日本共産党尼崎市会議員団ニュース第143号(2012年9月1日)
尼崎市の中学生の2割は昼食はパン食で済ませています。肥満傾向の子が多いというのも心配です。 また、「給料前に子どもが病気になったら、病院に行くのを躊躇してしまう」という声も聴きます。財布の中身を気にしないで安心して受診できるような医療制度が必要です。
日本共産党市会議員団は、「子育て支援でまちを元気に」と以下の政策を発表しました。
■「こんにちは日本共産党議員団です!」第143号(この記事の画像PDF 2面あり)
■ニュース2面「子どもの医療費無料化の拡充を」の本文はこちらに掲載
中学校給食の早期実施をめざして
尼崎市教職員組合の調べでは、家庭の事情で弁当を持ってこられない中学生が2割います。
昼食は毎日 「菓子パン」
2009年の食育に関するアンケートでは、朝食の欠食率は中学生で全国平均が3%に対して、尼崎は7%です。小学校では、家庭の事情で食生活が乱れている子どもでも、一食は給食で栄養価のある食事が保障されています。中学校ではその食の保障が途絶えてしまいます。3年間、毎日パンという子もいます。
尼っ子は肥満傾向
尼崎市には肥満傾向の子どもが多く、2011年尼崎市教育委員会(市教委)の調査では、中学生の肥満度20%以上は、兵庫県平均が6.2%で、尼崎市は8.3%です。芦屋市5.9%、宝塚市4.0%と比べても、尼崎市は阪神間では群を抜いて肥満の子どもが多いのです。
肥満は、甘いものやお菓子などの糖質、フライ物など脂質を多くとっているなど、主に、食事の内容に原因があります。改善のためには栄養バランスを考えた食事をすることが必要です。
尼崎市は、中学生の肥満は成人病へ進むことを懸念して、今年度から「小児肥満対策事業」を拡充しました。子どもの「成人病予備軍」をなくすためにも、バランスの取れた給食の実施は、今や待ったなしの課題です。
また、貧困世帯の子どもに肥満傾向が強いことも明らかにされています。
尼崎市の子どもの実態をみると、2010年の市教委の調べでは、就学援助対象者は全国で13・6%、7人に1人の割合です。しかし、尼崎市ではなんと小中合わせて27・4%、中学生は3人に1人です。
学校給食では、低所得世帯の生徒には就学援助費で給食費を出すことができ、経済的負担を軽減できます。
特にひとり親世帯、低所得の世帯が多い尼崎市だからこそ、中学生が心身ともに健全に成長するために中学校給食が必要です。
給食は良いことがいっぱい!
① 住んでいる市によって、給食のあるなしの格差をなくす
② 給食は、すべての子どもの心身の健やかな成長を図る上で有効であり、協同と社会性を養う上で、教育的効果が高い
③ 家庭の事情で弁当を持ってこられない子どもの、昼食の時間に心理的な負担をなくす
④ 子どもの成人病予備軍をなくす
⑤ 保護者の負担を軽くする
等、よいことがいっぱいです。
なぜ尼崎に中学校給食がないのか
市教委は、1991~92年の2年間にわたり「中学校給食検討委員会」を設置し、完全給食の導入や委託給食および食堂の設置等を検討しました。
その結果、業者による食堂事業を試験的に実施しましたが、利用者が少なく、廃止されました。
2008年から、尼崎市は弁当を持ってこられない子どものために、希望者には弁当の販売を始めました。
しかし、当初から利用者は少なく、2011年には若草中学校1校で1日平均3個程度の希望者しかいませんでした。中学校弁当事業も失敗しました。
最大の問題は 希望者に限定
市教委は吹田市を参考にして、2012年10月から希望者には献立をバージョンアップした中学校弁当を段階的に実施していくとしています。今年度は3校で開始し、4ヵ年で全校実施を目指すとしています。
しかし弁当事業の最大の問題は、希望者だけに限定していることです。全員がそろって、同じ給食を食べることが大切なのです。
全国では「あたりまえ」尼崎市でも・・・
2009年度の文部科学省の調査によると、全国の公立中学校の82 %で完全給食を実施しています。100%実施している県は3県あります。30都道県が90%以上の実施率です。
全国の実施率から見ても、中学校給食はあって「あたりまえです。」
兵庫県の中学校給食実施率は50.7%、全国ではワースト4位です。
とりわけ中学校数の多い神戸市と尼崎市が実施していないのが実施率を低めている要因です。
しかし、未実施の神戸市、芦屋市、それに、大阪市でも実施に向けた検討会が設置され審議がはじまりました。何もしていないのは今や、尼崎市だけです。
日本共産党議員団は、中学校給食の実施をめざして、市民のみなさんと一緒にがんばります。
「子育てするなら尼崎」をめざして
西宮市では、中学校給食は50年前から実施しています。
西宮市の教師に聞くと、「西宮は中学校でも給食があるから」と転入してくる保護者が多くいるということです。西宮市では、中学校卒業までの医療費の無料化も阪神間でいち早く実施しています。
西宮市は阪神大震災から人口が10万人増えていますがその背景には、子育て支援の充実があると考えられます。
相生市では、「子育て応援都市宣言」をし、幼稚園から中学校まで学校給食費の無料、子どもの医療費の無料化、保育料の軽減事業等「あいおいが暮らしやすい、11の鍵」をすすめています。
子育て支援を「まちづくり」の中心においています。
子育て世代の市外への流出が目立っている尼崎市にとって、若い世代の定着めざす「子育て支援策」は待ったなしの課題です。
■デリバリー(注文弁当)すでに実施している吹田市の中学校の状況は・・・
吹田市は従来の弁当持参か、デリバリー弁当か、パンを生徒が選択し、いずれも牛乳を付けています。
デリバリー弁当の利用率は全体の20%です。そのうち毎日の利用者は10%でほとんどがこれまで弁当をつくっていた家庭だそうです。利用者は週3日程度が多く、パンを食べている子どもはほとんどデリバリー弁当は注文していません。
(2011年、党議員団の聞き取り調査)
■学校給食の規定は…
文部科学省の学校給食実施基準
① 在校生全員を対象とする
② 週5回実施する
③ 児童または生徒個々の健康および生活活動、地域の実情などに配慮する
④ 学校給食に供する食物の栄養内容の基準について定める
■尼崎では…
これまでは…
食堂方式(大島市長)→失敗
注文弁当方式(白井市長)→失敗
稲村市長は…
「給食が望ましい」といいながら注文弁当に固執…
■近隣市(阪神間)の状況
2012年度教育委員会調べ
西宮市…完全給食
猪名川町…完全給食
宝塚市…完全給食
川西市…牛乳のみ
伊丹市…牛乳のみ
芦屋市…実施に向けて検討中
神戸市…検討中
大阪市…検討中