2021年3月8日予算委員会 徳田みのるの代表質疑と当局答弁

 

2021年代表質疑 徳田みのる

第1登壇

 おはようございます。日本共産党議員団の徳田稔です。会派を代表して、2021年度予算並びに関連議案、施策方針についてお聞きします。

 

 まず尼崎保健所の発表では、市内の新型コロナウイルスの感染者は累計(2307)人、(75)人がお亡くなりになっています。

新型コロナウイルス感染で療養中の皆さんへお見舞いを申し上げるとともに、お亡くなりになられた方へお悔やみ申し上げます。また、感染対策でご尽力されている職員、医療従事者の皆さんに心から敬意を表します。

 

新型コロナウイルス感染対策について順次お聞きします。

市長は施策方針で、「新型コロナウイルス感染症への対応に引き続き取り組む。本市は、保健所と衛生研究所をいずれも設置している阪神圏域で唯一の自治体。この強みを活かし、積極的疫学調査やPCR検査体制の強化を進め、迅速な対応に努めてきた。今後とも、感染拡大防止対策や介護・医療提供体制の確保、さらには円滑なワクチン接種などに着実に取り組む」と述べられました。

3月4日までの1週間の新規感染者は25人と、1月の危機的な状況を脱し、緊急事態宣言が解除されましたが、依然として感染拡大が続いています。クラスターの発生は、17の施設にのぼっています。

これまで厚生労働省は昨年11月20日と12月25日、今年の2月4日に高齢者施設等への検査徹底の事務連絡を行いました。

 

新聞報道では、25都府県が高齢者施設等への社会的検査を実施し、そのうち定期的・複数回検査は5県に及んでいます。

広島では、確実に感染拡大を抑え込むために、感染者が多い地域においてPCR検査を集中的に実施しています。札幌市は、今月から高齢者施設、障害者支援施設、療養病床がある医療機関など580カ所で働く4万2200人を対象に、月1回のPCR検査を実施します。

ところが、本市のPCR検査は、高齢者や障害者施設への新規入所者の希望する人に留まっています。

私は12月議会の一般質問で感染拡大を防ぐため、無症状の感染者を把握・保護するための面の検査、集団感染の危険性がある施設等に定期的な社会的検査を求めました。

当局は「集団感染の恐れがある施設等への定期的な検査は、感染状況を確認でき、一時的に従事者や施設利用者等の不安を解消できるというメリットがある。一方で、多額の経費を要するとともに、検査体制が逼迫し、検査を必要とされる方への対応が遅れる可能性もある」として、これまでどおり、施設で陽性が判明した場合に広くPCR検査等を実施することで、感染拡大防止、クラスターの未然防止に努めると答弁され、積極的な社会的検査は実施しないとしています。

 

日本がん学会の黒木登志夫元会長は、無症状の発見保護のため大規模なPCR検査について、「感染者が減ったから検査を減らすと再拡大につながる。社会経済のダメージ回復のためにはPCR検査が有効です」と述べられています。

 

2月に国の審議会が「高齢者施設の職員への定期的な検査への支援」を提起し、厚生労働省は10都府県に対し、高齢者施設の職員等の検査の3月末までの集中的実施を要請しました。国からの要請で、本市も感染多数地域にあるとして市内25カ所の特別養護老人ホームの従業員1200人を対象に今月、行政検査として抗原検査を実施することになりました。まさに国が後押しをしての実施です。

 

お尋ねします。感染者が減少している今こそ、高齢者施設等へ利用者を含めた検査、感染が集中している地域へ積極的なPCR検査を実施し、無症状の感染者を把握、保護することが求められていますが、なぜそこへ踏みだすことができないのでしょうか、見解をお聞かせください

答弁

感染多数地域における高齢者施設の従事者等の検査につきましては、2月2日に変更された、国の新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針において、緊急事態宣言対象区域では、集中的実施計画を策定し、令和3年3月までを目途に実施することとなっております。この内容に基づき、本市においては、まずは市内で集団感染が複数事例確認された、特別養護老人ホームの従事者に対し、集中的検査を受けていただけるよう、各施設や医療機関と調整を進めているところです.

4月以降については、特養以外にも検査対象施設を増やし、2週間に1度、無症状の従事者を対象に一定数の検査を行う、戦略的サーベイランスを実施します。感染拡大の傾向を迅速に察知するとともに、集団感染への早期対応につなげてまいります。(以上)

 

 

次にワクチン接種についてです、

国内で新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりました。国は、医療従事者4万人へ先行接種、その他の医療従事者、65歳以上の高齢者、基礎疾患をもつ人など順次拡大する予定です。しかしワクチンの必要量を円滑に確保できるか見通せず、接種日程は流動的です。いま重要なのは、ワクチン接種を進めるとともに、PCR検査の拡充など感染対策を同時並行で行うことです。

 

市民のなかには新型コロナの収束のへの有力な手段としてワクチンへの期待がある一方、不安の声も多くあります。ワクチンの安全性、有効性、副反応などのリスクについての国内外のデータを、迅速かつ徹底的に市民に明らかにしていくことが求められます。

このワクチンは感染収束の有力な手段ですが、未知の問題も多く抱えています。厚生労働省も、ワクチンによる発症予防効果は臨床実験で確認されたが、感染予防効果については「明らかになっていない」としています。

ワクチンの効果が長期にわたって続くかどうかもわかっていません。変異株のなかには抗体がきかない「逃避変異」もあるとの指摘もあります。ワクチン接種が始まっても、社会全体での効果が確認されるにはかなりの時間がかかるというのが専門家の一致した指摘です。「ワクチン頼み」になって、感染対策の基本的取り組みがおろそかになってはなりません。

この様に多くの市民は、感染防止のためにワクチン接種を期待していますが、アナフィラキシーなどの副反応を心配して、接種をためらっている人もいます。

 

お尋ねします。安心・安全なワクチン接種を行うために、接種時の副反応対策など積極的に情報を公開し、またワクチン案内のコールセンターが設置されますが、不安にこたえるために保健師による相談窓口を設置して、安心してワクチン接種ができる環境整備が必要と考えますが、見解をお聞かせください

 

答弁

市民の皆様に安心してワクチンを接種いただくには、ワクチン接種に伴う副反応の情報等をしっかりと提供することが重要であると考えております。3月19日に開設予定であるコールセンターでは、集団接種の予約受付に加え、一般的な相談をお受けするほか、「医学的見地が必要となる専門的な相談」については県の専用相談窓口で対応するなど、県との役割分担のもと、市民の皆さまの不安にお応えできるよう、現在、相談体制を整えているところです。市民の皆様がワクチンを安心して速やかに接種していただけるよう、市報やホームページ等を活用した情報発信も行いながら、全力で環境整備に努めていきます。以上

 

 

 次に保健・医療体制についてです。

本市は、以前4カ所の保健所と2つの保健支所で公衆衛生、感染予防対策が行われてきましたが、1保健所,6保健センターを経て、2008年に1保健所と6つの地域保健に、2018年に1保健所と2つの保健福祉センター体制に統廃合が繰り返されてきました。今回の新型コロナ感染では、人員不足など保健所業務のひっ迫が起こり、他部署からの応援やコロナ感染の追跡などをする疫学調査を南北の保健福祉センターで行うなどして切り抜けられました。

 

また感染拡大時に必要な病床をどう確保するかが課題ともなっています。そのためには、日頃からその地域での医療連携を進めていくことが大切です。

長野県の人口42万人を抱える松本医療圏では、松本市などの自治体や医療機関の関係者でつくる松本救急・災害医療協議会が結成されています。そして日頃から災害時の対応のために、自治体が中心となって公立、公的、民間の7つの病院の連携が進められています。これには市立病院を持っている松本市が大きな役割を果たしています。

本市は、市立病院を持っていないために、今回の医療危機で、本市の医療の弱点が露呈し、医師会の協力のもと市立の臨時診療所を開設し乗り切ってきました。

本市の感染症対策そして地域医療計画は「地域いきいき健康プラン」に盛り込まれています。同プランの感染症対策、新型インフルエンザ等医療対策は、医師会、民間病院協会と協議して進めると、主体性に欠けるものとなっています。

 

そこでお尋ねします。新型コロナ感染を経験し、感染症対策、地域保健を強めていくため南北保健福祉センターを保健所に格上げして3つの保健所にして危機に強い保健所体制を構築することが求められます。

また今回の医療危機の経験の上にたって、感染症対策における地域の中核となっていくため、市営臨時診療所を常設化し、将来は病院化につなげていくなど、本市が地域医療の拠点となれるよう医療体制の強化が必要と考えますが見解をお聞かせください

 

答弁

保健所につきましては、市の健康危機管理上の拠点として位置付けております。保健医療に関する情報の集約や共有、国・県・他保健所との情報交換に加え、施策の企画・立案が最も重要な役割と考えており、一つの組織に集約することで、より効果的にその機能を発揮できているものと考えております。一方、南北保健福祉センターについては、日頃から地域の方々に寄り添い、相談や訪問等を通じて、保健サービスの提供や支援を行っており、それぞれの組織の利点を活かして、新型コロナ対策の対応にもあたってきました。このように保健所と保健福祉センターは、それぞれの役割に応じた取組を行っていることから、引き続き現体制で一丸となった取組を進めていきたいと考えております。次に、ご指摘の臨時診療所につきましては、開設当時新型コロナウイルスに疑いがある方の検体採取を行える医療機関が少なかったことから、市として臨時的に開設したものであり、地域の感染症対策の拠点となるものではございません。地域の医療体制の強化につきましては、平時においては、兵庫県が広域的な視点で医療計画を定め、体制の充講。実を図っています。

今般の新型コロナのような有事におきましては、市内の公的病院はもとより、保健医療体制全体の連携・調整が不可欠であることから、市が中心となって、状況に応じた医療体制の強化に努めてまいりたいと考えております。以上

 

次に事業者支援についてです。

市長は施策方針で「経済の地域内循環の促進を目的とした、本市独自の電子地域通貨「あま咲きコイン」を、令和2年度の実証実験の結果を踏まえて、令和3年度から本格導入し、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ消費の喚起を図る。事業者を支援するため、令和3年度は、これまでの取組状況を踏まえ、影響が懸念される小規模事業者を支援の対象とし、技術力の向上や生産活動の活性化、省エネルギー化に向けた設備投資の導入経費に係る補助を行う」と述べられています。

緊急事態宣言のもとで、飲食店に時短営業が求められました。協力したお店には一律1日最大6万円、国の制度として取引業者などには一時金法人60万円、個人30万円が支給されます。緊急事態宣言が解除されましたが、引き続き飲食店には21時までの時短営業が求められています。

あるスナック店主は、「1月12日から時短営業が要請され、お酒の提供が7時まででは商売にならず休業となった。その間は預金を取り崩して耐えてきたが時短営業が延長されピンチです。しかも協力金は1カ月以上先の支給でやっていけない。緊急事態宣言が解除されても営業は9時までで、お客さんは戻ってこないし、不安の毎日だ」と嘆いていました。このように市内で多くの中小業者がこの緊急事態宣言が発令されたなかで経営の危機に陥っています。

 

お尋ねします。中小事業者への減収補填のための新たな支援を国・県に求め、また市独自の支援策は減収を補う直接支援策に重点を置くべきであると考えますがいかがでしょうかお答えください。

答弁

これまで、中小事業者への支援につきましては、固定費である賃料が経営上の大きな負担となっている状況の中、国・県等の支援が行き届くまでの対応策として、「緊急つなぎ資金貸付事業」をはじめ、緊急事態宣言の発令により厳しい経営を余儀なくされる飲食・サービス事業者の資金繰り支援として、クラウドファンディングを活用した「あま咲きチケット事業」、さらに、県の休業要請事業者経営継続支援金の対象とならなかった皆様への支援として「事業継続支援給付金事業」など、国・県との連携そして補完を基本に、時宜に応じた支援事業を実施してきました。今後も、国・県に対し、適宜、中小事業者の実態に応じた支援策の要望を行うとともに、引き続き、事業者の皆様からのご意見、ニーズ等も踏まえる中で、支援に取り組んでまいります。以上

 次に、東京オリンピック・パラリンピック開催についてです。

ワクチン接種が始まりました。国はワクチン接種を頼りに東京オリンピック・パラリンピックを開催しようとしていますが、世界保健機関(WHO)主任科学者が、「世界全体で、今年中の集団免疫の達成はありえない」と述べているように、ワクチンを頼りに開催を展望することはできません。

また世界各国は感染状況の違いがあり、選手の練習環境などの格差やワクチン接種の先進国と途上国の格差が広がっています。アスリート・ファーストの立場からも公平にオリンピックを開催することができません。

さらに大会期間中、熱中症対策等で5千人、コロナが収まっていないと1万人の医療従事者が必要とされるなか、多数の医療従事者をオリンピックに振り向けることは困難であると言われています。

欧米アジア広域で企業、金融関係者などに広報戦略を助言するなどをしているケクストCNCが行った新型コロナをめぐる世論調査で、東京オリンピックの年内開催に対し、日本は反対56%、賛成16%、イギリスは反対55%、賛成17%、ドイツ反対52%、賛成19%と軒並み反対が賛成を大きく上回っており、世界でも多くの人々は開催の中止を求めています。

 

そこでお尋ねします。東京オリンピック・パラリンピックを中止し、新型コロナ対応に集中するよう国、組織委員会、東京都に求め、本市も聖火リレーなどを中止し、その経費を新型コロナ対策に回すべきと考えますが見解をお聞かせください

答弁

東京オリンピック・パラリンピックの実施については、国や組織委員会が様々な要因を加味し、判断されるものと考えています。また、新型コロナウイルス感染症対策については、オリンピック・パラリンピックの開催に関わらず、全市をあげて全力で取り組むべきものでございます。今後も、引き続き、市中感染の防止や、発熱等症状のある患者を適切に医療につなげるため、ワクチン接種体制の整備や積極的疫学調査等、必要な事業を適切に実施していきます。以上

 

次に新型コロナウイルス対策の財源についてお聞きします。

昨年12月議会、私は一般質問で、「新型コロナ感染対策は、ほぼ地方創生臨時交付金の枠内で事業が実施されている。市民のくらしが深刻な状況に陥っている中、財政調整基金を大胆に活用していくべき」とお聞きしました。

当局は、「国においては、感染症の拡大防止と社会経済活動との両立に向け、今年度3次補正を新年度予算と一体的に編成するいわゆる「15カ月予算」の考え方により、切れ目なく取組を進めていくこととされている。これを踏まえて、引き続き、増額が示された臨時交付金を活用した感染症対策を実施するとともに、必要に応じて財政調整基金の活用も視野に入れつつ予算編成を進めている」と答弁されました。

これまで新型コロナウイルス感染症への対応の事業費のうち一般財源が(48億8千万円)、内訳は地方創生臨時交付金の活用は(42億4千万円)です。

国の第3次補正予算で、本市に13億円の臨時交付金が想定されています。また来年度末で、財政調整基金残高は74億円とされています。

 

再度お尋ねします。本市の新型コロナ感染症対策は、臨時交付金の枠内で実施されています。財政規律より、まず第一にいのちを最優先して、積極的に財政調整基金などを活用して、コロナ対策を優先して講ずべきと考えますが見解をお聞かせください

答弁

感染拡大により市民生活や地域経済が深刻かつ甚大な影響を受けているなか、支援を必要とする市民や事業者の皆さまに寄り添った取組を、引き続き進めていくことが重要であると考えており、令和3年度当初予算においては、コロナ影響への対応を行うため、4億円の財政調整基金の活用を図ったところです。今後におきましても、感染の拡大や地域経済、国の動向等に注意を払いつつ、地方創生臨時交付金の活用に加え、必要に応じて財政調整基金を活用するなど、適時適切な対応に努めてまいります。以上

 

稲村市長の施策方針についてです。

市長の施政方針では、「就任して10年が経ちました。日本社会はバブル崩壊後の長期にわたるデフレ、急速に進む少子化・高齢化という未曽有の難題に直面しており、本市においても、極めて厳しい財政状況が続いているなかでのスタートでした。それからの10年間、いわゆる高度経済成長時代の前例にとらわれず、時代の変化に対応し、成熟社会にふさわしいまちづくりに挑戦。課題先進国のなかの課題先進都市である尼崎市から、「課題『解決』先進都市」を目指していこうと、市民・事業者の皆様とともに取組を進めてきた」と訴えられましたが、子どもの医療費助成制度や保育所の待機児対策など様々な市民生活への課題が、財源問題を理由として先送りされています。

施策方針ではさらに「ウィズコロナ対策に適切に対応していくことはもちろん、ポストコロナ社会を見据えつつ、長年の総合的な取組によるまちの改善傾向をしっかりとした流れにする」と決意を述べられました。

 

お尋ねします。本市の市債返済のピークはすでに過ぎています。将来負担を減らすために早期償還を急ぐあまりに、子育て支援などの課題解決が先送りされているのではないでしょうか。またポストコロナ社会を見据えつつ、市長はどの様な尼崎市をめざされているのでしょうか、お答えください

答弁

本市財政は、高齢化の進展等により、社会保障に係る経費が毎年度増加傾向にあることに加え、退職手当債など、過去に財源対策として活用した市債が、公債費という形で現在の一般財源を圧迫している状況です。現在、限られた財源の中で政策の選択と集中を図りながら、子育て支援をはじめとした市民ニーズへの対応を行っているところですが、将来にわたって政策財源を確保するといった中長期的な視点に立つ中、減債基金を活用しながら、他の類似都市よりも多額となっている市債の早期償還を行い、残高を減らすことで、後年度の公債費負担を抑制していく必要があると考え、取組んでいるところです。また、先日、眞田議員にもお答えしましたように、現在ウイズコロナの取組を実施しているところですが、できるかぎり単発ではなく、ICTの推進を始めポストコロナにつなぎ活かす視点も重視しており、持続可能な財政運営と現役世代のニーズへの対応の両立を図る中で持続可能で誰も取り残さない社会の実現に努めてまいります。

 

次に介護保険制度についてです。

介護保険制度がはじまって20年経ちました。介護保険が当初、目的としていたのは、「社会的入院の解消」「介護の社会化」「介護離職の解消」でしたが、高齢化が加速する中、これらは20年たって達成したのでしょうか。

社会的入院は「解消」できなく、介護心中や虐待事件が後を絶たず、特養待機者は尼崎で現在309人にのぼっています。

介護サービスを利用するには1~3割の自己負担が発生、介護度によってサービスの内容や量に制限がかかり、希望通りの利用ができません。そのため、介護サービスでカバーしきれず、介護離職は解消されていません。

また3年毎の改定のたびに引き上げられる保険料が65歳以上の1号被保険者の過重負担を生んでいます。財政面では、市町村単位で介護給付額と保険料負担がストレートに連動する仕組みで、介護ニーズにそって特養などの施設整備を進めれば、保険料が高騰するというジレンマがあります。

 

介護現場では03年06年の介護報酬マイナス改定によって、労働条件が大きく引き下げられました。賃金は全産業平均より1カ月当たり10万円低く、若い人たちが定着しません。 国は14年の改定で「介護予防・日常生活支援総合事業」を創設しました。これは、軽度者を介護保険から外し自助努力を求め、これまで介護保険給付で行ってきた生活支援サービスを住民の互助に置き換えようとする意図がありました。

本市は国にならって、総合事業の担い手として生活支援サポーターを養成していますが、思ったように市民が参画せず、講座を修了しても総合事業の仕事に就かない状況が続いています。これは尼崎市に限った傾向ではなく、どの自治体でもうまくいっていません。

 

お尋ねします。介護保険の保険設置者として、市民のいのちと暮らしを守る立場にある市長として、介護保険の20年を振り返り、どのような問題点、課題があり、改善するための糸口はどこにあるとお考えですか、お答えください。 

答弁

介護保険は平成12年の制度開始以来、介護を社会全体で支える制度として定着してきましたが、その間、後期高齢者人口は、開始当初のおよそ2.3倍になり、介護保険料の上昇と財政の圧迫、介護人材の不足が、国・自治体にとって大きな問題となり、高齢者人口がピークを迎える2040年頃を見据えると、制度の持続可能性を確保していくことが大きな課題であると認識しています。また、事業所からすると、重度のサービスを担うほど報酬が確保されることとなり、予防的な取組や、利用者の残存能力を大切にしたサービス提供のインセンティブが働きにくいという点も、難しい課題だと思います。こうした中、国の社会保障審議会では、介護保険制度の改革のイメージとして、「介護予防・地域づくりの推進」、「地域包括ケアシステムの推進」、「介護現場の革新」を掲げて議論を進めており、本市におきましても、介護予防や地域づくり、地域包括ケアシステムの推進など必要な取組について、高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の下、地域住民や関係機関、関係団体が一体となって重点的に取り組むことにより、解決の糸口を見出していきたいと考えております。以上

 

以上で第1問を終わります。

 

第2登壇

 ご答弁ありがとうございました。

 PCR検査につきましては、

 変異株が増え、神戸では陽性者の半数にのぼるとの発表もあります。また兵庫、大阪、京都の関西3府県は、無症状のコロナ感染者を把握するためにモニタリング検査が始まり、街頭ででPCR検査キットを配布しているとも報道されています。本市も無症状の感染者の把握保護のために積極的な攻めの検査が必要です。

 

 ワクチン接種についてですが、

 今回の新型コロナウイルスのワクチンは遺伝子組み換えを使ってのワクチンで、これまで人体に摂取されたことがないタイプであると言われています。そのため、安心安全なワクチン接種を行うための体制整備が欠かせないわけです。

 

 保健所についてですが、

 今回のコロナ感染対策で和歌山県が特質しています。和歌山県はこれまで保健所の統廃合が行わていませんでした。昨年春の日本で最初の病院クラスターが発生は和歌山県でしたが、その後はあまり発生しておらず、保健所を統廃合しなかったためと言われています。その様な点からも、保健所の体制整備が求められているわけです。

 

 市立病院についてですが、

 本市は市立病院を持たない、県下でも珍しい自治体です。過去の経過の中で持たなくて来たわけですが、今回の危機を経験して、市立病院を持っていない自治体の弱点が露呈されたました。確かに全国では公立病院削減の方向で進んでおり、その流れに逆らうことになりますが、市民のいのちを守る点から、本市も地域医療の中核となれるようにしていかなければなりません。

 

 事業者への支援については、

 本市は様々な対策を講じられていますが、今こそ中小事業者への減収補に対応する施策が求められるわけです。

 

 東京オリンピック・パラリンピックについてですが、

 3月3日のイギリスのタイムス電子版では、「中止するときが来た」と報じています。

また共同通信社の世論調査では中止すべきだが35%、再延期すべきだが45%と8割の方が開催に反対していることを付け加えておきます。

 

 財源問題についてですが、

 昨年夏に、自治体問題研究所が政令市、中核市の財政担当課へのアンケート調査結果では、本市の主要基金残高は中核市の中で少ないわけではないことが示されています。

 

 介護保険については、

 この問題の根本は制度の設計にあり、国による制度の再検討が求められていると思います。

 

 それでは第2問に入ります、

 

生活保護制度についてお聞きします。

 

 憲法25条は、「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と明記しており、それを具現化している生活保護法の第1条は、「憲法25条の規定する理念に基づき、国が生活に困窮する国民に対し、必要な保護を行う」と無差別平等の原理、必要即応の原則の下で、健康で文化的な生活を営む権利を具体化しています。

コロナ禍の影響で失業者・生活困窮者が増え続ける中で、生活保護の役割が問われています。現在、生活保護は必要な世帯の2割しか利用できていないと言われています。

 東京の生活困窮者を支援する「つくろう東京ファンド」が年末年始に行った調査では、生活が苦しいが生活保護を利用したくないと答えた人のうち、3人に1人が「家族に知られるのが嫌」と回答しています。そして同団体は「生活困窮者を生活保護制度から遠ざける不要で有害な扶養照会をやめてください」と求めています。

この問題を先月、参院予算委員会で共産党の小池晃議員が取り上げたことにたいし、田村厚生労働大臣は「扶養照会は法律事項でなく、義務でない」と答え、菅首相は「生活保護は国民の権利だ」と改めて答弁。これを受けて厚生労働省は改善の通知を出しています。

 

お尋ねします。本市でも生活保護申請時の扶養照会をやめ、そして市長は改めて「生活保護は権利である」と宣言すべきと考えますが見解をお聞かせください

答弁

扶養義務者への扶養照会については、一律に実施しているものではなく、生活保護の実施要領に基づき、扶養義務者の状況やその関係性などについて、申請者から丁寧に聞き取る中で、金銭的援助や日常生活上の支援が期待できると判断される場合に実施しています。そのため、扶養義務者が、申請者に対してDV等の経緯のある者や長期間交流が途絶えている者などの場合は、支援が期待できないと判断し、扶養照会を行わず、居所の確認のみにとどめています。今般、厚生労働省からは、改めて扶養照会の取り扱いを明確化した通知が出されており、その内容も踏まえ、引き続き、適切に対応してまいります。なお、生活保護法は、憲法第25条に規定する理念に基づき、困窮する国民に対し最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的としており、また、国においても、「生活保護の申請は国民の権利」と示されているところであり、私も同様に認識しています。以上

 

次に、国民健康保険制度です。

国民健康保険は市民の5人に1人が加入しています。保険料は民間で働くサラリーマンが加入する協会けんぽと比較して、40歳未満・年収400万円の夫婦と子どもが2人の場合国保は約41万円、協会けんぽで20万2千円、年収240万円の単身高齢者で国保は24万円、協会けんぽは14万円という状況です。所得は同じなのに保険料負担は、ほぼ倍の違いがあり、高すぎる国保料を引き下げて欲しい、払える国保料にして欲しいと願う市民の声が常にあるのは当然と言えます。

 尼崎市は全国市長会を通じて、国庫負担率の引き上げを要望しています。また、全国知事会は、国保を安定的に運営していくには国費を更に1兆円投入し、せめて協会けんぽ並みの国保料にすることを強く求めていますが、国はそれに応えようとしていません。

 

 本市は、これまで一般会計から国保料の引き上げを抑えるための繰り入れをしてきました。しかし、国保が広域化されると同時に法定外減免以外の繰り入れ4億円を止めました。協会けんぽとの比較で大きな差があるわけで、国が国保への負担金を増額するまで、市の責任で国保加入者の負担を軽減し、国民皆保険の精神を具現化すべきではありませんか。

また、負担能力のない子どもにまで負担を負わせる均等割は、国保だけにある制度です。全国知事会は国に対して子どもの均等割撤廃を求めており、国は、就学前までの5割減免を2022年から実施するとしています。

尼崎の均等割は現在一人当たり年3万5千円、18歳までの子どもの国保加入者は8千人ですから5割減免であれば1億4千万円で実現可能です。国が就学前まで均等割撤廃をすれば、7歳から18歳までの国保加入者は5,440人、5割減免は1億円で実現できます。

 

お尋ねします。市民負担を軽減し払える国保料にするために、一般会計からの繰り入れを再開すべきと考えますがいかがですか。

また、子どもの均等割減免は子育て支援策にもなります。この子どもの均等割りについて、本市は国に対し、国の責任と負担においての軽減措置等を求めているとのことですが、国保基金29億円を活用して、保険料全体の急激な上昇を抑えるとともに、子どもの均等割減免の財源にも活用すべきではないでしょうかお答えください

答弁

平成29年度まで実施しておりました財政健全化のための一般会計からの4億円の繰入れにつきましては、国民健康保険制度改革以降、国が全国的に解消するよう位置付けている決算補填等を目的とする一般会計からの繰入れに該当することなどから見直したところであり、再開は予定しておりません。子どもの均等割に係る軽減措置につきましては、子育て支援や社会保険との均衡を図るなどの観点から、基金を活用することにより本市独自の減免を実施することも検討しましたが、減免に係る費用が多額になること、一システム改修に多くの時間と経費を要すること、いずれ都道府県単位化に伴う県下の減免制度の統一が図られることにより、短期的な措置となることが見込まれることなどから、結果として実施を見送ることといたしました。さらなる制度の拡充等につきましては、全国市長会や中核市市長会を通じて国への要望を行ってまいります。また、このような検討結果を踏まえる中で、保険料の負担が重くなっている多人数世帯等に係る軽減措置として実施している特別減免につきましては、厳しい財政状況の下ではありますが、一般会計からの繰入れを堅持することとしております。なお、国民健康保険事業基金につきましては、保険料の急激な上昇抑制及び失廃業・所得激減などの一一般的な減免に係る財源として約6億2,700万円を令和3年度当初予算に計上しております。以上

 

子育て支援についてお聞きします。

市長は施策方針で、「本市の最重要課題であるファミリー世帯の動態は、市外への転出が、調査を開始した平成26年から6年連続で減少しているものの、依然として転出超過となっている。住みやすいまちに加え、子どもを育てるまちとしても本市が評価されるよう、引き続き、取り組んでいく必要がある」と述べられています。

 昨年3月に市が行ったアンケートで、市外へ転出のきっかとなった行政サービスは、第1位は、「乳幼児医療等の助成金額や助成期間」が最も高く53.8%、第2位が「保育所・幼稚園等の待機児状況」が41.9%、第3位が「小・中学校の空調や給食等の教育環境」が36.8%と続いています。

 本市のファミリー世帯の市外転出が止まらないのは、子育て施策が他市に比べて劣っているからではないでしょうか。

 

 その1つの乳幼児医療費助成については、ファミリー世帯の負担軽減のために就学前の子どもに対しては所得制限を撤廃しましたが、一部自己負担は残っています。兵庫県内では、ほとんどの自治体が0歳から15歳まで無料または一部負担の軽減等の助成を実施しており、本市は県内で最低レベルにあります。

 子どもの医療費助成制度で、これまで川西市は小学4年から中学3年まで1割の自己負担がありましたが、今年7月から無料にします。

明石市は子育て応援をまちのイメージを前面に出しファミリー世帯の定着・転入を大キャンペーンし、市税収入もV字回復をしています。

本市では、若者や新婚世帯が増加しており、定着につなぐことができれば、明石のような市税増の可能性は十分にあると思います。

市長は日頃から「誰も取り残さない」と言われていますが、尼崎で育つ子どもはすでにとり残されているのではありませんか。

 

お尋ねします。本市のファミリー世帯の市外転出が止まらないのは、子育て施策が他市に比べて劣っているからではないでしょうか。また川西市は今年7月から子どもの医療費を中学卒業まで無料にします。本市の子どもの医療費助成制度が県下最低レベルの現状を市長はどの様にお感じでしょうか、制度改善の決意をお聞かせください

答弁

ファミリー世帯の定住・転入の促進にあたっては、子どもの医療費助成という特定の事業だけで効果を得ることは難しく、教育や子育て支援をはじめ、環境、治安やマナーなど、多角的・総合的に取り組んでいく必要があると考え、これまでも各種の取組を進めてまいりました。そうしたなか、子どもの医療費助成については、限られた財源の中で、持続可能な制度とする観点を踏まえつつ、令和元年7月に、未就学児に係る所得制限を撤廃し、拡充したところです。社会保障費の増加はもとより、中学校給食のランニング費用、待機児童対策、児童相談所設置に向けた取組など、他の子育て支援にも財源が必要であり、ただちに、こども医療費制度をさらに充実させることは難しいと考えておりますが、引き続き、持続可能な制度を前提に、他施策との優先順位を判断しつつ、検討・研究してまいります。(以上)

 

次に待機児対策についてお聞きします。

市長は施策方針で、待機児童対策について、依然として保育士の確保が大きな課題となっているとして、「保育士の就職支援、保育所等の雇用支援、市内で働く保育士への相談支援を行う「(仮称)保育士・保育所支援センター」を設置し、保育の待機児ゼロを目指して、認可保育所の増設、保育士確保制度の充実等に努める」としています。

しかし本市の待機児童数は、全国ワースト5位です。保育士は低賃金、長時間労働により、過酷な労働条件下であり、近隣都市への再就職や辞めるといった状況が続いています。そのために保育園が保育の弾力化受入れも出来ず待機児童がたくさん発生している状況です。

 12月議会の会派議員の「国の配置基準に市独自でも上乗せして保育の質の確保を」と求めた質問に対し、当局は、「例えば1・2歳児を尼崎の1対6の基準を西宮のように1対5に拡大した場合、100人以上の保育士が必要となる。そのために西宮では一般財源から4億円繰り入れしているように、多額の財政が必要であるので、本市は保育士の配置基準の見直しでない方法で進める」と、新卒保育士の一時金、宿舎の借り上げ、奨学金返済の事業を引き続き進めていくとしています。

 

お尋ねします。待機児解消が進まないのは、保育士の低い賃金と長時間労働であることがはっきりしているのに、その解決のため、賃金の引き上げの処遇改善と、本市の国基準による保育士配置の見直しに、踏み出さなかったからではないでしょうか、市長の見解をお聞かせください

答弁

保育士の処遇改善につきましては、これまでから全国市長会や中核市市長会を通じて国への要望を行ってきておりますが、公定価格における基本分単価や処遇改善等加算については、国において一定の改善が図られている状況にあります。このようなことから、市独自の賃金の引き上げによる処遇改善を行う考えはございませんが、今後につきましても、国に対し、保育士の更なる処遇改善を図るよう、要望してまいります。次に、保育士の配置基準につきましては、国基準を上回る市独自の配置基準を設定することにより、多額の財政支出が発生することや、そのことによる保育士の配置増が必要になり待機児童解消に支障をきたすため、現状においては市独自の保育士配置基準の設定は難しいと判断しております。以上

 

 次に子どもの権利に関する予算についてお聞きします。

1994年日本が批准した国連子どもの権利条約には「子どもを、人権をもつ独立した人格として尊重するとともに、その成長・発達に必要なものが保障されなければならず、子どもに関わるすべてのことについて「子どもの最善の利益」が考慮されなければならない」となっています。尼崎市子どもの育ち支援条例も「子どもにとっての最善の利益を考える」ことが理念としています。

 新型コロナを経験し、子どもの置かれている状況はさらに多様化、深刻化しています。それに対応するため、一昨年、子どもの育ち支援センターいくしあが開設され、来年度は子どものための権利擁護委員会が発足、また県が尼崎に児童相談所を設置します。

ある不登校の子どもを抱えるお母さんは、「義務教育を離れたら、とたんに行政とのつながりがなくなり、子どもの時期とされる18歳までの3年間は支援の空白になりかねない」と心配されています。また障害のある子、外国籍の子が気軽に利用できるユース交流センターへの充実も求められます。

また子どもの育ち支援センターやユース交流センターがある「ひと咲きプラザ」は市内北東に偏在し、すべての市民が等しく利用できるよう工夫も必要です。

 

お尋ねします。これまで子どもの育ち支援センターやユース交流センターが発足し、新年度に権利擁護委員会や児童相談所が設置されますが、最善の利益を、すべての子どもが等しく享受できるようするためのさらなる連携と改善が求められますが市長の決意をお聞かせください

答弁

子どもの育ち支援センター「いくしあ」とユース交流センターがある「あまがさき・ひと咲ぎプラザ」内に、令和3年度から、新たに「尼崎市子どものための権利擁護委員会」の開設を予定しております。また、急増する児童虐待相談に迅速に対応するため、兵庫県が尼崎市のみを所管区域とする児童相談所も同じ敷地内に設置されることから、今まで以上に支援に必要な情報の集約が図られ、精度の高い見立てと迅速な対応が可能となるなど、本市の子ども・青少年の育ちを支援する機能の面でも連携強化が図れるものと考えております。先般の本会議で改正にご賛同いただきました「尼崎市子どもの育ち支援条例」においては、子どもを権利の主体として改めて位置付けたところであり、市域全てのあらゆる子どもに対する最善の利益のため、他の関係機関とも相互連携を図りながら、より一層充実した支援をめざしてまいります。以上

 

 学校教育についてお聞きします・

市長は施策方針で、「新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、昨年は学校が一斉休校となり、子どもたちの生活や学習にも大きな影響を及ぼし、一方で、教育におけるICT活用が加速し、環境の整備が前倒しで進められている。国が推進するGIGAスクール構想により、1人1台端末がスタンダードとなり、これからは、どのような状況にあっても、子どもたちにハンデを負わせることがないようにICT環境を整備するとともに、学習内容の充実を図っていく必要がある」と述べられています。

私は、個々の子どもに合った学習を保障することは大切であると思います。しかし、教科の学習はすべて、パソコンやタブレットを使って「個別最適化」すればいいとなるのは問題です。集団的な学びがおろそかにされ、教育の画一化につながる恐れがあるためです。

 松本教育長は、週刊教育の雑誌の中で「集団かつ対面で学ぶ場である学校の大きな意義は、仲間との学び合いを通じた子ども自身の生活の張り合いや、モチベーションの向上、さらには多様な仲間と触れ合うことを通じた助け合い、人権感覚の涵養等を学ぶこと」と話されています。

 この様に、ICT化を通じて、一人ひとりの子どもが対話する力を身につけたり、対話を通じた学びを教職員が評価することは、子どもと教師が40対1では非常に困難です。

 国会で、共産党の畑野君枝議員は「ICT化で今以上にきめ細かな指導が求められる。少人数学級が絶対に必要だ」との質問し、萩生田文部科学大臣は、「学校教育は人がぬくもりをもって子どもたちに接することが大切。少人数学級実現を頑張りたい」と答弁されています。

 

そこでお尋ねします。現場の自主性を尊重しながらICTを活用し、社会に出たときに人と関わりながら生きる力を子どもひとりひとりが学校という集団の中で育む環境づくりになにが必要だと思われますか。そのような立場で、過度にギガスクールに依存しないで、少人数学級の推進を進めるべきであると考えましが、見解をお聞かせください

答弁

GIGAスクール構想の推進により、子供たち一人ひとりの個別最適な学びが充実するほか、ICT機器を活用して主体的に様々な情報を収集・整理・分析し、その結果をグループ内で協働学習することで情報活用能力や課題解決力を身に付けることができます。学校においては、これまでの教師による対面指導や子供同士による学び合い、多様な体験活動も重要視しつつ、ICTを活用しながら協働的な学びをさらに充実させ、多様な他者とともに問題発見・解決に挑む資質・能力を育成する学習環境の充実が必要であり、ご指摘の少人数学級の実現もその重要な要素の一つであると認識いたしております。人数学級については、国の制度変更に伴い、兵庫県においても、令和6年度から小学5年生、令和7年度から小学6年生に35人学級編制が導入される予定であり、本市としてはこれを見据え、ICTの活用と少人数によるきめ細かな指導体制を効果的に融合した教育内容の充実に努める中、個別最適な学びと、協働的な学びの実現に努めてまいります。以上

 

公共施設マネジメント並びに市営住宅建て替え計画についてです。

公共施設マネジメント計画では、公共施設を2048年までに30%以上削減することを目標としています。市営住宅建で替え計画については当面15%の削減で計画を進めています。

市は、これまで市民からの意見を取りまとめてすすめるため、市民会議やタウンミーティング、シンポジウム、出前講座などが開催され、広く声を聴取したと言いますが、しかしその実態は国の指針に基づき、将来の人口減に備えるとか、市の財源との兼ね合いから費用対効果が優先された説明で、市民の利便性や使い勝手などの市民の声を十分に聴取して進められているは感じられません。

また説明会では、地域の在り方について、どのような施設が必要か、市民的な議論が十分にされないまま、建物の設計図面を示して説明することで、地域住民の意見を聞いたとされています。

例えば、武庫ふれあい体育館の建設については、説明会が繰り返し開かれてきましたが、利便性や使い勝手を求める、老人福祉センター福喜園の利用者の声があまり取り入れられていません。

また立花南生涯学習プラザと大西保育所の建てかえについても、計画策定段階から地域住民の意見を聞くことをせず、建設が進められているとの声も聞かれます。

12月議会での私の住民アンケートに基づく市営住宅の建て替えに対する入居者の生活環境へ配慮を求める声に対しても、計画を見直そうとはされていません。

 

そこでお尋ねします。公共施設マネジメント計画、市営住宅建で替え計画は、本市の考え方を説明の上、削減目標がありきではなく、市民の意見を十分に聴取を行い、再検討が必要な所があれば、思い切って見直すことが必要ではないかと考えますが、見解をお聞かせください。

答弁

市営住宅の建替えを含めた公共施設マネジメントの取組については、厳しい財政状況などを踏まえ、将来の世代に過度な負担を強いることなく、持続可能な財政運営を図ることを目指すための取組であり、公共施設の総量圧縮の取組は避けては通ることはできないものであると考えています。そうした中で、各計画では、耐震性といった施設の安全面における課題など、各施設の置かれている状況をお示しし、今後の取組内容や着手時期を明らかにしたうえで、着実に取組を進めていくこととしています。こうした取組を進めるにあたっては、アンケート調査やタウンミーティング、説明会など、施設の特性に応じた様々な手法により、市民の皆様から丁寧に意見をお伺いしながら進めていくこととしています。今後につきましても、丁寧な説明を通じて、頂いた意見や要望に対して、知恵と工夫を重ねる中で、反映できるものは、取組に反映する一方で、対応が困難なものについては、その理由を明らかにしながら、ご理解を深められるように努め、公共施設マネジメントの取組を円滑に推進できるよう努力してまいります。以上

 

行政のデジタル化についてお聞きします。

国は、新型コロナ後の社会を見据えてとして、急いでデジタル庁を設置など行政のデジタル化を一気に進めようとしています。

総務省が昨年12月に策定した「自治体DX(デジタル・トランスフォーメンション)推進計画」では、国が自治体の取り組みを支援するとしています。

そこにはデジタル技術やデータを活用しで住民の利便性を向上させるとともに、AI等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サーピスの更なる向上に繋げていく 、そのための自治体の重点取り組み事項として、自治体の情報システムの標準化・共通化、マイナンバーカードの普及促進、自治体の行政手続のオンライン化、自治体のAI・RPAの利用推進、テレワークの推進、セキュリティ対策の徹底があげられています。

2月17日の衆院予算委員会で立憲民主党の長妻昭副代表は、日本年金機構から業者を通じてマイナンバーなどの個人情報が中国に流出した可能性があると指摘し、日本年金機構の通報窓口に来たメールを入手したと明らかにし、事実関係を質問しました。この様にデジタル化は個人情報漏洩の危険性をはらみながら進められています。

 

本市では2015年に業務執行体制のあり方について、「更なるアウトソーシングの導入に向けてた基本的方向性」を策定し、すべての事務事業について、効果的な執行体制の検討、実施が行われてきました。先日発表された「業務見直しガイドライン」では、原則としてICT化への移行を前提とした上で、アウトソーシングの再検討を行うとしています。そこでは、コンサルティング事業者(COO補佐)が大きな役割を果たすようになっています。

このガイドラインの業務の見直しでは、まず業務の総量を削減するため、適宜COO補佐からの助言を受けながら事業の廃止及び業務の見直しを検討するとなっています。

そしてこのガイドラインに基づいて、「行政手続きのオンライン化」や「ICTを活用した庁内業務の効率化」をよりスピード感をもって取り組みを進めるため「行政手続等デジタル化推進計画」を策定し、情報政策課、行政管理課及び各所管課が一体となって取り組む。そのための新年度予算に、行政手続きオンライン化事業やテレワーク関係事業、情報システムのクラウド化などの予算が計上されています。

 

そこでお尋ねします。この「業務見直しガイドライン」は何を目的にして策定されたのでしょうか、またコンサルティング事業者(COO補佐)に、どのような役割を求めているのでしょうか。

また国のデジタル化構想は、個人情報の情報漏洩の問題が置き去りにされている、社会保障切り捨てのための情報収集になる、監視社会を強めるものになるなどと危惧されていますが、市長の見解をお聞かせください

答弁

これまで本市におきましては、長年にわたりアウトソーシングの取組を進めてまいりましたが、業務ノウハウの確保をはじめとする各種のリスク管理がまだ十分ではないと認識しております。そのため、アウトソーシングに係るPDCAを効果的に行い、アウトソーシング導入時だけではなく、導入後のモニタリングや評価等についても全庁統一的な視点を持って取組を進めていくための一環として、このたび「尼崎市業務見直しガイドライン」を策定したものでございます。また、COO補佐には、アウトソーシング導入済業務に係る評価や行政手続のオンライン化に係る方向性等を決定するCOO最高外部委託責任者である私の意思決定を支援するための資料作成や助言を行っていただきます。一方、自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進計画などの国のデジタル化構想は、生活者の利便性の向上や行政運営の効率化を目指すものであり、ご指摘のような社会保障の切り捨てや監視社会を強めることを目的としておらず、個人情報等の漏えいがないよう万全のセキュリティ対策を講じることで、さらにその効果を高めるものであると認識しております。ただし、リスクを完全にゼロにすることは難しいことから、許容できるリスクについての丁寧な合意形成プロセスや、そのリスクを上回る利便性、政策的合理性の確保が合わせて求められるものと認識しております。本市におきましては、このような認識のもと、行政手続等デジタル化推進計画に基づき、市民サービスの向上に努めてまいります。

 

以上で第2問を終わります。

 

第3登壇

 

 第3問は、指摘にとどめておきます。

 昨年、尼崎の生活保護世帯はほとんど増えていません。生活の困窮に陥っても、これまでコロナ対策のための様々な制度を活用されて切り抜けられている事と考えられますが、今後、新型コロナ支援の期限が終了すれば、増加が予想されます。必要な方が申請をためらうことがないように配慮すべきです。

 

 国民健康保険制度については、

 国保の基金は、広域化に際して、これまで繰り越しされてきた基金であるわけです。市民の払い過ぎた保険料の蓄積と言えます。計画的に取り崩して、保険料の軽減等に活用すべきです。

 

 ファミリー世帯の転出超過が続いています。市長は優良な住宅建設を進める中で、転入を増やしてて、転出超過を改善するとのことです。また転出のきっかけは多様であるとも言われましたが、アンケートの結果からは、最も多いきっかけは乳幼児医療費等助成制度であるわけで、その点に率直に目を向けるべきではないでしょうか。

 

 保育所の待機児童解消については、

保育士の処遇改善が必要なことは、市長と見解が同じであると思いますが、改善の仕方が違うわけです。保育士の賃金引き上げと、長時間労働改善に目を向けることなくして改善ができないと思います。

 

 子どもの権利を保障する取り組みは、本市の努力で前進してきましたが、さらなる改善が求められます。

 

 

少人数学級についてですが、

政府は、小学校の学級編成標準(現在40人、小1のみ35人)を5年間かけて35人に引き下げることにしました。小学校全学年の学級規模の一律引き下げは40年ぶりです。長い間、多くの国民が少人数学級を求めてきました。そしてコロナ禍のもとで、子どもたちに手厚い教育を、感染症に強い学校をと、今までにない多くの人々が声をあげました。全国知事会をはじめとする地方自治体、数百の地方議会、校長会や教育委員会の全国団体も少人数学級を求めました。全国各地で教職員、保護者、市民が多彩な取り組みを重ね、国民みんなでつくりだした重要な前進です。同時に「小学校だけ、35人を5年かけて」というだけでは、不十分であると思っています。

 

公共施設マネジメント並びに市営住宅建て替え計画についてですが、

 市長は、日頃から政策や条例の立案過程において、市民などの市政の参加機会を拡大するとともに、行政としての説明責任を果たし、透明で開かれた市政運営を目指していく。そして案件によってはアンケートやタウンミーティング、市民との意見交換の場を設けていると言われていますが、公共施設マネジメントや市営住宅建て替え計画では、大きな意見の相違が出てくる場合があります。その点では、計画の期限を決めるのではなく、十分に話し合うことが必要ではないでしょうか。

 

 業務執行体制の見直しについてですが、

 今回公表された「業務見直しガイドライン」では、生産性向上に向けた問題点と表現され、無駄な業務、過剰品質のなどとして、時間管理意識の徹底をはかると明記されています。まさに大手企業の生産性向上のための合理化計画を想起させるものとなっています。

この様な考え方は、市民の安心安全を図ることが目的の自治体に取り入れることには問題があると思っています。

 

 菅政権が推進するデジタル化は、国と自治体のシステムを統一・標準化そしてマイナンバーカードを普及させることになります。マイナンバーカードは来年度から健康保険証として利用できるようになり、強制となっていく危険があります。そうなれば国民の所得や資産、医療、教育などの個人情報が政府に集中することになり、国による個人の管理が進みかねません。

 以上で、私のすべての代表質疑を終わります。残余の質疑は、会派議員が予算特別委員会分科会、総括質疑で行います。ご清聴ありがとうございました。