2017.12月議会・広瀬若菜議員の一般質問の発言と答弁概要です

【第1登壇】

日本共産党尼崎市会議員団の広瀬若菜です。今日は中学校給食について質問します。

中学校給食の実施を求める声は、30年も前から根強くありました。2014年に中学校給食の実施が決まりましたが、2011年から実施を求めて始まった署名が47,685筆、議会に提出されました。当時の議事録を読みますと、幼稚園・小学校前では何百筆もの署名が集まっています。

また、中学校給食の実現を願う保護者がひとりで800筆以上の署名を集めたこともわかりました。2014年の陳情採択までには、当時の幼稚園・小学校の保護者の大きな期待と願いが詰まっていると考えます。さらに、採択された陳情には「中学校の完全給食を早期に実施するよう措置されたい」とはっきり書いてあります。11月8日に発表された尼崎市中学校給食基本計画(素案)が、1日も早く安心・安全な給食に応えるものになっているのか、よりより中学校給食が実施できるよう提案する立場で質問します。今回の市の計画では開始時期を2022年6月以降としています。

 

 Q お尋ねします。開始まで5年かかるのはなぜですか。

答弁

先日ご答弁申し上げましたとおり、給食センターの整備・運営にあたりましては、民間企業の資金や技術、ノウハウを活用し、効率的なリスク管理やコスト削減を図ることができることから、官民連携手法の導入を基本に検討を進めることとしております。官民連携手法を導入する場合、いわゆる「PFI法」により実施の手順が定められており、他の自治体における導入事例を見ますと、導入可能性調査から事業者との契約までに約2年、設計・建設に約2年、開業準備に約2か月程度の期間が必要と考えております。こうしたことから、本市での給食開始時期を平成34年6月を目処としてお示ししたものでございます。以上

 

(広瀬)さらに、市は市民説明会を開かず、PTA連合会小学校部会への説明のみを行いました。

Q お尋ねします。市民説明会を開かなかった理由をおしえてください。

答弁

本年3月、保護者や市民の代表者にも参画いただいた中学校給食検討委員会の協議を経て、望ましい中学校給食のあり方に係る検討報告が取りまとめられました。その過程において、検討委員会の会議資料や議事要旨を本市のホームページに掲載し、検討委員会の情報公開に努めてまいりました。また、5月には検討報告書を公表し、1か月間、市民意向調査を実施するとともに、PTA連合会の会合や中学校弁当の保護者試食会などの機会を通じて、児童生徒の保護者に検討委員会報告の内容や中学校給食準備事業の進捗状況等について説明を行ってまいりました。さらに、最も中学校給食に興味関心の高い、小学生の保護者に対して、PTA連合会を通じて基本計画(素案)のご説明をするとともに、一各学校ごとにご説明に伺う旨お伝えしているところでございます。そのほか、市政出前講座では、基本計画(素案)に関する説明等を複数のグループからお申込みいただいているところでございます。このように、中学校給食の実施に向けた取組みに関する情報提供や周知につきましては、これまでも、それぞれの段階で適時適切に実施していると考えておりますことから、市民説明会を開催しなかったものでございます。以上

 

(広瀬)以上で、第1問を終わります。2問目は一問一答で行います。

【第2登壇】

計画が発表されたあとに説明したのはPTA連合会小学校部会だけです。市民説明会を開かなかった理由にはならないと指摘しておきます。

Q お尋ねします。市の計画より早く給食を実施することはできませんか。

答弁

中学校給食につきましては、早期の実現を望む意見が多くあることから、官民連携手法の導入を基本としつつ、実施手順の簡素化などにより、事業者との契約締結までのプロセスについて期間短縮に努めるなど、可能な限り早期に給食が実施できるよう取り組んでまいります。

(広瀬)水曜日の都築議員の質問に対し、PFI方式は財政的な負担が少ないと答弁されています。PFI方式は10億円以上の案件でなければコスト削減の効果が出ないとお聞きしました。今回の計画で示されている4つの調理方式で10億円以上の工事が発生するのはセンター調理方式のみです。だからこそのセンター調理方式の採用に至ったと考えられます。しかし、給食の実施にあと5年もかかることに、市民からは遅すぎるで!と声があがっています。ここで大阪市の例をご紹介します。大阪市では中学校給食を市民の意見をあまり聞かずに2014年からデリバリー方式で実施し、市民から多くの批判を浴びました。子どもたちの評判も悪かったため、2015年にモデル校1校で学校調理方式の中学校給食を開始。毎年複数校に学校調理方式を広げ、2019年までの4年間に市内124校で変更が完了するとてもスピード感のある取り組みをしています。

Q お尋ねします。尼崎でも同様の取り組みはできませんか。

答弁

中学校給食につきましては、早期の実現を望む意見が多くあることから、官民連携手法の導入を基本としつつ、実施手順の簡素化などにより事業者との契約締結までのプロセスについて期間短縮に努めるなど、可能な限り早期に給食が実施できるよう取り組んでまいります。以上

 

安心・安全の点で、昨日都築議員が質問された食中毒と、アレルギー対応があります。

Q お尋ねします。中学校でアレルギー対応が必要になる生徒は何人いますか。

また、栄養教諭の数をおしえてください。

答弁

アレルギーの人数については、今、手持ちにございませんので、後ほどお知らせしたいというふうには思っております。  センター方式と、それから自校方式の栄養士の配置状況につきましては、先日の答弁でもお話しさせていただきましたように、自校方式のほうが多いということがわかっておりますし、センター方式の場合、今回の場合は3名ということになっております。

 

(広瀬) 教育委員会の方に事前に聞いたところ、小学校のアレルギー対応数からおおよそで考えると150人位だということです。栄養教諭は3人なので単純計算で1人が50人のアレルギー食対応をしなくてはいけなくて、大変負担も増えるし安全という意味で懸念されます。

もう1つ、コストの削減をあげておられました。水曜日に都築議員が中学校給食の将来負担に関する質問をされ、市当局は「経費の検討にあたりましては、初期経費から運営経費までのトータルコストを考慮する必要があると考えておりますが、とりわけ、将来の財政負担の軽減といった観点において、安定的に給食を提供するために毎年必要となる運営経費の軽減に着目しなければならないと考えております」と答弁されています。ここで高槻市の取り組みを紹介します。高槻市は市内に中学校が18校あります。尼崎市は17校ですので、規模を見れば大きな差はありません。高槻では給食検討委員会が「食育や品質、安全性に優れ、コストの面でも低く抑えることができる親子調理方式が、総合的に評価すると最も効率的で効果的な実施手法である」と結論づけ2年半の間に市内18校全校で中学校給食を実施しています。ランニングコスト(運営経費)は3億5,000万円。尼崎市のセンター調理方式のランニングコスト6億円と比べても、かなりコストの抑えた運営ができています。

Q お尋ねします。尼崎でも高槻市のような安くて早い考え方を採用できませんか。

答弁

ご紹介のあった高槻市のように、本市で近隣の学校の給食室で調理した給食を配送する方式、いわゆる親子方式により中学校給食を実施するとなれば、小学校の給食室で調理した給食を中学校へ配送することが基本になると想定しております。この場合、小中学校2校分の給食調理を行うため、調理を2回繰り返すことから、調理途中で厨房機器の洗浄作業を行わざるを得ず、衛生管理上のリスクが高まることや、限られた時間内で2校分の調理を完了させるため、小学校の献立内容の見直しが必要になるなど、小学校給食の安全性と質の低下が懸念されます。また、本市の小学校の給食室は、安全・安心な給食を提供するためのドライ化整備工事をほぼ完了しており、新たに中学校分を調理するにあたっては、調理能力を増強させるための厨房機器の増設や入れ替えといった、改修・増築工事が二重投資となるほか、中学校に給食を配送するためのコンテナを保管するスペースを新たに小学校内で確保しなければならないといった課題があります。さらに、他校の給食を調理し、配送する場合、その給食室は建築基準法上、「工場」扱いとなり、用途地域の変更もしくは同法第48条の特例許可を受ける必要があるなどの課題があります。こうした課題を考えますと、「安全・安心な学校給食を提供できること」を重視する本市では、ご指摘の実施方式の採用は困難であると考えております。以上

(広瀬)改修が必要と答弁頂きましたが、大阪市では改修せずに実施しています。尼崎の小学校の調理余裕数といいますか、調理のキャパに対して実際どれくらい調理数があるか資料を頂いたんですが、あと200食300食近く余裕のある学校が結構多いんです。尼崎でも改修せずに実施することが可能だと考えます。あと、答弁でおっしゃった用途変更ですが、わたしの認識が正しければ、検討委員会の資料では、学校の判断で用途変更をせずに実施している自治体もあります。

Q お尋ねします。親子方式と自校調理方式を併用した給食の試算をしたことはありますか。

答弁

高槻市の例を言われておりましたけれども、その前に、給食室をセンター方式から親子方式にした場合に工場扱いにしなければならないというお話があったと思いますけれども、これはやっぱり建築基準法という法にのっとったものでございますから、それはしなくてもいいということは考えておりません。やはり遵守しなければならないものであるというふうに考えております。  そして、高槻市の場合と尼崎市の場合と決定的に違うところは、尼崎市の場合は、一昨日、北村保子議員の御質問にもございましたけれども、小学校の給食室をドライ方式にしてきちんと整備して、おいしい給食を今、提供できているというところでございます。ですから、かなり大きなお金をかけて小学校の給食を整備した、すぐその後に、また今度整備しなければならなくなってくる。それもまた工場扱いという法に触れるようなことも考えなければならないというようなことで、高槻市と尼崎市とは大きな違いがあるのではないかというふうには考えております。

(広瀬)第1登壇で、全校一斉の実施をあげておられます。

Q お尋ねします。全校一斉はどなたが望んでいることですか。

答弁

中学校給食検討委員会の検討報告書のまとめには、「公平性の観点から、学校間で給食の開始時期に差が生じないよう望みます。」と記載されております。また、5月に実施いたしました市民意向調査におきましても、市民の皆様から開始時期の公平性に関するご意見が寄せられているところでございます。教育委員会といたしましても、学校給食法に基づき実施する給食として、公平性を重視し、一斉に給食を提供できる実施方式を採用することが望ましいと判断しております。以上

 

(広瀬)検討委員会の資料を読みますと、確かに公平性を求める意見がありますが、開始時期については、著しく差が生じないようにという意見であり、全校一斉とは書いてありません。確かに、公平性は大事です。でも、市の計画(素案)には、市民意向調査についての記述があります。その中で、市民から、開始時期の公平性について意見があったが、市としては、早期実施を重要と考えたとはっきり書いてあります。市が公平性より早期実施が重要と言っているんです。 これを見ていると、「全校一斉」はどうしても給食センター採用の理由づけに感じてしまいます。給食センターの候補地には、地方公設卸売市場が入っています。総合計画の会派別勉強会で、地方公設卸売市場は今後の運用方針が決まっていないと聞きました。

Q お尋ねします。地方公設卸売市場のあり方と、近々の運用方針をおしえてください。また、いつ頃決まるかもあわせておしえてください。

答弁

市場の今後のあり方につきましては、平成25年2月に市場運営委員会から、「施設を適正な規模に集約・再編し、現地で再整備すること」などの提言を受けましたが、本市としてのあり方の検討は、同年12月末に青果部卸売業者が突然廃業したことなど、その後の状況の変化があり、中断しております。検討の再開に向けては、市場の取扱高の回復が必要と考え、新たに入場した青果部卸売業者など場内事業者との協議・検討に取り組んできましたが、本年9月には水産物部卸売業者の急な撤退があり、今までの市場機能を維持したいとの考えのもと、現在、仲卸業者と連携し、後任業者の入場に向けて、取り組んでいるところでございます。従いまして、施設を含めた市場の活性化に向けた運営方針や、今後のあり方については、決定時期も含めて現時点でお示しできる段階には至っておりません。我々、開設者と致しましては、市場機能の維持を図るため、先ほど申し上げましたとおり、水産物部の卸売業者の入場に注力し、その動向を見極めるとともに、市場が中学校給食センターの候補地のひとつとなっており、市場の取扱高向上も期待されることから、既存施設の再整備も含めたあり方についても検討を進めてまいりたいと考えております。以上

(広瀬)いま、再整備と仰いました。地方公設卸売市場は建ぺい率60%いっぱいなので、いまのままで給食センターは建てられないと聞いています。

Q お尋ねします。開始時期がさらに延びるのではないですか。

答弁

現在、給食センターの建設候補地については、いずれも円滑に施設建設を進める上で解決が必要な課題がございます。この建設予定地の絞り込みを行うに当たりましては、まず、各建設候補地の課題を余すところなく抽出することが不可欠であると考えております。 したがいまして、今現在、庁内関連部局との協議を行うに当たり、一定規模以上の面積を有した市有地を洗い出したところでございまして、今、それぞれの課題を解決すべく調整をしているところでございます。

(広瀬)文教委員会で、候補地の課題解消が進まなければ2022年としている開始時期がさらに遅れる可能性があると当局の方が仰いました。市の財政が厳しい中、理想だけでは実施できないのは承知しています。だからこそ、高槻市の例をあげ、コスト面で負担を減らせると申し上げております。

質問を続けます。第1登壇で市民説明会を開かない理由について、PTA連合会小学校部会に説明しているので十分だと答弁されました。しかし、現在、教育委員会を招いた中学校給食の出前講座が東園田町会婦人会や大庄北中学校育友会などの依頼で計5カ所実施、または計画されています。

Q お尋ねします。市は小学校のPTA連合会に説明すれば、中学校給食に対する意見が一定把握できたとしていますが、これだけ出前講座を求める声がある現状に対しての見解を求めます。

答弁

中学校給食基本計画(素案)に関し、複数のグループから市政出前講座のお申込みをいただいていることにつきましては、中学校給食の実施に向けた市民の方々の期待や関心の表れであると認識しております。以上

(広瀬)期待や関心と言われましたが違います。出前講座を求めた方の中に小学校にあがる前の子どもを持つママがいます。この方にどうして出前講座を依頼したのか聞いたところ、「市が市民説明会を開かないと聞いて、このまま何も知らずに中学校給食が決まるのはいやだ。パブリックコメントを書きたいと思っても、計画の中身がよくわからないから何と書いていいかわからない」と話して下さいました。また、中学校給食の説明に関係各所を回ったのは、計画が決まる熟度の低い時点です。この点も含め、小学校のPTA連合会のみに説明すれば問題ないとする考えは、市民の思いと相反すると考えます。

Q お尋ねします。2014年の陳情署名をされた保護者の子どもは早ければもう中学校卒業の時期です。しかし、期待をし、署名をして下さった市民に対し市民説明会を行うとこが、市の責任だと考えます。さらに、出前講座を求めた保護者の声に応えるなら、いまからでも市民説明会を行うべきだと考えます。当局の見解をお聞かせください。

答弁

先ほどもこ答弁申し上げましたとおり、中学校給食の実施に向けた取組みに関する情報提供や周知につきましては、市政出前講座も含め、適時適切に実施していると考えております。今後におきましても、これまでの取組みを基本に、各小学校の保護者へのご説明など、より多くの市民の皆様にご理解を得られるように努めてまいります。以上

(広瀬)出前講座を求めるのは市民説明会を開かないからです。市の説明は不十分です。 

中学校給食のパブリックコメントが今日まで募集されています。保護者の声が示しているように、パブリックコメントを出したくてもどう書いていいかわからない人がいます。

市当局におかれましては、パブリックコメントの件数だけを見て、市民は興味がない、中学校給食がどう実施されてもいいと考えているとは判断されないよう、要望します。中学校給食における各自治体の取り組みを見ていて感じるのは、どんな給食を実施いていても、市長の決断が非常に大きく作用しているということです。伊丹市では市長が給食は教育の一環であるためPFI方式はそぐわないと給食センターの工事を従来方式で行いました。宝塚市では「食は命に関わることで、市が責任を持ってやらなければならない」とお金がかかっても、自校調理方式で実施し、日本一安全でおいしい給食を目指しています。早期実施、この点で市も思いは同じだと思います。

稲村市長も2012年9月議会で「中学校給食につきましては、私自身もやはり一日も早く推進したいという思いはございます」と答弁されています。

中学校給食は子どもの貧困対策の一翼も担っています。

尼崎で早く、財政的な負担も減らせる親子方式プラス自校調理方式で中学校給食を実施して頂けるよう市長の決断を要望し、質問を終わります。