予算特別委員会2016年度予算案に対する総括質疑の辻おさむ議員の発言です

はじめに

 日本共産党議員団の(辻)です。日本共産党議員団を代表いたしまして、真崎一子議員、松澤千鶴議員、そして私・辻おさむが総括質疑を行います。よろしくお願いします。東日本大震災と福島原発事故から5年を前にした3月9日、大津地裁が、関西電力高浜原発3,4号機の停止を命じる仮処分判決を行いました。30㌔圏外の住民の人格権を認めた判決として注目すべき判決です。「原発ゼロ」をめざし、改めて、この間の原発再稼働政策が問われるものです。経済の分野でも、一昨年4月の消費税8%の影響から、まだ脱しきれていないことを、安倍総理は認めました。アベノミクスの3年間で、大企業は史上空前の大もうけをあげ、内部留保は300兆円を超えました。一方、労働者の実質賃金は下がりつづけ、非正規雇用の拡大、子どもの貧困、人口減少がとまりません。原発、消費税増税、アベノミクスなど、大企業優遇の政治の見直しが問われています。こうした中で、市制100周年を迎えた尼崎ですが、安定した雇用と地域経済を活性化し、暮らし、福祉、教育を中心に子育てしやすい環境をつくっていくことが求められています。そういう立場から順次質問を行ってまいります。

18歳選挙権への対応について

 まず、最初に、18歳選挙権への対応について伺います。選挙管理委員長には、予算委員会にご足労いただきまして、たいへん恐縮です。選挙権年齢が引き下げられるのは68年ぶりとかで、代表質疑でも高等学校などでの期日前投票の質問が相次ぐなど、たいへん関心も高いので、私からも質疑をしたいと思います。18歳選挙権が認められ、今年の参議院選から実施されます。新たに選挙権を得る10代の若者3千人にNHKが調査したところ、半数が今の日本の政治に関心があり、戸惑いや不安を感じながらも、次の参院選で6割が投票に行くと答えています。若い人たちが政治に関心があり、投票に積極的なのは、よいことだと思います。まず期日前投票について伺います。

Q1、期日前投票は、投票箱を置けばいいというだけでなく、名簿類のほか、受付、監視員等の配置が必要ではないのか?

Q、1か所、いくらの費用が必要ですか? その費用は国政選挙の場合、国から交付されるのでしょうか?

 思ったより、お金がかかるなあと言うのが印象です。私は、高校や大学で、期日前投票をすることについては、少々疑問を持っています。若い人たちに、投票に行ってもらうことは、本当に大切です。投票に行きやすくする工夫も否定するものではありません。しかし、もっとも大切なのは、有権者・主権者として、じっくり政策や、政党・候補者の主張を吟味し、自分でもっとも期待できるという判断のもとで権利を行使することだと思います。それを保障するために、選挙期間が設けられているのではないでしょうか?もちろん、投票にいけなかったら権利の行使はできません。投票日当日に、投票所にいけない人にも投票機会を保障しているのが「期日前投票」であり、30人以上の病院等での「不在者投票」です。

Q、選挙期間と、期日前投票について、選挙管理委員会は、どのようにお考えでしょうか?

 また、当然、投票の機会は保障しなければなりません。住所変更した場合、地方選挙では3カ月条項がありますが、国政選挙では、それがありません。しかし、今年の参議院選挙は7月と言われていますが、4月に入学や就職、転居で、住所を移動する人もおり、新しい住所地で投票できない人が出てきます。そこで、今年1月28日に、選挙権はありながら選挙直前に転居した有権者が投票できない事態を救済する公職選挙法改正案が全会一致で成立しました。内容は、転居前の旧住所で名簿に登録し、投票できるようにするものであり、18歳に限らず、全有権者が対象です。

Q、そこでお聞きします。不在者投票等の周知徹底や旧住所地での投票場入場券の確実な送付、若い新有権者が投票権を行使できるように、高校や大学を通じた周知が必要だと思いますが。対策はどのようになっているでしょうか?

新たに選挙権を得る若者が遠方に転居した場合など、総務省の選挙部長は「文科省とも協力し、あらゆる機会を通じて制度の周知を図っていく」と答えています。ぜひ対策の強化をお願いします。

いきいき百歳体操について

次に、「いきいき100歳体操」について伺います。

Q、「いきいき100歳体操」は、介護予防のため、平成26年度から実施している事業ですが、現在の実施団体数と人数、また平成29年度までの目標団体数、人数は、それぞれ何団体、何人でしょうか?

昨年12月の暮れに、「大庄中央ルミエール千鳥福祉協会」から手紙をいただきました。少し紹介します。「尼崎市包括支援担当課のすすめがあって、その支援を受け、平成26年12月10日から毎週1回、『いきいき百歳体操』を団地集会所で実施しています。これには、ことし米寿を迎えた3名をはじめとする高齢者49名が参加登録し、毎回30名前後が参加して、みんな楽しみながら頑張っています。1年余り続けてきて、「椅子からの立ち上がりが楽になった」「後ろまで回らなかった腕が楽に回るようになった」など、多くがその効果を実感するとともに、毎週集うことで交流がうまれ、コミュニティ形成の上でも大いに役立っています」という書き出しです。『いきいき百歳体操』というのは、重りがついたリストバンドを、腕や足につけて、体操をするものです。重りは、100~200グラムの棒で調整し、本数によって重さを調整できるようになっています。体操は、腕や足を前に上げたり、横に上げたり、簡単な動作です。全部やっても30分ほどです。私も体験でやってみましたけど、適度の運動で、やった後は爽快な気分になりますね。1週間ほど筋肉痛で苦しみましたけど…。本数を減らせば、お年寄りでも十分可能です。市のホームページでは、ルミエール千鳥団地のほか、潮江北団地、大西町、今福住宅、杭瀬南、金楽寺コレクティブ、中央支所など、各地で行われていることが紹介されています。なかなか盛況です。ルミエールからの手紙の続きは、こうです。「この体操実施に当たり、市から体操のDVD及び腕。足に負荷をかけるバンド(30人分)と重りの貸与を受けています。ところが先日、市の担当者からいきなり「12か月経過したのでバンドを返却してもらうことになります」旨の申し出がありました。まったく寝耳に水で驚きました。(中略)重りを含めると、両手で3,740円になり、30人分だと11万2,200円という大きな金額になります。これらを「自前で」というのです。これは「百歳体操をやめろ」というに等しい申し出です。当然のことながら、福祉協会として今年度予算に計上しておりません。来年度に計上するについても金額が大きく、住民全体の理解を得られるかどうかもまったくわかりません。かといって、参加者個人に負担を願うには無理があり、個人負担とした場合、参加者激減は目に見えています。もともと市は、この体操を全市的に広げることで少しでも市民が元気になり、ひいては国保をはじめとする医療費削減にもつながると考えて始めたはずです。ところが、「体操実施団体が増えたから返せ」というのは、本末転倒も甚だしいと言わざるを得ません。いったい市は、この貸与リストウェイトにいくらの資金を投入したというのでしょう。見通しもなく予算体制もとらない施策で、市民団体を引きずり回すとは、あきれざるを得ず、正直困っています」というものです。さっそく担当課にお聞きしますと「無理に返せとは、言っていません」ということでしたので、「当該団体に、丁寧に説明して下さい」とお願いすると、引き続き「貸与」のまま、使用できるようになったということです。

Q、お聞きします。新年度予算で、「いきいき100歳体操」用リストバンドを購入する予算はつけているのでしょうか? 予算化しているなら何人分の予算を見込んでいるのでしょうか? 

「いきいき100歳体操」は、本当にお年寄りに喜ばれ,人気のある施策で、中には「マイ・リストバンド」を購入している人もいます。しかし、行政が「他にやりたい人が増えたので、貸していたリストバンドを返せ」というのでは、せっかくのやる気が失せてしまいます。先ほどご答弁いただいた実施団体目標を達成すると、もっと人数が増えるでしょう。そのことによって、介護予防になれば、効果は計りしれません。

Q、そこでお尋ねします。形態は、貸与でもいいですが、「返せ」というのではなく、目標に達するまでの必要数を確保できる予算措置にすべきではないでしょうか?

大規模空地の活用について

次に、大規模空地の活用についてです。公共施設の適正化、小中学校の統廃合、市営住宅の建て替え時の高層化、戸数削減等により、今後も大規模空地が生み出されてきます。すでに、大庄西中跡、梅香小学校、若葉小学校、啓明中学校、東高校、武庫3住宅などの活用が課題となっています。

Q、お聞きします。大規模空地を活用する上で、基本的な方針をどう考えているのでしょうか? お答えください。

大規模空地活用の市民合意について

次に、大規模空地を活用するにあたって、市民合意の在り方についてです。大規模空地と言っても、もともと市民の財産ですし、歴史的経過も、愛着もあります。地域の課題、希望もあるでしょう。それだけに地域の意向をくみ取ることは大切です。市長は、かねてから「熟度の低い段階から市民と相談する」と言ってこられました。

Q、お尋ねします。大規模空地の活用について、市民合意をめざして、どのような基本方針で臨んでおられるのか、お聞かせ下さい。

 たしかに、これまで、「明倫中学校跡地活用」「常光寺小学校跡地活用」「大庄中部大規模公有地活用」「尼崎東高等学校跡地活用」で、専門委員会や市民検討委員会がつくられ、市民を交えての検討が行われてきました。現在、「若葉小学校・啓明中学校敷地活用」「大庄西中学校跡値活用」で検討がすすめられているところです。十分に市民の合意が取れるように努力をお願いしておきます。

市営住宅建替え事業について

ところで、市営住宅の建て替え事業ではどうでしょうか?武庫3住宅の建て替え事業が、すすめられています。時友住宅に続いて、現在、宮の北住宅の建て替え計画づくりがすすめられています。宮の北住宅は、現在の987戸を570戸に集約、高層化して建て替え、空いた土地を約1万7700㎡の戸建て住宅用地、5000㎡の都市計画公園や、高齢者支援施設、生活利便施設などで活用しよういう計画です。この事業はPFIですすめる予定で、今年1月8日には要求水準書が公表され、3月下旬までに「入札参加表明書受付及び参加資格審査結果通知」いわゆる【1次審査】が行われる予定です。一方、現在、武庫川河川敷公園に沿って設置されている宮の北公園を、市住建て替え敷地の西側・中央に移設するため、昨年12月1日~21日まで、都市計画公園の変更についてのパブリックコメントが行われ、今年1月28日の都市計画審議会に結果が報告されました。問題は、西側敷地の南側に、尼崎市が民間移管した保育園と神社が隣接していたことです。保育園では、都市計画公園と保育園の間に戸建て住宅用地を配置するため、全国各地で起こっている保育園の子どもの声にたいする苦情や訴訟が心配されます。また神社では、1年の行事で大きな焚火をするので、民家が近接することへの心配もあります。この計画が保育園に市が説明に行ったのは、昨年12月17日でした。パブリックコメントの締め切りギリギリでしたが、「公園の位置を変えてほしい」との意見が出されました。このことも併せて、1月28日の都市計画審議会に報告され議論されました。都計審での当局の見解は、①公園の位置は最適であり動かせない、②建て替え事業の入札説明書を公表しており、変更すれば半年から1年ぐらい事業が遅れる、というものでした。公園の位置を動かせないという理由は、北の伊丹市にある池尻南公園と、市営住宅敷地の南にある西昆陽公園との距離を500mの誘致圏に収めたいということと、敷地の中央にしたいとのことでした。しかし、これも、公園をもう少し南に持ってきても差しさわりがないとの意見が相次ぎました。

Q、お尋ねします。公園の位置の再検討をすべきだと思いますが、現在の検討状況の説明をしてください。

Q、見直しているのであれば、見直し案の公表はいつになるのでしょうか?

Q7-3、その際、「案の縦覧」時期、PFI入札の時期は、変更されるのでしょうか、それとも、予定どおりの時期で対応が可能なのでしょうか?

 ここで、ひとつ、確認しておきたいことがあります。通告していなくて、アドリブで申し訳ないのですが、基本的なことなので、お答えできると思います。

Q、大規模空地の活用について、まちづくりが大切ですか? それとも、お金を生み出すことが大切ですか? お答えください。

 当然、どちらも大切なんです。ただ、優先順位として、「お金のために、まちづくりを犠牲にするのか」と言うのが問題なんです。一昨日、宮の北市営住宅建て替えに伴う、宮の北公園配置案の検討資料を見せていただきました。まだ、議員の皆さんのところには行っていないかもしれませんので、少し解説します。「検討資料」には、当局の原案のほか、検討案1として、「都市計画審議会で出された意見」=これは、保育園北側の戸建て住宅と公園を南北で入れ替えたもの。検討案2は、検討案1に、ほたるの里に隣接する緑地を残す修正を加えたもの。検討案3は、公園と戸建て住宅を東西で入れ替えたもの。検討案4は、保育園が提出したもので、保育園と神社を公園と緑地で囲むものです。それぞれの検討案には、特徴と評価、課題が書かれています。特に検討案1,2,4は、原案よりも、埋蔵文化財発掘調査でお金が余分にかかる上、戸建て住宅予定地の面積が減少するので売却益が減ると書かれています。だから「市の原案がいいんだ」と言うのが結論です。ところが、この資料には大きな欠陥があるんです。わかりますか?市の原案には、保育園が問題にした「子どもの声で苦情が出ないようにしてほしい」という対策が盛り込まれていないんです。最大のデメリットが書かれないまま、この原案がいいんだというわけです。これで、納得できますか? 売却益が減ると言っても、23~4億円のうち、せいぜい1億か2億円です。そのお金が惜しいからと言って、「売却益は尼崎市が受け取るけれど、あとの苦情は保育園が引き受けてください」というのでは、あまりにもひどい話ではありませんか?都計審と住民の意見によって、検討案を作成されたことは、評価します。しかし、それならば、検討案をふくめて、地元住民と協議をするべきではありませんか?もともと熟度の低い段階での住民への説明ではなく、動かしにくい段階で住民に説明したのは当局ですから、それぐらいの努力はするべきだと、強く要望しておきます。(なにか答弁ありますか?)

(意見)せっかく、100億円もかけて建て替えをするのですし、余剰でうまれた土地を、公園や戸建て住宅にするのもいいでしょう。しかし、その地域に住む人が、あるいは施設を利用する人の「よい地域にしたい」との思いを持っているわけですから、充分に意見を組み上げて対応していただきたいと思います。今回、この問題を取り上げたのは、宮の北での公園がどうなるかの問題もありましたが、大規模空地の活用について、学校敷地と市住建て替えによる土地活用での違いを強く感じたからです。学校の敷地では、周辺住民の声を市民検討委員会等の形で、最初から意見を聞いているんですね。充分不十分があり、市民が納得しているかという問題はありますが、少なくとも聞いています。ところが市住の建て替えでは、学校敷地以上に広い土地にもかかわらず、居住者だけでなく、周辺住民の声を聞いていないところに、今回の問題が発生したのではないかと思っています。まさに熟度の低い段階から住民の意見を聞き、市民から喜ばれる施策としてすすめていただきたいと思います。

「尼崎城」建設について

 次に、尼崎城について伺います。ミドリ電化の創業者からの申し出があり、「尼崎城」建設の協議がすすめられています。私のまわりにも「お城の石垣が好きだ」とか、「四層のお城は珍しい」とか、結構ウンチクを教えて下さり、「隠れファンが多いんだなあ」と感じさせていただいております。ただ、まだ内容が明らかではないので、会派としての態度は保留しています。そこで、「尼崎城」に関して、疑問点や不明な点を質問していきます。相手のある話ですし、協議中でもありますが、43億円もかけて土地を買い戻した市有地に建てるわけですから、市民にもわかる形で明らかにする必要があるとおもいます。

Q、まず、「尼崎城」の協議に臨む、尼崎市の基本的方針は、どういった考えで臨んでおられるのでしょうか?

 尼崎城は、「建設して終わり」ではありません。建設後の活用をどうするのかが大切になってきます。そこでお聞きします。

Q、「尼崎城」建設後の運営と運営主体や体制は、どのようにする考えでしょうか?

Q,また、維持管理費は、どれぐらいを予想しているのでしょうか? その財源は、どのように考えているのでしょうか?

Q、市民の税金の投入は、あるのでしょうか? あるなら、どれぐらいを考えているのでしょうか?

 次に、議会への報告、市民合意の方法についてです。今議会でも、他会派から尼崎城についての質問が相次ぎました。議会で聞かれれば、答えるけれど、尼崎市からの情報発信や打診がありません。まして、市民には、ほとんど知らされていません。

Q、お尋ねします。協議が継続中ということもあるでしょうが、議会への報告、市民意見の聴取はどのようにするつもりでしょうか?

 先日、NHKテレビの「歴史ヒストリア」で松江城を特集していました。その中で、尼崎城も紹介されていました。どんな紹介かというと、徳川幕府から明治政府へと政権が移った明治6年、全国のお城が「二足三文」で払い下げされ、取り壊されました。その中に尼崎城も、払い下げ・取り壊しのお城として紹介されていました。松江城は、「市民が残してくれ」と嘆願したけれど、そうならない。「それならば」と、市民が寄付をあつめて松江城を買い取ったというんですね。それだけではなくて、掃除や運営も市民のボランティアで維持管理され、案内ガイドも市民が担ってきました。そして、数年前に「国宝」に指定されたんですね。ここまでくると、まさに市民の「誇り」にもなったと思います。まさに「市民力」の勝利です。尼崎城が今から国宝になるのは、無理かも知れませんが、市民に愛されるものになるかどうかは、市民の意見、知恵を、どれだけ集めるかにかかっていると思います。活用についても十分の吟味をしていただきたいと要望しておきます。

市役所新本庁舎建設について

 次に、新市役所本庁舎について伺います。これまで他会派の質疑と重なるところはありますが、会派の思いですので、質疑をして行きます。代表質疑での市長のご答弁は、「将来の建替えに備え、まずは一定の自主財源の確保に取り組む」とし、将来の具体化の際には、「熟度の低い段階から情報公開し、建設時期や設置場所、規模等について、議員や市民の皆様のご意見を十分にお聞きしながら慎重に進める」というものでした。当然と言えば当然ですが、あまりにも漠然としています。かねてから市長は、市制100周年に方向性を出すと言っておられました。「耐震補強などで、当面、20年程度の延命をする」と言うことは、20年後には、新たらしい市役所本庁舎が完成していなければなりません。構想、設計、工事期間を考えると、そんなに時間はないように思います。

Q、そこでお聞きします。20年以内に新本庁舎を完成させるという理解でいいのでしょうか?その場合、いつから検討を始めるのか、今後のスケジュールを考えられているならお答えください?

Q、新市役所本庁舎を検討するにあたって、基本的な考え方、検討する組織・機関は、どのようにするおつもりでしょうか?

 市役所の規模を考える場合、2つの方向があります。一つは、住民に身近な支所を充実させ、市役所本庁舎はスリムにする方向です。もう一つは、支所を集約して、市役所本庁舎を充実させ、大きな市役所にするやり方です。どちらも、一長一短があるでしょうが、こうした議論のないまま、支所をなくしていくやり方がすすめられているように思います。しかし、福祉事務所をとってみても、かつて6か所あった福祉事務所が、本庁舎1か所に集約された結果、本庁舎に収まりきらないほど膨れ上がり、2か所にわけざるを得なくなったという弊害も起こっています。また、宝塚の市役所は、建物の外回りに廊下が張り巡らされているんですね。不思議に思っていましたが、この廊下が「放火事件」のとき、大きな威力を発揮したんですね。職員も、市民も、この廊下を使ってうまく避難し、一人の犠牲者も出しませんでした。尼崎の市役所をみると、周りに池があって、これで逃げることができるのかと不安に思っています。代表質疑でも指摘しましたが、華美にすべきではありませんが、必要な機能を備え、デザイン的にもすっきりしたものになるよう要望しておきます。

保健福祉センターについて

次に保健福祉センターについて伺います。代表質疑の市長の答弁では、北部の保健福祉センターは、塚口さんさんタウン内に、当面10年間の定期建物賃貸借契約を締結するとのことでした。

Q、お聞きします。10年後はどうするんでしょうか?

 塚口さんさんタウンは、尼崎市内で最も早く再開発をした地域です。最も早く老朽化するとも言えます。賃貸借契約を延長しても、いつまでも居られるわけではありません。出屋敷リベルも、20年を超えています。どちらもせいぜい10年~20年後には、新たな対応が求められることになります。その頃には、新市役所本庁舎の建設が課題となり、新たな施設をつくることは、今よりも困難になります。その時になって、慌てても遅くなることを、たいへん危惧するものです。さんさんタウンの賃貸料も、決して安いものではありません。代表質疑でも指摘しましたように、年間約7,627万円、10年間で約7億6千万円、20年なら15億円を超えます。

Q、お聞きします。不安定な借り床でなく、40年以上安定した運営ができるように、2か所化は見直し、地区の複合施設に保健機能を残すべきではないでしょうか? お答えください。

 尼崎は、かつて保健体制は6か所の保健所体制でした。実際には4保健所2保健センターですが、実質は6保健所体制です。その後、保健センターになり、支所統廃合で地域保健担当となりましたが、少なくとも6地域に保健機能があり、地域住民の保健行政を担ってきた歴史があります。今回はじめて、地域保健機能を2か所にすることは、市民にとって本当に大きな変化なんです。しかも、それが10年~20年後には、どうなるか分からないとなると、不安で仕方がないのは当然です。重ねて、見直しを要望しておきます。

公契約条例について

 次に「公契約条例」についてですが時間がありませんので、要望にとどめます。全国では、徐々に公契約条例を制定する自治体も増えており、最近ではこの2月議会に加賀市が北陸初となる「公契約条例案」を提案すると聞いています。尼崎市も「公共調達基本条例」の制定にむけて動き出しました。安定した入札・契約制度を継続していくためには、受注者にとっても、労働者にとっても、ウィンウィンの関係にして行くことが望ましいと考えます。そのためには、受注者や労働者に理解を求める必要があります。経営者や労働者との意見交換を、充分に行っていただくよう要望しておきます。

おわりに

 最後に、質疑できなかった項目に「子ども食堂」があります。昨日も他会派から質疑がありました。不登校.ひきこもりは、たいへん孤独で、さびしいことです。地域の人たちとのつながりで、声をかけてもらえるなど、「一人ではない」と実感することが、外に出る1歩になります。そのためには、安心して過ごせる居場所が必要です。「子ども食堂」は、そうした子どもたちの「居場所」としての役割もあります。地域ボランティアの方々にお願いするのも結構ですが、「子ども食堂」を行うための直接の支援や、施設を借るなど、財政的・物理的支援も検討されるよう、要望しておきます。種々、質してまいりましたが、これまでの質疑を踏まえて、会派としての「意見表明」をさせていただきます。時間がまいりましたので、これで終わります。ありがとうございました。