2019.9月議会・決算委員会・小村潤議員の総括質疑の質問要旨と当局答弁概要です

市民意見聴取プロセスについて

市民意見聴取プロセスは2012年より施行され、これまで様々な市の施策において市民意見聴取が実施されてきました。最近では、公共施設ファシリティマネジメント計画や武庫分区雨水貯留管整備事業等に対する市民意見を聴取する方法やプロセスといった、現在の取り組みに課題があると感じたところですので、質問していきます。

先日の総務分科会では、「市民意見聴取プロセスの制度をより効果的に使っていくにはどのように進めていけばいいかということを今取り組んでいる」と答弁されています。

Q 総務分科会において説明された、今年6月の市民意見聴取プロセス実施要項の改正要旨を教えてください。またどんな問題意識をもって改正したのですか?

答弁

市民意見聴取プロセス制度とは、政策や条例の立案過程において、市民等の市政の参加機会を拡大するとともに、行政としての説明責任を果たすことにより、透明で開かれた市政運営を目指していくため実施している制度であり、政策形成の「熟度の低い段階」からアンケートやタウンミーティングなどによって市民の皆様からご意見をお伺いするものです。そのような中、今回の制度改正の目的としては、一点目として、「熟度の低い段階では政策の概要や具体的なイメージが湧きにくいことから、結果的に市民の皆様が意見を出し難い。」といったことや、二点目として「法令等で市民意見聴取が義務付けられているものについては、本市の市民意見聴取プロセスとの事務の重複がある。」といった課題がございました。このようなことから、一点目については、熟度の低い段階でお示しする公表資料について、政策の目的や意見を聴取するポイントを追加するなど、様式を改訂したところでございます。一方、二点目の事務が重複しているといった課題については、別途、法令に基づいた市民意見聴取が行われる案件を市民意見聴取プロセス制度の対象外とするなど、それぞれ見直しを図ったものでございます。以上

(小村)「今年6月の改正では、ステップ1と呼ばれる一番初めに市民に示される様式がわかりにくかったので、わかりやすく細かく示し、当該計画の目的をわかりやすく」したとのことです。

ステップ1というのは、いわば市民にとっては水面下の施策立案段階、ステップ2はいわゆる「熟度が低い段階」で、無作為に抽出された市民意向調査やタウンミーティング、ワークショップ、HPによる意見募集ということです。パブコメは、それらをふまえて素案が出されたステップ3、政策の形成プロセスで言えば、後半に差し掛かったところになります。市民が「自分たちの意見や考えを市に伝えられる貴重な機会」ととらえている市民意見募集、いわゆるパブリックコメントの周知はまだまだ消極的で、事前に十分な市民意見を集められていない場合もあります。

分科会では、「反対意見についてどう受け止めるか」といった議論もされていました。

答弁では「丁寧に説明を繰り返すことを徹底していく」ことが「この制度がめざしているところ」とのことでした。

つまり本市の姿勢は、市民とともにつくり出すやり方でなく、市の計画を市民が飲み込むまで説明し続ける、ということです。なぜなら、パブコメの段階はもう骨組みができてしまった段階だからです。   

しかし、多くの市民は、この後半のステップ3に入ってようやく情報を知ることになる、というところが注意点なのです。ここに、市と市民の間の時差が生まれているのではないでしょうか。一言に市民意見といっても、その内容は実に多様です。現在の一問一答式のパブリックコメントという方法では、互いの意見は一方通行で、さまざまな市民意見を反映するというより、市に有益あるいは考えの同調する意見を抽出し、反対意見は取り上げられにくいように思えます。結果、市民に「自分たちの意見や考えが聞き届けられていない」という失望感を与えている傾向も否めません。

Q こうした互いに一方通行な市民意見聴取プロセスのあり方でいいのでしょうか。

答弁

平成23年度から実施している市民意見聴取プロセス制度は、それまでの市民意見公募手続き、いわゆるパブリックコメント制度を見直し、政策形成の着手段階からその後のスケジュールを含めた全体情報を明らかにするとともに、パブリックコメントを実施する前段階の政策の熟度の低い段階において、案件によってアンケートやタウンミーティングなどを実施し、市民の皆様との意見交換を通じて、ご意見を聴取する機会を設けているものでございます。議員ご指摘のパブリックコメントの結果につきましては、単に政策の賛否のみを表した意見や公序良俗に反する意見などを除き、原則として、反対意見も含め、すべての意見に市の考え方を付した上で公表しており、いただいた意見の中で反映する必要があると判断したものについてはく政策への反映を行っているところでございます。今後とも、市民の意見がより反映されるような制度となるよう改善に努めてまいります。以上

(小村) また、「熟度の低い段階で市民の意見を聞いている」と言う時、たいていは町会長、連協会長、PTA会長などの自治組織の幹部が対象であることが多く、幅広い多数の市民に情報が行き届くには効果が薄いのではないかと、これまでも随所で指摘してきたところです。

パブリックコメント募集や説明会には期日があるので「いかにすばやく、より多くの市民に情報が行き届くか」は市民意見聴取プロセスの重要な課題であると考えます。

Q 本市が今後、市民に意見を求める際、より多くの市民にすばやく情報を届け、意見を聴取するためにどういった方法を考えていますか?

答弁

市民意見聴取プロセス制度では、熟度の低い段階において、市民の皆様に対して情報提供を行う際に、まず、庁内の政策推進会議に諮った後、市ホームページや市報などで広く周知するとともに、複数の公共施設で資料の公開を行っております。また、情報の発出時期については、市民の皆様が十分にご検討いただけるよう、緊急時を除き、原則として市民意向調査やパブリックコメントを実施する概ね1カ月以上前に情報提供することとしております。なお本制度において、指摘のような特定の方だけに先行して情報提供を行うといったことはございません。以上

(小村) 私は、ステップ2でどれだけ市民と対話が重ねられるか、どれだけ市が柔軟に対応できるか、が重要だと思っています。

他市の素晴らしい取り組みをひとつ、ご紹介しておきます。

静岡県牧之原市では、2005年の市町村合併以降、「市民協働」を市政運営の柱の一つに掲げ、「対話による協働のまちづくり」という取り組みが発展しています。基本理念は、「対話(ダイアローグ)」、そして、スキルとしての「ファシリテーション」とインフラとしての「話しやすい空間づくり」を基本原則にしています。市民協働の取り組みによって、自治基本条例、市民参加条例なども策定しています。そしてファシリテーションを円滑に市民が主体となって運営できるよう「ファシリテーター」の育成にも力を入れています。対話の手法を用い、地域に愛着と誇りを持ち将来地域を担う若者を育成することを目的に、市内の県立高校および近隣都市町へ通う生徒などを対象に「地域リーダー育成プロジェクト」事業を展開しています。

 

Q 本市にも、あらゆる場面で、市民協働の概念を実用的な方法で取り入れていく必要があると考えるが、いかがでしょうか?

答弁

本市におきましては、平成28年度に制定した「尼崎市自治のまちづくり条例」の基本理念において、「情報共有」「参画」「協働」「対話」を定めており、本市のまちづくりを推進するにあたり、対話を重ね、含意に向けて努力を積み重ねることを基本としております。議員ご指摘のとおり、あらゆる場面で、そうした対話による協働を実践する必要性があると考えておりますことから、これまでにも本市では、「総合計画キャラバン」の取組や、自治のまちづくり条例の素案策定過程において、市民の皆様とともにワークショップやタウンミーティングを開催し、ともに学びながら対話を重ね、合意形成に向けて取り組んだ事例もございます。今後も、引き続き、自治のまちづくり条例の理念を実現するための取組を進めてまいります。以上

(小村) 本市では2016年に自治のまちづくり条例が施行され、まちづくりに市民が主体的にかかわることが理念として示されました。しかし、協議会も未実施となり、具体的な取り組みは見えてきません。

Q この「自治のまちづくり」を、理念に終わらせることなく、また市の都合の良い部分にだけ適用するのでなく、あらゆる市政運営において貫き、積極的に市民協働を発展させるべきと思いますが、いかがでしょうか?

答弁

先ほどもこ答弁申し上げたとおり、本市では自治のまちづくり条例の基本理念において、「情報共有」「参画」「協働」「対話」を掲げており、当然のことながらあらゆる施策においてこうした取組を実践し、自治のまちづくりを着実に進めていく考えでございます。以上

あまっ子ステップ・アップ調査事業について

 事業初年度の総括、今後の課題についてはまだ出されていないとのことですが。

Q 調査を受けた子ども達にとって、メリットはなんですか?

答弁

「あまっ子ステップ・アップ調査」は、児童生徒が自分自身のつまずきを把握することができると同時に、自分に合わせた復習プリントに取り組むことで、つまずきを減らすことができます。また、教員も調査結果を分析することで、子どものつまずきや傾向に応じて指導改善をすることができ、個々の子どもたちへのきめ細やかな学習指導につながるものと考えております。以上

(小村) 実施前の説明では、個々のつまづきを把握し、きめ細やかな対策指導ができるとのことでした。しかし、教員に趣旨や事業目的が細かく伝わっておらず、慌ただしい年度末の実施に現場の学校は混乱したと複数の教員から実情を聞いています。復習プリントについても活用が不十分に終わっているところもあり、きめ細やかな対策とは言えない現状です。

教育委員会ではこうした学校の現状を把握しているか、と今年6月の一般質問で川崎議員が質問したところ、「一人ひとりに合わせた復習プリントは、子ども達が興味を持って取り組んでよかった」「結果をまとめた資料がわかりやすく授業改善の参考になった」といった意見が答弁で紹介されましたが、うまくいかなかった現場の声こそ、耳を傾けなければいけないのではないでしょうか。

Q 実施後の学校アンケートでは、課題となる意見は出ていなかったのでしょうか?現場から「混乱した」と聞いている実情についてはどう考えますか?

答弁

調査実施後に行った学校アンケートでは、「事前準備や事後の対応などに時間がかかった」といった意見もいくつかありました。教員にとっても初めで調査であったため、当日の動きを含め、事前・事後のイメージをもちにくかったことが原因のひとつだと考えております。今年度は2回目の調査なので、多くの教員が昨年度の経験を踏まえて調査に臨めることに加え、教育委員会としても現場の教員が混乱することのないスムーズな調査となるように準備をしているところでございます。以上

 

(小村) またこの川崎議員の質問に「現場の負担軽減策として、復習プリント印刷用に、新たにレーザープリンターを整備する」と答弁がありました。

Q このプリンター代は、どの経費に含まれ、どのくらいかかっていますか?

答弁

お尋ねのレーザープリンターは、小・中・高・特別支援各校における教材づくりや各種校務に利用するために使用しているプリンターを、平成30年度3月に更新したものであり、現在、ご指摘の復習プリントの印刷にも活用しております。経費につきましては、学校情報通信ネットワークシステム関係事業費の使用料及び賃借料21,090,462円のうち、約14万4干円を執行したものでございます。以上

(小村) このレーザープリンター代363万円は、あまっ子ステップ・アップ調査事業費とは別の、教育総合センター費、学校情報通信ネットワークシステム関係事業費から出ています。小中高すべての学校に5年リース、363万は学び支援で一括契約した初年度分、とのことです。あまっ子ステップ・アップ調査事業費自体じわじわと増額して3000万を超えている上に、このプリンターは年に一度のあまっ子ステップ・アップ調査の復習プリントを印刷するために用意されている、こんなお金の使い方で果たしていいのか?と思ってしまいます。児童生徒一人ひとりに合わせたつまづきをフォローする復習プリントが出力されるとのことで、現場の先生の手間は本当に大変だと思うのですが、この手間に「じゃあ、いいプリンター買おう、スクサポを加配しよう」という対応がすでに後手後手の対応、あまりに準備不足ではないでしょうか。

あまっ子ステップ・アップ調査は、あくまで本質は研究者へのデータの提供と蓄積、分析が主目的で、個々へのきめ細やかな対策ができるというのは後付けの目的なのではないでしょうか?蓄積データからの分析結果が出てくるのは数年後、現在の子どもたちは、いわば実験台も同様です。定期考査に課題考査、模試、全国学力テストと、すでに学校はテストばかりです。タイトなスケジュールでテスト漬けになる子どもたちや、テストの隙間に授業や行事をこなす業務に追われる学校にとっては、メリットがないと考えます。

Q 実際に現場の学校や子ども達に相当の負担がかかっていることについて、教育委員会はどう考えていますか? 

答弁

「あまっ子ステップ・アップ調査」を実施することにより、子ども達は自分自身の苦手な単元や領域を知ることができます。教員も、調査結果を受けて自身の指導を振り返り、学習指導や授業内容に反映させ、継続的な指導力の向上が可能となります。このような点から、「あまっ子ステップ・アップ調査」は、子どもにとっても教員にとっても、きめ細やかにつながる効果的な取組だと考えております。調査実施に当たっては、教員に過度な負担が生じないよう、問題作成、採点・集計等を業者に委託しているところでございます。以上

(小村)四六時中、学習をすれば学力が上がるというものではありません。子どもにとって遊びの時間や頭を休ませる時間も心身を健全に育むために不可欠です。オン、オフがあってこそ学習が輝いてくるのではないでしょうか。

Q 詰め込みで勉強時間やテストを増やすやり方でなく、指導支援する人員を増やす方にお金を回すべきではないでしょうか?

答弁

児童生徒の学力保障という観点から、過度の負担とならない範囲で勉強時間を確保することは重要と考えております。また、テストは個に応じたきめ細やかな指導や個々の学習の定着状況を把握する上で必要な取組と考えております。合わせて、教育委員会としても、個に応じた指導を行うために、指導支援の人員を確保することは大切であると認識しているところであります。

そのため、今年度から市内全ての小中学校に授業中や放課後学習などのサポートを行う支援員を配置するための予算として、一校当たり96万7500円を確保いたしました。さらに、育ち指導補助員を小学校9校、中学校6校に配置し。授業中における個のサポートも行っているところでございます。以上

 

図書館サービス網関連事業について

生涯学習プラザで公民館から引き続いて実施されている図書館サービス網関連事業について質問します。

Q公民館から継続して置かれた書籍には、かなり古いものもあります。資料として貴重なものもある一方、情報社会となった今、市民に必要とされないものもあると思われます。サービス網の隅々まで、こうした書籍のラインナップや入れ替えがされているでしょうか?

答弁

現在、中央図書館、北図書館の他、生涯学習プラザとユース交流センターの8カ所、合計11箇所で図書館サービス網を展開しております。「市民の誰でも、どこでも、どんな資料でも」利用できるように、また、市内全域にわたって、すべての市民が、質の高い図書サービスを受けることができるようサービス網を整備しております。現在、司書が順次、各施設を巡回し、書籍の入れ替えを行っており、すべての施設で十分に行き届いていない部分もあろうかと思いますが限られた予算の中で、できる限り魅力あるものにするよう努めてまいります。以上

(小村) NHKで「AI分析で、読書を好む人は同時に健康要素に嗜好がつながっており、健康寿命が長い傾向があるという提言がでた」と紹介されていました。取材班は、健康寿命は長いが運動・スポーツ実績は全国最下位という山梨県を検証。すると、山梨県は人口当たりの図書館の数が全国一位なのだそうです。本を探すために自然と歩き回る、本から様々な事をイメージするなどが脳に刺激を与えるのではないか。またある大学教授は「どういう地域に要介護の人が少ないかと分析していた時に、図書館がそばにあると要介護リスクをもった人が少ないという結果が出たことがある」と話していました。このように読書は文化的な教養を身につけるだけでなく、心身の健康を促し、健康で長生きすることにも効果が示されています。また、乳幼児への本の読み聞かせが情緒豊かな心身の育ちには大切であることは周知のとおりです。

Q市民が地域の中で図書に触れる機会を増やし、「だれでも、どこでも、なんでも」という図書館事業の3つの奉仕目標がかなえられる環境を積極的に整えるべきと考えますが、いかがですか?

答弁

現在、市内図書サービス全施設で、オンラインシステムにより貸出・返却・資料検索業務等を行っており、図書をどこででも借りることができ、どこへでも返すことができます。また、図書館では、講座やシネマ上映会など各種事業を展開し、普段、読書を習慣としない人も図書館にお越しいただき、本に触れるきっかけづくりとしています。

議員ご指摘のとおり、読書が健康につながるという研究報告や子どもたちの学力向上にも一定寄与すると認識いたしておりますことから、市民や子どもたちが本に親しむことができる環境を整え、本に触れる機会の創出、環境づくりに努めてまいります。以上

(小村) 本市の市民一人当たりの蔵書冊数はおよそ1.7冊、対して阪神間近隣自治体は西宮市2.2冊、伊丹市3.1冊、猪名川町11.6冊です。また、明石市では子育て施策の充実と共に、図書の貸し出し冊数300万冊を目標に掲げています。子育てや健康長寿とならんで、これからのまちづくりにとって重要な取り組みに位置づけているのです。現在本市は、元公民館と元中央地区会館、元園田地区会館の生涯学習プラザにしか図書コーナーがありません。

 

Qすべての生涯学習プラザで図書コーナーを置き、図書館サービス網による書籍の貸し出しを入れてはどうでしょうか?

答弁

生涯学習プラザにつきましては、各地区2館のうち1館には図書館の配本所機能を有する図書スペースを備えている状況であり、中央図書館、北図書館等をあわせて計11か所で本市の図書サービス網が構築されています。議員ご指摘のような図書機能を備えることは、生涯学習プラザ全館のバランスや本を借りる際の利便性を考慮すると望ましい面もありますが、すでに図書サービス網が一定あり、また、新たに設置をすることによる経費も生じることから、直ちに全生涯学習プラザに設置することは困難ですが、更なる充実については検討してまいります。以上

(小村) 明石市では、車を使った移動図書館も実施しています。生涯学習プラザにスペースがないなら、そういう方法も含めてぜひ努力していただきますようお願いします。