2021.3月 広瀬わかな議員の意見表明

2021年3月19日 広瀬わかな議員が日本共産党尼崎市議団を代表し、

意見表明を行いました。

尼崎市議会 議会中継広瀬わかな2021.3意見表明

市民を取り巻く状況

  日本共産党議員団の広瀬若菜です。会派を代表して2021年度予算並びに関連議案に対する意見表明を行います。

 今年度は新型コロナウイルス感染症が世界中に猛威を振るい、保健所・医療機関のひっ迫、飲食店をはじめとする中小企業の経営難、非正規、女性や学生の雇止め・失業等、市民生活がとことん追い詰められた1年でした。

稲村市長は「支援の手からこぼれ落ちることのないように」と新型コロナ対策への決意を表明されています。新型コロナはもともと所得の低かった人への影響が大きいと言われております。またポストコロナ社会を見据え、来年度予算案が自治体の責務である住民福祉の向上、市民のいのちと暮らしを守る内容に十分であるかという点を特に重視し、共産党議員団の意見を述べてまいります。

コロナ対策

 コロナワクチンの供給が遅れており、5月から高齢者の接種が始まりますが、16歳以上の全市民が接種できるのがいつになるのか不透明な状況です。また、コロナ発生が少なくなっている今こそ、PCR検査の社会的検査を高齢者施設とともに医療機関・障がい者福祉施設などにも広げ、職員と施設利用者の定期的な感染防御を図ることが必要です。

 総括質疑で医務官は「対応に当たる保健師体制については、これまで保健師が行ってきた業務の見直しをして調整した」と答弁されましたが、これまで保健師が担ってきた業務は保健師が担う理由があったはずです。業務の見直しを実施し形式的には対応できたとしても、自治体の責務である住民福祉の向上の点で質の後退が起こってはなりません。

予算編成と財源について

 新型コロナウイルス感染症の影響で、世帯所得は貧富の格差がさらに広がっています。

ポストコロナ社会を見据える中で自治体としての役割が問われます。後で触れますが、予算編成の中で特に就学援助金の増額と国保料の引き下げについては恒常的な歳出にも優先度をつけることと国民健康保険の基金を活用することで実施できると考えます。

また、新型コロナ対応に特化した短期的な支援策は財政調整基金の活用で対応できます。

将来負担の抑制を目的として23億円の早期償還を行うとしていますが、財政が厳しいと子育て支援は先送りです。新型コロナの影響を大きく受けるいまの子どもたちに必要な施策充実が図られる予算編成を求めます。

子どものくらし

 コロナ禍で大人の働き方の変化や不安定な生活へのいら立ちが、子どもの生活を脅かし、家庭内虐待やDVの犠牲になっており、社会の責任において子どもを守ることが求められています。県の児童相談所が「ひと咲きプラザ」に設置されます。また要保護・要支援等の見守り強化事業への大きな期待があります。委託事業所任せではなく市がリーダシップをとり、SSWも含めしっかりした関与を求めます。

・公立幼稚園教育振興事業について

 現在の市立幼稚園教育振興プログラムの検証が行われる前に、昨年度策定された尼崎市教育振興基本計画をもとに、市立幼稚園のあり方検討の方向性が示されるやり方はあまりに唐突で、政策決定プロセスのあり方としても問題があります。就学前教育をより充実させていくための検討、検証は必要ですが、主要事業にあるすべての検討項目について早急な結論を出すことには反対です。特に、総括質疑で子ども青少年局から答弁のあった「余裕教室の保育への適用」は、尼崎市教育振興基本計画でも、また主要事業の説明資料の事業イメージにもまったく触れられておりません。

 公立幼稚園のあり方については、まず9園すべてで3歳児からの受入れを行うこと、特設学級の充実を図るため支援体制を整えることを求めます。主要事業に上がっているその他の施策については、その結果を見たうえで検討を行うべきです。尼崎の公立幼稚園のいいところは比較的小規模で一人ひとりの幼児に丁寧に接していることです。200人から300人の大規模化する恐れのある認定こども園の移行には反対します。

・保育所の待機児対策について

保育の待機児童数は、2020年度の236人、2021年度は430人の見込みです。認定保育園3園・小規模保育事業5園(保育の確保事業)で300人の受入れ増で、大変な努力をされています。しかし保育の需要に追い付かない状況です。保育士確保では保育士の雇用や相談支援を行う「保育士・保育所支援センター」が設置され期待しています。しかし同時に低賃金・長時間労働等の処遇改善も不可欠です。総括質疑で、子ども青少年局は「国の処遇改善策をつかってどれだけ給与が改善されたか把握していない」と答弁されています。まったく現場の実態を見ていないことが明らかです。保育士確保のために実態調査が必要です。市独自の保育の配置基準を見直し、安定した保育の質の向上と保育士の働き方の改善を求めます。

 また公立保育所として残す老朽化した杭瀬・次屋・武庫南保育所の建て替え計画を策定し、ゼロ歳児保育を含めた定員の拡大を行うべきです。

 神崎保育所の民間移管を含めた第4次計画の見直しを求めます。

・児童ホームの待機時対策について

2020年待機児は434人、2021度も同程度の待機児が見込まれます。38人の待機児があった立花南児童ホームが増設となり100人に定員増されましたが、毎年のように全児童ホームの半分前後で待機児童が発生し続けています。市は民間児童ホームを待機児解消の受け皿としていますが、民間児童ホームに待機児童が何人在籍しているか把握をしていない中、民間児童ホームを待機児童対策とすることは止めるべきです。公設公営の児童ホームを計画的に増やし待機児解消を進めることを求めます。

長年の保護者の要望に応え、おやつ代の徴収と発注業務を市が行うことになりますが、これまでの父母会の取組を尊重したものになることを求めます。またコロナ禍、1年間閉鎖していた子どもクラブがこの4月から開設されます。待機児童の緊急対策の位置づけですが、児童ホームとは設置目的が違うため渾然一体の運営とならないよう役割分担をもっての運営を求めます。

・子どもの医療費助成の拡充 

 ファミリー世帯の定住・転入促進を市長公約の一番に掲げていますが、市民ニーズが高い乳幼児医療費助成が兵庫県下の最低レベルでは情けないと考えます。今回、所得制限ありで小1~小3までの1医療機関800円を月2回までの分を、400円に改めることで他都市の医療費助成に近づけるのではありませんか。費用は3400万円で実現できます。

・就学援助の入学準備金の増額

 尼崎市は他市と比較し従来から対象者が多く、世帯収入の多い少ないに関わらず子どもの学びを保障するため重要なものです。現在準要保護世帯の入学準備金は要保護世帯と比べて中学生で32,600円も低く、制服、カバン、体操服などを揃えるには十分でありません。この時期だからこそ、準要保護世帯への入学準備金の増額は、子育て支援のみならず新型コロナ支援として最優先に必要です。

・高すぎる国保料 介護保険料 

 国民保険料は同じ所得で比べた時、協会けんぽの保険料の2倍であることが、これまでも多くの市民に大きな負担を強いてきました。新型コロナの影響で収入が減った世帯への保険料軽減策はあるものの、その対象となる世帯はごく一部です。特に、国民健康保険の子どもの均等割りが子育て世代にとっては重い負担です。国民健康保険事業基金は今年度36億円あり、子どもの均等割り減免を実施するのに必要な費用は年1.9億円です。また、国保料の引き下げは、事業者支援にもつながります。

 介護保険料は、来年度から第8期介護保険料の改定がされます。

第1段階から第6段階の65歳の被保険者は全体の77%を占めています。これまでも介護保険料は改定のたびに上がり、1年間で年金の約2か月分に及ぶ人もおり、高すぎる保険料が市民の生活を脅かしています。 

・企業版ふるさと納税

尼崎市SDGs地域活性化基金は企業版ふるさと納税を主な原資としています。企業版ふるさと納税は自治体に企業が寄付をすれば、寄付を受けた自治体は収入増になるが、企業が所在する自治体は税額控除によって収入減になります。地方税制の基本をゆがめかねないという点と、今後、企業と自治体との癒着を起こしかねない点について問題があると考えます。

生活保護  

生活保護申請時の扶養照会は申請受理には必要ありません。職員の事務量を増やし、申請者の心理的負担が大きくなる扶養照会はやるべきではありません。

・アウトソーシングについて

 PPP/PFIによる、学校給食センター、一般廃棄物処理施設を特別目的会社に運営管理も一括して委託する方式は、15年、20年もの間、市・議会がチェックすることができず認められません。

 じんかい収集事業の見直しは、市民の命に直結するライフラインを担う機能をさらに民間に委託することを拡大するもので、市民のいのちと暮らしを守る自治体の役割を後退させるものです。

ICT教育について

 代表質疑で答弁された「子どもたち一人ひとりの個別最適な学び」を実現するためには、すべての子どもがタブレットを自らの成長・発達に合わせて無理なく使うことができる支援体制が欠かせません。

ICT教育は期待も大きいものがあります。しかしそこには会話や話し合いがあるのかが問われます。コミュニケーション能力こそ教師と対面授業、友達との関係等日常の語らいの中で養われるものではありませんか。一層少人数での丁寧な教育で、ゆったりと時間が流れる、ホッとする授業が求められます。

タブレットを使用することによる健康被害については、未然防止の観点で対策を講じるよう求めます。

・あまっ子ステップアップ調査事業

あまっ子ステップアップ調査事業は、それだけで学力向上に資するものではないと担当課から聞きました。教員、児童生徒の過度な負担なく一人一人が基礎学力を定着していく環境を保障するためには、常に制度運用の改善が必要です。教員からは「マークシート方式の回答ができるよう練習する時間が必要。特に小学校低学年の児童には回答方法がこれで適当なのか」、また保護者からは「年間の学習内容を、たった一問答えただけで、子どもの弱点、つまづきがわかるのか」と疑問視する声もあり、今後の課題だと考えます。

・あまようの看護師派遣業務

 子どものためになっているかという視点がいちばん重要です。子どもたちが慣れ親しんだ看護師が継続して医療的ケアにあたることが必要です。直接雇用について、総括質疑で教育長は「医療体制の構築は、学校の中だけで体制が整えば済むというものではありません」と述べられました。例えば、県立医療センターと連携するなど、子どもの最善の利益を今後も追及した医療体制の構築を望みます。

・公共施設マネジメント計画

武庫地域の(仮称)ふれあい体育館では、特に共用部分の床面積が大きく減少するため、できない習い事は生涯学習プラザでやれというのはあまりにも乱暴です。また、これまで老人福祉センターの教室の賃料は無料でしたが、今後は賃料を求める検討がされていることは重大です。これまで老人福祉センターで実施されてきた事業を継続することに関しては、賃料を求めないことを要望します。また、福喜園は現在の武庫之荘駅前から交通公園に機能が移転します。公共マネジメント計画によって公共施設の位置を変わることは、市民生活まで変えるという認識を当局はしっかり持つことを改めて求めます。

・デジタル化構想と業務見直しガイドライン

菅政権が推進するデジタル化は、国と自治体のシステムを統一・標準化そしてマイナンバーカードを普及させることになります。マイナンバーカードは来年から健康保険証として利用できるようになり、将来的には強制力が発生します。そうなれば国民の所得や資産、医療、教育などの個人情報が政府に集中します。

総括質疑で総務局は「個人情報保護条例があるので、市民の個人情報保護の環境は整っている」と答弁されています。しかし、2019年度だけでも情報漏洩が217件、数十万人分発生しています。リスク軽視の利便性だけを追求する姿勢は問題です。

業務見直しガイドラインについては、生産性向上に向けた問題点と表現され、無駄な業務、過剰な品質として、時間管理意識の徹底を図ると明記されています。まさに大手企業の生産性向上のための合理化計画を想起させるものとなっています。そのような考え方は、市民の安心安全を図ることが目的の自治体に取り入れること自体、馴染まないと考えます。

・モーターボート

 モーターボート競争事業会計については、住民合意である年間180日を超えての開催は問題です。

・園田西武庫線

 県道園田西武庫線整備事業は、現在藻川にかかる橋梁が完成し、東園田地域の基礎工事が進んでいます。しかし周辺住民は土地の提供については合意がされていません。市は市民と県との調整を行う役割を果たし、市民の合意が得られるまで事業は凍結すべきです。