12月市議会 本会議の松沢千鶴議員の一般質問の発言です

第1登壇

日本共産党議員団の松澤千鶴です。私は、市の公共施設の最適化に向けた取り組みについて、介護保険事業について、市バスのバス停ベンチについて順次質問していきます。

<公共施設の最適化に向けた取り組み>

尼崎市は老朽化する各支所と地区会館を合築して、複合施設を新設しようとしています。手始めに武庫地区の複合施設の設計予算が6月議会に、今議会には建設予算が提案されています。そしてこれを機に支所で行ってきた地域保健業務はもう複合施設では行なわず、市内2カ所の保健福祉センターに集約するといいます。地域福祉業務の大半は社会福祉協議会に委託するといいます。市民生活に密着する市民サービス提供のあり様が大きく変ろうとしています。

そこで質問します。Q:複合施設の機能・職員配置はどうなるのですか。

Q:現行の支所の利用と比べて、市民にとっての利便性はどう変わるのですか。

<介護保険事業について>

次に、介護事業所の現状についてお聞きします。 大阪社会保障推進協議会が今年7・8月に府下の指定通所介護事業所、いわゆるデイサービス事業所にアンケート調査を行っています。なぜデイサービス事業所なのかといえば、今年4月の介護保険改悪で、全国的に見ても要支援者の3割ほどの人が利用しているデイサービス事業が介護報酬削減のターゲットになり、要支援1ではマイナス22%、要支援2ではマイナス20.3%と大幅な削減がされたからです。アンケート結果によれば、4月の介護報酬削減によって、10人以下の小規模デイサービスで85%が、11~20人規模では75.7%が「減収になった」と答えており、減収率はマイナス12%を超えています。規模が小さいほど報酬削減の影響が大きく出る傾向がありました。その上、総合事業に移行する際には報酬が更に7~8割に下げられる心配があり、今後の事業展開について「事業からの撤退」「事業所の整理・縮小」を考えている事業所が3割近くあるとの結果が出ています。この大阪に限ったことではなく、北海道や千葉市でも大幅減収により、小規模デイサービス事業所が存続の危機にあることが新聞報道されています。昨日の渡瀬議員の質問に対して、尼崎では廃業する事業所もあれば新規参入する事業所もあり、総数で増えているから報酬削減や総合事業が始まることが問題になっていないというような答弁をされていますが、これからが表面に出てくる問題かもしれません。 尼崎には11月現在191のデイサービス事業所がありますが、そのうち定員20人以下の小規模事業所が130所、68%を占めています。ここに存続の危機があれば、この先介護の受け皿が不足してしまうことが懸念されます。

そこで質問します。Q:尼崎のデイサービス事業者の介護報酬削減による影響はどうなのか、市は把握していますか。

次に、アンケート調査では介護労働者の処遇改善の状況を聞いています。今年4月国は、処遇改善加算を一定「改善」しましたが、アンケート結果では、処遇改善加算取得による賃金改善の方法については「賞与や一時金」が51%で、「基本給の改善」は25%にとどまっています。せっかくの処遇改善加算ですが、根本的な処遇改善となる基本給のアップになっていないので実効性は課題があると思います。

そこで質問します。Q:尼崎の介護労働者の処遇改善の状況はどうでしょうか。市は把握していますか。

次に2017年から始めようとしている総合事業の考え方についてお聞きします。Q:国はモデルとして・現行相当・基準緩和型・住民主体型・短期集中型などを示していますが、市はどういうものを導入しようとしているのでしょうか。

<市バス・バス停ベンチについて>

9月議会で、市バスが67年の歴史を終え、阪神バスに来年3月20日移譲されることが決まりました。市バスは長きにわたって様々な福祉的サービスを市民に提供してきましたが、その一つがバス停ベンチの存在です。多くのバス停にベンチがあり、バス待ちの高齢者や障碍者などに喜ばれています。他市にはほとんどない市民への温かいサービスです。しかし、阪神バスに移譲が決まったことで、道路構造令に違反するベンチは来年早々には撤去すると市は言っています。

Q:現在何カ所のバス停にベンチがあり、そのうち何カ所のベンチを撤去する計画なのですか。

これで1回目の質問を終わります。2回目からは1問1答で質問します。

第2登壇

<市バスのバス停ベンチについて>

Q:市はこの注文にどう答えますか。まさか交通局がなくなるので責任持てませんなどとは言わないでしょうね。いかがですか。

担当課からは、できるだけベンチを残せないかと検討を重ね、2月の撤去案よりは撤去数は減らしたと聞いていますがそれでも(   )個のベンチが撤去されるんですね。来年早々に具体的に撤去が行われれば、地域から「ベンチが必要だ」という声はあがってくるでしょう。若王寺バス停のように市民の協力でベンチの設置が可能な個所も出てくるでしょう。そこにはしっかりと市が責任をもって設置していくべきだと思います。

Q:今後阪神バスに移譲されてからも、市民からの意見や苦情などが出てくると思いますが、それを受ける市の窓口はどこになりますか。

市民の声に行政がどう応えていくのかが問われている問題です。

<公共施設の最適化に向けた取り組み>

(    )という答弁でした。昨日の久保議員の質問に対して、支所で現在行っている地域保健・地域福祉の申請受付窓口業務は114あると答弁がありました。

Q:それらすべてを社会福祉協議会に委託すると言うのですか。

業務は114あり、そのうち100~102は委託ということですね。高齢福祉、障がい者、児童・母子、福祉医療、介護保険、後期高齢、保健関係と多義にわたります。事前にいただいた資料で見ると、これら社協に委託する予定の業務の受付総件数は全体で76,000件余り1支所で年間約12,800件、1日あたりで42.5件となります。

Q:広範囲の申請受付であり1日あたりの件数も多いこの仕事を、社協がしっかり受けられるのでしょうか。

また、単なる受付だと言いますが、窓口に来る市民の側が申請する制度が分かったうえでの受付だったら問題ないかもしれません。しかし、よくわからないけど周囲に聞いたら何か利用できるらしいと言われて来たというような、窓口が交通整理してあげなければいけないような来庁者が案外多いのではないですか。経験のない社協職員がアドバイスを受ける市職員もいないところで、ちゃんとそれができるのでしょうか。はなはだ疑問です。地域保健担当の申請受付以外の業務は全部保健福祉センターに移されます。6支所から2センターへ、市民にとって明らかに「市役所」が遠くなります。9月議会のわが会派の真崎議員の質問に対して、当局は「保健と福祉が一体的に対応できる、乳幼児健診の環境改善ができる」と保健福祉センター2ケ所集約の優位性を答弁しましたが、市民にとっては「支所がなくなる」ことが最も大きなデメリットではないでしょうか。職員のみなさんは、赤ちゃん健診の時若いママさんたちがどんな方法で支所に来ているかご存知ですか。車利用はほんのわずかです。ほとんどが自転車で、前かごに大きな荷物を乗せ赤ちゃんをおんぶしたり、上の子を座席に座らせてやってこられます。距離が遠くなると自転車では困難になる人が増えます。バスや電車を乗り継いで保健福祉センターまで行くのはたいへんです。母子保健については母子帳の交付申請からはじまり、妊婦教室、赤ちゃん健診や育児相談など全てを保健福祉センターで行うと言いますが、遠くなることで健診受診率が下がり、これまでできていた母子保健のサービスが低下するのではないかと危惧します。精神保健でも、生活相談で知りあった統合失調症の男性は、作業所を紹介してもらい通所が安定するまで何回も支所の精神保健相談員に相談に行ったと言っています。身近にあるからこそ受けられたサービスでしょう。

Q:市は遠くなることのデメリットを考えませんか。いかがですか。

日本共産党議員団は11月 西宮市の支所機能の視察を行ないました。西宮市は人口48万人、尼崎市より4万人程人口が多い中核市です。5つの支所、2つのサービスセンター、4つの分室、平日の開庁時間の延長及び土・日・祝日の開庁を行うアクタ西宮ステーションがあります。また、支所やサービスセンターに付随して地域保健を担当する保健福祉センターが5か所あります。鳴尾地区では以前赤ちゃん健診は本庁で行っていたけれど、人口増加などで鳴尾支所に保健福祉センターを併設。それによって健診受診率が向上したそうです。西宮市も職員定数の削減やファシリティーマネジメントの基本的方針で25年で10%以上の総量圧縮が打ち出されています。行革も進めていますが、それで浮いた職員やお金は対市民サービスに回し、フェイス・ツウ・フェイスを重視するのが西宮市のやり方でした。尼崎市のめざす方向はどうでしょうか。9月議会・真崎議員の質問に対して、厳しい財政状況と限られた人的資源の中では、6カ所すべてにおいて十分なスペースの確保や人員配置をおこなうことは非常に困難と答弁されていますが、これでは行政のギブアップ宣言に等しいと思います。

Q:市長に伺います。フェイス・ツウ・フェイスで住民に身近な行政サービスを適切に提供することが市民サービスの原点ではありませんか。見解を求めます。

次に保健福祉センターの設置場所が確定していないことが昨日までの久保議員の質問で明らかになっています。Q:市の計画では、2017年4月に武庫地区複合施設と南北の保健福祉センターが同時スタートすることになりますが、北部の場所確保がこんな状況で果たしてそれは可能ですか。

Q:北部保健福祉センターが2017年4月に間に合わなかったら、それこそ武庫地区の地域保健・地域福祉担当が行う市民サービスはどこで提供するのですか。

Q:北部保健福祉センターの場所が確定できないまま、武庫地区の複合施設の建設計画を進めるのは、あまりにも無謀です。場所が決まるまで建設計画は凍結すべきと考えますが、いかがですか。

これまでお聞きして、市の公共施設の最適化の取組みは、市民にとっては「市民サービスの低下」をもたらすことが明らかになったと思います。複合施設に現行の地域保健・福祉担当を残すべきです。複合施設に赤ちゃん健診ができる設備を整え、健診は複合施設で行うべきです。市民からは「複合施設の3階部分に400人も収容の大ホールは要らない。地区会館同様に250人ぐらいのホールで十分だ。」という声もあがっています。複合施設の設計図を見直せば、これらの変更は無理な話ではないと考えます。そのうえで、現在市役所の福祉事務所1ヵ所で行っている生活保護・障害者福祉・生活支援などの保健福祉部門の2ヶ所化を検討すべきだと指摘しておきます。

<介護保険事業について>

次にデイサービス事業所や介護労働者の現状についてですが、市は実態把握されていないことが分かりました。私は、市内のある小規模デイサービス事業所に話をお聞きしました。ここは、事業者所有の集合住宅の1階部分で事業を行っておられます。建物のローンがなくなったのでなんとか経営は成り立っているとのことですが、次の展開として2カ所目の事業所を考えていたものの、それは報酬削減などでかなりハードルが高くなってしまった。今は必死で利用者の獲得に走っている。小規模には家庭的で個々人に1対1で関われる良さがあり、要介護・要支援の高齢者にとって必要な社会資源だと実感しているので頑張りたいと話されています。社会的介護を担う事業所や介護労働者が、4月からの制度改悪によって疲弊し今後減少するようでは受け皿が不足し、介護難民が出てきます。第6期介護保険計画にも狂いが生じてしまいます。緊急にデイサービス事業所の実態調査が必要だと思いますがいかがですか。

Q:市は事業者実態調査をするつもりはありますか。

次に総合事業に移ります。市は現行相当サービスのほかに基準緩和型を考えているようですが、これは無資格者が数時間の研修を受ければ事業者指定を受けられるもので、生活の質の向上への配慮が度外視されているとか、かえって重度化を早めるなど専門家から問題点が指摘されています。また、今年度から総合事業をスタートした全国各地の自治体では、報酬は軒並み改定前予防給付の6~7割に削減されています。これではさらに事業所の経営悪化が懸念されます。基準緩和型の導入は、介護の質を低下させ介護事業所の存続を危うくするばかりで、要支援の高齢者やその家族にとって安心を与えるものにはなりません。

Q:基準緩和型は導入せず、現行相当サービス中心で行うべきと考えますが、市長の見解はいかがでしょうか。

多様なサービスとして住民ボランティアで現在行われている地域のお食事会や訪問型サービスなどの支え合い・助け合いをもっと広げていこうという方向は、日本共産党議員団も賛成です。現行サービスだけでは補えない生活の質を向上させる取り組みや隙間の支援として、公的補助を充実していくことを求めます。重ねて言いますが、2017年から行う予定の総合事業は、要支援者が地域で安心して暮らしていくためには基準緩和型ではなく現行相当サービスを保障すべきです。要支援者のホームヘルプサービスとデイサービスを現行相当で行うことは、事業所の経営を支援し、介護の受け皿である事業所を減らさないことにもつながります。

次に訪問看護の集中減算についてお聞きします。集中減算とはあまり聞きなれない言葉かもしれません。ケアマネージャーがたてるケアプランが公正中立に行われることを目的に、正当な理由なしで事業者紹介に偏りがあった場合にはペナルティとして報酬の減算を行うことを集中減算と言い、2006年から実施されています。今年9月からその対象事業に訪問看護も追加されることになり、ケアマネジャーや訪問看護ステーションに動揺が走っています。なぜならば、訪問看護はケアマネジャーが故意にある訪問看護ステーションを紹介するものではなく、患者の主治医から指示書が出されそれによってケアマネジャーがケアプランを立てることになっており、ほとんどの場合、主治医が信頼する訪問看護ステーションを指名しているからです。9月に在宅医療を熱心にやっている法人から、市に対して申し入れ書が出されました。訪問看護の他の介護サービスとは異なる特殊性を理解し、一律に処理しないでほしいという趣旨でした。

Q:まずお聞きします。市は訪問看護の他の介護サービスとは異なる特殊性についての認識がおありですか。

この法人は10数年来患者やその家族のニーズに応じて、在宅での看取りや退院後の安心できる在宅医療のために努力し、そのことが地域の開業医や病院から信頼を得て、多くの利用がされている実績のあるところです。今回集中減算のシュミレーションをしてみると、年間3,800万円以上の減収になってしまい、事業所経営や、スタッフの確保、研修などに大きな痛手になるといいます。一方で、ちまたでは集中減算は9月から2月の実績のトータルを見て行われるので、減算にならないために各法人間でケアプランや患者のトレードが当たり前のように行われているとのことです。私は、これはたいへん問題だと考えます。患者やその家族の在宅医療への願いや主治医の治療方針が、集中減算によって事業所収益が減ることを理由にないがしろにされるからです。これでは在宅医療の安心も充実もあったものではありません。

Q:こうした事態について市長はどう考えますか。

集中減算の適否の判断は都道府県や指定都市の長に委ねると厚生労働省は言っています。それを受けて、北海道や山形県などは、訪問看護については主治医の指示書があれば「正当な理由」とみなして減算対象から除外すると公表しています。尼崎市も中核市なので市長の判断で対応は可能です。市民が安心して在宅医療を受けられるために、主治医の指示書があれば集中減算の対象から除外すべきだと考えますがいかがでしょうか。

Q:市長の見解を求めます。

国は、とりあえず今年から3年間で要支援者のヘルパーサービスとデイサービスを介護保険から地方自治体が独自に行う総合事業に移しますが、財政制度等審議会では、この先要介護1・2の介護保険サービスも総合事業に移すことがすでに検討されています。こうした国の改悪の流れを見れば、要支援者の介護保険サービスを総合事業に移行しようとする最初の今の時点から、尼崎市として介護の質を守る、質を高めるための独自の基準づくりや取組みをしておかないと、どんどん規制緩和が進んでしまい、安心の介護が危うくなります。そのためには、高齢者やその家族、介護事業所の実態把握と声を聞く努力を続けていただくことを切に求めて、私の全ての質問を終わります。