Q1:市民が安心して過ごせるために、尼崎市の治安をどのように改善しようとしているのですか。

答弁要旨

 危機管理安全局では市民の体感治安向上をめざし、街頭犯罪を防止するため、犯罪の発生状況を分析して効果の高い取組を行うことを基本とする中、成果目標を掲げることで事業効果を検証し、状況の変化に応じて柔軟に対応する手法として「尼崎防犯戦略」を策定し、取り組んで参りました。

 街頭犯罪に関しては、過去最低数値を毎年更新し、令和2年度の市民意識調査では、尼崎市の交通安全、治安等の面で安心感を持っている市民の割合が6割を超えるなど、効果をあげているところです。議員ご指摘の令和元年度の転入・転出要因分析報告書によりますと、「治安・マナーが悪い」と思う理由で最も高い「体験に基づいて」を選んだ方の体験内容は、「タバコ、交通マナー、酔っ払い等の市民マナーに関する内容が多くなっております。

 治安とマナーでは取組対象が異なっており、近年、街頭犯罪の減少に伴い、市民の求める取り組みが犯罪防止からマナ―順守へと変化してきているのではと感じているところです。

 このことから、まずは、今後実施する市民意識調査の質問項目を工夫し、市民の求める内容を的確に把握した上で、市の施策についても検討していきたいと考えております。以上

 

市は暴力団の排除を行う団体・市民と連携がとれており、画期的な運動がありました。

また市が行っている、広報車でのパトロールで時事の問題をアナウンスして市民に知ってもらい、注意を促していることはいいと思います。市の広報車に出会うとすごく安心するのは私だけではないと思います。

さらにアンケートで示されたのが自転車のマナーの悪さの問題でした。自転車のマナーについては、自転車盗難、放置自転車、自転車走行時のマナー、ながらスマホの問題もあります。

私も以前は自転車に鍵をかけずに離れることがありました。そんなときある人から「鍵をかけないのは自転車の盗難を促すこと。犯罪者を産むことに加担することになる」と言われたことは衝撃でした。

分科会での自転車のマナーについて、局長は「自転車条例を設置しており、全国でも珍しく職員が直接指導できる規定を設けている。自転車事故が多い伊丹市が尼崎市に来られそのノウハウを持って帰って展開している。引き続き条例に基づいて行っていく。また道路交通法違反は警察でしか認知できず、法における市の限界点を感じている」とおっしゃいました。

 

Q2:市のノウハウとは?また市が出来る今後の自転車マナーへの啓発とはどのような方法で行っていこうとお考えですか?

答弁要旨

 本市では、自転車関連事故の多い小学校区を毎年、重点地区として選定し、現地調査を行い、事故の多い交差点・時間帯・道路状況等事故データの詳細を記載した自転車関連事故カルテを作成した上で、実際に事故の多い交差点においてビブス型看板による視覚的効果を取り入れた指導や音声パトロールを行うなど、地域状況に応じた対策を行っており、これらは他都市に例を見ない取り組みです。

 今後においても、自転車事故防止やルールの遵守・マナー向上を木T系に、対象となる地域に職員が調査に入り、事故カルテを作成した上で、地域に応じた啓発等の対策を講じてまいります。以上

 

自転車マナーについては、日常のことでこれくらいはいいのでは?あの人もやっている等マナーについては良し悪しがマヒしていることを感じています。小中高校生の自転車指導を行い、地域のお祭りの時に、舞台から警察官がお芝居をしながら、ひったくりやマナーの啓発に取り組んでおられます。市民にとっては改めてマナーを学ぶ機会になります。

アンケートで指摘された自転車のマナーの悪さは、市民の安心安全と共に尼崎市のイメージアップのために解決するべき課題です。

 

次に乳幼児等子ども医療費助成事業についてお聞きします。

 

アンケートでは、引っ越しの判断材料となった行政サービスとの問いに、①「乳幼児医療等の助成金額や助成期間」の割合が最も多くなっています。次いで➁「保育所等の待機児状況」③「小中学校の給食などの教育環境」と続いています。

 

私はここでは乳幼児医療費助成・こども医療(以後併せて子どもの医療費と言います)についてお聞きします。

 

 ここで言う、子どもの医療費は、通院時の助成内容とさせていただきます。

子どもの医療については、兵庫県内の自治体は、「中学3年生まで無料」が進み、2021年7月から川西市・豊岡市が増え41市町中38市町になりました。県内の自治体で90%超えです。ただし三田市、豊岡市は対象が住民税非課税世帯の無料に限られています。そのうち19市町は所得制限なく自己負担がありません。安心して医療にかかれるようになりました。

未だに子どもの医療費の無料化を実施していないのが、神戸市・伊丹市・そして尼崎市の3市です。神戸市は所得制限なしで0歳~2歳児まで無料、3歳~中3まで自己負担が1日400円月2回までに独自で助成しています。伊丹市は、就学前までは無料、小1~中3までは800円月2回まで、1歳から中3までの所得制限があります。尼崎市は、1歳~就学前まで無料とし所得制限は撤廃しましたが、自己負担は残りました。小1~小3まで800円月2回まで、小4~中3までは2割負担です。しかし小1~中3まで、所得制限があり対象外の子どもは3割負担のままです。

共産党は、都市間競争をあおるつもりはありません。しかし子どもの成長は社会の責任で行うもの、住んでいるところで格差が生じることはよくないという立場です。質問します。

 

Q3:近隣の自治体を見ても、子どもの医療費の無料化は県内で尼崎市が一番遅れている現状をどのように受け止められますか?

答弁要旨

 本市の子どもの医療費助成制度につきましては、議員のご指摘のとおり、兵庫県内の他都市と比較して、助成制度の内容に差が生じており、この状況は、ファミリー世帯の転出超過解消を目指す本市にとって課題であると認識しております。以上

 

アンケートによりますと、引っ越し先は西宮・伊丹市と兵庫県内が多いのですが、大阪市、豊中市への引っ越しされた方からの回答もありました。そこで、大阪府内の主な市の、子どもの医療費助成状況も調べてみました。

豊中、吹田、大阪、堺、高槻市は所得制限なしで18歳まで1医療機関500円月2回までです。東大阪市は所得制限なしに15歳まで、大阪市は12歳までいずれも1医療機関500円月2回まででした。

すべての市を調べたわけではありませんが、尼崎市の近隣都市、兵庫県も大阪府内も、子どもの医療費については各自治体で独自の支援を拡充しています。先ほども言いましたが尼崎市の子どもの医療費の助成内容は最低レベルです。

 

Q4:尼崎市も子どもの医療費の助成事業の拡充は、待ったなしではありませんか?

答弁要旨

 先ほどご答弁申し上げたとおり、子どもの医療費の助成事業の拡充は、本市にとって課題であると認識しております。

 しかしながら、拡充するためには多額の財源を確保しなければならず、こうした政策経費の確保に向け、財政規律を守りつつ、歳入確保や財政構造の改善に努めているところです。

 従いまして、今後の子どもの医療費制度につきましては「あまがさき未来へつなぐプロジェクト」後の令和5年度以降の収支見通しや財政目標などを見据えるなかで、段階的な拡充も含め、効果的で持続可能な制度となるような拡充策を検討してまいります。以上

 

2020年度の0歳~小3までの乳幼児医療費助成事業に係る費用は6億5000万円、兵庫県支出金が1億9000円、尼崎市の負担は4億6000円。

小4~中3までの子ども医療は8800万円。うち県が4200万円。尼崎市の負担は4600万円です。総額で市独自の負担額は5億円程度です。

質問します

 

Q5:2020年度の実績に基づいて、1歳児~中3まで乳幼児医療費助成とこども医療を無料にした場合の所得制限を設けた場合、設けない場合それぞれの尼崎市独自の予算額はどれほどになりますか?

答弁要旨

 令和2年度の決算額ベースにおいて、中学三年生までで入院・通院を無償化し、所得制限を現行のとおりとした場合は、約2億3,700万円、また、所得制限を撤廃した場合は約3億6,300万円の財源が必要と見込んでいます。

 しかしながら、令和2年度は、新型コロナウイルスの影響があり、令和元年度の医療費助成に比べ、乳幼児医療で約2億円、こども医療で約1,800万円の減額となっていることから、影響がなければ試算以上の費用が掛かると想定しております。

 

財源はあります。特別会計の公共用地先行取得事業費はこれまで12億円を一般財源から入れていたものが、今年と来年2億円づついれたらひとまずは終了します。一般財源は潤ってくるはずです。本来なら所得制限を撤廃したいところですが、阪神間ではまだ所得制限を設けています。せめて阪神間の足並みをそろえる努力を尼崎市も行ってほしいと切実に思います。

 

 

次は空き家対策について

 

地域に知り合いの方の老朽空き家があります。93歳の独居老人は別宅のマンションに住んでおり、子どもはいません。古い物件でベランダから土間にかけて崩れかけ、隣接する家によりかかりそうになり苦情がありました。その方に苦情があることを伝えてはいましたが、対応できないままこの8月に亡くなりました。甥御さんが遺産の相続人になりますが、どうしたらいいのか手つかずの状況です。身内ではない私が何かできるわけではありませんが、せめて生きておられるときに空き家対策を急ぐべきだったと悔やんでいます。そんな思いもあり、空き家対策について質問したいと思いました。

 

2020年は空き家実態調査を行っています。14,960件を空き家かどうかの調査をし、その内8,245件が空き家の可能性が高いということでした。ABCと不良度のランク付けを行い、危険度が著しいCランクの254件の危険空き家がありました。

2015年度以降に受けた859件の空き家の相談に対して、解決は607件うち2020年は202件、そのうち126件の自主解体等を確認し、行政代執行を1件実施しました。

 

Q6:空き家対策で、解決までに困難を極めるのはどんなことですか?

答弁要旨

 空き家の管理は、所有者が自らの責任により行うことが原則であるため、まず適切な管理が行われていない空き家の所有者を特定する必要があります。

 所有者の特定方法としては、不動産登記簿情報、固定資産税の課税情報、戸籍等から所有者を確認し、情報が不足する場合は、地域住民等への聞き取り調査により判断しております。その際、相続が数代に及んでおり、相続人全員の所在が容易に判明しない場合や、所有者が外国籍である場合もあり、所有者の特定に相当な時間と労力が必要となります。

 次に、充分な調査を行っても所有者を特定することが出来ない場合や、相続人がいないなど所有者が存在しない物件があり、これらについては、裁判所の手続きにより処理することになりますが、これにも相当な時間と労力を要するため、解決が難しい状況になっております。以上

 

空き家対策にはハード面、ソフト面で解決しなければならない問題があります。今回私は、ソフト面の取り組みをお聞きします。

元気なうちに自分がいなくなった時に家はどのように処分するのか、誰に相続させるのか、その費用も含めて家族での話し合い、覚悟を持つ必要があると感じています。終活とは断捨離と共に自分が亡くなったあとの始末まで考える、心の整理を行うことだと最近思うようになりました。そこで市は空き家対策として、エンディングノートの活用と促進をすすめています。

 

Q8:空き家対策としてのエンディングノートとは、どんなものですか。またどんな意図がありますか。

 

答弁要旨

 令和元年11月に「株式会社ホープ」と協定を締結し、「私と住まいのエンディングノート」を令和2年3年の2か年で4,200部を広告料収入を充てて無料で印刷いたしました。

 このエンディングノートは、これまでの人生を振り返り、思い出、趣味、ご家族のこと、住まいや財産の管理など、ノートを下記進めることで、住まいの終活につながる内容となっております。

空き家の所有者や今後空き家になる可能性のある持ち家の所有者には高齢者も多く、不動産に関することは難しく感じて後回しになっている場合があるため、まずは自分のことから気軽に書き進めることで、考えをまとめるきっかけとなるものとして発行しております。 以上

 

持ち家の処理時に使える助成制度や相談窓口の紹介等も併せてのエンディングノートの紹介と配布など良い試みであると思う。

 

コロナ禍でもあり、だれもがいつどのような形で死を迎えるのかわからない、いつまで生きられるのかわからない状況の中で、エンディングノートの活用は死を意識してというだけではなく、これからどのように生きるかという意味でも、もっと広げてほしいと思いました。

 

来年度から、「おくやみコーナー」のワンストップ化が始まります。遺族に空き家対策についての制度を紹介し、パンフを渡して自己啓発に努めるチャンスだと思います

 

最後は空き家の利活用についてです。

 

市議になって12年、地域を何回も回ってきました。2階部分の雨戸が閉まっているから始まり、庭が荒れている、1階部分も雨戸が閉まり、ひと気がなくなる、家が荒れていく。「ここは施設に入られたのか、それとも亡くなったのか」と思いを巡らせる日々。良い環境の住宅街では、大きな家が更地になりあっという間に2、3件の家が建つ。新しい家と古い家が交互に立っている町の世代交代を感じられるところもあります。

古い物件にファミリー世帯が住み替わるというのはあまり見ません。若い世帯は新築を購入するのが一般的です。改築・リフォーム等、空き家の利活用事業は新婚世帯・ファミリー世帯とまたエコリフォームといった限定すべきでないと思います。最後の質問です。

 

Q11:空き家利活用なら対象者を若い世帯に限定しなくても、サービスを広げたらいいのではないでしょうか。またエコという縛りを緩和するなど、もっと利用しやすい制度にするべきと思いますが、いかがですか?

 

答弁要旨

 空き家改修費補助事業は、空き家の流通、利活用の促進を図るとともに、本旨の最重要課題であるファミリー世帯の定住・転入を促進するため、ファミリー世帯及び新婚世帯を対象に平成30年度より事業を開始したものでございます。

 また、令和3年度からは、一定期間利用されていないなど市場での流通が難しいものについては、対象者の年代を限定せず、空き家の改修費補助事業を開始したところでございます。

 しかしながら、今年度実施した空き家所有者へのアンケート調査において、今後の利用意向を尋ねたところ、「空き家にしておく」という回答が約45.5%あり、所有している物件を賃貸や売却など市場にもっと流通させる仕組みも、必要であると考えているところでございます。

 

これで私の質問を終わります。続いて松沢ちづる議員に変わります。