2021.3月 川崎としみ議員の総括質疑と答弁要旨

 21年3月 予算委員会 総括質疑 川崎としみ議員

(松澤議員からの続きです)

保育所の待機児童対策について

【短時間保育士の規制緩和について】

府は、2020年12月に新たな待機児童対策として「新子育て安心プラン」(以下 新プラン)を策定しました。新プランは、2021~2024年度までの4年間で14万人分の保育の受け皿整備をめざす、としています。しかし、そのための具体的な手立てが乏しく、特に保育士の確保策として提案された保育士配置に関する規制緩和には大きな問題があります。

 

プランでは、「魅力向上を通じた保育士の確保」として、潜在保育士の再就職促進の観点から、保育士配置に関する規制緩和を提案しました。具体的には、待機児童が存在する自治体については、各組・グループに常勤保育士1名以上の配置が必須とする規制を、2名の短時間勤務(パート)保育士に代えることができる、とする内容です。

育の長時間化がすすむ一方で、職員の配置に関わる最低基準の改善が進まず、保育所の運営には、短時間勤務のパート保育士が欠かせない現実があります。だからといって、今回の担任全てをパート保育士に置き換えてもよしとしてしまう規制緩和は問題です。子どもが一日の大半を過ごす保育所で、保育士が次々と入れ替わるようなこま切れ保育では、パート保育士・常勤保育士ともに負担が増え、保育の質低下は免れません。何よりも、保育の専門性の軽視であり、子どもも保護者も、担任すべてをパート化することは望んでいません。

 

Q.お尋ねします。短時間保育士の規制緩和について市はどのような考えを持っているのか。こうした制度の導入を検討しているのかお答えください。

 

答弁要旨

 国が昨年12月に策定した「新子育て安心プラン」では、短時間勤務の保育士の活躍促進として、待機児童が存在する市町村において各クラスの常勤保育士1名必須との規制をなくし、それに代えて2名の短時間保育士で可とすると示されています。しかしながら、現時点においても、この規制緩和の具体的詳細が不明であり、市として判断できる段階ではないことから、今後、国の動向等を注視してまいります。

以上

 

代表質疑で保育士の処遇改善について「これまでから全国市長会や中核市市長会を通じて国への要望を行ってきておりますが、公定価格における基本分単価や処遇改善等加算については、国において一定の改善が図られている状況にあります。このようなことから、市独自の賃金の引き上げによる処遇改善を行う考えはございませんが、今後につきましても、国に対し、保育士の更なる処遇改善を図るよう、要望してまいります」と答弁されています。

 

Q.保育士の処遇改善が国の施策として一定の改善が図られている状況にあると答えられていますが、実際に保育士の賃金はどの程度引き上げられているのでしょうか。

答弁要旨

 保育士の賃金の引上げにつきましては、具体的な金額については把握できておりませんが、国において、平成25年度以降、職員の平均経験年数等に応じて加算される処遇改善等加算1や、人事院勧告に伴う公定価格の改定により、毎年度、処遇改善が図られており、令和元年度は、改善前の平成24年度と比較して14.1%、賃金改善が図られております。さらに、経験を積んだ職員等に対しては、平成29年度以降、月5千円から4万円の賃金上積みを行う、処遇改善等加算1といった制度も導入されており、ほとんどの法人保育施設等でこれらの加算が認定されている状況にございます。以上

 

国が少し給与を上げたといっても、月額2万円にも満たないのではないでしょうか、全産業の平均賃金と比較して10万円の格差はたいして縮まっていません。また国が保育士の確保を短時間の保育士で確保しようとしている流れでは、処遇改善が進むとは思われません。市独自の改善策にぜひ取り組んでいただきたいと思います。

次に、代表質疑での保育士の配置基準の見直しについて、市長は「国基準を上回る市独自の配置基準を設定することにより、多額の財政支出が発生することや、そのことによる保育士の配置増が必要になり待機児童解消に支障をきたすため、現状においては市独自の保育士配置基準の設定は難しいと判断しております。」と答弁されています。西宮なみに保育士の配置基準を乳幼児で5:1に引き上げれば、保育士100人、4億円が必要だが、尼崎の財政状況ではできないとのことでした。

 

Q.保育士の報酬と労働条件が改善されれば、保育士も増えて待機児童を減らし、ひいてはファミリー世帯の転出に歯止めがかけられるのではないでしょうか。それは市税の増収にもつながり、試算した数字を丸々負担しなくてもよいとの結果をもたらすのではないでしょうか。先に市長の政治的決断ありでも実行できるのではないか、市長の答弁を求めます。

答弁要旨

 待機児童の解消は本市の喫緊の課題であり、ファミリー一世帯の転出に歯止めをかけるひとつの手段であると認識しております。議員ご指摘の保育士の「市独自の賃金引上げ」と「配置基準の見直しを含めた処遇改善」は、長期的な視点に立てば一定保育士増につながり、待機児童の減少、ひいてはファミリー世帯の定住・転入の増加が見込まれるかもしれませんが、本市の厳しい財政状況に加え、市独自の配置基準の設定により、直ちに多数の保育士の配置が必要になり、喫緊の課題である待機児童解消に支障をきたすため、現状において市独自基準の設定は困難と考えております。以上

保育士不足の根本的な原因への対策が不可欠です。しかし、国の対策は冒頭申し上げたように、保育士配置の規制緩和で対処しようとしています。保育士不足を改善するどころか逆に深刻化させ、子どもと保育士に負担を押しつけることになりかねません。保育士不足の根本的な原因は、保育士さんの仕事量や責任の重さに見合った処遇が実現できていないことにあります。配置基準を見直すなどして、賃金を含め処遇を大幅に改善することが、保育士不足を解決する近道です。

 

あまよう特別支援学校の業務委託について

あまよう特別支援学校の送迎等の業務委託が、事業者が来年度から変わるということです。何故委託先が変わるのか何が問題だったのでしょう。生徒や保護者、学校関係者に新たな負担が生まれないような慎重な取り組みで、子どもたちの生活と教育環境を守っていかなければならないと思います。

Q.子どもたちの送迎などの業務について看護師さんの業務委託は、単年度契約で随意契約となっていますが、その理由について教えてください。

答弁要旨

 現在、あまよう特別支援学校には、常時の人工呼吸器の使用など医療的ケアを日常的かつ頻繁に必要とする重度重複障害のある児童生徒が多数在籍しています。看護師においては、学校生活における日常の医療的ケアの対応、校内や登校中のバス内における緊急時の対応などを行っていただいております。

委託先病院への契約においては、児童生徒に対する看護行為に十分な知識と経験のある看護師を有すること、看護師に対し業務遂行に必要な知識及び技術等の研修を実施できること。また、様々な疾患、体調の急変に適切に対応できるよう、複数の診療科を有する総合病院であることなどを条件に、それを満たせる市内外の約30の病院に受託依頼の調査を行いましたが受託可能である病院が一か所しかないため、地方自治法施行令第167条の2第1項第2号に基づき、随意契約に至っております。以上

 

あまようでは、昨年、コロナ禍の下で学校の休業ということもあり、4月から5月にかけて看護師にたいする働き方の指示とか給料が支払われていない問題がありました。私もそうした渦中にいた看護師から相談を受けました。加えて委託を受けていた病院から次の年からは受託しないと看護師が聞かされたのは年明けだったそうです。

Q.看護師さんの雇用の継続性のための安全弁の一つが、公共調達基本条例第24条だと思いますが、この業務委託はその対象から外されています。その理由は?

答弁要旨

 公共調達基本条例第24条では、業務の適正履行の確保及び労働者の雇用確保を図るため、入札等により受注者が変わった場合においても、受注者等は、従前からの従事者で、引き続きその業務への従事を希望する労働者の雇用に努めることを定めています。随意契約の場合には、原則的に受注者の変更はありませんが、例外的に受注者が変わる場合には、業務内容を勘案し、対象業務とするかどうかを判断しており、あまよう特別支援学校看護業務委託につきましても、受注者の変更が想定される令和3年度の契約は、同第24条の対象としております。以上

 

今年4月からは、子どもたちと直接触れ合う看護師の体制がどうなるかということが問われると思います。民間委託が開始されて20年余りで4回目の委託先の交代ですが、重度の障害をもつ子どもにとって安心できる看護体制の継続は大変重要であると考えます。そこで働く看護師さんなどの継続雇用を保障すべきだと考えます。これまで20年以上も継続して勤務されている方もいらっしゃいますが、今の看護師さん全員が継続して働き続けることができない状況となっていることもお聞きしています。その他にも、業務委託だから偽装請負に抵触するということで、学校も委託先の病院経由で直接指示できない、こうした問題も抱えているのではないでしょうか。コロナ禍で保護者の付き添いが増えて、大変な困難が子どもたちと保護者におよんでいるという問題もお聞きしています。

これらの問題を解決していくためには、公共調達基本条例が適用できるよう法的なしばりが必要とされていると思います。さらに、医師の配置と看護師の直接雇用が取れる体制に一日も早く転換すべきことが必要だと考えます。

 

教育のICT化について

 子どものネットリスク教育研究会代表の大谷良光さんは、スマートフォンなどの長時間使用が脳の発達を妨げていると確認され、近視など深刻な影響も出ていることを紹介。子どもも保護者も教師も「正しく恐れる」必要があるとし、教育で端末を利用する時間が延びる分、授業外での使用時間を減らすことなどを提案されています。

また、いのち環境ネットワーク代表 加藤やすこさんは、

無線周波数電磁波は健康影響が指摘され、欧州評議会は人体に安全な有線LANを推奨していると紹介しています。さらに健康被害とその対策に取り組んでいる自治体についても紹介しています。

 静岡県下田市には、電磁波過敏症の新入生のために、無線LANを有線に切り替えた中学校があります。

 北海道札幌市教育委員会は、LANケーブルを通じて電力を供給するPoE給電機を各教室に設置し、この電源を切れば電波が飛ばないようにしています。 東京都新宿区では、子どもたちに配る端末のスクリーンに、ブルーライト・カットシートを貼ることを決めています。

 なお、ロシア保健省は、学校に有線接続を推奨するほか、パソコン利用と休憩時間を示しています。

 

Q. お尋ねします。教育のICTの活用は使い方次第で大きな効果が発揮されると思います。しかし電磁波や長時間使用で脳の発達を妨げる、近視など健康被害について対策をすべきです。見解を求めます。

答弁要旨

 学校における1人1台端末の運用が始まり、ICTの使用機会が広がることを踏まえ、児童生徒の健康面に対して一定の配慮が必要になってまいります。そのため、利用時において、背中や首が丸まらない正しい姿勢で、目と画面までの距離を30センチ離し、長時間連続して使用しない、などの配慮事項を、学校及び児童生徒・保護者に対して発信し注意を促しております。なお、先般、文部科学省からもlCTの活用に当たっての児童生徒の目の健康などに関する配慮事項」が示され、同様の配慮事項のほか、日常観察や学校健診等を通じた児童生徒の心身の状況の把握等が必要とされたところです。日々の使用にあたり、これらに基づき、児童生徒の心身への影響について日常的に観察していく必要があると考えております。以上

 

前のめりでICT活用で学力向上、教育改革と進むのではなく、万全の対策を施すべきだと思います。

 

自治体のデジタル化について

経済研究者の友寄英隆さんはデジタル化問題について次のように述べられています。

 デジタル化社会が進めば、社会の情報格差が起こり、資本主義社会における所得、資産などの経済的な格差と結びつき、情報格差が経済格差を拡大させ、それがさらに情報格差を拡大・固定化するという悪循環をもたらします。

 菅首相は、施政方針演説で、「デジタル庁の創設は、改革の象徴であり、組織の縦割りを排し、強力な権能と初年度は2,000億円の予算を持った司令塔として、国全体のデジタル化を主導します」と述べ、具体的には、「全国規模のクラウド移行」、「自治体のシステムも統一、標準化を進め、業務の効率化」、「マイナンバーカードの普及」、「健康保険証との一体化」、「運転免許証との一体化」、「公務員の採用枠にデジタル職の創設」、「教育のデジタル化」、などなどを挙げています。

 しかし、行政のデジタル化によって、個人のプロファイル(人物記録・履歴)が処理され、流通する過程は、ブラックボックス化します。予算の計上や執行などの「指揮命令権を持つデジタル庁」によって、個人情報が国家に集中すると、国民の民主的な権利を踏みにじり、自由を抑制する「監視社会」になる危険があります。と指摘されています。(経済研究者の友寄英隆さんの見解をご紹介しました。)

代表質疑で「「尼崎市業務見直しガイドライン」は何を目的にして策定されたのか、またコンサルティング事業者(COO補佐)に、どのような役割を求めているのか」とお尋ねしました。市長の答弁は「ⒶCOO補佐には、アウトソーシング導入済業務に係る評価や行政手続のオンライン化に係る方向性等を決定するCOO最高外部委託責任者である私の意思決定を支援するための資料作成や助言を行っていただきます。」と答弁されました。

 

Q. お尋ねします。COO補佐つまり民間企業に、各種計画の策定過程、実施過程から評価過程まで参加できる道を随所に広げていくことになってしまうと思います。地方自治体の自治行為に、主権者である私たち以上に民間企業等が発言権を持てる仕組みになっているのではないでしょうか?市長の見解を求めます。

答弁要旨

 アウトソーシング導入後の評価や行政手続オンライン化に係る方向性等の意思決定につきましては、あくまでもCOO(最高外部委託責任者)である市長が行うものであり、先進市の事例等の専門的な知見を持つCOO補佐からは助言等の支援をいただくものでございます。今後、そうした取組を進める中で、市民サービスの更なる向上につなげてまいりたいと考えております。以上

 

また代表質疑では、「国のデジタル化構想は、個人情報の情報漏洩の問題が置き去りにされている、社会保障切り捨てのための情報収集になる、監視社会を強めるものになるなどと危惧されている」と指摘しました。市長の答弁は「Ⓑ国のデジタル化構想は、生活者の利便性の向上や行政運営の効率化を目指すものであり、ご指摘のような社会保障の切り捨てや監視社会を強めることを目的としておらず、個人情報等の漏えいがないよう万全のセキュリティ対策を講じることで、さらにその効果を高めるものであると認識しております。ただし、リスクを完全にゼロにすることは難しいことから、許容できるリスクについての丁寧な合意形成プロセスや、そのリスクを上回る利便性、政策的合理性の確保が合わせて求められるものと認識しております。本市におきましては、このような認識のもと、行政手続等デジタル化推進計画に基づき、市民サービスの向上に努めてまいります。」ということでした。

 

これでは少々のリスクはあってもやむを得ないとの考え方ではないですか、リスクは限りなくゼロにする方向で努力すべきではないでしょうか。

2019年度の個人情報保護委員会での事故報告で1年間でマイナンバー関係だけで情報漏洩が217件、数十万人分あった。国の官庁、地方自治体、請負会社からの流出、受託した民間会社が個人情報を粗雑に扱って漏洩するケースが1番多い。個人情報の最も厳しいルールを持つEUの基準を日本の主要企業でクリアーしているのは全体の55%しかないとのことです。

国が推奨するからとデジタル化を急ぐのではなく、様々なリスクを検討して、例えばEUなどが市民のプライバシー権の擁護をどうとらえているのか、デジタル化を強行するのではなくいったん立ち止まって検証すべきだと考えます。さらに、過去の犯罪履歴に関する情報記事が検索結果に反映されないようにするためのものとして「忘れられる権利」や、自己情報コントロール権の補償という問題があります。

 

Q,そこでお尋ねします。近年、新たに擁護すべき権利として認められている「忘れられる権利」や情報の自己コントロール権保障の仕組みこそ必要とされていると思います。これらを保障していく体制、環境こそ整えるべきだと考えます。必要があれば条例制定も検討すべきではないでしょうか?

答弁要旨

 議員ご指摘の「忘れられる権利」につきましては.最高裁において明示的に認めたことはなく、少なくとも現時点においては%国内法上、固有の権利として確立しているとは言えないものと認識しております。また、「情報の自己コントロール権」を保障する体制等につきましては、現在、尼崎市個人情報保護条例において、本市が保有する個人情報について、自己情報の開示はもとより、訂正、利用停止等を行う権利が保障されておりますので、市民の権利利益を保護する環境等は既に整っているものと認識しております。以上

 

住民合意を基本にしたFM計画について

 市は代表質疑で、「公共施設マネジメントの取組について、各計画では、耐震性といった施設の安全面における課題など、各施設の置かれている状況をお示しし、今後の取組内容や着手時期を明らかにしたうえで、着実に取組を進めていくこととしています。こうした取組を進めるにあたっては、アンケート調査やタウンミーティング、説明会など、施設の特性に応じた様々な手法により、市民の皆様から丁寧に意見をお伺いしながら進めていく」と答弁されています。

 

Q.お尋ねします。建物に対する直接的な市民の意見はどこで聞き、それを市はどのように実際の建設計画に反映しているのですか?

答弁要旨

 公共施設マネジメントの取組を進めていくにあたり.市民の皆様に丁寧な説明に努め、その必要性や効果について十分な理解を得ていくことは、本取組を円滑に進めていくうえで、欠かせないものであると考えています。そうした考え方に基づき、これまで新たな計画を策定した際には市民説明会を開催し、個別の施設については従来の説明会ではなく、施設の特性に応じて、参加者からより多くのご意見をお伺いすることのできるタウンミーティングを、熟度の低い検討段階から開催するなど様々な工夫を重ねてまいりました。こうした取組により、例えば、(仮称)武庫健康ふれあい体育館の整備では、タウンミーティングでいただいた周辺住民の皆様からのご意見を取組に反映し、当初案から建設場所を変更するなど、実際の建設計画に反映したところでございます。今後もこうした取組を継続し、可能な限り意見の反映を行い、頂いた意見について対応が困難なものについては、その理由を明らかにし、市民の皆様がよりご理解を深めていただけるよう努めてまいります。以上

 

建設後も実際に施設を利用する中で様々な要望が出されていると思います。

Wi-Fiが短時間しかつながらず、使い勝手が悪い、使用料の問題等もあり、今後も市民ニーズにこたえて改善を図ってほしいと思います。

今、中央北生涯学習プラザにのみ「梅プラザ」と愛称がつけられています。市民に親しまれる公共施設として他にもニックネームを募集してはいかがでしょうか。

 

市営住宅について

 市営住宅の15%の削減計画に基づいて、市営住宅が減らされています。市の家賃収入は毎年100から200件分減少していると予算分科会でお聞きしました。市民には市営住宅に応募してもなかなか当選しない、交通の便が悪い、バリアフリー、エレベータ付きの住宅をとの様々な要望があります。また今市営住宅に入居している世帯でも病気や高齢化で階段を使って下に降りられない、1階への住み替え希望がたくさんあります。

高齢者の単身者にとって賃貸住宅を新たに借りることが大変困難になってきています。家賃の高さもさることながら、保証人問題などなど、簡単に民間の住宅と契約ができない状況があり、公営住宅の必要性を切に訴えられています。

Q.市民のニーズに答えて、高齢者、障がい者、若者やファミリー世帯向け、2世帯住宅等、バリアフリーの多機能型の、市営住宅を充実させる住宅建設を検討すべきではないでしょうか?

答弁要旨

 市営住宅の建替えにおきましては、入居者の年齢バランスに一定配慮する必要があることから、現入居者向けの住戸タイプだけではなく、ファミリー世帯向けの住戸タイプも整備することとしております。また、建替えに合わせて、エレベーターの設置や、住戸内のバリアフリー化を図ることとしております。こうした建替えを進めることにより、高齢者や障がい者、また、若年世帯や子育てファミリー世帯にも住みやすい市営住宅になるものと考えております。以上

住民自身が行ったアンケート結果に基づき、その内容を尊重し現在地での建て替え計画に変更すべきだと要望します。

 

防災対策、避難所について

 防災対策、避難所についてジェンダー平等の視点からお聞きします。

政府は、2020年5月、「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災、復興ガイドライン」を発表。「女性は防災・復興の『主体的担い手』」「男女の人権を尊重し安全・安心を確保」など七つの基本方針を明記しました。また、「避難所の生活環境の改善」「避難所や仮設住宅などでの性暴力の防止や相談対応」など35の課題を掲げ、チェックシートで点検できるようになっています。
しかし、現状はまだまだ不十分です。2016年4月の熊本地震の際の調査(内閣府男女共同参画局)では、その一端が示されています。

(配布資料をご覧ください)

 被災1カ月後までに、指定避難所のある24市町村で、「間仕切りによるプライバシー確立」がなされたのは13自治体にすぎません。「女性用更衣室」11自治体、「女性専用の物干し場」1自治体、「女性に対する暴力を防ぐ措置」4自治体などです(別表)。

 避難所での女性たちの生活がいかに困難であったかを示しています。そして、社会のおくれた現状が避難所生活に反映されたものといえます。

 緊急事態宣言のもと、自宅生活のなかで、「妻だけが、仕事も家事も、子育てもの生活だった」「DV被害が増大している」などの実態も明らかになりました。

 災害時には避難所や仮設住宅などで、女性や子どもに対する暴力の発生・増加をいかに防ぐかという視点が必須です。

こうした改善を進めるには、避難所の運営に女性の意見を反映させる仕組みが欠かせません。

 熊本県益城(ましき)町の避難所では、女性の代表を中心に、食事配り、トイレ掃除も男女が行う、女性や子どもの専用スペースの確保、働く女性の子どもを預かる互助サポート体制などが作られました。

 防災や災害対応にジェンダー平等の視点で臨むのは、世界的な流れです。第23回国連特別総会(2000年)では、防災・減災・復興の戦略や人道支援にジェンダー平等の視点を導入することを勧告。第2回国連世界防災会議(05年)では、「あらゆる災害リスク管理の政策・決定過程にジェンダーの視点を」と議論されました。

 こうした立場にたった本気の取り組みが求められています。

2018年、3年前、静岡県三島市の避難所を視察しました。そこでは震度6の地震が発生した時点で、あらかじめそれぞれの避難所に配置されている4名の市の職員が駆けつけ、避難所を開設することになっていました。4名の中には必ず女性の職員が1名付けられており、女性のみなさんが少しでも安心して避難所での生活ができるような配慮がされていました。

 

Q.おたずねします。尼崎の避難所では、ジェンダー平等の観点からどのような工夫がされているのでしょうか?また今後の課題についてどのように考えているのでしょうか?

答弁要旨

 議員ご紹介のとおり、本市でも、避難所運営において女性の視点を取り入れることは大変重要であると認識しております。このことから、本市の地域防災計画には、避難所の運営管理について、『多様な視点を反映させるため、女性の参画に努める。」と明記しており、避難所運営組織を結成する際には構成員の男女バランスに配慮することとしております。また、被災地で支援業務に従事した本市職員の経験も踏まえ、避難所内に授乳室を設けることや、更衣室、トイレ、物干し場は男女別に設けること、避難者の居住区画を区割りする際に配慮する点や、避難所に掲示される生活支援情報などの内容を確認するとともに、防災訓練で実践的に取り組んでまいりました。

こうした積極的な取り組みに加えて、今後ますます性の多様性への理解促進に努める必要があると認識しており、庁内関係部局とも連携し、誰もが安心して避難生活を送ることができる避難所の環境整備に取り組んでまいります。以上

 

避難所の運営マニュアルは毎年改定されているとのことですが、学校任せ教育委員会任せになってはいないでしょうか。危機管理が責任をもって対応すべきと考えます。

 

 

(資料)


 被災1カ月後までに、指定避難所のある24市町村で、「間仕切りによるプライバシー確立」がなされたのは13自治体にすぎません。「女性用更衣室」11自治体、「女性専用の物干し場」1自治体、「女性に対する暴力を防ぐ措置」4自治体などです(別表)。
2016年4月の熊本地震の際の調査(内閣府男女共同参画局)にその一端が示されています。

 

避難所での女性たちの生活がいかに困難であったかを示しています。そして、社会のおくれた現状が避難所生活に反映されたものといえます。

 緊急事態宣言のもと、自宅生活のなかで、「妻だけが、仕事も家事も、子育てもの生活だった」「DV被害が増大している」などの実態も明らかになりました。

 災害時には避難所や仮設住宅などで、女性や子どもに対する暴力の発生・増加をいかに防ぐかという視点が必須です。

 安心・安全な避難所づくりと運営への改善が強く求められています。

女性の意見

部屋札用の絵文字の一例(内閣府「災害対応力を強化する女性の視点」から)

 こうした改善を進めるには、避難所の運営に女性の意見を反映させる仕組みが欠かせません。

 熊本県益城町の避難所では、女性の代表を中心に、食事配り、トイレ掃除も男女が行う、女性や子どもの専用スペースの確保、働く女性の子どもを預かる互助サポート体制などが作られました。

 防災や災害対応にジェンダー平等の視点で臨むのは、世界的な流れです。第23回国連特別総会(2000年)では、防災・減災・復興の戦略や人道支援にジェンダー平等の視点を導入することを勧告。第2回国連世界防災会議(05年)では、「あらゆる災害リスク管理の政策・決定過程にジェンダーの視点を」と議論されました。

 こうした立場にたった本気の取り組みが求められています。(おわり)

別項
「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災、復興ガイドライン」(PDFファイル)