予算特別委員会2016年度予算案に対する総括質疑の真崎一子議員の発言です

 まず最初に、保育所の待機児童の現状について伺います。1億総活躍社会や少子化と言うなら「保育所落ちた、日本死ね」と訴えた、匿名のブログをきっかけに、「名前を名乗れ」とのやり取りの中で、「落ちたのは私です」とかいたプラカードを掲げた、幼い子どもをだいたお母さんたちが国会前での抗議や署名活動をおこなっています。先日2万8千筆の署名を厚生労働省に提出しました。様々な方法で保育制度の充実を訴える、若いお母さんたちの行動力には驚かされます。今や待機児童の問題は大きな社会問題になっています。今から40数年程前でしょうか、働く母親たちが「ポストの数ほど保育所を」と求めて行動する姿がありました。尼崎市でもそんな運動にこたえて、多くの公立・民間の保育所ができました。そのおかげで私は、「保育所に入れない」という苦労はすることなく、3人の子どもを育てることができました。 尼崎市では昨年の4月1日の時点、新年度になり一番待機児が少ない時期で68人の待機児がいました。

質問:子どもを保育所に入れて働かなければならないのに、保育所には入れない母子の実情を市長はどのように思われますか?  

 私が住んでいる武庫地域は、尼崎市でも待機児童が一番多い地域です。昨年4月、すでに34人の乳幼児が保育所の空きを待っている状況でした。2013年に36人、翌14年では24人でした。近年では新興住宅やマンションが増え、若い子育て世帯が増えています。

質問:今後、尼崎市の待機児の増減はどのような見通しを立てておられるんでしょうか?また待機児への対応は、今後どのようにしていくのですか?

 園田・塚口保育所の建て替え時には、0歳児の受け入れ、定員増をされました。

質問:今後も、公立保育所の建て替えの際には、0歳児の受け入れや定員増を行っていくと考えていいのですか?

 公立保育所の建て替え計画について。先日の川崎議員の代表質疑に続いて、質問していきます。公立保育所の保育所施設整備事業費が2260万円計上されています。拡充事業として3カ所の外壁改修工事が行われます。しかしこれ以外の老朽化したプレハブ等の公立保育所の建替は、どうなっているのかという問題です。川崎議員の「老朽化した建物で保育を受けている子どもたちはいつまで放置されるのか。具体的に年次計画を立てるべきだ。今後の計画づくりはどうなっているのか。」との質疑に対して、市長は「公立保育所については、「公立保育所の今後の基本的方向」に基づきこれまで民間移管を進めてきており、最終的には9か所を残すこととしている。残る保育所については、軽量鉄骨造りで建設年数が経過し、老朽化した保育所については、これまでも園田保育所、塚口保育所については建て替えを行ってきた。財政状況が厳しい本市であるが、建て替えに必要な用地の確保など、条件が整いしだい、建て替えを進めていく」との答弁がありました。公立保育所残る9か所のうち、2012年園田保育所、14年には塚口保育所の建て替えが完了しました。しかし、その後の建て替え計画が示されていません。

質問:残る7か所のうち、建て替えが必要な保育所の名前を挙げてお示しください。

質問:これらの保育所の具体的な建て替え計画はどうなっていますか? 

質問:公立保育所の建て替えは、公共施設のマネジメント計画の中で、余剰地での用地確保も含めて決定されていくのでしょうか?それとも条件がそろったところから順次建て替えが行われるのですか?保育所の建て替えに対する、市の考えをお聞かせください。

 残る9か所うち、建て替えが必要な7か所はいずれも旧耐震であり築40年以上経過しています。比較的新しいとされる大西保育所でも築35年が経っています。市長は、「建替えに必要な用地の確保など、条件が整ったところから進めていく」と言われています。

質問:現在、用地の確保等、条件が整っている保育所はあるんですか?

 園田保育所、塚口保育所の建て替え後、ぷっつりと建て替えの話が途絶えてしまいました。これでは新しい施設の児童と古い施設の児童との、処遇に不公平が生じています。すべての保育所の建て替え計画を立てて本気で取り組む姿勢が必要です。

 次に、私が住む武庫地域にある、武庫東保育所の建て替えについてです。私が初めて議員になって健康福祉委員会で塚口保育所の建て替えの陳情が出され、繰り返し審議をしました。7年前のことです。あのときは「建て替えの用地がない」と当局は答弁されました。保育所の横に公園があると言っても「都市公園である。都市整備局の土地であり代替え土地にはならない」と繰り返し答弁がありました。そして2014年に塚口保育所は公園の土地と保育所の土地を入れ替え、新建設がされました。本気で建て替えを決意したら、あらゆる知恵をしぼり実行できるのが市役所です。武庫地域にある武庫東保育所も築48年経過した古い保育所です。市営時友住宅の70代のご婦人は、「私が時友住宅に引っ越ししたときから、武庫東保育所があり、今は50歳過ぎた息子たちもお世話になったのよ」と地域になじんできた保育所であると教えてくれました。先日、古い建物でどんな不具合があるんだろうと武庫東保育所を視察してきました。古いながらもメンテナンスが良くされ、整理整頓が整っており、保育士さんの工夫や努力で清潔で機能的に使っておられました。

質問:武庫東保育所を、職員や子どもたちが大切に使っていても、限度があります。築48年経過した軽量鉄骨では、耐震など子どもたちの安全は確保されますか?

 市長は、「建替えに必要な用地の確保などの。条件が整ったところから進めていく」と言われています。そこで、武庫東保育所の建設用地について私が考えた3つの方法を提案します。1つめは武庫東保育所にも、道に隔てて隣に公園があります。その公園を代替え土地として使えるのではないでしょうか。2つ目は自転車で7分ほど走ると、武庫庄幼稚園があります。共産党議員団は武庫庄幼稚園の廃園に反対しましたが、来年度は廃園、解体が始まります。そして同じ敷地内にある武庫庄小学校のグランドになります。代替え施設として活用するのであれば、来年度解体される前に早急な決意が必要です。3つ目が、武庫東保育所とほぼ隣あわせにある時友住宅が今建設中であり、2018年に完成、東半分の用地が余剰地になります。その土地はどのような用途にするのか決まっていません。そこの用地を利用することも可能なのではないでしょうか。以上、素人の私が考えただけでも3つの方法がありました。

質問:市長は用地の確保、条件がそろったところから建て替えていくといわれました。条件はそろっているではありませんか。武庫東保育所の建て替えをどう考

 子どもの貧困について。代表質疑での「子ども青少年本部」を新たに立ち上げ、本部長を市長自ら、副本部長を両副市長、教育長の体制で行っていくということでした。川崎議員の「子ども青少年本部の目的は?」との質問に、市長は「近年の社会情勢の変化等により、例えば、子どもへの虐待や不登校などといった様々な課題がより顕在化してきた。今まで以上に市長部局内や教育委員会との連携・調整を行う必要がある状況となっている。「こども青少年本部事務局」を新たに設置することにより、これらの課題の解決を的確かつ速やかに推し進めていく」との答弁でした。私はこの答弁を聞いて、市長は尼崎市の子どもが生活しづらい状況をなんとか対応したいと思っておられると受け止めました。NHKの時論公論の村田英明解説委員は、様々な取材を通して「子どもの貧困は、虐待や不登校、非行など様々な問題につながるおそれがある。子どもの将来に大きな影響を与えるからこそ、深刻化する前に支援の手を差し伸べる必要がある」と述べています。

質問:市長は、NHKの村田氏の指摘をどのように受け止められましたか?

 親の失業や低収入、病気、離婚、死別など家庭の経済状況の悪化がもたらす、子どもの貧困は日本では年々深刻になっています。国の貧困の実態を示す国際的な指標に「相対的貧困率」があります。可処分所得などをもとに生活が支えられるぎりぎりの「貧困ライン」を計算し、それ以下の所得しかない人の割合を示す数値です。子どもの貧困率は2006年には14.2%、約7人に一人でした。当時、経済協力開発機構(OECD)諸国の中でも最悪の水準に位置していると大問題になりました。その後も悪化を続け、2012年には、16.3%、約6人に一人へ拡大しています。特にひとり親家庭は54.6%、半分以上が貧困状態であり、深刻な状況です。さて尼崎市はどうでしょうか。貧困率との相関関係の有無は解りませんが、類似データとして小中学生の就学援助認定率をみると、2013年度西宮市や伊丹市は16.8%、6人に一人の割合です。それと比べて尼崎市は25.9%、約4人に一人が貧困です。ひとり親世帯が多いのも貧困率を高める要因となっています。

質問:尼崎市の子どもの貧困は、全国的に見ても、この近隣都市の状況から見ても深刻です。尼崎市の子どもの貧困についてどう思いますか。またどんな対応をしようとしておられるのか、市長の見解をお示しください。

 子どもの貧困実態調査。東京足立区のとりくみを紹介します。2015年度から、子どもの貧困対策に取り組む専門の部署を設けて、「早期発見・早期支援」に乗り出しました。「早期発見」。具体的には、子どもが生まれる前から貧困につながるリスクを見つけ出そうと、妊婦が母子手帳を受け取る際に提出する「妊娠届出書」で情報を集めることにしました。アンケートの項目にパートナーとの関係や生活費などで困っていないか記入する欄を設けて、例えば、パートナーとの関係が悪いと答えた人がいれば、ひとり親世帯になるリスクがあると考えて、そうなっても孤立しないように必要な支援を考えます。さらに、小学1年生の全世帯に協力を求めて、無記名で貧困の実態調査を行うことにしました。保護者の所得や公共料金の支払い状況、虫歯の有無など子どもの健康状態や食生活などを調べて、明らかになった課題に重点的に取り組むためです。子どもの将来に大きな影響を与えるからこそ、深刻化する前に支援の手を差し伸べようと、足立区では個人のプライバシーに踏み込んで情報を集めることにしたのです。足立区は、調査を開始して1年、学者による分析を行っているところあり、まだその成果は発表されていませんが、貧困率を数字で示す、早期発見・対策に期待をするところです。

質問:子どもの貧困の実態は見えにくいといわれますが、その実態を把握しなくては対応できません。個人情報の取り扱いには細心の注意を払いながらも、まずは貧困の実態を知ることが支援をする上では必要だと思います。いかがですか?テレビや新聞でも「子どもの貧困」を取り上げた特集が行われています。今や社会問題にまで発展してきています。子どもの貧困は見えにくいと言われていますが、このまま見ないふりをすることはできないと思います。実態調査をして、誰にでもあてはまる総合的な支援か。所得に応じて個別な支援かなど、対策を考えるべきです。

 次に、就学援助制度についてです。就学援助制度というのは、公立の小中学校に就学している児童生徒が、学校で楽しく勉強ができるよう、学用品、修学旅行費などの教育費の支払いが困難な世帯に、その費用の一部を援助する制度です。春3月、卒業・入学の季節です。わが子の進学を喜ぶ一方で、公教育が予想以上に私費負担が必要なことを知って戸惑っている保護者が少なくありません。中学入学に備えて制服やジャージの上下、通学カバン等の準備に現金払いが大変なのです。尼崎市の一中学校では、入学までに約7万円、5月ごろには夏の制服の購入に2万5000円ほどかかります。就学援助の第一次受付が4月9日~24日までです。そして認定されて支給されるのが、7月に新入学学用品23,550円が保護者の預金口座に振り込まれます。これでは到底入学準備には間に合いません。

質問:就学援助を早い時期に申し込み、入学の準備に間に合うような支援が必要です。いかがですか?

質問:せめて小学校で就学援助を受けている子どもに対しては、中学になっても継続する場合が圧倒的に多いのですから、4月入学前に新入学用品が準備できるような、配慮が必要です。いかがですか?

 東京板橋区では、保護者や教職員の要望があり、中学校の入学準備金が2011年から就学援助を受けている小学6年生に支給されることになりました。尼崎市でも、ぜひ検討してほしいと思います。

 尼っこ健診の結果について。私は例年、「尼っこ健診の検査結果」に大変興味をもって、市政を見てきました。未来を担う子どもたちの健康や食生活のあり方、親の所得の格差と生活状況が、今問われていると思っています。その視点で、質問を行っていきます。 尼っこ健診は11歳と14歳を対象に行います。受診率は年々わずかですが増えて来ています。11歳では45%と約半分の子どもが受診しています。

質問:14歳では受診率が23%でした。あまりにも低い。受診率を高める手立てをお答えください。

 「糖尿病予備軍の増加」について。糖尿病予備軍の結果を2012年~2015年の4年間を見ていくと、異常値を示す割合が11歳では16%から28%に、14歳では17%から31%に高くなっており深刻な状況です。糖尿病の場合、特に子どもの肥満を伴わないことが多く、血液検査をして初めてわかる場合があります。気が付いた時には合併症で体の血管がボロボロになっている可能性がありこわい病気です。

質問:データヘルス計画では、大人の生活習慣病の重症化は改善しています。しかし一方では、糖尿病予備軍の子どもが増えています。そのことに対しての原因と対策はどのように考えますか?

 私は、糖尿病の合併症で片麻痺になった人、気が付いたら手遅れになって、失明や足の切断等よぎなくされた人を身近に見てきました。糖尿病性腎症は人工透析される人の一番多い病気です。子どもたちに糖尿病予備軍がこんなに多いということは、何も対策しなかったら若くして合併症で一生苦しむことが目に見えています。

 増える生活習慣病ついて。尼っこ健診を受診した子どもの中で、生活習慣病が全くない子どもは、2012年は61%でした、年々下がってきていて2015年には48%。半分以上の子どもが何らかの生活習慣病に侵されているということです。特に「データヘルス計画」の分析によると、「11,14歳で生活習慣病予備軍となる脂質異常、高血圧、糖尿病の数値など有所見率が高い。特に国保ではより高い」との分析をされています。尼っこ健診をおこなって、子どもの食生活や生活状況とその傾向が見えてきたことは、成果だと思います。

質問:①子どもの半分以上が、すでに生活習慣病の予備軍であることの原因と対策をおこたえください。

②国保世帯の有所見者が多いことについての原因と改善策は、どのように考えますか。

 私は、尼っこ健診を受診する世帯は健康への関心や、問題意識が比較的高い家庭だと思います。問題は健診を受けない家庭の状況です。子どもの健康や暮らしに目を向けることができない家族へのアプローチをどうしていくかです。やはり尼っこ健診の受診率を高める努力が必要です。

 次に、「肥満と有所見の重なり」ついてです。肥満度というのは標準体重の20%以上をいいます。有所見の重なりというのは、肥満と高血圧であったり、糖尿病、中性脂肪の数値が高かったりと肥満プラス2,3個と異常値が重なることです。リスクの集積が3個以上なら心筋梗塞などの発症リスクが35倍になると言われています。そんな子どもが2012年には10人に一人でした。2015年は5人に一人になっています。10人に一人でも深刻なのに、いまでは5人に一人とはあまりにもショッキングなデータです。2012年に11歳だった子が、2015年に14歳になって尼っこ健診を受けたとして、11歳で3個以上の有所見の重なりが8%でした。14歳になった時19%に、約2.5倍になっています。

質問:有所見の重なりが多い子、特に3個以上の重なりがある子に対しては、継続的な保健指導や医療機関での受診が必要と思いますが、どうされていますか?

 健診というのは早期発見・早期治療が前提です。検査後のあとのフオロー体制が確立していないのは問題です。

 保健指導の体制。特定健診の結果を受けて、保健指導を検討する機関として「ヘルスアップ戦略推進会議」があり、その中に「保育学校教育部会」があります。「部会」のメンバーとして教育委員会や健康支援推進担当、保健所も入っています。尼っこ健診で有所見だった子どもを教育委員会につなぎ、継続的に養護教諭や担任の教師につなぐ体制をとっておられます。しかし、年々、生活習慣病の有所見者の数が増えている事実を見たら、適切な生活指導ができているとは思えません。

質問:今の体制で継続的な保健指導はできているんでしょうか?

 私が病院勤めをしていたとき、栄養指導は管理栄養士がおこなっていました。看護師もおこなっていましたが、管理栄養士に助言をもらっていました。管理栄養士は栄養指導だけでなく生活の中で運動をどのように取り入れていくかなど、生活指導のプロです。

質問:小学校でも管理栄養士がいます。管理栄養士の仕事はなにですか?なぜ保健指導に加わってもらわないのですか?

 私は中学校に管理栄養士がいないというのもおかしいと思います。給食の献立がないから? それだけが管理栄養士の仕事ではないはずです。弁当の献立や栄養について相談できる窓口だって必要です。

質問:養護教諭と管理栄養士、時には保健師も加わり連携して、特に有所見の重なりが多い子に対しては継続的に子ども自身ができる生活改善の方法を一緒に考え、実行できる手立て取ってほしいと思います。いかがですか。

 生活習慣病予備軍のこどもが 52%、その中で、糖尿病予備軍のこども 30%、肥満プラス有所見者 有所見の重なり2個のこども 25%、有所見の重なり3個以上の重篤なリスクの子 18%、深刻な状況です。あらゆる手段、あらゆる機会 あらゆる人を使って、生活習慣病の改善に全力であたってほしいと思います。