2019.12月議会・松沢千鶴議員の一般質問の発言と当局答弁概要です

第1登壇

日本共産党議員団の松沢ちづるです。

まず、市民課窓口業務の民間委託についてお聞きします。 先月大阪八尾市で、市民課窓口業務を本市と同様委託しているパソナの社員が2年半にわたって公金1400万円着服していたことが発覚しました。また、2017年1月には大正区でも公金450万円着服が発覚しています。「尼崎市は大丈夫か」と誰もが思うところですが、担当課にお聞きしたところ「毎日複数の目で監視し複数でレシートやレジ内蔵のジャーナルというデータをチェックしているので不正はありえない」とのことです。

Q おたずねします。そもそも公金を扱うということについて、市は倫理的にどのように捉えているのですか。

答弁

改めて申し上げるまでもなく、公金は市民から託された大切な財産であり、高い倫理観の下で、法令等に基づき厳正かつ適切に取り扱う必要があることから、業務遂行に当たっては、常に問題意識を持って取り組むことが重要であると認識しております。そのため、本市におきましては、議員からもご紹介がありましたように、毎日、各種申請書とレシートの控えであるジャーナルとの突合をはじめ、複数の目で複数の点検、確認作業を行うとともに、仮に収納金額に過誤が判明した場合でも速やかに対応できる業務手順の下で、公金の適正管理に取り組んでいるところでございます。以上

次は障がい者の住宅問題です。

ここ1年ほど、車いすでひとり暮らしのAさんから、住まいについての相談をお受けしています。昨年の6月に発生した大坂北部地震で住んでいる文化住宅が破損、その後雨漏りが常習となり、今は壁がいつ崩れてもおかしくない状態になっています。しかし、大家は直そうとしません。大家に対し借家人の権利を主張すれば、修繕や、やむを得ず引っ越しする場合は引っ越し費用も請求できることを伝えましたが、Aさんは行動しませんでした。住み替える住宅の当てが全くなかったからです。Aさんは以前からずっと県営住宅や市営住宅を申し込みされていますが、当選しません。11月に今年2回目の市営住宅申し込みがありましたが、単身障がい者向けは1戸のみ倍率9倍でした。昨年は4倍、一昨年は12.5倍と圧倒的に足りません。並行して民間住宅も探しておられますが、玄関へ行きつくまでにも段差が数々あり、住宅探しの入り口からバリアがあります。Aさんは「尼崎市はなんて障害者に冷たい街だろう」と嘆いています。私は、行政がAさんのこの声にどのように応えられるのか質問していきます。まず、市営住宅についてお聞きします。

Q 尼崎市は、今、市営住宅建替等基本計画にもとづいて住宅施策を進めています。また、障害福祉計画・障害者計画にもとづいて障害者支援施策を進めています。それぞれに市営住宅による障がい者の住宅保障の観点はありますか。

答弁

市営住宅建替等基本計画では、老朽化の進む市営住宅の居住性や安全性の向上、バリアフリー化などの課題を解決するため、建替と耐震改修による耐震化の推進、エレベーター設置の推進などを図ることとしており、住戸内においても手すりを設けたり、床面に段差を設けないなどバリアフリー化を図っております。加えて、既存、新築にかかわらず、入居後の身体の状況に応じて、住戸内に必要な手すりを設けたり、既存住宅での段差を解消することなども可能にしております。こうしたことは、障害者だけでなく、高齢者などにも住みやすい環境づくりとなっております。以上

答弁

現行の第3期尼崎市障害者計画では、基本施策5「生活環境、移動・交通」の「生活環境」に関する施策において、入居者募集時の障害者優先枠の確保や、バリアフリー化の対応、エレベーターの設置などを掲げており、所管部局において、その取組を進めています。以上

 次に、民間賃貸住宅についてです。

国は2017年「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」いわゆる住宅セーフテイネット法を改正しました。背景として、若者・子育て世代・障害者・高齢者などの貧困の表れとして住宅が確保しにくいことが社会問題になってきたからです。兵庫県は法改正にともなって「賃貸住宅供給促進計画」をつくり、尼崎市も要綱により入居を断らない賃貸住宅事業登録制度を始めました。

Q おたずねします。制度をはじめて2年目ですが、何件の登録がありますか。

答弁

新たな住宅セーフティネット制度における、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅につきましては、今年6月に1件登録がございました。他にも、問い合わせはあるものの、床面積や耐震性を有するなど、一定の要件が必要であり、登録には至っておりません。以上

 これで1問目を終わります。2問目は1問1答で行います。

第2登壇

 八尾市は、契約違反により委託業者を2カ月の入札参加停止の措置としたようです。尼崎だったらどうなるのかを確認したところ、入札参加停止等の措置に関する要綱に基づいて3か月の入札参加停止になるそうです。また、今回の事件は県外で起きたことなので、これによる業者へのペナルティは発生しないとのことでした。しかし大正区、八尾市の事件を時系列で見てみると、発覚したのは大正区が2017年1月ですが、その時すでに八尾市では不正着服が水面下で行われていました。社員の入れ替わりが激しい人材派遣の民間企業で、どれだけ社員の倫理教育ができるのかは甚だ疑わしいです。八尾市は今後刑事告発を考えているようです。有罪判決が下りた場合、尼崎市はどうするのでしょうか。

Q おたずねします。県外ですが2度に渡って公金の不正着服事件が起きたことは重大です。社会的信用の失墜行為に対し、市としてもパソナにペナルティを課すべきはないですか。

答弁

本市の市民課窓口業務委託においては、適正に業務が履行されており、また、他県で発生した事件であるため、本市の入札参加停止等の適用対象とはならないことから、パソナに対して、ペナルティを課す考えはございません。しかしながら、議員ご指摘のとおり、他市とは言え、2度に渡って公金の不正着服事件が発生し、かつ不正行為が長期間に及んでいたことは、市民の行政に対する信頼を著しく損ねる重大な事象であると認識しております。本市では、今回の事件発生を真摯に受け止め、今後とも、職員並びに事業者の従業員が、公金取扱業務に必要な高い倫理観を共有するとともに、業務手順等についても、適宜、点検等を行いながら、引き続き、適正な業務の推進に取り組んでまいります。以上

 

偽装請負そして公金着服の危険性などリスクの高い窓口業務民間委託は見直すべきだと改めて要望しておきます。

次に障がい者の住宅問題について質問を続けます。

Q 市営住宅建替等基本計画では2035年までに住宅の質は良くするけれど、15%・1632戸住宅は減らすとなっています。今でも市営住宅の倍率は高くなかなか入居できないのに、戸数を減らせば住宅確保に困難な障がい者や高齢者などは救われないと思いますがいかがですか。

答弁

市営住宅建替等基本計画では、障害者だけでなく高齢者などにも住みやすい環境づくりとして、建替えや既存住宅へのエレベーターの設置などにより、バリアフリー化を図ることとしております。こうした建替えなどにより、計画期間終了後の管理戸数は1,632戸削減する見込みですが、新たにエレベーターを設置する住戸数は1,794戸増える見込みでございます。これにより、これまでは階段しかなく車椅子では使用できなかった2階以上の住戸も、障害者や高齢者などにも使用していただきやすい住戸へと変わるものと考えております。以上

  過去にわが会派の真崎議員の質問に対し、市として住宅セーフテイネット制度を前に進める「居住支援協議会はつくるつもりはない」と答弁されています。これでは事業者に登録を呼びかけたところで一向に前進しません。住宅セーフテイネット法では、賃貸住宅供給促進計画は都道府県で作成、さらに市町村単位でも作成し、公的賃貸住宅の供給促進と民間賃貸住宅の円滑な入居促進を行うよう求めています。

Q 市として賃貸住宅供給促進計画を作成し居住支援協議会を位置付け、障がい者や高齢者など住宅確保が困難な市民への住宅政策を進めるべきではありませんか。

答弁

市町村において賃貸住宅供給促進計画を作成することで、住宅確保要配慮者の追加や登録基準の一部の変更が可能となります。兵庫県が作成している計画では、すでに住宅確保要配慮者の追加がなされており、本市独自の基準などの設定は必要ないと判断したため、市独自の計画の作成は考えておりません。また、「居住支援協議会」の役割を担う「ひょうご住まいづくり協議会」に本市も立ち上げ時から参画し、関係団体と連携して必要な取組を行っておりますが、さらなる取組を進めるため、今年度、まずは市内の民間賃貸住宅の所有者にアンケートを行うことで実情を調査し、課題を分析してまいります。そのうえで、さらに必要な取組について福祉部局と連携Lながら検討を進め、現在改定中の住宅マスタープランに必要に応じ反映してまいります。(以上)

 最後に、ぜひ市長にお答えいただきたいです。

Aさんは50歳を過ぎてから難病のため足の筋力が低下し、松葉杖歩行からすぐに車イス生活へと状態が急変した方です。それまで正社員で働き、わずかですが厚生年金と貯金もあります。月6万円程度の家賃は払える方です。健常者ならば家賃6万円の賃貸住宅はいくらでもあります。しかしAさんが車イス生活だから安全な住居が確保できないのです。これはまさに、人権問題だと思います。

Q おたずねします。障害者計画を作成する時だけ庁内推進会議を設けてもダメです。  市長がリーダーシップを発揮して、「住まいは人権」の立場から、福祉サービス等と連携した住宅確保が困難な人たちへの居住支援の促進を進める庁内連絡会議体制を作っていただきたいと要望しますがいかがですか。

答弁

福祉サービス等と連携した居住支援の促進につきましては、住宅確保要配慮者それぞれの状況に応じ、民間賃貸住宅の入居に向けた相談に加え、入居後の見守り、生活面の支援など、幅広い居住支援が必要であると考えております。福祉部門をはじめ関係部署において、すでに個別の取組を進めているところですが、それぞれの部署が把握している住まいに関する実態や課題などの情報の共有が十分にはできていないため、まずは様々な機会を通じて、関係部署が連携を密にして情報共有に努め、必要な取組を行ってまいりたいと考えております。以上

 

 これで全ての質問を終わります。