2021.9月議会 山本なおひろ議員の一般質問と答弁要旨

第1登壇

みなさんこんにちは。日本共産党議員団の山本なおひろです。

新型コロナの感染拡大の収束が見通せない中、医療、福祉現場で働く方々へ心から感謝申し上げます。また、コロナに感染し療養されている方へお見舞い申し上げるとともに、お亡くなりになりました方のご冥福を心からお祈りいたします。

さて、私は、「75歳以上の医療費窓口負担2割化」と「国民健康保険」、そして「中小企業者等支援施策」について、それぞれの問題について第1問と第2問に分け質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

〇来年度施行される75歳以上の医療費窓口負担2割化について

まずは、来年度施行される75歳以上の医療費窓口負担2割化についてです。

日本の公的医療保険制度においては、診察代や薬代のうち患者が原則3割を負担します。75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」では、年金など収入が限られる高齢者の生活に配慮して、現役並みの所得(単身で年収383万円以上、夫婦世帯で年収520万円以上)がある場合は3割負担になりますが、原則1割負担と低く設定されていますが。しかし、今年の6月4日の通常国会で成立した「医療制度改革関連法」によって、現在1割負担の人のうち、単身世帯で年収200万円以上、夫婦世帯で年収320万円以上の場合に2割負担に引き上げられることになりました。2022年度後半から施行され、370万人もの高齢者が対象となる見込みです。

政府は現役世代の負担軽減を制度導入の理由にしていますが、現役世代の負担軽減効果は月額わずか30円です。施行後3年間、窓口負担の増加額を最大で月3000円までに抑える経過措置を設けるということですが、今後、国会審議を経ずに2割負担増の対象者を政令によって広げることができ、今所得制限で対象者になっていない高齢者にもいずれ負担増がのしかかるかも知れません。

日本共産党は、そもそも年齢によって保険制度を現役世代から引き離し、長生きすることが悪いかのようなこの「後期高齢者医療保険制度」そのものに反対していますが、あろうことか、未曽有のコロナ危機のもとで、このような2割負担増が行われようとすることに憤りを禁じえません。兵庫県後期高齢者医療広域連合などでも、これまで度々制度改正の問題点が指摘されてきたところです。

Q1そこでお尋ねします。この改悪により、高齢者の受診抑制を引き起こし、健康悪化を招く危険があると思いますが、いかがですか。

答弁要旨 

これまでも、兵庫県後期高齢者広域連合を通じ、国に対し、2割負担に関しまして様々な要望を行ってまいりました。

 こうした取り組みも背景に、6月の法改正にあたっては、「必要な受診が抑制されることにより疾病の早期発見が妨げられ、重症化につながることがないよう、健康診査の強化など必要な取組を進めること」「配慮措置」について高額療養費による対応となることから、申請漏れ等が生じないような口座の事前登録等の取組をおこなうこと」等の付帯決議がなされております。

 本市といたしましたは、施工から3か年にわたり実施される緩和措置による負担軽減及び、広域連合におきまして検討されている、高額療養費の登録口座の事前手続等の取組、また本市におきましても本年度から実施しております、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の取組」等により、受診用区政の防止や疾病の重症化予防について、兵庫県後期高齢者広域連合と連携し、取組を進めてまいります。以上

Q2また、この未曽有の新型コロナの感染拡大の中、所得制限を設けるとはいえ、世代間の負担の公平というまやかしの理由でもって、75歳以上の方の医療費窓口負担を2割に引き上げるこの制度の中止を、国に対して求めるべきであると思いますがいかがですか。

答弁要旨

 今回の制度改正につきましては、国の「全世代型社会保障検討会議」において論議を重ね、昨年12月に閣議決定された「全世代型社会保障改革の方針について」等を踏まえ、全ての世代で広く安心を支えていく「全世代型の社会保障制度」を構築するため窓口負担を2割とする法改正が今年6月に成立したところでございます。

 今後におきましては、高齢者の受診控えにつながらないよう適切な措置を国に要望しつつ、施行開始にあたり、被保険者の方々に対しましては、窓口や市報、ホームページ、パンフレットの配布などを通じて、制度改正の主旨、内容について丁寧にご説明し、ご理解を賜りたいと考えております。以上

 〇コロナ禍のもとでの中小業者支援施策について

次に、「コロナ禍のもとでの中小業者支援施策について」です。

新型コロナの感染拡大が2年近く続き、多くの国民は疲弊し、菅首相の「光が見えてきた」などという楽観的な見方はもちろん、麻生太郎財務相が7日の記者会見で言った「曲がりなりにも収束した」などとは、とうてい言えない状況です。そして、相次ぐ緊急事態宣言・まん延防止重点措置適用によって、自粛に次ぐ自粛を強いられている地域の経済を支えている中小業者、市場・商店街で営業する方たちは、自粛に見合った十分な補償がないまま、蓄えを取り崩し、借り入れをしたりして、何とか急場をしのいでいます。菅政権のコロナ対策は肝心かなめの感染防止は言うに及ばず、経済対策は不十分なものです。全事業者対象の「持続化給付金」と「家賃支援給付金」の支給は1度きりで、それ以外は飲食店だけ対象の休業支援金、時短給付金であり、また事業の規模に見合わない画一的なものです。また、飲食店と取引している氷販売業者やおしぼり業者など、飲食店の休業や時短の影響を受けている業者には、個人事業者は月上限10万円、中小法人は上限20万円の「月次支援金」制度や、市の事業継続支援金もありますが、到底それだけでは足りているとはいえません。

Q3そこでお尋ねします。国に対し「持続化給付金」と「家賃支援給付金」の2度目の支給を求め、自粛に見合った補償を地域の中小業者に行い、事業継続の支援をすべきであると考えますが、いかがでしょうか。

答弁要旨

 ご質問の支援策については、国のおきまして現在、飲食店の時短営業または外出自粛等の影響を受けた事業者向けの支援策として「一時支援金」や「月次支援金」の支給を実施しているところです。

 どちらの制度も基準月から比較して前年同月又は一昨年同月の売上が50%以上減少していれば、業種を問わず対象となる支援制度となっており、事業者の実態を反映でき、かつ、簡素な手続きで迅速な支援が可能な内容となっています。

 こうしたことから、事業者の実態把握は行われているものと認識しており、今後におきましても、国や県の支援策を注視しながら、事業者のご意見やニーズ等に沿った支援策を行ってまいります。以上

 

また、昨年、持続化給付金、家賃支援給付金の支給が遅れ、その間の資金繰りを助けるため、翌年3月まで50万円を貸し付ける「尼崎市つなぎ資金貸付」が実施されましたが、貸付金額として約1億6,300万円、そのうち返済されたのは8,573万円、半分しか返ってきていません。

Q4お尋ねします。持続化給付金等支給までのつなぎとして貸付されていた、この「尼崎市つなぎ資金貸付」が、半分ほどしか返済されていないことについてどのようにお考えですか。

答弁要旨

 緊急つなぎ資金貸付金は、国や県の支援策として実施された持続化給付金等が、支給申請から支給まで相当期間を要したことから、その間の経営維持に活用していただくため「つなぎ」として貸し付けたものでございます。

 当初は、その制度手指から国・県等の支援が実行されればその資金をもって返済に充てていただくため、6か月の返済据え置きの後、一括で返済していただくことを条件としておりましたが、長引くコロナウイルス感染症の影響もあり、返済率は52.5%となりました。

 令和3年3月からは、事業者の個々の状況に応じた月々の分割返済の相談に応じたことから、8月末時点の返済率は60%を超えるところまで回収は進んでおります。

長引くコロナ禍の中ではございますが、今後とも、貸付を受けた事業者の事情を考慮しつつ返済に係る相談に応じてまいりたいと考えております。以上

 

Q 5また、市独自の事業の実態に見合った、コロナ支援のための給付金を全事業者対象につくることや、無利子の融資を行うなど、これまでの延長線上でない、思い切った施策を講じるべきであると思いますがいかがですか。見解をお聞かせください。

答弁要旨

本市といたしましては、国や県の支援制度の補完を基本姿勢として、令和3年度においては、全事業者を対象として、国や県が実施していない売上減少が前年または一昨年同月比20%以上50%未満となっている事業者に対する給付金を支給する補正予算を本9月議会において提案しているところです。

 また、無利子融資については、政府系金融機関にて利子補給による実質的な無利子かつ無担保融資が年末まで実施されており、融資についてはこうした施策への誘導を行っているところです。

 今後とも従来の考え方を基本として、幅広く事業者の支援をできるよう時勢に合った取り組みを進めてまいりたいと考えております。以上

 

〇国民健康保険について

次に、国民健康保険についてです。

国民健康保険制度は、国民皆保険として、誰もが安心して医療にかかれる、社会保障制度の根幹をなすものです。国保法第1条では「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と明記されています。国の言う「共助」ではなく社会保障制度であることは明白であります。   しかし、年々引き上げられる国民健康保険料は加入者の生活と健康を脅かし、「払いたくても払えない」状況が広がっています。建設業を営む一人親方の方、年間事業所得240万円、配偶者、子ども2人の4人家族の例でいえば、国保料は年間約42万円で、所得の2割近い負担割合です。コロナ禍で経営が行き詰まっている多くの中小零細業者はもとより、国民健康保険の加入者の多くは年金生活の方、非正規雇用の方など、低所得の方が多数を占めています。持病を患っている方など、保険証がなくてはならない方が、生活困窮のため保険料を支払えないため、資格証明書しか交付されず、窓口全額負担により受診抑制につながり、手遅れになる事態もあります。資格証明書は医療機関窓口で一旦医療費の10割負担するものであり、後日保険分を返してもらうためには、滞納保険料を支払わなくてはならず、実質一片の紙切れ同然のものです。       

広島市は、2007年までは、1年以上保険料を滞納している世帯に“自動的”に発行していた資格証明書について、「国や県の言いなりではなく、自分の頭で考え判断する」「資格証明書は減らす努力をする」とし、本人との面談を通じ、生活状況や病気などの事情を正確につかんだ上で、「悪質だという事情をつかんだ場合にのみ発行する」という方針への転換を図りました。その結果現在、広島市の資格証明書の発行数はゼロとなっています。

Q6 お尋ねします。尼崎市ではこの資格証明書の発行数はどのぐらいありますか。近年の発行数の推移とともにお聞かせください。

答弁要旨

 本市国保における資格証明書の年度毎の交付実績としましては、

・平成30年度は790世帯

・令和元年度は685世帯

・令和2年度は579世帯となっており、近年は減少傾向にございます。以上

 

Q7 未曽有のコロナ禍の今こそ、広島市で実践されているように、受診抑制につながる資格証明書の発行を中止し、全ての加入者に保険証を交付すべきであると考えますがいかがですか。見解をお聞かせください。

これで第1問を終わります。

答弁要旨

 国民健康保険における資格証明書は、災害や病気などの特別な理由がないにもかかわらず滞納が継続している世帯に対して交付するもので、医療機関窓口での一部負担割合は原則10割となるものでございます。

 他都市では資格証明書の発行をしていないところもあると聞き及んでおりますが、本市国保における被保険者の滞納状況は様々であり、一律的にそうした取扱いを行うことは、保険料の負担の公平性から見ても困難であると考えております。

 今後も引き続き、新型コロナウイルス感染症等の影響により、真に生活が困窮し、保険料の支払いが困難であるという被保険者に対しましては、個別に納付相談を行う中で、可能な限り個々の事情に寄り添いながら適切に対応してまいります。以上

 

第2登壇

それでは2問目をさせていただきます。75歳以上の医療費窓口2割負担について、年金暮らしの方からは、「これ以上の負担になれば、毎月の受診回数を減らさないといけなくなる」と悲鳴にも近い声があがっています。所得制限で保険料が負担増となる金額も、単身世帯で年収200万円以上、夫婦世帯で年収320万円以上と、あまりにも低すぎます。

Q8お尋ねします。市民福祉増進のため、そして、健康で長生きできる尼崎市にしていくために、負担増加額を市で助成するなどの対策が必要であると思いますが、いかがですか。見解をお聞かせください。

答弁要旨

 現在、国が検討しております激変緩和措置が実施された場合、2割負担となります被保険者の方の1年間の窓口負担額につきましては、現在平均で約8万3千円が約10万9千円と2万6千円増加するものと見込んでおります。

 ご提案の被保険者の負担増加額を助成することにつきましては、後期高齢者医療制度は、広域連合及び自治体それぞれ法令に則り安定的に制度運用を行うこととされていることから、独自の制度を設け、負担増額を助成することは困難であると考えております。以上

次に、中小企業者に関わる重大な問題である、今年10月から課税業者登録が始まり、2023年10月から実施予定の「消費税のインボイス制度」についてお聞きします。

この消費税インボイス制度は、年売上1000万円未満の消費税免税業者のみならず、フリーランスなど不安定な就労形態の人にも課税事業者になるよう圧力がかかるものです。事業者は消費税を納税する際、原則、売上にかかる消費税額から仕入れや経費で支払った消費税を差し引いた金額を税務署に納付します。今度の改正では、仕入れや経費で支払った消費税額を計算する際、新たに「インボイス」と呼ばれる適格請求書――取引金額や日付、品目、消費税額、そして事業者登録番号を記載した請求書や領収書です――このインボイスを、取引の相手先からもらうことで、経費としての消費税額を控除することができるのです。これを発行してもらうためには先ほど申し上げたように、課税事業者登録をして、課税事業者になることが要件となります。するとこれまで年売り上げ1000万円未満で消費税を納める必要のなかった事業者も、課税事業者にならなければインボイスをもらえず、取引から排除される恐れが出てくるのです。インボイス制度が導入されれば、全ての事業者にこれまで以上に煩雑な記帳負担が押し付けられるとともに、6割の免税業者に、「課税事業者となって消費税を納税するか、免税業者のままでいて取引から排除されるか」、という「行くも地獄、引くも地獄」の選択を強要されるのです。

そもそも日本の消費税は生活必需品をはじめ、ほとんど全ての商品・サービスに課税される税金です。憲法の趣旨である「能力に応じて租税を負担する」という応能負担原則に真っ向から反する逆進性の高い税制です。税の負担者は消費者ですが、実際に納税するのは事業者という、いわゆる間接税であります。ですから、大企業のように容易に販売価格、サービス価格に消費税を転嫁することが中小零細業者には非常に難しく、税率引き上げが行われるたびに、景気が悪化し、増税分は身銭を切って負担せざるをえない状況が広がっています。

Q9お尋ねします。新たな課税負担か取引から排除されるかの選択を強いられる、インボイス制度は中止を求めるべきだと思いますが、いかがですか。制度についての認識と共に、お聞かせください。

答弁要旨

 インボイス制度につきましては、2019年10月から実施された消費税及び地方消費税の税率10%への引き上げに伴う低所得者対策として「軽減税率制度」が導入され、複数税率制度の下、売り手側、買い手側の双方が適正に申告するための仕組みとして導入されたものと認識しております。

 このインボイス制度は2023年10月から導入予定とされ、経過措置期間が設けられております。 この制度が導入されることにより、複数税率制度において納税申告の適正化を図るものであるため、中止を求めることは考えておりませんが、本市は個人事業主や小規模事業者も多いことから、課税事業者と免税事業者の取引への影響などにつきましては、国の動向も含め注視してまいります。以上

次に、収入が3割以上減った世帯向けに国保料を減免する特例措置についてです。

さて、この制度はコロナ感染拡大のもと、国の制度として2020年度から実施されているものです。こどもの均等割半額とともに、国保加入者にとって大いに助かる制度であります。国民健康保険は、県が財政運営の主体となり、市町村が運営する公的医療保険制度で、主に75歳未満の自営業者や年金受給者、無職の方が加入する制度です。世帯主が納める保険料は、加入者1人あたり一律に課される「均等割」、世帯に課される「平等割」、そして前年の所得に対して課される「所得割」があります。特例措置は、1年間の収入が前年に比べて3割以上減少すれば保険料が減免されます。例えば、2020年の収入が300万円で、2021年がそれより3割下がる見込みなら国保料が全額免除されます。低所得者への配慮から前年の所得が低いほど減免割合が高く設定されています。

しかし、2020年の所得が0円で、2021年の見込みもゼロや赤字だと前年より下がったとされず、特例の対象となりません。所得はゼロなので、所得割はかかりませんが、均等割と平等割は支払う必要が出てきます。市内で製造業を営むIさんは、昨年度はこの制度により軽減され保険料が0円だったのに、今年度は所得が赤字になったにもかかわらず軽減されず保険料が約3万円になったということです。

Q0 お尋ねします。所得がゼロや赤字であるのに、特例措置の対象から外れ、所得がある人より保険料が高くなる事例が生じることは、制度の仕組みとして矛盾があると思いますが、いかがですか。

答弁要旨

 新型コロナウィルス感染症の影響に伴う国民健康保険料の減免は、主たる生計維持者の当年の収入が前年に比べ3割以上減少する世帯等を対象とする制度で、当該減免相当額に対する国からの財政支援があることを前提に実施しているものでございます。

 国の基準では、前年の所得がゼロ円や赤字の世帯については、引き続き同じ状況が続くとしても、所得の減少には当てはまらないことから、議員ご指摘のとおり、所得割は賦課されないものの、均等割りと平等割は賦課されるところとなっております。

 この状況につきましては、新型コロナウィルス感染症の影響がなく所得がない世帯においても同様であり、こうした世帯との負担の公平性を勘案いたしますと、前年の所得がゼロ円である世帯について当該減免が適用できない現在の取扱いに矛盾があるとまでは考えておりません。以上

Q11 また、これら制度の対象から外れた加入者に対し、市としての救済策を講じる考えはありませんか。見解をお聞かせください。

答弁要旨

 先ほども、答弁いたしましたとおり、当該減免は国からの財政支援があることを前提に実施しているものでございますので、制度の拡充を実施することは考えておりません。

 なお、前年所得がゼロ円の世帯につきましては、新型コロナウィルス感染症の影響の有無にかかわらず、均等割額及び平等割額の7割が軽減される制度が法定されており、一定、救済は図られているものと考えております。

1問目でお答えしたとおり、新型コロナウィルス感染症等の影響により、真に生活が困窮し、保険料の支払いが困難である被保険者に対しましては、個別に納付相談を行う中で、可能な限り個々の事情に寄り添いながら適切に対応してまいります。以上

第3登壇

最後にそれぞれの問題について若干の意見を述べます。

後期高齢者2割負担についてですが、

世界一の長寿国である日本は、同時に超高齢化社会が世界で最も早く到来する国でもあります。「健康で長生き」は多くの市民の願いです。世界でもトップクラスの医療がある一方、収入の多寡によって医療を受けられる、受けられないといった「命の沙汰もカネ次第」の状態はあってはならないことです。その意味で、今度の医療費窓口負担の2割への引き上げは、断固として容認できません。

中小業者に関わる問題、消費税インボイスについてですが、

 そもそも、消費税の免税点は、1989年の消費税制度導入時、年間売上額3000万円以下でした。これは、地域の零細事業者までに一律消費税の納税を課すことは、事業の実態、つまり、販売やサービスの価額に消費税を転嫁することが難しい、これらの事業者に配慮したものでした。それが2003年の税制改正で1000万円以下に引き下げられ、多くの事業者に消費税負担がのしかかりました。そして今度、このインボイス制度が導入されれば、実質的に免税点がなくなるのと同じ効果が発生してしまいます。これでは地域で細々とコロナ禍に耐えながら営業をする人たちの経営はますます立ち行かなくなり、地域経済が疲弊してしまう恐れがあります。コロナ禍で過去最高の内部留保金、466兆8000億円を抱える大企業に応分の負担を求めることこそが、税の応能負担原則からしてもふさわしいと思います。国の動向を注視するのではなく、中止を強く要求していくべきだと思います。

 国民健康保険についてですが、

国民皆保険としての国民健康保険は、社会保障制度の根幹をなすものです。本来すべての加入者に無条件で保険証を交付すべきです。ましてこの未曽有のコロナ危機のさなか、医療機関受診のハードルを高くする「資格証明書」の交付は、日本国憲法で謳われている、「幸福追求権」の前提としての「生存権」を脅かすものです。広島市の取り組みは、全国でも白眉であり、行政の本来あるべき姿ではないでしょうか。

 市債の早期償還、財政調整金の積立てはもちろん重要でありますが、将来世代への負担軽減を言うだけでなく、現在尼崎市にくらし、営業する市民と業者にもコロナ禍の大変な時だからこそ、財政調整基金等を活用し、くらしと営業を支え、守り発展させるべきです。最後にそのことを強く要望し、質問を終わります。