日本共産党議員団の松村ヤス子です。
今回は、国民健康保険の被保険者が健康を維持することにより、医療費の伸びを抑え、その結果して国民健康保険料の伸びを抑える取り組みとして、本市が先進的に取り組んでいる国民健康保険のヘルスアップ尼崎戦略事業について質問いたします。
阪神間8市の各市の昨年度の予算ベースでの一人当たり国民健康保険料の平均額は90,542円でしたが、今年度は3,462円高くなり94,004円です。その中で、本市は、1,005円安くなり86,904円です。過去には、阪神間で最も高かった国保料が、阪神間8市の中では6番目、下から3番目になっています。しかし、高齢化が進み、医療費が伸び続けていることにより、国保料は上がり続けています。その伸びを抑えるために、国保加入者の健康を維持し、医療費支出を抑制するする保健事業の取り組みが不可欠との観点で、全国に先駆けて2008年度から積極的に取り組んできたのが、ヘルスアップ尼崎戦略事業です。厚生労働省が本市の取り組みを高く評価し、保健事業の実施を国民健康保険法に規定する改正を行いました。改正した国保法に基づく保健事業として、本市は「データヘルス計画」を策定しています。「原因」と「結果」という言葉がありますが、このデータヘルス計画は、健康状況を悪くする「原因」を取り除き、よりよい「結果」に導くための有効な「保健指導」を実施するための計画です。
以下、データヘルス計画に関連して質問してまいります。
市は、昨年5月に、「尼崎市国民健康保険 保健事業実施計画(データヘルス計画)第1期を策定しています。国民健康保険加入の0歳から74歳までの市民の健康実態の分析、健康課題および対策の考え方を示した、データヘルス計画には、興味深いデータが多く掲載されています。この内容を多くの市民に知ってもらうことは、極めて大切だとの思いを強くしています。まず、最初に驚いたのが、尼崎市民の平均寿命です。尼崎市の市民は、早死にする人が多いと過去にも聞いたことがありますが、2005年・2010年では、男女ともに、平均寿命は兵庫県下41市町の中で、最下位の41番目と知り、衝撃を受けました。男性では、県及び全国より1.5歳、女性では県より0.7歳、全国より1歳短いとあります。そして、65歳未満で死亡する市民の死因別調査と5か年の変化が示されています。2008年度では、ガンによる死亡が40.1%、4年後の2012年度は43.1%と、3%増加し、脳出血も0.3%、脳梗塞も0.2%増加しています。死亡割合が増加しているのがガンと生活習慣病の脳出血および脳梗塞です。これに対する対策として、若年層の健診を受けていない人については、メタボリックシンドロームつまり、内臓脂肪症候群に着目した健診で、血圧測定を始め、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロールを調べる脂質検査、そして、血糖検査、肝機能検査を行う特定健診の受診勧奨の取り組みが必要としています。特定健診の受診率は、2015年度の阪神間8市の中では、最も高い数字での40.1%です。そして、全国45の中核市内では12位、県下41市の 中では、11位であり、中位の上ぐらいです。また、スタートした2008年度の受診率は、42.3%でした。ところが、その後は、33%程度から39%程度で推移し、昨年度は若干回復して、40.1%です。特定健診を一度も受けていない市民が40%おられ、その人たちの健康状態には、何らかの問題があるのではないかと担当課も危惧されています。企業などで雇用されている人に対しては、従業員の健診を実施することが、事業主に義務付けられています。しかし、65歳未満の国民健康保険加入者は、基本的には、企業に雇用されていない人が多く、健診を受けるかどうかは、本人の自覚的な意思によります。データヘルス計画では、「若年層の健診未受診者に対する特定健診の受診勧奨の取り組みが必要」と述べています。
お尋ねします。本市の若年層の特定健診受診率はなぜ低いのでしょうか。市はどのように分析していますか。答弁ねがいます。
答弁要旨
平成27年度の65歳未満、いわゆる若年層の健診受診率は26.50%で、65歳以上の51.10%の2分の1程度にとどまっております。これまでの未受診者調査の結果から、65歳未満の方の健診未受診理由は、「健康だから」「忙しい」などが主で、健診受診意義を十分に理解されていないことが一因であると考えられます。そのため、受診率向上対策として、健診結果の改善例を示した「健診すすめ通信」の全戸配布、待ち時間を短縮するための「健診優先予約制度」の導入、身近な場所で気軽に受診できる「コンビニ健診」や「未来いまカラダポイント」導入による健診へのインセンティブの付与など、様々な対策を実施してきたところでございます。以上
次に介護に関連してです。
一般的に、社会保険や共済保険などの被用者保険では、企業等に勤務している人が対象です。しかし、国民健康保険では、高齢者、自営業者や無職の人などが多く、元気で働いている人ばかりではありません。高齢や病気やけがで働けなくなり、退職を余儀なくされた人もいます。国民健康保険は、そのような市民の医療保険であるだけに、医療費支出の多い医療保険です。データヘルス計画 第1期では、「国民健康保険加入者で要介護認定を受けている市民の割合は2%で、全市の要介護認定者の40.8%を占めている」とあります。また、「介護保険第2号被保険者である40歳から64歳では、全市の要介護認定者672人のうち、国民健康保険の要介護認定者は344人で51.2%です。一方この年代の国保加入率は25.2%です」とあります。これは、国保加入者では、要介護認定者の割合がきわめて高いことを示しています。 また、驚いたことに、65歳から74歳の要介護5の人の割合は7%ですが、国保加入者では、それよりも年齢の低い40歳から64歳で要介護5の割合が18%だということです。
そして、国保加入者で要介護5に認定された人のうち、62%の人が脳血管疾患によるとのことです。若い年齢で脳血管疾患にかかる割合が高いことは、やはり大きな問題であり、対策が強く求められます。データヘルス計画にも、40歳未満を対象とした生活習慣病予防健診の受診率を上げ、健診結果に基づき、自らのリスクを把握してもらうとともに、生活習慣病改善などリスクコントロールに取り組んでもらえるよう、保健指導を充実させることが必要。自ら、リスクコントロールにつとめてもらえるように支援するなど、積極的な重度化予防が必要ですとあります。40歳未満の国保加入者といえば、自営業者や社会保険のない零細な個人事業主に雇用されている市民、それに、今増加している派遣労働者など不安雇用の若者、あるいは失業中の市民などではないかと思います。自覚症状がない状態のこの年齢階層の市民に、まず関心を持ってもらい、積極的に健診受診を促すなどが必要です。しかし、痛くもかゆくもない状況での健診受診率を高めることは、困難を伴うのではないかと推察しています。それだけに、何よりも健診の大事さを理解してもらうことが不可欠です。
お尋ねします。自覚症状がない状態にある、 国保加入の40歳未満の若年階層の健診受診率を高めるために具体的にどう取り組むのか、また、健診受診率の目標および健診受診率の引き上げ目標を示してください。
答弁要旨
「生活習慣病予防健診」は、労働安全衛生法や、高齢者の医療の確保に関する法律に基づく健診の対象とならない、16歳から39歳までの全市民を対象に、将来の生活習慣病を予防することを目的に、平成22年度から、本市独自に実施している事業ですが、対象者のうち、国保加入者の受診率は、4%にどどまっている状況でございます。受診率の向上に向けては、個別勧奨通知の送付や、24時間健診予約ができるWebサイトの開設、スタッフも受診者も、女性だけの「レディース健診デイ」の設定、健診時の乳幼児一時預かりなど、若い世代も受診しやすい環境整備を行ってまいりました。さらには、40歳未満であっても、年1回の健診受診意義を理解してもらえるよう、健診後の個別保健指導も徹底してまいりました。ご指摘のように、若年層にあっても、健診受診率を高めることは非常に重要でありますことから、まずは、受診率50%増の、2%引き上げた受診率6%の達成と、保健指導実施率90%を目標に取組んでまいります。以上
次に「悪性新生物・ガンは男女ともに増加しており、特に女性では県の1.6倍、全国の1.5倍増加している。これを改善するために今後、国民健康保険においても、悪性新生物の発症予防対策、早期発見などの重症化予防対策を強化することが必要」とあります。ガンについては、早期発見が要と言われており、あわせて、発症予防対策が重視されることは、重要なことだと思います。
お尋ねします。本市の女性のがん発症率と発症率最低の自治体の差はどの程度でしょうか。
また、発症予防対策として、具体的にどのような取り組みをするのでしょうか。
答弁要旨
現在のところ市町村別のがん発症率は分析されておりませんが、本年1月からがん登録制度が全国展開されたことにより、今後市町村別、部位別のがん発症率が示されるものと考えております。がんの発症予防については、国立がん研究センターがまとめた「がんを防ぐための新12か条」の啓発を進めております。なかでも喫煙は「喫煙と健康」において、喫煙とがん発症の因果関係について、肺、ロ腔・咽頭等のがん発症との関連を「科学的証拠は因果関係を推定するのに十分である。」と判定がされており、本市では今後も禁煙支援の強化により、がんの発症を抑制するように努めてまいります。以上
次に、国民健康保険要介護認定者の健診受診状況と健診結果についてです。
平成24年度の「国保被保険者のうち、要介護認定者の介護度別健診受診状況」と題する表が掲載されています。そして、次のように書かれています。介護の重度化予防のためには、高血圧や糖尿病、脂質異常など脳血管疾患などのリスク因子のコントロールと筋量、筋力を低下させない生活習慣の選択が重要となるため、これらのリスク因子等の状況を要介護認定者自身が定期的にモニタリングする機会となる特定健診の受診が重要です」とあり、続いて、「要介護認定者の健診受診率は27.1%で、国民健康保険全体の特定健診受診率39.2%(平成24年度)より低い状況です。要介護度が進むにつれて健診受診率が低くなりますが、要介護1、2の受診率が26.8%にとどまっていることは、重度化予防の観点からも課題です。治療中であっても、健診受診を勧め、自らリスクコントロールにつとめてもらえるよう支援するなど、積極的な重度化予防が必要です。」と、書かれています。要介護認定者の健診受診率は介護度が重くなるほど、低くなっていますが、要介護認定を受け、介護サービスを受けるとそれで完結してしまい、健康維持への積極的な意欲をなくし特定健診受診率の低下につながるのではないかと推察しています。
お尋ねします。要介護認定者が、なぜ、健診を受けなくなるのか、その理由等を調査する必要があるのではないでしょうか。答弁ねがいます。
答弁要旨
要介護状態にあっても、脳卒中や糖尿病合併症の発症による重度化を防ぐため、ヘルスアップ戦略事業の一つとして、平成25年度より、軽度要介護者を対象にした「要介護者健診事業」を、高齢介護課などと連携しながら、実施しているところでございます。健診受診者の要介護理由をみますと、人工関節など整形外科疾患によるものと、脳卒中で6割を占め、他にも、認知症やがんの進行期などによるものもあることから、疾病管理を優先せざるを得ない状況などが健診未受診理由に関係しているものと考えておりますが、一方で、健診意義が十分伝わっていないことも一因と考えられます。このような状況を踏まえ、受診率向上策など、今後の要介護健診事業のあり方については、ヘルスアップ戦略推進会議の介護予防部会で、引き続き、協議を進めるとともに、ご提案の未受診者調査につきましても検討してまいりたいと考えております。以上
要介護認定者や治療中の市民の健診受診率を高めるためには、そのような市民にも健診の必要性を理解してもらうことが必要だと考えます。また、要介護認定者の特定健診受診率引き上げについての具体的な働きかけ・対策について答弁ねがいます。
答弁要旨
データヘルス計画にもお示ししておりますとおり、特定健診開始後5年間の心筋梗塞の死亡率は、特定健診開始前5年間と比べて、男女とも24%減少し、脳梗塞死亡率も男女とも減少しております。また、心筋梗塞などで緊急搬送され、高額医療費を要した件数も、平成20年度の130件から、5年後には86件に、44件減少しております。これらの結果は、健診・保健指導を契機とした生活習慣改善や受療など、市民の皆様の行動変容の結果であると認識しております。今後も「健診が自分にとって価値がある」と感じてもらえるよう、保健指導力を強化するとともに、生活習慣病予防の意義や可能性について、あらゆる機会を通じてお伝えしてまいります。また、児童生徒に対する保健指導といたしましては、尼っこ健診の結果説明会のほか、平成22年度から、保健師が幼稚園、小、中学校に出向き、担当教諭との連携のもと、将来、生活習慣病にならない習慣を身につける取組を行っております。さらに現在、幼稚園や保育所で使用する共通教材の作成や、生活習慣病予防に関する教育の標準化に向けて検討を進めており、引き続きより積極的に取組んでまいりたいと考えております。以上
次に、一人当たり医療費の推移についてです。
2006年度と、2012年度の一人あたり総医療費・入院総医療費・入院外総医療費とその伸び率について本市と兵庫県、全国、類似7市平均、阪神間8市平均を比較しています。医療費総額の比較では、本市は、まだまだ高いのですが、伸び率比較では、すべて、最も低くなっています。これは、特定健診の結果返し時の保健指導によるのではないかと推察します。伸び率を抑え続けられれば他都市並みに、そして、他都市よりも低い水準の医療費にとの希望も持てます。
これで第1問目を終わります。
第2登壇
1問目のご答弁をいただきました。第2問目に入ります。まず、疾病ごとの医療費についてです。2012年度の実績では、生活習慣病では、被保険者に占める受療割合が44.4%、悪性新生物・がんでは、22.2%、筋骨格系疾患では35.2%です。入院・入院外を含めて一人あたり医療費は生活習慣病が720,737円、悪性新生物が882,174円、筋骨格系疾患が563,898円です。総医療費でみると、生活習慣病が81億8,732万円、悪性新生物では45億4,645万円、筋骨格系疾患では36億4,192万円であり、これら3疾患に要する医療費は極めて高額です。医療費抑制のためには、特に高額を要する生活習慣病による入院外医療費が高額化しないよう、重症化予防が必要ですと記されています。
「尼崎市国民健康保険における高額な医療費の状況」については、「1カ月の医療費が200万円以上 要した疾病は、緊急搬送や手術、特殊な処置が必要など、重症な状態である場合がほとんどです。医療費適正化のためにはこれらのうち、予防可能な疾病の重症化を防ぐことが重要です。」と書かれています。1件200万円以上の高額な医療費を要した生活習慣病発症者の健診受診状況は、冠動脈の閉塞や狭窄などにより心筋への血流が悪くなり、心臓に障害が起こる狭心症・虚血性心疾患では、高額医療費を要した人が86人、うち、23%の20人が健診受診者で、77%の66人が健診未受診者。脳血管疾患では、高額医療を要した人が31人うち23%の7人が健診受診者、77%の24人が健診未受診者です。大動脈瘤・かい離では、高額医療を要した人が25人、うち8%の2人が健診受診者、92%の23人が健診未受診者。その他では、高額医療費を要した人が19人、うち、11%の2人が健診受診者、89%の17人が未受診者です。これらの生活習慣病をまとめると、高額医療費を要した人が161人、うち、19%の31人が健診受診者で、81%の130人が健診未受診者です。つまり、1件200万円以上の医療費を要した生活習慣病発症者のうち、80%~90%が健診未受診者だということです。一方、健診受診者は10%から20%です。私は、このデータを見て、本当に驚きました。自覚症状がない状態で、どんどん悪化し、自覚した時点では、高額の医療費が必要な状況に至っており場合によれば、死亡ということにもつながります。健診の重要性を改めて,認識させられるデータです。
人工透析を含む腎疾患の状況 では、高額な医療になる疾病の一つが人工透析を要する慢性腎不全であり、人工透析療法に要する医療費は一人当たり年間516万2,610円 (月額では、430,217円)であるため、人工透析導入者が増加すると全体の医療費も増加します。このような観点からも腎機能低下の予防が重要です。腎臓疾患による受療者は全体の3.5%程度ですが、腎臓疾患受療者のうち、すでに人工透析導入者を除く4,169人が人工透析導入に至らないような対策が必要です。とあります。私の知人にも、透析患者がおられました。週3回の透析のために会社勤務を辞めざるを得ず、夫婦での喫茶店経営に切り替えました。しかし、50歳を少し超えた時点で亡くなられました。若いころから、しっかり検診を受けていたらと残念でなりません。
お尋ねします。 腎臓病患者に限らず持病で医療機関にかかっている市民も特定健診を受診する必要性があることを理解してもらうことが必要です。なぜ必要なのか、説明願います。
また特定健診受診率を高めるためには、医師会の協力も必要ではないかと思います。患者さんへの啓発に対する医師会の協力はどのように行われているのでしょうか。答弁ねがいます。
答弁要旨
高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、治療の有無にかかわらず、妊婦及び収監者以外は、すべて特定健診の対象とされております。これは、治療中の病気に加えて、明らかな異常でなくとも、肥満や血圧高値、血糖高値などの危険因子を、早期に自覚し、生活改善などに取組んでもらうことで、脳卒中や心筋梗塞など、生活習慣病の重症化を未然に防こうとする趣旨によるものでございます。本市では、集団健診に加え、尼崎市医師会の252医療機関でも特定健診を実施しており、健診未受診者の通院先が特定健診実施機関の場合、通院先でも受診できることを案内しており、これに併せ、医療機関においても、通院患者に健診勧奨をいただいており、市と医師会連携のもと、健診受診率の向上を目指しているところでございます。(以上)
悪性新生物・ガンの状況についてです。
2003年から2007年までの5か年と、2008年から2012年までの5か年間の悪性新生物・ガンによる本市の人口10万対死亡率は、2008年からの5年間では、その前の5年間に比べて、男性では21.1%、女性では27.3%増加しています。特に、女性では、県に比べて1.6倍増加しています。男性では、気管、気管支および肺のガンで、死亡率の増加が大きく増加率は県の1.8倍でした。次いで、大腸がんも県の1.7倍増加しています。女性ではいずれのガンも増加しており、特に気管支および肺のガンで県の2倍以上増加しています。悪性新生物・ガンの年代別有病率では、肺がん・胃がん・大腸がん・肝臓がんの有病率は、男女とも年代を追うごとに増加しますが、どの年代でも女性に比べ男性の有病率が高い状況にあること、一方、女性の乳がんでは50歳以上の有病率は横ばい、子宮体ガン・子宮頸がんでは、有病率が最も高い年代が40歳代と、発症頻度に年齢の特徴があること、悪性新生物の重症化や死亡を防ぐためには早期発見が重要であるため、有病率が上がる年代でのがん検診受診率が何より重要ですが、乳癌は50歳代、子宮体ガン、子宮頸がんは40歳代と、より若年で検診を受診してもらえるような対策が必要とあります。また、各種がんによる入院受療者のがん検診受診歴をレセプトにより調査したところによると、入院のきっかけが、がん検診の結果によるものか、他の要因によりガンを発見、入院に至ったものかを確認した結果、がん検診で発見されたと考えられるものは少なく、大腸がん、乳がんでは9%程度、他のがんは、男女合わせて、0~6%にとどまっています。これらの結果から、入院受療者は何らかの自覚症状があって、受療しているものと考えられ、重症化していた可能性があります。潜在的な早期がんの発見のためには、検診受診率の向上が課題です。とあります。この報告のように、一般的に、医療機関に行き診察・治療を受けるのは、体の異常を自覚した時です。しかし、いわゆる生活習慣病は、その自覚がないままに、体が蝕まれていきます。血管が細く固くなる、血圧が高くなる、ガンが発症しているなどの変化が起こりつつあっても、自覚できないところに、こわさが潜んでいます。体の異常を自覚する前に発見することが必要であり、予防可能な疾病の重症化を防ぐことためには、健診をうけることが第一です。また、がん検診後に精密検査が必要と言われた人であっても受ける割合が低く、いずれのガンも精査目的の受療割合が100%ではありません。精密検査を受けていない人の中に、ガン患者がいることがあると考えられるので、精査の必要性を十分理解してもらえるような説明や受療できる医療機関等の情報提供など、受療につながるような対策が必要とあります。医療費の面から見ても、また、命に係わる検査が必要な市民から見ても、がん検診及び必要な場合は、精密検査を積極的に受けることが必要です。
お尋ねします。健診受診率引き上げは、市民の命と暮らしを守り、ひいては、市の活性化にも関わります。現在の特定健診受診率は、男性が35.7%、女性が44%、男女あわせて、40.1%%です。この割合については、どのように評価されますか。 今後、さらに受診率を高めるために、どのような対策を考えておられるのでしょうか。ご答弁ねがいます。
答弁要旨
特定健診の受診率につきましては、これまで40%を超えることを一つの目標として取組んできましたことから、平成27年度の健診受診率が40.1%となりましたことは、取組成果の一つと評価しております。しかしながら、特定健診がスタートした平成20年度以降、1度でも健診を受診したことがある人が61.3%に上りますことから、それらの方々を含め、継続的に健診を受診してもらえるような取組が必要であると考えております。従いまして、今後は、過去の健診受診時期に併せたタイムリーな健診案内に加えて、結果説明会や保健指導の内容が受診者にとって価値があると感じてもらえるよう、専門職員のさらなるスキルアップなどに取組んでまいりたいと考えております。以上
お尋ねします。ガン検診受診率を上げることが何より重要とあります。ガン検診受診率を高めるための具体的な方策はどう考えておられますか。
答弁要旨
平成23年度のアンケート調査では、がん検診を受診しない主な理由は、「がん受診の費用が高い。」、「多忙により受診時間が取れない。」および「健康に自信がある。」などでありました。費用については、がん検診の無料クーポン券が一定の効果がありましたが、国の補助が大幅に削減されたことにより、対象年齢の初年度のみ一般財源を活用して無料クーポン券を継続することとしました。いずれにしましても、市のがん検診は一部費用を市が負担しており、安価で受診できることを積極的にお伝えしてまいります。「受診する時間がない。」と言った問題には、同一場所で複数の検診が受診できるように調整しております。地域で実施する集団健診会場では、特定健診と肺がん検診及び大腸がん検診が同時に受診できるようにしました。また、今年度は試行的に乳がん検診の同時受診についても検討をしており、今後も受診者の利便性を図ってまいります。また、「健康に自信がある。」と思っている方には、検診によりがんは早期に発見し、早期治療を開始すれば、ほぼ完治する病気であることなど、がんおよびがん検診の正しい知識を健康教室や地域の祭りなどのイベントに出向いて普及啓発を行っており、今後も継続して実施してまいります。以上
2012年度の生活習慣病に関する健診結果では、男女とも収縮期血圧、HbA1c、LDLコレステロールの有所見率が高く、健診受診者2人に1人が有所見の状況にあります。中でも、収縮期血圧、HbA1cの有所見率は県国保平均よりも高い割合です。また、男性で腹囲有所見が51.2%で県よりも高い状況です。いずれの所見も心血管疾患など重症化を進めるリスク因子となるため、確実なリスクコントロールが重要であり、保健指導により、受療や生活習慣改善を選択してもらえるような支援が必要とあります。データヘルス計画に目を通してみて、改めて、健康について考えました。このデーヘルス計画に示されている内容をどのように市民に広めていくか、行動を促していくかが本当のデーヘルス計画になるかどうかの分かれ道だと思います。日常生活の中で、市民一人一人が、少し、気を付けるようになるかならないかで、健康上にも差が出るのではと思います。
お尋ねします。データヘルス計画の内容を少しずつでも市民に知らせて実行してもらうために、毎号の「市報あまがさき」の紙面にたとえば「ヘルスアップコーナー」とか「ヘルスアップで明るい生活」とか「ヘルスアップで生き生き人生」とかの一区画を設けて、シリーズで啓発することなどを提案しますが、いかがでしょうか。ご答弁ねがいます。
答弁要旨
これまでから、ヘルスップ尼崎戦略事業を通じて得られた健康実態や成果などにつきましては、全戸配布の「健診すすめ通信」などを通じて市民にお知らせしてきたところでございます。市報を活用して、ヘルスアップ尼崎戦略事業について広報することも一案であると考えておりますが、ヘルスアップ尼崎戦略事業に特化した広報を行うことが、より有効であると考えており、「健診すすめ通信」の全戸配布を継続して参りたいと考えております。しかしながら、市報の活用に加えて、さまざまな機会を通じて情報発信することは、非常に重要であると考えますので、健診結果説明会や、地域での学習会、ヘルスアツプ戦略推進会議・ポピュレーションアプローチ部会の関連部署で行われる学習活動などの様々な機会を通じて、市民の皆様に伝えてまいります。以上
これで第2問目を終わります。
第3回登壇
本市が、2006年度から先駆的に取り組んできた、ヘルスアップ尼崎戦略事業は、市民の健康寿命を延ばして、医療費の伸びを抑え、結果として、国保料の伸びを抑えるという取り組みであり、着実にその効果をあげています。特定健診を実施した2008年の前の5年間と後の5年間では、心筋梗塞などの虚血性心疾患の死亡率も、男女とも後の5年間で、県・国より大きく下回っています。また、入院医療費・入院外医療費とも、その伸び率は、兵庫県・全国・類似7市平均・阪神7市平均を大きく下回っています。本市のヘルスアップ尼崎戦略事業が、高く評価され、国の制度として、国民健康保険事業に、保健事業が組み込まれるようになりました。しかし、本市の取り組みは、他都市とは異なり、健診の結果をただ市民に返すだけでなく、受診者にたいして丁寧な保健指導が行われています。この保健指導により、他都市に比べて、医療費の伸びを大きく抑える効果を生み出しています。今後も、引き続き、市民の健康を維持できるようさらに取り組みを強めていただくことを願っています。それに、行政の科学的な分析の下、科学的な取り組みを行うことの大事さと有意義さを強く実感しています。また、特定健診受診率向上などへの取り組みと同様に、すべての行政がこのような姿勢で仕事をされることを期待して、私の一般質問を終わります。