9月議会、松村ヤス子議員の一般質問の発言です

OLYMPUS DIGITAL CAMERA第1問

日本共産党業議員団の松村ヤス子です。生活保護申請に関連してお尋ねいたします。生活保護制度は、憲法第25条の生存権を保障する重要な制度です。だからこそ、困窮市民のいのちにかかわる制度として、申請権を犯してはならない、との立場から、これまでも何度も質問をしてきました。現在の生活保護各課は、ベテランの職員さんが定年退職や異動で、若い職員さんが多くなっています。しかし、申請のために来所された市民と同行した時に感じるのは、若い職員さんたちが頑張っておられることです。丁寧な対応をされていることに、感心もし、嬉しく思ってもいます。そして、申請に至る経緯も改善されつつあると感じています。議員が同席しているからと気をつかったり、逆に緊張している様子を感じたこともありませんし、しっかり仕事をされていると受け止め、大変喜んでいます。私の勝手な想像ですが、大学を卒業され、尼崎市役所の公務員として働いておられる若い職員さんが、場合によっては、文字を書くのも、たどたどしいような、高齢で生活困窮に陥っている市民、そのような方たちの気持ちや行動が理解できるのだろうか、大丈夫だろうかとさえ思ったこともありました。しかし、そんな思いを抱いた私は、若い職員さんたちに大変失礼な思いを持ったと反省しています。保護課の職員さんたちへの丁寧な職員指導が行われていることを改めて理解しているところです。私が議員になったころは、福祉事務所が6か所あり、当時の生活保護制度や申請に対する対応など、6地区ごとにばらばらで、法に違反することが堂々と行われており、今では考えられない対応がまかり通っていました。保護制度を学ぶ中で、そのような誤った市の対応を、それこそ、この22年間、様々な機会をとらえて、是正を求めてきました。生活保護世帯の増加と市の財政難との関連についても着目し、地方交付税の生活保護費に関する基準財政需要額の大幅な不足を明らかにし、国に、是正を求めるようにと要請もしてきました。地方交付税総額については、必要額が十分保障されていません。生活保護制度が憲法25条の最低限度の生活を保障する極めて重要な制度だという強い思いがあり、地方交付税制度の役割から見ても、大きな課題との認識で取り上げ、国に改善を求めるよう強く要請せざるを得ませんでした。もちろん、市職員の熱心な努力により改善が進み、実質的には、扶助費の25%である市の負担分に対する基準財政需要額の10億円以上の不足は、解消され、3億円ほど上回った年度もありました。しかし、これについては、ここ数年、また、4億円ないし6億円程度少なくなっています。改めて、改善を要求すべきと指摘しておきます。この生活保護費と財政との関係は、全国的な生活保護問題の学習会でも、テーマに取り入れています。

先日、「NHKスペシャル、シリーズ 老人漂流社会 急増する 親子共倒れ 『老後破産』の果てに」と題する番組の中で、生活保護の利用について、報道されていました。年金暮らしで生活保護利用の高齢の父親のところに、45歳の失業した息子が同居したことにより、父親の生活保護が打ち切られてしまったとの内容でした。45歳という年齢を強調したように感じました。その息子さんが全くの無収入、もしくは、収入があっても、その収入と父親の年金の合計額が、2人分の最低生活費よりも少なければ、生活保護世帯です。しかし、45歳の息子さんが帰ってきたというだけで収入がどうなのかがまったく報道されませんでした。45歳の息子と一緒では、たとえ無収入でも、生活保護適用にはならないと誤った内容ともとれる部分があったのです。NHKのそれもゴールデンタイムでの放送であり、全国に与える影響が大きいとの思いから、たまりかねて東京のNHKに苦言の電話をしました。市会議員選挙の前になると、「松村が生活保護を増やしている」と他の候補者が集会で支持者にそう言っているといった話を市民から直接聞かされたことがありました。生活保護制度に対する正しい認識を持っていないことを自ら証明していることであり、気にする必要もないと受け止めてきました。そのようなことを私に聞かせてくれる人には、生活保護法の内容と、制度の大切さと財政との関連についても、できるだけ丁寧にわかりやすく説明する努力もしてきたつもりです。しかし、生活保護制度に対する市民の厳しい目は、それほど変わってはいません。以前に比べて生活が苦しくなった人が増加する中、御自分が苦しいゆえに、より弱者である、生活保護利用者に厳しい目を向けているのではないかと思っています。さらに、芸能人の親が生活保護を利用していたことが、まるで犯罪のようにテレビで記者会見まで行われたことを契機に生活保護法が改悪されました。こんなことがあってはならないとの思いもあり、1年半以上前ですが、2013年12月の一般質問で、生活保護申請権を侵害しないようにと福祉事務所の対応の改善を求める質問をしました。容認できる明確な答弁が出るまでくり返し質問したいとの思いで、1問1答方式で質問しました。生活保護の申請は、口頭でも可能であり、適用できるかどうかについて、「判断するための書類がそろっていなくても、『申請する意志』が確認されれば申請できるのが原則」です。その観点からも尼崎市の対応の改善を求める質問も行ってきました。生活保護申請=生活保護適用 ということではありません。申請前後に提出した各種の文書、家庭訪問で、自宅を確認したのちに、保護適用の可否が決定され、適用が決まれば、申請日にさかのぼって、保護費が支給されるのが生活保護制度です。受付カウンターでは、市民が来所した要件を職員さんに伝えています。申請したいとして相談に来た市民、生活保護適用中の市民で、ケースワーカーに聞きたいことがあって来所した市民など、様々です。受け付けカウンターの職員さんは、初めて来所した市民には、「どうされましたか」と聞いたあとで、「面接相談受付票」を渡し、それに、住所・氏名・生年月日を書くように求めます。2013年12月9日の本議会では、来所した市民が、「生活保護の申請にきた」とか「生活保護の申請をしたい」といった場合は、かならず、「受付カウンターで申請書を渡し、申請権を犯さないこと」を求める質問をしました。局長さんからは、「そのようにする」との明確な答弁をいただきました。あの一問一答の質問には、私は何としても、改善してもらわなければとの強い意志を持って臨みました。そして、生活保護法に合致した、納得できる答弁をいただき、大変うれしく思いました。しかし、現在、受付カウンターで「生活保護申請に来ました」といっても、申請用紙を出してもらった人を見たことがありません。その場で申請書を書いている人を見たことも一度もありません。生活困窮者の支援活動をしている「尼崎生活と健康を守る会」の事務局長をしている前議員の早川さん、会派の同僚議員も、受付カウンターで、申請書が渡されるのを確認できたこと一度もありません。「受付カウンターで申請書を渡す」との大事な答弁については、今も実施されていません。答弁が、本当に実行されるのをしっかりと確認することが、極めて不十分だったし、答弁されたとおりになっていないと思いながらも、直ちに取り上げなかったことに内心、忸怩たる思いを抱き、反省もし、今回あらためて質問することにしました。現在、保護課の受付カウンターで、初めて来所した市民に渡しているのは、「面接相談受付票」です。住所、氏名、生年月日を書き、カウンターの受付職員との対話を通して、職員さんが、保護申請の意思ありと判断した場合は、その受付票に申請の申の字をマルで囲ったマルシンのハンコをおして、面接相談員が面接室に入る前に、面接相談受付票にマルシンのハンコのあるなしを確認して、面接室で当該市民から、状況を聞くことにしているとのことでした。この対応事態は、それまでよりも改善されてはいます。しかし、「面接相談受付票」と「生活保護申請書」とは、法的位置づけが全く異なります。

どう異なるのか、まず、説明してください。

生活保護の申請が認められれば、申請書を提出した日から保護が適用されます。しかし、申請書以外に、生活保護が適用されるかどうかの審査に必要な書類ももちろん提出しなければなりませんが、保護適用になった後の生活のためには、なによりも、早く申請書を提出することが必要なのです。この2013年12月9日の質問の翌日の10日付の「生活保護の申請意思が示された時の対応について」と題する保護課が作成した内部文書をみせていただきました。そこに書かれていることですが、趣旨としては、・平成25年12月6日に改正生活保護法が成立、・国会では、法改正後も申請権の侵害をしてはならないとの議論が行われた。・本市は、面接相談時の対応について、兵庫県事務監査で是正改善事項の指摘を受けた。・12月議会で、申請権の侵害に関しての一般質問があった。・私たちは、公務員として法を遵守する立場にある。・申請権の侵害は絶対におこなってはならないし、申請権を侵害していると疑われるような行為も厳に慎むことが必要。・一部の対応が疑念を持たれている事実もある。・改めて申請意思があると示された時の取扱いについて、次の通り、統一的について統一的に整理する。 と書かれています。申請意思の確認については、・申請の意志を確認する、ただし、多額の預貯金を持っているなど生活保護に該当しない場合などや保護の申請権を持っていない、要保護者本人でない場合を除くともありますが、これは当然のことです。 申請意思が示された時の取扱いについて・申請権を有する者から、保護申請の意思が示された場合には、保護要件の有無に関係なく、申請者に対して、速やかに、保護申請書を交付するとともに、申請手続きについて、助言を行ってください。 とあります。そして、その際の留意事項としては、来所者が「保護の申請に来た」とか「申請します」というなど申請意思を表明した場合には、「保護の申請ですね」と応答すること。「相談を伺います」や「まず、相談から伺います。」と応答することにより、申請権の侵害と見なされる恐れがあります」と、丁寧に書いています。次は、 口頭で申請意思が示された場合の取扱いについて  が示されています。その内容の解説のなかでは、生活保護制度に対する理解が不十分な市民がおられ、対応にご苦労されておられることが示されています。その場合の申請意思をどう確認するかということが問題になります。

お尋ねします。保護申請を希望する人には、受け付けカウンターで書いてもらっている現在の「面接相談受付票」に代わって、保護申請書を渡し、日付、名前・住所・生年月日を記入した申請書をカウンター職員が、面接担当に渡たすように改善すべきです。なお、種々相談の結果、保護適用が明らかに不可になった場合は、「保護申請取下書」を書いてもらい、処理すれば済みます。答弁を求めます。

できるだけ平易な言葉で、わかりやすく説明し、生活状況、経済状況をうまく聞き出すことが必要です。かなり以前のことですが、医療機関から、年金も少ないので、生活保護を利用しなければ、必要な医療ができない。何とか生活保護を申請するように説得してほしいと相談されました。その、高齢の女性は、「どんなことがあっても、生活保護だけは絶対に受けるな。恥だから」と親から言われたとして、頑として申請しようとはしませんでした。私は、ベテランの職員さんにその人の自宅まで来ていただき、「生活保護は恥ずかしい制度でない」ことを徹底して説明していただき、やっと、申請することができました。この方のように、「恥ずかしい制度」との意識が強い方がいることも忘れてはならないと思います。

お尋ねします。真の生活困窮者に対しても、もちろん、一般市民にも、「生活保護制度は、憲法25条に基づく、生存権を保障する大切な権利であり、基準に該当している人が利用することは恥ずかしいことではない」ことを正確に広報することが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

本市の生活保護行政について、「平成25年度全国福祉事務所所長会議資料からの抜粋」と「平成25年度 生活保護法施行事務監査における是正改善事項(尼崎市)」抜粋には、次のことが指摘されています。面接相談記録を確認したところ、申請に至るまで、何度も面接を繰り返しているが、記録からは相談者が生活に困窮していることがうかがわれ、実際には、相談の初期段階から、申請意思を示していることが疑われる事例、刑務所からの出所者やDV被者等住居のない相談者に対し、まずは住居を定めるよう助言し、一定の条件が整うまで申請書を交付していないことが疑われる事例などが認められた。ついては、次官通知第9、局長通知第9の1、課長通知第9の1及び2に基づき、生活保護の相談があった際には、相談者の生活困窮状況及び申請意思を十分に確認・記録するとともに、申請に至らなかった場合は、その理由を面接相談記録に具体的かつ詳細に記録するなど、申請権の侵害が疑われることのないように努めること。と書かれています。

 お尋ねします。平成25年度の県による監査で2件の事例が不適切と指摘されています。このような指摘が行われる事態を生んだ原因は、どこにあったと分析していますか。

なお、県の監査により、これまで、どのような事例が指摘され、どう改善したのか、主な項目を具体的に示してください。

私は、これまでも、生活保護制度は、命の最後の砦だという思いから、法の精神をしっかりと受け止め、正しく運用すべきだという強い思いで質問に臨んできました。22年前に比べれば、ずいぶん改善されているとはいえ、質問に対しては、まともな答弁がされたものの、答弁通りの行政事務が行われていないと知りつつ、今日まで、質問をしなかったことを反省しつつ、改めて、再度質問させていただきました。また、生活保護を受けたいと思っていても、申請できるかどうかわからないために、「申請したい」との明確な意思を示せない市民もいます。福祉事務所に来所された市民には、丁寧な対応で、かつ不当な態度の市民には、毅然とかつ、厳正な態度で、憲法25条が、生きている生活保護行政を行っていただけるよう強く要望しておきます。1994年から2004年までの10年間を見ると、正規雇用が減り続け、非正規雇用が増加し続けており、2014年では、雇用者全体の37.4%を占めています。そして、雇用形態別でみると、増加している非正規雇用では、パート労働者とアルバイトが増加しています。この傾向が強くなっていることは、特に、老後の暮らしにかかわる、年金で生活できない階層が増加しつつあることを示しており、現在の不安定雇用の増加は、将来の生活保護利用者を増加させることにつながることが、十分推察されます。不安定な雇用形態の増加は、将来の日本社会の活力を低下させ、経済活動にも支障をきたすのは火を見るよりも明らかです。また、低賃金労働者は、老後を支える年金や医療保険などの社会保障制度も不十分なものになることでしょう。

お尋ねします。非正規雇用労働者が40%近くも占めている状況が将来に与える影響について、市長は、どう受け止めておられますか。また、生活保護世帯の増加にもつながると思いますが、いかがでしょうか。私は、このような雇用のあり方を改善するべきと考えます。市長は、雇用の改善のために、どのような努力をされたいとお考えでしょうか。答弁を求めます。

これで1問目を終わります。

次に「防災教育」についてお尋ねします。私は、これまで極めて、「防災意識」の薄い人間でした。特に、「地震」は、台風などと異なり、現時点では、予報されることがないだけに、家具が倒れても、下敷きにならないところにベッドを置く程度の対応をしているにすぎません。しかし、現実に発生した2011年3月11日の東日本大震災では、宮城県・石巻市の大川小学校では、全校児童108人の7割にあたる74人が死亡、行方不明になりました。東日本大震災では、他にも多くの学校が津波に襲われましが、これほどまでに大きな犠牲者が出たのは、大川小学校だけです。5分で行ける裏山への避難をしておれば、このような悲劇にはならなかったのではないかと、悔やまれています。大きな犠牲を出した要因を明らかにするために、室崎益輝神戸大学名誉教授を委員長とした検証委員会が設置され、2014年2月に「大川小学校事故検証報告書」を出しています。そこには、❖大川小学校は、津波予想水域から外れており、津波の際の避難場所になっていた、❖子どもの安全には、交通事故への対応・訓練・不審者対応を重視。災害時の児童の引き渡しについては、PTA拡大役員会では2007、8年度は議題になったが、2010年度は議題にならなかった。❖石巻市および宮城県における学校防災の取り組みで津波対策の必要性が十分認識されていなかった。❖一部職員が山への避難を提案したが、津波の危機感を強く感じていなかったために山へは避難はしないと意思決定された。❖災害対応マニュアルでは、津波災害を具体的に想定して、検討したものではなかったと推定される。❖教育委員会も津波対策を必ずしも重視していなかったし、その背景には、宮城県教育委員会での指針に津波対策に関するものがごく一部に限られていた。❖学校が避難所に指定され、運営体制が教職員に依存する仕組みになっており、市は、あらかじめ学校とは別の主体による避難所運営体制を構築しておくべきであった。 など、10項目以上を指摘しています。一方、同じ震災で、岩手県の釜石市も大きな被害を受けました。しかし、石巻市の大川小学校とは対照的に釜石市の学校に通う小中学生全生徒2926人中、学校を休んでいたなどの5人を除く全員が津波から逃れました。その生存率はなんと99.8%。「釜石の奇跡」とも言われています。しかも、被災した瞬間に学校にいた児童生徒だけではなく、下校していた子どもの多くも自分の判断で高台に避難しました。さらに、周辺にいた大人達の命も救いました。大人顔負けの「想像力」や「判断力」で危機を乗り切った釜石の子どもたちの体験は、「危機対応」のモデルケースとして日本だけでなく世界からも注目を集めているとのことです。西日本では、南海トラフ地震などの発生も予測されています。尼崎市も海岸線に面しており、地震・津波などの発生時のことを念頭においた防災教育が求められるとの思いから、「釜石の奇跡」と言われるほどの状況を生んだ背景にある釜石市の防災教育を知るために、群馬大学大学院の片田敏孝教授の支援を得て2010年3月に策定された「津波防災教育のための手引き」に関心がわきました。この手引きの特徴は、『自分の命は自分で守ることのできるチカラ』これを児童・生徒が身につけることを目標にして、きょう・あす にでも発生するかもしれない三陸沖地震津波に備えると明記していることです。「手引き」を策定した1年後の2011年3月11日に、地震が発生しました。そして、その後、さらに、釜石市の津波防災教育は、三陸沖地震津波に備えて「手引き」の改定を行い、充実を図っています。改定された、「2013年の津波防災教育の手引き」の最初のページには、『釜石に住むことは津波に備えるのは当たり前』という文化を形成するとともに、『津波はたまに来るけど、釜石はこれほどまでに魅力的な郷土である』という郷土愛を育んでいくために、児童・生徒に『自分の命は自分で守ることのできるチカラ』をつけることを目的とし、津波防災教育を継続すると書かれています。そして、よく知られていますが、「津波避難3原則」として、想定を信じるな・・・「相手は自然であり、到達時間や高さ等、人間の想定通りの津波が来るとは限らない」だから、津波浸水区域を示したハザードマップ等の情報をうのみにしないこと。最善を尽くせ・・・「そのときできることに全力を注ぐ。少しでも早く、少しでも高い場所に避難する」だから、指定された非難場所だからと安心せず、もっと安全な場所に行けるのではあればそこをめざして非難し続けること。率先避難者たれ・・・「いざというとき、人間は自分から進んで避難しようとしない傾向がある」だから、まず自分が率先して、非難する」そういう心の準備をしておく。誰かが、避難している姿がまわりの人々の避難を促し、多くの命を救うことになる。など自分の命を守る基本原則的なことが示されています。

お尋ねします。手引きの最初に書かれている津波に対する原則的な考え方についての評価をお聞かせください。

この手引きの最大の特徴は、津波防災教育を実施するための授業時間を特別に用意して、特定の日に、地震・津波・防災の特別授業として行うのではなく、各学年の教科の中で、地震・津波防災に関連する内容を盛り込んでおり、日常の授業の中で、例えば、算数の時間に津波の速さと人間の走る速さを比較して計算するなど、各教科になかに、地震に関連することが国語・算数・理科・社会などのなかに、地震以外のことと同列に、随所に入れこまれていることです。釜石市の「手引き」を具体的に紹介します。小学校1・2年生では、教科「生活」では、単元「みんな仲良し 学校探検 校庭探検」では、津波と関連する内容として、「学校内のいろいろな場所にいるときに地震が発生したらどうするかを教える」。2年生の算数では「長いものの長さと単位」という単元で、津波の高さを用いて問題作成。津波と関連する内容として、「津波の高さは釜石湾で9m以上でした。では、9mは何センですか」。小学校5年生の社会では、「くらしを支える状況」という単元で、津波と関連する内容として、「防災行政無線の役割、津波警報や注意報について教える」とあります。理科では、「台風と天気の変化」の単元では、「洪水や津波から町を守るための施設として護岸工事や防潮堤工事がおこなわれていることを紹介する」国語の「目的に応じた伝え方を考えよう ニュース番組作りの現場から」の単元では、「ここでは有珠山の噴火をニュースにしたときのお話でしたが、津波がきたらどんな内容のニュースになるでしょうか?」といった感じで発展させる」とあります。中学校1・2・3年生の理科の「ゆれる大地」の単元では、「プレート テクトニクスに関連させて、津波の発生メカニズムや三陸沿岸で津波が多い理由を教える」。1年生の数学の「一次方程式」の単元では津波と関連する内容としては、「速さ、時間、道のりの問題を津波避難を例にして作成する。「釜石湾では地震発生後30分で津波がやってくると想定されている。地震発生後、何分までに避難を開始すれば、無事に避難することができるでしょうか?」とあります。ぞれぞれ、指導する場合の注意点なども示しており、釜石市の防災教育の手引きには、たとえ、小学校1年生であっても、子どもたち自身が、どういう行動をとるのがよいのか、自ら考えて行動できるようにすることが狙いとされていると理解できます。津波のときにどうするかを集中的に授業するのでなく、津波にかかわる事象について考えさせるなど、日々の学校の各教科の授業の中で、津波関連を提起するという方法で、どう行動すべきかを自然に体にしみこませる「やり方」だと思います。この手引きには、保護者は登場しません。正に、主人公である一人一人の児童生徒が、自分の命を守るために、どうすべきかを決定できる力をつける「防災教育」だと理解できます。

お尋ねします。釜石市の「津波防災教育のための手引き」の作成方針、そのねらいと内容などに対する率直な評価をお聞かせください。また、国も、釜石市が「津波防災教育のための手引き」を策定しているように、全国の自治体にも求めていることについて、市教育委員会はどのように受け止めていますか。答弁願います。

本市は、全国で 約1740自治体のうち、第45位で極めて住宅が密集し、人口密度の高い都市です。それに、地盤が軟弱なうえに、地下水のくみ上げによる地盤沈下で、防潮堤により、海水の流入を防いでいるとしていますが、津波発生で、その防潮堤の破壊の危険もあります。大きな津波が発生すれば、他都市にはない、また、市民が想像もできないような、形で、堤防破壊、武庫川・神崎川から海水が市内に押し寄せる可能性の高い都市です。それに、津波だけでなく、液状化により、当然、家屋の倒壊・道路の破壊も考えられます。

お尋ねします。このような尼崎市ですから、片田敏孝教授のご支援を得て、予知なく来る地震・津波に対する釜石市のような津波防災教育と合わせて、特に、液状化、浸水、家屋倒壊などに対して、子どもたちが自らの命を守る行動がとれるように教育するための「尼崎版の防災教育のための手引」を作成する必要があると考えますが、いかがでしょうか。答弁願います。

これで第2問目を終わります。

第3問

本市財政状況が厳しい原因は、とくに、生活保護世帯の増加にあるとの説明がこれまでも、ずいぶん行われてきました。社会保障制度のあり方、税制のあり方、地方交付税のあり方など、根本的には、政治の貧困が生活弱者を生んでいる原因であることを私たちは、理解しておかなければならないと思っています。本市において、これまでも、福祉事務所の対応の改善が進み、この議会でも、改善されることが答弁されたことを嬉しく思っています。この間、党議員団の真崎議員が、[子どもの貧困]について、質問を行ってきました。「子どもの貧困」という言葉ほど、悲しい響きのある言葉はありません。子どもの貧困は、多くは、一人親の母親の貧困であり、その根本には、低賃金も含めての労働法制の貧困、社会保障制度の貧困、税制のあり方の貧困、大きく言えば日本の政治、特に自民党政治の貧困があることを見逃してはならないと思っています。特に、経済的格差の広がりは、日本の政治の貧困の最たるものです。そういう今のゆがんでいる社会をまともな社会にしていくためには、「日本国憲法」に基づく政治をしっかり実施することが必要だと痛感しています。ここ数日、集中豪雨で大きな被害が出ています。異常気象的な状況だと思っていますが、その異常気象の背景には、異常な経済活動による地球温暖化の影響もあるとおもわざるを得ません。地球の気象に異常を起こさない経済活動のあり方を真剣にそして、早急に考え、実施することが必要な時代になっていると思っています。そして、今の私たち人類の力では、絶対に予防できないのが、地震・津波の発生です。私たちは、地球規模的に、社会のありようを見定め、そして、何よりも未来を築く子どもたちを大切に育てていく義務、何よりも命を大事にする政治をすすめる義務を負っており、それを果たすことを求められていると自覚しなければなりません。未来を託す子どもたちの命を守るために、今の私たちにできることに、もっともっと、真剣にならねばならないと思っています。特に、教育委員会には、わかっていただきたいと思います。それらを、各議員のみな様にも、心から訴えて、私のすべての質問を終わります。