12月市議会の辻おさむ議員の一般質問に対する当局の答弁です

質問

TPPの尼崎への影響、ISD条項による公共事業入札への影響はどのように考えているのか。また、農業や市民の安全を危うくするTPPは、批准しないように国に求めるべきではないか。

答弁

環太平洋連携協定、いわゆるTPPにつきましては、本年10月5日に交渉が大筋合意され、その意義は、21世紀型の新たなルールの構築、中小・中堅企業、地域の発展への寄与、長期的な戦略的意義があるとされております。本市は全国的に見ても製造品出荷額が29位と高い産業都市であることから、人口が減少し、国内需要に限界が見込まれる中、部品供給を含め、輸出に関連する中小。中堅企業、海外へビジネスチャンスを求める企業にとっては、メリットが生ずるものと考えられます。その一方で、一般的に懸念が示されている農業につきましては、本市の米の生産量は年間約200トンと少なく、市内で多く生産されている農産物は鮮度の落ちやすい軟弱野菜が多いことなどから、皆無とは言えませんがTPPによる影響は、ほとんど無いものと考えております。また、民間企業等の投資家とその投資を受け入れている国との間の紛争解決手続きを定めるISD条項を含む、今回のTPPに係る内容とその取扱いにつきましても、詳細は明らかになっておらず、国の動向を注視する段階であると考えております。従いまして、現時点において、国に対し、TPPに批准しないよう求める考えは持っておりません。以上

質問

市内の生活保護受給世帯に占める高齢者世帯の割合はどれぐらいか。

答弁

平成27年10月中の生活保護受給世帯13,749世帯のうち高齢者世帯は6,906世帯で、約50%を占めております。以上

質問

市内の高齢者人口が増えるとの予測だが、将来の生活保護受給世帯の推移をどのように見ているか。また、その対策について、どのように考えているか。

答弁

高齢化の進展とともに、無年金や年金収入の少ない方を中心に生活保護を受給する高齢者世帯は継続して増え続けており、今後も、市内の高齢者人口の増加に伴い、生活保護を受給する高齢者世帯も一定増えるものと考えております。福祉事務所や「しごと.くらしサポートセンター尼崎」等では、生活にお困りの高齢者に対して、相談をお聴きする中で、生活保護制度の適用や就労支援、健康面の助言、金銭管理、老人福祉センターの利用や地域活動への参加促進など、お困りの問題に対応する関係機関と連携しながら一人ひとりの身体・生活状況等に応じた支援の調整・提供を行っております。しかし何よりも、将来、経済的な困窮状態や社会的な孤立状態に陥らないよう、高齢に至る前から、自立に向けた対応や早い段階での問題解決への取組が大切であると考えております。( 以上)

質問

市内の生活保護基準相当で暮らす高齢世帯数、いわゆる「下流老人」はどれくらいいるのか。また、将来の推移はどのように見ているのか。

答弁

市内の生活保護基準相当で暮らす高齢世帯数について、現在のところ把握する方法はございません。また、将来の推移については、先ほどご答弁いたしましたように、今後も、市内の高齢者人口の増加に伴い、いわゆる「下流老人」と言われる世帯も一定増えるものと考えております。以上

質問

先日行われた秋の市営住宅募集の戸数と、応募件数は何件だったか。

答弁

先般行いました市営住宅募集の戸数と応募件数のお尋ねでございますが、募集期間を平成27年11月5日から18日までとし、146戸(店舗4戸含む)の空家募集を行いました結果、1,3o1件(店舗4件含む)の応募がございました。以上

質問

さらなるアウトソーシングを検討する目的は何か。

答弁

本市では、これまで厳しい財政状況のもと、市民サービスの質の確保と効率化を目指し、公の施設における指定管理者制度の導入、一般家庭ごみの収集業務や小学校給食調理業務の民間委託等を始め、積極的にアウトソーシングの推進に努めてきたところです。一方で、急速に少子高齢化が進展する中、多様化する市民ニーズや、増大する社会保障費など、公共サービスの業務領域は、増加、複雑化の一途をたどっております。さらに、国においても、「経済財政運営と改革の基本方針2ol5」、いわゆる骨太の方針では、「民間の大胆な活用による公共サービスの産業化、協働の取組を進める」などとし、行政の執行体制のより一層の改革を求めているところです。こうしたことから、業務の進め方を見直し、効率化を図りつつ、民間事業者等が専門性を有する分野においては、それを活用し、変化する市民ニーズや、今後とも行政の役割が増える分野に対応できる人員を確保するため、改めてすべての分野において、アウトソシングの導入を検討するものでございます。以上

質問

アウトソーシングの対象となる「専門・定型業務」、「単純・非定型業務」及び「単純・定型業務」とはどのような業務を指しているのか。例を示してほしい。

答弁

「専門・定型業務」とは、行政特有の専門性が求められるものの、定型的な処理を繰り返す業務を指しており、例といたしましては、住民基本台帳や税務証明等に係る窓口業務などでございます。次に、「単純・非定型業務」とは、行政特有の専門性は認められないが、臨機応変な対応が求められる業務を指しており、例といたしましては、物品調達、庶務事務、ホームページの作成・運営などでございます。最後に、「単純・定型業務」とは、行政特有の専門性は求められず、おおむね定型的な処理を着実に繰り返さなければならない業務を指しており、例といたしましては、清掃業務、給食調理業務、公用車運転業務などでございます。いずれにいたしましても、アウトソーシングの対象とする具体的な業務につきましては、今後、各業務の分析を行う中で判断してまいりたいと考えております。以上

質問

「他の方法」とは何を想定しているのか。このアウトソーシングによる分限免職を行うようなことはあってはならないと思うが、そのようなことは絶対しないと考えていいのか。

答弁

まず、今回の方針に基づくアウトソーシングを理由とした分限処分を行う考えはなく、アウトソーシングによって余剰となる人員については、それぞれの適性を見極めたうえで、必要な部署に配置していきたいと考えております。また、事務職等への職種替え以外の選択肢についても、職員それぞれの生活設計等も考慮する中で、可能な範囲内で用意したいと考えており、同業種の就労を求める者に対する民間事業者への就労斡旋や、希望退職募集といった手法等についても、併せて検討していきたいと考えております。以上

質問

東日本大震災における自治体職員数や職員の役割について、どのような教訓をもっているか。災害時に対応できる職員の適正人数は何人とみているか。

答弁

東日本大震災のような大規模災害の発災時には、被害が広範囲に及び、自治体の機能も著しく低下します。このような場合、被災自治体のみでの対応には限界があること。同時に、外部からの応援や協力を適切に受け入れ、多様な主体の力をコーディネートする、いわゆる「受援力」が、被災した自治体職員の役割として求められるということを強く感じました。今後発生が予測されている南海トラフ巨大地震のような大規模広域災害においても、適正人数を定め、一自治体で対応することは困難だと考えます。国においても災害対策基本法が改正され、自治体間の応援対象業務や国や県による広域応援が拡充されましたが、本市におきましても、広域的な自治体間での相互協力・応援体制の構築や、民間企業等との災害応援協定の積極的な締結に取組んでいるところです。いずれにしましても、市民一人ひとりが自分の命や財産を自分で守る「自助」、地域で助け合う「共助」を組み合わせた取り組みや、市民、事業者、民間団体、行政機関等の多様な主体の協働により、災害に立ち向かう防災を推進してまいりたいと考えております。以上

質問

業務委託した民間事業者の大規模災害時の責務はどのように規定するのか。市職員になり代わって役害’1を果たすことができるのか。

答弁

これまでも、業務を受託した民間事業者の災害時の責務につきましては、その業務の内容や従事場所、特性等を踏まえる中で、必要に応じてそれぞれの契約や協定等の中で規定しているものでございます。例えば、指定避難場所として、尼崎市地域防災計画において指定されている市立の施設のうち、指定管理者を導入している施設(※すべての地域総合センター、園田東会館、園田地区会館)では、それぞれの指定管理者との協定の中で、災害等の発生時に対する対応についての定めを置いております。いずれにいたしましても、今後、アウトソーシング導入の検討を行う際にあたりましては、こうした災害発生時における体制等についても考慮してまいりたいと考えております。以上

質問

住宅費負担ができない若年者に対する住宅対策を検討する必要があるのではないか。

答弁

所得の低い若者が住居費負担ができないため、親と同居しているという事例もあろうかと思います。こうした若年者に対する支援としましては、就労を促す取り組みが重要であると考えており、現在のところ、個人給付となる家賃補助等を実施する考えはございません。

質問

市民生活からみた必要戸数を、類似都市などの比較ではなく、本市の状況からみた必要戸数を検討したのか、検討していないのであればするべきだと考えるがどうか。

答弁

市営住宅の必要戸数としては、平成22年度に改訂しました「住宅マスタープラン」において、震災前の9,000戸程度とし、さらに、平成26年度に策定しました「尼崎市公共施設マネジメント基本方針」における、今後35年間で公共施設の保有量を30%以上削減するという目標のもと、本年10月に公表いたしました「市営住宅建替等基本計画(素案)」において、30%以上の削減を目指すこととしております。以上

質問

市営住宅入居基準に合致する世帯に「家賃補助制度」を設けてはどうか。また、国に制度を設けるよう要望すべきではないか。

答弁

一定の所得以下の高齢者等の住宅対策としましては、賃貸住宅の改修を支援する国の補助事業があり、本市としましては、これらの制度の情報提供を行っているところであり、独自の家賃補助制度を設けることや国への要望を行う考えはございません。以上

質問

豊橋市の「空家バンク」を参考に、空家の活用を目的とした「空家リフオーム助成制度」をつくってはどうか。

答弁

空家対策につきましては、本市の現状を把握することが重要であると考えていることから、今年度、空家等実態調査や所有者アンケート調査を実施しているところでございます。今後、空家の活用も含めた関連施策につきましては、これらの調査結果を踏まえた上で、検討していきたいと考えております。以上

質問

民間委託化は、官製ワーキングプアの製造、「下流老人」予備軍の醸成にならないか。ならないとしたら、その歯止め、対策はどのように考えているか。

答弁

本市が目指すアウトソーシングは、単に経費削減を目指すものではなく、民間事業者等の機動性、柔軟性、即応性、専門性などのノウハウを適切に活用することにより、市民サービスの質の確保などを図ろうとするものでございます。適法な労働条件等の確保は、良好な市民サービスを提供する重要な要素であると考えており、さらなるアウトソーシングの導入にあたりましては、単に安ければよいというものではなく、業務内容と従事者処遇の適切なバランスの確保に向け、選定基準等についても、法令遵守や地域貢献など、総合的な観点に立った上で、検討する必要があると考えております。以上

質問

民間委託の在り方、公契約の在り方、場合によっては、公契約条例も含めて、同時に検討すべきではないか。

答弁

アウトソーシングを導入するに当たっては、災害時の危機管理体制や偽装請負の問題、また、守秘義務やセキュリティの問題など様々な課題の検討が必要と認識しています。中でも、本市が発注する業務委託など契約全般のあり方につきましては、労働条件の切り下げを防ぐ観点、また、業務の質の確保や地域内の経済循環などの総合的な観点から、他都市の事例なども参考に、条例化の必要性も含め、幅広く検討を進めているところでございます。以上