日本共産党議員団の松澤千鶴です。
私は、介護保険、小学校卒業式における袴着用、阪神バス市内線の路線改編について、コロナ対策に対する市長の政治姿勢について質問します。
最初に介護保険についてです。介護保険は2000年4月からスタートし、今年で21年目を迎えています。3年間を通じて収支を均衡させる中期財政運営が行われており、現在は第8期の1年目に当たります。介護保険の財源はおおむね国が25%、県・市それぞれが12・5%づつ、残り50%を40歳以上の国民で負担しますが、65歳以上の第1号被保険者の保険料はそのうち23%で、市区町村が3年に1回必要とするサービスの量や65歳以上の人数によって保険料を決めることになっています。
実際のところ、65歳以上の人口は増え続けており、当然サービスを必要とする人も増加する中で、65歳以上の保険料は3年ごとに引きあがっています。
Q 伺います。第8期の基準額は年79,310円ですが、第1期2000年と比べてどれだけ引きあがっていますか。
答弁要旨
第1期の介護保険料基準額は年額35,778円でありましたが、第8期の基準額は79,310円と、約2.2倍となっております。
また、今回は、低所得層への助成制度として減額措置されている介護保険施設における食費と居住費の見直しと、高額介護費の負担限度額が変更されました。
Q 伺います。今回の見直しで、これまで受けていた助成制度から外された人は何人ですか。
答弁要旨
令和2年8月末時点におきまして、介護保険施設の負担限度額の見直しにより、対象外となった人数につきましては265人、また、高額介護サービス費の負担限度額の見直しにより、対象外となった人数につきましては124人となっています。
次に、コロナ対策について市長の政治姿勢をお聞きします。
市は金曜日から翌週木曜日までの1週間単位で感染状況のまとめを行っています。新規感染者は増加の一途で、自宅療養者もそれに比例して増えており、直近の9月2日現在1130人です。今のところ入院が必要なのに自宅待機となっている人はいないとのことですが、新聞報道などによれば自宅療養中に急変する場合もあり、保健所による自宅療養者の健康観察は緊張感が求められるところです。
また、自宅療養によって、家庭内感染がふせぎ切れないという問題もあります。
Q 伺います。市長は自宅療養の急増について、感染者のいのちを守ることと家庭内感染を防止するために、どのような対策をとっていこうと考えているのですか。
答弁要旨
本市におきましては、症状の重い方や重症化リスクのある方については、速やかに入院や宿泊療養につないでおります。
自宅療養者については、療養期間が終了するまで定期的に健康観察を行うことで、容態の把握に努め、症状によって、保健所職員が訪問し酸素濃度を計測するなど、柔軟な対応を行うとともに、市医師会と連携した往診支援事業において、必要な医療の提供にも努めております。
一方、家庭内での感染防止につきましては、積極的疫学調査時に、効果的な感染予防対策である、部屋の隔離や十分な換気、トイレ等の共有部分の消毒について丁寧に説明しておりますが、今後は、兵庫県が作成した「家庭内での感染予防のポイント」などを参考にしながら、より丁寧な情報発信に努めてまいります。
次に、小学校卒業式での子どもたちの袴着用についてです。
私は今年4月ごろ、潮小、下坂部小に孫が通っているという方から、それぞれ「ほとんどの女の子が袴姿だった。貸衣装代が高くつきたいへんだ」との声をお聞きしました。上坂部小でも半々ぐらいかと聞いています。費用は、ネットで調べると1.6万円から2万円台、市内の子ども用袴のレンタルを扱っているところで3~4万円が相場のようです。
Q 伺います。市内の他の小学校では、袴着用はどんな状況ですか。また、この傾向について教育委員会はどのような見解をお持ちですか。
答弁要旨
市内小学校での卒業式における服装の状況につきましては、ここ五年で申し上げますと、毎年約20%から27%の児童が袴を着用しております。
卒業式の服装については、高価な洋服を着用する児童も見られることもあり、保護者の負担増加や式の中での所作、安全面等からも課題があると認識しております。
教育委員会といたしましては、服装が華美にならないことや安心安全に式が行われることが望ましいと考えておりますので、今後も状況を見ながら、学校やPTAなどと議論を重ね、その在り方について検討していきたいと考えております。以上
次に、阪神バス市内線の路線改編についてです。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で利用者が大幅に減少し、阪神バスの収支状況が大きく悪化してきたことによる路線改編が7月31日から実施されています。私は、路線改編後大庄地域の方々から、「労災病院へ行くのが不便になった」「こんなに便が少なくなるなんて」などの苦情をお聞きしています。減便や路線廃止は市民生活に大きな影響を与えるもので、改編にあたっては地域の声を十分聴きとることが重要です。
Q 伺います。尼崎市地域公共交通会議に臨むにあたって、市は影響が及ぶ地域の声をしっかりと聴いていたのですか。また、会議では市民への影響についてどのような検討がされたのですか。
答弁要旨
地域公共交通会議は、地域の実情に即した輸送サービスの実現に必要となる事項の協議を行う場として道路運送法に基づき設置しており、学識経験者や交通事業者、行政機関等のほか、公共交通の利用者代表として公募市民にも参画いただいております。
今回の路線改編にあたっては、阪神バス株式会社から、新型コロナウィルスの感染拡大の長期化が企業経営に大きな影響を及ぼしており、ひいては尼崎市内線を含めたバス路線全体の維持が厳しい状況となっているとの強い危機感が示され、本市としても収支悪化への早急な対応が必要との考えのもと、協議を開始したものでございます。
本市としては、今回の路線改編にあたっての地域へのヒアリング等は行っておりませんが、地域公共交通会議に先立つ阪神バスとの協議の場において、同社が減便や廃止を検討するにあたっては、単に路線の利用実績や収支バランスのみで判断することなく、鉄道駅をはじめ、公共施設や病院など生活利便施設等へのアクセス性など、市民、利用者への影響をすくなくするため、可能な限り代替性を確保できるよう強く要請したところでございます。
こうした協議を経て、阪神バスから路線改編案が示され、地域公共交通会議での検討においても、路線の代替性の確保、利用者への周知などについて議論がなされました。
その中で、今回の路線改編により、市民をはじめ多くの利用者への影響が想定されることから、阪神バスに対し「告知や周知といった広報をしっかりと実施するように」との意見が付されたものでございます。以上
これで第1問目を終わります。次からは1問1答で行います。
<第2問>
袴について
卒業式は子どもの成長発達の大きな節目の日で、晴れの日を祝いたい保護者の気持ちは理解できる。しかし、中学校入学を控えそこでも大きな出費があることから、みんなと同じように袴を用意できない保護者もおり、貧富の差が歴然と見た目でわかるような服装の華美は慎む配慮が大人たちに必要ではでしょうか。
学校と育友会で、子どもを真ん中にした議論を望みます。
バス路線について
改編案が協議された6月21日の地域公共交通会議の議事要旨には、「市民や利用者への影響を鑑み、告知や周知いったといった広報をしっかりと実施するよう意見を付した」と記述されています。
Q具体的にどのような広報がされたのですか。
答弁要旨
路線バスの減便等につきましては、国が示す運用上、実施しようとする日の少なくとも7日前から公示することとされていますが、阪神バスにおきましては、地域公共交通会議の意見も踏まえ、実施する日の約ひと月前にあたる6月28日にプレリリースを実施し、報道機関を通じた周知を図るとともに、同社ホームページへの掲載、各バス停には各々に応じた内容の掲示、バス車内の前面ディスプレイを活用した告知など、様々な方法で広報を実施されました。
本市においても、阪神バスと歩調をあわせ、市ホームページへの掲載を行うとともに、市報8月号への記事掲載を通じて路線改編の周知を図ったところでございます。以上
市報8月号の12P に「阪神バスの路線が改編されました」と掲載されています。市報が市民に届くのは早いところで8月1日、変更はすでに7月31日から行われていました。バス利用者にはつり革広告やバス停への貼り紙広告などで知らされても、バスを利用していない市民にはなかなか届きません。
Q市民への情報提供、説明どちらも不十分だったと思いますがいかがですか。
答弁要旨
先ほどもご答弁申し上げましたとおり、阪神バスとしては、6月末から様々な方法で告知を開始するとともに、本市においてもホームページへの掲載などにより、周知を行ってまいりました。
これらの取組により最も影響を受ける利用者には一定の周知が図られたものと考えており、事業者、市ともに可能な限りの広報に努めたものと認識しております。
なお議員ご指摘の市報の件については、路線改編自体は、基本的に民間企業である阪神バスの事業に関する内容ではあるものの、今回の路線改編はその規模が大きく、市民生活に影響のある案件でもあるとの認識から、市報を通じて市民の皆様にお知らせをすることとしたものですが、地域公共交通会議での協議が調ったのが6月21日であったことから、記事の締切や校正の都合上、どうしても8月号での掲載となったものです。以上
市は、2016年から阪神バスに完全民営化の形で移譲された後も、市民生活や経済活動を支える必要なバス交通サービスを確保するために、バス事業者の経営努力では維持できない路線に対して、補助制度を設けてきました。また、公共交通の使命を果たすために必要な地域公共交通会議も運営されてきました。それ自体は評価するところです。
私は、今回の大幅な路線改編を行う中で、市民意見を聴く点に進め方の不十分さがあると感じています。阪神バスからは3~4月頃に改編の案が示され、5月31日の地域公共交通会議の部会で案が練られ、6月21日の地域公共交通会議で了承されたという経過だと思います。
Q経過はこれでよろしいですか。
答弁要旨
路線改編に至った経過でございますが、昨年(令和2年)11月に、阪神バスより、新型コロナウィルス感染症拡大の影響による収支悪化が拡大していることから、ダイヤ改正を含む路線改編を検討しているとの協議があり、具体的な検討路線の提示等の項目が示されました。
その後、本市と阪神バスとの間で路線運航支援補助金を含め、改編する路線についての協議を重ね、今年4月に阪神バスから最終的な路線改編案が提示され、それを5月17日の総務委員協議会でご報告いたしました。
それからの経過につきましては、議員ご紹介のとおり、5月31日の地域公共交通会議で協議のうえ、6月21日の地域公共交通会議にて了承が得られたものでございます。以上
このスケジュールでは、市民の意見を聴く時間が確保できないと思いますが、これでいいのでしょうか。
今後もコロナ禍に限らず、民間事業者の経営上の問題から改編の提案は出てくると思います。市としては、市民の声をしっかり聴き、行政側の意図するところも市民に分かってもらうコミュニケーションの力を高めていただきたくとともに、決定までのプロセスに市民意見を聴く時間設定をつくることを要望します。
介護保険について
1問目の答弁で、助成から外された人は計239人とのことです。
必要なサービスが必要な方に提供できるための公平性、制度の持続可能性など述べられました。
まず必要なサービスを必要な方に提供するということについてお聞きします。
今回の見直しは8月からですが、すでに介護老人福祉施設の費用が月額2万円ほどアップになり、このまま施設利用が続けられるだろうかと施設に相談する人、負担限度額非該当になり、びっくりして市に不服申し立てをして、なんとか認定が受けられるようになったとほっとする人などが出てきています。
ケアマネージャーに聞くと、今のところ居宅サービス利用者からは苦情相談を受けていないとのことですが、今後ショートステイの利用時にはじめて負担増に驚く人が出てくるだろうとのことです。
2015年にも低所得の方に対し、貯金が夫婦合わせて2000万円以上あれば負担軽減の対象を外すなどの改悪が行われました。その際、84歳のAさんは、妻の特養利用料が月9万円から16万円に引きあがり、やっと入れた特養でしたが仕方なく退所されています。国民年金だったので、老後のために夫婦でせっせと貯めてきた貯金が災いしました。
介護保険料の高騰に加え、利用時の1割負担が重くて、我慢して最小限のサービス利用にしている人も多くいらっしゃいます。
Q介護保険は、必要なサービスを必要な方に提供できるようになっているといえるのでしょうか。
答弁要旨
令和3年度の報酬改定におきましては、在宅で暮らす方との食費・居住費に係る公平性や負担能力に応じた負担を図る観点から、施設入所者の補足給付の見直しを行い、一定額以上の収入や預貯金がある利用者等に対し、負担を求めるものとなっています。
介護保険の報酬改定につきましては、原則、3年ごとに、国の社会保障審議会において検討され、その時々の実態に応じて、設定されるものとなっています。
そのため、介護保険は、国の責任において、必要なサービスを必要な方に提供できるよう制度の安定性・持続可能性を確保するべく、制度変更が行われているものと考えています。以上
制度の持続性についてです。
介護保険は高齢化で需要が増すと、必然的に保険料が上昇する仕組みです。制度の持続可能性を維持するためだとして、需要の抑制が進められてきました。
2005年の介護保険法1回目の改正で予防介護が導入、「要介護1」を認定更新時ごとに「要支援2」に移行しました。その結果「要介護1」の認定者は当時全体の32%だったのが、2010年には13.4%と半減しました。サービス利用上限額は、「要介護1」が「要支援2」に変わることで、月額167,650円から105,310円へ実に4割減です。それだけサービスが受けられなくなったということです。
また、2014年には介護老人福祉施設いわゆる特養の入所条件が「要介護3以上」に限定され、在宅で生きづらい高齢者の行き場がなくなりました。
この20年で、65歳以上の方の介護保険料は2.2倍になったとの答弁でした。
介護保険は助け合いの制度だと言っても、これだけの高騰はひどいと思います。
老齢基礎年金を満額受給しても月6.6万円程度、年金の1か月分がまるまる介護保険料に消えていくような額になっています。おまけに、貯金の額で減額助成の適用を外すことまでやっています。
介護保険財源の負担割合は、国25%、県・市でそれぞれ12・5%、残り50%は40歳以上の国民で負担することになっており、第8期も65歳以上の1号被保険者の負担は23%です。
保険料の高騰、高齢者の貧困の増大をみれば、負担割合を抜本的に改めていく必要があります。日本共産党は当面の解決策として、国庫負担を28%にすることを提案しています。財源裏付けは、大企業と大富豪に負担の軽い今の税制を改めて、彼らに応分の税負担を求める税制改革を行うことで生み出せます。消費税増税や庶民増税はしなくともできます。制度の持続性をいうのならば、財源の国負担割合の見直しこそ進めるべきではないでしょうか。
菅政権は社会保障を「自助・共助・公助」の3層構造で説明します。まずは自己責任でやりなさい。医療や介護、年金など国民みんなの生活リスクは助け合いでやり、公的責任を矮小化していますが、これは間違っています。
憲法25条では、国民には健康で文化的な最低限度の生活を営む権利があること、国には、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上に努めなければならないとうたわれています。97条では、この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在および将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものだとうたっています。
1年半におよぶコロナ禍の下、市民の生活は困窮化しています。こういう時だからこそ一人一人の人権を保障する憲法の立場に立った政治が行われなければなりません。市として、一人一人の人権を保障する国の責任を強く求めていただくことを要望しておきます。
最後に、 コロナ対策について市長に重ねてお聞きします。
Q一般質問の初日、公明党の真田議員が質問の中で「医療型宿泊療養施設の開設
が市内すすんでいるようだ」とおっしゃっていましたが、私は知りませんでした。そのことについて詳しく説明してください。
答弁要旨
宿泊療養施設については兵庫県が開設運営しており、本市におきましては、これまで、市内での開設に向け、県に働きかけを行ってまいりました。
こうした中、9月8日の県の会見において、9月10日から、尼崎市内で1施設140室の宿泊療養施設の運用を開始するとの発表があったところでございます。
本市といたしましてもは、市医師会と連携して宿泊療養施設においても往診体制を整備し、適切な医療を提供できるよう調整してまいります。以上
7月28日感染し自宅療養となった東京都内に一人暮らしの30代男性が不眠状態になり、埼玉に住む母への電話が8月6日途絶えたので心配になった母が男性宅を訪ねると、自死していたという新聞記事が、9月1日付け赤旗しんぶん眠障害だけでは搬送できない」と言われ、保健所は「『よく眠れない』と聞いてはいたものの、異常は感じなかった」とコメントを出していたようです。
母は「助けられる命が助けられなかった。医療がひっ迫し現場も大変なことはわかっています。でも、一人一人の訴えにしっかり耳を傾けてほしい」と話しておられます。
この母の「一人一人の訴えに耳を傾けてほしい」という声を、市長はしっかりと受け止めるべきです。初期聞き取りを電話で行い、その1回で判断を下し、その後の対応は感染者本人任せでは、尼崎でもこのような不幸なケースが生まれる可能性は否定できないと思います。
最後に要望しておきます。
ひとつは保健所の更なる体制強化です。
今後の悪化の可能性が低いと判断できる自宅療養者についても、緩解までの10日間の間に複数回保健所から連絡を取ることができる保健所の体制にすべきです。不安の中で自宅療養を行う市民に対し、自己責任でやれということでは、市民のいのちを守る市の責任は果たせません。
もう一つは、宿泊療養が基本であるならば、軽症・無症状者が安心して宿泊療養できる体制強化を県に求めることです。自宅療養によって家庭内感染を断ち切るために必要です。
これで私のすべての質問を終わります。