予算特別委員会2016年度予算案に対する総括質疑の松沢千鶴議員の発言です

<こどもの医療費助成について>

松澤千鶴です。こどもの医療費助成について伺います。会派の代表質疑で、若い子育て世代の「子どもの医療費の完全無料化にどのように応えていくのか。財源が厳しいからと県のレベルに甘んじていれば、受診控えや他市への転出を促す要因になるのではないか」とお聞きしました。これに対して当局からは「一人当たりの年間平均受診件数は例年伸びてきており、必要な医療が受診控えされているとまでは言えない」と答弁されました。まず、受診控えについて伺います。確かに当局からいただいた乳幼児医療・こども医療の助成事業の資料では、尼崎市だけで見ると乳幼児医療では2012年30,850人が455,000件受診し、一人当たりの年間受診件数は14.7回ですが、2014年は一人当たりの受診件数は0.7件増えました。しかしこども医療については逆に0.6件減っています。また、一人当たりの平均受診件数を他市と比較すると、2014年で乳幼児医療は西宮市より3.4件少なく、宝塚市より2.8件少ないです。またこども医療でも西宮市より4.4件少なく、宝塚市より2.0件少なくなっています。12月議会に出された子どもの医療費無料制度の拡充を求める陳情でも、「少々の風邪ぐらいでは病院へ行かずに我慢させている」「病院で処方された薬を兄弟で分け合ったり、市販薬で済ませたりする」と実情を訴えておられます。

質問します。こうした現実をみてもなお「必要な医療が受診控えされているとまでは言えない」とおっしゃいますか。

西宮市・宝塚市ともに尼崎市より一人当たりの受診件数が多いのは、医療費助成の中が充実し、こどもがケガした、熱出たという時に、給料日前でもお金の心配せずに安心して受診ができる環境が作られている結果だと思います。県下で「こどもの医療費は中学卒業業まで所得制限なしで無料化を」という運動が大きく進み、明石市をはじめ11市3町で所得制限なしで中学卒業まで入院も通院も無料化が実現しています。また、西宮市をはじめ11市5町で所得制限はあるものの無料化が実現しています。尼崎市の場合厳しい財政状況にあっては一足飛びに完全無料化は困難かもしれませんが、助成内容を拡充していくことが求められます。尼崎市のこどもの医療費助成は所得制限がありますが、今現在どれくらいの子ども達が対象となっているのでしょうか。対象年齢人口に対する医療費助成人数の率をカバー率と表現してお聞きします。0歳は所得制限なしで無料なのでとりあえず省いて、乳幼児医療の対象となる1歳~小3までの医療助成カバー率はいかほどですか。同じくこども医療の対象となる小4~中3までの医療助成カバー率はいかほどですか。

質問、更にそれに母子家庭等医療費助成の対象者を加えると、カバー率はどうなりますか。

1歳から小3までで79%、小4から中3までで72%ですね。かなりの子どもがカバーされているといえます。2012年尼崎市は乳幼児医療対象の内就学前までの無料化と入院は中3まで無料化を行いました。しかし、その後も更に拡充を求める陳情が2012年・2015年とあがってきたのは、今の助成内容ではまだ負担が重い、あるいは対象外の家庭の負担が重いという表れだと思います。子どもの貧困問題については真崎議員がすでに告発しています。

質問、お尋ねします。子どもの貧困が深刻化する今、医療費助成を拡充し子育て支援すべきです。当初予算には組み入れられていませんが、その計画はありますか。

次に、転出への影響について伺います。答弁では「尼崎人口ビジョン・尼崎版総合戦略の策定に際して行った、本市から神戸市や西宮市、伊丹市といった近隣都市へ転出した子育てファミリー世帯に対するアンケート調査」では「転出の最も大きなきっかけは、手狭になったなど住宅の課題解決や就学・就園など子どもの事情など」とお答えでした。ところが、このアンケート調査はつづきがあって「問11:引っ越し先を検討する際、子育て施策など行政サービス・制度について調べましたか」と聞いています。

質問 結果はどうですか

「ある」と答えた人に、さらに「一番大きな決め手」について聞いています。

質問 結果はどうですか

乳幼児医療等の助成金額や助成期間がトップです。市はこれまでこのアンケート調査の結果から子育て世帯の定住・転入の促進の施策として、街のイメージアップや防犯、学力向上ばかりを強調してきました。それが間違っているとはいいませんが、しかし、子育てファミリー世帯が引っ越し先を検討する際、子育て施策がどうなっているか、その中でも一番の関心事は乳幼児等の医療費助成がどうなっているかということだとはっきり出ているではありませんか。市が平成21年から26年までの間に転入・転出した若い夫婦・子育てファミリー世帯に行ったいずれのアンケート調査グループでも同様です。わが会派はこれまで機会あるごとにこどもの医療費助成の拡充が子育て世帯の願いであり、定住・転入につながると訴えてきました。

質問、お尋ねします。市はこの調査結果はあえて伏せてきたのですか。

 それでは、子育て支援施策のひとつとして医療費助成の拡充が重要だと認識を改めるべきです。当局に試算していただいたところ、小1~小3までの助成内容を現在の1回800円2回までを半額の1回400円にするのに、38百万円あれば可能です。

 <児童ホームの受け入れ体制について>

児童ホームの2次募集も3月5日で締め切られました。

お尋ねします。新年度の待機児童が発生する児童ホームは3月5日現在でいくつありますか、待機児は何人ですか

質問、では、入所申請したけれど待機となった場合、どのようなフォローをしていますか

民間児童ホームは1ヵ月2万円・3万円も費用がかかります。学校から民間児童ホーㇺの移動の際の安全も気がかりです。こどもクラブは安全な遊びの場の提供のみ。放課後「おかえりなさい」と子どもを迎えてくれる家族替わりの生活の場ではありません。夏休み期間などは、お弁当を持っていけません。近隣の空児童ホームの利用は、子ども同士のつながりを壊します。移動時の安全も気がかりです。

質問、代表質疑で、待機児童が発生する児童ホームについては2次募集(2月22~3月5日)、で入所申請を受け付けなかった理由を尋ねましたが、当局は答えていません。再度尋ねます、なぜですか

質問、1次募集で、40人定員の潮児童ホームでは新1年生だけでも44人申請、3年生までで76人、全体で91人の申請がありました。2年生から待機児童が発生する児童ホームは潮以外で4ホームありました。3年生まででは10ホームとなり、合わせて15ホームです。これは、一定予測していたことですか

2015年度の状況でも、2年生までで待機児童が発生した児童ホームが25カ所ありました。小学校では学級数を推計するために乳幼児の人口動態を見ています。児童ホームについてもこの情報も参考にして、後追いにならない定員増計画を持つべきです。 

<支所廃止・保健福祉センター2カ所化について>

社会福祉協議会に申請業務を委託することについて、代表質疑の当局答弁では「社会福祉協議会は、地域福祉の推進を目指し地域にある生活や福祉課題の解決に向け」「相談」や「様々な活動を展開して」きたので、「そうした専門的な知識や経験が発揮され、単なる申請受付だけでなく、制度案内や窓口紹介も含めて適切に対応することができ(る)」と答弁されました。また、これまでの常任委員会の質疑の中では、受託される社協側の判断にはなるけれど、業務量や偽装請負にならないために、職員2人体制で受けてもらうようになだろうと答弁されています。 社協が委託される申請窓口業務として、例えば身体障害者手帳の交付・変更申請、障害者の福祉サービスの申請・変更、精神障害者の通院医療公費負担の申請・更新などがありますが、受付件数は年間1000件以上あります。「自分の場合対象になるだろうか」とか「どこの病院で書いてもらえばいいか」「今のかかりつけ医を替わりたいがどこがいいか」など様々な市民の相談が加わります。こうした市民の疑問や不安に対応することが求められます。

質問、こうしたことを、代表質疑の答弁で言われたように適切に対応できる保証がどこにありますか。

質問、責任者が休暇を取った日は、申請内容について分からないことが出てきた場合、偽装請負になるので市に問い合わせができないのではないですか。

市民に対して責任ある対応を行うために、委託ではなく地域保健・地域福祉の窓口業務は市職員が行うべきです。乳幼児健診について、健診環境の改善を最優先に考え、利便性の高い場所でより安全・安心に健診を実施するもので、受診率については2カ所集約後の受診動向を踏まえたうえで、課題があれば休日健診の実施についても検討すると答弁されています。

質問、現在の乳幼児健診率は何%で、経年的推移はどうなっていますか。未受診者にはどんな対応をしていますか

質問、乳幼児の発達保障と子育て支援に健診は欠かせません。健診場所を減らすことで受診率は下げないと約束できますか。

<総合事業実施準備について>

質問、2016年1月の第2回社保審高齢者保健福祉専門部会の資料が、今年夏頃に提示される総合事業ガイドラインの骨子と考えてよいですか。

介護事業所は今年度の報酬引き下げで小規模ほど経営が厳しくなっています。その上総合事業の実施で要支援者へのサービスはこれまでと同じサービスを提供しても、介護予防の時よりも単価が低く抑えられるようでは、参入が困難になることが予想されます。一方で、要支援者にとっては受け皿の事業所が減ってしまえば、必要なサービスが受けられなくなります。介護予防サービスには、専門的サービスの提供で要支援の認定を受けている方を重度化させない目的があります。これは総合事業に移行しても変わらない重要なポイントです。ところが、ヘルパー事業で、掃除やゴミ捨て、買い物など生活援助に区分されるサービスについては30分未満という短時間の導入を考えています。そしてサービスを行うヘルパーはたった18時間の講習を受ければ認定するとしています。生活援助サービスは本人の代わりにやればいいというものではありません。ヘルパーは冷蔵庫の中身をチェックして、必要な買い物を本人が依頼しているかどうかで認知症の早期発見をしたり、食べ残しの量から本人の体調変化をキャッチしています。要支援者への生活支援サービスは、一律に認定ヘルパーで30分未満ではできません。対象者の状況に合わせた対応が求められると思います。

質問、高齢者ふれあいサロン事業が新事業としてあがっていますが、2年の補助期限を設定している理由はなんですか。

高齢者ふれあいサロン事業は、地域の集いの場づくりをしようとする住民ボランテイアを積極的に支援する取り組みとしては評価できます。しかし、2年経ったら内容を充実させて総合事業に移行させる、住民ボランテイアに期待した事業で、週1回以上10人以上の参加者という事業に集約しようとするのはハードルが高すぎるのではないですか。住民ボランテイアのみなさんが、ご自分も含めて地域で集える場づくりは重要だと思います。老人いこいの家運営事業をなくすわけですから、2年経って2018年以後も住民ボランティアの活動を支援する事業は継続すべきです。 国が、新年度に総合事業の対象としない「高齢者の生活支援等の地域のくらしを支える仕組みづくりの推進」事業に補助金を設定しています。地域における住民同士の支え合いによる高齢者支援の取組み、例えば交流の場づくり、声かけ・見守り、買い物支援、配食サービスなどへの地方交付税措置です。積極的に活用すべきです。