2021.3月 松澤ちづる議員の総括質疑と答弁要旨

2021年3月16.17日に行われた予算特別委員会総括質疑で

松澤、川崎両議員が登壇しました。

以下、発言と答弁要旨です。

 

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こんにちは、日本共産党議員団を代表して、川﨑敏美議員と私松沢ちづるが総括質疑を行います。よろしくお願いします。                      

保健所体制の強化について

  私は昨年6月議会で、新型コロナウイルス感染症第1波の時の感染症対策についてお聞きしました。当局から「感染症対策によって、保健師の役割は、健康相談業務だけでなく、疫学調査業務や検体採取補助業務など多岐にわたる」今回乳幼児健診がコロナのために中止になったことで「事業が中止になった保健師に応援を求めることで対応」したとのことでした。「今後は第2波に備え、発生段階に応じた業務継続計画を定めることで、感染症対策に必要な保健師の確保に努める」と答弁されています。

Q 第1波~3波の現在まで、感染症対策 に必要な保健師の確保はできたのでしょうか。応援は保健所内、他部署、OB保健師それぞれ何人で行われてきたのでしょうか。

 答弁要旨

 感染症の対応にあたる保健師の応援状況につきましては、第1波では保健所内から2人、OBから2人、計4人の応援体制であり、第2波では保健所内4人、OB2人、計6人の応援体制でございました。また、第3波では、当初、保健所内6人、OB2人、計8人の応援体制を組んでおりましたが、年末年始にかけて感染者が急増したことから、保健所内4人、OB1人を追加し、ピーク時には計13人の保健師による応援体制を取ったところです。以上

 

  第2波以降業務継続計画に基づいた保健師配置がされました。2月議会の補正15号で昨年4月から1月までの新型コロナウイルス感染症対応に係る超過勤務時間の資料をいただきました。それによれば、9月~11月超勤時間が全体で月3000時間ほどに減ったものの、12月・1月は再び6000時間ほどに増えています。

 

Q このことからも、実際、第3波の対応は業務継続計画に基づいた体制をとっても大変なものだったのではないですか。

答弁要旨

 第3波においては、当初、1日20人から30人程度の感染者が発生するとの想定のもと、必要な保健師を確保し、感染症対策を進めておりましたが、年末に感染者が1日60人を超えるなど、想定を大きく上回る感染状況が続き、職員一人ひとりの負担が急激に増大したことは事実でございます。こうしたことから、保健部門においては、応援各課の業務体制の見直しをさらに進め、保健師の追加応援を求めるとともに、日々の健康観察等、保健師以外の職員で対応可能な業務については、全庁を挙げた応援体制を整え、第3波における緊急的な事態に対処してきたところです。以上

 

 総務省が12月19日日本共産党の本村伸子衆院議員の質問に応え、新年度の交付税精算内容で、感染症対策にかかる保健師を増やすことを明らかにしました。兵庫県は新年度7人ほど保健師を増員する予定だと聞いています。

Q 尼崎市は新年度予算では保健師の増員が全くありません。再び第4波が来ても、これまでのように応援態勢で乗り切るつもりでいるのですか。

答弁要旨

 新型コロナウイルス感染症に係る体制につきましては、国の方針や感染状況等により業務量が変わることもあり、それらに応じて必要な保健師等を配置するとともに、コロナ禍でも継続すべき業務を調整する中で、臨機応変に体制を整えてまいりたいと考えております。なお、体制整備にあたり、保健師以外でも対応可能な業務につきましては、適宜全庁的な応援体制も組みつつ、保健師以外の正規職員に加え、会計年度任用職員も活用して対応するなど、業務の整理や効率化も図りながら、今後起こりうる危機的な状況に対処していきたいと考えています。以上

 

 コロナ禍の下、公衆衛生の観点が軽視されてきたことが明らかとなりました。

保健師を増員して保健所体制を強化することを求めます。

 

生活保護の扶養照会について

我が会派の代表質疑で、生活保護申請時の扶養照会をやめるよう求めました。

この点について、さらに質問します。

 

Q 扶養照会し、それによって実際に扶養援助されたのはわずか0.4%という実態があります。代質答弁では「申請者から丁寧に聞き取る中で、金銭的援助や日常生活上の支援が期待できると判断される場合に実施」しているとのことですが、尼崎市ではもっと扶養援助の率が高いのでしょうか。

答弁要旨

 扶養義務者への扶養照会については.扶養義務者の状況やその関係性などについて、申請者から丁寧に聞き取る申で、金銭的援助や日常生活上の支援が期待できると判断される場合に実施しております。令和元年度の扶養調査の実績としては、生活保護開始世帯1β77世帯における扶養義務者3,465人のうち、直接照会を行うことが適当でない又は扶養義務の履行が期待できないものと判断した1,295人を除き、2,170人に対して書面等による調査を行いました。なお、扶養調査を行った結果、援助を受けることとなった件数については、集計を行っていないため、率については把握しておりません。以上

 

Q 丁寧に聞き取ることで、金銭的援助や日常生活上の援助が期待できると判断できるのはどんな場合ですか。

答弁要旨

 生活保護の実施要領では、扶養義務履行が期待できないものの判断基準として、三つの類型が例示されています。『①当該扶養義務者が被保護者、社会福施設入所者、長期入院患者、主たる生計維持者ではない非稼働者、未成年者、概ね70歳以上の高齢者などの場合」、「②当該扶養義務者に借金を重ねている、相続をめぐり対立している、縁が切られているなどの著しい関係不良等の特別な事情があり明らかに扶養ができない場合」、『③DVから逃げてきた母子、虐待等の経緯があるなど扶養を求めることにより明らかに要保護者の自立を阻害することになると認められる場合」、です。これらの例示と同等のものと判断できる場合は、扶養義務履行が期待できない者として取り扱い、それ以外の場合は、扶養義務履行が期待できるものとして取り扱っています。以上

 

 私たちはしばしば市民の求めに応じて、生活保護申請時に保健福祉センターへ同行しています。その中で、扶養照会の説明を面接相談員がはじめると、「身内に知られたくない」とパニック状態になる申請者の姿を見てきました。

 照会をかける作業に入り、書類が整うまで一定の時間がかかる。ましてや書類がそろうのは申請受理後で構わないということならば、そもそも扶養照会そのものが必要ではないということでしょう。職員の事務量を増やし、申請希望者の心理的負担を考えれば、扶養照会はやめるべきです。ぜひ、早期に検討していただきたいです。

公立幼稚園の問題について

文教特別分科会での審議で、幼稚園教育振興プログラムが策定された後、様々な形で課題が生じてきていると当局は説明しています。

1つは2012年振興プログラム策定後、15年子ども子育て新制度が制定。保育料の統一が行われました。20年10月3歳児以上の保育の無償化が実施されました。保育所待機児増の一方で、市立幼稚園は定員割れが続いています。

2つ目に、当局にはこうした状況の下、市立幼稚園がどのように関与すべきか、将来の市立幼稚園のあり方を再度検証すべき時期だと言う認識があるということでした。

Q市立幼稚園の再配置が検討項目の一つに上がっていますが、その内容として現在9園ある市立幼稚園の統廃合や、公立保育所との統合による認定こども園化も俎上にあげる可能性があるとの当局発言がありました。これは大きな子育て政策の変更です。詳しく説明をしてください。

答弁要旨

  ご指摘のとおり、子ども・子育て支援新制度の実施や幼児教育・保育の無償化による保育料の影響のほか、共働き世帯の増加や、私立幼稚園や認定こども園の多様な保育サービスの展開などが相まって、2年保育である市立幼稚園の需要は益々減少し、公立幼稚園は近年、各園で園児数が定員を大きく下回っており、令和3年度の入園希望状況は定員の3割に満たない状況となっております。そのため、令和3年度に開催する「(仮称)市立幼稚園あり方検討会」では、本市就学前教育全体の充実について、幅広い観点から検討し、ご意見をいただきたいと考えております。

 具体的には、昨日もこ答弁申し上げましたが、「尼崎市立幼稚園教育振興プログラム」に掲げる6つの柱の達成状況について現状を踏まえた評価・検証を行った上で.市立幼稚園が担うべき機能や役割について協議し、継続すべき取組や見直し、あるいは拡充が必要なものについての整理を行いたいと考えております。また、保育需要の増大を受けて、本市待機児童解消に向け、認定こども園化も視野に入れての保育資源に資することや.今後の少子化を見据えた適正規模・適正配置のあり方についても検討する必要があると考えているところでございます。以上

Q 分科会の審議では、この問題について保護者ニーズについては特に質疑されていません。市立幼稚園の在り方に関する保護者ニーズを当局はどのように捉えているのですか。 

答弁要旨

  市立幼稚園を選択する保護者ニーズといたしましては、毎年調査しているアンケート結果より、家から通園しやすい、等の理由もありますが、未就園児を対象とした体験保育事業等を通じ、遊びを通した学びを推進し、後伸びする力を育むための就学前教育、特別支援教育や小学校との連携が充実しているなど、6つの柱を中心とした「尼崎市立幼稚園教育振興プログラム」に掲げる市立幼稚園の教育内容についてご理解いただいた結果、4、5歳の段階において市立幼稚園を子どもの入園する施設として選択していただいております。以上

 

尼崎の就学前教育の良いところは、幼稚園も保育所も多くても100人までの小規模でケアで行われていることです。義務教育でも少人数が求められている昨今です。より低年齢の子どもたちの発達保障にかかわる就学前教育は、今後も今まで同様の小規模での実施が望まれます。 

Q 今後も今の幼稚園や保育所の規模で進めるつもりでしょうか。

答弁要旨

 「(仮称)市立幼稚園のあり方検討会」において.公立幼稚園が将来にわたって担うべき機能や適正規模、余裕施設の保育への活用等について検討される予定であり.その中で公立保育所も検討内容に関わりが出てくることから、お尋ねの件を含め検討会での議論や検討内容を踏まえる必要があると考えております。以上

教育次長答弁要旨

市立幼稚園の学級規模につきましては、国が規定する幼稚園設置基準に基づき、一学級の定員を定めており、私立と大きく異なるものではございません。また、施設の規模につきましても、2年保育の市立幼稚園としては決して小規模なものとは言えないと考えております。何れにしましても、今後において、少子化の動向なども勘案する中、本市の就学前教育が担うべき機能や望ましい運営形態を踏まえて、適切な規模を設定していくべきと認識しており、「(仮称)市立幼稚園あり方検討会」において幅広い観点から議論の上.いただいた意見を基に検討してまいりたいと考えております。以上

 

 日本共産党議員団は、市立幼稚園の今後の在り方について3点要望します。

1つは、3歳以上の保育の無償化によって就学前教育へのニーズは高まっています。市立幼稚園も9園全てで3歳からの保育を始めるよう求めます。

2つ目は、小規模で幼稚園や保育所を運営していくことです。

3つ目は、公立保育所との統合による認定こども園化は反対です。2つ目で指摘しましたが、他市の認定こども園化を見ると、定員200人300人などといった規模の拡大が進められており、これでは保育の質が低下します。また、子どもの生活全般を引き受ける保育所と、教育の場である幼稚園ではカリキュラムの違いがあり、しわ寄せは子どもたちの育ちに影響します。統合には無理があるので、保育所との統合による認定こども園化は進めないよう求めます。   

 

就学援助制度について

 どの子どもにも経済的理由に関係なく等しく教育の保障が行われるための重要な支援制度です。本市もコロナ禍の下、生活困窮が広がることを予測して、また今年度は申請時期が休業時期と重なることから、期間延長して対応するなど努力してこられました。

 しかし、新入学学用品費いわゆる入学準備金は、小学校で要保護児童64,300円に対し準要保護児童は40,600円その差は23,700円。中学校では要保護生徒81,000円に対し準要保護生徒は47,400円その差32,600円です。新入学の時期は何かと入用が多く、特に中学校では制服やカバン、体操服など揃える物が多くて、金額の要保護並みの引き上げは待たれているところです。

Q子育て支援策として重要な施策。要保護並みの引き上げを求めますがどうですか。

答弁要旨

 就学援助制度の新入学学用晶費については、新たな学校生活を迎えるにあたって大切な支援と考えており、これまでも入学前支給の実施や、単価の増額などによりその充実に取り組んできたところです。単価の増額については、令和2年度入学の児童生徒を対象に、小学校については、20,130円、中学校については、23,850円をそれぞれ増額したところです。しかしながら、さらに、要保護児童生徒並みに単価を引き上げることについては、恒久的な多額の財源負担が必要なことから、本市の財政状況から現段階では極めて困難であると考えております。

そのような中ではありますが、保護者の負担軽減については、引き続き取り組みが必要であると考えており.今年度、各学校において、家庭から徴収を行っている副教材費等の実態について調査を行ったところです。その調査では、各学校によって負担額や購入方法等に差が見られたことから.こういった情報を各学校とも共有し、他校の状況を参考にしたり、意見交換を行う中で、工夫の余地を生み出し、保護者の負担軽減につなげてまいりたいと考えております。以上

 

2019年12月議会でわが会派の広瀬議員が、準要保護者への国庫補助は一般財源化するけれど、地方交付税算定時の基準財政需要額に算定されことになっており、市町村における事業が縮小されることはないという国の見解を紹介し、引き上げを求めました。当局答弁は、国の単価引き上げに呼応して「準要保護児童生徒に対する就学援助を即時に対応することは、恒久的に新たな財政負担につながり、本市の財政状況から現段階では困難である」というものでした。

 

Qそれほど大きな財政負担でしょうか。新年度で言えば来年3月入学準備金の対象児童生徒数は小学校476人、中学校602人、総額で約3100万円の増額により実現可能です。毎年の予算にしっかりと位置付け、子どもの貧困の格差是正を積極的に図るべきと考えますがいかがでしょうか。

答弁要旨

 議員ご指摘のとおり、要保護児童生徒並みに単価を引き上げるためには、新たに年間約3,100万円の予算の増額が必要となります。この経費については、全て一般財源であり、その財源を捻出することは、現段階では極めて困難であると考えております。以上

 

 新年度予算では健全な財政運営のために市債の早期償還23億円を行うとしていますが、例えばそれを1億円減額して必要な子どもの施策にまわすことがなぜできないのでしょうか。借金返しのピークはすでに過ぎています。市長の判断一つでできるはずです。強く求めておきます。

 

PPP/PFIについて(尼崎市業務見直しガイドラインから)

 わが会派の代表質疑に対し、「リスク管理がまだ十分でないと認識している」「そのため、アウトソーシングにかかるPDCAを効果的に行い、アウトソーシング導入時だけでなく、導入後のモニタリングや評価等についても全庁統一的な視点を持って取組みを行うための一環として、業務見直しガイドラインを策定した」と答弁されました。ガイドラインでは「新型感染症や自然災害等、不可抗力によるリスクの発生にかかる対応方針」を精査すべき検討課題の1つとしてあげています。

来年1月スタートする学校給食センターは、今後15年間あまがさきスクールランチという特別目的会社に運営管理も一括して委託する方式です。学校給食センターは、ガイドラインで示しているCOO補佐の助言指導を受けながら先取りで進めてきた事業といえます。ここでの新型感染症や自然災害等、リスクの発生にかかる対応方針についての考え方をお聞きします。

Q学校給食センターの場合に想定されるリスクは何でしょうか。

答弁要旨

 学校給食センターで想定されるリスクにつきましては、学校給食センターで働く従業員の多くが新型コロナウイルス等に感染した場合や、大規模な自然災害が起こった場合、異物混入などの原因が確認されるまで、施設の稼働が停止となり、学校給食が提供できなくなることが考えられます。以上

 業務見直しガイドラインでは、内閣府の「PFI事業におけるリスク分担等に関するガイドライン」で、想定されるリスクをできるだけ明確化したうえで仕様書や協定書で取り決めることが推奨されていると紹介しています。しかし事業者を公募するときに想定できる限りの分担をしても、想定外の状況は当然生まれてきます。給食センターは15年、一般廃棄物処理施設は20年ほどの長期運営委託では、特に災害時の対応で様々にこんなはずではなかったことが生じると思われます。だからこそ国も、わざわざガイドラインでちゃんとしなさいと言い訳がましく書いているのだと思います。

日本共産党議員団は2018年6月議会で学校給食センターの整備運営事業の議案に対し質疑をしました。副市長が答弁に立ち、「特別目的会社は地方自治法の財政状況の公表などの規定に該当しないので、議会への報告義務はない。任意に議会に報告する場合は事業者との合意が必要だが、現在のところ困難だ」と言われました。それならば、事業者の同意を取り議会への報告を行うように改善を求めます。それができないのなら、長期間の運営管理まで民間に任せるDBO方式は止めるよう求めます。

 

(川崎議員に続きます)