2012年9月議会一般質問 松村ヤス子:住宅リフォーム助成制度で地域内経済の活性化を

2012年9月議会 一般質問

2012年9月12日 日本共産党議員団 松村ヤス子

住宅リフォーム助成制度で地域内経済の活性化を

日本共産党議員団の松村ヤス子です。

2001年9月議会から、繰り返し、実施を求めてき住宅リフォーム助成制度について質問します。

市民が、自宅のリフォームを市内業者に発注する場合、10万円~20万円程度を限度として、工事費の5%~10%程度を市が助成する制度です。現金で助成する場合が多いようですが、市内商店で通用する商品券で助成する場合もあります。

全国商工団体連合会の調査によれば、2012年7月には533の自治体で実施。2004年12月時点では、87自治体、その6年後の2010年10月には2倍の175自治体に、その後、半年間で1.9倍の330自治体に、そして、今年の7月までの2年間では、3倍以上の533自治体と急激に増加しています。この8年間では、6倍以上に増え、全自治体の3割にのぼっています。

533自治体のなかには、西宮市も入っています。

西宮市では、2012年度当初予算に「環境などに配慮した住宅リフォーム助成モデル事業」を予算計上し、制度が固まってすぐに、7月26日~8月25日の1ヶ月で申し込みを完了させました。募集を上回る応募があったとのことです。担当課長さんは、まず、モデル事業として実施、その後、さまざまに検証し、恒久的な事業にするかどうか判断したいとのことでした。

西宮市当局の答弁も議事録で読みました。だんだん答弁内容が悪くなる尼崎市とは正反対に、徐々に前向きな答弁へと変化しているのがとても印象的でした。

西宮市も尼崎市と同じく、明石市の実態を調査しています。尼崎市は、助成のあるなしにかかわらず、工事せざるを得ないような事例を取り上げ、「経済対策として効果がない」と答弁し、西宮市は、「波及効果がある」と答弁しています。明石市は、私たちにも、尼崎市が答弁に引用したようなケースもあるが、西宮市の答弁にある内容どおり、大変肯定的に説明されました。明石市は、私たちにも、尼崎市にも、西宮市にも同じ内容で説明していると思います。そして、説明の中心は、「地域経済対策として波及効果の高い事業」と位置づけていることにあります。

尼崎市と西宮市の答弁の違いは、中小零細事業者の要求である仕事づくりに応え、地域内経済の活性化に前向きかどうかの政治姿勢の違いによると受け止めざるを得ません。

2011年3月議会で、西宮市当局は次のように答弁しています。

「市内の中小零細企業及び個人事業主への訪問活動をおこなっており、経営状況や各業界の動向等を聞き取り、融資等各制度の説明をしている。その際、景気が良くならない、社会全体の景気をあげるような施策を考えてほしい、市の関連工事、物品購入等において、市内事業者に発注、調達してほしいなどの意見を聞いており、組織内で課題共有に努めている。産業実態調査の結果も踏まえ、建設関連事業者を含む中小零細企業及び、個人事業主への支援策について広く検討していく」との内容です。

建設関連事業者を含む中小零細企業及び、個人事業主の営業情況が厳しいという実態をしっかり把握していることから、支援策が必要との認識を持ち、支援策の一つとして、明石市などに学び、今年度から、住宅リフォーム助成モデル事業を実施することになったわけです。

西宮市の住宅リフォーム助成モデル制度は、「市内産業の活性化と市民の生活環境の向上を図ることを目的とする」と明記されています。

住宅リフォームのみの場合は、工事経費の10%で最高10万円を助成します。

尼崎市も実施していますが、雨水タンクや浸透桝を設置する際には、工事費の50%を補助する国の制度があります。この制度は、工事完了期日が来年2月末日までですが、これと合わせて、住宅リフォームを行う場合は、リフォーム助成は、少し上乗せして、工事経費の12%で、最高12万円を助成するとしています。雨水タンクや浸透枡設置に対する助成と通常のリフォームより上乗せのあるリフォーム助成の両方をうけられる制度です。

このような別の助成制度と合わせて、住宅リフォーム助成を行なうのは、全国初とのことです。

西宮市は中小零細事業者及び個人事業主への訪問調査などで実態把握につとめ、要望を聞き取り、それに応えるために、施策化に努めているわけです。

私の近所に何人かの職人さんを抱えている個人の塗装業者がおられます。年を追うごとに仕事が減り、月のうちの大半は仕事がないとのことです。

先日、私宅を含めて、近所一体の給水鉛菅の取替え工事が行われましたが、その水道業者からも、仕事が激減しているとお聞きしました。

中小事業者対策としては、これまでから、融資制度が中心でしたが、業者は、仕事があってはじめて役に立つのが融資だといっています。

質問

建設関係などの中小零細事業者・1人親方の仕事確保に対する支援が問われていますが、その必要性はないとの認識でしょうか。

答弁

建設関係などの中小零細事業者に対する支援については、ご指摘のとおり、融資制度が中心であったものであるが、その支援の必要性については、否定するものではない。

 

市内の零細な工務店の社長さんが、「最近は、市外の大手住宅建設会社が新築だけでなく、リフォームにも進出しており、市内工務店のリフォームの仕事を奪っている」と嘆いていました。そして、「大手の下請に入った業者は請け負い単価をたたかれ、仕事があっても大変厳しい情況にある」と語ってくれました。
これでは、地域内循環型の経済を目指すとする市長の思いとも相容れないのではないでしょうか。
市内の工務店とともに仕事をする水道工事、電気工事、ガス工事、屋根葺き、内装工事、ガラス、畳など関連事業者はほとんどが市内事業者とのことです。

住宅リフォーム助成制度は、長引く不況で困っている零細事業者への仕事づくり支援策として、期待されている事業です。だからこそ全国でも増えているのです。以前、リフォーム助成をしても総需要は増えない、と答弁しています。本当にそうでしょうか。なかには、助成のあるなしにかかわらず、せざるを得ない工事もあるでしよう。しかし、明石市の職員さんは、助成制度があることで、思い切って、リフォームすることにしたとの市民の声や助成制度があることで、リフォームの範囲を広げることにしたとの市民の声も聞いていると話してくれました。

質問

住宅リフォーム助成事業は、大手の市外の住宅会社に回る仕事を市内の工務店及び、関連の市内零細事業へ発注することを促す、つまり、市内事業者の仕事おこしになり、市内循環型経済を目指す尼崎市の方針に沿った事業だと思いますが、いかがですか。

答弁

住宅リフォーム助成制度は、助成の対象工事業者を市内事業者に限定することにより、受注機会を拡大することで、一時的に経済波及効果は発生するが、助成することが住宅リフォームの総需要を増やす「きっかけ」となるのか、そのための施策として最も適しているのか、また、一方で、消費者保護の観点から住宅リフォーム事業者の質の向上を図るなど多くの課題がある。

そうしたことから、住宅リフォームにとどまらず、限られた財源の有効活用などを勘案しながら、本市の地域経済の特徴を踏まえ、持需要続的な波及効果が発生する施策を検討していきたいと考えている。

質問

住宅リフォーム助成制度以上に、市内の工務店及び、関連の市内零細事業者への仕事おこしになる施策が考えられるのであればどんな施策があるのか、教えてほしい。

答弁

現在、本市においては、環境と産業の共生を目指す尼崎版グリーンニューディール関連事業のなかで、市内事業者へのインセンティブを設けている。

たとえば、私立保育所・幼稚園を対象にした『太陽光発電システム設置費補助制度』において、設置工事を市内事業者に限定しているほか、『太陽熱温水器』、『エコウィル』、『エネファーム』などの設置においても、市内事業者が機器の設置工事を行う場合は、助成額の割り増しを実施している。

これらの事業のように、今後も引き続き、本市にとって相応しい需要喚起手法について、施策の重点化方向に基づき、検討していきたいと考えている。

質問

活力ある尼崎市を取り戻すためには、財政が大変だからこそ、底辺の底上げが必要です。住宅リフォーム助成制度を実施することを強く求めますが、答弁願います。

答弁

地域内で経済が循環し、持続的な発展を遂げていくためには、効果的で適切な取り組みによる底上げが必要であると認識している。

そうしたことから、先ほど答弁させていただいたように、限られた財源の有効活用などを勘案する中で、住宅リフォーム助成制度にとらわれず、検討していきたいと考えている。

 一般質問「生活保護制度は、命を守る最後の砦」に続く